悲しき歌声!セイレーン!!
「それじゃあ最後のスーパーコッコ、もといスーパーハーピィの説明をするだーよ。心して聞いてほしいだーよ。」
超淫乱ハーピィ、ジャブジャブ様のルルトちゃんから5日ぶりに解放された俺は、次なる仕事の説明を受けるべく事務所を訪れていた。
え?
あの後ルルトちゃんはどうなったかって?
なんやかんやあって問題が解決したらしいよ。
性欲が発散されて、卵もまた埋めるようになって、問題解決したらしいよ。
それにしてもなぁ、ルルトちゃんのおっぱい、、、凄かったなぁ
大きくて、柔らかくて、温かくて、むにゅむにゅで、、、巨乳って素晴らしいよなぁやっぱり大きいおっぱいは正義だよな!
ビリビリッ!
「痛いッ!」
「?どうしただーよ?」
「いえいえ、なんでもありません。ちょっと電撃を食らっただけだと思います。
それで、、、最後のスーパーハーピィというのは、いったいどんな娘なんですか?」
俺のその問いかけにおっさんはいつになく真剣な顔をして、その口を開けた。
「、、、セイレーンという種族で名前をマロンって言うだーよ。ちっちゃくてみんなの妹みたいな娘だーよ。」
(ほほう、妹系か、、、まぁ俺からしたらここにいるハーピィのほとんどが妹みたいなものだけど、、、なんと言うか、改めて聞くとなんかグッと来るものがあるな!ムフフフフ!!)
思わずにやけてしまうのを俺は必死に押さえて真面目な顔を保ちながら話を聞き続けた。
「それで、、、その娘の悩み事ってなんですか?」
俺の核心に迫る質問におっさんは少しだけ黙りこんだあと、ゆっくりと口を開いた。
「、、、失恋だーよ。」
「失恋!?」
予想外の返答に思わず驚いてしまう。
(魔物娘にもそんなものがあるのか、、、あんなに可愛くてエロい魔物娘たちから迫られて断ることのできるやつが存在するのか、、、
そいつはほんとに男なのか?EDじゃないのか?いや、、、もしかしてホモだったのか?)
そんなことを考えているとおっさんはさらに説明を続けてきた。
「お前の前にこの牧場に飼育係として配属された男がいただーよ。マロンはその男のことが大好きだっただーよ。」
「マロンちゃんはその男に振られてしまった訳ですか。」
「そうだーよ。その男はこの牧場によくお手伝いに来てくれていたエルフのリミアって言う女の子と恋に堕ちてそのまま結婚してしまっただーよ。
今は二人で別の地方で牧場やってるだーよ。」
真剣な顔のままおっさんは説明を続けていた。
「、、、、、」
(なんだ、、、それ、、、)
おっさんの話を聞いていると、俺は自然と身体が熱くなっていくのを感じていた。
この牧場にきて、すっかり忘れていた感情が沸々と俺のなかで沸き上がって来るのがわかった。
怒り
しばらく忘れていた赤黒い負の感情が俺のことを瞬く間に支配した。
ハーピィたちのことを差し置いて、エルフの女の子と結婚した?
それが、、、それが飼育係のやることか!
それが男のやることか!
俺は、、、俺なら絶対にそんなことはしない!
ハーピィ全員を愛してハーピィ全員と結婚する!
ハーピィたちを悲しませることなんて絶対にしない!
そしてそのエルフの女の子とも結婚する!
それが飼育係だ!
それが俺だ!
(今回の仕事は、真面目にやらないとダメそうだな、、、セイレーンのマロンちゃんの傷ついた心、俺が癒してやるぜ!)
決意も胸に俺は事務所を飛びだした!
「あ!おい!」
おっさんの話も聞かずに俺は外に飛びだした!
