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望む者達

ちょっとグロイ・・・・ちょっとですよ、うん全然ちょっとです、嘘なんか言わないんだから
グロイ表現がありますのでご注意を

あと今回のプレイは少々ハードとなります

それでも大丈夫だと言う方々はどうぞご堪能くださいまし



                         by. Cap meshi han-ninmae


















白磁の海原を抜けた四人は何とか街にたどり着けたのであった、だが、
今回の話の舞台はこの町ではないので中略


「久しぶりにまともな食事ができると思ったのに!!!」


ヴィオレットが駄々をこねているが無視させてもらう。
四人は街で軽く旅支度を整えた後、更に足を進めていった・・・・・

なにかと遠回りをしているこの一行だが、現在地はテオフィル達がいるコヴァンツァが
ある街の北にある森を挟んだ向こう側、小川沿いを歩いているのであった


「相変わらず小さなことで吼える娘だな、お前は」

「そりゃあんたはいいでしょうねえトカゲ女!私は生まれてこの方まともな食事しか
食べたことないんだから仕方ないでしょ!!」

「ま〜ま、そんな若いうちからピリピリしてたら老けたらえらい顔になんで?」

「あんたも一々私のボルテージ上げるようなこといわないでくれる!!?」


ヒステリックを起こしているヴィオレットを横目で見るクラウディオ

こうして彼女がヒステリックを起こすことは珍しくない、最初のころは会話の合間に陰口を
叩くくらいであったが、最近では面と向かって不満を言うようになってきた


「ヴィオレットさん」

「何よ!!」


変化はそれだけではない


「街で食料は多めに、さらに多めに買っておいたので今日はいつもより食事を豪勢に
しましょうか?」

「あ・・・・・・・う・・・・・・・ごめん」


こうして自分が仲介に入るとあっさりと宥められてくれるという所だ
さてはて、どういう変化なのか・・・・


「何?お兄さんヴィオちゃんこましたん?」


千代がクラウディオの肩に寄りかかりながら聞いてくる


「最近はお前に対しては聞き分けがいいからな、そう勘ぐられても仕方あるまい?」


ウルスラがクラウディオの肩に寄りかかりながら聞いてくる


「別に何もありませんよぉ、きっとアレです、彼女も彼女なりに気を使おうと努力
しているんですよ、見た目の通りに自己中心的短絡思考が服を着て歩いているような
ものですから」

「あんたは私を貶そうとしているのかフォローしようとしているのかどっちだ!」

「最近は振り回されてばかりなので、自衛手段ですよ」



ウルスラと千代と関係を持ってから彼女達とする事も多くなった


『んん・・・・まだこんな出して・・・・ガッチガチやないの・・・・お兄さん♪』


『ふふふふ・・・・ぁん・・・・こんなに出して・・・・孕んでは旅が続けられないのだから程ほどにな』


昼夜問わず、ヴィオレットの眼が離れれば「そんなことよりセックスしようぜ」
と迫って来る二人・・・・何度かバレて白く冷めた視線と軽蔑の言葉をなげかけられたことがある

しかしまあ・・・・・



「ヴィオレットさん」

「何よ!!」


ストレスばかり溜め込んで吐き出せないというのならそれはそれで問題である


「色々溜め込まないでくださいね、私でよければお相手いたしますから」

「な!!?」


顔を一瞬にしてボンっと真っ赤に染めたヴィオレット


「なん・・・・何言ってんのアンタは!!!私がそんな淫らな行為でストレス発散できる
ほど低俗な存在だと思ってるわけ!!?最低ねあんたは!!」

「え・・・・・愚痴を聞くのは淫らなんですか?」

「・・・・・・・わかってて言ってるわけ?」

「はい?」

「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・もういい、お腹すいた、ご飯にしなさい」


ぐでーっとやる気のない表情になり命令口調、全てがあほらしくなったらしい
クラウディオは知らずにか、頭に?マークを浮かべている、
他の二人はクスクスと笑いを漏らしていた


「まあ、そろそろええ時間やしな・・・・ここらでご飯しょうやないの」

「そうだな、腹が減っては何事もやる気が起きんものだ・・・・ましてや育ち盛りの年頃の娘
少々食事に関して文句も言うという物だ」

「人を腹ペコキャラにしないでくれる!?」

「違うのか?基本的にお前はいつも腹をすかしているイメージだが」

「アンタはどういう眼で私を見ているのよ・・・・」

「わかったわかったヴィオレットよ、見ているが良い・・・活きの良い魚を捕まえて
見せよう」


そういってウルスラは小川へと近づいていく・・・・

ウルスラはこの四人の中で一番上に立っているという自覚をしていているのか、
良く他の者の面倒を見ようとする・・・・きつくあたるヴィオレットにも怒ろうとはせず
むしろその関係を楽しんでいるようにも見え、時折「姉」であるかのようにフォローもする


「・・・・・・まったく、うるさい奴」

「ほな、ヴィオちゃんとお兄さんはあっちの小さな林で枯れ木でも拾ってきてぇな
うちが飯炊く準備しとくさかいな」

「了解しました」「仕方ないわねえ」


なんだかんだで協力関係を築けているヴィオレットに千代も内心安心していた


「(最初、ほんまに心開かんかったけど最近は素直でええ子になったやないの)」


千代はいろいろな意味でまとめ役であった

母親のように温かく皆を見守り、必要なときには仲裁役もムードメーカーも買って出た
いつも三人のことを気にかけて仲を取り持つような位置にいた

その存在にクラウディオもウルスラも感謝していたし、クラウディオは彼女の求愛も
出来る限り答えようとしていた

ただ・・・・・最近クラウディオは切に思う


このまま魔物である彼女達と愛情に似たこの感情をはぐくんでいいものか


一般常識から見れば自分は異端である、人間であるにもかかわらず魔物とともにある。
アイーダとオネルヴァのような関係も一つのあり方ではあり美しい関係だとは思う・・・

だが、それもあの二人であるが故の特別なのだと思う


「・・・・・」

「? どうしたのよ」

「あ・・・・いえいえ・・・」


自分がその特別になれるのか・・・・なってもいいのか・・・・なるしかないのか・・・・
時折、そんな疑問がかすかに浮かんでは消えていくのだ













「フフフフフフフフフフフフ・・・・・ハハハハハハハハハハハハ!!!!」


小川のど真ん中で仁王立ちをしながら高笑いをするウルスラ、最近奇人キャラにクラスチェンジ
しつつあるが大丈夫だろうか?


( ゚∀゚)ァハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \


「今まで小川こそなかったが、今私は小川に居る!!そして小川には魚が居る物だ」


確かに彼女の足や股の間を魚がすぃーっと泳いでいる・・・・・


「私の隠された特技、魚の掴み取りを見せるときが来たようだな・・・・」


地味な特技である


「侮ったな貴様、さては魚の掴み取りをした事があるまい?」


金魚の水変えの時に金魚を素手で捕まえますが何か?


「馬鹿めが、飼いならされた金魚と自然を生き抜いてきた野生の魚を一緒にするな?
お前の買う金魚がそこらへんを歩くただのおっさんだとするならば私を取り囲む
この魚達は戦闘民族だ、ノスタルジックな仮面をつけて半裸で槍でつつきながら
追い回してくるぞ」


とんでもない連中に囲まれてますね


「奴等の強靭な尾やヒレは荒れ狂う川の流れを見事にかき分け」


※とても清らかで緩やかな小川です


「その漆黒の瞳に捉えられてはワーウルフの俊足もスローに捉え」


※一部を除き魚の眼はピンボケです


「獰猛な性格の奴等は群生する水中の新緑を食い荒らすのだ」


※藻


「プランクトンも食べるわ愚か者め」


※(#^ω^)


「それではそろそろ無能な貴様に私の美技を拝見させてやろうか」


ウルスラは両手を広げ、指先の爪に神経を集中させていく・・・・


「・・・・・・・スー・・・・・フー・・・・」


まるで自分を周囲の自然に溶かすように意識を無へと還していく・・・・・
ピタリと泊まった彼女の体は本当に石のように動かず、彼女という存在は
自然の一部へと変わっているのであった。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


正直魚採るのにここまでやる必要があるのかといわれれば謎である

スっと眼を見開いたウルスラは水面へと眼を落とす・・・・・獲物を見定めるためだ
ちょうど彼女が立つ位置から2mほど先に魚達が群れているのが見える


「・・・・・・・・・・」


ピタっと彼女の視線が一匹の魚に止まった・・・


「・・・・・・・・・・」


ウルスラはその魚に狙いを定めたのかと思いきや、再び眼を瞑ってしまった


「魚とはわずかな水の流れを察知して危険を感じる生き物、
いわば「動」を嫌う「静」の生き物だ、そんな相手に「動」たる生き物であるドラゴンが
如何にして魚を採るか」


色々方法はあると思う


「いくらドラゴンが「静」を目指したとして自分の起源には逆らえぬ
ならばその「動」が、魚の嫌わぬ「動」なればどうだ?」


ウルスラの体がスゥ〜っと前に進み始めた・・・・まるで動く歩道に乗ったようである


「魚が嫌わぬ「動」なるものが存在するならそれはすなわち「川の流れ」だ。故に
この魚を採る極意とは「自らの存在を川の流れという動」へと昇華させる事!」


文字通り流れるように動き、ウルスラは魚の真上にまで動いてきた
ウルスラが真上に居るというのに魚達は一匹も逃げ出さずに悠々と水面を泳いでいる


「そして、自らを川の流れに変えたままであれば」


ウルスラはゆっくりと川の中へ手を伸ばし魚を片手ですくい上げる・・・・・
魚はまったくの無抵抗でウルスラの手の内に収まっているではないか・・・・



「見たか!!これが魚の掴み取りの極意という物だ!!」









「・・・・・・・・・・・・・」


野菜を包丁で切る千代はその光景を横目で見ていた
端から見れば水の上をピクリとも動かずにスライド移動して魚を掴んだ様に見える


「・・・・・姐さんがどんどん奇行キャラになってっとるな?疲れとるんやろか・・・・」








「容易い!容易いぞ!!所詮この川のレベルはこの程度の物か!!」


ウルスラが甲高い笑い声を上げながら魚を次々と川辺へ打ち上げている。


「ウゥゥゥウルトォラソオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」


ザパァと美しい水が舞い、空中を水滴が飛びはねて。
ウルスラは高々と1m近いマグロのような大魚を両手で持ちながら天高く掲げている


「・・・・・・快なり」


完全な自己陶酔であった・・・・しみじみと自分の恐ろしさに震えているナルシスト


「ふふふふ・・・・今ならばあの大河の主すらも採れる気がしてならない」


と、その時だった・・・・奴が現れたのは。

川上の方からゆっくりと流れるようにこちらへ迫っている魚影
ウルスラは腕の中でビチビチともがき暴れるマグロのような魚を
その怪力で抱きしめながらその魚影を凝視していた


「・・・・・・・・」









「なんや、動かんようになった」


そんなウルスラの様子を眺めていた千代、いきなり動かなくなったウルスラを
ぼんやりと眺めていた


「おっとっと・・・・火加減が・・・・」

<アノマノカリスだああああああああああ!!!

「何で!?」


巨大な魚を放り投げてウルスラは川の中へダイブ
川辺でビチビチとはねる魚と、川の中で何かと格闘するウルスラ


「一体何が・・・・・」

<ええい大人しくしろ!この軟体類が!!

「アノマノカリスやないんかい」

<ちょ!き、貴様どこをさわっている!!しっぽの裏側を!

「(そこが弱いんか)」

<おのれこの狼藉者!!大人しくお縄にかかれ!!

「ほい、確保」


千代は川辺に打ち上げられていた巨大魚を優先に取り押さえる、どこから出したのか、
白い布で巨大魚の頭を巻きあげ目隠しをしてしまった

するとピタリと抵抗をやめた巨大魚。
魚は目を隠されると大人しくなるらしい


「む!千代!」

「手伝おか〜?」

「ふ・・・・妻の手を借りて夫の面目があるのか?!貴様はそこで安心して見ているがいい」

「姐さんと夫婦になったつもりあらへんのやけれど・・・・
(あれ?なんでうちいまキュンときてん?)」

「ふおおおおおおおおおお!!」」


ウルスラは勇ましい声を上げて、暴れる魚を渾身の力を込めて引き上げる。


「盗ったぞおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

「(漢字ちゃう)」


ウルスラが持ち上げたのは、泡を吹いて目を回しているスクール水着の幼女


「それ魚ちゃう!!」

「む?何をいっている、みて見ろ」


ぐいっとその幼女の尻を千代に見せる、水からあがったばかりで
艶やかな水滴と湿りを含んだ「尻」


「この見事な光沢、やわらかそうな肉はまさにこの川の主ではないか
うむ、みれば見るほど立派なお頭だ」


尻を見ながら感嘆の吐息を漏らし撫で回すウルスラさんは、もはや犯罪者にしか
見えません


「姐さん、それ逆、尻や」

「?」

「反対見てみ」


ウルスラがそれを魚と定義して、尾鰭がある方向をみる
長い黒髪を水に漬けながらプカプカ浮いている幼女の頭


「ふむ」


くぃっと、体を持ち直すと・・・・なるほど小さな女の子だ


「誰だああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

「ちょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!!」


幼女を川の中へ投げ飛ばすウルスラさん(←A+B)千代はあわてて川の中に入り、
虫の息の少女救出した


「投げなや!虫の息の女の子投げなや!?」

「うっかりだ、許せ」


とりあえず川辺に寝かせてみるが、あまり安心できる容態ではない、顔は真っ青に染まっており
口から泡を吹いている


「ご臨終だな」

「なったらなったで姐さんのせいやけどな?姐さん、毛布やらなんやら取ってきたって
体暖めんと」

「その必要はないと思うが?ほれ」


ウルスラは少女の塗れた髪の一部を人差し指と親指で摘み、ビロっと広げて見せた


「こん子・・・・魔物かいな」


まるで魚の鰓のような耳がウルスラの指によって広げられている


「サハギンだな、この水中の生活にて適した手足、耳のヒレ、そしてこのキワドイ服の
ように見える独特の鱗は間違いない、水の中に生息するサハギンに間違いあるまいて
おぼれていたわけではあるまい」

「ほな、なんでこんな青ざめた顔してんねんな」

「腹が減って グゥウウウウウウウウウウウウ・・・・


推測よりも答えが先に返ってきた


「・・・・・拍子抜けや、せやったら何?お腹すいて気絶してここまで流れてきたっちゅう事かいな」

「まあ・・・・ただお腹が空いてというわけではなさそうだがな」

「どういうこと?」

「ほれ、食え」


先ほどとらえた巨大魚を強引に口の中に詰め込もうとしているウルスラ


「やめえぃ!」

「冗談に決まっている」

「消えたらあかん蝋燭の前で団扇持ってはしゃぐような真似せんとき」

「時折難しい例え方をするな・・・・まあいい、サハギンといえば魚だ。手頃な物を採ってやるか」

「時折姐さんがわからんようになんの、うちだけかいな・・・・」










「なるほど・・・魚獲っていたらサハギンを獲ってしまったと」

「てっきり道徳的に危ないことをしたのかと思ったわ」


ヴィオレットとクラウディオが薪を持って帰ってきていた
最初は幼女誘拐事件の思惑が立ちこめたが、千代が賢明の説得で通報はされなかった
(誰に)


「そんなわけがあるものか、どうだクラウディオ?私は偉いか?」

「偉いですよ〜ウルスラさん」


まるで子供をあやすように頭を撫でるクラウディオ


「わ、私は子供ではないぞ!」


自分から賛美を強請っておきながら、しかし照れるウルスラ


「私が欲しかった賛美はこう・・・・「それで、容態はどうなんです?」


火に枯れ木をくべながら千代はにっこりと笑う


「お腹すいとるだけや、ほっといたら眼も覚めるやろ目が覚めたら飯食わせればええ、
そんだけや」

「なら、一安心です」


なんとも美味しそうな匂いが立ちこめ始める。

ヴィオレットは最初この野生的な香りが苦手だった、貴族である自分がこんな原始的な食事を口にするなどあってはならないと思っていたが、最近はまんざらでもない


「・・・・・・千代」

「ん?」

「何か手伝うことあるかしら」

「・・・・・クス、せやなぁ・・そっちに和え物あるさかいに皆の分ついでくれる?
ああ、こん子の分もな?」

「わかった」


ヴィオレットは言われたとおり配膳を手伝い始めた。
千代は柔らかそうな尻尾を左右に振りながらクラウディオに耳打ち


「なんや、随分丸こぉなったんな」

「ですね、旅を始めた頃は協調性皆無でしたから・・・・本当は良い子だったんですよ」

「うんうん・・・・あれ?」

「?」

「お兄さんが仕込んだんやないの?」

「? 何をです?」

「・・・・・・そーいえば、お兄さん・・・・・」


千代はクラウディオの眼をのぞき込む・・・・千代の黄金の眼の中に
まるでグラスの中の氷が動くような動きが見えた


「・・・・千代さん?」

「ん、なんでもない・・・・うちの勘違いや」

「ちょっと」


横を見てみると、ジト目のヴィオレットが睨みを利かせていた


「人に手伝わせておいて自分はイチャつくのかしら?」

「ああ、ごめんごめん、お兄さんがあんまりええ男やさかいな」

「ふん・・・・こんな男のどこがいいのかしら」

「・・・・・」


千代は火であぶっていた魚を大きな皿の上に乗せる


「(どーいうことやろ・・・・あれから結構ヴィオちゃんが血吸ってるはずやけど・・・・
お兄さんが変質してる様子もない・・・・なんや・・・えらいおかしな身体してはんなあ・・・・)」

「・・・・ん・・・・」

「ぉ」


横から小さく漏らすような声が聞こえて、サハギンの少女が身をよじる


「・・・・・・」


大きな目をうっすらと開けると、眩しい日差しが目にきたのか鬱陶しそうに顔をしかめた


「大丈夫か」

「・・・・・・?」


ウルスラが声をかけてみると、サハギンの少女は身を起こしぼんやりと見つめている

ウルスラが目の前で手のひらをフラフラと降ってみると、サハギンの少女は
その手にゆっくりと手を伸ばし


「・・・・・」


そっとその手首を持ち


「・・・・・」


ゆっくりと両足で立ちあがり


「・・・・」


ウルスラの腕を肩に担ぐように添え


「誰ですか・・・・・」

「ぬぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


投げた(→A+B)

思い切り投げられたウルスラは勢い良く川の方向へと飛んでいく
とりあえずCPUばりの最速受け身で川の反対側へと着地した


「まさか私の起き攻めを投げで抜けるとは・・・・」


ウルスラを投げ飛ばしたサハギンはキョロキョロと周囲を見渡す、その光景を唖然と
眺める三人を見据えた


「・・・・・・誰ですか」

「え、ええ・・・・・っと・・・・」

「何や知らんけどあんたは気絶したまま流れてきたんや、そこを、拾い上げたんがうちら」


簡潔に要点をまとめて説明すると、サハギンの少女は目をぱちくりとさせたあと、
しずしずと膝をつき、三つ指立てて、頭を下げた


「・・・・・・・平にご容赦を」


第一印象を裏切る良い子だった、ウルスラに向けて深々と
頭を下げている、ウルスラは翼をはためかせてサハギンの少女の前に舞い降りる


「よいよい、礼儀正しい子供は大好きだぞ私は」

「・・・・・・ありがとうございます」

「うむ、して名は何という?」

「はい、・・・・・私はサハギン・・・・名前をロティー・ハンドラ・・・・と申します・・・・・」




「そうか、ではロティーよ・・・・お前、誰から逃げてきた?」



ウルスラが重く問いただすような声で尋ねた。これはクラウディオが初めて彼女と
出会ったときにも感じたドラゴンという種が持つ威圧感、カリスマという奴か


「逃げてきたとは?どういうことですかウルスラさん」

「サハギンが川の、それも魚が豊富に生息しているのに空腹で気絶して流れてくるなど
馬鹿な話はあるまい?何かあったとして考えるのがしかるべきだ・・・・・

それに、お前の手と足・・・・それは枷をつけられた跡だろう?ん?」


彼女の手足を注視すれば、なるほど、両手に同じくらいの幅でくっきりと何かに擦れたような
跡が残っている


「よく分かったわね・・・・」

「何だ忘れたか?我々もつけられていただろうに」

「・・・・・・・」


ウルスラはロティーに視線を戻し、その琥珀のような目を覗き込む。
見た目こそ人間の女性だが、本能に訴えかけてくる、生物、種としての絶対的な本能が
彼女に畏怖を抱かせた


「我に話してみよ、話さねば始まらぬ」

「まあまあ姐さん」


千代が二人の間に割って入った、おそらく畏怖を覚えた彼女のために
割って入ったのであろう


「腹空いて気絶するモンに質問責めも酷やろ?話すのは飯くうたあ
 <グォオオオオオ!グ、グアアアアアアアアアア


まるで地獄の番犬が敵を威嚇するようなお腹の音がロティーの腹の底より響き渡った


「・・・・ほ、ほらな?」

「確かに・・・・話をしている最中、お前の腹の猛犬が吠えては迷惑だ」

「////・・・・・すみません」


顔を真っ赤にして照れるロティー・・・・なんとも可愛らしいが


「・・・・・・・ハァ・・・・・ハァ・・・・」


そんなロティーをみて興奮気味に息を荒くするヴィオレット、クラウディオは心の底で思う


「(警備騎士さん、こっちです)」











巨大な魚の丸焼きを囲みながら五人は昼食をとっていた
まずはロティーの腹がある程度落ち着くまで食事をとらせた後それぞれは
自己紹介をした

それからはヴィオレットがロティーを気に入ったのか彼女の横に座り


「ほーら、ロティーちゃん。この果物も美味しいわよ〜」


フォークで刺した果物(何なのかは不明)をロティーに食べさせようとするが、
ロティーは困惑したような顔で首を振る

先ほどからずっとこんな調子なのである


「・・・・・・自分で食べれます」

「遠慮しなくていいのよ、ほら、あーん」

「あ、あ〜〜ん・・・・」


餌付けをして顔を赤く染めているヴィオレット
確かに頬を張って食べるロティーは何ともいえずかわいいのだが


「なんやヴィオちゃんって子供好きやったんかいな」

「あれは何か別の好意を感じますが、ちょっと邪悪な感じの」

「ふ・・・・私も子供は大好きだぞ、ただし礼儀正しい奴に限る、あとムカつかない奴」

「それ、吠えへん犬が好き言うてるようなもんや、子供は我侭言うから可愛いねん」


ロティーは助けを求めるようにウルスラを見る、が彼女は面白がって肩を竦めて
惚けるばかりだ


「ヴィオレットさん」

「?何よ」

「ロティーも自分のペースがあります、それ位にしておきましょう」

「あ・・・・ご、ごめんねロティー」

「・・・・・いえ・・・・少し、良かったです」

「うふ、うふふふふふ・・・・」


そろそろ席替えをした方がいいのではないかと危惧したい。
ウルスラは綺麗に身を食べあげ、残る魚の骨を目の前の皿の上に置く


「さて、そろそろ腹も膨れてきた頃だろう、話をしてくれないか」

「はい・・・・」


皆も食事の手を止めて話を聞く姿勢をとった


「簡単に言えば、魔物狩りに捕まってしまいました」

「そ、そら偉い簡単やな」

「どうして捕まったんです?」

「・・・・・・・・川を泳いでいたら・・・・・網に掛かってしまいました魔物狩りの・・・・罠でした」


一部の隙もないよく分かる説明であった、その光景が目に浮かぶ


「捕まったけど・・・・なんとか逃げました」

「そこを私が救命したと、なるほど、なんかこう捻りがほしかったな」

「せ、せやな・・・・なんか10人中9人くらいは考えそうなオチや」

「・・・・・もうしわけない」

「いえいえ、逃げ切れたのならば何よりですよ」

「あ・・・はい・・・・」


クラウディオは川の上流を見上げる


「まだいるんでしょうか?その魔物狩りの方々は」

「・・・・村の皆が心配です」

「ふむ」


ウルスラは忌々しい目で川の上流を見上げると、ぺろりと右手の親指についた
魚の油を舐めあげる


「・・・・・・」

「行きます?魔物狩り狩りへ」


クラウディオは何でもない顔で言ってのける・・・・
千代もヴィオレットも心の奥底で「気に食わぬ」といった心境。顔にそう書いてあった

「しゃあけど・・・ロティー、連中の人数は?」

「10人ほど・・・・」

「そん位なら・・・・まあ幾らでもやりようがあるわな」

「何か考えがあるのか?千代」

「炊事洗濯掃除から夜伽まで、何でもござれの千代さんや」


着物を正して寝かせていた尻尾を一斉に立ち上げる
その表情は妖艶な美女の笑み、しかし目は獰猛な獣の目をしていた


「悪党の懲らしめ方の一つや二つ、知ってて当然やろ?」


三人も感じていたが表に見せたことのない、彼女の大妖怪の片鱗を一瞬垣間見た


「さて・・・ヴィオちゃんはどうする?」

「当然行くに決まってんでしょ!」


ヴィオレットは立ち上がり、両手の拳を握って空へと吠える


「こんなに可愛らしいロティーを(P―――――)しようなんて連中チン(P―――――)
してやるんだから!!」


クラウディオのあそこが(´・ω・)ひゅん


「それに・・・・まあ、個人的な理由もあるから」

「?個人的な理由ですか?」

「・・・・・」


昔何かあったのか、クラウディオには彼女の心中を計り知ることはできなかった


「・・・・いい、のですか・・・・?」

「ま、乗りかかった船や・・・・それに、王道やしな」

「そうだ、王道だ」

「王道よ」

「・・・・・・・・・・はぁ・・・・・ありがとうございます」


王道的な展開しかもはや思いつかない作者の不適際でございます












独断と偏見に満ちあふれた王道的展開を基準に川に沿いながら
五人は川の上流へと上っていく

ロティーには安全な所で待っているようにと言ったが


「・・・・・・一人だけ安全じゃ・・・・申し訳ない・・・・・私もいきます」


三つ指立ててお辞儀をされたのではとウルスラが同行を許可した


「しかし・・・・どれくらい先にいるんでしょう、ロティー大体の場所はわかりますか?」

「・・・・・・村から・・・・それなりに離れてました」

「子供が言うそれなり・・・・と大人のそれなりとはまた随分感覚が変わってくるものだ、
とにかく警戒しながら進もう」

「りょ〜かい・・・・せやけど、パっと見・・・・普通の森っぽいけどね」

「そうですね、長閑な雰囲気の森です・・・・だからこそ人間も入り易いんでしょうけれど」


周りをぐるりと見渡すが、森というには木々の間隔は開いていて見渡しがよい、
北には東から西に連なる山脈があるにも関わらず、冷えた風は下さず
穏やかな気候となっていた


