俺たちは必死に雪かきをしたが、結局トラックは学校まで到達できなかった。道の除雪に手が足りていないというから仕方ないだろう。それでもハーピーによる空輸で食料は寮に運び込まれた。カレーライスをガッツリ食って体力を取り戻したものの、外には雪が降り続けている。星なんて見えるはずもない。
　早めに寝てしまうはずが、俺は脳内にこびりつくビジョンに囚われていた。

「うおぉぉ……眠れねぇ……」

　消灯した部屋で、天文関係の書籍が散らかったベッドに寝転び、衣良さんの笑顔に思いを馳せる。あの掌とふとももの感触にもだ。お茶をいれてくれたこと、嬉々として淫らな奉仕をしてくれたこと……今日一日の彼女との記憶が蘇ってくる。ムラムラするってレベルじゃない。やっぱり魔物というのは人の心を乱すものなんだなぁ、と改めて思った。

　衣良さんの掌は奇麗だった。衣良さんのパンツはエロかった。衣良さんのふとももは温かかった。
　という具合に衣良さんのことばかり考えてしまう。これでは性欲処理してもらった意味がないどころか逆効果だ。

「……よし」

　俺は覚悟を決め、ベッドから身を起こした。ルームメイトの一人は昨日のうちに帰宅、もう一人はカノジョさんの部屋に行っているため、遠慮なく電気をつけさせてもらう。いきなり部屋が明るくなり、暗闇に慣れてしまった目に光が染みた。

　もうこうなったらできることは一つだ。晩飯のときに衣良さんから聞いた話だと、彼女のルームメイトはセイレーンとサキュバスなので、空を飛んで帰宅したとのこと。この大雪では家も心配だろうから、空を飛べる奴は帰って当然だ。つまり衣良さんも俺と同じく、今夜は自室に一人だけ。
　元々魔物だらけの女子寮だ、男を自室に連れ込む女子なんて山ほどいる。付き合っている女子に男から夜這をかけに行っても大して問題にはならないのだ。もちろん嫌がる相手を無理矢理……なんてことはまかり通らないが。

　問題は衣良さんの部屋に鍵がかかっているかだ。時計を確認してみるともう二十二時三十分。今日は疲れているだろうし、もう寝ているかもしれない。
　だが俺は一つの可能性に賭けることにした。キキーモラは男の欲求を読み取るのが得意、ということは衣良さんも俺が会いに行くことくらい予想しているかもしれないのだ。そうだったとしたら万々歳。駄目だったらまたそのとき考えよう。

「いざ、行動開始！」

　勇んで部屋を出た瞬間。俺は固まった。廊下が寒かったからではない。尻込みしたわけでもない。
　俺を悩ませる原因となった人がそこにいたからだ。

「あ……こんばんは」

　パジャマ姿の衣良さんが微笑む。部屋から漏れる光が彼女に当たっていたが、俺には衣良さん自身が光を放っているように見えた。まるで恒星のように。

「菊原君、もしかしたら眠れないんじゃないかな、と思って……」
「……どうもありがとう」

　案の定、察してくれていたらしい。しかも自分から来たということは……後はやりたかったことをヤらせてもらって構わないだろう。
　即座に衣良さんの手を引き、無理矢理部屋へ引き込んだ。無理矢理と言っても彼女は嫌がることもなく、自分からドアを閉めてくれた。そこで俺は電灯の光量を落とし、薄暗い中で衣良さんをベッドへと押し倒す。

「きゃ♥」

　小さく悲鳴を上げながらも、彼女は少し嬉しそうだった。まるでじゃれ合っているかのように。もしかしたら彼女の方も俺とシたかったのだろうか。このまま添い寝してもらうだけでも気持ち良い朝を迎えられそうだが、夜型の俺としてはこのまま楽しませてもらいたい。

「俺が何をする気か、分かるよね？」
「ええ、もちろんです」

　俺の背に手を回しながら、衣良さんはクスクスと笑った。息が俺の顔にかかり、そのくすぐったい感触だけで感じてしまう。
　それどころか気がつけば、極限まで勃起したペニスを彼女の下腹部に押し付けてしまっていた。

「イイコト、シたいんですよね♥」

　悪戯っぽく笑う彼女が可愛すぎた。それどころか『チュッ』という小さな音と共に、俺の頬に柔らかいものが当たった。

「……！」

　嬉しい不意打ち、頬へのキス。だがそれは始まりにすぎなかった。
　ぺろっ、と耳を舐められた。直後、唾液で濡れた唇が耳にキスをしてくる。唇の甘い感触だけでもたまらないのに、彼女はその上耳の穴を舌でくすぐってきた。体中がぞくっとする。快感と、ほんの少しの恐怖で。今まで感じたことのない刺激だった。まるで耳にディープキスをされているかのようだ。

