ダンピール・ウィル・ネヴァー・ハート・ユー
某国立大学に通う桐嶋と言う男はストーカーに悩まされていた。
その内容は、例えば郵便物を弄られた形跡があるとか、夜道で尾行されるとか、満員電車で身体を触られるとか、比較的一般的なものだったが、一般的だからといって無視できるものではない。
時折視界の端を走る怪しい影、その背格好からしてストーカーの正体は女性であるらしいのが唯一の救いだったが、そんな事、何の慰めにもならない。
彼には女性につけまわされるような覚えなど、何一つ無かった。
学校でもプライベートでも、あまり多くの友人を持たず特定の女性と付き合ってもいない彼は、そもそも女性と接触を持つ頻度が低い。顔見知りなら何とか説得して止めさせることもできるかもしれないが、相手が誰か分からないのでは対処のしようが無い。
ここ最近の変わった事といえば、ある日の学校帰り、道を歩いている時に、つまずいて転んで車道に投げ出されて轢かれそうになっていた老人を救ったことくらいだった。
咄嗟の出来事だったので本人はあまりはっきりと覚えていないのだが、桐嶋はその、前を歩いていた老人が車に頭を潰される直前、車道に飛び出てお年寄りを庇ったのだ。
幸い、車は余りスピードを出していなかったし、彼自身の若さと健康な肉体のおかげもあって軽症で済んだ。
手足の弱っていたその老人には大変感謝され、事態の収集に当たった若くて美人な婦人警官にも誉められ、彼は悪くない気分だった。腕を大きく擦り剥いて血を流すくらい、何程の事は無かった。
助けた相手が女性なら、その事故がきっかけで歪んだ愛情を向けられるという可能性もあったかもしれない。実際、ストーキング行為が始まったのは事故以後のことである。
しかし彼が救ったのはお爺さんであり、まかり間違っても男子大学生をストーキングすることなど無いだろう。
不審なつけ回しがしばらく続いて、さすがに気が滅入ってきた桐嶋は警察に相談することにした。
かつては「民事不介入」と「何か具体的な被害が出てから出ないと動けない」という魔法の言葉でもって民間人の救援要請を黙殺し続けてきた日本警察だったが、ここ数年、目に見えて警官の勤務態度が良くなってきていた。たらい回しにされたり門前払いを食らわされたり、真剣な訴えを鼻で笑われたりといったケースは、極めて少なくなってきていたのだ。
「IPアドレスという確証がある」「お前がやっていないならやっていないという証拠を出せ」などという、阿呆丸出しな台詞を捜査官が吐いていた頃とは、民衆の警察機構への信頼度は段違いに上がっていた。
それに加えて、事故の時に会った婦人警官がとても自分に良くしてくれたことも、彼が警察を訪れる心の後押しとなった。緋崎と名乗ったあの女性警察官は彼の自己犠牲的行動を褒めちぎり、病院への医療費の支払いや、保険屋および車の運転手との交渉やなんかで色々と知恵を貸してくれたのだ。もう一度あの人に会える、なんて期待したわけではないが、彼の中で警察組織への好感度は非常に上がっていた。
そんなわけで桐嶋はある日、午前の講義を終えてから、ストーカー被害相談窓口なるものを開設している警察署を訪れた。
案内の人間に事情を軽く話し、しばし待つ。辺りには忙しげに歩きまわる警察官が多く見受けられるが、彼が幼かった頃と比べると婦人警官の割合が多いようにも思える。
女性が増えて警官が親切になったのか、それとも警官が親切になって、自分も警官になりたいと思う女性が増えたのか、果たしてどっちなのだろうなどと考えていると聞き覚えのある声が聞こえた。
「おや、桐嶋さん。まさかとは思いましたが、やっぱりあなたでしたか」
「緋崎さん！ お久しぶりです」
現れたのは事故の時の、あの婦警だった。
警察官らしく引き締まった、無駄な脂肪の少ない身体。女性にしてはかなり高い身長。薄い青のワイシャツをしっかり持ち上げる大きな胸。艶めかしい光沢を持つ黒いタイツに覆われた、スラリとした長い脚。ぴっちりした紺色タイトスカートが股下部分に作る凹み。後ろで一つにまとめられた、長い黒髪。
警官でさえなければメールアドレスの一つでも貰うのだが、と桐嶋は密かに思った。
「この前事故に会われたばかりなのに、災難でしたね。詳しいお話をお聞きしますから、ちょっとこちらへ来て下さい」
交通事故の処理に当たったのと同じ人間がストーカー被害の相談にも応じる、それも男の相談者に女の警官が付くという状況に少し不審を感じたが、顔見知りと話せる安堵感がそれを上回った。
言われるがままに連れてこられたのは建物の端、小さな応接室と思しき場所だった。真ん中に机が置かれ、それを挟むようにソファーが一対ある。扉とは反対側に腰を下ろし、緋崎は口を開いた。