「おーい!待つだーよ!マロンは夜行性のハーピィだから昼間は寝てるだーよ!!夜になるまで待ってるだーよ!!!」
俺はゆっくりと事務所に戻った。
日もとっぷりと落ちた深夜、なんとなーくベッドに横になっていた俺はベッドから飛び起きた。
水で乱暴に顔を擦って頭をスッキリさせると早速外にでた。
目的は勿論、セイレーンのマロンちゃんに会いに行って失恋の心の傷を癒してあげるためだ。
おっさんの話では、夜行性のマロンちゃんは深夜に起きて牧場を飛び回っていたり、大広場で歌っていたりしているらしい。
と言うわけで暗い牧場を駆け抜けて、颯爽と俺は大広場に向かってみることにした。
普段は馬たちが走り回ったり、ハーピィたちが飛び回ったりと広い割に何かと騒がしいこの牧場だが、夜になるとそれがまるで形を変える。
静かで穏やかで、、、月明かりが煌々と降り注ぐなんとなく優しい空気だ。
深い森の中のように生き物をすべてを不安にさせて刈りとってしまうような暴力的な夜でもなければ、ネオンがピカピカ光り輝く歓楽街の落ち着かない夜とも違う、、、そんな優しい夜だ。
牧場の夜はそんな不思議でどこか神秘的な雰囲気に包まれていた。
「、、、夜の牧場ってこんな感じだったのかー、、、」
ハーピィたちの朝は意外と早いため、すっかり早寝早起きが定着してしまった今の俺にとってこれは新しい発見だった。
「なんだか新鮮な感じがするなぁ、、、見慣れた光景でもほんの少しだけ見方を変えてみれば全く違うものに見える、、、ということだな。
分かりきってることのはずなのに、なかなか出来ないことだよな。、、、は!?」
その時!俺の脳裏に電流が走った!!!
「見慣れた光景でもほんの少しだけ見方を変えてみれば全く違うものに見える、、、。
そうか、、、そうかそうか!
今度ハーピィたちに、、、コスプレさせてみよう!!!そしてコスプレエッチしてみよう!!!ぐ、、、ぐふ、ぐふふふふふふ!!!あーーー!これは楽しみだなぁ!!!我ながら天才的な発想ではないか!!!
なーにがいいかなぁ!、、、ナース、メイド、騎士、、イヤ、ハーピィたちは幼い外見の娘が多いからなぁ、、、いや、それもいいんじゃないか!ロリナース!ロリメイド!ロリナイト!、、、いい!いいじゃないか!!!
ジャブジャブ様のルルトちゃんには先生をやってほしいな!メガネかけて、胸元の開いた服着てもらって、、、男子生徒の精液を根こそぎ奪っていくドスケベエロ女先生!!!
サンダーバードのグルちゃんは、、、うーん、難しいな、、、あの娘はあれで美しく完成してるからな、、、逆に素朴な格好をさせておとなしい人妻なんてどうだろうか!昔ヤンチャしていた人妻!!!」
そんなことを考えながら夜の牧場を歩いていると、、、
「〜〜〜♪♪」
「、、、!これは?」
「♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜♪〜♪〜」
夜の牧場の優しい静寂を切り裂くようにどこからか歌が聞こえてきた。
美しくて、、、清らかで、、、それでいて力強く、、、どこからともなく馬がやってきそうな、、、この牧場の夜にあっている優しい歌だ。
だが、、、どこか、、、悲しみ、それも感じ取れるような歌声だ。
「これが、、、マロンちゃんの歌?、、、」
俺はその美しくも悲しい歌声に導かれるがまま、牧場の広場に自然と足を運んでいた。
そこにいたのは、、、
小さく華奢な体に紫色の短い髪の毛をツインテールでまとめ、淡く綺麗な青い羽毛を纏ったハーピィの少女、セイレーンのマロンちゃんが月明かりを浴びながら歌っていた。
「♪♪♪〜♪♪♪〜♪♪♪〜♪〜♪〜」
「、、、、、、、」
その瞬間、俺は時間も忘れて彼女に見惚れていた。
その美しく悲しい歌声に聞き惚れていた。