「菊原君……部屋をあんまり散らかしちゃ、駄目ですよ……？」

　囁かれた言葉を聞き、ハッと気づいた。書籍が散らばった俺のベッドを見て、衣良さんはキキーモラの補食本能にスイッチが入ったのだ。だから無精者の俺を『性的な意味で』美味しくいただくために、ベッド上の主導権を奪おうとしているのではないか。

「い、衣良さん……止め……！」

　ふぅっと息を吹きかけられ、出かけた言葉が引っ込む。唾液を塗られた耳に、ひんやりした感触を浴びせられた。このコンボは反則だろう。
　さらに衣良さんの尻尾が俺の首筋を、そして服の中に潜り込んで体を擦ってくる。ふわふわの羽毛の感触で力が抜けてしまう。俺を無力にしてからゆっくり食おうということか。そのくせ目を合わせれば、相変わらず慈悲深い微笑みを浮かべていた。白い生地に薄いオレンジの水玉模様のパジャマが可愛らしい。

「ふふふ……悪い子、食べちゃうぞ〜……♥」

　耳に注ぎ込まれた声は蜜のように甘い。這い回る舌と尻尾の感触も甘い。
　いつの間にか、俺はベッドに仰向けにされていた。俺が押し倒したはずなのに、今では衣良さんが上になっている。ああ、これはもう駄目だ。俺は今から食べられる。

　だがせめて一矢報いたい。彼女のお尻、丁度尻尾の付け根辺りへ手を伸ばした。

「あっ……♥」

　衣良さんの体がピクリと震えた。パジャマの下に手を潜り込ませ、尻尾の根元を指先でまさぐる。むず痒そうに体をくねらせ、彼女は負けじと俺の耳を甘噛みしてきた。絶妙な力加減で歯を立て、まるで耳が性感帯になったかのような快感を与えてくる。
　脳みそが蕩けそうだ。尻尾を責めようとしたはずが、お尻の柔らかさを掌に感じて、こちらが気持ちよくなってしまう。桃のような小さめのお尻はとても滑らかで、揉んでみると指先が沈み込む。キキーモラもやっぱり魔物、セックスにおいては人間より遥かに上手なのだ。女性経験のある奴ならまだしも、天体ばかり見ていた俺には成す術もない。

　くちゃ、と唾液の音を立て、衣良さんは俺の耳から口を離した。湯上がりのようなうっとりとした表情で俺を見つめ、ゆっくりと下半身の方へ移動していく。何をされるのか分かった頃にはすでにズボンをずらされ、極限まで怒張した男根を引っ張り出されていた。

「では……」

　奇麗な指が、天井を指すペニスに添えられる。可愛い唇が、鈴口に近づく。
　温かな息が、ねめりを帯びた舌が、ねっとりとそこを刺激してきた。

「ううっ!?」

　俺は思わず呻いた。少し舐められただけで、もう出してしまいそうなくらい気持ちよかった。昼間衣良さんのふとももで彼女の味を覚えさせられたせいだ。彼女でなければここまで感じないだろう。
　口の中にぱくりと亀頭が含まれてしまい、温かな口腔のぬめりが感じられる。あめ玉のように亀頭を舌で転がしながら、衣良さんは上目遣いで俺を見つめてくる。目を合わせていると余計にドキドキした。奉仕するように、丹念にペニスを舐めしゃぶられ、射精感がこみ上げてくる。元から衣良さんに会いたくて悶々としていたせいでやたらと早い。

　それでも長く楽しみたくて我慢する。しかしその瞬間、衣良さんはペニスを激しく吸い立ててきた。

「ちょ、衣良、さ……！」

　吸引と鈴口への集中攻撃によって、俺の堤防はあっさり決壊した。胸の高鳴りに併せて、ペニスが大きく脈打つ。精液が筒の中を通り、衣良さんの口の中へ解き放たれていく感触。普段ティッシュに出しているそれを、女の子の口の中に流し込んでいく快感に酔いしれる。
　目を閉じ、迸りを受け入れる彼女の姿が何とも可愛らしい。喉を鳴らして、俺の出したものを飲み込んでくれた。

「あ、あ、ぁ……」

　精液と一緒に体の力までも吸い取られているかのようだった。そのくせ亀頭を掃除するかのように丹念に舐め回してくる舌のせいで、股間だけには力が漲ってくる。射精が終わる頃には、衣良さんの口の中でむくむくと復活していた。