「ここならあまり人は来ませんから。落ち着いて、事情を教えて下さい」
彼女の向かいに座った桐嶋は、予めまとめておいた通りに話し始めた。
誰かに尾行されることから始まり、郵便物やゴミ袋を漁られるあたりの話に差し掛かると緋崎の表情は険しくなった。話し終える頃には彼女の眼光は鋭く、ギラギラと輝いてすらいた。切れ長の目、つり上がった目尻。鋭いその眼線は相談者たる彼に真っ直ぐ向けられている。
「お話は分かりました。桐嶋さんには、そういうことをやりそうな人の目星はついていないんですよね」
「はい。一体どこの誰がこんなことをしてるのか……心当たりは何も無いんです」
「では、何かその犯人の特徴みたいなものは分かりませんか。女だということは確かなんでしょう」
「特徴。特徴ですか……ああ、そういえば」
少し考えた末、桐嶋は一つ思い出したことがあった。少し高揚しながら、話し続ける。
「深夜、ストーカーに尾行されていた時に振り向いてみたことがあったんです。
いつもならさっと姿を隠されて、顔なんか全然分からないんですが、その時はちょっとだけ見えたんです」
「顔が見えたんですか？」
「いえ、夜だったんでそこまでは。
でもストーカーが隠れた時、一瞬光が見えたんです。赤い光が。あれはきっと、ストーカーの眼ですよ」
「眼が赤く光っていた、と？」
「そうです。緑内障でしたっけ、確か眼が光るようになる病気ってありますよね。これ、犯人の特定に役立つんじゃないですか？」
思いがけぬ前進に興奮を隠し切れない桐嶋とは対照的に、緋崎はなにか緊張したような面持ちで居る。立ち上がり、顔を伏せて感情を抑えたような口調で言う。
「赤く光る、眼ですか。桐嶋さん。もしかしてあなたが見たのは……こんな目ですか？」
軽く閉じていた瞼の下から、大きく、赤い瞳が現れる。黒かった髪が、根本から金髪に染まっていく。突然その容貌を変化させた緋崎警官は机を乗り越えて桐嶋の前へ歩み寄る。
「ねえ、こんな感じでしょう？ 私、興奮が抑えきれなくなると、こうなっちゃうんですよ……覚えていて、くれたんですね」
「緋崎、さん……！？ い、一体、これは」
身をよじって逃げようとする桐嶋の右手首に、緋崎は素早く手錠を掛ける。そのまま腕を彼の背の方に回し、腰の裏で両手首を拘束。ソファーの上で自由を奪われた桐嶋は、酷く混乱していた。
「ま、まさか、ストーカーって」
「はい、私です。ずっとあなたのことが気になってて……怖がらせるつもりはなかったんです。
ただ自分が抑えきれなくて……あの時、事故の時に嗅いだあなたの血の匂いが、あんまり美味しそうでしたから。
気になるけど、でも、もし味わっちゃったら抑えられなくなりそうで、怖くて……あんなことして、気を紛らわしていたんですよ」
赤い目。黄金の髪。そして今の台詞。ソファーに登って桐嶋の腰を跨ぎ、太股の上に座ってじッと見下ろしてくる彼女が人間でないことを本能的に悟る。あり得ないとかバカバカしいとか、そのような理性的判断は彼女の圧倒的な存在感に押し流されてしまっている。
「緋崎さん、そんな……吸血鬼みたいなことを」
「本当はちょっと違うんですけど、まあ、似たようなものですよ。
ねえ、いいでしょう？ 私もう、我慢できません。あなたの血、飲ませてください。あなたの方から会いに来てくれるなんて……こんなチャンス、もうありませんよ。ねぇ？」
どうやら頼った相手は、最も助けを求めてはいけない相手だったらしい。唇の間から鋭く尖った、八重歯と呼ぶには余りにも禍々し過ぎる歯を覗かせ、緋崎は顔を近づけてくる。彼の頬よりなお熱い吐息が、その短さが緋崎の昂りを暗示する。相手が自分の何を狙っているのか悟って、思わず桐嶋は顔を背けた。
「や、やめてください！ こんなところで、何を……！ 誰か、来ますよ！」
「誰も邪魔なんてしませんよ。私がこれから何するか、ここの皆、分かってくれてるんですから。
だからその可愛い顔を、もっとよく見せてください」
動脈血のように赤く透んだ瞳で見つめられると、どういうわけか桐嶋の心から抗う心が失せていく。誘われるままに顔を向けると、そのまま緋崎は唇を合わせてきた。
自分の唇に柔らかい物が当たる感触の直後、粘膜に鋭い痛みが走る。口の中に広がる鉄臭い味で、出血を知る。同時に、緋崎が彼の血を啜っていることも。
「……ふ、んぐっ……ちゅ、るる……ぇろ、んふぅ……」
「あ……ふ、こんな、の、ぁう……ちゅ、ん……」
「ふ、ふぅ、おいひ……ず、もっほ、ち、ちゅ、ちゅぅぅっ……」
自分の血を飲まれて、桐嶋は今までに感じたことのない凄まじい快感を覚えていた。
