寂しい雨に、抱擁を
静寂の森の中。耳を澄ませて聞こえてくるのは木々が揺れ動く音のみ。温かな日差しはなく、薄暗い木陰の下。人気の全くない暗い森の奥で私は―私たちは二人寄り添っていた。
「スザンナ、今日も誰も来ないね」
「それがいつもの事でしょう、リリー」
雄しべの私―スザンナ
雌しべの貴方―リリー
「あっ♪スザンナ、気持ちいいよ♪」
「んんっ♪私もよ、リリー♪」
互いの体を互いの掌で撫でまわす。その感覚に体を震わせ、甘い声を漏らしあう。そうして快感に喘ぎ、私たちは交わりあう。
そんな日々を何日続けていたのだろうか。
生まれてずっと一緒にいるリリーと何度体を重ねたことだろうか。
数えきれないほどの快楽を感じ、わからないほどの絶頂を迎え、そうして私たちは今の今まで互いを求めあってきた。
―だけど、足りない。
二人だけでは物足りない。決定的なものが足りていない。胸の奥から求めるものが、下腹部が疼いて止まない原因が、私たちにはない。
だからこそ今日も私たちは埋めあうように互いを求める。今までそうしてきたように快感で湧きだす感情を誤魔化していく。
―でも、足りない。
重なるたびに欲求はハッキリしてくる。欲しい欲しいと体の奥から喚いて止まない。それでもいくら叫んでも誰もこの森には訪れない。
暗い暗い森の奥。
日の光のない木下。
野鳥の声も届かない木陰の傍。
誰も来ないから私たちは今日も互いを求めあう。額を合わせ、指を絡め、足を絡めて繋がりあう。
「二人だけって、寂しいね」
「寂しいわ、二人だけだもの」
共に囁き体を擦り合わせる。柔らかな胸がリリーの胸に押し付けられて潰れる。にちゃりと間には粘っこい蜜が滴り水質的な音を響かせた。
音は誰もいない森に大きく響く。それがまた寂しくて、悲しくて、私とリリーは埋めあうように下腹部へと手を伸ばして―
「―…ん?」
「あ?」
ばさりと、数枚の葉っぱが散った。伸ばした手が止まり二人で空を仰ぎ見る。
「スザンナ、何かな」
「静かに、リリー」
しばらくしているとまた何枚か葉っぱが落ちる。じっと見続けていると今度は大きな黒いものが落ちてきた。
「とぁっ!」
すとんっと華麗に地面に着地したのは一人の人間だった。
暗い森の闇よりもずっと黒い闇を纏った人間。胸に膨らみは見られず、髪の毛も短い。上も下も同じ黒色の衣服を着こんだ人間は片腕に果物を抱え込んでいた。
紛れもない私たちとは違う存在。魔物ではない、ちゃんとした人間。
だがそれだけではなく、ふわりと香ってくる精の香り。鼻孔をくすぐるだけでも下腹部が疼き、ごくりと喉がなる。
―紛れもない、男性だ。
どうしてこんな人気のない場所にいるのだろう。疑問に思ったがそんなことはどうでもいい。
人だ。
私たち以外の人だ。
それも、人間の男性だ。
彼は辺りを見渡し、私たちに瞳が向く。まるで夜の闇を押し固めたような色をした瞳が私たちを捕らえた。
「あ」
「あ」
「…うぉあ」
私たちを見つめて顔を赤くし、口元に手を当てる彼。あたりを見渡し改めて私たちを見据えると申し訳なさそうに頭を下げた。
「すいません、お邪魔しました」
それが『私―スザンナ』と、『ワタシ―リリー』と『彼の―黒崎ユウタ』との出会いだった。
「や」
「あ、ユウタ」
「いらっしゃい、ユウタ」
今日も今日とてユウタがここへと訪れる。どうやらここまで食べ物を探しに来ているらしく、そのせいかワタシ達と会うときはいつも片手に何か果物を持っていた。今日は丸く赤い果物をいくつか大切そうに抱えている。
「食べる?」
「うん、食べる」
「頂こうかしら」
ワタシとスザンナはユウタの手から果物を受け取った。
リリラウネであるワタシたちにとって果物を食する機会などまずない。自分から動けない以上誰かにとって来てもらうしかない。
ユウタが果物に歯を立て食べるのを真似てワタシもスザンナも同じようにする。初めて口にする果物は思った以上に甘酸っぱかった。
「これ、美味しいね」
「とても美味しいわ、これ」
「そっか。そう言ってもらえてよかったよ」
ワタシ達の言葉にユウタは微笑み、食べかけた果物に再びかみついた。口の端から果汁が滴り地面に落ちる。
「ついてるわ、リリー」
その様子を見ているとスザンナに唇を拭われた。いつもはもっと過激なことをしているのにユウタが傍に居るだけでそれだけでも恥ずかしい。
「…」
だけど、ユウタはそんなワタシ達を見て目を細めた。
ユウタはよくワタシ達を眩しそうに見つめてくる。それはどこか寂しげで、触れてしまうだけで崩れそうな儚いもの。どうしてなのか聞こうにも聞いてはいけない気がする。
それでもスザンナも同じ気持ちだった。聞きたくて聞きたくてうずうずして、それでも聞くべきではないと考えてる。
生まれてからずっと傍に居たリリラウネ。考えることは皆同じで、思うこともまた同じなのだから。
「ねぇ、ユウタ。どうしたの、そんなに見つめて」
それでも我慢できずに口火を切ったのはスザンナだった。
「ん?オレそんなに見てた?」
「ずっと見てたよ。ワタシ達の顔に何かついてるの?」
「もしかして同じことしてもらいたいの、ユウタ」
艶めかしく言葉を紡ぎ、ワタシの頬をスザンナが撫でた。だけどユウタはいや、と小さく言って寄りかかっていた木から立ち上がった。
「なんだか懐かしいなって思ってさ」
「懐かしい?」
「ユウタも兄弟がいるの?」
「いるけど…」
そこで言葉を区切ると小さく息を吐き出して続けた。
「双子なんだよ、オレもね」
「「双子?」」
突然の言葉にワタシ達は思わず声を揃えて言った。
「そう、双子なんだよ」
「ならとてもそっくりだったのかしらね、ユウタに」
「いやこっちは男と女だったからね」
「男女の双子なの?」
「そう。姉と弟のオレでの双子」
そうはいってももう一人はどこだろうか。女性というのならユウタそっくりではないがきっと似ている部分もあることだろう。見てみたい、ワタシもスザンナも思ったのだがどうしてかそれを聞くのは憚られる。双子がいる。その事実を聞くことすら躊躇われたのだから。
「だから少し、羨ましいかな…」
そう言ってワタシたちを見つめる目はとても優しくて、だけどとても寂しそう。懐かしむような、半身失ってしまったかのような、どちらとも取れない悲しげな表情に思わず慰めたくなってワタシ達は彼の名を呼ぶ。
「ユウタ…」
「…ユウタ」
二人で呼んでもユウタは笑みを浮かべるだけで近寄ってはこない。いつも木の傍で寄りかかっているだけだ。
何を遠慮しているのかわからない。どうしてそこから近づかないのかわからない。求めるように手を伸ばしてもユウタは手を振るだけだった。
「…っと、そろそろ時間かな」
薄暗い森の中、太陽が傾くとすぐに暗闇が訪れる。黒髪黒目で黒服のユウタの姿は闇に溶け込んでわからなくなりそうだった。
「ねぇ、ユウタ」
「ん?」
ワタシの声に辺りよりもずっと濃い闇色の瞳がこちらを向く。
「明日もまた来てくれる?」
「明日も?そんなしょっちゅう来ていいの?」
「ええ、いいわよ。その方が嬉しいもの、私達にとってはね」
「ユウタならいつでも来てよ」
二人しかいない暗い森。そこでようやく出会えた初めての男性。その声は聞いてるだけでも心地よく、傍に居るだけでも温かい。
できることならずっと一緒に居たいのだがユウタは別の森の小屋に住んでいるらしい。ならワタシ達には訪れてもらうしかない。
「それじゃまた明日、寄らせてもらうよ
「楽しみにしてるわ、ユウタ」
「ユウタ、待ってるからね」
ワタシたちの言葉に手を振ってユウタはいつものように森の奥へと消えて行った。
「ユウタは今日は、来ないのかな」
「来れないわ。だって今日は雨だもの」
暗い森でも雨は降る。葉っぱを滴り雫が垂れる。地面を濡らし、木々を濡らし、そして木陰にいる私たちにも降り注ぐ。花弁を用いて屋根を作るが冷たい風は身に染みる。互いに温めあうように体を寄せ合い、来ないだろうユウタを想った。
「…会いたいな」
リリーの言葉に私は頷く。
こういう時は他の魔物が羨ましい。私たちはアルラウネであり植物だ。根を地面に張っているせいで移動はできず、向こうから来てもらうしかない。
でもこんな天気に森を歩く人はいないだろう。地面はぬかるみ、容赦なく水滴が降り注ぐ。傘があってもずぶ濡れになってしまうことだろう。
「寂しいな」
「寂しいわ」
互いに思ったことを口に出す。久しく忘れていた感情だ。
ユウタがいてくれたからこそ今まで感じたことのない寂しさになる。二人だけの方がマシだったと思えるほどのものだ。
不思議な感覚。
会うべきじゃなかったという後悔と今すぐ会いたいという願望。どちらも私たちの気持ちであって、嘘偽りない感情だ。
「会いたいわ」