「地形にそぐわないな、ロティーよ、何者か管理しているものがいるのか?」

「・・・・・・この森は私たち、サハギンや・・・・他の皆に管理されてます、
森が暖かいのは・・・・ババ様や、秘術に長けた者たちによる・・・・
結界によるものです」


ヴィオレットは周囲を見渡すと、なるほど微かにだが魔力の胎動を感じられる


「この界隈に魔物狩り・・・・ハンターの人間はよく来るの?」

「・・・いえ・・・・だけど・・・・ババ様が言うには・・・・・・悪い奴には・・・意識されないとか・・・・
言っていました」

「誤認錯誤の結界かしら・・・・なかなか高等技術の結界みたいじゃない」

「ふぅん・・・・それにひっかからんと、この辺で狩りをするってことは
それなりにできる連中かいな・・・・ちょっと気をつけた方がええかも」


千代は顎をなでていると何かを思い出した


「あ、そやそや・・・・ロティー?盗賊団って女おった?」

「?・・・・いえ・・・・私が見た限りでは・・・・居ませんでした」

「そう・・・」


千代の唇がゆがむ・・・・一体なにを考えているのか少々理解できなかったが
何やら悪巧みを思いついたような子供の顔をしていた


「捕まった場所はともかく、村の場所とかはわからないかしら」

「村からはだいぶ離れています・・・一日かけて・・・・歩くかと」

「むぅ、と言うことは今我等がいるのは端の端という事か」

「・・・・・・・そういう事です」


クラウディオはロティーには視線を移さず深く考えごとをしていた

さて、少々考えては見たがこのサハギンは落ち着きすぎではないか?
子供のような外見をしているが、話し方は丁寧で落ち着きがある

なによりも気になっていたのは・・・・ロティーの歩き方や動きの違和感だ

時折転けそうになるのは子供らしくかわいらしいとヴィオレットは言うのだが、
ロティーのそれは物につまづいているわけではない、突如バランスを崩したりして・・・・

まるで自分の体に慣れていないようにも見えた


「・・・・・」

「どないしたん?お兄さん・・・・黙り込んでもーて」

「へ?・・・・ええ、いや・・・・色々考えごとをしていたんです」

「なんや、結構余裕あるやない・・・・せやけど程々にしとき?考えすぎて煮詰まっても
ろくな結果なんてないんやさかい」

「・・・・ですね」

「・・・・・・」

「?」


ふと気がつけばロティーもクラウディオを見上げていた、金色の吸い込まれるような
大きな目でこちらの瞳をのぞき込んでいる


「・・・・・クラウディオさんは・・・・普通の人間・・・・なんですね・・・・
インキュバスじゃない・・・・」

「みたいですね・・・・まあ、そのうち魔物の仲間入りなんでしょうけど」

「・・・・・・・・・」


不思議そうな目でクラウディオを見るロティー、その変わらない表情からは思考が
読みとれない


「クラウディオさん達は・・・・どこかへ行かれるんですか?」

「アバルですよ、魔物と人間がありのままの姿で共生していると言われている
伝説の場所・・・・まあ、あるかはどうかはわかりませんが」

「酔狂な旅やろ?在るか無いかわからん所に行こう言うんやから」

「アバルが在るか否かが問題ではない、旅とはロマンがなければ駄目だろうが」

「実際、人間というのはそうやって地図を広げてきたんです、見果てぬ地を求めて
常に未体験の中を突き進んできた、彼らの夢が商人や旅人の安全な路を、
交易の流通路を作ってきた。
人が発展するためには必要なロマンだと思いますね」

「(人がハッテン・・・・)」

「今変なこと考えましたねヴィオレットさん」

「うぇ!?い、なにも考えてないわよ!!変な言いがかりつけないでくれる!?
これだから人間はダメなのよ!!」


慌てるヴィオレットを見てクスクスと笑うクラウディオに、ロティーはさらに質問を
投げかけた


「どうして・・・・そこに行こうと思われるのです?何か・・・目的があるんですか?」

「愛を求めて行くそうだ」


黒歴史


「愛ならここにあるのになあ?千代」

「ほんまやで〜ほんまやで〜♪」


クラウディオは精一杯耐えた


「・・・・・・・・そうですね、まあ・・・・目的といえるほど立派なことではないんですよ・・・・・
ただ興味本位というところです」

「そう・・・・」

「でもですね、最近確かめたいことができまして。向こうに着く事が出来たのならば
それを確かめるためようと思っています」

「なんだそれは、回りくどい言い方をせずに教えろ、伴侶である私ですら知らないぞ」

「うちも興味ある、確かめたいことって?」

「それもまあ、些細と言えば些細なんですけどね・・・・・ほら、魔物の皆さんは女性しか
いないため人間の男性を得て、交配し、子孫を残すしかないじゃないですか?」


四人は一斉にうなづく、なぜかヴィオレットも関心があるようで口を挟まず聞いていた


「自分で言うのもなんですが。そこに愛情がありますよね、千代さんやウルスラさんが
私に尽くしてくれるように」

「////」「なんや、そう真っ向から言われると照れるわ」

「貴方方のその感情を疑う訳じゃないんですけどね、ですが、魔物達の多くは
その特異な能力を用いて男性を虜にします」

「せやなあ・・・・お兄さんの言うとおり、うちらは魔物や、嫌悪される存在やさかいに
そう言った能力を用いて種族の一線を越えさせるんのとちゃうかな」

「でも・・・・それなら彼らはどうやってその一線を越えたんでしょう」

「?・・・・・ああ、アバルという国に住む連中がどうやって種族を越えた
愛情を育んだかって言うことかしら?」


クラウディオは頷く、いつも穏和な笑みを浮かべている彼の表情が引き締まる


「もしかしたら、そんな力を使わなくても・・・・僕らはもっと近い存在に
なれるんじゃないのかなって・・・・

人が魔物をおそれるのは宗教に原因があることがほとんどです、その教えから脱して
真実の姿があるのならば人間と魔物はもっと自然に交わることが出来るのではないか

もしアバルが噂に聞くとおりの場所なら、その場所に答えがあるのではないのかなと
・・・・そう、考えているんですよ」


「なんだ、存外につまらないことを考えているのだな」


ウルスラの一蹴がはいった、クラウディオは眉を八の時にして困ったような表情をした


「つまらないですか」

「つまらんつまらん、いいかクラウディオよ古今東西、生物とはその多くが
雄雌の交配によって子孫を残す、そこにある形は様々だ、強制的な交配をする生物も
いれば、やるだけやれば雄雌の関係を止める生物もいるのだ」

「はぁ・・・・でも、それは知性が無く、そういったものは本能的なことかと?」

「そうだ、感情という物が希薄な生物ほどより効率的に環境に合わせながら子孫を
残そうとする。だがな、我らは感情の生き物だろうが。感情を抱くのに魔物の魔力が
必要なのか?違うだろう?

人間は魔物を恐れる、しかし存外に害がないと知れば狩りもする
魔物は人間を求める、しかしそれが驚異と知れば恐れもする

同種族内の生物と常に同じ関係が築くことは不可能、おまえの言う人間と魔物の関係に対する結論とは常に無形であり千差万別。

結局のところ個々が出会った相手とどういう関係であるのかたったそれだけのところだ」


ウルスラが珍しく饒舌に説いた、
クラウディオの生物のあり方という観点からの、魔物と人間の関係に対する
アプローチを、ウルスラはそもそも生物とは全個体が同一ではないと言う
結論で反撃した


「でも、確かに魔物は何らかの力で相手を手に入れようとするわ秘術であったり、
魔力であったり、あるいは自分の肉体であったり。

魔物に襲われた人間は食べられたりした?違うわ、一部の例外を除いてそれらは
恒久的な夫婦という形を取る、確かに魔物と人間の関係は常に一定ではないけれど・・・・

下僕、あんたが言う関係をコミュニティー形成の方向性と捉えればどうかしら?
ウルスラの言うのは確かに真実よ、私からすればあんたたちは全く別の問題を
戦わせているように聞こえるわよ」

「ふむ・・・・」

「そうですね・・・・ふむ、千代さんはどう思われます?」


千代は耳をピコんと立てて自分を指さした


「うち?・・・・・せやなあ、うちは難しい話しはわからんわ」

「獣頭だから」

「しゃあけど・・・・あれや、うちは魔物や人間や言うたりはせんわ

うちは好いた男の飯作って、服を縫って洗って、仕事にでたら帰ってくるまで
家を守って・・・・夜は思いっきり愛してもらって・・・・うちはそれで十分や・・・・
うちはそれで十分幸せ。

お兄さんも姐さんもヴィオちゃんもロティーも・・・・・皆幸せになりたいやろ?

うちらが感情の生き物やって言うんやったら、うちらは皆、形こそ違うけど
それぞれ考える幸せを求めてる。

どんな関係でも、どんな状況であってもな、男と女っちゅうんはその幸せの形を求めて
努力したり問いかけていくんちゃうんかな?」


目的と欲求・・・・幸せを常に欲求し到達しようとする感情の生き物の願望に、
人間と魔物の到達点を見いだした千代の考え方、一つの答えでもあり、
再び問いかける基点でもある


「・・・・皆さんは・・・・とても難しいことを考えて、旅をされているんですね・・・・・・」


感心したようにロティーが言ったが、四人は顔を見合わして呆然としていたが、
すぐに同時に吹き出してしまった


「?」


目の前で笑う四人に頭に?を浮かべるロティー


「ククククク!!何を言っているんだろうな私たちは」

「柄やない!柄やないわ!!ウフフフフ!!」


思い切り笑うウルスラと千代であった、その二人をクラウディオはクスクスと笑う・・・・・
ヴィオレットも悪い感じではないようだ


「人間と魔物ね・・・・そんなの考えるの、まるであいつみたい」

「あいつ?」

「・・・・友達よ、酔狂な奴だけれど・・・・ちょっとだけあいつの気持ちわかった気がするわ・・・・・」

「・・・・・」

「何よ」

「いえ、友達・・・・いたんですね」


ヴィオレット・アームストロングパンチが炸裂した








 〜夜〜 


ヴィオレットが結界を張った後、夕食を済ませ・・・・一人を見張り番に皆就寝していた
クラウディオが脱走した時期が冬、当然今も冬の季節なのだが
温暖な気候に変える秘術によってずいぶん快適な野宿であった


「・・・・・・」


クラウディオは焚き火に眼をやりながら、静かに背後で流れる川の音を聞いていた
どうにもこうして静かに時を過ごすと言うのは苦手ではなくなっているが好きではない

孤独という物に慣れてはいるが、好きではない・・・・


「・・・・人肌が恋しそう顔をしているな」


声がしたほうを見れば、ウルスラが眼を開けてこちらを見て微笑んでいた
2時間前に見張りを代わってやったのだがまだ寝ていなかった
いや、寝れなかったのか


「いや、魔物肌、か?」

「・・・・・そんな顔をしてますか?」

「ああ」


冗談なのかそうではないのか・・・・それとも最初の一言めはウルスラ自身を現す言葉か


「さては、昼間のことでも考えていたか?」

「少し」

「そんな事を考えたとしても仕方あるまいよ・・・・」

「・・・・・そうですか?なら、考えないようにします」


そういうクラウディオにウルスラは訝る、嘘をついているとでも思ったのか
のそりと起き上がってクラウディオの隣にまでやってくると、どっかりと居座る


「何を恐れている」

「・・・・・・恐れているのかどうかすらも解りません・・・・ただ、このままでいいのか、と」

「・・・・・・」


焚き火から顔を逸らし、森の木々の隙間から見える一面の星空を見上げて空気を吸い込み
ふぅっと吐き出す


「いずれ・・・・私も魔物になるんでしょうね」

「・・・・・ま、人間の見解ではそうだろうな・・・・気休めかもしれないが良い事を
教えてやる。インキュバスは魔物ではない、あくまで魔物よりの肉体を持った
人間というだけだ」

「しかしその価値観や性質は大きく違う・・・彼らのように・・・いずれ何も考えず
ただ交わりを至上として生きる者に成ってしまうというのは、流石に抵抗あります」

「状況に合わせた順応だ」

「それで・・・・納得するしかないんでしょうか・・・・」

「・・・・・・」

「交わる意外にも・・・・楽しいことは沢山あるじゃないですか」

「然り・・・・」


意外だ、ぽんと呟いた愚痴のような言葉にウルスラも賛成した


「何も、変化を恐れる者は人間だけではないよ、クラウディオ」

「・・・・・・・・・」

「遥か昔、人間の血肉を喰らう脅威の存在であった我等魔物は魔王の魔力によって
人間のメスのような体を持つようになった・・・・それは魔王が人間を愛したからだが。
そんなもの、他者の理想の押し付けでしかない」


クラウディオも聞いたことは一応ある・・・・魔物たちが今の姿になったのは
サキュバス種の魔物が旧魔王と入れ替わったことが原因だと言う

詳しくは知らないが・・・・そこに魔王の理想が大きく影響しているとは知らなかった


「魔物の魔力が強くなれば強くなるほど・・・・私達は理性をゆがめて淫らに落ちる」

「ウルスラさんは・・・・そうなりたくないんですね」

「私も・・・・すでに本能的に人間の雄を求めてはいるが・・・・それだけではない
今日のように魚を採ることも楽しければ、議論を戦わせることも楽しい
世界とは楽しさに満ち溢れていると言うに・・・・・そこに一つの快楽しか見出せんなど
私はツマランと思うよ」

「・・・・・・私もです」

「堕ちたくなどない・・・・今のままでも十分に楽しいんだ・・・・邪魔してくれるなよ、魔王」


そういうウルスラの顔は笑っている・・・・


「初めて交わったときは、ずいぶん旺盛な方だと思っていましたが」

「私は女だ、機会もあった、興が乗れば楽しむのが一番ということさ」


なるほど、と理解しておく・・・・ふと、一つ気づいた事がある


「・・・・・・・ウルスラさんは・・・・どうして私のことを好いてくれるんです?」

「アッハハハハ・・・・そうだな・・・・理由などそれほど大した物ではないさ
ただ気に入った・・・としか言いようがあるまい」

「そうなんですか?常々不思議に思っていたんです・・・・誇り高いドラゴンがどうして
私のような男に愛情を向けてくれるのか・・・・と。

貴方がオークションにかけられているとき、貴方の振る舞いを見ていました・・・・
貴方の器の大きさも、気高さも・・・・片鱗ながらその巨大さに感服もしたのです

そんな貴方がどうして私を選んでくれたのですか?」


ウルスラは小さく笑い声を上げながら立ち上がる・・・・とても上機嫌なようだ


「ウッフフフフ・・・・今日のお前は本当に下らなく愛しい男だ・・・・・」

「そうですか?私としてはぜひとも聞いておきたいのですが」

「勘弁してくれ・・・・私だって困る」

「そんなに恥ずかしいんですか?」

「いや・・・・・私も解らんから困るんだ」

「え?」

「・・・・・・お前を恋焦がれてしまう理由がわからん・・・・ただ、そうだな・・・・・
お前には不思議なところが多い、それは思考あったり行動であったりな・・・・・
お前と居れば退屈はしない・・・・そう思っただけさ、これからも退屈させてくれるなよ」

「・・・・善処します」


ウルスラは踵を返して歩き出す・・・・何処へ行こうというのか


「水浴びをしてくる・・・・どうにも、眠れん」

「・・・・・お気をつけて」


ウルスラが茂みの奥へと姿を消していく・・・・・再び一人、静寂の中に取り残された
彼は静かに目を瞑る


「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・ぅ・・・・・うー?」


と、今度は別の者が眼を覚ましてしまったようだ、千代が眼をこすりながら周囲を見渡す
布団の中でころんと身を転がしてうつ伏せになると、顔を上げてクラウディオを見た


「ああ、すみません。起こしてしまいましたか?」

「ん〜〜・・・・・・ええよ〜・・・・ええよ〜・・・・・そろそろ交代の時間やし〜・・・・・」

「眠たいのなら・・・・今日は私がやっておきましょう、昼間は色々と任せきりでしたから」

「あはは・・・・お兄さんは優しいなあ・・・・・うちはそういうところが好っきゃで〜」


まあ、彼女に関しては・・・・・自分のどういうところが好き?と聞くだけ野暮なのだろうか
寝ぼけた千代は布団から出てくると周囲を見渡す


「ありゃ?姐さんは?」

「水浴びをするといって川の方へ」

「ふーん・・・・うちもしてくるわ、眼も覚めるやろ〜」

「・・・・・本当にいいんですよ?見張り番」

「旦那様?女房にも立つ瀬ってもんがあるんやで?」

「・・・・はぁ」


妙な凄みで千代は六本の尻尾を左右に揺らしながら、ウルスラが消えた茂みと同じほうへと
進んでいくのだった・・・・・


「・・・・・・・おや?なんだか嫌な予感が」







「む」

「お邪魔します〜〜」


千代は丹前の長い袖で口元を隠しながら、茂みの中よりひょっこりと顔を出した
ウルスラは普段つけている外装を外した姿で河の真ん中に立っていた

月明かりと水滴に照らされたその体、両手両足はドラゴンの面影を残した鋭い
モノになっているが、それ以外は本当に美しい女の体をしている

適度に引き締まった肉体は健康的で、多少筋肉がついてこそ居るものの
女性特有の丸みはまるで損なわれていない


「お前か・・・・どうした?」

「うちも、水浴びしよう思てね・・・・構へん?」

「ああ」

「ほな失礼して」


千代も帯を解く・・・・


「お前の国は下着を着けないのか?」

「つけへんな」

「(国というのは冗談だったのだが・・・・国全体がノーパンノーブラ主義国家か)」

「人間にとっちゃ・・・・老化したとき垂れるから不憫やろうけど、
うち等はそんなん関係ないし特にやろうなあ」


そうこう言っている内に千代は一糸纏わぬ姿になる。さらりとした金の髪がとても
月夜に映え妖美な肢体は、男の欲望、願望を詰め込んだように見事なスタイルの良さ

筋肉がないというにもかかわらず、しっかりと張りもあれば柔らかそうでもある
傾国の美女といっても差し支えない体である

ゆっくりと河まで歩いてくると、ちょんと足の親指で河に触れる


「うっひ、冷た」


そういいながらもその表情は楽しそうで、水の中にするりと入れば
立てる音も静かにウルスラと同じように川の中心まで行く


「よーこんな冷たいのに平気な顔して入ってはるわ」

「お前こそだ・・・・・ふむ、なるほど・・・・服の下はそんなに凶悪な体を隠していたか
物を隠すのが上手い奴だ」

「そら、狐やさかいな」


お互いは笑い合い、しばし沐浴に没頭する・・・・・水音がまるで跳ねるように響いている
のは彼女達の美しさに水も酔いしれたか


「お兄さんの体、どう思う?」


と、口を開いたのは千代だった


「良い体をしているな」

「いや、そういう話やのぉて」

「・・・・・・4年間磔にされていたわりにな」

「!」


ウルスラはふふんと笑って髪をかきあげる、オールバックのような髪形になった
ウルスラは水面に映る自分の姿をじっと見た、その表所にふざけている要素はない


「おかしな体をしている・・・・身体能力が異常なのもそうだが、あいつには時折
常人にはない特別な感覚を有し、使用している所を何度か見た事がある」

「なんや、気づいとったんや」

「当たり前だ・・・・・」

「それと、ヴィオちゃんがいくら血ぃ吸ってもへーきな顔しとる・・・・・」

「まあ、私の夫となる男ならばそれくらいの異常があるほうが良い・・・・
どうなるかは知らぬが、まあ・・・・面白いほうへ進んでいくことは間違いあるまい」

「それで、お兄さんが死んでも?」

「・・・・・・・・」


千代もまた、水面に映る自分の姿を見ているのであった


「うちは嫌や・・・・もうこれ以上・・・・自分が好いた・・・・惚れた男を失いとうない・・・・
せやさかいに、お兄さんにはなんとしてでもインキュバスになって欲しいし
・・・・・もっと、うちのことを愛して欲しい」

「・・・・・・そちらの国の言葉に「ショウジャヒッスイ」という言葉があるらしいな?」

「!」

「・・・・・・私とてあいつと共にいたい、女だからな・・・・破滅を願うわけあるまい。
さりとて、限りがあるからこそ美しく価値があるものだ・・・・私はそれを大切にしたい」

「・・・・・もっともっとって思ってまうから、うちはあかんにゃろかなあ?」

「はは・・・・・良いのではないか?私も同じようなものだ・・・・強欲さでは負けんつもりだ」

「張り合うことやろか?」

「王者とは強欲であってしかるべきだ・・・・・欲しいと思ったものはなるべく手に入れる
主義だ」


千代はどこから取り出したかは知らないが、白い布に水を含ませると丁寧に体を拭いていく
冷たさからか、乳首がピンと張り詰める・・・・・

ブルルと体に震えが走るのがわかった


「なんだ・・・・・寒いのか?」

「そら寒いわ・・・姐さん平気なん?」

「元々雪山近くで生まれ育ったのだ、この程度、何と言うこともない」

「頑丈な人や」

「ドラゴンだからな」

「ぅ〜〜〜〜・・・・・サムサム・・・・・」


体を洗う千代をウルスラはふむっと顎に手を当てて見つめている・・・・
千代はというと、さっさと水浴びを済まそうと体の各所を拭くことに専念していた

と、おもむろにウルスラが歩き出し、千代の近くまで寄ってくる


「?・・・・どないしたん?姐さん」

「暖めてやろうかと」

「は?」


というとウルスラはおもむろに千代の体へと手を伸ばし、自分の方へと引き寄せると
驚いている千代の唇を奪った。


「んん!?」

「・・・・・・ん・・・・・・・・・・」


ぴったりとその肉体を重ね合わせる、二人の大きな胸が押し合って卑猥な形へ
歪んでいた。ウルスラは千代の体を味わうように身を摺り、転ばない程度に足を
絡ませる


「んん・・・・は・・・・・・・・何・・・・・暖めるって・・・・・こゆこと?」

「・・・・・ふふふふ・・・・いやいや、そのように至極の宝を見せ付けられては手に入れたい
と思うのが道理だろう・・・・・・」

「うち、今はお兄さんのもんやけどもやね・・・・ん・・・・」


と言いつつも今度唇を塞いでいるのは千代のほうだ、彼女もウルスラを求めるように
体を絡ませてくる・・・・・


「んん・・・・はぁ・・・・舌だせ・・・・・」

「こぉ・・・?」


テラテラと光る舌を真っ直ぐ伸ばすように出すと、ウルスラはその舌を潤った唇で
キスをして、ゆっくりとその唇の間に滑らせていく


「んぉ・・・・んんん・・・・ふぅ・・・・・」


きゅっ、と千代の手に力が入り、ウルスラを抱きしめる力が強くなった
もっと・・・・とせがんでいる様にも見えた

ウルスラはそれに答えるように自らの舌を彼女の舌に絡ませて、お互いを舐めあう


「ふぅ・・・・ちゅ・・・・あん・・・・ヂュルルルル・・・・ん・・・・くふ・・・・んんん!!」

「ふふ・・・チュゥ・・・・・ツヅ!・・・・・は・・・・ぁあ・・・・んん・・・ンッ・・・・」


足元で流れる清らかな川の音とは別に、二人の間ではねっとりとした卑猥な水音が響く。
その光景は恐ろしく魔的だ・・・・二人の美女がお互いの四肢を絡ませながらの接吻・・・・