皮膚に穴を開けられて流れ出る血を舐められて、愛撫などとはとても言えないような緋崎の行動が、なぜかオナニーなどとは比べ物にならない性感をもたらす。
肉体の奥、快楽を生み出す神経を直接しゃぶられているような名状しがたい感覚が桐嶋の脳を揺らす。
ストーカーされたことなど簡単に許してしまえるくらい、吸血の恍惚は深かった。
キスしながら、血を吸いながらも緋崎は桐嶋を凝視している。
口で口を愛撫され陶酔させられる自分の表情に恥ずかしさを覚える余裕も無い。じわじわ流出する彼の血を舌で絡めとり、緋崎が自分の喉へ運ぶたびに唇の裏や下顎を撫でられる。自分では余り触らない場所を好き放題に弄られる感触で、彼の心拍数は急上昇した。
口で桐嶋を陵辱しながら、眼だけで笑う緋崎は白い手袋に覆われた右手を彼の腰へ向ける。
腕を拘束され吸血キスで酔わされ、全く抵抗できない男のズボンと下着を腿まで降ろし、完全に勃起した男性器を取り出す。
既に先走りすら漏らしているそれを順手できゅっと握り、手袋越しに扱き始めた。
「ちょ、ちょっと……ん！ ふ、はふ、まっ、う……！」
局部を露出させられたことに遅れて気づいた桐嶋は抗議するが、激しく口を吸われて黙らされてしまう。
固めの布で作られた手袋が刺激に弱い先端付近を撫でて、快感を強制する。
手袋をされて、まるで汚いものでも扱うかのように自分のものを扱われるのは屈辱的だったが、手錠を嵌められて無理矢理キスされて、そんな異常な状況では屈辱すらも悦びに変わってしまう。憎からず思っていた、巨乳で美脚の美人婦警にされているとなれば、尚更である。
キスしてくる前の、あの欲望に滾った様子から察するに緋崎の方も抑制が効かないらしい。普通の手淫よりもかなり速いスピードで、搾り取るように手を上下させ、竿を扱く。漏れ出てくるカウパーを親指で亀頭に塗り広げ、カリ首まで滑りをよくされてしまうともう耐えられなくなってくる。
強引に唇を奪われ、さらに股間を弄られる醜態から緋崎は目を離してくれない。思考力を押し流すほどの快感に翻弄される桐嶋の表情をずっと見下ろしている。
恥ずかしくてたまらなくて、眼を閉じたいと思っているのにそれが出来ない。ルビーのように爛爛と輝く双眸から目を逸らせない。
非人間的な眼光で視姦されて、絶頂が近づいてきても訴えることが出来なかった。
脳髄を快楽漬けにされて、もう彼女を拒否することが出来ない。射精してしまう、と伝えようとはしてみたが、何を言っても情熱的な口付けに掻き消されてしまう。
手加減なしに手コキされ続けて、遂に彼は屈した。長らく貯めていた精液が勢いよく墳き出て上に跨る緋崎に掛かる。薄青色のワイシャツ、紺色のタイトスカート、白い手袋、そして黒いストッキングが、粘ついたザーメンで汚されていく。
二度、三度と続く射精の間も緋崎は手を止めずキスも続けた。エクスタシーに緩み切った桐嶋を楽しげに見下ろして、最後の一滴までザーメンでベタベタになった手袋で搾り出して、ようやく彼を解放した。
「……っぷはっ！ はぁ、はぁ……」
長い長いキスを終えて、桐嶋は深呼吸する。制服を精液まみれにされて、どこか嬉しげな緋崎は言った。
「……ごめんなさい。あなたの血が、あんまり美味しかったから……自制できませんでした。
好きなんです。あなたも、あなたの血も……あんなに勇敢で、しかも美味しそうな匂いで……恋しちゃいます、我慢できませんよ」
黒ストッキングと白パンツを膝上まで降ろし、隠されていた白い太股を晒す。スカートの裾をつまみ、耳元に唇を寄せて囁く。
「だから、いいですよね？ あなたとしたいんです。血と同じくらい美味しい物、私の中に欲しいんです」
ストッキングとの間に糸を引くほど濡れそぼった女性器を、まだ萎えていない桐嶋のものに触れさせる。腰を下ろす寸前、か細い声で緋崎は言った。
「あなたが、あんなにいい匂いをさせるから。だから我慢できなくなったんです。
ごめんなさいね……こんな、無理矢理。私が、私がダンピールだからいけないんです」
返答を待たず、緋崎は膣で桐嶋の男性器を飲み込んだ。
粘液を絡めた襞が竿を抱く。溢れた愛液がくちゅりと淫らな音を鳴らす。タイトスカートの奥、桐嶋からは見えないところで彼は貪られる。
一気に根本まで咥え込まれて桐嶋は喉を反らす。瞬殺されそうなところを歯を食いしばって耐える。さっき射精したばかりだというのに、またすぐにいかされそうな、まさに魔性の膣だった。
人間のものとは全く違う、人外の、甘美過ぎる性感。今自分を犯しているのが紛れもなく魔物だということを、彼はようやく確信した。
「あは、カタイ、ですね……じゃあ、動きます、よっ」
ソファーに膝をついて、緋崎は腰を上下させ始めた。