「会いたいね」
指先を絡め、肌を合わせ、寂しさを生めるように抱きしめあう。
「「ユウタ…」」
雨粒の降り注ぐ空は見えない。木の葉に遮られた空を仰ぎ見て私たちは彼の名を呼ぶ。でもそは届くことなく雨音にかき消されていくだけで―
「―何?」
ではなく、言葉が返ってきた。声のする方を見ると普段から訪れる木の下にユウタは立っていた。
「ユウタ!?」
「来てくれたの、こんな雨の中を!?」
「そりゃ、約束したら来るよ」
からから笑って私たちの傍にある木に体を預ける。いつもと同じなのだがそこには雨水が滴り落ちていた。
「ただ傘がないっていうのはきついかな。流石に小屋には傘まではないみたいだったし」
そう言って濡れた髪の毛を掻き揚げる。普段癖のある黒髪は垂れ下がり先からは滴が滴り落ちた。それでも衣服は水を弾いて地面へと落としていく。濡れたのは頭だけらしい。
「ユウタ、大丈夫なの?」
「平気だよ。うちの学生服は防水加工されてるからさ」
そう言って笑うのだが頭が濡れていることに変わりない。指先に至っては震えている。雨で体を冷やしてしまったのだろう。
人間は体が弱い。魔物よりもずっと弱く、病で命を落とすこともある。雨で体を冷やしたせいで病気になり、そのままいなくなってしまったら…そう考えるとぞっとする。
だからだろう。私もリリーも同じことを考えた。
「ユウタ、来て」
「来なさい、ユウタ」
冷えた体も私たちが温めればいい。単純で簡単なことだ。だから私たちは二人でユウタに手を差し出す。
「え?いや、これくらい大丈夫だよ」
「大丈夫じゃないでしょう。壊しちゃうわよ、体」
「病気になったらここに来れなくなるよ」
私たちの言葉にユウタは首を横に振る。思えばユウタはいつもそうだ。
ある一定距離から私たちに近づかない。触れ合える距離には絶対に踏み込まない。それは蜜の香りがしないところだからだろうか。嗅げば体は熱くなり、男性も女性も魔物も皆いやらしくなる甘い香り。それから逃げるように近寄らないのかわからない。
だから私たちが伸ばす手はいつも届かない。
触れたいと思っても触れられない。それがどれだけ辛いことか。
触れたい。
近寄りたい。
でも、私達には動ける足はない。となるとできることはひとつだけ。リリーの手を掴み、身を乗り出して限界まで腕を伸ばすとやっとユウタの服に届く。そのまま掴むと二人で一気に引き寄せた。
「うぉあっ!」
その体を抱き締める。離れないようにと、やっと触れた感触を手放すまいときつく、強く。服越しでも感じられるそれはリリーよりも私よりもずっと逞しい。思わずそのまま抱きしめていたくなるほどに。
「…あの、スザンナ、リリー。離してほしいんだけど」
「嫌」
「ダメ」
「…」
逃げ出そうともがくユウタを力ずくで百合の中へと引き上げる。女性と言えど魔物、それも二人の力なら一人の男性を引きずり込むには十分だった
「ちょっと待ってその中は……あぁあ……!」
べちゃりと蜜の満ちた花弁の中へと足がつく。それは水を弾く服でも容赦なくまとわりついた。
「ぁぁぁ〜………やっちゃった…」
ユウタは困ったように顔に手を当てる。だけどその手は震えているし髪の毛も濡れている。拭わないと風邪をひいてしまうことだろう。
「ユウタ、服脱いで」
「脱がしてあげるわ、ユウタ」
「え?待って!」
返答を聞く前にボタンを外しにかかる。黄金でできたような五つのボタンを外すと下から現れたのは無地の白い服だった。
「濡れてる…」
リリーが触れた、絹のように白い服。着込んだ黒い服とは真逆の、まるで私たちの花弁の様な真っ白なそれは雨水でぐっしょり濡れていた。どうやら上着の隙間から染み込んだらしい。
「ユウタったらこんなの着てたら風邪ひくよ」
「もっと体は大切にするものよ、ユウタ」
「だから脱がしちゃっていいよね」
「ひいたら大変だものね、風邪」
私たち二人で詰め寄るとユウタは後ろへと下がる。だがここは私たちの花弁の中。百合の花弁が持ち上がるとユウタの背中を押す壁になる。
「うぉっ!?」
「上着は脱がして」
「脱いで、この白い服も」
「ちょっ!ワイシャツははやめ…っ」
抵抗させる暇もなくユウタの服を脱がせていく。ユウタは一人、対してこちらは二人。故に私がユウタの動きを止めればリリーがどんどん脱がしていった。
そして気づけばユウタは私たちと同じように裸になっていた。
「…っ♪」
「♪」
「べ、別にここまで取らなくても…っ!」
普段から線の分かりにくい服を着込んだ姿だったがその下にあったのは引き絞られた肉体だった。筋肉で絞られた体は細くとも逞しく私たちの体にはない魅力がある。見つめているだけで体が熱くなり、とてもいやらしくなる魅力が。
「ユウタの体とっても綺麗だよ」
「それでとてもいやらしいわ、ユウタの体」
「…褒められてるの?」
「褒めてるわよ、とっても」
指を這わせると伝わってくるのは熱い体温。それから私たちにはない固さ。押しても押し返してくる逞しい弾力。
リリーも堪能しようと顔を胸板に擦りつけた。私も同じようにユウタの胸に頬を擦りつける。
「ちょ、っとっ!!」
「温かい…♪」
「ええ、すごくね♪」
この熱だ。
私が、私たちが求めていたのはこの温かさだ。
一人ではない、二人では得られない、ユウタの熱。これをどれだけ求めていたことだろう。
「ユウタ。ワタシ達の体、温かい?」
「温かいでしょう、ユウタ?」
「温かいけどさ…」
恥ずかしそうにそっぽを向いて身を捩らせる。その様子に二人で笑い、頬に手を添えた。徐々に顔が赤くなっていくのは蜜の香りのせいか、それとも私達によるものか。それでもまだまだ頬は冷たく、指先も震えている。なら、温める必要がありそうだ。
「でもまだ冷たいから」
「温めてあげるわ、じっくりとね♪」
「………え」
見つめただけでも吸い込まれそうな闇色の瞳は諦めたようにゆっくり閉じていく。ワタシたちのすることに身をゆだねてくれるという証だろうか。そう思うともう止まれはしなかった。
先に口づけたのはスザンナだった。ただ重ねただけのキスだけどその顔は蕩けていく。触れ合っているだけ、それでもスザンナは気持ちよさそうに身を捩らせた。
続いてワタシ。スザンナが離れてすぐにユウタへと吸い付いた。触れ合った唇は柔らかく、スザンナとはまた違う感触だ。温かくて
―甘い…っ♪
花の蜜とは違う甘さ。それは何にも例えられないが頭の奥まで染み込んでくる。
もっと欲しいと感じるままにワタシは強く押し付け、舌を突き出した。ユウタの唇を舐めとると我慢できなくなったのかスザンナが横から唇を寄せてきた。
「んっ!」
「ん、、む…♪」
「ちゅ、ん…♪」
互いにユウタの口を貪りあう。舌を差し入れ唾液を啜り、舌を擦り合わせては蹂躙する様に暴れまわる。気づけばワタシたちの口の周りは唾液でべたべたになっていた。
「ユウタ、舌を…♪」
「舌を、出して…ユウタ♪」
ワタシ達の言葉に舌を突き出すユウタ。そこへ二人して吸い付いた。何度も吸い付くように啜るとその度頭の中まで甘い味が染み込んでくる。
次第に口づけはいやらしさを増していく。ワタシもスザンナも舌を突出し三人で絡めあう。にちゃにちゃと唾液が溢れて滴り落ちるが関係なしに求めあう。
誰が誰の舌かわからない。溶けて一つになってしまいそう。キスと呼べるのかわからない行為はあまりにも甘美なものだった。
だけど、足りない。
魔物の体はもっと別のものを求めてる。二人だけでは埋められなかったものを欲して喚いてる。
気づけばワタシたちの手はユウタの体を這いまわっていた。固く逞しい胸板を、わずかに浮き出た肋骨を撫でて徐々に下へと下がっていく。肌ではない堅い布地に手が触れるとわずかにユウタが声を漏らした。
「んっ…」
「「あ♪」」
指先に触れたのは下腹部で膨れ上がる熱いもの。ワタシ達にはない部分。そこに二人で手を添えるとユウタの体がびくついた。
「んんっ!!」
「熱いわ、これ♪」
「とっても固い♪」
初めて感じる男性という存在。その部分を確かめるように何度も撫でまわす。ユウタ逃げるように身を捩ったが蜜に塗れた状態では満足に動くことすらできない。
スザンナがズボンをおろし、ワタシが下着を取り払う。すると濃密な雄の匂いが鼻をついた。
「あぁ…すごい匂い♪」
「とても濃厚ね、この香り♪」
ワタシ達の花の香りとは違うユウタの香り。つんとするが嫌なものではない。下腹部に熱を灯し、いやらしくするものだ。
力強く反り立ったユウタの雄。血管が浮き出して脈打つように震えるそれはワタシ達のどの体の器官にも似ていない。異形とすら感じられるけど、愛おしいとも思える。
でも魔物の本能は知っていた。これをどうするのか、どうすべきなのかを。
欲しい。ユウタが、欲しい…っ!