「っは・・・・フフ・・・・フフフ・・・・やはり、だ」

「何・・・・?」

「いや・・・・やはりお前は私の妻になる女に相応しいと思ってな」

「姐さん女やろうに、それにお兄さんは?」

「無論、奴も私の至上の宝・・・・だがな千代よ・・・・私はどうにも強欲なのだよ
これが在るからあれは要らない、などという事は言わん・・・・

欲しいと思ったものは手に入れる・・・・私はそういうものだと先ほど言っただろう?」


千代は諦めがついたのか、微笑を浮かべてウルスラの体を抱き寄せる


「ほな、お兄さんと一緒で・・・・うちをちゃんと愛してくれます?」

「下らぬこと聞くな・・・・妻を愛さぬ女がどこに居る」

「意味不明やねんけど・・・・大事にしてくれるんなら、うん、三人でってのも
悪くないんかもしれんね」


二人は再び唇を重ねる・・・・ウルスラはそのゴツゴツとした手で千代のお尻を掴んだ


「ん・・・んんん!!」

「ぉお・・・・なんだ?これは・・・まるで乳房のように柔らかいな、実に揉みがいがある」

「っん・・・・っく・・・・・っは、姐さんも・・・・ええ体しとるよ?・・・・引き締まって・・・・
しゃあけど・・・・女らしさは全然のぅなってへんし・・・・」

「ふふふ・・・・・・・・さあ、その体を悦ばせて見ろ」

「・・・・・ん、こっち来て・・・・」


川辺、千代の丹前が脱ぎ捨ててある場所にまで移動するとウルスラをゆっくりと寝かせる


「ほな・・・・失礼します」


千代はウルスラの股に顔を沈めた・・・・わずかに毛が生えたウルスラの秘部は
テラテラと濡れている・・・・それが川の水でないことはすでに明らかだ

千代の指がウルスラの縦筋をツッと撫でる


「あは・・・・やらしい汁・・・一杯出とんで?」

「・・・・当たり前のことを言うな、っ・・・・・く・・・・」

「(可愛ええなあもう・・・・)」


千代はくにくにとウルスラの恥丘を指で広げると彼女のヴァギナを眺める


「あは・・・・流石にまだ新品みたいやねえ・・・・ちゅ・・・・ルルルルル・・・・ん」

「ああ・・・・ッツア!・・・・・うああ・・・・・っは・・・・」


舌を這わせながらウルスラの反応を楽しむ千代・・・・彼女が喜ぶたびに自分のそこも
濡れていくのがわかった、千代も右手で自分の秘所を弄くり始める

舌が当たる面積を大きくして、長い舌で膣の入り口から中へゆっくり入っていくように
嘗め回していく・・・・・


「んはああああ!!かは・・・・ひぁ、ぅ・・・・ああああああああああ!!きぁ・・・・」

「んふ・・・・ヂュルルルル・・・・んんん・・・・ジュル・・・・ハァァァァ〜〜〜・・・・」


肉襞を味わうように舌を丁寧に動かしていく・・・膣の中を直接舐められて
ウルスラも千代が与える快楽の波に身を任せる


「くああああぁぁ・・・・・あ、くぅ・・・・・ぉおおおおおおおおお!!!」

「姐さんアカンよ・・・・そない可愛い声出されたら・・・・うちもぉ・・・・あ・・・・ああああんっ♪」


千代はこねくり回すような指の動きを変えて、自分の膣に人差し指、中指、薬指を
ねじ込んでかき回し始める。ウルスラのヴァギナを舐める音と千代の股間からなる
水音が卑猥なハーモニーを奏でて周囲に響き渡らせる


「ええ?!気持ちええ!?」

「ああ!んは あああああああ!! かあ、あぁああ!!あん!!良いぞ!!
良いぞ千代!!もっと・・・・ぉおおおン!!」

「ひぃあッ!!ああああうぅうあ!!イ、イク、うちもう・・・・・ぅぅぅうううん! んぐ!?」


千代の頭を無理やり押さえ込み、自分の膣へと無理やり押し当てるウルスラ
絶頂に上り詰めようとするウルスラは竜の本性ともいえる貪欲さで快楽を求めた


「んぶふッ!!ムゥウゥンンブ!!ヂュルルルルルルル!!!ぶじゅ!!グブッ!!
ぷは・・・・はぶ!!ンンンンンンンンンンン!!ぐぅぶむぅうううううううううううううう!!」


鼻でふぅふぅと荒い息を繰り返し、まるで溺れるような息継ぎをしながらも
ウルスラの膣の中に入れた舌を暴れさせる。ウルスラが悦んでいる味を味わいながら
自らも指を激しく動かして絶頂へと上り詰めていく。


「かひ!!イ、イク!!  ああぐ!!」

「んぶ!!はっぁ!!」


一気に上り詰めていく二人、二人の体が同時に弓形にしなる


「ハァ!ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「ムゥゥウウウウウウウ、プァ・・・・・・・クハアアアアアアアアアアアアン!!!」


絶頂の瞬間に四肢が動き、激しく水しぶきを上げた・・・・・
ザパンと大きく水が跳ねて、二人に雨のように降りかかる


「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・は・・・・・」

「ん・・・・・は・・・・ぁん・・・・なんや・・・・女とすんのも・・・・・また、ええなあ」

「ふ・・・フフフフフフフ・・・・良かったぞ千代・・・・お前の私への愛が伝わってきた・・・・」

「んふふ・・・・姐さ〜〜〜ん♪」


千代はウルスラに抱きつくように倒れこみ、甘えるようにウルスラの唇を吸う・・・・
ウルスラも千代を受け止めるように抱きしめてそれに答えた

二人はお互いの体を求め合うように密着させ絡ませる・・・・
その光景、ただ淫靡という言葉に尽きるであろう。


「んんん・・・・んは・・・・あん・・・・・ンンンンンンン・・・・・ンンムゥ・・・・ン」

「ンンンンン、ンォ・・・・チュ、チュ・・・・んはぁああン♪・・・・クフ、フフフフ!!」

「んぁ・・・・・ンフフフフ・・・・・」

「さて・・・・と、千代よ・・・・お前の奉仕、格別であったが・・・・私はまだ満足していない」

「奇遇・・・・うちも・・・・自慰みたいなもんやったしね・・・・ほな、いこか?」

「ああ・・・・」


二人はゆっくりと起き上がる・・・・魅力的であるはずの体が黒い影を纏い
二人の眼が金色と青色にひかっている・・・・


「「愛しい愛しい夫のところへ・・・・・・・」」


クラウディオ逃げてー













「・っ・・・・ぅ・・・・・それで・・・・物足りずに・・・・私のところに来た・・・・と」


逃げ切れなかった夫

抵抗むなしく夫は二人の妻に捕まっていた。いきり立った息子を千代とウルスラが両サイド
からねっとりと舐め上げてくる・・・・ぬるぬるとした熱い舌の感触がたまらない


「せーや・・・・・・・・んはぁああ・・・・相変わらず凶悪なモンや・・・・見てるだけで濡れて来るわ」

「すでに濡れ濡れではあるがな・・・・・ヂュ・・・・ンンンン・・・・フフフフ・・・・しかし私達だけ
満足するわけにもいくまい?お互いに気持ちよくなってこその夫婦の営みだ・・・・」

「せやさかいに・・・・・こうして・・・・ん・・・・ご奉仕いたしとるわけ・・・・・
はぁ・・・・スンスン・・・・・くぅふ・・・・流石に・・・・結構な匂いしとるわ・・・・」

「一日歩いて蒸れているからなあ・・・・私達で綺麗にしてやらねば・・・・んんん・・・・くふ」


好き放題に言っている二人はクラウディオの剛直を間に挟みながらキスをする。
両側から舌が這い回り、生き物のように踊る・・・・時折めぐり合っては絡み合い、
再び肉棒を這いずり回る・・・・・


「ロ、ロティーや・・・・ヴィオレットさんも・・・・居るんですよ・・・・」

「大丈夫大丈夫・・・・」

「さ、流石にロティーに見つかると・・・・・っ・・・・ふ・・・・ぅ・・・・・」

「だから大丈夫やって・・・・・ぐっすり眠れるクスリ・・・・・混ぜといたしなあ」


流石である


「さっすが我妻・・・・こうなることを予想していたのか?」

「んぁ・・・・ん〜〜〜〜・・・・ッチュ・・・・せやねえ・・・・お兄さんとシようかとおもったんやけど
姐さんが混じるんは予想外や、薬の効かんかったんか」

「フフフフ・・・・アミストの葉だろう?・・・・んんぁ・・・・はぁああ・・・・・あれは・・・・ん、んぶ・・・
あれは・・・・ドラゴンにとってはただの香辛料さ・・・・」


二人は会話をしながらも舌の動かし方をより激しく、卑猥な音を響かせるように動かす


「くぅ・・・・あ・・・・二人・・・・とも」

「やぁん・・・・可愛え声で鳴いて・・・・・きゅんきゅん来るわ、その顔も」

「ふふふふふ・・・・もっと喜ばせてやりたくなるではないか・・・・おい千代よ、
クラウディオは胸でしてやると悦ぶぞ・・・・」

「胸で・・・・?どない?どないすん?」


ウルスラは笑いながら自分の胸を持ち上げると、その大きく張りのある胸で
クラウディオの魔羅を挟み込む、千代はまるで面白い物を見る子供のような笑顔で
ウルスラのまねをしてその大きく柔らかい胸を持ち上げて魔羅に押し付ける

四つの大きな乳房が左右から挟みこんでくる感触は筆舌に尽くしがたい


「あはっ♪ビクンビクンって・・・・胸で解るくらい震えとる♪」

「そして、だ・・・・こうしてな?」


ウルスラの口の中でじゅくりと水音が立ち、集めた唾を舌の上に乗せてねっとりと
魔羅の上に落としていく、落とし終わると千代に目配せをする


「〜♪」


彼女もまた同じように唾液を集めてクラウディオの息子にかける・・・・
ねっとりと熱い液体が魔羅と乳房の隙間に浸透していく

そしてウルスラと千代は打ち合わせたようにお互いの胸をもってぎゅっと押し込んでくる
その乳圧たるやまるで処女の膣の中のような圧迫感

潤った胸がぐちゅぐちゅと音を立てて上下に動き始めた


「やぁ・・・・ん、これぇ・・・・ごっつぅエロぃわ・・・・・んんん!!」

「ふふふふふ、どうだ・・・・?クラウディオ・・・・ん、くぅふふふふ・・・・
これほどの物に挟まれて、男冥利に尽きるというものだろう?」

「っつぁ!・・・・っは・・・・ぁあ!」


上下に擦られるピンと勃起した乳首が竿を絶妙に刺激する・・・・
しかし、二人の胸に挟まれながらもまだ亀頭が頭を出しているクラウディオの息子
その大きさと血管が走った雄雄しさは徐々に逞しさを増していく


「ぉお・・・・凄いぞクラウディオ・・・・いや、流石というべきか。んんん!!
こんなものを目の前にして挑発する余裕がまだあるか」


そういいながらウルスラはその真っ赤に充血した亀頭にキスをすると、
カリに舌を這わせる


「別に・・・・挑発してるわけじゃ・・・・」

「お兄さんがそん気やのぉても・・・・こんなん目の前で見せられたら・・・・なぁ
はむ・・・・ジュル・・・・はぷ・・・んん、 あふぶ・・・・ヂュ・・・・」


両手で左右の胸を交互に上下させて動かす、二人とも息が合っていないので
バラバラに動いているがそれこそが絶妙な快楽を生み出しているのだ


「はぁ・・・あぁあん・・・姐さぁん・・・・・むぅん、チュ・・・チュル・・・・ズ、んんん・・・アンッ♪」

「はぁぁぁぁぁ・・・・千代・・・・チュ・・・ンフフフフ、ああ・・・ヂュルルルルルルルルッ!!」


二人とも舌の動きさえ違う

千代はねっとりと舐め回して来るのに対して、ウルスラは激しく攻め立てるように舐める
二人の舌はカリの周りや亀頭を這い回り、絶え間ない


「くぅハァッ!!・・・・二人とも・・・も・・・・」

「ぷはっ!出そう?ええよ・・・・一杯・・・一杯出してえな!」

「私達が受け止めて・・・・んふぅ!やるからな・・・!!」


二人は亀頭を挟み込んで口付けを交わす・・・・二人のやわらかい口内に包まれた
亀頭からは際限なくカウパーがあふれ出てくる

クラウディオの息子を巻き込みながらの濃厚なデュープキスでスパートをかけた
二人の胸を動かす動きも速くなり、卑猥な水音は周囲に構うことなく鳴り響く

すでに血管が浮き出てビクンビクンと痙攣する彼の剛直は爆発を目前に控えた


「っか・・・・」


果てる瞬間が来ることを予想していたのか、二人は唇を合わせると亀頭を思い切り吸い上げた!



「「ジュルルルルルルルルルルルルルルルルルルル♪ジュルルウウウウウウウウ!!」」


「ぅああ・・・・・!!!!!!!」



ドクンと大きく怒張が弾け、ついに二人の間に濃厚な精液をぶちまける。


「ひゃあああああああああああん♪」「ふぁああああ!!んぷ!!あっはああ♪」


二人の口の間から出た精液は雨のように二人に降り注ぐ、二人はうっとりとした表情で
その雨を顔面で受け止めた・・・・いや、降り注いだそれは顔だけでは受けきれずに
胸や髪にもおちてくる


「あは♪流石やでお兄さん♪」

「くふ・・・クフフフフフフフフフフフ!!!はぁ・・・相変わらずの量だな・・・・あん
こら、千代ぉ」

「姐さんドロドロしとって・・・・ぅうん♪はぁあ・・・・♪」


自分の腰の上で二人はお互いの体についた精液を舐めあっている・・・
むわりとむせ返りそうな臭いに酔いしれているのか、二人は蕩け切った顔でお互いを
一心不乱に舐めあっている


「ん・・・・・・ゴク・・・・・ここにも・・・・・ヂュル・・・ヂュルルゥゥウ!!」

「あぁあん♪くすぐったいて・・・・御返しや」


やはりお構い無しに音を立てながらびちゃびちゃと精液を舐める、いや、食べる二人
そんな淫靡な光景を目の前にしていては・・・・・・起つというのも道理だ


「んんんん〜♪・・・・・ぁふぅ・・・・流石やねえ」

「ふふふふふふふふ!!・・・・・千代、仰向けになって股を広げろ」

「ん♪・・・・・・・・・・こう?」


ウルスラに言われたとおり千代が仰向けになって股を広げると
そこにウルスラが覆いかぶさってくるとやはり股を開く

二人は挑発するように肩で息をしているクラウディオに熱い欲望の視線を向けてくる

美女二人が自分の大切なところを自分のためだけに広げてねだって来る
罰が当たってもおかしくない・・・・・一度出した欲望がすぐさま練り上げられた

クラウディオはゆっくりと起き上がり二人の元まで歩いてきた


「ふふふふ・・・・」「んあ・・・・・・早くぅん」


だが、二人はそろそろ気づくべきだった




『セックスはリバが大切なのよ・・・・』




いつぞやのサキュバスの言葉が頭の中に響く。さて、ここからは主人公タイムだ
ゆらりと動いたクラウディオはいつもと変わらない笑顔で二人の股の間に座る


「全く・・・あなた方は少々身勝手すぎますよ・・・・」

「?・・・・ひん!」


ギュムっとウルスラのお尻を両手で鷲掴みにすると、そのビキビキに硬直した息子を
彼女の秘部にあてがった・・・・そして


「んんんんぁぁぁあああああああああああああっ♪キタァ・・・・キタァアアア・・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜クゥウウウウウウ!!アッハア♪」

「あぁあん・・・姐さんが先ってぇ、いけず・・・・」

「ご安心を・・・ちゃんと平等に気持ちよくして差し上げますから」


ゆっくりと「の」の字を描くように腰を動かしていく・・・・グチャグチャに蕩け切った
彼女の膣内はクラウディオの一物によってねちっこくかき回されていく


「ぅうううん あぁ・・・・っはぁああっ♪今日はぁあ! ずいぶん・・・んあああっ! くうぅああ
ねち・・・こいんだなあ・・・・・ああん!! 子宮がぁ 押されるぅん♪」

「姐さんの顔とろっとろぉ・・・・そんな気持ち良さそうな顔見せられたら我慢でけへんやないの。お兄さん・・・・こっちにもぉ」

「ええ、良いですよ」

「ならんんん!!ならんぞ、今は私のぉ・・・・・あぅううん!!」


ぐちゅりと音を立ててウルスラの中から引き抜くと、今度は千代の中へと一物をいれる


「きゃああああん♪ほんまぁあああああああああ!!ごっつぃいいいいいいいい!!あぅうん♪全然!全然慣れへんわ・・・・・あぐぅ!! んんんんん」

「この・・・・私が気持ちよくなっていたというに・・・・こうしてくれる!」

「やぁああん♪」


ウルスラは千代の胸にしゃぶりつき、そのゴツゴツとした竜の手で胸をぐにゅぐにゅと動かす


「きあぁああん♪あかんてぇえ・・・・あかんてええええええ♪ そない・・・・つぅうあ!!
やられたらぁあああすぐイッてまうからあぁああん♪」

「イッてしまうが良いさ・・・・そして早く私に代われ・・・・・んんんっ!?な、お、お前・・・」


クラウディオは身を倒してウルスラの背中に舌を這わせて舐め上げる
背中の翼の付け根から首筋まで舌の先で・・・・・

そして、彼女の耳元でクスリと笑うと甘くつぶやいた


「大丈夫ですよ・・・・先にウルスラさんをイかせて差し上げますから」


ゾクゾクゾクっと背筋が震えた、きゅんっと膣内が収縮して愛液がほとばしる


「なら・・・なら早く入れてくれぇ、もうお前の精を受けたくて仕方がないのだ!」

「ええ、ええ・・・・では千代さん?少しお預けですよ」

「あああんっ!!もっとぉ・・・」

「千代さんもちゃんと注いで差し上げますから・・・・ね!」

「ああああああああああああっ !!!  ぬぅはああああああああああ!
い、一気は止めろぉおお・・・・意識が・・・とぶぅ・・・・」


ぐちゅぐちゅとかき回しながらウルスラの弱いところをカリで引っかくようにいじってやると
彼女はそのたびに口から歓声を上げる


「ぅぅううん♪ んふううう♪ あぐああぁ♪ ああ♪ ひぃいいいん♪いい、いいっ・・・
良いぞ・・・・もう、もう・・・もうイキそう・・・・だぁあん♪とば、飛ばしてくれ・・・・」

「仰せのままに・・・・千代さん、貴方もウルスラさんを・・・・」

「了解♪ 〜〜んん〜〜〜チュ・・・・ぢゅるるるるるるるるる!!」

「ひぃいああああああああああああ!!あぐぅっ!!あ、ああああああうううう!」

「このまま・・・注いで差し上げます・・・・」


千代はウルスラの首筋にむしゃぶりつくと愛おしげに抱きつく
クラウディオも「の」を描くスピードを上げて彼女の中をかき回すスピードを早めてやると


「ック・・・・・ぅうう!!」


「駄目!駄目だぁああん♪ そんなにぃいいああされええええええええっつあああああ♪
イク!! イクぅううううう♪ イクゥウ!! イクイクイクイクイク!! ッ

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッハアアアアアアア!!!」



もう相当キていたのか、ウルスラは二人の責めによってあっさりと、しかし体を弓なりにして
尻尾と翼を限界までピンと立てながら昇天する

ドプドプとウルスラの中に熱い欲望が発射される・・・・その勢いたるや彼女の子宮を一瞬で
満杯にさせて、ギチギチに締め付ける膣内を逆流して吹き出てくる・・・・


「ぅぐぅううう・・・くうぅうふううううううううん♪・・・・っつ・・・・はぁああああああああ・・・・」

「二回目やってのに・・・凄い量・・・・」


ぬぽっとウルスラの中から引き抜くと、ドロドロになった肉棒が姿を現す
ごぼりごぼりと音を立てて精液が彼女の膣口から湧き水のように出てきている


「ぅうん・・・・お前・・・・もう少し余韻という物を味わわせてくれても・・・・」

「すみませんね、千代さんが待っていますから」

「あは♪お兄さんいらっしゃい〜〜〜♪」


クラウディオは再び千代の中へ入れると・・・・ウルスラの余裕のない膣とは違い
やさしく包み込み、動いてもいないのにぐちぐちと襞が絡み付いてくる

「の」の字を描くのは変わらないが、彼女は一物と子宮でキスをしながら腸を持ち上げる
ことを好む、推しては引き、深く推しては引き、押し付けては引き、様々な変化を
与えながら彼女を悦ばせる


「んあああああ♪うぐ・・・・うぁあああああああああん♪ ぃいいい・・・んぁ はあああん♪
うぅああああああ!! あぐぅううううううううううう!!んんんんんんんん〜〜〜〜♪」

「きゅんきゅんって、欲しがってますよ・・・中にある小さな口が」

「せやねん・・・うぁああああん♪せやねんんんんんんん!!やっぱ・・・お兄さんとの口付け
たまらんねやぁあ・・・ああ!ああ、くぅううああ」

「はぁ・・・・・はぁ・・・・・ふ、ふふふ、いい顔をしているな千代・・・・素敵だ・・・・」


ウルスラはとろける千代の顔を見ていると無性に愛おしくなり唇を奪う


「姐さああ んぶ・・・ヂュルルル・・・ふ・・・・んんんんんんんんん!!ぷぅは・・・」

「んんん・・・・千代・・・・チヨォ・・・・んんふ・・・あ・・・・はぁあああああぁぁぁ・・・・んんちゅ・・・」


濃厚なデュープキス、上の口はウルスラに攻められ、下の口はクラウディオに攻められ
すでに蕩け切った思考はうっすらともやがかかり始める


「んぶ・・・ぷぁあ! ああああああん!! い、イキそ・・・ あん♪ んちゅ・・・・」

「それでは・・・・遠慮なく!!」


ズンっと一際大きく突き上げる


「ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"!!」


ピストン運動のスピードが上がり、彼女の子宮へのキスも深く、強く、奥の奥まで突き刺さる


「つぅう!! うぐぅうんぶ・・・んんんんんんん!!んんんんんんんんんんんん!!!!
ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"!!!!!!!!!!!!!」

「ぷは・・・・」

「くぅ!! つ・・・・」


どぷりと再び煮えたぎった欲望が堰を切る



「ぅああああああああああああああああああああ!!ひぃ!いぃああああああ!!
いくぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううん♪」



熱いマグマが彼女の中ではじけてあふれる、三発目だというのにその量は全く衰えず
ウルスラ同様に膣口から精液があふれるほど出した


「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・ぁう・・・ぅううう・・・・くう・・・」

「ぅふ・・・ふふふふ・・・・なるほど、イった顔もこれまた格別の表情・・・・また疼いて来そうだ」

「そう、ですか」


ゴポリと一物が千代の中から引き抜かれたと思えば。すかさずウルスラの中へとねじ込んでいく


「お、前・・・ぅ・・・くぅあああああっは!」

「どうかされましたかウルスラさん♪・・・・ああ・・・同じ体位ではお辛いですよね」


そういって彼女の体を抱き寄せると、股を開かせたまま自分の腰の上に彼女を座らせる。
四十八手の体位で言えば「乱れ牡丹」。ウルスラの一番奥まで一気に入れる


「あぐ・・・・くぅ・・・・あああああああ!!」

「知ってますか?千代さん・・・・ウルスラさんは強くするのが好きなんですよ」


そういうとおもむろに彼女の胸を掴み、右手は彼女の腕を持つ
遠慮なく彼女の胸を強くもみしだく、ぐにゅぐにゅと歪に形を変える彼女の胸

その間も下から真上へ突き上げるように腰を振る。それもかなりの速さで


「あぅう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!うぅうん!!う゛ぅ!!ぐうううあ
はあああああああぁあああああ!!あぎ・・・・ひいいぃいいいいいいいいいいいん!!」


もはや悲鳴とも取れる喘ぎ声をあげながらウルスラはなす術なく犯される
膣からは愛液と精液、カウパーが交じり合った強烈な淫液がブシッ!ブシッ!と飛び散る


「まてぇえええええええ!!待ってえええええええええ!!イッたばかりだから!
イッタばかりだから感じすぎてええええええええ!!!あぐう!が!はあああ!」


涙、鼻水、唾液をグチャグチャに流しながらウルスラはただただ叫ぶ
千代はというと呆然とその光景を眺めていた


「こっち・・・・向いて下さいな」

「あぐ!ぎひいぃい! んんぐ!! ん!!ちゅ・・・ちゅる・・・・ぷは・・・あぁあああん♪」


その激しい腰使いと手の強さからは想像もできないほどの優しい口付け
ねっとりと彼女を愛する口付け、ウルスラもその優しさにすがるように舌を伸ばす


「うぁあああああああ、ぶ・・・ぷぁ・・・はああ!!イクイッテ・・・あぅうううううう♪
イク・・・・・・・・・・・・・・・・・ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!」

「っは♪」


ドプリと彼女がイッた瞬間に中から精液があふれ出てきた・・・・ドクンドクンと精液が注g・・・


「あ?