狭くて小さい膣は桐嶋の男性器によって押し広げられ、その弾力性でもって元の形に戻ろうとして締め付ける。緋崎が腰を上げると収縮した膣の、竿を抜かれた部分がまるでバキュームフェラのように亀頭と尿道を刺激し、下ろすと今度は根元から先端まで思い切り抱きしめる。2つの快楽をほとんど同時に与えられて、桐嶋は悶えた。
組み伏せた男が自分の身体に溺れていくのを見て、緋崎の眼が虚ろになっていく。彼に謝罪した時のような、理性的な色が赤い瞳から消え失せていく。
「はぁ、あ、ああイイ、気持ちいい、ですっ！ 桐嶋さんも、いい、ですよねぇ……！」
「う、うん、これ、これすごい……！」
「あハ、嬉しい……もっと、もっと私を……！ 私の全部、あげますから……！」
大きな胸を揺らして、騎乗位搾精に耽る緋崎。その巨乳が桐嶋の目を惹いた。
人外美女に犯されながら、彼の欲望は高まっていくばかりである。目の前で重そうにとすんとすんと揺れる一対の肉塊、その頂点が薄青ワイシャツの下から微かに透けているのが目に止まった。
今までは気付かなかったが、どうも今日の緋崎は制服の下にブラジャーを着けていないらしい。
かっちりした、権力と規範の象徴とも言うべき警官の制服の下がノーブラ。
凄まじいギャップに彼の脳は揺らされた。跨られて腰を振られていつ膣内射精してもおかしくないのを忘れたかのように、彼はうっすらと透ける左乳首に吸い付いた。
両手が後ろ手に拘束されてしまっているため、魅惑の巨乳を揉んで楽しむことは出来ない。そのもどかしさをぶつけるように、彼は思い切り服越しの乳首を舐めて甘噛みして刺激した。犯されてばかりだった男からの急な反撃で、緋崎の声が上ずる。
「ひゅっ！ や、おっぱい……いい、乳首いいですぅ……」
上半身を責められた彼女は下半身の責めをさらに激しくしてきた。
ワイシャツに唾を塗りたくってしっかり濡らしてやると、硬く勃起した淫らな乳首がもっと透けるようになる。
いやらしく勃起して、濡れた服にしっかりとその形を浮かび上がらせた、しかし直接見えない胸のいやらしさが彼の理性を焼き尽くした。無我夢中で着衣おっぱいを吸い、ワイシャツ越しの乳首の硬さを前歯で楽しむ。
乳房の大きさは男の手でも掴み切れなさそうな程だが、乳首と乳輪はそれに反して控えめで、色も薄い。出る筈もない母乳を渇望して、ぺちゃぺちゃと唾が鳴るのも構わず淫乱警官の胸を吸う。二人の限界は、もう間近だった。
「ひゅ、い、ムネと、おまんこ、きもちい、いく……！ いく、いくいく、イくぅ！ いっちゃい、ます……！」
綺麗な瞳を性欲で染め上げて、赤い目の陵辱者が悶える。乳を吸うのに夢中の桐嶋は生の膣内射精を躊躇うことも無い。
パンパンと、より激しく腰を打ち付けて緋崎は息を呑んだ。桐嶋を抱く手が強張り、全身が緊張している。竿を包み込む膣がきゅぅっと収縮し、そのまま子宮へ向けて射精させた。
緋崎に抱きしめられて生中出しを強制されている間も、彼は胸から口を離せなかった。
女の絶頂を示すように容赦なく締まる肉筒の中で何度も竿を跳ねさせ絶頂する快感が、彼の魂を鷲掴みにしていた。もし彼の両腕が自由だったなら、きっと緋崎の身体を強く抱きしめていただろう。
捕えられて犯されて種付けさせられて、無力な赤子のように乳を吸うことしか出来ない今の状況は、彼にとって紛れもなく幸福だった。
その後。
子宮に精液を注がれてようやく我に返った緋崎は慌てて桐嶋から離れ、狼藉を謝罪した。
散々気持よくされて、もう緋崎なしには生きていけない気分だった彼はあっさりその謝罪を受入れた。何か言いたそうな、しかしそれを切り出しにくそうな彼女に、
「僕の恋人になって下さい」
と言い放ってしまうほど、桐嶋は悩殺されてしまっていたのだ。
二人が付き合うようになった後。
緋崎がダンピールという魔物娘であること、魔物娘がこの世界にやってきているということなどを聞かされた桐嶋は、しかしあまりそういうことを気にしなかった。
人でないものが警察内部で人を支配するため動いているという状況はもしかすると酷い嫌悪感を催すものだったかもしれないが、魔物娘は人を害さないという緋崎の言葉を彼は信じたのだ。
そうして、幸せな魔物娘がまた一人増えたのだった。
ある夜。警察官の制服に身を包んだ緋崎はワイシャツのボタン、胸の下あたりのものを２つ外して桐嶋を誘惑していた。
「次は……あなたの好きな、この婦警おっぱいで遊んであげます。ノーブラおっぱいで搾っちゃいますよ」
ボタンが外れて押し広げられたワイシャツの隙間から、白くてすべすべな下乳が見えている。