　ちゅっと音を立てて衣良さんの口が離れると、唾液の糸が唇とペニスを繋いだ。一瞬だけ、口の中に絡み付く俺の白濁が見え、本当にこの中に出してしまったのだという実感が湧く。
　それでも尚上を向いたままのペニスを見て、衣良さんはうっとりと頬ずりをしてくる。顔に赤みが差していた。触ったら温かいだろうな、と思った瞬間、勝手に手が動いた。

「ん……♥」

　両手でその頬に触ってみると、すべすべした手触りが何とも心地よく、温もりが無性に愛おしい。彼女は少し気恥ずかしそうに目をしばたたかせ、俺を見つめている。

「……衣良さんは俺のこと、何でもお見通しなんだな」
「いいえ。私たちでも、他の人のことを全て理解することなんてできません」

　衣良さんはきっぱりと言い切った。

「私たちはただ、側に寄り添って……一緒に同じ星を眺めて……」

　立ち上がり、彼女はパジャマのズボンを降ろした。下着は昼間の純白とは違う、薄いピンク色のショーツだった。ゴクリ、と唾を飲み込んでその光景に魅入る。その股間部は湿り気を帯び、彼女の肌にぴったりと貼り付いていた。その一直線の割れ目の形が布地に浮き出て、透明な液がふとももまで垂れていたのだ。

「時々、互いに見つめ合うだけです」

　するりと、ショーツが彼女の足下へ降りていった。ショーツを湿らせていた液がねっとりと糸を引き、つるりとした割れ目に絡み付いている。白い指先がそこを押開くと、微かにくちゅっと水音が聞こえ、甘い香りが鼻を直撃した。
　柔らかそうな、奇麗なピンク色の穴が見える。薄暗い照明がその淫猥さを引き立てていた。ゆっくりと脈動し、愛液を垂れ流し、俺を受け入れる準備をしている。

　あそこに入りたい……ペニスにさらに血が集まっているような気がした。それを察しているからこそ、衣良さんは熱の籠った瞳で俺を見つめながら、ソコを見せてくれているのだ。

「衣良さん、俺……！」
「はい」

　にっこりと微笑み、彼女はゆっくりと腰を降ろしてきた。右手で割れ目を開き、左手を俺のペニスに添える。亀頭の数センチ先に、気持ち良さそうな下の口が降りてきた。彼女がもう少し腰を沈めれば、呆気なく飲み込まれてしまうことだろう。

「菊原君のこと……全部、食べちゃいますね……♥」

　衣良さんの口調はとても甘く、そして熱かった。彼女も興奮しているのだと分かる。
　女性器から滴り落ちた愛液が亀頭にかかり、これからあそこに挿入させられるんだと実感した。初めて経験するセックスであり、おそらくもう彼女以外とセックスをすることはないのだと思った。魔物の体は人を虜にする。ハーレムを作る器用な男もいるにはいるが、多分俺は衣良さんとしか上手く付き合えないだろう。昼間に処理してもらってから、彼女に夢中になりすぎているのだ。天体観測と同じくらいに。

　衣良さんの腰が次第に降りてきて、性器同士は近づき合う。

「う……！」
「あ……♥」

　触れ合った瞬間、俺たちの体はぴくりと震え、自然と顔を見合わせた。衣良さんは「くっついちゃいましたね」とでも言いたげに、気恥ずかしそうに笑った。
　亀頭に女性器の入り口がフィットし、温もりとぬめりを感じる。衣良さんのソコは彼女の清楚さに反してとても熱く、このままぐりぐり擦り付けられればたちどころに射精してしまうだろう。

「衣良さん、気持ちいい……？」
「はい……♥　菊原君のが、入りそうになってます……♥」

　引力に従い、膣がペニスを飲み込んでいく。その中はとても狭く、きつく竿を締め付けてくるのに、自然に奥へ奥へとねじ込まれていった。愛液のぬめりだけではなく、膣自体が蠢いているようだ。

「う……熱っ……」
「あぁ……菊原君っ……♥」

　衣良さんの体が小刻みに震えているのが分かった。俺のモノで感じているのだ。ゾクゾクしてくる。
　火傷しそうに熱い膣壁にペニスを締め付けられ、快感はこみ上げて来る一方だ。だがそれよりも衣良さんが俺とセックスをして気持ちよくなっていることが、その蕩けそうな表情と荒い息づかいが何よりも気持ちいい。頬を真っ赤に染め、潤んだ目で俺を見つめてくる彼女はとても可愛くて、とてもエロい。清楚なキキーモラでもセックスすればこうなるのだと分かる姿だ。