あぅうが!?ぃああああうぅぐ!! かは!! おま!! とめ・・・」


腹の奥に叩きつけられる熱いマグマの感覚・・・・本来なら余韻が彼女を襲うのだが
今襲っているのは余韻ではなく更なる快楽である

クラウディオは射精しながら更に腰を振り続けている・・・・先ほどよりも更に強く激しく


「あ!!! ――――かはっ!! ウギィイイイイイイイイイイアアアアアアア!!

きぃいいいいいいいああああああああああああああ!!  かはあああああああ♪

やめ!! やめああああああ!!  イッデル!! イギッパナジイイイイ!!

ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!

ひぃいいあああ!! んぐうぅううううううううううううああああああああああ!!!!!

ダメダメダメダメ!!!!だめあがああああああああああ!!い!! きぁ!」


射精が終わってもクラウディオは腰を止めず、更に強く深く激しく 犯す 
愛する妻はすでに朦朧とする意識の中、限界を超えた境地に至ろうとする

夫たる役目はそこへ導くことだといわんばかりに、腰を振る・・・・・そして五発目の
マグマがついに・・・・



「んあああああああああああああああああああああああああああ!!イグ!!
イグイグイグイグイ・・・・・・・――――――――――――――――――――カハッ!


ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア!!!!!!!!」



体を大きくしならせて吼えるような声をあげて絶頂・・・・・
顔は涙と唾でぐちゃぐちゃになり、口を大きく開けて舌を天へ伸ばし、眼は殆ど白目だ


「・・・・・気持ちよかったです?」


ズルリと引き抜いた一物・・・・すでに予想されている方はいるだろうが、まだ元気である

クラウディオはウルスラに優しく口付けを送り、近くの柔らかい草の上に彼女を寝かせた


「・・・・・・・さて・・・・と、お待たせしました」


クラウディオはいつもと変わらない・・・・あの笑顔で千代の目の前にまで歩いてきた
呆然とウルスラが犯されるのを見届けた千代は、彼の声に一気に現実に引き戻される


「え!?あ!!その・・・・お、お兄さん、しんどいやろ?うちやったらええから・・・」

「おやおや、遠慮されるなんて千代さんらしくない・・・・それに、言いましたよね?」


座り込む千代の目の前に腰を下ろして体を引き寄せて口付けをする


「ん・・・・んんぐ!ぷぁ・・・」

「・・・・『ご安心を・・・ちゃんと平等に気持ちよくして差し上げますから』って・・・・」

「(あれ?うちピンチ?うちピンチなん?)」

「ずっと寝転がっていて痛かったでしょう?今度は私が下になりますんで・・・・」

「うぁ!?」


千代の体を引き寄せてごろりと寝転がると、千代の体はクラウディオの体の上に倒れた


「ま、待って?うちもさっきイッたばっかりやさかいもうちょっと休憩ぃいいいいいい
あぅうん!!お、お兄さん!!そな、無理やりはぁああああん♪」

「声、悦んでますよ」

「やってえぇえ、やってえええ!!こんな気持ちええやもん!!んぅうううああああ!」


千代はクラウディオに倒れこんでいる状態でそれを受け入れる、腕や足に力が入らず
解りやすく言えば四十八手の「茶臼のばし」である


「あひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!
えああああんぅううああああああああ!!ああああああ!!ああ!!ああ!!あう♪」

「本当にお美しいですよ、千代さん・・・・こんなに綺麗な奥さんを頂けるなんて
幸せものです」

「ほんほぉおおおおおおんんんん!!ほんまにぃいいいい!!うち!うちぃいいいいいい
キレイやのぉおおおおお!おぉ!おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


羞恥もなく、だらしなく快楽の底で笑う彼女の顔はどこまでもクラウディオの欲情を沸かす
その狂いっぷりがなんとも言えない美しさをはらんでいるのは事実であった。


「ええとっても・・・・・愛していますよ千代さん・・・・ですんで受け取ってくださいな、
私の愛を」


ゴポォ!!

千代の腹の底ではじける・・・・・押し寄せてくる衝動は千代を断続的に絶頂に誘った


「いひぃいいいいいいいいい!!!!や、っぱりいぃいいいいいいいいいいいい!!!」


やっぱり止まらなかった、射精を終えてもガスガスと遠慮なく腰を突き上げてくる。


「ォオオオ!オホォ♪ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンンンン♪

あうぁああああああああひぃあああああああああああああああああああああああっ♪

お!!お!!おっ!おぉお!!!あああああああああが!!!ああああああ!!

おぅぐううううううううううううううううううううう!!!!うぐああああああああ!!!

イイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!

ォオオオホオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアっ!!」


彼女の胸に顔をうずくめながら舌を遠慮なく動かし舐め上げる
逃げないように両腕で彼女のやわらかいお尻を強く掴んで揉みあげる

ふっと顔を上げれば、本当にだらしのない顔をした千代の顔が眼に入った
だが・・・・クラウディオは優しい顔で彼女の頬へと手を回し、ゆっくりとそのグチャグチャの
顔を撫でてやる


「可愛いですよ・・・千代さん」




「!!!!  あはあああああああああああああああああああああああああ!!
お兄さん!!お兄さぁあああああん!!イ、イグ゛イ゛グイ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛

はあああああああああああああああああああああああああああああああああん♪♪♪♪♪♪」



当たり前のように噴出したそれはまるで水鉄砲のように結合部から吹き出てきた。
腹の辺りが膨らんでいるのがクラウディオは腹筋で感じ取った

目の前の千代を見てみると、ガクガクと痙攣し・・・・体からゆっくりと力を抜いて
クラウディオに身を預けてきた。

どうやら気絶してしまったらしい


「・・・・・やれやれ・・・・」


千代の背中をいたわるようにポンポンと叩く


「にへへ〜・・・・すぅ・・・・・・・・・・・・・すぅ・・・・・」


クラウディオは千代の中からその一物を取り出して千代を自分の横へと寝かせる


「・・・・・ちょっと懲らしめるつもりでしたけど・・・・・やりすぎてしまいましたかね」


ぽりぽりと頬を掻いて微笑むクラウディオ・・・周到に近くに置いてあったタオルを
取り出して千代の顔とウルスラの顔を拭いてやる。

二人ともすでに眠ってしまっているようで、穏やかで満足しきった笑顔を浮かべていた

彼女達と寝るといつもこうだ・・・・まるで子供のように眠る二人を見てクラウディオも
彼女達の身勝手さも許してしまうのが常である。

最近ではもうあきらめもついて、彼女達の言うとおり夫にもなろうかとも思っている
ただ、そう性急に結論を出すこともないと言いきかせていた。


「・・・・・さて・・・色々と後片付けをしなければいけませんね・・・・」


周囲が偉いことに鳴っているのはお察しの通り、臭いも誤魔化しきれるか不安な
ところである。クラウディオはやれやれと最近口癖になった言葉をつぶやきながら
掃除を開始した


「・・・・・・・・・・・」


ふと視線を下げると・・・・・


「まだ元気なんですねえ」


ゾクっと、寝ている二人に悪寒が走ったのだった。









〜翌日〜


十分な支度をした五人は再び森の中を川を沿って上流に向かい歩いていく。


「さて、今日もいい具合に晴れましたね〜〜」


さわやかクラウディオスマーイル


「(なんでお兄さんこない元気やねん・・・・・)」

「(生まれて初めてだ・・・・ドラゴンが肉体の過稼動による痛みを覚えるなど・・・)」


二名、腰を抑えながら歩いているのであった。

さて

ロティーの話によれば魔物狩りに捕まった魔物はかなりの数で30体程は居たという・・・・
中に彼女の見知った顔も多くいたらしい

今は村の者たちが気懸かりなのか、朝から歩くスピードは他の四人よりも早くなっている


「おいおい、待て待てロティーよ、そんなに早く一人でいっても、仕方ないだろうよ」

「・・・・は、い・・・すみません」

「心配なのよ・・・・急ぐ気持ちも分かるわ」

「ですね・・・・あ、そういえばロティー。貴方が捕まっていた場所はどういう地形なのですか?
それによって作戦の立てようも変わってきます」

「・・・・・湖」

「湖・・・・ですか?」


ロティーは力強く頷く、その無表情な顔も焦燥に駆られていることは誰にでも理解できた
だが、ロティーの言葉を聞いたクラウディオは頬を人差し指でかく


「どないしたん?お兄さん」

「いえ・・・・湖って・・・・あれじゃあないんですよね?」


そういって自分の左手側を指さすクラウディオ四人は一斉にそちらの方向をみると・・・・
ああ、確かにあった


「全っ然気づかんかったわ・・・・」

「何でこんなに大きな湖だったのに・・・・どうなの?ロティー」

「・・・・・・??・・・・・あ、・・・・はい、確かに・・・・ここです」


ロティーもなぜ気がつかなかったのかわからないと言った表情であった、
クラウディオは茂みに身を潜ませて四人を手引きして草むらの中へ誘導する

上流からの雪解け水が流れ着く場所であり、周囲を囲む茂みは背の高い植物も多く
見通しが悪い

何よりも山側には隆起した地面があり、それが小さな崖のように聳えてその湖の存在を
山側からも隠す


「ふむ・・・・隠れた拠点としてはうってつけですねえ。しかし、地形からみるに
地震でこの山は変化したようですね」

「昔・・・・大きな地震があって・・・・この山の形が変わったってババ様が言っていました」

「ああ、もしや白磁の海原もその地震の影響で天候に変化が起きてできたものかもしれんな」

「大変興味深いです・・・・が、目の前の事に集中しましょうか?それで、どうします?
結構居るみたいですよ」


クラウディオの瞳が茂みの奥に隠れた魔物狩りの連中をとらえる


「目、ええんやな?お兄さん」

「ええ、まあ・・・・」


キィィィィィィイイイーーーーーーー・・・・・・・・・ィィィン


「数は11人・・・・全員男です、現在はどうやら昼食の準備をしているようですね・・・・・
あのナリは・・・・ふむ秘術か魔術に長けた者もいるようです、このあたりに魔力の力を
感じます、おそらく結界か何かを張っているんでしょうねえ・・・・

ああ、なるほど・・・この森と同じように誤認錯誤の結界が張られているんでしょう、
だから皆さん気がつかなかったんですよきっと」


淡々と細密に分析するクラウディオだが、他の四人は目を丸くしっぱなしであった


「・・・・何でそこまでわかるの?」

「・・・・・・何でって・・・・何ででしょう?」


クラウディオの頭の上で疑問符が増殖し、回転し、情熱のタンゴを踊る


「まあ、それも今考えることでもないやろ・・・・そんで、どないする」

「もちろん、正面突破だ・・・・・くくく、血沸き肉踊ってくるなあ!」


身を勢いよく起こそうとしたウルスラだが、ヴィオレットとクラウディオが同時に彼女の肩を
掴んで止めた


のだが、あまりの力に二人とも引っ張られて前へと飛ばされ転倒する


「? 何してるんだ?」

「(馬鹿!!さっさとしゃがみなさいこの単細胞トカゲ!!)」


ひそひそ声で罵倒してくるヴィオレット、顔面から突っ込んだらしく鼻血を出している

クラウディオはセーフ

ウルスラはヴィオレットの妙な迫力に負けてすごすごと座り直す


「・・・・・・気づかれてないです」

「奇跡や」


五人は再び茂みの中に並んで隠れている
いくらお色気シーンがまだとはいえ一人だけ鼻血を出すヒロインとは
いかがなものだろうか?


「はい、ちり紙」

「ありがと・・・・このボケ爬虫類、貴重な血が流れちゃったじゃない」

「それで、お前たちは正面突破に不服があるようだな?一体どうするつもりだ?」

「聞きなさよ・・・・」

「・・・・・千代さんは何か案があるんですよね・・・・・・」


千代はふーむと人差し指で眉間を押す


「せやなあ・・・・気絶させるくらいなら訳ないんやけど、それじゃあコリひんし、なにより
起きてきたらまた面倒になる。此処は一丁、再起不能になってもらおうやないの」

「ふむ・・・・殺しますか?」


クラウディオは腰に下げた斧に手をかける


(おっぱいがエデンに導きます)(空気呼んでください)


斧に宿った得体の知れない何かに心の底でつっこみを入れる。
千代は微笑を浮かべて首を振った


「そないおっかないことせんでもええねんって・・・・ただ、ちょっと思い知らせたら
ええねん」

「何を・・・・・・!!!・・・・・・する、気なの?」


ヴィオレットが横目でみた千代の表情に背筋が凍った

まるで顔に三日月が三つ浮いたように・・・・両目を歪め、唇を歪め、
ゾッとする程冷たく恐ろしい笑顔を浮かべている女の顔がそこにあったのだ


「だから・・・・ちょいとばかいジパングの妖怪の恐ろしさ、思い知らせてやるだけ
やって・・・・」









泉を迂回した、丁度反対側の位置にまでウルスラがやってきた。当たりをキョロキョロと
見渡しながら何かを探しているようだった


「この辺りなのだが・・・・ぉ」


ウルスラが見つけたのは彼女の背丈と同じくらいの岩、その岩の右手に回ると小さな花があった


「ふむ・・・・千代のただならぬ気配・・・・本性といったところか、あいつ実はドSじゃないのか?」


昨日の夜のありさまから推測するにMだと思っていたが・・・


「底知れない女だ・・・と、早く用件をすませてしまおう」


ウルスラその花の手前に胸の間から取り出した一枚の紙を取り出す
それはジパングの言葉か、なにやら見慣れない文様が複雑に細かく描かれていた


「魔力を送り呪文を唱えればいいのだったな」


ウルスラはその膨大な魔力の一片をその紙に流し込む、すると文様が青白く光りだした。
それを確認し、教えられた呪文を口にした


「ネン」








魔物狩りがテントを張っている場所からおよそ40m程西にいった場所にクラウディオが
目的の植物を見つけた、大きな花びらに黒い輪郭の模様が入った希少な薬草の
一種だ。その薬草から二歩ほど手前の位置にウルスラと同じように紙を置く


「東西南北、ほぼ均等に符を置いて発動する秘術ですか、興味深い、
何よりもジパングにもそういった符や魔術の体系があるというのが非常に
興味深いですね」


不思議な力ってロマンありますよね


「しかし・・・・何なんでしょうね、この感覚」


クラウディオ自身もよくわかっていない、自らの異様な超感覚、千代に頼まれ泉を中心に
東西南北均等に正方形の頂点を見つけるよう指示された

できるわけないと思ったが、やってみればその景色が脳にリアルなビジョンとして
生まれた

あの十字架から逃げ出してからというもの、この感覚は何度もクラウディオを襲った。
最近では望んで扱えるようにもなった

しかし、得体の知れない物だ・・・・クラウディオはその力に少しだけだが恐怖を覚えた


「とと・・・・魔力を送って・・・・」


符が光るのを確認してから、千代から教わった呪文を唱えた


「セイ」







ロティーは森の茂みをかき分けていき・・・・その大きな目で目的の物を探す


「・・・・・・・・」


ロティーも、最初のうちは彼らの行動に疑問をもっていた。
助けてくれた相手とはいえ、虫の良すぎる話ではないのかと


「・・・・・・」


だが、それは魔物・・・種族が持つ本質を考えれば疑問もはれる、相手はあのドラゴンだ、
わざわざ自分のようなサハギンを貶めるような真似などしないだろう

それが遊興の類であるとするならば話は別だが・・・・


「・・・・・・」


どうも、彼らからは邪念が感じられない

千代は本当に優しく、母のように接してくれて世話を焼いてくれる

ウルスラも尊大な態度に似合った器の持ち主だと本能が告げる

クラウディオは不思議な男だが、自然な行動に優しさを感じる

ヴィオレットは・・・・・・


「・・・・・・・悪い人じゃない」


多分。

本当に良くしてもらって・・・こうして力を貸してくれる方々を疑うのも失礼な話だ。


「・・・・・」


ロティーは自分の胸に手を当てる・・・・茂みをかき分ける足がわずかながら遅くなった


「・・・彼らを追い出したら・・・・」


サハギンが独り言などらしくはないと思う、が、それは決心の現れなのかもしれない。


「!」


ロティーはようやく茂みの中から出て目的の場所にたどり着いた。
先ほど自分たちが通った道、クラウディオが湖を見つけた地点が彼女の目的地であった

ロティーは足跡が密集する場所に歩いていき、符を置き、クラウディオからもらった
魔力のこもったナイフを符に突き立てた

符はナイフに宿った魔力を吸い上げて光だす。
小さな唇で千代から教えてもらった言葉をつぶやく


「・・・・・・・テン」








ヴィオレットが隆起した崖の上にまでやってくると、身を隠しながら崖の下で昼食を
とっている連中をみる

屈強な男、怪しい風貌をした男、精悍な顔立ちの男と様々だが近くにいる
魔物たちを見て卑しい笑みを浮かべている
魔物たちは馬車を改造した檻の中に入れられて、魔法によって拘束されていた

どろどろとした液体が地面から沸くように、彼女の心にも彼らに対する嫌悪が
わき出てくる・・・・


「・・・・・ここで、魔法を使ってやろうかしら」


確かに、彼女が全力で魔法を放てば2、3人は残っても、他の連中を死に至らせることもできる

だが・・・・その憎しみの中でどこか、それを躊躇う自分もいる。相手を殺すという
非道徳的な行動を嫌悪しているからだと、自分ではそう推測させた


「・・・・・はぁ」


かつての親友を奪われて尚自分がそのような感情を覚えるとは自分はとことん
甘いものだと実感する

事実甘かった・・・屋敷の中で蝶よ花よと育てられ、いざ外の世界に出てみれば
あっさりと魔物狩りに捕まった

クラウディオ達と出会わなければ、彼らについてこなければ、おそらく今自分は
人間の慰物になっていただろう


「・・・・・・」


自分の小ささを噛みしめ、それに対する踏破の情念を秘めながら背後を振り向き
札を置き魔力を流し込み・・・・それを唱える


「ソウ」









「今回は大漁だったなぁ・・・・やっぱり、長閑な所の方がやりやすかったな」


魔物狩りのうちの一つ、好青年だがその笑みは悪意を孕んだ男が笑いながら言う
他の皆も同意の声を上げてうなづき、エールを飲みながら、肴を喰らう


「だが・・・・サハギンを一匹逃した」

「お前等が酔っぱらってフザケるからだろうが、貴重な薬飲ませやがって・・・・・
ぶっちゃけあれ一本の方が一匹の単価より高いんだぞ」

「悪かったってぇ〜・・・・その分俺がんばったでしょうが?8匹も捕まえたんだぜ?
しかも全部処女!」

「バカ野郎、捕まえた魔物全部おぼこだったろうが・・・・一匹くらい使用済みが
いりゃあいいのに」

「文句言うな・・・・処女の方が高く売れる、ハンターにとってはありがたいことだ」

「そーいうの無しにしようぜ?ムラムラしてきた」

「ムラムラしたからって俺らを掘るんじゃえぞ?」

「・・・・・・・」

「「「「「掘るんじゃねえぞ!!?」」」」」


そのような会話をしながらも笑いあう男達・・・・なるほど、成れ親しんだ顔で集まり
今回の狩りを実行したらしい

と、その時・・・・一人の男が何かに気がついたように顔を上げた


「どうした?」

「・・・・・結界の中に誰か入ってきた」


男の言葉に皆は一斉に動きを止めた、結界の進入に気がついた男が一点の方向を
見据える


「俺たちに気づいているか?」

「わからん・・・結界の境界をうろうろしてる・・・・・偶然足を踏み入れたか・・・・・
おそらくは迷い人だろう」

「どうする?」

「相手は一人だ・・・・・いざとなれば、結界を封鎖して殺してしまえばいい」

「じゃ・・・様子見か・・・・」


男達はじっとその方向をみる・・・・ガサガサと茂みを分けて、その人物がこちらに
近づいて来るのがわかった


「ん〜〜〜〜・・・・・誰かそこにいるん〜〜〜〜?」


女の声だ

男達は顔を見合わせてその声がした方向をみていた


「誰もおらんのんか?」

「・・・・・・」

「あ、お、おい!」


男の一人が無造作に立ち上がった・・・・そこには金髪の旅人らしい女が立って周囲を
キョロキョロとしている


「お、なんや人が居るんやない「近づくな!!」


男はポケットから出したナイフをその女に向けて叫ぶ女はあわてて両手をあげた


「ぶ、物騒なもんはナシにしようや・・・・」

「おまえは何だ?」

「何って見ての通りのもんや・・・・腹すかせて森の中あるいとったらエエ匂いしてる
さかいな、誰かおるんなら食べもん分けてもらえんかな〜・・・・・って」

「・・・・・・」


男は上から下まで女の風貌を確認する。ローブを纏い、背中には大きなリュックを
背負っている。

推測するに、女の一人旅か。身体的に変わった特徴もなく魔力的な物も感じない・・・・
人間の女だと確信する


「そうか・・・・脅かしてすまない」

「いやいや・・・・!・・・・なんや、モンスターハンターの人等かいな」


背後に捕まる魔物たちを見て、彼女は自分たちの正体を見破った。当然といえば当然か


「そうだ、誰にも言わないと約束するのであれば食料も分けてやらないこともない」

「言わへん言わへん、うちかて黒いのや」

「黒の行商人か?」

「せや、何なら商売でもええで?」

「いいだろう・・・・こい」


男が女を招き入れると、周囲にいた男たちが喜びの驚きを沸かせた

誰の目から見ても美女とわかる・・・・大きなローブをしているが、大きく膨らんだ胸が
イヤがおうにも女の体を主張している


「こんちわ、お邪魔するで?」

「ああ来い来い姉ちゃん、あんたみたいな女なら大歓迎だ!」


屈強な男の隣に座ったその女は、ふーっとため息をついて皆を見渡す・・・・
突然の美女の到来で男たちの目がギラついているのがわかった


「お仕事ご苦労さん、えらい大漁みたいで」

「ああ!今回はなかなかだったぜ!おまけに皆処女だ!」

「へえ・・・・そら高こうつくなあ、儲けてますな旦那」

「おうよ・・・・それよか、腹へってんだろ?食え食え!」

「待て」


千代を出迎えた男が低い声で制止する


「取引だと言っただろう、おまえの商品と交換だ」

「んだよケチくせえ」

「黒の行商なら、希少価値も高い物も持っているだろう?」

「なんなら、俺たちの相手でもいいぜお姉さん!!」


調子の良い男が提案したが、制止した男が鋭い目で睨み付けてのでしどろもどろと
黙ってしまう


「なんや、溜まってはりますん?」


女の声に艶が混じった


「・・・・・ンフフ」


含みのある笑い、ふっと鼻をくすぐる女の匂い


「うちも、ちぃと溜まり気味やねん・・・・お相手して、食べもんくれはんねんたら・・・・
考えんこともないけど」


男達の喉が鳴る・・・・魔物は全て雌だ、それもとびきりの女ばかり。そんな
女達を捕まえたは良い物の、目の前でお預けをくらっていた男達にとっては
・・・・・・理性よりも欲望が勝つに決まっている