雌の本能を刺激する匂いに雌の花弁から蜜が滴って止まらない。普段以上に欲望が渦巻いてる。それを感じているのはスザンナも同じだった。
「ユウタっ」
スザンナがユウタを花弁へと押し倒し、その上に跨った。もう待ちきれないと言わんばかりに体を寄せ、雌の花弁を指で開く。滴り落ちる粘っこい蜜はユウタのものへと降り注いだ。
「入れるわね、ユウタ…♪」
静かに頷くユウタを見てスザンナはゆっくりと腰を下ろしていった。
「は、ぁ…っ♪」
入ってくる。燃え上るように熱く、鉄のように固いユウタ自身が。リリーの指よりもずっと深い所に、疼いていた部分を埋め尽くす様に。
これだ。私たちが欲しがっていたのはこれなんだ。魔物として、雌として、本能で求めていたのがこれなんだ。
とても熱くて固くて逞しい、それでいてとても気持ちのいいもの。膣内で脈打つだけで快楽を生み、私の体を駆け巡っていく。今まで感じたことのない感覚に私は思わず倒れこみそうだった。
「だ、大丈夫?」
私の体を支えるように肩を掴むユウタ。彼自身も相当快楽を得ているのか拳を握りしめながら心配そうに顔を覗き込んでくる。それが嬉しくて私は思わず彼を抱きしめた。
「…ぁっ!」
「だい、じょうぶ…♪とっても気持ちいい、だけだから…♪」
嬉しくて膣内がきつくユウタを締め付ける。浮き出た血管すらわかるほど密着しては離したくないと言わんばかりに抱きしめる。
ようやく落ち着いてきたころ私はユウタの体に手をついた。掌に伝わる逞しい感触にため息をつき、彼の瞳を覗き込む。
「う、動くから…ね、ユウタ」
「ん…」
ゆっくりと腰を上下する。すると膣内をユウタの先っぽが強く擦りあげた。その動きに呼応する様に膣内は入口から締め上げて互いが甘い声を漏らす。引き抜け、飲み込む。その単純動作なのだが得られる快感は強烈過ぎる。
下腹部で、子宮で膨らむ快楽の予感。それは私が今まで感じたことのない大きさであり恐怖すら感じてしまう。だけど、もっと気持ちよくなりたくて、もっとユウタを気持ちよくしてあげたくて、恐怖なんて頭から吹き飛んでいた。
「ユウタっ♪気持ちいい?私の、ああぁっ♪…中、はっ♪」
「ん…すごい、きつくていいよ、スザンナ」
「嬉しい♪」
両手を握りしめまるで恋人のように言葉を紡ぎ合う。
ユウタが私を気持ちよくしてくれる。
ユウタが私で気持ちよくなってくれる。
その事実は私の胸の奥を満たし、欲望とはまた違うものを募らせていく。
「…んっ♪」
「むっ!?」
だけど隣で不機嫌そうな顔を浮かべたリリーは突然ユウタに覆いかぶさった。そのまま唇を押し付けると貪るように啜りあげる。
「あぁああっ♪」
キスのせいでか一段と膨れ上がったユウタ。それは膣内を強く擦りあげ私に快楽を叩き込んでくる。
何度も何度も腰を上下させる。その度にお尻がぶつかりいやらしい音を響かせた。聞くだけでも恥ずかしくなる、それでももっと聞きたくなる交わりの音だ。
「んっんんっ!」
何かを伝えたいのか握りこんだユウタの手に力が入る。だがリリーのせいで言葉にならず何を言いたいのかはわからない。ただ呼吸が荒くなり体がびくつくように震えていた。
それがなんなのか、理解するよりも先に私の体は動いていた。
下腹部から膨らむ絶頂の予感。あと少しで弾けそうな膨大な快楽。もっと気持ちよくなりたくて何度も何度も腰が上下する。止められないのは魔物故のものか。快楽に貪欲であるからか。
否、魔物の体は、雌の体は最初からそれを求めて動いていた。
「あぁああっ♪」
一際大きく膨らんだユウタのもの。それは震えあがり私の膣内を埋め尽くすと次の瞬間爆発した。先端から子宮へと雄の証を、精液を注ぎ込んでくる。まるで燃え盛るマグマのように熱を持ちどろっとしたその感触は私を絶頂へ押し上げるには十分だった。
「イ、 クぅぅぅぅううううう♪」
押し上げられた先に待っていた絶頂は果てないものだった。私の体を引きちぎりそうな快楽の本流に流されていく。抗うことは許されず飲み込んでは体中を支配する。腰を何度も震わせてみっともない表情のまま私はユウタに倒れこんだ。
それでも魔物の体は止まらない。
もっと精液が欲しいとねだるように膣内が蠢いた。根元から絞り出す様に律動し、一滴残らず余らすことなく啜り上げる。貪欲に、雌の本能のままに。
「んっんん…っ!!」
「あ、あっ♪やぁ…っ♪止まらないっ♪また、ぁああイクっ♪」
絶頂が止まらない。それは未だにユウタが精液を私に注ぎ込んでくれるからだろうか。何度も脈動して熱く滾った精液が子宮を満たしていく。
喜びが止まらない。それはユウタが私の中で気持ちよくなってくれてるからだろうか。リリーにキスされながらも繋いだ手が言葉にできない充足感を与えてくれる。
これが本当の絶頂なんだ。
これが本当の喜びなんだ。
男と女で感じられる、本当の快楽なんだ。
ようやく絶頂から戻ってくる。体は心地よい脱力感に包まれ、私は荒い息をする。力なく横たわったユウタの体はじっとりと汗ばんでいたがそれでもとても心地いい。
だが。
「…ん」
ゆっくりと唇を離すリリー。その端からは唾液が滴り落ちた。彼女は拭おうともせず私に視線を向けてくる。
何を言いたいのか、聞く必要はなかった。
「…ふふ、リリー」
リリーも私のようにユウタと交わりたい。そんなこと言葉にしなくとも伝わってくる。
だから私はユウタの上から退くとリリーを花弁へと押し倒した。続いてユウタを抱き起し、後ろに回ると囁く。
「ねぇ、ユウタ。今度は貴方からたっぷり愛してあげて、リリーの事を♪」
既にリリーは何をするつもりか理解して両足を広げた。いやらしい蜜を滴らせた雌の花弁を晒し、ユウタを誘うように引くつかせる。
「ユウタ…ワタシにも…ちょうだい?」
「…っ」
ごくりと喉を鳴らすユウタの後ろで私は腕を回す。男性らしく逞しい背中を抱きしめると強引に押し上げるように腰を突き出した。
スザンナがユウタの腰を押し出したことで膨れ上がっていたユウタ自身がワタシの中へと押し込められた。スザンナの指よりもずっと太くて固い男性の証。それがワタシの中で力強く脈打ってる。既に一度射精したというのにユウタのものはワタシの中を埋め尽くすほど大きくなっていた。
「あぁあ…は、ぁあ…♪」
胸の奥が満たされる。言葉にできない心地よさが募っていく。二人だけでは埋められなかった、ずっと苦しく切なかったものがかき消されていく。
「ユウタぁ…っ♪」
ワタシたちが欲しかったもの。
ずっと二人で求めていたもの。
それが今ここにある。
「リリー…」
そっと頬を手の平が撫でていく。ワタシたちよりも大きく堅い手の感触に胸の奥が苦しくなる。嬉しいのに、いや、嬉しいからこそだ。嬉しいからこそもっと欲しくて、もっとそうして貰いたくなる。
貪欲に、強欲に、淫らに、いやらしく、求めて止まず、欲して止まらず、ただユウタを感じたい。
「リリーにも一杯感じさせてあげて、ユウタ」
囁くスザンナの声に小さく頷くとユウタはゆっくりと腰を動かした。
「あ、あ♪や♪いい、よぉっ♪」
手の届かなかった部分を蹂躙される。それはなんとも甘美な感覚だった。大きいカリが引っ掻いてぞくぞくと快感が湧き上がってくる。その度みっともない声を漏らし、涎が滴り落ちていく。それでも耐えきれないほどの気持ちよさは押し寄せワタシを絶頂へと押し上げる。
ただこれだけでもイってしまう。いや、もうイってるのかもしれない。ユウタがワタシの中を擦りあげるたびに目の前が真っ白になり体が震えてしまうのだから。
でも、足りない。
それはワタシ達が魔物だからか、今までスザンナと互いを求めてきたからか。快感に貪欲な体はさらなる激しさを求めてる。もっとユウタを感じたいと喚いてる。
そうなれば腰が動いてしまうことは仕方ないことだった。
「あぁあっ♪」
「んっ!!」
花弁に寝ころんだまま腰を動かすと膣壁がユウタと強くこすれあう。目の前が真っ白になりそうな快感に声が漏れるが止まらない。
ただわずかに動いただけでも気持ちいい。それならもっと動いたらどうなるのか。貪欲な体は意識するよりも早く動き出す。
前後、左右、上下、円を描くように動かしてはその度ユウタが別の部分に擦れてく。当たる部分が変われば伝わる快楽も変わり、子宮に募ってはワタシを絶頂へと押し上げてく。
「いいっ♪ユウタっ♪気持ち、いいよっ♪」
何度も腰を動かしてユウタを擦りあげていく。一番奥まで飲みこんで、膣内で締め上げて、その度に子宮からは熱い蜜が吐き出され、溢れだしては滴り落ちていった。ずっちゃずっちゃといやらしい音が響くたびユウタは堪えるように表情を歪める。
「待って、激し、すぎっ!」
ワタシの腰を押さえつけようと手を伸ばす。だがその手はスザンナが絡め取った。
「スザンナっ!」
「止めちゃだめよ、ユウタ♪」
