連載小説
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出会い
カタカタ・・・・カタカタ・・・

静かにパソコンの音がオフィスに響き渡る。

「おい、過波今日中にこの仕事やってくれるか?」

「・・・分かりました。すぐにやります。」

とある会社の夏の午後10時を過ぎたよくある光景。同僚もほとんど帰り、俺は今日こそは終電までに帰れると希望を持ちながら仕事をこなしてたが上司から突如仕事を振られその希望は潰えた。

「結局今日も終電逃すのか・・・」

そう思いながら上司から頼まれた仕事の量を見てみるといつもより少ないのに気が付いた。

「おいおい、あとこんだけだったら自分でやれよクソッ」

僅かに残ってる同僚に聞こえない程度に独り言を言いながら仕事をかたずける。
最近、自分の会社でも働き方改革など色々謳ってはいるが結局の所、上の奴らが天下りの踏ん反り返ってるだけのゴミカス野郎だったら無意味ではないか。現に今がそうだ。

俺もこの会社に高卒で働いて5年は立つけど、給料は釣り合ってないし、残業代も出ない時もあるし、代休もない。しかも上司のパワハラなんて日常茶飯事。これがもし、給料がそこそこ良かったらまだ続けてたかもしれないけど、大体平均より下。部署移動もお願いしたけど結果はダメだった。

・・・・うんマジでここ辞めようかな?考えてるだけで頭の血管破裂しそうになる。

端から見ると淡々と仕事をこなしてはいるが頭の中ではキーボードを机に叩きつけ、奇声を発している。こんな生活を5年も続けているとこんな風にもなる。いい加減自分の時間が欲しい。因みに妄想で上司を頃した数はn回になる。

消火器で上司殴ったら絶対スカッとするだろうな・・・まあやらないが。

しょうもない事を考えつつもちゃんと終電前までには仕事を終わらせた。






終電の3本前に乗れた俺は無事自分のボロアパートの家に着く。

「ただいま」

俺以外に住んでる奴はいないが一応言っておく。彼女か奥さんがいれば寂しくはないのだがそんな相手は居ない。

そんなことより久々の土日休みだ。2連休なんていつ以来だ?確か最後の2連休は・・・・まあいいや思い出すのも面倒くさいし、明日はどうしようかな・・・まあ、2連休もあるんだし、とりあえず明日はゆっくり休むか。

そして明日、明後日の休日に思いを馳せながら布団を敷いて寝た。





結局土日は何もする事無く、ただただ無意味に休日を過ごそうとしていた。
気が付けば日曜日の午後、もう日が落ちる頃に差し掛かっていたところで、このまま何もしないのはもったいないと思った俺はせめて外食でもしようと思って外に出た。ずっとクーラーが効いていた部屋にいた為か、外は日が落ち掛かっているにも関わらず、真昼の猛暑並みに暑かった気がした。しかしそれも束の間、急いで車のエンジンを掛け、エアコンのクーラーを最大値まで上げる。

「あ〜外食するのは良いけ何処に行こうか・・・」

車内は誰もいないので独り言を言いながら目的地を携帯で探す。ドラレコを付けてるので独り言はばっちり録音されている。余談だが、先日何気なしにドラレコを再生してみたら自分が思ってたより独り言や歌ってるところまでしっかり録音されており、危うく一人で悶絶するところだった。ていうか悶絶した。

そうこうしてるうちに自宅から少し離れた所に一つの焼き肉屋が出てきた。

「あ〜JOJO苑か。」

悪くない。最近そんな金使ってないし、今日はがっつり肉が食べたい気分。文句なし、満点。よし、そこに行こう。






結果、美味かった。いや、思ってたのと違ってた。まず、入る前から如何にも高級そうな入口に少しビビったが臆することなく入ってやった。入り口だけでなく店内の内装も、とても上品だった。値段も一皿約3000円とやや高めだったが、払う価値は全然あった。店員のサービスも充実しており、そんじょそこらの安い焼肉屋とは一味も二味も違った。特に、タン塩を食べたときは吃驚した。今までのタン塩が偽物と思うくらいに美味しかった。
この二日間の休日がとても充実していたと思うくらい満足した。
またいつか行こう。