子供のころに大好きだった絵本を眺めている時のような、少年のときに憧れた悪党を成敗する兵士の活躍を見ている時のような、訓練兵だった数年前に仲間たちと初めての実戦任務を達成した時のような、この牧場に初めて来たときのような、、、
そんな周りの時間が止まってしまうような衝撃、身体が動かなくなり永遠にこの瞬間が続いて欲しいと思ってしまうような感動、、、彼女の歌を聴きながら俺はそんな瞬間を今まさに感じていた。
牧場の広場を広大な緑色のステージにして、月明かりを美しく輝くスポットライトにして、一人力強く我が儘に歌う彼女は俺にとってそれぐらい美しく儚く可憐に見えた。
「♪♪♪〜♪♪♪〜、、、」
「、、、、、、、、、、、」
それからどれくらいたった頃だろうか、、、
「、、、、、あなた、、、イーゴさん、ですよね?」
いつの間にか歌は止まっており、彼女は振り向いて俺にそう投げかけてきた。
「、、、、、あ、ああ!ごめんごめん!ついうっかり君の綺麗な歌に夢中になってしまっていたよ!そうだよ!俺は現飼育係のイーゴだ!よろしくね!マロンちゃん!!!」
俺は慌てて自己紹介をした。
「飼育係、、、」
マロンちゃんが小声でそう呟いたのを俺は聞き逃さなかった。
「、、、私のことはどのくらい聞いていますか?」
マロンちゃんは幼い顔つきと小さい体に反して落ち着いた大人びたまっすぐな瞳で俺のことを見つめながら聞いてきた。
不思議な緊張感が俺のことを支配した。
嘘をついてもすぐ見抜かれてしまうような、そんな少し恐ろしい雰囲気を彼女から感じ取った。
「、、、おっさんからいろいろ聞いたよ。その、、、君が、前の飼育係が好きだったことも、、、その飼育係がエルフの女の子と一緒になったってことも、、
そして俺は!そんな君の心の傷を癒すためにここにいるんだ!」
思わず暗くなってしまった声を無理やり元気に張り上げて俺は説明した。
「、、、、、そうですか、、、」
マロンちゃんはますます暗く落ち込んだ顔になる。そのあと顔を上げて、、、
「イーゴさんは、、、ハーピィが好きですか?ハーピィが一番好きですか?、、、ハーピィを、私のことを、、、その、愛してくれますか?」
悲しい瞳をさせながら彼女は俺に問いかけた。
「、、、なんだそりゃ、、、」
俺にとってそんな問いかけはなんの意味もなさなかった。そんな質問、、、
「もちろんだ。俺はこの牧場すべてのハーピィたちを、、、いや、この世のすべてのハーピィたちを愛すると誓った男だ。もちろん君も俺の全身全霊をかけて全力で愛するよ。
それがこの俺、イーゴ様だ!!!」
高らかに手を掲げ俺は答えた!
「、、、」
だが、、、マロンちゃんは相変わらず暗い顔をしたままだった。
「君のことも必ず救ってみせるよ!俺の近くで悲しんでるハーピィの女の子がいるなんて耐えられないんだ!だから俺に任せて!君の笑顔を取り戻してあげるから!」
高らかに捧げていた手を今度はそのまま彼女の前にまっすぐ伸ばした。
「、、、、、」
マロンちゃんは相変わらず俺のことを悲しみの籠った瞳で見つめていた。
そして
「、、、ありがとうございます、よろしくお願いします。
それでは今日はこの辺で失礼します。」
ぺこりと礼儀正しくお辞儀をすると彼女は羽を広げてそのまま飛び去ってしまった。
「、、、、、」
彼女に向けて伸ばしていた手が悲しく残っていた。俺は悲しいその手を自らの顎に持って行った。
「なるほどな、、、」
牧場の優しい夜と悲しい静寂が再びこの空間を支配した。
「、、、これは、楽な仕事じゃあ無さそうだ、、、」
そうボソッと呟いて俺は大広場を後にした。
そんな悲壮感溢れる一人の男を月はいつまでも優しく照らしていた。
次回予告
唐突にもらった平手打ち、、、
予想外のひじ打ち、、、
特に意味のない暴力がイーゴさんを襲う!!!
