連載小説
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1stミッションとお助けキャラ
ゲームが本格的に始まりハンターが解放されてから15分近い時間が既に経過していた。
ハジメとイレイヴはお互いを支えあい叱咤激励しながらレスカティエの街中を共に逃げていた。


「はぁ…………はぁ…………」

「イレイヴっ!息を整えろ!静かにするんだ!」

物陰に隠れているハジメが、息を切らしているイレイヴの口を押さえながら言った。


「まてまて〜❤観念してわたしのおにいちゃんになっちゃえ〜♥️………………あれぇ?見失っちゃったぁ………はぁ〜しょんぼり〜…………」

物陰に隠れたハジメとイレイヴを見失ったハンター役のデビルの少女は、腰から生えた羽と尻尾をタラリと垂らして少々落ち込みながらその場から離れていった。


「…………………ふぅ〜、よし!なんとか巻いたな……………」

額に浮いた汗を拭いながらハジメは言った。


「ああそうだな……………しかしなんだ、ハンターに追われるのもこれで3回目だな…………」

深呼吸して胸を落ち着かせながら、イレイヴが言った。


「そうだな………………レスカティエが入り組んだ路地が多いし、それになんだか逃走範囲がちょっと狭く感じんだよな…………少し移動をしたり追いかけられたりすると、すぐに壁に当たってしまう。
だから逃げ切ったと思ったらまたすぐに追いかけられるんだよな。」

「そうだな……ん?」


ピピピピピピ!

二人がそんな会話をしていると、不意にスマートフォンが音をたてて小さく震えだした。


「メールか!?…………まさかまた誰か捕まったのか?」

「…………いや、なんか違うみたいだ…………これは?ミッション?」

メールの盤面にはこのようなことが書かれていた。



・1stミッション!
・貧困街にある教会へ向かえ!
レスカティエの貧困街付近に小さな教会がある。そこに向かい院長兼シスターであるサーシャという人物のお願いを聞け!
見事に彼女のお願いを聞いてあげると、お礼に貧困街を逃走地域として解放してくれるぞ!
(貧困街が解放させると逃走範囲が約2倍ほど広くなるぞ。)




「ミッション?あー、そう言えばゲームが始まる前になにか説明を受けてたな………これがそのミッションか。」

スマートフォンを見ながらハジメが呟いた。


「逃走範囲が2倍になるのか!なるほど!だからゲーム最初の今は逃走範囲が狭かったのか!
これは行ったほうがいいな!かなりゲームクリアが楽になりそうだ!」

「そうだな!早速この教会へ向かおう!」

ハジメとイレイヴが移動を始めようとしたそのとき


「あはぁ❤みぃつけた❤」

先ほど追いかけられていたハンターであるデビルに見つかった。


「しまった!」

「逃げるぞ!」

反射的にふたりは走り出した。


「まてまてぇ❤私のお兄ちゃんになっちゃえ〜❤」

飛びかかるようにデビルもふたりを追いかけた。

そして数メートルほど走った後だった。


「こっちだ!こっちに来い!」

逃げていると、不意に小路の方から女の声が聞こえた。


「え!?誰だ!?」

「私は味方だ!こっちに来い!」

声のする方向をみると小路の中から誰かが手招きをしているのが見えた。


(なんだこれは?罠か!?…………………でも後ろからはハンターが迫ってる…………)
「……………………わかった!」

ハジメとイレイヴは疑いながらも、声が聞こえたその小路に逃げ込んだ。
すると声の主はハンターのデビルの目を盗んで大きな木の板を取り出し、それを使って小路の入り口を綺麗にふさいだ。


「あれぇ?……………どこ行ったのかなぁ?
おかしいなぁ〜………………」

ハジメとイレイヴを見失ったデビルは、不思議そうにしながらもそのまま違う場所を探しにいった。


「………………ふぅ!もう安心だな!はっは!良かったなお前ら!私が近くを通りかかって!」

「………………あ、あぁ………」

二人を助けた声の主は、なんと魔物娘だった。

宝石や羽等の派手な装飾をあしらった黒い大きな帽子
その帽子から突き出た白くて大きな角
幼さと大人っぽさを両方備えた凛々しく綺麗な顔
首もとや手足から生えているモフモフしていて気持ちの良さそうな体毛
がっしりとしたとても力の強そうな獣の下半身
黒をベースにした服と、白と赤をベースにしたマント
そして何よりも目立つのは、彼女の動作に合わせてゆっさゆっさと揺れる大きな大きな胸