それどころかいやらしく笑って腰を押し付ける。そうなればワタシ達に挟まれたユウタの腰は無理やりにでも動かされ、膣内の深くまで押し入ってくる。
「あぁあああああっ♪」
「〜っ!!」
「ふふっ♪感じてるのね、二人とも」
一番奥、子宮まで押し入られて突かれる。一番敏感な部分を叩かれるたびに腰ががくがくと震えた。
スザンナによって無理やり叩き込まれる快楽にユウタは力なく体を倒してくる。崩れないように花弁に手をつくと鼻先が触れ合うほど近づいていた。
キス、できる。そう考えるよりも先にワタシの体は動いていた。
「んむっ♪」
「んんっ!」
吸い付くように唇を啜る。柔らかく、花の蜜よりもずっと甘く感じられるキスに頭の奥が蕩けていく。伸ばした舌が口内に侵入し、ユウタの唾液を舐めとっては奥にある舌と絡み合う。先ほどのようににちゃにちゃとしたいやらしい音が奥まで響き、下腹部からはじき出される快楽にくぐもった声が漏れた。
リリーのいない二人だけのキス。とても甘くていやらしいキス。膣内を擦られるのと比べると微塵なものだが快感とは違う気持ちよさがある。まるで溶けてしまいそうな優しい感覚は胸の奥に温かいものを募らせた。
「んちゅ…っ♪」
離れた唇からは唾液が滴る。どちらのものかはわからない。それでもワタシは嬉々として舐めとり、ユウタの唇まで拭い取った。
満ち満ちていく胸の奥。感じたことのない絶頂。雄がいてこその雌の喜びを知ったがまだまだ行為は終わらない。
ワタシはこの先があることを知っている。スザンナにしたように、ワタシはまだユウタの精液を貰ってない。
「ユウタも、気持ちよくなってっ…♪」
「リリーを感じてあげて、ユウタ♪」
「待っ、てって…うぁっ!」
二人で腰を動かしてひたすらに快楽を求める。でもそれは今までとは違う、二人だけの時とは違ったもの。間にユウタを挟み込み、雌の本当の喜びを享受するものだ。
ワタシの中の感触に体を震わせ、スザンナに押し付けられた体の感触に背筋を震わす。そんなユウタが愛おしくて、もっと悦んで欲しくなる。
だけど限界が近いのか徐々に抵抗が弱まり、体の力が抜けていく。その様を先ほど感じていたスザンナは何がくるのかすぐに理解していた。
「出そうなの?なら、ちゃんと出してあげて、リリーの一番奥に♪」
「うんっ♪出してっ♪ワタシの中に、いっぱい出してっ♪」
「だから、待っ、て…っ!」
引き抜こうとするユウタだがスザンナが一気に腰を押し出し、ユウタのものが子宮口にめり込んだ。
「ふぁああああああああああっ♪」
一際大きくなったユウタのものがワタシの中で強く脈打った。お腹いっぱい埋め尽くされる感覚は苦痛すら感じそうなのに快楽しか感じない。
射精される、私の中に精液を出してくれるんだ。
スザンナにしたようにワタシの中にも精液が吐き出されようとしている。それがわかる程ユウタは震え、ワタシの中は奥へ誘うように蠢いた。そして次の瞬間ユウタ自身が大きく跳ねた。
子宮に流れ込んできたのは体を焼き尽くすような熱を持った熱い液体。リリーの子宮を埋め尽くした雄の証だ。それは何にも遮られることなく子宮へと流れ込んでくる。
「あぁあああああああああっ♪」
子宮に注がれる精液の感触は今での絶頂の比ではない。今までの行為が子供だましであったかのように強烈な快楽をワタシの体に叩き込んでくる。気持ちよすぎて頭の中が焼き切れてしまいそうだった。
びゅくびゅくと何度も脈打ち吐き出された精液を子宮口は貪欲に吸い付き、一滴すらも余すことなく、子宮の中から漏れ出さないように啜り上げた。
溢れだしそうなほど注がれたユウタの精液。それは人肌とは違う温かさで子宮の中で波打ってる。それでも止まず、まだまだ注ぎ込まれてくる。
もっと欲しい。ワタシの子宮に、もっと出して欲しい。
その気持ちはワタシのであって―スザンナのでもあった。
ずんっとスザンナがユウタの腰を押し付けた。
「〜っ!!」
「一杯出してあげてね、ユウタ♪」
「やぁああっ♪イってる♪イってるのにっ♪やめてぇっ♪」
射精中のユウタがスザンナに無理やり動かされる。精液を吐き出したまま揺り動かされ吸い付いた子宮をぐりぐりと押し上げてくる。ただでさえ絶頂の最中だというのにこれ以上ないほどの高みへと押し上げられた。
それはユウタも同じらしく声にならない叫び声をあげている。体を震わせ、それでも抑制できない快感に悶えていた。
どれだけ続いたのかわからない。スザンナのおかげであまりにも長い間絶頂の最中にいた。
いや、絶頂から降りることを許されなかったというべきか。
絶頂後の脱力感に身をゆだねて力を抜く。ユウタも体から力が抜けたのかスザンナに支えられていた。ワタシの中からゆっくり引く抜くと後ろの花弁に寝かされて肩で荒い呼吸をしている。
「お疲れさま、ユウタ」
その隣に寝ころぶスザンナ。ワタシもゆっくり体を起こして反対側に寝転がる。
ワタシ達と違う固くて熱い、男性の体。ただ寄り添うだけでも心地いい。
「とっても気持ちよかった…♪」
「素敵だったわ、とてもね♪」
「…どうも」
まだ体の力が入らないのか力なくそう応える。ワタシ達はそんな様子にくすりと笑った。
「やっぱり二人だけじゃないっていいね」
「とてもいいわ、だってユウタもいるんだもの」
二人だけではない、三人一緒にいるということ。それは二人以上に温かく、気持ちよく、心地いい。
この先ワタシ達はきっと、いや、絶対にユウタを手放せないことだろう。
「ユウタはどう?」
「いいものでしょう、ユウタ?」
二人で顔を覗き込む。そこにある闇色の瞳は見続けると吸い込まれそうな不思議なもの。それはワタシを見つめ、スザンナを見据え、そして優しく閉じられた。
「最高だよ」
「そっか♪」
「そうね♪」
孤独を感じさせた雨の音に耳を傾けながらワタシとスザンナはユウタの体を抱きしめていた。もう寂しくはない、そう確かめるように。
初めて出会った時に抱いたのは羨望だったのかもしれない。
二人寄り添いあって花弁の中にいた二人への羨ましさなのかもしれない。
こんな誰もいない森の奥、ようやく喋ることのできる相手を見つけた喜びよりもただ二人の姿が眩しくて通っていただけなのかもしれない。
結局のところオレこと黒崎ゆうたはただ寂しかっただけなんだろう。
だから通い続けていた。
晴れだろうが雨だろうが関係なく、二人の元へ。
男女の双子とは違う二人とも女性の双子。人間ではなくともその絆は確かなものできっと一生途切れることのないものなんだろう。それが同じ双子として羨ましい。
別に仲が悪かったわけではないが…ずっと共に居られる存在というのはとても眩しいものだった。
―そこへ踏み込むべきではない。
度々思っていたことだ。二人の世界を壊すような真似はすべきではない。二人だけの絆を脅かすような真似はすべきではない。訪れることすらすべきではないと。
それでも森で一人いる寂しさは辛く、二人の姿は羨ましく、何度彼女達の元へと通っていたことだろう。
その絆に入りたかったのか、寂しさを埋めて欲しかったのか、何を思っていたのかわからない。
それでも気づけばオレは二人がいる百合の花弁へと引っ張られて―
「―……ん」
うっすらと瞼を開けるとこちらを見据える二人の女性と目があった。人間ではない肌の色と百合を刺した薄紫色の髪の毛をしているが、それでも見惚れてしまうほどどちらも美しい。整っているのは顔だけではなく男性ならば誰もが見惚れるプロポーションをしていた。
「ユウタ、起きた?」
「おはよう、ユウタ」
リリラウネのリリーとスザンナ。二人はオレの顔を覗き込んでは嬉しそうに微笑んだ。
徐々に頭の中が覚醒していく。寝起きはあまりよくないが随分とすっきりしている。それは安眠したせいか、それとも昨晩も散々彼女たちの中へと吐き出したからか。
「あれ、オレ寝てた?」
「もうぐっすりと寝てたよ」
「疲れたんじゃないかしら、リリーがあれだけ激しくしたせいで」
「それならスザンナだって何回もしたくせに」
気づけばオレは二人の中へと引き込まれていた。そこは日差しは届かないけれど、それでも確かな温かさがある。一人苛まれていた寂しさなんて欠片もない。とても心落ち着く場所だ。
「…」
だが、落ち着くからこそ自身の片割れである双子の姉が心配になる。今頃どうしているのか、一人で大丈夫かと心配は尽きない。ここで心配したところで何もできるはずがないというのに。
「ユウタ?」
「どうかしたかしら、ユウタ」
「ん、いや、なんでもないよ」
誤魔化す様に寝ぼけ眼を擦りあげるとリリーとスザンナは体を押し付けてきた。寝起きでもはっきり伝わってくる女体の柔らかさは何度味わってもなれるものではなく、胸が高鳴ってしまう。
「なら、ね♪」
「ねぇ、いいでしょう♪」