今夜は既に着衣セックスを一度済ましており、短めのタイトスカートや股の部分を破られた黒ストッキングや股部分を横にずらされたパンツなどは膣奥から流れ出てきた精液でべっとり汚れている。その上彼女の胸は生ハメに興奮した桐嶋によって舐めまくられており、粘つく唾液塗れになってうっすら透けている。
人間の偽装を止め、赤い目に金髪となった彼女にそんなものを見せられては、勃起しないはずもない。
「もう、散々子宮に中出ししたのに、またこんなにして。しょうがないですね。あなたの大好きなおっぱいで、今日も楽にしてあげますからね……」
服は脱がないまま、むっちりした乳の谷間に竿を挿し込んでいく。服の中、胸の間に男性器を捉えると、赤い目の彼女は両手で一つづつ乳房を掴み、中心へ思い切り圧迫した。
少し小さめの制服の中で行き場を失った巨乳は、2つの乳房の間に挿れられた男根に思い切り押し付けられる。膣壁のように男性器の形に合わせて柔軟に変形する柔らかい胸が、桐嶋専用のオナホールとなって今夜も精液を搾り取るのだ。
ふわふわおっぱいの間に埋められてぴくぴく痙攣しているペニスを緋崎は上機嫌で責める。小さめの手ではなかなか支えきれない大きな乳房を左右交互に動かして、特に敏感な亀頭周りを柔らかい乳で激しく刺激する。我慢汁で乳と竿の間がぬちゃぬちゃ言い始めると、パイズリ奉仕にますます熱が入った。
「おちんちん、硬いですね……おまんこに入れてる時よりカタイかも。そんなに私のムネが好きなんですか？」
「好き、好きだよこれ、最高……！」
「そうですか。じゃあ、こんなことしたら一体どうなってしまうんでしょうね」
おっぱいの上側、胸元から飛び出た亀頭を緋崎がぺろりと一舐めする。先走りを啜られて男性器がまた跳ねる。あまりにも分かりやすい反応に、淫乱な魔物娘は大いに気を良くした。
「ふふ。ぴくぴくして、可愛いです。もっとしてあげましょうねぇ……ぇろ、れろれろ、ちゅっ……」
「う……！ いい、いいよこれ、すぐ……！」
「……ほんとに、がちがち。こっちから血を吸ってみるのも、いいかもしれませんねぇ」
物騒な言葉に、思わず萎えかける。いくら彼女の虜だとはいえ、陰茎に穴を開けられるようなのは勘弁願いたい。そう身構えると、耐え切れぬように緋崎が吹き出した。
「いえいえ、冗談ですよ。こんなにいいおちんちん、傷つけたりする訳ありませんよ。
こうやって……大事にして、可愛がってあげないと」
脅かしたことを詫びるように、緋崎は乳での圧搾を強めた。少し紅潮した胸の肌色が薄青ワイシャツの色と交じり合って、見たことのない色を作る。むぎゅぅぅっと、思い切りおっぱいを押し付けられているのだ。
胸と舌で愛されて、桐嶋はただ感じることしか出来ない。亀頭が谷間から顔を出す時、外に張り出たカリ首が乳肉に激しく擦れて、何も言えなくなるほど気持ちいいのだ。
おっぱいで挟んで舌で舐めて、彼の方を上目遣いでちらちら眺める緋崎の瞳は彼女の愛情の誠実さを示すが如く真っ赤で、その魔性の眼に見られているだけでも彼は屈してしまう。
普段は警官として人間たちを守護している緋崎が、仕事中と同じ格好で、しかしブラは付けずに硬く凝った乳首をシャツの裏から透けさせながら、こんなに淫らな奉仕をしてくれている。
彼の欲望は毎日のこのコスチュームプレイで十分過ぎる程に満たされるのだ。
そんな風に優しく責められ激しく奉仕されていると、長くは耐えられない。桐嶋が限界を訴えるより先に、緋崎はそれを悟っている。
少しでも多くの精液を搾り取るため、たぷたぷの胸を掴んだ手の動きを急に速め、先端を重点的に責める。
乳フェチの男はあっさりと、パイズリ責めに屈した。
谷間から胸元へ僅かに見える鈴口が断続的にザーメンを出す。顎と喉、胸元からワイシャツをスペルマ塗れにして、まだ射精は終わらない。
緋崎の仕事服を自分の体液で汚して、桐嶋は申し訳なさそうな、しかし嬉しそうな表情を浮かべる。外で働く時にも使う制服が自分の汚い精液で白くまだらになるのを見る度、彼のフェティシズムは大いに悦ぶのだ。
射精の最中も、尿道に精子が残らないように、少しでも多く搾れるように緋崎は根本からゆっくりと乳房で揉み、優しく撫でる。絶頂中にそんな風に愛撫されて、桐嶋は物も言えなくなる。シャツが精子に浸されてザーメン塗れの乳首が透けても、緋崎のパイズリ遊びは終わらない。
もちろん、パイズリが終われば次はセックス、第二ラウンドだ。血に飢えた半吸血鬼は、合間に吸血を入れて勃起力と体力を強制的に回復させるのも忘れない。
こうして毎晩、桐嶋はダンピールに愛され続けるのだ。こんなに熱心に人間を愛してくれる存在が権力を握ってくれているのだ。きっとこの世界は、これからどんどん良くなっていくのであろう。