「まあ・・・・小さいヒョロチンじゃ話にならんけど・・・・皆さんのがうちが満足できそうな
立派な一物やったら・・・・ね?」


そう言いながらローブの止めをはずすと、少しだけ見える女の胸の谷間・・・・その深さから
彼女の女の体は一級品であると確認できた

男達は一斉に自分の下衣に手をかけて、男性器を取り出す


「へへ・・・・」

「・・・・・はぁ・・・はぁ・・・・・」


女の目の前にいきり立つ男の欲望が並ぶ、何日も風呂に入っておらず、
その悪臭と言えば吐き気を催すほどだ

だが女は微笑を浮かべてスルリとローブを脱いだ。白く薄いシャツこそ着ているが、
彼女の体を隠すベールが一つ紐解かれ、男達の興奮はさらにあがった


「おら・・・・どうよ?結構自信あるんだぜ?」

「んふふふ・・・・・・・そっちの兄さんは・・・・どないや?」


挑発的な視線で最初に女に声をかけてきた男をみる、最初こそ警戒していた男も
これだけの人数でならば驚異ではないと判断したのか、静かにズボンを脱ぐ

男達の中ではひときわ大きな一物が女の目の前に差し出された


「お眼鏡に叶うか?淫売」

「せやなあ・・・・」


微笑を浮かべ、女は静かに両手を合わせた
そして、昨日、自分の腹をかき回してきたあの雄雄しい魔羅を思い描いて比べてみる。





「ちっこいわ・・・・」





女の目が金色に光った瞬間、男達は指一本動かせなくなった。









「これは・・・・始まりましたね、始まったら私はこれの外に出ておけと仰っておりましたが
・・・・何が始まるのやら」

クラウディオの目の前に光の文字が浮かぶ、その光は青白い炎で漢字の「精」


「何・・・・これ」


ヴィオレットの目の前にも同様に文字が浮かぶ、浮かんでいる文字は「巣」


「ふむ・・・始まったか、どれ見に行くか」


ウルスラは身を翻し翼を広げ大きく空へと羽ばたいた、彼女がいた場所に浮かぶ文字は「捻」


「・・・・・・・」


ロティーも突如起こった変化に驚きながらも目の前に浮かぶ文字を確認する
そこに描かれていたのは「転」という文字




 精巣捻転 

キンタマに繋がる管が捻れる病気(はーと)



男達は体を動かせないまま立ち尽くしている。異常なほどに汗をかき、中には泡を吹く者
口から先ほど食べた物を嘔吐する者、血涙を流す者もいる、しかし何れもうまく声を
出せず。あ、あ、と声にならない声を絞り出して陸に揚げられた魚のように口をパクパクと
させていた


「うふふふ・・・・・ンフフフフ・・・・なんや、声も上げれんくらい・・・・気持ちええんかいな?」


女は恐ろしい笑みを浮かべて目の前の男達を嘲笑する


「て・・・・!!!! め  ヒァガ?!」


声を出すことすら「激痛」となって下半身だけでなく全身を駆け抜ける


「あ〜あ〜・・・・ご自慢のモンが随分可愛えモンになっとるで?こんなんじゃ、
うちやのうても女は満足でけへんよ?」

「が・・・・き・・・」


すでに数人の男は白目をむいて意識を失って倒れ始めた、恐らくは「男性」ならば
「生涯最凶最高最大最悪の激痛」と言うほどの痛み。
ちなみにこれ、6〜8時間くらいでキンタマが腐るらしい、ちょっとでも痛いと思ったら
最寄りのお医者さんへGO

女が右手の人差し指をくるりと回転するともう一ひねり


「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


数人の男が激痛によって意識をあの世近くまで飛ばした


「ぎ・・・・・ざ・・・・・・・・ぁ」

「ほ〜・・・・よー我慢するやないか」


すでに立っているのは最後に秘部をさらけ出した男一人だけだった


「ほんまにアホやのぉ・・・・急所をわざわざ晒して・・・・まあ、そないお粗末なもんや。
のぅなっても困らんやろ?」

「・・・・・・・・・」

「それとも・・・・ホンマにそんなお粗末なんで・・・・」


耳が獣の耳へと変わり、ザワザワと音を立てて彼女の背後から金色に輝く尻尾が
出現する着ていた旅路の衣服が紫苑色の着物に変わった



「この 千堯代前(せんのたかよぜん) が満足するとほんまに思うとったんかいなぁ?」



恐ろしい嘲笑が湖に響きわたる・・・・目の前の恐ろしい冷笑を浮かべる女を見る男の目も
次第にかすれ始めた


「ウフフフ・・・ここまで頑張ったご褒美や・・・・イカせたろか」


千代の人差し指がゆっくりと回り出す・・・・・激痛のメリーゴーランドが徐々に
スピードを速める!!すでに何もできず、朦朧とする意識の中で男は祈った


(玉よ・・・・)


「イってまいな」


千代の人差し指がくるくるくるくるくるくるりと遊ぶように回りまくり・・・・








――――――――――――――――――――――――ブツッ!!








クラウディオは目の前に浮かぶ「精」という字を見ておもむろに自分のお袋さんの
安否を気遣いたくなった


「・・・・・・・」


両手で確認してみたが。お袋さんは

(′・ω・)ヒュン

としていた。





「お〜〜・・・なんや色々あるなあ、もろとこか〜」


千代は男達の荷の中を漁っている・・・・気に入った物をヒョイヒョイと分別している
そんな千代の背後からウルスラが近づいてきた


「! ああ、なんや姐さんかいな」

「恐ろしい女め、これでは殺してやったほうが幾分ましだ」


ウルスラはすでに意識をニブルヘイムに飛ばした男達を見下ろしながら眉を八の字に
して訝んだ


「ウフフフフ、なんやったら止め刺す?」

「下らぬことを言うな、こいつ等にとっては死こそ救いだ」

<千代さ〜〜ん


と、四方からクラウディオ、ヴィオレット・・・・ロティーも合流してきた


「上手く行ったわね!あんたスゴいじゃない!!一体何をしたのよ!!」


見知らぬ秘術を目の前にして興奮冷めやまぬ様子のヴィオレット
千代はいつもと変わらない笑みを浮かべ右手で何かをつかんで捻るような仕草をした


「キンタマ捻じ切った」


(′・ω・)ヒュン・・・


「何それスゴい!!私にも教えてよ!!」

「思い留まりましょう、ヴィオレットさん」


クラウディオは全力でそれを阻止することを誓った、あと千代には逆らうまいと誓った


「ロティー!!」

「・・・・・・皆・・・・無事?」


ロティーは皆が捕まっている檻の前にまでやってくる


「ああ、お前も無事だったようだな!」

「・・・・・この方々が・・・・力を貸してくれた」


魔物たちの視線は千代たちに向けられる・・・・・あの恐ろしい物を間の渡りにしたためか
警戒心が生まれていた


「何者なんだ?彼女たちは・・・・」

「旅の方々・・・・私を助けてくれた人」

「ふむ・・・・」

「・・・・良い人たち」


ロティーの言葉に皆も緊張感を説いた、事実こうして魔物狩りを倒したことが証明でも
ある


「どうだロティー、皆は無事か?」


背後からウルスラが聞いてくるとロティーも頷く。ウルスラは目の前の檻をみる


「ほぉ、この檻、神聖の魔法がかかっているな・・・・・魔力を吸い取られる仕様だな」

「せやさかい、うちみたいな秘術派の魔物は歯がたたへん・・・・人間やないとどーにも
ならん代モンやねん、たぶん鍵がどっかにあんねけど・・・・」


なるほど、先ほどから千代が探しているのはそれか、クラウディオも合点がいって
男たちが携えてないか、確認しようと男たちの体に視線を向けると

激しくジョバイロしたそこは、真っ赤な誓いに染まったモザイクカケラ
元気を失ったライオンハートが目に飛び込んだ


(′・ω・)ヒュン


やや鬱な気分になりながら調べ始めた

一人、二人、三人とポケットなどを探るがそれらしい物は見つからない、そして、
四人目の男のポケットを探ったときだ


「あ・・・・」


指先に伝わった堅く、長い金属質の感触
ソレをポケットから引っ張りだしてみると、鈍い銅の鍵が出てきたのだった


「皆さん、ありましたよ〜〜」

「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」


ウルスラさんが檻をこじ開けていた。
魔力がだめなら、腕力であければいいじゃない


「・・・・・・・・・」


体を縛っていた魔法もヴィオレットが解除して捕まっていた魔物達は
自由の身になったのだった

ポチャ・・・・
鍵を泉に投げ捨てる、空しい波紋が泉に広がっていた。

と、その波紋の中心からいきなり女の人がでてきた


「あなたが落としたのはこの銀の鍵ですか?それとも金の鍵ですか?」

「見せ場です」

「は?」

「お帰りください」


突然現れた謎の女はすごすごと泉の中へと消えていった


<お兄さんどないしたん〜〜


クラウディオは振り向いて微笑んだ、やるせない気持ちを奥歯でかみ殺しながら、
ぶつけようのない悔しさを持て余し、しかしそれでも彼女たちが救われたことに祝福を
あげるために精一杯の営業スマイルで笑う


「何でもないですよ♪ もう♪ ね♪  ふぇ!」


今日もまた、大人の階段を一歩上ったのだった









魔物たちの健康状態も空腹で衰弱していたが、魔物狩りから奪った食料等で回復させ
気を失っている(タマも失っている)魔物狩りの連中は転移札でどこか遠くの方へ
飛ばした。
(ざまぁ)

一通りの慰安活動を終えた四人とロティーは魔物狩りが使っていた焚き火の周りで
一心地ついていた


「なかなか疲れるものだな、正義の味方というものは」

「うちは結構におもしろかったけどな、久々に狐らしいこともできたし」

「狐らしいこと?」

「ジパングでは狐や狸は人をだます獣やって言われてんねん」

「ふ〜ん」


クラウディオは泉で汲んだ水を火で煮沸している
と、横に座るロティーはどこか浮かない顔をしていることに気がついた


「どうかしましたか?ロティー」

「・・・・・いえ・・・・・」


はて、仲間を助けるという彼女の望みは達成されたわけだが
この浮かない顔はどういう事か?


「話してくださいな」

「え・・・・・」

「まだ、何かあるんですよね?」

「い、いえ・・・・どうして、そんなこと・・・・」

「仲間も救ったのに・・・・あまり嬉しそうではない表情なのでね、いえ、浮かない顔と
言っておきましょうか」


クラウディオは今度こそ優しくほほえむ


「私たちはロティーを助けるためにここまできました、まだ浮かない顔をしている
という事は、まだあなたは救われてない。

仰ってくださいな、

もうここまでくればあなたを完璧に笑顔にするまで付き合って差し上げますから」

「・・・・・・」


ロティーは・・・・黙り込んでしまった


「・・・・・・・」

<ロティー!


と、声をかけてきたのはワーウルフの女性だった
すでに成熟した体は彼女が大人だと言うことを物語っている


「・・・・イルアット」

「お知り合いです?」

「幼なじみ」


・・・・・・・・はて?

クラウディオは今の言葉に強烈な違和感を覚えた。
ワーウルフのイルアットはロティーの元までやってきて微妙な表情をしていた


「あ〜・・・・・見つかってないか?」

「・・・・・・うん」

「・・・・・・はぁ・・・・こうなりゃあんたん所のババ様を頼るしかないんじゃないか?」

「・・・・・・・・うん」

「あ〜・・・・・元気だしなって!!絶対もとに戻る方法はあるんだから」

「たとえば?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


無言の気まずさにロティーの落ち込みが激しくなっていく・・・・


「え〜・・・・・っと、イルアットさん?」

「ロティーの恩人さん?何か用か?」

「クラウディオ・バンデラスです。一つお伺いしたい事があるんですが」

「?・・・・ああ、何でも」

「ロティーが落ち込んでいる理由を教えてもらいたいのですが」


そう聞こうとした瞬間、ロティーはクラウディオの袖を掴んで困った顔で首をブンブンと
振った


「ロティー・・・・」

「ロティー、あんたまさか言ってないのかい?」

「・・・・・うん」

「はぁ・・・・まあ気持ちは分からんでもないけど、あんただってこのままじゃ
イヤなんだろう?この人達なら治る方法知っているかもしれないし」

「・・・・・・・でも・・・」

「人の好意を無碍にしない!そんなんじゃ相手にも失礼だよ!クラウディオさん
ロティーの代わりに話すけどロティーは元々こんなナリじゃなかったんだ」

「というと」

「ロティーは立派な大人だったんだよ」


電撃走る!!!!
ベルサイユのローズっぽい劇画タッチでショックを受けているのはヴィオレット


「なんでヴィオちゃんがショックうけてんねん」


気づけば、ウルスラ達はクラウディオの背後に立っていた


「え・・・・・あ・・・・・そ・・・・・んな・・・・・嘘・・・・よね?」


呼吸器官がせばまり、ヒュウヒュウと音を立てる呼吸、目は激しく動揺し、
異様な汗が吹き出てている


「・・・・・・・申し訳ございません・・・・確かに、私は大人です魔物狩りの連中に飲まされた
薬で・・・・こんな姿に」


話を聞けば、魔物狩りの調子のよかった男に薬を飲まされ幼女化したのだという、
その時はまだ枷でつながれ魔法はかけられていなかったので、枷から抜け出して
脱走できたのだとさ

ヨロヨロとヴィオレットがロティーに近づいてきた、そして、肩を抱いて


「永遠の8歳で良いじゃない!!!」


魂を込めた訴え。
しかし千代がどこからともなく取り出したハリセンでヴィオレットの頭を上から強打、
景気の良い音がした


「ふぅむ・・・・ソレは困りましたね」

「ああ、どこかの探偵が似たようなことになっていた気もせんことはないが」

「そうなんですか?」

「魔界で人気の娯楽書だったかな。一度だけ呼んだことがある、外に出ると死体に遭遇し
魔法の言葉「あれれ〜」を呟けば、細い光が頭を横切り、中年男を麻酔銃で眠らせて
事件を解決していくストーリーだ」

「さすが魔界の読み物、意味不明です・・・・・ソレはさておき元に戻りませんかねえ」

「うーむ、この手の類の薬品は魔女かバフォメット等の幼女体型の魔物が、
他の種族を自らと同じ幼女体型にするための薬だが・・・・あいにく私は薬のことはさっぱりだ」

「千代さんは?」

「うーん・・・・ジパングでこの年くらいの女の子とやるとか変態さんやしなあ」

「安心してください、こちらでも異常性癖です・・・・・」

「フーン」


三人は放心するヴィオレットをみる、血涙を流してレイプ目になりながら倒れている


「で、そこなロリ専レズヴァンパイアよ。お前は何かしらんか?」

「・・・・・・ナンニモシラナイワヨ?」

「「ほ〜・・・・」」


ウルスラと千代がヴィオレットの体を取り押さえてまんぐり返しの姿勢をとらせた


「お兄さん!!お兄さん!!懲らしめてやりなさい!」

「尻だ、尻をねらえ!!」

「えーと?」

「やめなさいよアホボケ変態淫獣畜生共ぉおおおおおお!!分かったわよ言うわよ!!
言えばいいんでしょうが!!」


解放されたヴィオレットは息を整え、ふてくされた顔ながら自分の知っていることを話した


「私も詳しい成分は知らないけれど、ほとんどの薬は肉体を退行させるための魔力を
液体化させたもの、それが体の中にあるうちはずっと幼女のままよ」

「ほな、その魔力を取り除いてやれば元に体に戻るってことかいな?」

「理論上はね、でもそれは体中に張り巡らされている魔力の通り道に染み渡っている
はず・・・・並大抵のことじゃ解毒できないわ、やるならその魔力を打ち消す薬品を
服用してやるしかない」

「ふむ・・・・ならばその幼児退行魔力を打ち消す薬を作って服用すればいいんだな」

「それこそ無理な話ね、そんな薬があるならサキュバスが黙ってはいないでしょうよ、
だって魔物の魔力を消す薬なんてあれば彼女たちの行動目的の一つ魔物化を
阻止できる。開発されたとしても禁呪指定の代物ね」

「では、ロティーは一生このまま?」

「何もそういう訳じゃないわ、飲まされた度合いも関係するけど長い年月を経れば
その魔力も消える・・・・まあ、何十年単位だけど」

「「「・・・・・・・」」」


ロティーは両目を潤ませながら今にも泣いてしまいそうだ
と、思っているうちに本当に涙を流して泣き始めた


「ぅ・・・・ぅぅぅぅううう・・・・」

「あ〜あ〜・・・・・泣かしてしまったな、お前」

「ちょ、私のせい!?」

「駄目ですよヴィオレットさん、そんな希望を次々と打ち砕いちゃ誰だって
泣きたくなります」

「マジ引くわー」

「泣きそうなの私なんだけどねえ!大丈夫よロティー人生もう一度やり直せると
思ってさ!ほら!強くてニューゲームよ!」

「ううううう!!」

「あ、あんたからも何か言いなさい!」


イルアットに振ってみるが、彼女はまじめな顔で


「ナーカシターナーカシタ、セーンセニイッテヤロー」

「そこまで私を悪者にしたいか!!」


まさかの裏切り


「あ〜よしよし、泣かんでええ、泣かんでええ」

「そうだぞ、男なら泣くな」

「女です・・・・・ぅぅぅ・・・・」

「大丈夫やってロティー、お兄さんとエッチすれば治るからな」

「そんなワケないじゃないですか」

「あかんなあお兄さん・・・・女ってのはな?泣きたいときこそ一番誰かを求めるもん
やねや」


収拾がつかなく成りつつあるので時間を早めて10分後

とにかく、皆になだめられてロティーもようやく泣きやんだ。
まだ鼻は赤いが、泣いて冷静さを取り戻したようだ


「・・・・・お見苦しいところを・・・・・・お見せしました」

「いいんですよ、誰だって泣きたいときはあるものです・・・・
それで、これからどうしましょう」

「とりあえずロティーをサハギン達の村に連れていくしかないだろう」

「他の連中は?」

「ああ、大丈夫大丈夫、あんた達のおかげですっかり元気だからさ、
それぞれ村に帰らせるよ。この森は私たちの庭だから迷うこともないさ」

「その庭で捕まっていたんだけどね」

「ぅ・・・・ま、まあ自衛意識が欠けていたことは認めるよ、だけど今回のことで
思い知らされたからさ、このあたりの魔物全員でその辺のこと考えるように村長に
進言してみるよ」

「それがよかろう」

「ほな、うちらもいこか?こっからまだちょい歩くんやろ?」

「ああ、この川に沿って登っていけばつくと思う、ロティーもいるし迷うこともないだろ
それじゃ、私たちもそろそろいくよ。

ありがとうな、私たちや皆を助けてくれて、マジで感謝だ!」


イルアットを初めとした多くの魔物達は感謝の言葉を五人に告げ
それぞれが住む村々への帰路へついた

そして、五人もサハギンの村へ向かうべく再び歩み始めた






夕焼けに染まる山、小川が夕日を受けてオレンジ色に輝いているその川沿いを歩く一行

俯きながら歩くロティー、ヴィオレットが手を握って歩いてやっているが、
その悲壮感を漂わせた彼女は、最初に出会ったときよりも元気が無いように見える


「・・・・えっと・・・・どうにもならんのかな〜・・・・って、どうだ?」


ウルスラなりに気を使ってみているのだが、そもそも王者たるドラゴンが夫以外の相手を
気遣うなどという具合だ、違和感アリアリ


「どうだと言われましても・・・・」

「お前元学者だったんだろう?」

「学者は神ではありません、あと学者の家に生まれただけですよ。
とにかく私たちの手に負えない以上は、他人に頼るしかありません」

「・・・・・・もし、ババ様でも治らなかったら・・・どうしましょう」

「そのときは別の方を訪ねるだけですよ、私たちは旅人です世界を回れば、治癒方法を
知っておられる方もいらっしゃるでしょう。貴方が元に戻る答えが見つかるまで、
歩いて見せますよ」


クラウディオは何でもない顔で言ってのける・・・・その表情には余裕すら感じる笑顔


「そこまで・・・・・ご迷惑をおかけするわけには・・・・」

「そう言うのであるなら、大丈夫だという顔をしてください」


一変、クラウディオから厳しい言葉がでてきた


「ちょっとあんた・・・・」


ヴィオレットがクラウディオを諫めようとするが千代が彼女の耳元でシっと呟く


「あなたがどれだけ悔しいか、どれだけ辛いかも今の私には想像も及びません・・・・・
理解できません。

ですが、貴方が苦しんでいると知ったから私は貴方を助けたく思います、
力になってあげたいと思う。恩を着せるつもりも、売るつもりもありません・・・・
よけいなお節介だと思われても結構です

貴方が心の奥底で泣き続けている以上、私は貴方に手をさしのべ続けますから」

「・・・・・・」

「どうか・・・・少しでも我々にその不安を預けてください・・・・
そんな辛そうな顔をされておられては・・・・助けたいと思っちゃうじゃないですか」


背中越しに見上げるクラウディオの背中、今彼がどんな表情をしているのかは
ロティーにはわからなかった・・・

隣を歩くウルスラはちらりとその表情を横目でとらえると内心でクスリとほくそ笑む


「(なんだ・・・・男らしい顔もできるじゃないか)」


夕焼けを横から受けたクラウディオの表情は・・・・
信念と誓約を立てた騎士のように精悍な顔をしていたのだった。


「・・・・・む」


ウルスラが急に立ち止まる


「?何?」

「・・・・・なんや、気配がする・・・・」

「どうやら、サハギンさん達がお迎えにきてくれたようです」


みれば、川の上流からいくつかの陰が動き。森の中からも
人影のようなものがチラホラ見え隠れしていた


「・・・・大丈夫なのでしょうか?警戒されているのでは?」

「一番近くに村を持つ魔物が魔術でサハギンの村に事情を伝えてくれているらしいから、
おそらくは私達が来ることは伝わっているはずだけれど」

「不安がたぎる」

「よぎる、な」


みれば、頭だけ出してこちらを伺っているサハギンの皆さん
アイコンタクトで指示を送り、連携しあいながら接近してくる


「ロティーよ、お前達はいつもこんな感じなのか?」

「・・・・概ね、しかしはたから見てわかりました・・・・・変です」

「よかった、変だと思ってくれて・・・・」


そう言っているうちにサハギン達は物陰から自分達を取り囲むように隠れている、
ナンダコレ


「皆・・・・この人達、危険じゃない・・・・・」


ロティーがクラウディオ達よりも一歩前にでて、わりかしサハギン的には大きな声で
事情を説明する


「・・・・・ロティーなのか?」

「そう・・・・・・」

「・・・・・ロティー」


声のテンションで悲壮間たっぷりに見えるが、彼女達的には狂喜乱舞
あっぱれ天下御免である
物陰に隠れていたサハギン達がでてきてロティーに寄ってくる


「無事だった・・・・よかった」

「・・・・・怪我はない?」

「心配したよ・・・・・よかった・・・・」


皆はロティーを気遣う言葉を次々と投げかけ抱きついていく
恐らく体が縮んだことも説明済みなので、彼女たちも驚くことはなかった
ロティーもそこらへんは理解しているのか素直に彼女たちの心配を受け取り、
感激の涙を流しているのであった


感激があふれる和の中から背の高いサハギン、
見た目はヴィオレットと同い年くらいのサハギンがでてくるとクラウディオ達に一礼する


「・・・・・・ロティーを、仲間を・・・・助けてくれて、ありがとう・・・・・・」

「いいんですよ・・・・だけど、彼女に関してはまだ・・・・私達の力不足です
彼女の体を元に戻して差し上げられませんでした」

「・・・・良い・・・・皆感謝してる・・・・・」


特徴的にポニーテールをしている別のサハギンがでてきた


「あなた方を村に招きたいんです、ババ様も皆もお前にお礼の言葉を言いたがってる」


めっちゃ流暢に話された


「よ、よろしいので?」

「ええ、歓迎します」


流暢な言葉をしゃべるサハギンに続き、サハギン達は無言で頷く。
彼女たちの表情をよく見れば、うっすらと笑みを浮かべているのがわかった。

中でもロティーはさっきまでの悲しみの表情はどこへやら、輝くような笑顔で
頷いてくれた。

クラウディオ達にも、自然と笑みが浮かんだ


「・・・・・それでは、お邪魔いたしましょうか♪」

「そうね♪」

「ククク・・・・」

「おっ邪魔しま〜〜〜す♪」


長く山を登ってきていても、今は格別に足も軽かった。










 〜サハギンの村〜


「予想通りでしたが」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「村の方々がとても無口なようで」


村に居るサハギンたちがクラウディオ達を眺めながら取り囲んでいる
若干歓迎されているのか包囲されているのかわからない

ちらほらと男が見えるのは恐らく彼女等の夫達であろう


「仕方ないさ、魔物にもそれぞれ特性という物がある」

「歓迎・・・・されてるのよね?ロティー」

「・・・・・はい・・・・・皆喜んでおります」

「そ、そう」


サハギンの中から小さなロティーほどの背格好をしたサハギンが出てきた。
しかし、サハギンの特徴的な鱗は他と違っている、肩にかかる部分はフリルがついており
腰にはバレオが巻かれて、頭の上には月桂冠が乗っている