寝起きのせいで固くなったものを撫で上げてくる二人を見て苦笑する。初めて百合の花弁に入ってからずっとこうだ。健全な高校男児にも劣らない性欲には笑うしかない。不思議とこの蜜のせいか疲れず、むしろ昂ぶってくるのだが二人がかりの求めには流石にたじたじだ。
それでも全く嫌ではない。
「まったく、仕方ないな」
百合の花弁に倒れこみ、オレとリリーとスザンナは何度目かわからないほどの交わりへと溺れていくのだった。
―HAPPY END―
「スザンナ、今日も誰も来ないね」
「それがいつもの事でしょう、リリー」
雄しべの私―スザンナ
雌しべの貴方―リリー
「あっ♪スザンナ、気持ちいいよ♪」
「んんっ♪私もよ、リリー♪」
互いの体を互いの掌で撫でまわす。その感覚に体を震わせ、甘い声を漏らしあう。そうして快感に喘ぎ、私たちは交わりあう。
そんな日々を何日続けていたのだろうか。
生まれてずっと一緒にいるリリーと何度体を重ねたことだろうか。
数えきれないほどの快楽を感じ、わからないほどの絶頂を迎え、そうして私たちは今の今まで互いを求めあってきた。
―だけど、足りない。
二人だけでは物足りない。決定的なものが足りていない。胸の奥から求めるものが、下腹部が疼いて止まない原因が、私たちにはない。
だからこそ今日も私たちは埋めあうように互いを求める。今までそうしてきたように快感で湧きだす感情を誤魔化していく。
―でも、足りない。
重なるたびに欲求はハッキリしてくる。欲しい欲しいと体の奥から喚いて止まない。それでもいくら叫んでも誰もこの森には訪れない。
暗い暗い森の奥。
日の光のない木下。
野鳥の声も届かない木陰の傍。
誰も来ないから私たちは今日も互いを求めあう。額を合わせ、指を絡め、足を絡めて繋がりあう。
「二人だけって、寂しいね」
「寂しいわ、二人だけだもの」
共に囁き体を擦り合わせる。柔らかな胸がリリーの胸に押し付けられて潰れる。にちゃりと間には粘っこい蜜が滴り水質的な音を響かせた。
音は誰もいない森に大きく響く。それがまた寂しくて、悲しくて、私とリリーは埋めあうように下腹部へと手を伸ばして―
「―…ん?」
「あ?」
ばさりと、数枚の葉っぱが散った。伸ばした手が止まり二人で空を仰ぎ見る。
「スザンナ、何かな」
「静かに、リリー」
しばらくしているとまた何枚か葉っぱが落ちる。じっと見続けていると今度は大きな黒いものが落ちてきた。
「とぁっ!」
すとんっと華麗に地面に着地したのは一人の人間だった。
暗い森の闇よりもずっと黒い闇を纏った人間。胸に膨らみは見られず、髪の毛も短い。上も下も同じ黒色の衣服を着こんだ人間は片腕に果物を抱え込んでいた。
紛れもない私たちとは違う存在。魔物ではない、ちゃんとした人間。
だがそれだけではなく、ふわりと香ってくる精の香り。鼻孔をくすぐるだけでも下腹部が疼き、ごくりと喉がなる。
―紛れもない、男性だ。
どうしてこんな人気のない場所にいるのだろう。疑問に思ったがそんなことはどうでもいい。
人だ。
私たち以外の人だ。
それも、人間の男性だ。
彼は辺りを見渡し、私たちに瞳が向く。まるで夜の闇を押し固めたような色をした瞳が私たちを捕らえた。
「あ」
「あ」
「…うぉあ」
私たちを見つめて顔を赤くし、口元に手を当てる彼。あたりを見渡し改めて私たちを見据えると申し訳なさそうに頭を下げた。
「すいません、お邪魔しました」
それが『私―スザンナ』と、『ワタシ―リリー』と『彼の―黒崎ユウタ』との出会いだった。
「や」
「あ、ユウタ」
「いらっしゃい、ユウタ」
今日も今日とてユウタがここへと訪れる。どうやらここまで食べ物を探しに来ているらしく、そのせいかワタシ達と会うときはいつも片手に何か果物を持っていた。今日は丸く赤い果物をいくつか大切そうに抱えている。
「食べる?」
「うん、食べる」
「頂こうかしら」
ワタシとスザンナはユウタの手から果物を受け取った。
リリラウネであるワタシたちにとって果物を食する機会などまずない。自分から動けない以上誰かにとって来てもらうしかない。
ユウタが果物に歯を立て食べるのを真似てワタシもスザンナも同じようにする。初めて口にする果物は思った以上に甘酸っぱかった。
「これ、美味しいね」
「とても美味しいわ、これ」
「そっか。そう言ってもらえてよかったよ」
ワタシ達の言葉にユウタは微笑み、食べかけた果物に再びかみついた。口の端から果汁が滴り地面に落ちる。
「ついてるわ、リリー」
その様子を見ているとスザンナに唇を拭われた。いつもはもっと過激なことをしているのにユウタが傍に居るだけでそれだけでも恥ずかしい。
「…」
だけど、ユウタはそんなワタシ達を見て目を細めた。
ユウタはよくワタシ達を眩しそうに見つめてくる。それはどこか寂しげで、触れてしまうだけで崩れそうな儚いもの。どうしてなのか聞こうにも聞いてはいけない気がする。
それでもスザンナも同じ気持ちだった。聞きたくて聞きたくてうずうずして、それでも聞くべきではないと考えてる。
生まれてからずっと傍に居たリリラウネ。考えることは皆同じで、思うこともまた同じなのだから。
「ねぇ、ユウタ。どうしたの、そんなに見つめて」
それでも我慢できずに口火を切ったのはスザンナだった。
「ん?オレそんなに見てた?」
「ずっと見てたよ。ワタシ達の顔に何かついてるの?」
「もしかして同じことしてもらいたいの、ユウタ」
艶めかしく言葉を紡ぎ、ワタシの頬をスザンナが撫でた。だけどユウタはいや、と小さく言って寄りかかっていた木から立ち上がった。
「なんだか懐かしいなって思ってさ」
「懐かしい?」
「ユウタも兄弟がいるの?」
「いるけど…」
そこで言葉を区切ると小さく息を吐き出して続けた。
「双子なんだよ、オレもね」
「「双子?」」
突然の言葉にワタシ達は思わず声を揃えて言った。
「そう、双子なんだよ」
「ならとてもそっくりだったのかしらね、ユウタに」
「いやこっちは男と女だったからね」
「男女の双子なの?」
「そう。姉と弟のオレでの双子」
そうはいってももう一人はどこだろうか。女性というのならユウタそっくりではないがきっと似ている部分もあることだろう。見てみたい、ワタシもスザンナも思ったのだがどうしてかそれを聞くのは憚られる。双子がいる。その事実を聞くことすら躊躇われたのだから。
「だから少し、羨ましいかな…」
そう言ってワタシたちを見つめる目はとても優しくて、だけどとても寂しそう。懐かしむような、半身失ってしまったかのような、どちらとも取れない悲しげな表情に思わず慰めたくなってワタシ達は彼の名を呼ぶ。
「ユウタ…」
「…ユウタ」
二人で呼んでもユウタは笑みを浮かべるだけで近寄ってはこない。いつも木の傍で寄りかかっているだけだ。
何を遠慮しているのかわからない。どうしてそこから近づかないのかわからない。求めるように手を伸ばしてもユウタは手を振るだけだった。
「…っと、そろそろ時間かな」
薄暗い森の中、太陽が傾くとすぐに暗闇が訪れる。黒髪黒目で黒服のユウタの姿は闇に溶け込んでわからなくなりそうだった。
「ねぇ、ユウタ」
「ん?」
ワタシの声に辺りよりもずっと濃い闇色の瞳がこちらを向く。
「明日もまた来てくれる?」
「明日も?そんなしょっちゅう来ていいの?」
「ええ、いいわよ。その方が嬉しいもの、私達にとってはね」
「ユウタならいつでも来てよ」
二人しかいない暗い森。そこでようやく出会えた初めての男性。その声は聞いてるだけでも心地よく、傍に居るだけでも温かい。
できることならずっと一緒に居たいのだがユウタは別の森の小屋に住んでいるらしい。ならワタシ達には訪れてもらうしかない。
「それじゃまた明日、寄らせてもらうよ
「楽しみにしてるわ、ユウタ」
「ユウタ、待ってるからね」
ワタシたちの言葉に手を振ってユウタはいつものように森の奥へと消えて行った。
「ユウタは今日は、来ないのかな」
「来れないわ。だって今日は雨だもの」
暗い森でも雨は降る。葉っぱを滴り雫が垂れる。地面を濡らし、木々を濡らし、そして木陰にいる私たちにも降り注ぐ。花弁を用いて屋根を作るが冷たい風は身に染みる。互いに温めあうように体を寄せ合い、来ないだろうユウタを想った。
「…会いたいな」
リリーの言葉に私は頷く。
こういう時は他の魔物が羨ましい。私たちはアルラウネであり植物だ。根を地面に張っているせいで移動はできず、向こうから来てもらうしかない。
でもこんな天気に森を歩く人はいないだろう。地面はぬかるみ、容赦なく水滴が降り注ぐ。傘があってもずぶ濡れになってしまうことだろう。
「寂しいな」
「寂しいわ」
互いに思ったことを口に出す。久しく忘れていた感情だ。
ユウタがいてくれたからこそ今まで感じたことのない寂しさになる。二人だけの方がマシだったと思えるほどのものだ。
不思議な感覚。
会うべきじゃなかったという後悔と今すぐ会いたいという願望。どちらも私たちの気持ちであって、嘘偽りない感情だ。