黒い派手な衣装で若干分かりづらいが牛を、それも乳牛をモチーフにしたような魔物娘がそこにはいた。



「………お前は魔物娘か?俺たちの味方なのか?」

とっさに身構えると、ハジメは魔物娘に問いかけた。


「ああそうだ!私はこのゲームで君たち逃走者を助けるいわゆるお助けキャラってやつだ!
名前はポーラって言うんだ!よろしくな!」

そう言いながらポーラと名乗った魔物娘は、握手するための手を出してきた。


「お助けキャラ?そんなのがいるのか……………俺はハジメだ。よろしく。」

「俺はイレイヴだ。ヨロシク。」

ふたりは順番にポーラと握手をした。


「ん?なんだお前?顔色が悪くないか?」

イレイヴの顔を見て、ポーラが言った。


「ああ、ちょっとオープニングゲームでレベルドレインをされてから少し調子が悪くてな………」

「………………そうか、レベルドレインを受けてそのままなのか…………………よし!ちょっと待ってろ!」

そう言うとポーラは走り出して物陰に隠れてしまった。


「なんなんだいったい?」

そしてちょっとすると、ビンに入った飲み物を手に持って物陰から出てきた。


「待たせたな!これを飲め!」

ポーラはそう言いながら、ビンに入った白くて少し温かくて甘い匂いのする飲み物をふたりに差し出した。


「なんだこれ?ミルクか?ぺろっ!こ、これは!……………ごくっ!ごくっ!う、うまい!」

ポーラに渡された飲み物を飲んでハジメが言った。


「…………ごくっごくっ!ほんとだ!めっちゃウメェ!身体から力が溢れてくるみたいだ!」

ポーラからもらった飲み物を飲むと、イレイヴの顔色はみるみる良くなり、力をみなぎらせていった。


「ふふふ!そうだろそうだろ!」

その様子をみて嬉しそうにポーラが言った。


「ぷはー!
なんてうまいミルクなんだ!こんなにうまいミルク飲んだこと無いぜ!」

「そ!そうか………………それはよかった…………」

ミルクをあっという間に飲み干して大絶賛するイレイヴ、そんなイレイヴをみてポーラはなぜか顔を赤くさせ指をモジモジといじっていた。


「なぁポーラ!もう1杯!いや!もう10杯くれ!」

早々にミルクを飲み終えたイレイヴが、ポーラにむかってビンを差し出しながら言った。


「え………えええ!?じ、10杯!?いや…………ど、どーしよ……………いけないことは…………ないけど…………」

イレイヴのその言葉にポーラは、指をくねくねさせながらマゴマゴし始めてしまった。


「イレイヴ、あまりワガママを言ってはいけないぞ。」

「ならせめてもう1杯!もう1杯だけくれ!」

「わ、わかったよ!………ちょっとまってろ !」

そう言うとポーラはビンを受け取り、再び物陰に隠れてしまった。


「ポーラ?何やって…………え……えええええ!?」

それを見に行ったイレイヴが叫び声をあげた。


「どうしたイレイヴ?………え?」

「あ…………み!見ちゃダメだ!」

そこには四つん這いになって、自身の大きい大きい胸を揉みしだき、とぷとぷっとミルクを絞り出しているポーラの姿があった。







「お、お……………乳!?み、ミルクって…………このミルクってお前のミルクだったのかよ!」

イレイヴが目を見開いて言った。


「いや…………そ、そうだよ!私の種族名はホルスタウロスだからな…………乳牛の魔物娘だからな!
そ、そんなことより!ほら!イレイヴ!ミルクだぞ!搾りたてのミルクだぞ!」

そう言いながらポーラはミルクの入ったビンをイレイヴに押し付けた。


「え…………こ、これを飲むのか…………」

「ちょ、ちょっと!なんだその反応は!?さっき凄く美味しいって飲んでたじゃないか!それに君が飲みたいって言ったから搾り出したんだぞ!
ここまできて飲まないなんて失礼じゃないか!」

ミルクのはいったビンをイレイヴに押し付けて、顔を真っ赤にしながらポーラは言った。


「わ、わかったよ!ごっくごっく!………………」

「………………………」じー

(ポーラ…………黙ってイレイヴのほうをものすごくガン見してるぞ…………)

「………………うまい………」

「…………そ、そうか!うまいか!良かった!」

「…………」

「…………」

(なんだこの沈黙!!空気が重い!!)

「…………あ!そうだミッション!ミッションに向かわなきゃいけないんだ!ほら!イレイヴいくぞ!じゃ、じゃあ!ポーラ!ありがとう!」

ハジメが沈黙を破りイレイヴの手を引いて言った。


「あ!…………………ああ!ミッションがんばれよ!」

そんなぎこちない会話を残しながら、ハジメとイレイヴはその場を後にした。



「………………イレイヴか……………」
18/12/22 16:11更新 / J2
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■作者メッセージ
Nintendo Switch買ってきます
休暇使ってゼルダをやり込もうと思います
ゼルダ大好き

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