そのサハギンの隣を歩くインキュバスの青年が一人、金髪で隆々とした
褐色の肉体を持ち、しかしながら青年らしい若々しさと爽やかさを持った男だ


「・・・・・・・・・・・・・ババ様、オヅイ様」

「よく無事で帰ってきてくれました・・・・心配したのですよ、ロティー」


物静かで優しい声、やんわりと優しい顔をした少女はロティーの前にまで歩いてくると
ポンポンとその肩を叩く・・・・物腰の柔らかそうな彼女はそのままロティーを抱きしめた


「本当に心配したんだよ、村の男達を集めて捜索に行こうかと思ったんだ」

「いえ・・・・こちらの方々に助けていただきました」


ババ様とオヅイと呼ばれた青年がクラウディオ達に視線を向けると
すがすがしい笑顔で深々と頭を下げてくれた


「お話は他の者より伺っております、私はこのサハギン達を束ねる長をやっております
シィー・ハルグと申すものです・・・・こちらは夫のオヅイ・ハルグ」

「オヅイです、本当にありがとうございます。我々村の男でも魔物狩りからこの子達を
救う事ができたかどうかわかりません。お礼の言葉はつきませんよ」

「いえいえ、こちらも力になれたのならば何よりです・・・・」

「・・・・・?」

「?」

「えっと・・・・失礼ですが、お名前は?」

「クラウディオ・バンデラスと申します」

「! やはり貴方でしたか・・・・逃げ出してきたんですね」

「!」


クラウディオの素性を知っているものが意外な所にいた・・・・・
クラウディオも警戒色が表情に浮かび上がる、しかしオヅイはあわてて手を振った


「ああ違うんです!!・・・・実は僕、元々あの国の騎士団に属していまして」


言うに

彼は元々騎士団で副団長にまで上りあがった名騎士だったそうで、
国の女王の護衛も任されていた時もあったという。しかし
女王が謎の不審死を遂げクラウディオが拘束されるまでを、
すぐ目の前で見てきたのだという


「というよりあの時貴方を捕まえていたの僕なんですけどね・・・・しかし、
貴方が女王を殺したなんてことはどう考えてもおかしいと思っていました、
現体制に異論を唱える派閥から事の真相を明かす指令を受けて女王殺害事件を
調べていたんです。

まあ結局、国王達にばれて殺されかけたところを逃げ出して・・・・
命からがらここに流れ着きシィーに拾われたんですけどね」

「そうだったんですか・・・・」

「もちろん、あなたがそんな凶悪な人間だとは思ってはおりません、実を言うと
女王殺害の真相も知っているので貴方がやっていないことも知っているんです」

「! そう・・・だったんですか・・・・後で聞かせてくれませんか?」

「ええ」

「オヅイと繋がりがあったとは驚きです、とはいえ皆様方もお疲れでしょう・・・・・
あちらで歓迎の準備も整っております。まずはそちらでもてなさせてくれませんか?」

「断る理由がないな、世話になるぞ」

「お世話になります」

「ご丁寧にどうも、お世話になります」

「フフ・・・・ではこちらへ」










無口なサハギン達の宴はどんなものかと不安が混じっていたが、始まってみれば
それは人間のものとさして変わりはなかった。

心を躍らせる弦楽器が鳴り響き、水の流れのように美しい音色が流れてみれば
時には打楽器が鳴り響き、雨のように跳ね回る水を表現する
ケルティック音楽が心地よく鳴り響いている

中心には篝火ではなく、なんと火の光のように美しい光を放つ巨大な水の球体があった
篝火ならぬ篝水というところか、その光を放つ水球を中心に女子供が舞い踊る

無口な彼女達からは結びつかないほど楽しげに音楽と踊り
このときは彼女達も無口な顔をせずに笑顔を浮かべていた


「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!近こう寄れ近こう寄れ!!
んぐ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッパアアアアアアア!!!アハハハハハハハハハハ!」


ウルスラは両脇にサハギンの娘達を囲み、彼女達が注ぐ酒を豪快に飲み干しては
豪快な笑い声を上げる


「お楽しみ・・・・いただけておりますか?ウルスラ様・・・・」

「いや愉快だ!!愉快だぞ!!うむうむ・・・・お前達の持て成しは筆舌に尽くしがたい
程良い!このウルスラ!!お前達のもてなしの心に感謝する!!」

「・・・・・ウフフ・・・・ささ、杯が・・・・空いております」

「応!!お前達も注いでいるばかりではなく飲め!!・・・・・それとも」


ふわりと、その凶暴なドラゴンの指が優しさを帯びながらサハギンの娘の顎に触れて
くぃっと上に持ち上げる


「私が・・・・・口移しで飲ませてやろうか?」イケメンボイス

「ぁ・・・・・・//////」

「ふ!!アハハハハハハハハハハハハハ!!」

「・・・・・・人妻なのに・・・・・」

「フハハハハハハ!!ならば尚のこと愉快だ!!おい!お前がこの者の夫か!?」


ウルスラは視線を向ける青年に声をかけると、青年は困った笑顔で肯定した


「え、ええ・・・・」

「フッフッフッフッフッフ!!魔物が裏切らないものだからといって安心しているなよ
いつも同じような営みばかり繰り返していては、今は来ずとも何れは飽きも来るぞ!」

「ええ!?そ、そうなんですか!?」

「たまには趣向を変えてみることだな、また違った世界をみれるやも知れんぞ?」


ゴクリ、と音を鳴らしたのはサハギンたちだった


「ウルスラ様は・・・・・どのような・・・・」

「あちらの・・・・・クラウディオ様が・・・・・・夫であらせられるの・・・・ですよね」

「ムフフフフ、聞きたいか?そうだなあ・・・・・まずは我が夫クラウディオについてだが」


彼の知らないところでクラウディオの性剣伝説〜絶倫の章〜が幕を開けた

彼女達のもてなしを心より感謝し、遠慮など無用にそのもてなしを受けるウルスラの
周囲には何匹のサハギンたちが集まっていた。






「へ〜・・・・ほなこっちの料理は?」

「ミルキヴォ・・・・・・・白身の魚をドゥムの実と一緒に」

「一度皮を焼いて・・・・・・蒸す・・・・・」

「殆どの子は・・・・・・・・・火を・・・使えないから・・・・」

「男達が作る・・・・」


すると、千代やサハギン達の前に、本来ならば狩に出そうな屈強な男達がエプロン姿で
現れて料理を運んできた


「ほれ、新しい料理の到着だぜ〜〜」

「おっは♪これまた美味そうな。ここの男衆は料理できるんやねぇ」

「でも、それを食べるのは殆ど人間だけで、彼女達が食べてくれても冷めた物
ばかりだから、こうして熱々の料理を食べてくれる人ってのはなんだか新鮮だよ」

「ああ、サハギンなら魚を捕まえて食べるんだけどな、俺たち人間はどうやったって
生魚なんて食べられねえからな」


屈強な男達が笑顔でそういうが、千代の横に居たサハギンが流し目で


「・・・・・根性なし」

「おいおい・・・勘弁してくれ、流石に生魚を食ってりゃ腹壊すぜ・・・・そう言ったなら
お前だってこれを食ってみろよ」


湯気が立つ料理を見て訝るサハギン達、彼女達にとってはあれだ、沸騰したお湯を
飲むようなことなのだろう


「ほれみろよ」

「うちの国には魚を生で食べる文化があんで?」

「え!?それ本当なんです!?」

「刺身っちゅうてなあ、海に面した地方やったら海に住む魚介類の身を食べんねんな?
なんや川魚はよぉ「あたる」から言うて食わへんけど・・・・」

「へ〜・・・・それでも魚を生で食べるなんて・・・・」

「別に・・・・・普通・・・・」

「普通・・・・」

「・・・・普通」

「テラ・・・・フトゥー・・・」

「いやいやいや・・・・それよか、お姉さんよ。あんた別の国から来たんだろ?
そっちの料理を教えてくれよ」

「だめ・・・・客人」

「あははははは!!ええよええよ、うちもこんなおいしい料理並べられたら
一行の台所事情を預かる身として腕も鳴るっちゅうもんやで〜〜〜!!!!」


千代はいてもたってもいれずに料理人としての腕を披露し始める・・・・
男衆はもちろん、料理に関心を抱いているサハギンもまた彼女を囲む
彼女達の楽しい文化交流が幕を開けた









「ヴィオレット様・・・・・・あ〜ん」

「あ〜〜〜〜〜んッ♪  んん〜〜〜〜〜〜!!」


キンキンに冷えてやがる!!

サハギンの女の子が、川でよく冷やした山の果物で作ったフルーツポンチを
ヴィオレットに食べさせてやっている・・・・それも一人ではなく、何人もの子供に
囲まれて


「(嗚呼・・・・・知らなかったわ・・・・こんなにも素晴らしい楽園があったなんて)」


サハギンの子供達に囲まれてすっかり悦になっているヴィオレット
なんとか今は「可愛いものを愛でる」レベルで留まってはいるが、いつタガが外れる
かも知れない危険も孕んでいた


「(それに比べてあいつといえば可愛げがないのよ・・・・)」


友の顔が浮かぶ、何故か凄まじく意地汚い顔で胡散臭い笑みを浮かべている
バフォメットが浮かび上がっていた


「・・・・・・」


ふと・・・・


「(・・・・・何してるんだろ、あいつ等)」


友人の顔が浮かんでは消える・・・・そのバフォメット、彼女の姉、デュラハン
腹の立つ幼馴染の同族・・・・・そして・・・・

二度と見ることもない、親友だったナイトメアの少女の笑顔


「・・・・・・・・・・」

「・・・・・ヴィオレット様?どうしたの?」

「え・・・・あ、う、うん・・・何でもないの・・・・」

「・・・・・・悲しそうな顔・・・・してた・・・・よ?」

「・・・・・・・・・・・・そうかしら・・・・うん、ちょっと知り合いの事思い出しただけ・・・・
そいつ、大人なのに貴方達みたいにちっこくてね?喋り方もおばあちゃんみたいなのよ」

「・・・・・ババ様みたいな?」

「彼女はまだ品があるわ」

「ヒン?」

「ああ、えっと・・・・ね、なんていうかお上品・・・・同じか・・・・ええっとねえ・・・・
なんていうか、きちんとしてるって意味よ」

「・・・・・・うん、ババ様きちんとしてる」

「きちんきちん」

「・・・・・うふふ、そうね・・・・・きちんきちん、よ」


ヴィオレットは優しい手でサハギンの少女の頭を撫でる・・・・その表情もとても穏やかだ


「・・・・・・ヴィオレット様・・・・・・その人達は?」

「ん、今は旅をしてるから会ってないわ・・・・でも、きっと元気にしているわよ」

「・・・・・・元気だと嬉しい」

「・・・・ええ、嬉しいわ・・・・皆、何もなく元気でいてくれるとね」


ごまかすように笑うが、彼女の笑顔に少しだけ掛かった影を子供達は見逃さない
それが何なのか解らなくても、子供は敏感に察知してしまうのだ。

子供の一人がヴィオレットにぎゅっと抱き寄ってきた


「ど、どうしたのよ・・・・あ、あらら?」


次々とサハギンの子供達がヴィオレットに抱きついていく・・・・
冷たい体かと思ったが、彼女達の体からは確かな温もりが伝わってきた


「大丈夫・・・・・だよ」

「・・・・・皆・・・・元気だよ・・・・」

「だから・・・・ヴィオレット様も・・・・元気になって」


じんわりと・・・・・胸に染みる、涙すら出そうな言葉が次々と飛び出してくる・・・・
ヴィオレットはその小さなぬくもりを感じるように手を広げて抱きしめる


「うん、大丈夫・・・・皆から一杯元気もらったから・・・・あ、そうだ!皆が
もっとおいしいもの食べさせてくれたらもっと元気になるかも!!」


それを聞いた子供経ちは一斉にフルーツポンチに群がり、眼に映った最高に
おいしそうな一切れを串に刺して持ってくる・・・・

ヴィオレットの前には再び天使達がおいしそうな果物を差し出しており
一つ食べると彼女も笑い、一つの小さな笑顔が咲くのであった・・・・・








「やはり、女王が死んだのは・・・・国王の命令であったと」


クラウディオとオヅイは酒の入った杯を傾けながら、あの事件の真相を話し合っていた
クラウディオの予想通り、女王は身内に殺されているのが解った。
戦争を裏で操る国家の女王とは思えない程、民を気にかけて精力的な活動をしており
つねに民衆の信頼を集め、その信望は国王よりも集めていたという

だが、それゆえに目障りになり殺害され、さらにそれを新たな火種にする国王の
やり方にオヅイも心底愛想が尽きたと笑っていた


「残念ながら、僕では貴方の無実は晴らせませんでした・・・・申し訳ない」

「いえいえ、今となっては過去の話ですよ・・・・忘れることは生涯かなわないでしょうが
自由となり、今という時を謳歌しようと思います・・・この素晴らしい光景にめぐり合って
生きていて本当に良かったと思います」

「そう言って頂けると・・・・僕も自分の人生を誇れます」

「フフフ・・・・」

「ハハ・・・・アハハハハハ」


男二人の空間、とっても爽やか也・・・・・芳香剤の匂いがしそう


「男二人で・・・・何をお話されているんです?」


そこにやってきたのはシィーとロティーだ、ロティーの表情からは陰りも消えて
宴を楽しんでいるような表情を浮かべてクラウディオに微笑んでいた


「昔の話だよ」

「私が無実の罪をこうむった原因です、あまり面白い話ではありませんけど」

「そうですか?笑顔を浮かべておられて・・・・・二人とも、とても和やかな話題かと思って
おりましたがね?」

「あはははは・・・・・しかし、驚きましたよ。ロティーがババ様とおっしゃっていましたが
まさかこんなにもお若いとは」

「うふふふ、そうですね・・・・見た目で言えば。しかしこう見えても齢は100を越えて
いるんですよ」

「100・・・・100ですか?!」

「ええ、こちらのオヅイも秘薬を使って若返らせて降りますが・・・・」

「63です」


クラウディオはしばらく呆然としていたが、急にオヅイに頭を下げる


「まさか年上とは露知らず、申し訳ありません」

「いえいえ、そう改まらないでください」

「フフフフフフ・・・・インキュバスとはそういうものです・・・・さて、クラウディオさん」


シィーとロティーは二人の前に座る、穏やかな雰囲気を持っていた彼女が急に
真剣な表情をした


「改めて・・・・・この度は我が同族、ロティーをお助けいただいたこと・・・・
森に住む仲間たちをお助けていただいたことを深く感謝いたします

この森に住まう魔物たち全てを代表してお礼を申し上げます」


シィーの体からはとてつもない圧迫感が発せられている・・・・・
苦しいものではない、彼女自身の品格を現すような、純粋な人柄の大きさを感じる

クラウディオはこの時になってようやく彼女が「長」であると頭の中で理解できた。
さすれば、その人物に応対するやり方も、騎士の内に身につけた礼儀で知っている

クラウディオは緩やかに身をただし、頭を下げて敬意の礼をした


「私めがお役に立てたのならば」

「礼を言うだけではと宴を準備しましたが、本音を言わせていただければ
あなた方にはまだまだ恩を返したいとも思います、

ですが・・・・それはかえってご迷惑をおかけするだけ・・・・

せめて、これよりの旅路を少しでも良い旅であるように物資の補給等
出来る限りの装備の充実をお約束いたします」

「何から何まで・・・・お心遣い感謝いたします」

「明日になれば、各村の長達も到着しお礼の義を払うことでしょう・・・・
それまではどうか我が村にて旅の疲れを癒してください」

「はい、こちらこそ・・・・よろしくお願いいたします」

「はい♪」


ふっと、シィーからの圧迫感が楽になった・・・・クラウディオも頭を上げて微笑み返す


「さあさあ、飲んでくださいな。今宵は宴です」

「あ、これはどうも・・・」


シィー自らがクラウディオに酒を注ぐ、続けて夫であるオヅイ、ロティーにも注いでやり
最後に自分の杯を満たした


「ああ・・・そういえば、シィー様」

「うふふ、様なんて堅苦しい・・・さん付けで結構ですよ」

「は、はい・・・・ではシィーさん、ロティーのことなんですが・・・・」


ロティーの体は戻せないか?という疑問だったのだが、彼女の答えを聞く前に
ロティーの表情が曇った・・・・恐らくは、駄目だったということか


「生憎と・・・・私の体も同じようなもので若返ってはおりますが、
仕組みが少々違いますので」

「・・・・・」

「しかしロティーが言うに随分クラウディオ様から励まされたとか・・・・
お心遣い感謝します」

「いえ・・・・こちらこそ」


ロティーに視線をやると、暗い顔から一転して明るい表情を浮かべている
クラウディオも小さく頷いて笑って見せた


「それで、クラウディオ様が磔にされていた・・・・その原因とは?」


二人は談笑を交えながらクラウディオが捕まった経緯をロティーとシィーに話した
ロティーの顔も話を聞いているうちに驚きの表情に染まる


「ほぉ・・・・四年も捕まっていたんですか・・・・それでよく精神が磨耗しなかったものです」

「ええまあ・・・・あの間何も考えないようにしていたというのもあります、それの性か・・・・
自分でも思いますが感情の起伏が少なくて・・・・今は昔の自分がこんな感じでしたので、
そのように振舞っているんですよ。」

「ふむ・・・・」

「ただ・・・最近では色々な事に感化されて・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・?」


クラウディオは何か考え事をするような表情でうつむいてしまった


「・・・・・・どうか、されましたか?」

「・・・・・シィーさん、一つお願いが・・・・・私の体を調べてもらってくれませんか?」


突然のお願いに皆は頭に疑問符を浮かべた
クラウディオはその疑問を解くように自分の体の秘密を伝える。

五感の鋭敏化、透視能力、超人的な身体能力・・・・
元々一般人だった人間の自分にそんな能力が発言したのは逃げ出した後だからとのこと

それを打ち明けたのだ


「なるほど、確かにそれは不思議だね・・・・まるで教団の勇者みたいだ、いやそれ以上か」

「恩人の頼みごとなら断る理由はありません、それに私も興味が在ります。
いいでしょう、私に出来ることであれば貴方のお体を調べさせていただきます」

「ああ・・・ありがとうございます」

「しかし・・・・」

「?」


シィーは杯をゆらゆらと揺らしてにっこりと微笑む


「今は宴・・・・調べるのは、この大切な楽しい一時が過ぎても・・・・遅くはありませんよ?」

「・・・・・・そう、ですね」


クラウディオも気がふっと楽になる思いだ・・・・手に持った酒を一気に飲む。


「・・・・・クラウディオさん、お注ぎ致します」

「ええ、お願いしますロティー・・・・」


こうして、楽しい宴の時間が流れていくのであった・・・・・










宴も終わり、酒に呑まれたウルスラ、流石に働き通しの千代、食べ過ぎのヴィオレットは
サハギン達に担がれて客人応接用の宿へと運ばれていった

クラウディオは村長夫妻、ロティーと共に村長宅へと来て自分の体を調べてもらうことに

他の家は六角形のテントのような住まいだが、村長宅は木々によって組み上げられた
立派な家屋であった


「・・・・・・・・」


シィーが目をつぶりながら、装飾が施された木の枝をもち。正座するクラウディオの前に
胡座をかいて座り、その枝をクラウディオの胸へと当てて目をつぶっている


「・・・・・・・」

「・・・・・・・」


かれこれ20分ほど・・・・こうしている
シィーの集中力はすさまじく、声をかけることすら躊躇うほどである。


「・・・・・・」


スっとシィーの目が開かれた、サッと立ち上がると踵を返し、
背後にある薄い水を張った大きな盆の上にあがり、そこに座る。
どうやらあの盆はサハギン達でいう「座布団」そのものらしい


「そうですね・・・・なんと言っていいやら」

「何か、お解りに?」

「・・・・そうですね、簡単にいいますと・・・・貴方の体には二つの性質を秘めているという
事です」

「二つ?」

「一つは魔物達の有する魔力を多量に秘めています、対してもう一つ
非常に奇妙なことなんですが、それとは真逆、神聖性を帯びた力と申しましょうか、
神の加護を与えられた勇者の力ににていますね」

「その二つがあると」

「はい、それが上半身と下半身で分かれ、逆巻いて混ざりあっております・・・・
股間のあたりで」


なんだか一気に下の話へと流れ出してしまいそうだ


「ただどちらが強く、というわけでもなく、その二つは調和して解け合っているのです。
奇妙な話です・・・・水と油が混じりあっているような、そんな状態ですよ」

「はぁ・・・・しかし何故私はそんな状態に・・・・・?捕まっている間は特別何か
魔術や魔法をかけられた覚えはありませんが」

「そうですねえ・・・・コレは私の推測の域をでませんが。寧ろそれこそが貴方を
異常たらしめたのかもしれません」

「?」

「四年という長い年月において、貴方は多くの人々から神の信仰の対象となって
いました、それも大勢の人間達に拝まれて・・・・それによって貴方自身が神聖性を
帯びてしまったのかもしれません」

「しかし、彼らは私という人間ではなく、神に祈っていたんでしょう?
私はただ祈りを向けられる対象としてそこにいただけです」

「ええ、しかしそれで十分です。考えてもみてください・・・・ただ棒を縦と横に繋ぎ合せた
クロスが何故神聖性を帯びているのです?元をたどればそれは木や鉄です・・・・
神秘の対象として形をなすだけでそれは神聖性を帯びます」

「つまり・・・・クラウディオさんは・・・・・長年拝まれてきたから・・・・その体に神聖性を宿して
しまった・・・・・と?」

「推測ですが・・・・ね、しかし、貴方自信は特別神を信仰しておらず、祈りを捧げる民達も
自分達が敬愛する女王を殺したとして憎しみを貴方にぶつけていたと思います」


確かに、磔にされている間はそういうまなざしを強く感じていた・・・・
怨念というものだろうか、彼らが自分を憎む気持ちは強く感じていた

クラウディオはしっかりと頷く


「しかし、そういう怨恨を秘めた感情はそれを向けた人を狂わせる・・・・だけど
クラウディオさんは良い人じゃないか」

「えっと・・・・それについては私が感情を表現するのが苦手だということでして・・・・」

「ふむ・・・・・あるいはその狂気から逃れようとするために、防衛本能として感情の起伏を
無意識に押さえているのか・・・・・」


「クラウディオさんは・・・・・良い人です」


そう言ったのはロティーだった・・・・しっかりとした声で断言する


「私が・・・・・・・・落ち込んでいたときや・・・・・・困っていたときは・・・必ず声をかけてくれた。
・・・・・・貴方が心配してくれたときは・・・・・いつも・・・・心が温かくて強くあれた・・・・
そんなことができるのは・・・・・・良い人じゃないとできない」

「・・・・ロティー・・・・」


真剣な眼差し・・・・クラウディオも「恥ずかしさ」と「うれしさ」を感じて照れるように
頬を人差し指でかく


「ふふ・・・・ずいぶん入り込んでいますね、ロティー」

「え・・・・・あ・・・・・・ぅ・・・・」

「ふふふ・・・・さて、話を戻し、私の結論を出しましょうか・・・・

神への信仰、人間の歪みを同時に受け続けたが故に、この背反した二つの性質を
持つようになったのではないのか・・・・そしてそれは二つとも歪んでいるから故に
同居してしまった、私はそう考えます」

「むぅ・・・・・」

「それで結局それは・・・・彼の体にどういう影響を与えているんだい?」


シィーは口元をその装飾した木々で隠す
糸目のように閉じていた目がうっすらと開き、金色の目がクラウディオの体の
中心を見据えた


「打ち消す・・・・とでもいいましょうか、私も試しに貴方に魔力を注ぎ込んでみましたが、
それは貴方の体に入り込むばかりか、ふれた瞬間に消え失せてしまいました。
それとは別に、自然のエネルギーを集め、人間の魔力と同じものを注いでみましたが、
やはりそれも消された