※本当の次回予告は下にあります
超淫乱ハーピィ、ジャブジャブ様のルルトちゃんから5日ぶりに解放された俺は、次なる仕事の説明を受けるべく事務所を訪れていた。
え?
あの後ルルトちゃんはどうなったかって?
なんやかんやあって問題が解決したらしいよ。
性欲が発散されて、卵もまた埋めるようになって、問題解決したらしいよ。
それにしてもなぁ、ルルトちゃんのおっぱい、、、凄かったなぁ
大きくて、柔らかくて、温かくて、むにゅむにゅで、、、巨乳って素晴らしいよなぁやっぱり大きいおっぱいは正義だよな!
ビリビリッ!
「痛いッ!」
「?どうしただーよ?」
「いえいえ、なんでもありません。ちょっと電撃を食らっただけだと思います。
それで、、、最後のスーパーハーピィというのは、いったいどんな娘なんですか?」
俺のその問いかけにおっさんはいつになく真剣な顔をして、その口を開けた。
「、、、セイレーンという種族で名前をマロンって言うだーよ。ちっちゃくてみんなの妹みたいな娘だーよ。」
(ほほう、妹系か、、、まぁ俺からしたらここにいるハーピィのほとんどが妹みたいなものだけど、、、なんと言うか、改めて聞くとなんかグッと来るものがあるな!ムフフフフ!!)
思わずにやけてしまうのを俺は必死に押さえて真面目な顔を保ちながら話を聞き続けた。
「それで、、、その娘の悩み事ってなんですか?」
俺の核心に迫る質問におっさんは少しだけ黙りこんだあと、ゆっくりと口を開いた。
「、、、失恋だーよ。」
「失恋!?」
予想外の返答に思わず驚いてしまう。
(魔物娘にもそんなものがあるのか、、、あんなに可愛くてエロい魔物娘たちから迫られて断ることのできるやつが存在するのか、、、
そいつはほんとに男なのか?EDじゃないのか?いや、、、もしかしてホモだったのか?)
そんなことを考えているとおっさんはさらに説明を続けてきた。
「お前の前にこの牧場に飼育係として配属された男がいただーよ。マロンはその男のことが大好きだっただーよ。」
「マロンちゃんはその男に振られてしまった訳ですか。」
「そうだーよ。その男はこの牧場によくお手伝いに来てくれていたエルフのリミアって言う女の子と恋に堕ちてそのまま結婚してしまっただーよ。
今は二人で別の地方で牧場やってるだーよ。」
真剣な顔のままおっさんは説明を続けていた。
「、、、、、」
(なんだ、、、それ、、、)
おっさんの話を聞いていると、俺は自然と身体が熱くなっていくのを感じていた。
この牧場にきて、すっかり忘れていた感情が沸々と俺のなかで沸き上がって来るのがわかった。
怒り
しばらく忘れていた赤黒い負の感情が俺のことを瞬く間に支配した。
ハーピィたちのことを差し置いて、エルフの女の子と結婚した?
それが、、、それが飼育係のやることか!
それが男のやることか!
俺は、、、俺なら絶対にそんなことはしない!
ハーピィ全員を愛してハーピィ全員と結婚する!
ハーピィたちを悲しませることなんて絶対にしない!
そしてそのエルフの女の子とも結婚する!
それが飼育係だ!
それが俺だ!
(今回の仕事は、真面目にやらないとダメそうだな、、、セイレーンのマロンちゃんの傷ついた心、俺が癒してやるぜ!)
決意も胸に俺は事務所を飛びだした!
「あ!おい!」
おっさんの話も聞かずに俺は外に飛びだした!