その内容は、例えば郵便物を弄られた形跡があるとか、夜道で尾行されるとか、満員電車で身体を触られるとか、比較的一般的なものだったが、一般的だからといって無視できるものではない。
時折視界の端を走る怪しい影、その背格好からしてストーカーの正体は女性であるらしいのが唯一の救いだったが、そんな事、何の慰めにもならない。
彼には女性につけまわされるような覚えなど、何一つ無かった。
学校でもプライベートでも、あまり多くの友人を持たず特定の女性と付き合ってもいない彼は、そもそも女性と接触を持つ頻度が低い。顔見知りなら何とか説得して止めさせることもできるかもしれないが、相手が誰か分からないのでは対処のしようが無い。
ここ最近の変わった事といえば、ある日の学校帰り、道を歩いている時に、つまずいて転んで車道に投げ出されて轢かれそうになっていた老人を救ったことくらいだった。
咄嗟の出来事だったので本人はあまりはっきりと覚えていないのだが、桐嶋はその、前を歩いていた老人が車に頭を潰される直前、車道に飛び出てお年寄りを庇ったのだ。
幸い、車は余りスピードを出していなかったし、彼自身の若さと健康な肉体のおかげもあって軽症で済んだ。
手足の弱っていたその老人には大変感謝され、事態の収集に当たった若くて美人な婦人警官にも誉められ、彼は悪くない気分だった。腕を大きく擦り剥いて血を流すくらい、何程の事は無かった。
助けた相手が女性なら、その事故がきっかけで歪んだ愛情を向けられるという可能性もあったかもしれない。実際、ストーキング行為が始まったのは事故以後のことである。
しかし彼が救ったのはお爺さんであり、まかり間違っても男子大学生をストーキングすることなど無いだろう。
不審なつけ回しがしばらく続いて、さすがに気が滅入ってきた桐嶋は警察に相談することにした。
かつては「民事不介入」と「何か具体的な被害が出てから出ないと動けない」という魔法の言葉でもって民間人の救援要請を黙殺し続けてきた日本警察だったが、ここ数年、目に見えて警官の勤務態度が良くなってきていた。たらい回しにされたり門前払いを食らわされたり、真剣な訴えを鼻で笑われたりといったケースは、極めて少なくなってきていたのだ。
「IPアドレスという確証がある」「お前がやっていないならやっていないという証拠を出せ」などという、阿呆丸出しな台詞を捜査官が吐いていた頃とは、民衆の警察機構への信頼度は段違いに上がっていた。
それに加えて、事故の時に会った婦人警官がとても自分に良くしてくれたことも、彼が警察を訪れる心の後押しとなった。緋崎と名乗ったあの女性警察官は彼の自己犠牲的行動を褒めちぎり、病院への医療費の支払いや、保険屋および車の運転手との交渉やなんかで色々と知恵を貸してくれたのだ。もう一度あの人に会える、なんて期待したわけではないが、彼の中で警察組織への好感度は非常に上がっていた。
そんなわけで桐嶋はある日、午前の講義を終えてから、ストーカー被害相談窓口なるものを開設している警察署を訪れた。
案内の人間に事情を軽く話し、しばし待つ。辺りには忙しげに歩きまわる警察官が多く見受けられるが、彼が幼かった頃と比べると婦人警官の割合が多いようにも思える。
女性が増えて警官が親切になったのか、それとも警官が親切になって、自分も警官になりたいと思う女性が増えたのか、果たしてどっちなのだろうなどと考えていると聞き覚えのある声が聞こえた。
「おや、桐嶋さん。まさかとは思いましたが、やっぱりあなたでしたか」
「緋崎さん！ お久しぶりです」
現れたのは事故の時の、あの婦警だった。
警察官らしく引き締まった、無駄な脂肪の少ない身体。女性にしてはかなり高い身長。薄い青のワイシャツをしっかり持ち上げる大きな胸。艶めかしい光沢を持つ黒いタイツに覆われた、スラリとした長い脚。ぴっちりした紺色タイトスカートが股下部分に作る凹み。後ろで一つにまとめられた、長い黒髪。
警官でさえなければメールアドレスの一つでも貰うのだが、と桐嶋は密かに思った。
「この前事故に会われたばかりなのに、災難でしたね。詳しいお話をお聞きしますから、ちょっとこちらへ来て下さい」
交通事故の処理に当たったのと同じ人間がストーカー被害の相談にも応じる、それも男の相談者に女の警官が付くという状況に少し不審を感じたが、顔見知りと話せる安堵感がそれを上回った。
言われるがままに連れてこられたのは建物の端、小さな応接室と思しき場所だった。真ん中に机が置かれ、それを挟むようにソファーが一対ある。扉とは反対側に腰を下ろし、緋崎は口を開いた。
「ここならあまり人は来ませんから。落ち着いて、事情を教えて下さい」