どうやら、貴方の体は「魔的なものを消滅させる力」を有しているようですね

神聖な魔力が魔的な魔力をを撃ち殺し、魔的な魔力が神聖な魔力を撃ち殺す
そう言った具合です。

しかし、それはあくまで体の中に入ってくる魔力に対してのみ効果をあらわします、
体外で起きている魔的な変化に対しては違和感を覚える程度でしょう」


あの霧の城でオネルヴァの幻についても違和感を覚える程度だった。なるほどと頷く。


「あの、不思議な感覚は?」

「神聖の加護を受けた勇者達、魔に変じたインキュバスにも同じような超人的な
感覚能力を持っているものもいます、おそらくはそれと類似したものかと・・・」

「勇者でもなく、インキュバスでもないが・・・・その魔力を有してしまったが故に
その異様な身体能力をもってしまった、てところじゃないかな」

「然り」


クラウディオは自分の体をしげしげと眺め、胸や腹に触る


「え、えーと・・・・一つ下世話な話になりますが気になることが一つ」

「どうぞ」

「ウルスラさんと千代さんに・・・・何度か精を注ぐ機会があったのですが、
どうやら自分のそれは魔物にとって上質なそれなのだそうで・・・・」

「自慢ですか?」

「ち、ちがいます!!」

「冗談ですよ・・・・ふむ、確かに・・・・そう言った力を消滅させるのに逆に貴方の精は
具合の程は置いておき、魔物の力を増幅させているとはおかしな話ですね・・・・」

シィーは再び目を閉じて考える・・・・・


「すみません、クラウディオ様」

「はい」

「もう少し詳しく調べたい、貴方の体液を少々いただけますか?」

「体液・・・・というと」

「そうですね、唾液と血液と・・・・・精液、この三つです」


さて、とんでもない提案が来たぞっと
前の二つは別に構わないとして・・・・後者のそれはいかがなものかと


「変な期待はしないように、三つ目は自分でマスかいて出してください」


厳しい言葉である、別にクラウディオは期待していたわけではないが、ちょっと空しい


「!!・・・・・そーですねー・・・・」


シィーの顔が変わる・・・・まるでいたずらを思いついた少女のような顔だ、
それを悟られまいと木で再び口元を隠した


「生憎他のお連れ様方はお休みになられていますし・・・・
村の娘の誰かに声をかけてみてはいかがでしょう?年頃の娘も多くいます、
喜んで協力してくれると思いますよ」

「いや・・・・



「こちらの葉の上に乗せてくださいね?ああ、多少別の液が混じっても大丈夫ですよ?
そうそう、ベッドが必要ならこの部屋を出て右手にある部屋を使ってください、
防音とか余裕の完備ですから、別に急がなくても大丈夫です、この生命の葉の上に
落とした精液の精子は死にませんから二日たってもピッチピチですとも!絶対に
明日までに三種用意しておいてくださいね?それではおやすみなさい良い夜を」



まくし立てられたあげく部屋からつまみ出されてしまった・・・・・
何故かロティーも一緒に


「・・・・・・」


振り向くと扉の隙間から水掻きがついた手が親指を立ててグッドサインを送っていた


「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」


まあ・・・・・シィーの言いたいことはわかる・・・・つもりだ
しかしながらロティーは顔を真っ赤にしてもじもじとしているし・・・・
いくら彼女が元々大人だからと言って、見た目8つ9つの子供とは・・・・


「・・・・・・・」

「・・・・・・・ぁ・・・・の・・・・・」


勇気を振り絞ったのか、ロティーは震える手でクラウディオの袖をつかみ、真っ赤な顔・・・・
潤んだ瞳で見上げている


「・・・・・・・わた、しじゃ・・・・ダメ・・・・・ですか?」

「・・・・・・・・」


クラウディオは心の奥底で覚悟を決めた・・・・








「ふぅうん・・・・んん・・・・・んんん・・・・ちゅっ・・・・んん・・・・・くぅ」


ロティーとクラウディオはベッドの上でキスをする・・・・
ロティーの柔らかく小さな唇がちゅっちゅっとクラウディオの唇を吸ってくる


「(いよいよ犯罪者の仲間入りですか・・・・いえ、公認で本人からのお誘いというのも
ありますし・・・・・・・ああ・・・・駄目だ、思考停止しましょう)」


彼女が一生懸命唇を吸っているのを目の前にして、言い訳を考えている自分が
馬鹿らしくなった


「ぷぁ・・・・・は・・・・・」


顔を真っ赤に染めて眼を潤ませてくる・・・・・かつて感じたことのない異質な欲望があふれてきた


「・・・・・・どう・・・・すれば・・・・いい、ですか?」

「・・・・・それでは・・・・お口でしてくれますか?」

「・・・・・はい・・・・・それではこちらに・・・・」


ロティーのやり易いようにしてやろうとクラウディオは言われたとおりベッドへ寝転ぶ


「失礼します・・・・」


ロティーはクラウディオの体の上に乗ってくる・・・・シックスナインの姿勢だ
彼女はテントを張るクラウディオのズボンを見て息を呑む

そして、恐る恐るだが彼のズボンをずらす・・・・・


「・・・・・ふぁ・・・・」


その大きさに驚きを隠せない・・・・そういえば彼女に性行為の経験があるのかどうかすら
聞いていなかった・・・・


「ロティー・・・・貴方はこういうこと、した事あるんです?」

「・・・・・・いえ・・・・で、ですが・・・・・・その、気持ちよくないかもしれませんが・・・・・・・
精一杯・・・・ご奉仕させていただきますんで・・・・」


そういうと、彼女はその小さな口でクラウディオのものを口に含む・・・・・
舌の大きさからして違う、動きもたどたどしいものだが


「ん・・・・ちゅ・・・・ちゅ・・・・・・・んんむ・・・・っむぅ・・・んんん!」


小さな手で肉棒を掴み、顔を押し付けるほど密着させて舐めてくる・・・・
あの二人ほどの激しさはないが、あの二人にはない感覚がなんとも気持ちよい


「ん・・・・はぁあ・・・・どう・・・・です?」

「気持ち良いですよ・・・・上の・・・・カリの部分を・・・・・」

「こう・・・ですか?ムチュ・・・・・チュ・・・・はぁ、あむ・・・・ちゅぅううう・・・・んんん」


カリにキスをして舌を這わせる・・・・その刺激にビクンビクンと動くペニスを見て
ロティーは嬉しそうに顔を摺り寄せて更に舌を伸ばす


「良いですよ・・・・!」


ふと気づいた事がある、目の前には幼女の股があり、スクール水着のきわどい食い込み
そこの小さな小さな恥丘がふりふりと揺れている


「・・・・・・・」

「んんん・・・・はぁあ・・・・あむ・・・・チュルルルルル!!ジュブ・・・・・ん・・・・!?
ヒアアア!!?
な、何を・・・・・・んぁ・・・・あぅうん!!」


クラウディオは人差し指でくちくちとその小さな割れ目を擦る・・・・子供の体であっても
ちゃんと濡れているし、ピンと張った豆があることも伺えた


「いえいえ、私だけ気持ちよくなるのも申し訳ないかと思いまして・・・・」

「ひゃんぅ!! んあ!・・・あぶ・・・・チュゥウウ・・・・はぁあ・・・・ジュルル・・・・んぁぁぁぁあ
あ・・・・ふぅうっ♪・・・・・いあ・・・あぁああ・・・・・ヂュル、ヂュルル!!はぁあん♪」


弄ってやれば弄ってやるほど彼女の舌使いも激しくなる、クラウディオも快感によって
マグマが滾りこみ上げてくる感覚を感じていた


「んぶ・・・・くぅううん・・・チュルルル、ヂュル、ヂュ〜〜〜〜〜〜・・・・」

「は・・・・・ロティー・・・・そろそろ・・・・」

「ヂュルル!んんんんんんん!!くぅふ・・・・ヂュルルルルル!・・・・あぁは・・・・はぁ・・・・」

「ロティー?」


すっかり舐めることに夢中になったロティー、ビクンビクンと跳ねるペニスが爆発寸前だと
理解したのか、なんとその水かきのついたすべすべした手で擦り始めた


「っく!?」


予想外の刺激にうっかりタガが外れてしまった、ビクンと大きく跳ねた魔羅
それをみて衝動的にロティーは亀頭の先を口に含んだ。

瞬間


「つぁ!!」

「んぶ!?!?んはあああああ!!!ああああああぁああ!!や、あむ・・・んぐ・・・・
ゴク・・・・・・ゴク・・・・んぶふ!!熱・・・・・あぐ・・・・んぶ・・・・ごく・・・・・ごく・・・・・・ごく・・・・」


ロティーの小さな口の中に放たれた精液はすぐに彼女の満タンにした
ロティーはその小さな喉を鳴らしながらあふれ出る精液をこぼしながらも飲み干していく


「・・・・・くふ・・・ぅあ・・・・」

「・・・・・・・・」

「あ・・・・ぁ・・・・・・・・・・出して・・・・・沢山・・・・」


ロティーはうっとりしながら精液を飲む・・・・
初めて飲んだ精液がまるでお酒の様に彼女を酔わせた。
彼女は顔についた精液をその独特な水かきのついた手で丹念に集め、
手のひらにたまった精液を飲んでいく・・・・・

その光景は子供のすることとはかけ離れ、彼女からは正真正銘の女の色香が
漂っている


「・・・・・気持ち・・・・良かったです?」

「・・・・ええ、とっても・・・・・ですがロティー」

「?」

「・・・・全部、飲んでしまいましたね」

「・・・・・・・・・・・・ぁ」


ロティーは顔をボっと赤く染める・・・・その仕草が非常に可愛い


「あ、あぅ・・・・・もう一度・・・・します・・・・」

「ふふ・・・・お願いできますか?今度は別の方法で」

「?」

「ちょっと向こうを向いて立って頂けます?」

「・・・・・はい・・・」


ロティーは言われるがまま立ち上がる・・・・スススっと後ろからクラウディオが
近づいてくるのがわかった

そして、お尻の下の方にペニスが当たる感触を感じた


「えぇ・・・ぅん・・・・」


ロティーのまたの間からクラウディオのペニスが頭を出している状態である。


「足・・・・そのままで」

「は、はい・・・・・んくっ・・・・・」


いわゆる素股と言う奴だ、彼女の股をクラウディオの熱い肉棒がゆっくりと前後し始める


「んん・・・・はぁ・・・・ん・・・ちゅぅ・・・・っ・・・・ふぅうん♪・・・・・」

「こうすれば・・・気持ち、いいですよね・・・・」

「は・・・・ぃ・・・・・あぅん・・・・っつあ・・・・・・あぅふ・・・・ぅあ・・・・・あぅううう・・・・くぅううん」


切なげな声をあげる・・・・クラウディオは手を伸ばしてシィーから渡された葉を持つと
ロティーの目の前に差し出す、彼女は震える手でそれを取った


「んんん!!んあ・・・・あぅうううっ♪・・・・ひぁ!あ!ああぅう!!くふぅうううん♪」

「気持ち・・・・ぃいですよ・・・ロティー・・・・貴方の・・・この服・・・・・とってもすべすべ・・・
してて・・・・貴方のここも・・・・柔らかくてね」

「ひぁああん♪んああああ♪っつぁあ!ひぃいいいん♪あぅうあ♪うんんあああああああ♪」


カリがクリトリスを引っかくたびに彼女から嬌声が上がる・・・・
その度に彼女の小さなヴァギナから愛液があふれ出て、すっかり竿はドロドロになった


「可愛いですよ・・・・ここも」

「ひぁああ!!」


きゅっと小さな乳首をつねってやれば可愛い声が上がる、彼女の反応全てが
クラウディオの興奮を掻き立てた

小さな女の子への性的な行為・・・・それに背徳を覚えながらも興奮している自分がいる
心の中で「最低です」と言いながらも、免罪符を渡され欲望を目の前にちらつかせては
答えなければ男ではないとか考える

するりと彼女のスクール水着の中に手をしのばせると、平らな胸に小さく膨らむ蕾を摘む


「んやぁ・・・・ちく、び・・・・ツネっちゃぁぁぁやらぁああ♪・・・・はひゅ・・・・みゅうううん♪
うぁ、はあぁ・・・・・ひあ・・・・・ああああああああああぅ♪ ふみゃあああああああ♪」

「フフフフ・・・・こっち、向いて下さいな」


ロティーが首を横にまで捻ると、クラウディオは優しく唇を塞ぐ


「あぅん・・・・チュ・・・・ぁ・・・・んんっ!ちゅ・・・・・・・んんんんんんんんん!!!ぷぁ
あぅうううんっ♪ひぁ・・・ぷ、んんん!く・・・・ふぅううあ・・・・ぁん!!」

「キス、好きですか?」

「はぁん・・・・しゅき・・・・・しゅき・・・・ぃ・・・・・これぇえええ♪・・・っぁあっく・・・」


腰を振るスピードは更に激しく、更に加速していく・・・・すでに大洪水である彼女の股が
ぐちゅっ!ぐちゅっ!と音を立ててこね回される


「あぅっ!!あああうぅ!!!わ、わたしぃい!!へん!変な!!っクル!!」

「・・・・・イキ・・・そうでなんですね・・・・いいですよ・・・・私も・・・もう・・・」

「ぅぅうぅぅうう!!んっくぅあ!!はぁああああああああああ!!ああぅう♪
きちゃ・・・来て!真っ白にぃいい♪」


バチバチと頭の中で理性が切れて思考が停止する。膨らみに膨らんだ快楽の風船が今・・・・


「ぃ・・・・・あっはあああああああああああああああああああああああああ!!!」

「つぁあ!!」


彼女の絶頂と共にやわらかい肢体が収縮、彼の怒張を挟んでいた股も思い切り
閉められた。

クラウディオはロティーの手を持って葉を自分の亀頭にあてがうと
その強い締め付けからくる心地よい刺激に身を任せて欲望のマグマを迸らせる

ビュルビュルと白い精液が葉にあたり、到底その葉の上に乗らない量の精液が
出たのだった


「はぁ・・・・・・・・はぁ・・・・」

「・・・・・・はぁ・・・・っふ・・・・一杯・・・出ました・・・・・・ね」

「ええ・・・・とても気持ちよかったですよ・・・・・ロティー」

「・・・・・・・」

「しかし・・・・よく出た物です」


まじまじと葉を見るが、すでに精液に塗れてどろどろである。
ロティーの手も白く染まっている・・・・・

彼女はいてもたってもいられずにその精液を舐め取り始めた・・・・


「ぁむ・・・・・ちゅる・・・・ヂュル・・・・はぁ・・・・・・・・・・・ここも・・・・ん・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「クラウディオ・・・・・さんの・・・・・ドロドロ・・・・」


ロティーは四つん這いになってクラウディオの魔羅に舌を這わせて付着した精液を
舐めとっていく・・・・まるで中毒者になっているようだった


「・・・・・・クラウディオさん・・・・・」


ロティーは顔を真っ赤に染めながらもその潤んだ黄金の瞳でクラウディオを見据えてくる
ペニスに頬ずりをしながら無言の視線・・・・・


「・・・・・・・・・・・」


流石にそれは・・・・という言葉が喉の奥で引っかかっている。
彼女が言いたいことは理解した、やりたいことも・・・・だがそれは・・・・・
最後のモラルがクラウディオを引き止めている


「・・・・・エッチ・・・・したい・・・・・・です」

「してる・・・じゃないですか?」


ロティーは眼を細めて身を起き上がらせると、ベッドの上で股を開く・・・・・
小さな割れ目を自分の両手の人差し指で開けた

それは間違いなく未成熟な性器官のはずだった・・・なのにその色めかしさと言ったら
どうだ?
子供の幼さと大人の淫らな匂いが交じり合った・・・・官能的、背徳的な誘い


「ここ・・・・・ムズムズして・・・・・・・だめ、なんです・・・・掻き回して・・・・・・・ください・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・私・・・・・・・クラウディオさんじゃないと・・・・こんなこと、しません」

「っ・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・欲しいんです・・・・・・」


・・・・・・・・・・クラウディオは溺れそうになった理性をもがかせる・・・・・
しかし、もう我慢も出来なかった

ゆっくりとロティーの上に覆いかぶさり、彼女の唇を奪う


「んんんんん!・・・・・ふぁ・・・・あむ・・・・・・ちゅ・・・・・・・・んく」

「ぷは・・・・・・ずるいですねえ・・・・・ロティー・・・・・」

「・・・・・ずるいです?」

「ええ、だって・・・・・そんな顔されたら・・・・ね?」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・無理そうだったら、仰ってくださいね」


ロティーはこくんと頷く・・・・・クラウディオは二度の射精をこなしてきたのに、今だ
ビンビンと張り詰める魔羅を彼女のそれは小さな穴にあてがった


「(本当に・・・・こんな小さな穴に入るかどうか・・・・・・)」


ウルスラですら最初はかなりキツそうではあった・・・・彼女の小さな穴に入れたとき・・・
クラウディオは細心の注意を払いつつゆっくりと彼女の中への進入を試みた


「んっ!・・・・・・・っ・・・・・・・・・・ぁぁああああああああああああああああああああ!!!」

「! ロティー」

「だい・・・丈夫です!!・・・・・っはあ!!幼児・・・・・退行を・・・・起こすクスリは・・・・
幼い膣でも・・・・・・・・・性行為が・・・・できるように・・・・・体をやわらかく・・・・する効果も
あるって・・・・・・・ババ様が・・・・・・・」

「しかし・・・・」


すっとクラウディオの頬に触れる小さな手・・・・ふと彼女の顔を見れば


「・・・・ここで・・・・やめたら・・・・・・ずっと困った・・・・・顔・・・・しますよ」


なんて、精一杯の笑顔で言われたら・・・・・・・・。彼女は思いのほか・・・・したたかだった
挿入をゆっくりと・・・・やさしく進入させる


「・・・・・・んぅうう!!っくうあ・・・・・・・・あああ!!っかは!っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「この・・・・まま・・・・・」


ズブズブと入り込んでいく剛直は彼女の小さな未開の聖域を侵していく・・・・・


「っつ・・・・・あぎ!いぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいああ!!」

「・・・・・・・・・・・入り、ましたよ・・・・!」

「・・・・・は・・・・すごい・・・・・・・・お腹が・・・・」


驚くべきことにロティーの膣はクラウディオの魔羅を全て飲み込んでいた。
ギチギチに張り詰めたお腹がペニスの形にぼっこりと膨らんでいたのである


「・・・・・・んん・・・はぁ・・・・・」


ロティーは愛おしそうにその膨らみを撫でる・・・・結合部からは血が流れてはいるが
その痛みすらも彼女にとっては無上の歓喜を沸き起こす


「・・・・・・・動いて・・・・ください」

「大丈夫ですか?」

「・・・・・もう・・・・壊して欲しいくらい・・・・貴方が欲しいんです」


ロティーはまるでしがみ付くようにクラウディオの首筋に腕を回す
クラウディオは一度彼女にキスを送ると、腰を動かし始めた


「ウァアアアアアアアアアアアアアア!!?ヒアアアン!!ッツゥアッハアアアアアア!!
クゥフ・・・フアウアアアアアアアアアアア!!アァアア!アゥッゥン アアッハア!!」


ぼこ、ぼこ、と往復するたびに彼女のお腹が出る。内臓をえぐる感覚に
痛みと苦しみの中に沸き踊る快楽が次第に彼女の声を嬌声へと変えた


「アアアァアアアアアッゥ!!!・・・・・ヒアアアアァァァァアアン!!ンンンンンンン!!
カハッ!!!ぅぐ・・・ンアアアアアアアアアアアアアアアア♪ヒィイ!!ィイイイイイアアア♪

「く・・・・ぁ・・・・」


挿入を行うクラウディオも未知の感覚に襲われている
ギチギチに締め上げるヴァギナは隙間がなく、肉襞がゾリゾリとこちらの魔羅をこそぎ上げて
痛いともいえる、だがそれが強烈な快楽となって伝わってくるのだ

互いに味わう痛みと快楽が二人の意識を徐々に霞ませる


「ゥウウアアアアアアアン♪ヒミャアアアアアアアッ!アゥッ♪アンッ!!ア、ア、ア、ア!!
アヒィイイィイイ!!イア・・・・ア、アアア!!!」


ふと気がつけばロティー自身からも腰を振ってきていた、愛おしそうな表情でクラウディオを
見上げている・・・・・クラウディオはたまらずに彼女にキスを送る


「んぁっ!! ふぅううううううん!! ああっく・・・・・いあぁああん♪」


唇に、頬に、額に、喉に、瞼に・・・・接吻をし、舌を這わせればそれだけで彼女は嬉しそうに
声をあげてもっともっととせがんでくる


「はぁ・・・・・ロティー・・・・・っぁ」


ぎゅっと彼女を抱き寄せて最後のスパートをかける、もはや彼女の小さな体が壊れるほどに
腰をふるっていく


「ツッ――――――――――――――――――――――――!!!

キャアアアアアッハアアアアアア♪アアアアアアアアアゥウウウウウ!!ッカハ!!

ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!ハァアアアアア!!!  アギ・・・・ィイイイ」


「・・・・ロ・・・・・ティー!!  ッ!!!」


ロティーはぎゅうっとクラウディオに抱きつきながら、その快楽の爆発を感じる
白いマグマが自分の腹に叩きつけられた衝撃で彼女は一気に衝天した



「クウウァ・・・・・ヒァアア!!アヒィ♪イ・・・・クゥウウウウウウウウウウ!!!!

ッ・・・・・・・・・・――――――――――――――      イ・・・―――――――  

ハァァァアッアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」



クラウディオも彼女を抱きしめながら欲望を際限なく彼女の膣内にばら撒く。
ロティーは顎を震わせながら快楽に飲まれた表情でその甘美な余韻に浸っている


「・・・・・・・・ひ・・・・・ぅぐ・・・・く・・・・」


ペニスを引き抜いてみると、ゴピュっと音を立てドロドロの精液が彼女の小さな膣穴から
出てくる・・・・・まるで精液のお漏らしをしているようだ。

精液がパンパンに入ったお腹はまるで妊娠したかのように膨れ上がり張っていた
荒い呼吸をするロティーは、空ろな眼でクラウディオを見上げてきた


「・・・・・・とっても・・・・・幸せです・・・・・」

「・・・・・・・・・そうですか・・・・・良かったです」











激しい性交を終えて、二人はドロドロになったシーツを誤魔化す様に丸めて
ベッドの脇に置いた。

それはとてもご丁寧に替えのシーツが使ってくださいさあどうぞ、と言わんばかりに
扉の横に置いてあったのはすでにこの部屋がそういう部屋なのか・・・・
それともあの長の計らいか

二人はキレイになったベッドの上で寄り添うように横になっている


「・・・・・・クラウディオさん」


そっと、愛しい男の名を呼ぶ


「はい?」

「・・・・・申し訳ありません・・・・・・最後まで・・・・我侭を言ってしまいました・・・・・」

「ウフフ・・・・・・・我侭なんて思っていませんよ、頼っていただけると男としては
嬉しい物です」

「・・・・・・・・」

「こちらこそ、私の我侭に巻き込んだような物ですし・・・・お礼を言わねばなりません。
ありがとうございました、ロティー」

「・・・・・・・はい」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・明日には・・・・・出て行かれるのですね」


キュっとロティーの手に力が篭る・・・・行かないで、と言う様に


「あまり・・・長い間お世話になるのも・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・ロティー」

「・・・・・私・・・・クラウディオさんの事・・・・・・好きです・・・・こんな面倒くさい女も
見捨てずに・・・・・色んな我侭を聞いてくれた・・・・・だから・・・・力になれれば・・・・
あわよくば抱いていただけるなら・・・・・・・それ以上は望まないって・・・・」


いつの間にか・・・・・ロティーはクラウディオの腕にしがみ付いている


「だけど・・・・駄目なんです・・・・・・これ以上は本当にご迷惑以外の・・・・・・・・
何者でもないって・・・・思うのに・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・ロティー」

「貴方の旅を止めたいわけじゃない・・・・・お願いです・・・・・クラウディオさん・・・
私も・・・・・・・貴方の物にしてくれませんか?」

「・・・・・・」

「私も・・・・連れて行ってください・・・・貴方の旅に・・・」


どうにも、欲望という物は厄介なものだ

人間にしても魔物にしても、得れば得るほど満ち足りずにそれを、次を求める・・・・
それこそが原動力となって彼等を動かすのであろうが、それはときにどんな事情や
倫理をも歯止めとならない・・・・・

我侭、迷惑、嫌われたっていい・・・・・幸せでありたいから、欲望を求めたい。
それで身を滅ぼす者だって居るだろう・・・・叶わない願いと判っている者も
いるだろう・・・・・

それでも求めずにはいられない

魔物だから・・・・・愛しい人を求めずにはいられない。


「・・・・・・何の役にも立たないかもしれません・・・・ご迷惑かもしれません・・・・・ですが
私に出来る事なら・・・・・・・・・・・・何でも致します・・・・・だから・・・・・お願い、します」


懇願・・・・


「私はあなたがうらやましいです・・・・ロティー」

「・・・・・?」

「そんな風に・・・・欲望を求める事ができて・・・・」

「・・・・・・・」


彼女達を抱くことはあっても、彼女達を自ら抱きたいなんて自発的には思えない。
思えば、彼女達からの誘いのきっかけこそで行為に至る・・・・

歯止めの利かないことも何度かあった・・・・自分が欲望に身を任せていることも
あった・・・・しかしそれは彼女達が誘ってきてくれたから・・・・

自分からその欲望を沸かすことが難しい・・・・だから、彼女に羨望してしまう


「自分の意思で何かを求められない、ちらつかされ、味をかみ締めてようやく動ける・・・・
そんな面倒くさい男なんですけど・・・・ね・・・・・

今は形だけでも求めようとも思うんです・・・・・千代さんも、ウルスラさんも・・・・そして
あなたも・・・・・愛おしいと思えるように、求めてみようって・・・今は思うんです」


ぎゅっと彼女の体を抱きしめる


「・・・・・・・・私と一緒に来ていただけますか?」


ぎゅっと彼の体を抱きしめ返す


「・・・・・よろこんで・・・・」














朝から大変だった

宿に姿の見えないクラウディオを探しにきた千代とヴィオレット
千代がクラウディオの匂いをたどって村長宅の二人を発見

裸で寝ている二人


「こん獣ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!