「会いたいわ」
「会いたいね」
指先を絡め、肌を合わせ、寂しさを生めるように抱きしめあう。
「「ユウタ…」」
雨粒の降り注ぐ空は見えない。木の葉に遮られた空を仰ぎ見て私たちは彼の名を呼ぶ。でもそは届くことなく雨音にかき消されていくだけで―
「―何?」
ではなく、言葉が返ってきた。声のする方を見ると普段から訪れる木の下にユウタは立っていた。
「ユウタ!?」
「来てくれたの、こんな雨の中を!?」
「そりゃ、約束したら来るよ」
からから笑って私たちの傍にある木に体を預ける。いつもと同じなのだがそこには雨水が滴り落ちていた。
「ただ傘がないっていうのはきついかな。流石に小屋には傘まではないみたいだったし」
そう言って濡れた髪の毛を掻き揚げる。普段癖のある黒髪は垂れ下がり先からは滴が滴り落ちた。それでも衣服は水を弾いて地面へと落としていく。濡れたのは頭だけらしい。
「ユウタ、大丈夫なの?」
「平気だよ。うちの学生服は防水加工されてるからさ」
そう言って笑うのだが頭が濡れていることに変わりない。指先に至っては震えている。雨で体を冷やしてしまったのだろう。
人間は体が弱い。魔物よりもずっと弱く、病で命を落とすこともある。雨で体を冷やしたせいで病気になり、そのままいなくなってしまったら…そう考えるとぞっとする。
だからだろう。私もリリーも同じことを考えた。
「ユウタ、来て」
「来なさい、ユウタ」
冷えた体も私たちが温めればいい。単純で簡単なことだ。だから私たちは二人でユウタに手を差し出す。
「え?いや、これくらい大丈夫だよ」
「大丈夫じゃないでしょう。壊しちゃうわよ、体」
「病気になったらここに来れなくなるよ」
私たちの言葉にユウタは首を横に振る。思えばユウタはいつもそうだ。
ある一定距離から私たちに近づかない。触れ合える距離には絶対に踏み込まない。それは蜜の香りがしないところだからだろうか。嗅げば体は熱くなり、男性も女性も魔物も皆いやらしくなる甘い香り。それから逃げるように近寄らないのかわからない。
だから私たちが伸ばす手はいつも届かない。
触れたいと思っても触れられない。それがどれだけ辛いことか。
触れたい。
近寄りたい。
でも、私達には動ける足はない。となるとできることはひとつだけ。リリーの手を掴み、身を乗り出して限界まで腕を伸ばすとやっとユウタの服に届く。そのまま掴むと二人で一気に引き寄せた。
「うぉあっ!」
その体を抱き締める。離れないようにと、やっと触れた感触を手放すまいときつく、強く。服越しでも感じられるそれはリリーよりも私よりもずっと逞しい。思わずそのまま抱きしめていたくなるほどに。
「…あの、スザンナ、リリー。離してほしいんだけど」
「嫌」
「ダメ」
「…」
逃げ出そうともがくユウタを力ずくで百合の中へと引き上げる。女性と言えど魔物、それも二人の力なら一人の男性を引きずり込むには十分だった
「ちょっと待ってその中は……あぁあ……!」
べちゃりと蜜の満ちた花弁の中へと足がつく。それは水を弾く服でも容赦なくまとわりついた。
「ぁぁぁ〜………やっちゃった…」
ユウタは困ったように顔に手を当てる。だけどその手は震えているし髪の毛も濡れている。拭わないと風邪をひいてしまうことだろう。
「ユウタ、服脱いで」
「脱がしてあげるわ、ユウタ」
「え?待って!」
返答を聞く前にボタンを外しにかかる。黄金でできたような五つのボタンを外すと下から現れたのは無地の白い服だった。
「濡れてる…」
リリーが触れた、絹のように白い服。着込んだ黒い服とは真逆の、まるで私たちの花弁の様な真っ白なそれは雨水でぐっしょり濡れていた。どうやら上着の隙間から染み込んだらしい。
「ユウタったらこんなの着てたら風邪ひくよ」
「もっと体は大切にするものよ、ユウタ」
「だから脱がしちゃっていいよね」
「ひいたら大変だものね、風邪」
私たち二人で詰め寄るとユウタは後ろへと下がる。だがここは私たちの花弁の中。百合の花弁が持ち上がるとユウタの背中を押す壁になる。
「うぉっ!?」
「上着は脱がして」
「脱いで、この白い服も」
「ちょっ!ワイシャツははやめ…っ」
抵抗させる暇もなくユウタの服を脱がせていく。ユウタは一人、対してこちらは二人。故に私がユウタの動きを止めればリリーがどんどん脱がしていった。
そして気づけばユウタは私たちと同じように裸になっていた。
「…っ♪」
「♪」
「べ、別にここまで取らなくても…っ!」
普段から線の分かりにくい服を着込んだ姿だったがその下にあったのは引き絞られた肉体だった。筋肉で絞られた体は細くとも逞しく私たちの体にはない魅力がある。見つめているだけで体が熱くなり、とてもいやらしくなる魅力が。
「ユウタの体とっても綺麗だよ」
「それでとてもいやらしいわ、ユウタの体」
「…褒められてるの?」
「褒めてるわよ、とっても」
指を這わせると伝わってくるのは熱い体温。それから私たちにはない固さ。押しても押し返してくる逞しい弾力。
リリーも堪能しようと顔を胸板に擦りつけた。私も同じようにユウタの胸に頬を擦りつける。
「ちょ、っとっ!!」
「温かい…♪」
「ええ、すごくね♪」
この熱だ。
私が、私たちが求めていたのはこの温かさだ。
一人ではない、二人では得られない、ユウタの熱。これをどれだけ求めていたことだろう。
「ユウタ。ワタシ達の体、温かい?」
「温かいでしょう、ユウタ?」
「温かいけどさ…」
恥ずかしそうにそっぽを向いて身を捩らせる。その様子に二人で笑い、頬に手を添えた。徐々に顔が赤くなっていくのは蜜の香りのせいか、それとも私達によるものか。それでもまだまだ頬は冷たく、指先も震えている。なら、温める必要がありそうだ。
「でもまだ冷たいから」
「温めてあげるわ、じっくりとね♪」
「………え」
見つめただけでも吸い込まれそうな闇色の瞳は諦めたようにゆっくり閉じていく。ワタシたちのすることに身をゆだねてくれるという証だろうか。そう思うともう止まれはしなかった。
先に口づけたのはスザンナだった。ただ重ねただけのキスだけどその顔は蕩けていく。触れ合っているだけ、それでもスザンナは気持ちよさそうに身を捩らせた。
続いてワタシ。スザンナが離れてすぐにユウタへと吸い付いた。触れ合った唇は柔らかく、スザンナとはまた違う感触だ。温かくて
―甘い…っ♪
花の蜜とは違う甘さ。それは何にも例えられないが頭の奥まで染み込んでくる。
もっと欲しいと感じるままにワタシは強く押し付け、舌を突き出した。ユウタの唇を舐めとると我慢できなくなったのかスザンナが横から唇を寄せてきた。
「んっ!」
「ん、、む…♪」
「ちゅ、ん…♪」
互いにユウタの口を貪りあう。舌を差し入れ唾液を啜り、舌を擦り合わせては蹂躙する様に暴れまわる。気づけばワタシたちの口の周りは唾液でべたべたになっていた。
「ユウタ、舌を…♪」
「舌を、出して…ユウタ♪」
ワタシ達の言葉に舌を突き出すユウタ。そこへ二人して吸い付いた。何度も吸い付くように啜るとその度頭の中まで甘い味が染み込んでくる。
次第に口づけはいやらしさを増していく。ワタシもスザンナも舌を突出し三人で絡めあう。にちゃにちゃと唾液が溢れて滴り落ちるが関係なしに求めあう。
誰が誰の舌かわからない。溶けて一つになってしまいそう。キスと呼べるのかわからない行為はあまりにも甘美なものだった。
だけど、足りない。
魔物の体はもっと別のものを求めてる。二人だけでは埋められなかったものを欲して喚いてる。
気づけばワタシたちの手はユウタの体を這いまわっていた。固く逞しい胸板を、わずかに浮き出た肋骨を撫でて徐々に下へと下がっていく。肌ではない堅い布地に手が触れるとわずかにユウタが声を漏らした。
「んっ…」
「「あ♪」」
指先に触れたのは下腹部で膨れ上がる熱いもの。ワタシ達にはない部分。そこに二人で手を添えるとユウタの体がびくついた。
「んんっ!!」
「熱いわ、これ♪」
「とっても固い♪」
初めて感じる男性という存在。その部分を確かめるように何度も撫でまわす。ユウタ逃げるように身を捩ったが蜜に塗れた状態では満足に動くことすらできない。
スザンナがズボンをおろし、ワタシが下着を取り払う。すると濃密な雄の匂いが鼻をついた。
「あぁ…すごい匂い♪」
「とても濃厚ね、この香り♪」
ワタシ達の花の香りとは違うユウタの香り。つんとするが嫌なものではない。下腹部に熱を灯し、いやらしくするものだ。
力強く反り立ったユウタの雄。血管が浮き出して脈打つように震えるそれはワタシ達のどの体の器官にも似ていない。異形とすら感じられるけど、愛おしいとも思える。
でも魔物の本能は知っていた。これをどうするのか、どうすべきなのかを。
欲しい。ユウタが、欲しい…っ!