彼女の向かいに座った桐嶋は、予めまとめておいた通りに話し始めた。
誰かに尾行されることから始まり、郵便物やゴミ袋を漁られるあたりの話に差し掛かると緋崎の表情は険しくなった。話し終える頃には彼女の眼光は鋭く、ギラギラと輝いてすらいた。切れ長の目、つり上がった目尻。鋭いその眼線は相談者たる彼に真っ直ぐ向けられている。
「お話は分かりました。桐嶋さんには、そういうことをやりそうな人の目星はついていないんですよね」
「はい。一体どこの誰がこんなことをしてるのか……心当たりは何も無いんです」
「では、何かその犯人の特徴みたいなものは分かりませんか。女だということは確かなんでしょう」
「特徴。特徴ですか……ああ、そういえば」
少し考えた末、桐嶋は一つ思い出したことがあった。少し高揚しながら、話し続ける。
「深夜、ストーカーに尾行されていた時に振り向いてみたことがあったんです。
いつもならさっと姿を隠されて、顔なんか全然分からないんですが、その時はちょっとだけ見えたんです」
「顔が見えたんですか？」
「いえ、夜だったんでそこまでは。
でもストーカーが隠れた時、一瞬光が見えたんです。赤い光が。あれはきっと、ストーカーの眼ですよ」
「眼が赤く光っていた、と？」
「そうです。緑内障でしたっけ、確か眼が光るようになる病気ってありますよね。これ、犯人の特定に役立つんじゃないですか？」
思いがけぬ前進に興奮を隠し切れない桐嶋とは対照的に、緋崎はなにか緊張したような面持ちで居る。立ち上がり、顔を伏せて感情を抑えたような口調で言う。
「赤く光る、眼ですか。桐嶋さん。もしかしてあなたが見たのは……こんな目ですか？」
軽く閉じていた瞼の下から、大きく、赤い瞳が現れる。黒かった髪が、根本から金髪に染まっていく。突然その容貌を変化させた緋崎警官は机を乗り越えて桐嶋の前へ歩み寄る。
「ねえ、こんな感じでしょう？ 私、興奮が抑えきれなくなると、こうなっちゃうんですよ……覚えていて、くれたんですね」
「緋崎、さん……！？ い、一体、これは」
身をよじって逃げようとする桐嶋の右手首に、緋崎は素早く手錠を掛ける。そのまま腕を彼の背の方に回し、腰の裏で両手首を拘束。ソファーの上で自由を奪われた桐嶋は、酷く混乱していた。
「ま、まさか、ストーカーって」
「はい、私です。ずっとあなたのことが気になってて……怖がらせるつもりはなかったんです。
ただ自分が抑えきれなくて……あの時、事故の時に嗅いだあなたの血の匂いが、あんまり美味しそうでしたから。
気になるけど、でも、もし味わっちゃったら抑えられなくなりそうで、怖くて……あんなことして、気を紛らわしていたんですよ」
赤い目。黄金の髪。そして今の台詞。ソファーに登って桐嶋の腰を跨ぎ、太股の上に座ってじッと見下ろしてくる彼女が人間でないことを本能的に悟る。あり得ないとかバカバカしいとか、そのような理性的判断は彼女の圧倒的な存在感に押し流されてしまっている。
「緋崎さん、そんな……吸血鬼みたいなことを」
「本当はちょっと違うんですけど、まあ、似たようなものですよ。
ねえ、いいでしょう？ 私もう、我慢できません。あなたの血、飲ませてください。あなたの方から会いに来てくれるなんて……こんなチャンス、もうありませんよ。ねぇ？」
どうやら頼った相手は、最も助けを求めてはいけない相手だったらしい。唇の間から鋭く尖った、八重歯と呼ぶには余りにも禍々し過ぎる歯を覗かせ、緋崎は顔を近づけてくる。彼の頬よりなお熱い吐息が、その短さが緋崎の昂りを暗示する。相手が自分の何を狙っているのか悟って、思わず桐嶋は顔を背けた。
「や、やめてください！ こんなところで、何を……！ 誰か、来ますよ！」
「誰も邪魔なんてしませんよ。私がこれから何するか、ここの皆、分かってくれてるんですから。
だからその可愛い顔を、もっとよく見せてください」
動脈血のように赤く透んだ瞳で見つめられると、どういうわけか桐嶋の心から抗う心が失せていく。誘われるままに顔を向けると、そのまま緋崎は唇を合わせてきた。
自分の唇に柔らかい物が当たる感触の直後、粘膜に鋭い痛みが走る。口の中に広がる鉄臭い味で、出血を知る。同時に、緋崎が彼の血を啜っていることも。
「……ふ、んぐっ……ちゅ、るる……ぇろ、んふぅ……」
「あ……ふ、こんな、の、ぁう……ちゅ、ん……」
「ふ、ふぅ、おいひ……ず、もっほ、ち、ちゅ、ちゅぅぅっ……」
自分の血を飲まれて、桐嶋は今までに感じたことのない凄まじい快感を覚えていた。
皮膚に穴を開けられて流れ出る血を舐められて、愛撫などとはとても言えないような緋崎の行動が、なぜかオナニーなどとは比べ物にならない性感をもたらす。