鬼畜!!ロリコン!!アホボケカス!!レイパー!!ヤム○ャ!!

私の下僕たる男が見損なったわ!!精巣捻転で死んでしまえええ!」


お目覚めフルぼっこにあってしまった・・・・
あくまで冷静な千代が事の次第を追求、ロティーに同意の元ということの証言を得て強姦罪ではないということは立証された

だがヴィオレットは機嫌が治らずに冷ややかな視線を向けてきている
騒ぎを聞きつけてきたシィーとオヅイは終始なま暖かい目で見守っていたのだった


そんなこんなで、要求されたクラウディオの体液の納品クエストは無事終了したわけだが

シィーは昼まで待つようにといって四人に旅の準備を整えるよう進めるように言った。

実際四人もあまり長居しては気を使わせるだろうと翌朝には出るつもりでいた。
日が少し上がったくらいには森に住む魔物の族長たちや代表者が訪れて感謝の気持ちを伝えにきた。
皆、本当に暖かな者達ばかりで純粋な心で礼を言ってくれる。
騎士をやっていた時代でもここまで感謝されたことはない・・・・

魔物とは、人間よりも遙かに純粋なのかもしれないとクラウディオは思うようになった・・・・・


 〜昼〜

シィーに呼ばれてクラウディオ達は村長宅を再び訪れていた。
もちろんロティーも共にくるようにとのこと


「シィーが午前中にやってあげましたよ」


どや顔で開口一番そんなことを言われた。


「えっと・・・・何ができたんですか?」

「ロティーを元に戻す薬です」

「・・・・・本当ですか」


ロティーは静かに問う、反応こそ薄かったがその表情は晴れ渡り。
目もきらきらとさせていた


「ネズミで実験もしていませんし、すべては仮説で作った薬ですが
たぶん元に戻ることができるでしょう」

「一気に危険な薬になったな」

「まあ害はないはずです、クラウディオさんとサハギンの血が原料ですから、
ささ、ロティー」


何とも危険な香りが漂っているが、さすがにシィーも自分が持つ村人を殺したりは
しないだろう
ロティーはシィーから丸薬のような二粒の黒と白の丸薬を渡される

そして、ゴクリと喉を鳴らしてその丸薬を口に含んだ


「・・・・・ババ様」

「どうでしょう」

「水ください・・・・」


シィーは台所から水をコップに一すくい持ってきてやると呆れながら手渡す。
改めて水と共に薬を飲んだロティー・・・・・


「・・・・・・」

「・・・・・・・・・何も起きません」

「まあ、溶けて効果が出るまでは・・・・マンガじゃあるまいし、そんなすぐに効果が
出たりはしませんよ」

「そうですか・・・・」


ロティーも早く元に戻らないものかとウキウキしているのがわかる。
元の位置に戻ってきてウルスラの横に座る


「でも・・・・幼児退行の魔力はロティーの体の魔力帯に浸透しているはずです、どうやってそれを除去するんですか?」

「クラウディオ様の体から接種する体液を用いることで可能でした」

「お前の体?」

「昨日シィーさんに体のことを調べてもらっていたんですよ」


クラウディオとシィーが昨日だした推測の結果を三人に説明する。
魔力を打ち消す体・・・・聖魔入り交じる体からくる異様な感覚のこと

全ては推測でしかないものの、皆は一様に納得していた


「(・・・・・ちょっと待って・・・・それじゃ私の魔法って・・・・効いてないの?)」


ヴィオレットの顔から血の気が引いていき、青ざめ始める・・・・


「そんで?お兄さんのんがうちら魔物にごっつうええモンやってのは?」

「ええ、それが驚いたことに彼の精はほぼ純度100%の純魔力なんですよ」

「なんと・・・・」


人間の魔力にも、魔物の魔力にも当てはまらない純粋な魔力。


「多分、彼の異なる二つの魔力が股間あたりで混じりあっていると言っていたからさ、
もしかしたら精となった時点でお互いの魔力が消え去って純粋な魔力になって
出てくるんじゃないのかなって。そういう推測さ」

「人間の精から得られる魔力を+として、魔物の魔力は−の性質を持っていると
考えたとき。魔物の体内にその+が取り込まれた時点で−の変換が行われます
しかし実はその時に魔力は半分以下に減少してしまうのです・・・・・

それはインキュバスになっても同じ事、−の魔力同士は確かに吸収量も多いでしょうが、
純魔力に比べれば質が違います。まさしく、五つ星の精といったところでしょうかね」

「フフフフ、やはりお前は私が見込んだとおりの男だ・・・・」

「大事にしてな〜?お兄さ〜〜〜ん♪」


ウルスラと千代はクラウディオに両方から絡んでくる
物の価値を知ると大事にしたくなるのが人情であった


「はいはい・・・・それで、話を戻しますが・・・・」

「ええ、他の体液を調べた結果ですが唾液は普通の人間の物と変わりありません
ただ血液に関しては魔的なエネルギーが多量に含まれていました・・・・・
インキュバスのそれです」

「(だから・・・・私が吸っても神聖性に気がつかなかったのね・・・・)」

「そこで・・・・あなたの純魔力に着眼しました・・・・二つの性質が純魔力になったのなら、
それをもう一度二つの魔力に還元してやり、魔的な魔力にサハギンの魔力を込め、
それらを薬草に吸収させて煎じた薬が先ほどの物です

簡単に言えばクラウディオ様の体で起きている二つの魔力の同時存在を起こす
薬ですよ。

魔的な魔力にはサハギンの性質があるので打ち消されず、神聖性を帯びた魔力が他の
サハギン以外の魔力を打ち消してくれる」

「なるほど、それで幼児退行を引き起こしている魔力を打ち消そうというわけですね」

「然り」

「・・・・でも、もしサハギンの魔力ごと消されてもうたら?」

「魔力枯渇症で死にます、大丈夫ですよ多分」


四人はロティーの背中をバンバンと叩き、薬を出そうとする


「出せええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」

「吐き出してまい!!実験もろくにしとらん適当な薬ほど飲んだらあかんもんは
ないわ!!」

「ロティーしっかりして!!今のあなたでも十分可愛いから!!
私がお嫁さんにもらってあげるから!」

「私の精液が原料とか私が殺したみたいじゃないですか!!
吐いてくださいロティー!!」


「う・・・・ゥウウウウウウ・・・・・」


背中をたたかれて痛がっているのかと思いきや、そうではない


「く・・・・ぅ、あああ・・・・・カッッハ・・・・・」


違う、ロティーの体が異様に熱くなっている・・・・まるで高温の熱を出しかのようだ


「薬が効き始めたみたいですね」

「何を暢気な!!このままだと死んでしまいますよ!!」

「大丈夫です」( 多ω分)

「顔に多分って書いてるわよ!!」


そうこうしている内にもロティーは苦しそうにもがき始める・・・・
仰向けに寝た体は弓なりにしなり、近くにいるクラウディオと千代の手と足を
両手で握りしめて、苦しそうに痙攣している


「ーーーーーーーーーーーーーーーー」


ドクンと大きな痙攣を一度・・・・・ピクピクと体が数度動いた

瞬間


「!!」


バリィっと布を裂く音が部屋の中にこだました


「「「「・・・・・・・・・」」」」

「・・・・・・・ぐ、ク・・・・・ゲホ!!ゲホ!!ゥ・・・ゴホッ!!ッあ・・・・・」


ロティーは荒い息をしながらもヨロヨロと起きあがってきた。
目の前には驚愕の表情を浮かべている四人の顔が並んでいる


「ほら、大丈夫って言ったじゃないですか」

「・・・・・・戻れたんですか?私」


オヅイは立ち上がって壁掛け鏡をはずしてロティーの目の前にまで持ってくる。
その鏡に映っていたのは・・・・・


「ぁ・・・・ぁああ・・・・・!!」


年は20代前半、切り揃えた前髪と黒い長髪は変わらないが、その輪郭は間違いなく
大人の物

目測90以上の大きなバストがあり、長年水の中で生活していたからか見事な流線美を
描いたボディライン。成熟した大人の体をしたロティーの姿がそこにあった

ロティーは感激の余りに涙も流した・・・・


「戻った・・・・・・・・私・・・・」


涙で潤んだ瞳でクラウディオを見上げる


「私・・・・・戻れました・・・・元の体に!!」

「え・・・・ええ・・・・なんというか・・・すごく魅力的なお体をしてらしたんですね・・・・」

「「・・・・・フ!!」」


千代とウルスラが同時にクラウディオのお尻を鷲掴みにする。
刹那、ギチという肉をひねるような音がした

クラウディオは後ろの方でピクピクとお尻を抱えて悶える


「おめでとう・・・・ロティー」

「ヴィオレットさん・・・・・・・」


ヴィオレットは優しくロティーを抱きしめる・・・・
直に伝わる彼女の暖み・・・・・背中に伝わるなま暖かい水の感触

ヴィオレットは泣いていた

祝福すべき事なので私情は胸の奥で押し殺し、誰も見えないように泣いていた。
そして、また一歩彼女は大人の階段を上った。


「いや・・・・めでたい事はめでたいんだが・・・・ロティーよ」

「?」


ウルスラは微妙な顔で視線をはずしている、みればシィーやオヅイも視線を外して
気まずそうな顔をしていた。彼等の視線は自分の周囲の床に泳いでいることがわかった


「・・・・・鱗・・・・破れてるぞ」


視線を落としてみると・・・・・そこには無惨に破れたサハギンの特徴的なあの鱗
(スクール水着)が千切れて散らばっていた




\ピヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!/




今まで聞いたことのない悲鳴が聞こえてきた


「おやおや・・・・元に戻るスピードが水着の耐久性を上回ってしまったんですねえ、
さすがサハギン一ナイスバディ、シィーも鼻が高いですよ」

「うぅぅぅ・・・・嬉しくないです・・・・・」

「っ・・・いたた・・・・それがないなら・・・・普通の服を着ればいいんじゃ」

「サハギン達はな、この特徴的な鱗で保湿しているんだ、これがあるからこそ地上で
長時間の生活もできる」

「じゃあ・・・・破けてしまってはもう・・・」

「いえ、サハギンは脱皮しますので・・・・・時間が経てば次の鱗ができるでしょう・・・・
まあ2、3ヶ月かかりますが。とりあえずこちらの瓶の中に入りなさい」


ロティーはすごすごと瓶の中に入りこんだ・・・・・元に戻れたというのにその表情は暗い・・・・


「大丈夫ですよ・・・・ロティーさん、またすぐに鱗はできますって」

「・・・・・はい・・・・・・・しかし・・・・」

「?」

「・・・・・一緒に旅は出来なくなりました・・・・・鱗がなければ・・・・地上を歩けません・・・」


なるほど、表情が暗い理由がわかった・・・・旅につれていってほしいという願いを
聞いてもらったのに、それが果たせないことが無念だというのだ。


「・・・・・・そうですね・・・・確かに残念ですが」


瓶から顔を出すロティーにクラウディオは手を乗せてなでる・・・・
小さかった自分を撫でる手と同じ温かさと優しさで。


「絶対に、また会いに来ます・・・・約束しましょう」

「・・・・・・・・」

「こう見えて元騎士です、一度立てた誓いは破りませんとも」

「・・・・・・・・」


ロティーは自分の頭を撫でる手をとり、ゆっくりとその温かい手を頬に持ってきた
頬に触れるクラウディオの手のひらの暖かさが染みる


「・・・・・・絶対ですよ」

「・・・・・・ええ」










「もう少しゆっくりしていらっしゃればいいのですのに・・・・」

「急ぐ旅でもないんですけどね、あまり長居をしてしまっては別れを惜しむ気持ちだけが
大きくなっていきますから」

「旅とは一期一会、その都度の出会いと別れを大切にしてこそだ」


シィーをはじめとするサハギンの村の住人たちが総出でクラウディオ達の見送りをしようと
村の入り口まで出てきてくれていた。


「やだ〜〜〜!!ヴィオレット様ともっとお話する!!」

「また遊びに来てね?また来て・・・・・ふぇええええええ!!」

「う゛ぃおれっどざま〜〜〜〜〜」


あのサハギン達がまるで人間の子供のように大声で泣き叫んでいる。
大層子供達に気に入られたヴィオレット、別れを惜しむ声にヴィオレットは
背中を向けていた


「っ・・・・・・」


くるりと振り返ると、ヴィオレットはこわばった笑顔を浮かべて子供達に近づいてきた


「ざ、残念だけどね?私ね?いかなくちゃね?いかないからね!?
皆・・・・・分かってね!」


すでに声が震えている・・・・もはや彼女の心中は隠しきれたものではない、
目と鼻が赤くなりながらも子供達を順番に撫でていく


「ヴィオレット様・・・・・これ・・・・」


子供達の中でも一番年長の子がヴィオレットに近づく
その手には小さな美しい花が握られている


「お花・・・・?」

「ミシュリの花の髪飾り・・・・皆で・・・・つく、作ったから・・・・・」

「くれるの?」

「・・・・・うん」


ヴィオレットがその髪飾りを受け取る・・・・五つの丸い花弁の花
その花びらは空のような青さをしていながら、その表面には川の流れのように
流水の光がきらきらと光っている


「あのね・・・・また・・・・きて、ね?絶対また来て・・・・お話聞かせてね・・・・?」


徐々にその声が震えてくる・・・・彼女の目には涙が必死にせき止められていたのだが、
ついに耐えきれなくなりボロボロと大粒の涙を流し始めた


「バカ・・・・泣いてんじゃないって・・・・・そんな顔で・・・・見送られても・・・・・ちっとも・・・・
っ・・・・ぐす・・・・ちっともさあ・・・・・

う"れ"じぐな"い"がらぁぁあ・・・・・・あああああああああああああ!!」


ヴィオレットにつられて子供達は一斉に号泣を始めたのだった
ヴィオレットに群がるように抱きついて、彼女もまた子供達を抱きしめて泣いた

また一歩・・・・いや、五歩くらい大人の階段を上った







「ふふふふ・・・・ヴィオちゃんも人気者やな〜〜」


その子供達の親たち、男達と共に千代はヴィオレット達の泣き顔をみてほほえんでいた


「やっぱええもんやねぇ子供って」

「姉さんも次にきたときゃあ旦那との子供連れてきなよ!毎日ヤってんだろ〜?
姉さんみたいな女抱けるなんて幸せも ブズアアアアアガアアア!!」


男のお尻の穴にトライデントウォーリアーのダイレクトアタック。
もとい、妻の嫉妬の棘が突き刺さっていた


「うふふふふ・・・・」

「でも・・・・・本当にまた来たときは・・・・・」

「せやねえ・・・・子供なんて作ったことないけど、そらあ可愛えもんやねんろぅなあ」

「ええ・・・・可愛いです」

「・・・・・・そっか・・・・・せやったら、うちも頑張らんといかんね!!」


ぐっ〜〜っと伸びをして体に活力を宿す、まだ見ぬ愛しい我が子の笑顔を
晴天の空に浮かべると心も躍った

そしてふっと息を吐き出してゆっくりと皆に向きなおり頭を下げる、きっちり80度


「ありがとうございました、皆さんから受けたご恩、ほんま感謝です」


非常に丁寧に、相手に経緯を称し、感謝の気持ちを全身全霊、今このときの時間全てを
捧げて礼をする。ジパングの心を体一つ、懇親を込めて体現する

一息おいた後、ゆっくりと頭を上げると、サハギン達は微笑みながら
千代の前に歩いてきて一人一人手をさしのべる


「こちらこそ、仲間を・・・家族を助けててもらいありがとうございました」

「色々な料理・・・・とても美味しかった」

「・・・・・着物も・・・・今度作ってみる」

「また来てください、歓迎しますよ」

「子供の顔・・・・・楽しみにしてるから・・・・」


握手を交わす千代・・・・心の中で噛みしめる


ああ・・・・やっぱこっちきて・・・・大正解や


心の底からそう思えた








「一日しかいなかったのだがなあ」

「すっかりハーレムを築いてますよねえ」


ウルスラは健やかに笑いながら両脇に抱えるサハギン達をみる、皆ウルスラに
惚れ込んでいるようで、その体をウルスラに預けている


「もう・・・・・行ってしまわれるのですね・・・・・・・」

「寂しく・・・・・・思います」

「いっそ連れていって・・・・欲しいです」

「そう私を困らせてくれるな・・・・おまえ達の愛はしっかりと受け取っているとも、
だがな?お前達以上の愛が私を捕まえてはなさないのだよ」


サハギン達は一斉にクラウディオをみる、主に股間あたり。
クラウディオは何事かという顔で頭に疑問符を浮かべている


「ウルスラ様を突き刺した・・・・・・性剣」

「規格外の・・・・魔剣」

「毎時連続40連射の・・・・」

「最大射程・・・・13kmや・・・・」

「時折2本になるとか・・・・・」


すでに人間ではなくなってきている、インキュバスでもそんな化け物はいない


「ククククク!!そういう訳だ、それに私は旅の者・・・・愛を捧げた相手が
悪かったんだな」

「ウルスラ様ぁ・・・・」

「・・・・そんな、貴方だから・・・・私どもは・・・・・」

「愛おしく思うのです・・・・」

「ふふふ、また来るさ。その時に昨日の夜の続きをしようじゃないか」


サハギン達は一斉に顔を真っ赤な茹で蛸のように染めあげる、昨日の夜に何が
あったのか。


「あの・・・ウルスラ様」

「なんだ?」

「これ・・・・皆のをのばして・・・・縫い合わせました・・・・」


ヴィオレットと同じように花の髪飾りをくれるのかと思ったが、そのサハギン達が
手渡してきたのは・・・・


「ほぉ・・・・これはお前達の・・・・」

「保湿性はありませんが・・・・サイズは・・・・あうと思います」


スクール水着である・・・・・
縫い合わせたという割には縫い目すら見えない程見事な仕上がり、
胸のところにはルーン文字でウルスラと書かれている


「お前達・・・・」


ウルスラはそのスクール水着を受け取り、カリスマスマイルを浮かべる


「礼を言う、見事な供物だ。ふふふふ、私の至宝がまた一つ増えたな」

「ウルスラ様の夜の励みになるよう・・・・愛のルーンも刻んでおきました」

「お前達を肌に感じながら励めるとはこれもまた至極、愉悦の極み。フハハハハハ!!
愛おしいぞお前達よ!!」


「「「「「「「「・・・・ウルスラ様ぁ!!」」」」」」」」









「・・・・・・・」

「・・・・・・ロティー」


大きな水の球体が浮いているその中にローブを着たロティーがいた・・・・
ロティーと相対しているクラウディオ


「もう、悲しそうな顔はしないんですね?」

「・・・・はい・・・・そんな顔をしたら、クラウディオさんが旅立てません・・・・・
私はあなたの迷惑になりたくはありません」

「・・・・・・・・・・・」

「私はもう・・・・悲しいことなんて何もないんですから」

「・・・・・そうですか・・・・・・ふふ・・・・」

「フフ・・・・・・・フフフ・・・・・」


二人は笑いあうと、同時に息を吐き出した


「・・・・・・・・最後に・・・・」

「?」

「・・・・・・・最後に・・・・頭を撫でてくれませんか?」


微笑んで腕を伸ばす・・・・クラウディオは彼女の頭に手を載せるとゆっくりと撫でた・・・・


「・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」


くすぐったそうに眼を細めて・・・・笑う・・・・・そんな彼女がとても愛おしく見えた
クラウディオはその手をゆっくりと下げ、頬にまでさげた


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・んっ・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・‥は・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・また、会いましょう」

「・・・・・・・・・・はい・・・・・また、会いましょう」
















大勢のサハギンや森の魔物達が手を振る・・・・彼女達見送られて四人は再び歩き出す


「いや〜〜〜〜!!たまには寄り道もええモンやねえ、ごっつおもろかったわ〜」

「ああ、こういう寄り道ならばぜひともまたしたいものだ」

「そうですねえ・・・・また魚でもとってみますか?また何か流れてくるかも」

「はははははは!!その時は任せておくがいい!!!」


笑いあうウルスラと千代・・・・そんな中、一人で先を行くヴィオレット・・・・
まだ泣き止んでいないのかと思ったが、どうやらそういう気配ではない


「ヴィオレットさん」

「!・・・・な、なによ」

「どうしたんですか?黙り込んでしまって・・・・」

「・・・・・・別に」

「・・・・・・・それ」


クラウディオは自分の頭を指差した、ちょうど彼女が髪飾りをしている場所だ


「よく似合っています」

「・・・・・・ありがと」


そういうとぶっきらぼうに踵を返す・・・・しかしながらその表情には少しだけの照れが
混じっていたのであった


「(・・・・・・魔法が効いてないって事は・・・・・あいつ・・・自分が血を吸われている事・・・・
でも、魔物の魔力を受けないんだったら・・・・・・これ、私自身の問題じゃない・・・・・)」

「しっかし、残念やねえお兄さん」

「?何がです?」

「ロティーがついてこおへんで・・・・ほんまはロティーについて来て欲しかったん
やないの〜?」

「うむうむ、ロティーならば私の側室として申し分ない・・・・せっかくの花をみすみす
置いてきてしまったな」

「別にもう二度と会えないわけではないのですから、また会いに来ればいいだけですよ・・・・」


クラウディオは空を見上げる・・・・・ま
た彼女に出会える空もこんな風に晴れていればいいな、と願いながら・・・・・









「行ってしまったな・・・・・本当に良かったのかい?ロティー」


オヅイが横にいるロティーに声をかけると、ロティーは微笑みながら頷いた


「二度と会えないわけでは・・・・・ありませんから・・・・・」

「そうですよロティー・・・・鱗がついたら追いかければいいだけです」

「追いかけるって・・・そんな無茶な、ロティー一人で旅をさせるつもりかい?」

「いえいえ・・・・旅なんかしなくとも、ロティー?こちらに名前を中心に書いてください」

「?」


シィーはロティーに一枚の紙を差し出す・・・・魔法陣が描かれ、中央には鳥の羽が一枚。
ロティーは渡された筆で自分の名前を書き上げる

すると、魔方陣は一瞬光ったかと思うとキィインと音を立てて光を収めた
それをみてシィーはクスクスと面白そうに笑う


「さて、契約完了ですね」

「なんの・・・・契約なんです?」

「恋の契約ですよ」









「あれ?お兄さんその羽ペン・・・・・」


クラウディオが持っているのは魚の頭の骨がついた羽ペン・・・・・どっかで見たことある物


「ああ、シィーさんがくれたんですよ・・・・・なんでも私とロティーを繋いでくれる縁起物だとか」

「ふ〜〜ん・・・・せやけど骨ってのはこっちでの縁起物なんかいな」


霧の城のサキュバスさんが渡してくれた羽ペンと同類のものである


「(・・・・・・・なんだ、結構早く会えそうじゃないか)」




四人は西へ歩いていく・・・・・青い青い空の下を自由気ままに・・・




                    To be continued_...

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おひさしぶりでえええええええええええええええええええええええええええええす!!
いや、本当にね・・・・社会人になって一年目、あふぅ・・・・忙しいです(;・ω・)

旅の醍醐味、一期一会を意識した話になりました。まあ結局マーキングされてるんですけども。
旅の情緒が表現できればいいかなと思いましたが半分くらいヤってる話でしたね?

余裕が出てきたらもっと更新のペースを上げたいと思います。
生暖かく見守ってくれると嬉しいです。感想くれたらもっと嬉しいです(ふてぶてしい)

チェックはしましたが誤字脱字等ございましたらご連絡ください。

12/03/31 09:56 カップ飯半人前

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