雌の本能を刺激する匂いに雌の花弁から蜜が滴って止まらない。普段以上に欲望が渦巻いてる。それを感じているのはスザンナも同じだった。
「ユウタっ」
スザンナがユウタを花弁へと押し倒し、その上に跨った。もう待ちきれないと言わんばかりに体を寄せ、雌の花弁を指で開く。滴り落ちる粘っこい蜜はユウタのものへと降り注いだ。
「入れるわね、ユウタ…♪」
静かに頷くユウタを見てスザンナはゆっくりと腰を下ろしていった。
「は、ぁ…っ♪」
入ってくる。燃え上るように熱く、鉄のように固いユウタ自身が。リリーの指よりもずっと深い所に、疼いていた部分を埋め尽くす様に。
これだ。私たちが欲しがっていたのはこれなんだ。魔物として、雌として、本能で求めていたのがこれなんだ。
とても熱くて固くて逞しい、それでいてとても気持ちのいいもの。膣内で脈打つだけで快楽を生み、私の体を駆け巡っていく。今まで感じたことのない感覚に私は思わず倒れこみそうだった。
「だ、大丈夫?」
私の体を支えるように肩を掴むユウタ。彼自身も相当快楽を得ているのか拳を握りしめながら心配そうに顔を覗き込んでくる。それが嬉しくて私は思わず彼を抱きしめた。
「…ぁっ!」
「だい、じょうぶ…♪とっても気持ちいい、だけだから…♪」
嬉しくて膣内がきつくユウタを締め付ける。浮き出た血管すらわかるほど密着しては離したくないと言わんばかりに抱きしめる。
ようやく落ち着いてきたころ私はユウタの体に手をついた。掌に伝わる逞しい感触にため息をつき、彼の瞳を覗き込む。
「う、動くから…ね、ユウタ」
「ん…」
ゆっくりと腰を上下する。すると膣内をユウタの先っぽが強く擦りあげた。その動きに呼応する様に膣内は入口から締め上げて互いが甘い声を漏らす。引き抜け、飲み込む。その単純動作なのだが得られる快感は強烈過ぎる。
下腹部で、子宮で膨らむ快楽の予感。それは私が今まで感じたことのない大きさであり恐怖すら感じてしまう。だけど、もっと気持ちよくなりたくて、もっとユウタを気持ちよくしてあげたくて、恐怖なんて頭から吹き飛んでいた。
「ユウタっ♪気持ちいい?私の、ああぁっ♪…中、はっ♪」
「ん…すごい、きつくていいよ、スザンナ」
「嬉しい♪」
両手を握りしめまるで恋人のように言葉を紡ぎ合う。
ユウタが私を気持ちよくしてくれる。
ユウタが私で気持ちよくなってくれる。
その事実は私の胸の奥を満たし、欲望とはまた違うものを募らせていく。
「…んっ♪」
「むっ!?」
だけど隣で不機嫌そうな顔を浮かべたリリーは突然ユウタに覆いかぶさった。そのまま唇を押し付けると貪るように啜りあげる。
「あぁああっ♪」
キスのせいでか一段と膨れ上がったユウタ。それは膣内を強く擦りあげ私に快楽を叩き込んでくる。
何度も何度も腰を上下させる。その度にお尻がぶつかりいやらしい音を響かせた。聞くだけでも恥ずかしくなる、それでももっと聞きたくなる交わりの音だ。
「んっんんっ!」
何かを伝えたいのか握りこんだユウタの手に力が入る。だがリリーのせいで言葉にならず何を言いたいのかはわからない。ただ呼吸が荒くなり体がびくつくように震えていた。
それがなんなのか、理解するよりも先に私の体は動いていた。
下腹部から膨らむ絶頂の予感。あと少しで弾けそうな膨大な快楽。もっと気持ちよくなりたくて何度も何度も腰が上下する。止められないのは魔物故のものか。快楽に貪欲であるからか。
否、魔物の体は、雌の体は最初からそれを求めて動いていた。
「あぁああっ♪」
一際大きく膨らんだユウタのもの。それは震えあがり私の膣内を埋め尽くすと次の瞬間爆発した。先端から子宮へと雄の証を、精液を注ぎ込んでくる。まるで燃え盛るマグマのように熱を持ちどろっとしたその感触は私を絶頂へ押し上げるには十分だった。
「イ、 クぅぅぅぅううううう♪」
押し上げられた先に待っていた絶頂は果てないものだった。私の体を引きちぎりそうな快楽の本流に流されていく。抗うことは許されず飲み込んでは体中を支配する。腰を何度も震わせてみっともない表情のまま私はユウタに倒れこんだ。
それでも魔物の体は止まらない。
もっと精液が欲しいとねだるように膣内が蠢いた。根元から絞り出す様に律動し、一滴残らず余らすことなく啜り上げる。貪欲に、雌の本能のままに。
「んっんん…っ!!」
「あ、あっ♪やぁ…っ♪止まらないっ♪また、ぁああイクっ♪」
絶頂が止まらない。それは未だにユウタが精液を私に注ぎ込んでくれるからだろうか。何度も脈動して熱く滾った精液が子宮を満たしていく。
喜びが止まらない。それはユウタが私の中で気持ちよくなってくれてるからだろうか。リリーにキスされながらも繋いだ手が言葉にできない充足感を与えてくれる。
これが本当の絶頂なんだ。
これが本当の喜びなんだ。
男と女で感じられる、本当の快楽なんだ。
ようやく絶頂から戻ってくる。体は心地よい脱力感に包まれ、私は荒い息をする。力なく横たわったユウタの体はじっとりと汗ばんでいたがそれでもとても心地いい。
だが。
「…ん」
ゆっくりと唇を離すリリー。その端からは唾液が滴り落ちた。彼女は拭おうともせず私に視線を向けてくる。
何を言いたいのか、聞く必要はなかった。
「…ふふ、リリー」
リリーも私のようにユウタと交わりたい。そんなこと言葉にしなくとも伝わってくる。
だから私はユウタの上から退くとリリーを花弁へと押し倒した。続いてユウタを抱き起し、後ろに回ると囁く。
「ねぇ、ユウタ。今度は貴方からたっぷり愛してあげて、リリーの事を♪」
既にリリーは何をするつもりか理解して両足を広げた。いやらしい蜜を滴らせた雌の花弁を晒し、ユウタを誘うように引くつかせる。
「ユウタ…ワタシにも…ちょうだい?」
「…っ」
ごくりと喉を鳴らすユウタの後ろで私は腕を回す。男性らしく逞しい背中を抱きしめると強引に押し上げるように腰を突き出した。
スザンナがユウタの腰を押し出したことで膨れ上がっていたユウタ自身がワタシの中へと押し込められた。スザンナの指よりもずっと太くて固い男性の証。それがワタシの中で力強く脈打ってる。既に一度射精したというのにユウタのものはワタシの中を埋め尽くすほど大きくなっていた。
「あぁあ…は、ぁあ…♪」
胸の奥が満たされる。言葉にできない心地よさが募っていく。二人だけでは埋められなかった、ずっと苦しく切なかったものがかき消されていく。
「ユウタぁ…っ♪」
ワタシたちが欲しかったもの。
ずっと二人で求めていたもの。
それが今ここにある。
「リリー…」
そっと頬を手の平が撫でていく。ワタシたちよりも大きく堅い手の感触に胸の奥が苦しくなる。嬉しいのに、いや、嬉しいからこそだ。嬉しいからこそもっと欲しくて、もっとそうして貰いたくなる。
貪欲に、強欲に、淫らに、いやらしく、求めて止まず、欲して止まらず、ただユウタを感じたい。
「リリーにも一杯感じさせてあげて、ユウタ」
囁くスザンナの声に小さく頷くとユウタはゆっくりと腰を動かした。
「あ、あ♪や♪いい、よぉっ♪」
手の届かなかった部分を蹂躙される。それはなんとも甘美な感覚だった。大きいカリが引っ掻いてぞくぞくと快感が湧き上がってくる。その度みっともない声を漏らし、涎が滴り落ちていく。それでも耐えきれないほどの気持ちよさは押し寄せワタシを絶頂へと押し上げる。
ただこれだけでもイってしまう。いや、もうイってるのかもしれない。ユウタがワタシの中を擦りあげるたびに目の前が真っ白になり体が震えてしまうのだから。
でも、足りない。
それはワタシ達が魔物だからか、今までスザンナと互いを求めてきたからか。快感に貪欲な体はさらなる激しさを求めてる。もっとユウタを感じたいと喚いてる。
そうなれば腰が動いてしまうことは仕方ないことだった。
「あぁあっ♪」
「んっ!!」
花弁に寝ころんだまま腰を動かすと膣壁がユウタと強くこすれあう。目の前が真っ白になりそうな快感に声が漏れるが止まらない。
ただわずかに動いただけでも気持ちいい。それならもっと動いたらどうなるのか。貪欲な体は意識するよりも早く動き出す。
前後、左右、上下、円を描くように動かしてはその度ユウタが別の部分に擦れてく。当たる部分が変われば伝わる快楽も変わり、子宮に募ってはワタシを絶頂へと押し上げてく。
「いいっ♪ユウタっ♪気持ち、いいよっ♪」
何度も腰を動かしてユウタを擦りあげていく。一番奥まで飲みこんで、膣内で締め上げて、その度に子宮からは熱い蜜が吐き出され、溢れだしては滴り落ちていった。ずっちゃずっちゃといやらしい音が響くたびユウタは堪えるように表情を歪める。
「待って、激し、すぎっ!」
ワタシの腰を押さえつけようと手を伸ばす。だがその手はスザンナが絡め取った。
「スザンナっ!」
「止めちゃだめよ、ユウタ♪」
それどころかいやらしく笑って腰を押し付ける。そうなればワタシ達に挟まれたユウタの腰は無理やりにでも動かされ、膣内の深くまで押し入ってくる。
「あぁあああああっ♪」
「〜っ!!」
「ふふっ♪感じてるのね、二人とも」