「おーい!待つだーよ!マロンは夜行性のハーピィだから昼間は寝てるだーよ!!夜になるまで待ってるだーよ!!!」
俺はゆっくりと事務所に戻った。
日もとっぷりと落ちた深夜、なんとなーくベッドに横になっていた俺はベッドから飛び起きた。
水で乱暴に顔を擦って頭をスッキリさせると早速外にでた。
目的は勿論、セイレーンのマロンちゃんに会いに行って失恋の心の傷を癒してあげるためだ。
おっさんの話では、夜行性のマロンちゃんは深夜に起きて牧場を飛び回っていたり、大広場で歌っていたりしているらしい。
と言うわけで暗い牧場を駆け抜けて、颯爽と俺は大広場に向かってみることにした。
普段は馬たちが走り回ったり、ハーピィたちが飛び回ったりと広い割に何かと騒がしいこの牧場だが、夜になるとそれがまるで形を変える。
静かで穏やかで、、、月明かりが煌々と降り注ぐなんとなく優しい空気だ。
深い森の中のように生き物をすべてを不安にさせて刈りとってしまうような暴力的な夜でもなければ、ネオンがピカピカ光り輝く歓楽街の落ち着かない夜とも違う、、、そんな優しい夜だ。
牧場の夜はそんな不思議でどこか神秘的な雰囲気に包まれていた。
「、、、夜の牧場ってこんな感じだったのかー、、、」
ハーピィたちの朝は意外と早いため、すっかり早寝早起きが定着してしまった今の俺にとってこれは新しい発見だった。
「なんだか新鮮な感じがするなぁ、、、見慣れた光景でもほんの少しだけ見方を変えてみれば全く違うものに見える、、、ということだな。
分かりきってることのはずなのに、なかなか出来ないことだよな。、、、は!?」
その時!俺の脳裏に電流が走った!!!
「見慣れた光景でもほんの少しだけ見方を変えてみれば全く違うものに見える、、、。
そうか、、、そうかそうか!
今度ハーピィたちに、、、コスプレさせてみよう!!!そしてコスプレエッチしてみよう!!!ぐ、、、ぐふ、ぐふふふふふふ!!!あーーー!これは楽しみだなぁ!!!我ながら天才的な発想ではないか!!!
なーにがいいかなぁ!、、、ナース、メイド、騎士、、イヤ、ハーピィたちは幼い外見の娘が多いからなぁ、、、いや、それもいいんじゃないか!ロリナース!ロリメイド!ロリナイト!、、、いい!いいじゃないか!!!
ジャブジャブ様のルルトちゃんには先生をやってほしいな!メガネかけて、胸元の開いた服着てもらって、、、男子生徒の精液を根こそぎ奪っていくドスケベエロ女先生!!!
サンダーバードのグルちゃんは、、、うーん、難しいな、、、あの娘はあれで美しく完成してるからな、、、逆に素朴な格好をさせておとなしい人妻なんてどうだろうか!昔ヤンチャしていた人妻!!!」
そんなことを考えながら夜の牧場を歩いていると、、、
「〜〜〜♪♪」
「、、、!これは?」
「♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜♪〜♪〜」
夜の牧場の優しい静寂を切り裂くようにどこからか歌が聞こえてきた。
美しくて、、、清らかで、、、それでいて力強く、、、どこからともなく馬がやってきそうな、、、この牧場の夜にあっている優しい歌だ。
だが、、、どこか、、、悲しみ、それも感じ取れるような歌声だ。
「これが、、、マロンちゃんの歌?、、、」
俺はその美しくも悲しい歌声に導かれるがまま、牧場の広場に自然と足を運んでいた。
そこにいたのは、、、
小さく華奢な体に紫色の短い髪の毛をツインテールでまとめ、淡く綺麗な青い羽毛を纏ったハーピィの少女、セイレーンのマロンちゃんが月明かりを浴びながら歌っていた。
「♪♪♪〜♪♪♪〜♪♪♪〜♪〜♪〜」
「、、、、、、、」
その瞬間、俺は時間も忘れて彼女に見惚れていた。
その美しく悲しい歌声に聞き惚れていた。