「うぐっ……!?」

　奥までズブリと挿入されたとき、膣内がギュッとさらに強く締まった。その瞬間、玉袋から急激にそれがこみ上げる。我慢しようと思う間もなく、ペニスが激しく脈打った。

「あっ……出てる……♥」

　衣良さんがうっとりと微笑み、その膣で俺の迸りを受け止める。しっかり締まっていた膣が僅かに緩み、割れ目から白い液体が垂れてきた。それを見た瞬間、俺は無性に恥ずかしくなった。いくら俺でも男としての羞恥心くらいは持っている。魔物と付き合っている奴らが「一緒にイくのが大事」と語っているのを聞いたこともあった。

「ご、ごめん……！」

　目を合わせられないまま、とりあえず謝った。みっともないにもほどがある。
　だが衣良さんは何も言わず俺の手を取り、自分の胸へと導いた。彼女の左胸に掌が触れ、むにゅりと柔らかい感触が伝わってきた。ただでさえ興奮している心臓がさらに大きく脈打つ。そしてその鼓動は俺だけのものではなかった。

「ねぇ、分かりますか……？　私、こんなにドキドキしてる……♥」

　息を荒げ、衣良さんはパジャマのボタンを外し始めた。薄暗い電灯に照らされ、滑らかな肌が露わになった瞬間、俺はそこへ手を滑り込ませた。むにゅっとしたそれを直に触り、ゆっくりと揉んでみる。

「んぅっ、菊原、君っ……♥　もうっ……♥」

　服の上からだと小さめに見えたが、直接触ってみるとしっかり存在感がある。一回揉む度、気持ちいい弾力が指を押し返す。くすぐったいのか気持ちいいのか、衣良さんは俺の上で身をよじらせた。
　清楚な彼女がいやらしく腰をくねらせたため、その膣内に抱かれた俺のペニスはぬめる膣壁に愛撫された。彼女の胸を揉んでいるうちに、その柔らかさのエネルギーを吸収するかのようにペニスが復活していく。きつく締まった膣内を押し広げるかのように。とすれば、やることは一つだ。

「衣良さん、もう一回シよう！　今度は俺が上になるから！」

　もう二回も、昼間を含めれば三回も射精したというのに、俺の性欲は全く衰えていなかった。全ての原因は衣良さんだ。彼女が魅力的すぎるからだ。

「ええ♥　私も、もっと……もっと、セックスしたいです♥」

　潤んだ瞳で艶やかに微笑みながら、衣良さんは俺と体勢を入れ替えるべく体を横たえた。俺はペニスを彼女の中から一度引き抜き、名残惜しく愛液が糸を引く様子を楽しんだ。
　彼女のお尻に手を添えると、こちらの意図を察して四つん這いになってくれた。形の良い桃のようなお尻、ふわふわの尻尾、そして愛液を垂れ流す割れ目が何ともエロい。お尻の谷間に見える穴にもドキリとする。本来見てはいけない所を思う存分に見せてもらっているのだ。電灯の光量を上げればもっとよく見えるだろうが、薄暗い方が艶やかに見える。

　肩越しにこちらを見つめてくる衣良さんの視線に促され、俺はゆっくりと腰を進めた。

「ああっ……」
「あんぅ♥　きたぁ……♥」

　甘い声が耳をくすぐった。同時にペニスも再び、あの甘い感触に包み込まれる。奥までねじ込むと、肉棒全体で感じる衣良さんの体温がたまらなく気持ちよかった。

「衣良さんの中、熱い……！」
「菊原君の、あっ、おちんちんの方がっ♥　熱い、ですよぉ……♥」

　お尻を小刻みにぷるぷると奮わせ、尻尾の羽毛を逆立たせながらも、衣良さんはしっかりと腰を突き出している。
　俺は腰にぐっと力を込め、抜き差しを始めた。狭い膣内でペニスを前後させると、ぬめりを帯びたひだが絡み付いてきてたまらない感触だ。

「ふあぁっ♥　ひっ♥　んぁ♥」

　突入れる度、彼女のお尻が俺の腰に当たって震える。喘ぎ声を漏らしながら、衣良さんは俺の動きをしっかりと受け止めてくれていた。もうセックスというより交尾と言った方がいいかもしれない。俺は動物のように何も考えず腰を振り、ひたすら快感を求めているのだから。