帰りに家の近くのコンビニで酒とつまみを買おうと会計に行くと、変わった店員の人がレジをやっていた。身長は大体160p、髪は結構長めで腰くらいまである。そして何より、髪の色と目の色。髪の色は白、目の瞳の色は赤と所謂アルビノってやつ。容姿も、とても美人で、胸も大きい。
アルビノというのも相まって、まるで物語の世界から飛び出したような人だった。思わず一目惚れをした俺は彼女の事をじっと見つめてしまい、一瞬だが目が合ってしまった。女性経験が全く無い俺は、咄嗟に目を反らし速やかに会計を済ませる。気まずさと恥ずかしさで頭が一杯になり、足早にコンビニを出る。






家に帰り、彼女の事を思い浮かべながら買ってきた酒を飲む。しかし、大変綺麗な人だった。容姿端麗とは正にこのこと。本当に物語から飛び出してきたかと思った程だった。あんな美人な彼女が出来たら人生勝ち組だろうな。あんな美人が彼氏無しな訳ないからな・・・ちょっと嫉妬する。
・・・いやかなりする。
まあ見れただけでもありがたいと思って今日は風呂入って寝よう。明日も仕事だしな。
・・・・一気にテンション下がった。
諦めて適当にネットサーフィンして眠くなったら寝よう。
と風呂に入ろうと思った時。

ピンポーン

と自分家のインターホンが鳴った。
誰だよこんな時間に、宅配でも頼んだか?
と思ってるとドアの外から女性の声がした。

「夜分遅くに失礼します!お隣の敷井です!」

・・・?お隣?このボロアパートに俺の部屋の隣はどっちも空き家だったはずだが・・・もしかして受信料の集金するために嘘ついているとかか?
考えても埒が明かないのでとりあえず出てみることにした。まあこのまま出なかったところで部屋に電気がついているから居ることは分かるだろうな。

「はーい、どちらさんですか・・・・・!?」
                                             
怠そうに玄関のドアを開けてみると、そこには先ほどのコンビニでレジをやっていた女性がそこに立っていた。

「大変遅くなってすみません!お隣に引っ越したものです。こんな夜遅くに・・・ってあら?間違ってたらすみませんが、先ほど近くのコンビニで何か買われましたよね?」

「あ、あぁ。そうですね。確かにあそこのコンビニで買いましたね。」

「やっぱり!私のこと覚えてますか?」

「えっと、コンビニでレジ打ってた人ですよね?」

「覚えてくれてたんですね!ありがとうございます!・・・ってそうじゃなくて、こんな夜遅くになって申し訳ありません。昼頃にお伺いしたのですがご不在だったので・・・」

「昼?・・・あ」

「どうかされました?」

「いや、何でもないです。ただ昼だと丁度外出していたので・・・」

嘘だ。思いっきり、休日だからと午後の1時ぐらいまで爆睡していただけである。

「そうでしたか。あ、そうだった。これどうぞ!つまらないものですが。」

と彼女から何やら箱を渡された。

「蕎麦です!引っ越しした時の挨拶は蕎麦を渡した方が良いと友人から聞いたので。・・・合ってますよね?」

「ありがとございます!大丈夫です。引っ越し蕎麦は縁起が良いって言うので合ってますよ。」

「よかったです!では、これからお隣になる敷井小白(しきいこはく)と申します。ご迷惑をお掛けしますが今後ともよろしくお願いします。」

「こ、こちらこそ!あっ!自分は過波進(かなみすすむ)です。」

「はい!過波さんですね、宜しくお願いします。では、夜も遅いので失礼します。」

彼女はお休みなさいと一礼した後、自分の部屋に帰って行ったのを見て俺も部屋に戻る。

あんな美人さんが俺の部屋の隣に住むことになるなんて・・・・・てか彼氏とかやっぱ居ない感じなのかな?居なさそうな感じがするけど・・・まあいいや俺には関係ないし。

と思いながらも若干もやもやする俺だった。

19/07/17 22:39更新 / kamina
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■作者メッセージ
ここまで見てくれてありがとうございます!
本当に自己満足で書いたものなので批判等は受け付けます()

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