子供のころに大好きだった絵本を眺めている時のような、少年のときに憧れた悪党を成敗する兵士の活躍を見ている時のような、訓練兵だった数年前に仲間たちと初めての実戦任務を達成した時のような、この牧場に初めて来たときのような、、、
そんな周りの時間が止まってしまうような衝撃、身体が動かなくなり永遠にこの瞬間が続いて欲しいと思ってしまうような感動、、、彼女の歌を聴きながら俺はそんな瞬間を今まさに感じていた。
牧場の広場を広大な緑色のステージにして、月明かりを美しく輝くスポットライトにして、一人力強く我が儘に歌う彼女は俺にとってそれぐらい美しく儚く可憐に見えた。
「♪♪♪〜♪♪♪〜、、、」
「、、、、、、、、、、、」
それからどれくらいたった頃だろうか、、、
「、、、、、あなた、、、イーゴさん、ですよね?」
いつの間にか歌は止まっており、彼女は振り向いて俺にそう投げかけてきた。
「、、、、、あ、ああ!ごめんごめん!ついうっかり君の綺麗な歌に夢中になってしまっていたよ!そうだよ!俺は現飼育係のイーゴだ!よろしくね!マロンちゃん!!!」
俺は慌てて自己紹介をした。
「飼育係、、、」
マロンちゃんが小声でそう呟いたのを俺は聞き逃さなかった。
「、、、私のことはどのくらい聞いていますか?」
マロンちゃんは幼い顔つきと小さい体に反して落ち着いた大人びたまっすぐな瞳で俺のことを見つめながら聞いてきた。
不思議な緊張感が俺のことを支配した。
嘘をついてもすぐ見抜かれてしまうような、そんな少し恐ろしい雰囲気を彼女から感じ取った。
「、、、おっさんからいろいろ聞いたよ。その、、、君が、前の飼育係が好きだったことも、、、その飼育係がエルフの女の子と一緒になったってことも、、
そして俺は!そんな君の心の傷を癒すためにここにいるんだ!」
思わず暗くなってしまった声を無理やり元気に張り上げて俺は説明した。
「、、、、、そうですか、、、」
マロンちゃんはますます暗く落ち込んだ顔になる。そのあと顔を上げて、、、
「イーゴさんは、、、ハーピィが好きですか?ハーピィが一番好きですか?、、、ハーピィを、私のことを、、、その、愛してくれますか?」
悲しい瞳をさせながら彼女は俺に問いかけた。
「、、、なんだそりゃ、、、」
俺にとってそんな問いかけはなんの意味もなさなかった。そんな質問、、、
「もちろんだ。俺はこの牧場すべてのハーピィたちを、、、いや、この世のすべてのハーピィたちを愛すると誓った男だ。もちろん君も俺の全身全霊をかけて全力で愛するよ。
それがこの俺、イーゴ様だ!!!」
高らかに手を掲げ俺は答えた!
「、、、」
だが、、、マロンちゃんは相変わらず暗い顔をしたままだった。
「君のことも必ず救ってみせるよ!俺の近くで悲しんでるハーピィの女の子がいるなんて耐えられないんだ!だから俺に任せて!君の笑顔を取り戻してあげるから!」
高らかに捧げていた手を今度はそのまま彼女の前にまっすぐ伸ばした。
「、、、、、」
マロンちゃんは相変わらず俺のことを悲しみの籠った瞳で見つめていた。
そして
「、、、ありがとうございます、よろしくお願いします。
それでは今日はこの辺で失礼します。」
ぺこりと礼儀正しくお辞儀をすると彼女は羽を広げてそのまま飛び去ってしまった。
「、、、、、」
彼女に向けて伸ばしていた手が悲しく残っていた。俺は悲しいその手を自らの顎に持って行った。
「なるほどな、、、」
牧場の優しい夜と悲しい静寂が再びこの空間を支配した。
「、、、これは、楽な仕事じゃあ無さそうだ、、、」
そうボソッと呟いて俺は大広場を後にした。
そんな悲壮感溢れる一人の男を月はいつまでも優しく照らしていた。
次回予告
唐突にもらった平手打ち、、、
予想外のひじ打ち、、、
特に意味のない暴力がイーゴさんを襲う!!!
※本当の次回予告は下にあります
17/08/23 22:59更新 / J2
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