「衣良さん、好きだ……！　好きだよ……！」
「はあぅぅ♥　菊原、く、ん……わたし、も……♥　ひゃぁ……♥」

　手足が震えながらも、衣良さんは四つん這いで頑張っていた。こちらを振り向く顔は快楽に蕩けて、汗が浮かんでいる。口の端からよだれまで垂らして、普段の清楚な佇まいからかけ離れた淫らな姿だった。キキーモラも本来ウルフ種であることに納得がいく。
　ペニスを吸い上げるかのように動く膣内はさらに愛液を垂れ流し、じゅぶじゅぶと卑猥な水音が部屋に響いていた。衣良さんのこんな姿を見られるのは俺一人だろう。それがたまらなく嬉しくて、たまらなく気持ちいい。

　温かな膣奥に、何度も、何度もペニスを突入れた。衣良さんはシーツをぎゅっと掴み、体を必死で支えている。ああ、もうイきそうなんだと感覚で分かった。今まで女性経験なんてなかったのに、不思議と彼女の絶頂が近いことを察することができた。そして俺もまた、限界に達しつつある。

「衣良さんっ、出るよ！　出していい!?」
「はいっ……♥　きて……あふっ、中に、中にくださぃ……♥」

　ぺたん、と衣良さんの上半身がベッドに突っ伏した。その瞬間、熱々の肉洞の一番奥で、俺は動きを止めた。

「ううぅっ！　出るっ！」

　先ほどの暴発よりさらに激しく、ペニスが脈打った。ドクドクと迸る精液を、衣良さんの中に注ぎ込んでいく。同時に膣が締まり、精液を子宮へ運ぶかのように蠢いた。

「あ、あんっ、あぁぁぁっ……♥」

　身を仰け反らせ、衣良さんが嬌声を上げた。脱力した彼女が倒れ伏し、ペニスがぬるりと抜ける。残っていた精液が彼女のお尻にかかる光景がたまらなくいやらしかった。

　荒く息を吐きながら、俺と彼女は見つめ合い、そして笑った。抱き合って毛布を被り、頬を寄せて目を閉じる。衣良さんの汗ばんだ体は抱き枕となり、甘い眠気を提供してくれた……。
















………










……










…
















　翌日。
　雪は止み、青空と太陽が学校を見下ろしていた。だが降った量が量のため、除雪作業には時間がかかるようで、今日も皆帰宅できそうにない。明日からは平日だが、通学組も登校できないため休校になるらしい。それでも食料の心配がなくなり、みんな寮の外で雪合戦をしていたり、あるいは部屋に引きこもってイチャついていたりと呑気なものだ。

　俺はというと、今日もまた食堂で彼女とお茶を飲んでいる。今日はラズベリーのジャムだ。

「香苗さん。今夜晴れてたら、一緒に星を見ようよ」

　昨日までは女の子にこんな誘いをかけるなんて、考えもしなかっただろう。今となってはこうして下の名前で呼べるし、何でも気兼ねなく話せてしまう。もちろん、彼女限定だが。

「ええ。温かいココアを用意しておきますね」

　清楚な微笑みを浮かべ、香苗さんは紅茶を啜る。俺はふと、自分の皿からジャムをすくい、彼女の前に差し出した。
　すると案の定、こちらの考えを察してくれたようで、香苗さんはスプーンに乗ったジャムをぱくりと口に含んだ。そして俺たちは互いに身を乗り出し、唇を触れ合わせる。

「んっ……♥」

　柔らかな唇の隙間から、甘酸っぱいジャムを味わう。舌を絡ませて互いの口の中を味わい、同じ甘味を共有した。
　唇が離れると同時に唾液がねっとりと糸を引いた。紅茶を一口飲み、俺たちは笑い合う。

　これから香苗さんとずっと、一緒に同じ星を眺めていくのだろうか。いや、星の見えない日もあるだろう。

　そんな夜にはきっと、彼女と互いに見つめ合って乗り越えるのだ。
　今度はこちらにスプーンを差し出してくる香苗さんを見て、俺はそう確信した。

















　――fin

■作者メッセージ

大変お待たせ致しました（汗）
平日は何かとゴタゴタして、休日はぐったりしてしまいまして……。

今朝、もう四月だというのにまた雪が降りました。
もう魔物娘さんの肌で温まりたいです……。

ともあれ、最後までお読み頂きありがとうございました。
気がつけばこの学校シリーズもルージュ街と同じくらい思い入れのあるものになりました。
次回はまたルージュ街に戻りたいと思います。
今後とも、よろしくお願い致します。