一番奥、子宮まで押し入られて突かれる。一番敏感な部分を叩かれるたびに腰ががくがくと震えた。
スザンナによって無理やり叩き込まれる快楽にユウタは力なく体を倒してくる。崩れないように花弁に手をつくと鼻先が触れ合うほど近づいていた。
キス、できる。そう考えるよりも先にワタシの体は動いていた。
「んむっ♪」
「んんっ!」
吸い付くように唇を啜る。柔らかく、花の蜜よりもずっと甘く感じられるキスに頭の奥が蕩けていく。伸ばした舌が口内に侵入し、ユウタの唾液を舐めとっては奥にある舌と絡み合う。先ほどのようににちゃにちゃとしたいやらしい音が奥まで響き、下腹部からはじき出される快楽にくぐもった声が漏れた。
リリーのいない二人だけのキス。とても甘くていやらしいキス。膣内を擦られるのと比べると微塵なものだが快感とは違う気持ちよさがある。まるで溶けてしまいそうな優しい感覚は胸の奥に温かいものを募らせた。
「んちゅ…っ♪」
離れた唇からは唾液が滴る。どちらのものかはわからない。それでもワタシは嬉々として舐めとり、ユウタの唇まで拭い取った。
満ち満ちていく胸の奥。感じたことのない絶頂。雄がいてこその雌の喜びを知ったがまだまだ行為は終わらない。
ワタシはこの先があることを知っている。スザンナにしたように、ワタシはまだユウタの精液を貰ってない。
「ユウタも、気持ちよくなってっ…♪」
「リリーを感じてあげて、ユウタ♪」
「待っ、てって…うぁっ!」
二人で腰を動かしてひたすらに快楽を求める。でもそれは今までとは違う、二人だけの時とは違ったもの。間にユウタを挟み込み、雌の本当の喜びを享受するものだ。
ワタシの中の感触に体を震わせ、スザンナに押し付けられた体の感触に背筋を震わす。そんなユウタが愛おしくて、もっと悦んで欲しくなる。
だけど限界が近いのか徐々に抵抗が弱まり、体の力が抜けていく。その様を先ほど感じていたスザンナは何がくるのかすぐに理解していた。
「出そうなの?なら、ちゃんと出してあげて、リリーの一番奥に♪」
「うんっ♪出してっ♪ワタシの中に、いっぱい出してっ♪」
「だから、待っ、て…っ!」
引き抜こうとするユウタだがスザンナが一気に腰を押し出し、ユウタのものが子宮口にめり込んだ。
「ふぁああああああああああっ♪」
一際大きくなったユウタのものがワタシの中で強く脈打った。お腹いっぱい埋め尽くされる感覚は苦痛すら感じそうなのに快楽しか感じない。
射精される、私の中に精液を出してくれるんだ。
スザンナにしたようにワタシの中にも精液が吐き出されようとしている。それがわかる程ユウタは震え、ワタシの中は奥へ誘うように蠢いた。そして次の瞬間ユウタ自身が大きく跳ねた。
子宮に流れ込んできたのは体を焼き尽くすような熱を持った熱い液体。リリーの子宮を埋め尽くした雄の証だ。それは何にも遮られることなく子宮へと流れ込んでくる。
「あぁあああああああああっ♪」
子宮に注がれる精液の感触は今での絶頂の比ではない。今までの行為が子供だましであったかのように強烈な快楽をワタシの体に叩き込んでくる。気持ちよすぎて頭の中が焼き切れてしまいそうだった。
びゅくびゅくと何度も脈打ち吐き出された精液を子宮口は貪欲に吸い付き、一滴すらも余すことなく、子宮の中から漏れ出さないように啜り上げた。
溢れだしそうなほど注がれたユウタの精液。それは人肌とは違う温かさで子宮の中で波打ってる。それでも止まず、まだまだ注ぎ込まれてくる。
もっと欲しい。ワタシの子宮に、もっと出して欲しい。
その気持ちはワタシのであって―スザンナのでもあった。
ずんっとスザンナがユウタの腰を押し付けた。
「〜っ!!」
「一杯出してあげてね、ユウタ♪」
「やぁああっ♪イってる♪イってるのにっ♪やめてぇっ♪」
射精中のユウタがスザンナに無理やり動かされる。精液を吐き出したまま揺り動かされ吸い付いた子宮をぐりぐりと押し上げてくる。ただでさえ絶頂の最中だというのにこれ以上ないほどの高みへと押し上げられた。
それはユウタも同じらしく声にならない叫び声をあげている。体を震わせ、それでも抑制できない快感に悶えていた。
どれだけ続いたのかわからない。スザンナのおかげであまりにも長い間絶頂の最中にいた。
いや、絶頂から降りることを許されなかったというべきか。
絶頂後の脱力感に身をゆだねて力を抜く。ユウタも体から力が抜けたのかスザンナに支えられていた。ワタシの中からゆっくり引く抜くと後ろの花弁に寝かされて肩で荒い呼吸をしている。
「お疲れさま、ユウタ」
その隣に寝ころぶスザンナ。ワタシもゆっくり体を起こして反対側に寝転がる。
ワタシ達と違う固くて熱い、男性の体。ただ寄り添うだけでも心地いい。
「とっても気持ちよかった…♪」
「素敵だったわ、とてもね♪」
「…どうも」
まだ体の力が入らないのか力なくそう応える。ワタシ達はそんな様子にくすりと笑った。
「やっぱり二人だけじゃないっていいね」
「とてもいいわ、だってユウタもいるんだもの」
二人だけではない、三人一緒にいるということ。それは二人以上に温かく、気持ちよく、心地いい。
この先ワタシ達はきっと、いや、絶対にユウタを手放せないことだろう。
「ユウタはどう?」
「いいものでしょう、ユウタ?」
二人で顔を覗き込む。そこにある闇色の瞳は見続けると吸い込まれそうな不思議なもの。それはワタシを見つめ、スザンナを見据え、そして優しく閉じられた。
「最高だよ」
「そっか♪」
「そうね♪」
孤独を感じさせた雨の音に耳を傾けながらワタシとスザンナはユウタの体を抱きしめていた。もう寂しくはない、そう確かめるように。
初めて出会った時に抱いたのは羨望だったのかもしれない。
二人寄り添いあって花弁の中にいた二人への羨ましさなのかもしれない。
こんな誰もいない森の奥、ようやく喋ることのできる相手を見つけた喜びよりもただ二人の姿が眩しくて通っていただけなのかもしれない。
結局のところオレこと黒崎ゆうたはただ寂しかっただけなんだろう。
だから通い続けていた。
晴れだろうが雨だろうが関係なく、二人の元へ。
男女の双子とは違う二人とも女性の双子。人間ではなくともその絆は確かなものできっと一生途切れることのないものなんだろう。それが同じ双子として羨ましい。
別に仲が悪かったわけではないが…ずっと共に居られる存在というのはとても眩しいものだった。
―そこへ踏み込むべきではない。
度々思っていたことだ。二人の世界を壊すような真似はすべきではない。二人だけの絆を脅かすような真似はすべきではない。訪れることすらすべきではないと。
それでも森で一人いる寂しさは辛く、二人の姿は羨ましく、何度彼女達の元へと通っていたことだろう。
その絆に入りたかったのか、寂しさを埋めて欲しかったのか、何を思っていたのかわからない。
それでも気づけばオレは二人がいる百合の花弁へと引っ張られて―
「―……ん」
うっすらと瞼を開けるとこちらを見据える二人の女性と目があった。人間ではない肌の色と百合を刺した薄紫色の髪の毛をしているが、それでも見惚れてしまうほどどちらも美しい。整っているのは顔だけではなく男性ならば誰もが見惚れるプロポーションをしていた。
「ユウタ、起きた?」
「おはよう、ユウタ」
リリラウネのリリーとスザンナ。二人はオレの顔を覗き込んでは嬉しそうに微笑んだ。
徐々に頭の中が覚醒していく。寝起きはあまりよくないが随分とすっきりしている。それは安眠したせいか、それとも昨晩も散々彼女たちの中へと吐き出したからか。
「あれ、オレ寝てた?」
「もうぐっすりと寝てたよ」
「疲れたんじゃないかしら、リリーがあれだけ激しくしたせいで」
「それならスザンナだって何回もしたくせに」
気づけばオレは二人の中へと引き込まれていた。そこは日差しは届かないけれど、それでも確かな温かさがある。一人苛まれていた寂しさなんて欠片もない。とても心落ち着く場所だ。
「…」
だが、落ち着くからこそ自身の片割れである双子の姉が心配になる。今頃どうしているのか、一人で大丈夫かと心配は尽きない。ここで心配したところで何もできるはずがないというのに。
「ユウタ?」
「どうかしたかしら、ユウタ」
「ん、いや、なんでもないよ」
誤魔化す様に寝ぼけ眼を擦りあげるとリリーとスザンナは体を押し付けてきた。寝起きでもはっきり伝わってくる女体の柔らかさは何度味わってもなれるものではなく、胸が高鳴ってしまう。
「なら、ね♪」
「ねぇ、いいでしょう♪」
寝起きのせいで固くなったものを撫で上げてくる二人を見て苦笑する。初めて百合の花弁に入ってからずっとこうだ。健全な高校男児にも劣らない性欲には笑うしかない。不思議とこの蜜のせいか疲れず、むしろ昂ぶってくるのだが二人がかりの求めには流石にたじたじだ。
それでも全く嫌ではない。
「まったく、仕方ないな」
百合の花弁に倒れこみ、オレとリリーとスザンナは何度目かわからないほどの交わりへと溺れていくのだった。
―HAPPY END―
14/06/19 21:07更新 / ノワール・B・シュヴァルツ