バンパイアの十戒
ヴァンパイアの十戒
従者であるあなたへの訓示
一.
永劫に等しい夜の支配者たる私にとっては人間の一生なぞ午睡の夢のようなものだ。
私の隣に立ち、永き夜を共に生きる栄誉に浴するのはただ貴様ただ一人だ。わが従者よ。
二.
従者よ、私を箴言に耳を傾けぬ暴君にしてくれるな。
生まれながらの闇の貴種である私は、道理に適う貴様の言葉を聞き入れる程度の度量は持ち合わせているつもりだ。
三.
どのような苦難が私達に降りかかろうとも従者よ、
貴様は主君である私を大いに信じるがよい。
愛する臣下の信に報いることでこそ、私は貴種として立つことが出来るのだからな。
四.
従者の分際で私を理不尽に責めたて、屋敷に閉じ込めようなどと思いあがらぬことだ。
私は貴様の付き合いや生業に口を挟むほど狭量な女ではない。されど貴様の主人は私ただ一人のみだということを忘れるなよ?
五.
ヴァンパイアの夜は長い。貴様との逢瀬のみがその長き無聊に色を添える。
褥を共にし、貴様が私の従者となる前のこと、生まれてから今に至るまで見聞きしたことの全てを語り聞かせるがよい。代わりに私も寝物語に貴様の知らない様々を語って聞かせようではないか。
六.
従者となった貴様がこの屋敷に来たときから首筋に初めて牙を突き立て、甘き血を啜った時まで、今に至るまでに過ごした時の全てを私は覚えている。私はその一瞬一瞬を幸せな記憶として覚え、積み重ねていきたいと思っている。
七.
私には人間ごときとは比べものにもならない膂力も魔術の力もあるが、もしも貴様が私に叛意を抱き、私を討つというのならば私は進んでわが心臓を捧げるつもりだ。
それが何を意味しているか、聡い貴様なら解るだろう?
八.
従者である貴様が私に指図をするなど千年早い。貴様は己のなすべきことを成し、忠勤に励むがよい。屋敷に日差しが入らない様にし、栄養を取り適度に運動を行い健康的な血を供給するのだ。私は忠実な従者には褒美は惜しまぬ。接吻も褥も進言も好きなものを言うがよい。
九.
幾度日が昇ろうとも尽きることなく夜が訪れるように私の治世は永遠であり、従者である貴様が主君の供をするのは当然のことである。我が従者よ。共に永遠の夜を歩む栄誉を許そう。なに、退屈はさせん。
十.
我が従者にして我が庇護者、我が無二の友にして我が愛する夫よ。
貴様の忠誠と愛への褒美として、私の誇り高き夜の魂と命の全てを捧げる。
あなたの主君にしてあなたの信仰者、あなたの愛の奴隷にしてあなたの妻からのささやかな贈り物を受け取って欲しい。
万に一つ主神の裁きが私を焼き滅ぼすか、
あるいは世界が滅びるその瞬間まで私はあなたのものだ。
従者であるあなたへの訓示
一.
永劫に等しい夜の支配者たる私にとっては人間の一生なぞ午睡の夢のようなものだ。
私の隣に立ち、永き夜を共に生きる栄誉に浴するのはただ貴様ただ一人だ。わが従者よ。
二.
従者よ、私を箴言に耳を傾けぬ暴君にしてくれるな。
生まれながらの闇の貴種である私は、道理に適う貴様の言葉を聞き入れる程度の度量は持ち合わせているつもりだ。
三.
どのような苦難が私達に降りかかろうとも従者よ、
貴様は主君である私を大いに信じるがよい。
愛する臣下の信に報いることでこそ、私は貴種として立つことが出来るのだからな。
四.
従者の分際で私を理不尽に責めたて、屋敷に閉じ込めようなどと思いあがらぬことだ。
私は貴様の付き合いや生業に口を挟むほど狭量な女ではない。されど貴様の主人は私ただ一人のみだということを忘れるなよ?
五.
ヴァンパイアの夜は長い。貴様との逢瀬のみがその長き無聊に色を添える。
褥を共にし、貴様が私の従者となる前のこと、生まれてから今に至るまで見聞きしたことの全てを語り聞かせるがよい。代わりに私も寝物語に貴様の知らない様々を語って聞かせようではないか。
六.
従者となった貴様がこの屋敷に来たときから首筋に初めて牙を突き立て、甘き血を啜った時まで、今に至るまでに過ごした時の全てを私は覚えている。私はその一瞬一瞬を幸せな記憶として覚え、積み重ねていきたいと思っている。
七.
私には人間ごときとは比べものにもならない膂力も魔術の力もあるが、もしも貴様が私に叛意を抱き、私を討つというのならば私は進んでわが心臓を捧げるつもりだ。
それが何を意味しているか、聡い貴様なら解るだろう?
八.
従者である貴様が私に指図をするなど千年早い。貴様は己のなすべきことを成し、忠勤に励むがよい。屋敷に日差しが入らない様にし、栄養を取り適度に運動を行い健康的な血を供給するのだ。私は忠実な従者には褒美は惜しまぬ。接吻も褥も進言も好きなものを言うがよい。
九.
幾度日が昇ろうとも尽きることなく夜が訪れるように私の治世は永遠であり、従者である貴様が主君の供をするのは当然のことである。我が従者よ。共に永遠の夜を歩む栄誉を許そう。なに、退屈はさせん。
十.
我が従者にして我が庇護者、我が無二の友にして我が愛する夫よ。
貴様の忠誠と愛への褒美として、私の誇り高き夜の魂と命の全てを捧げる。
あなたの主君にしてあなたの信仰者、あなたの愛の奴隷にしてあなたの妻からのささやかな贈り物を受け取って欲しい。
万に一つ主神の裁きが私を焼き滅ぼすか、
あるいは世界が滅びるその瞬間まで私はあなたのものだ。
21/01/02 13:30更新 / あまくち天魔