肉体の奥、快楽を生み出す神経を直接しゃぶられているような名状しがたい感覚が桐嶋の脳を揺らす。
ストーカーされたことなど簡単に許してしまえるくらい、吸血の恍惚は深かった。
キスしながら、血を吸いながらも緋崎は桐嶋を凝視している。
口で口を愛撫され陶酔させられる自分の表情に恥ずかしさを覚える余裕も無い。じわじわ流出する彼の血を舌で絡めとり、緋崎が自分の喉へ運ぶたびに唇の裏や下顎を撫でられる。自分では余り触らない場所を好き放題に弄られる感触で、彼の心拍数は急上昇した。
口で桐嶋を陵辱しながら、眼だけで笑う緋崎は白い手袋に覆われた右手を彼の腰へ向ける。
腕を拘束され吸血キスで酔わされ、全く抵抗できない男のズボンと下着を腿まで降ろし、完全に勃起した男性器を取り出す。
既に先走りすら漏らしているそれを順手できゅっと握り、手袋越しに扱き始めた。
「ちょ、ちょっと……ん！ ふ、はふ、まっ、う……！」
局部を露出させられたことに遅れて気づいた桐嶋は抗議するが、激しく口を吸われて黙らされてしまう。
固めの布で作られた手袋が刺激に弱い先端付近を撫でて、快感を強制する。
手袋をされて、まるで汚いものでも扱うかのように自分のものを扱われるのは屈辱的だったが、手錠を嵌められて無理矢理キスされて、そんな異常な状況では屈辱すらも悦びに変わってしまう。憎からず思っていた、巨乳で美脚の美人婦警にされているとなれば、尚更である。
キスしてくる前の、あの欲望に滾った様子から察するに緋崎の方も抑制が効かないらしい。普通の手淫よりもかなり速いスピードで、搾り取るように手を上下させ、竿を扱く。漏れ出てくるカウパーを親指で亀頭に塗り広げ、カリ首まで滑りをよくされてしまうともう耐えられなくなってくる。
強引に唇を奪われ、さらに股間を弄られる醜態から緋崎は目を離してくれない。思考力を押し流すほどの快感に翻弄される桐嶋の表情をずっと見下ろしている。
恥ずかしくてたまらなくて、眼を閉じたいと思っているのにそれが出来ない。ルビーのように爛爛と輝く双眸から目を逸らせない。
非人間的な眼光で視姦されて、絶頂が近づいてきても訴えることが出来なかった。
脳髄を快楽漬けにされて、もう彼女を拒否することが出来ない。射精してしまう、と伝えようとはしてみたが、何を言っても情熱的な口付けに掻き消されてしまう。
手加減なしに手コキされ続けて、遂に彼は屈した。長らく貯めていた精液が勢いよく墳き出て上に跨る緋崎に掛かる。薄青色のワイシャツ、紺色のタイトスカート、白い手袋、そして黒いストッキングが、粘ついたザーメンで汚されていく。
二度、三度と続く射精の間も緋崎は手を止めずキスも続けた。エクスタシーに緩み切った桐嶋を楽しげに見下ろして、最後の一滴までザーメンでベタベタになった手袋で搾り出して、ようやく彼を解放した。
「……っぷはっ！ はぁ、はぁ……」
長い長いキスを終えて、桐嶋は深呼吸する。制服を精液まみれにされて、どこか嬉しげな緋崎は言った。
「……ごめんなさい。あなたの血が、あんまり美味しかったから……自制できませんでした。
好きなんです。あなたも、あなたの血も……あんなに勇敢で、しかも美味しそうな匂いで……恋しちゃいます、我慢できませんよ」
黒ストッキングと白パンツを膝上まで降ろし、隠されていた白い太股を晒す。スカートの裾をつまみ、耳元に唇を寄せて囁く。
「だから、いいですよね？ あなたとしたいんです。血と同じくらい美味しい物、私の中に欲しいんです」
ストッキングとの間に糸を引くほど濡れそぼった女性器を、まだ萎えていない桐嶋のものに触れさせる。腰を下ろす寸前、か細い声で緋崎は言った。
「あなたが、あんなにいい匂いをさせるから。だから我慢できなくなったんです。
ごめんなさいね……こんな、無理矢理。私が、私がダンピールだからいけないんです」
返答を待たず、緋崎は膣で桐嶋の男性器を飲み込んだ。
粘液を絡めた襞が竿を抱く。溢れた愛液がくちゅりと淫らな音を鳴らす。タイトスカートの奥、桐嶋からは見えないところで彼は貪られる。
一気に根本まで咥え込まれて桐嶋は喉を反らす。瞬殺されそうなところを歯を食いしばって耐える。さっき射精したばかりだというのに、またすぐにいかされそうな、まさに魔性の膣だった。
人間のものとは全く違う、人外の、甘美過ぎる性感。今自分を犯しているのが紛れもなく魔物だということを、彼はようやく確信した。
「あは、カタイ、ですね……じゃあ、動きます、よっ」
ソファーに膝をついて、緋崎は腰を上下させ始めた。
狭くて小さい膣は桐嶋の男性器によって押し広げられ、その弾力性でもって元の形に戻ろうとして締め付ける。緋崎が腰を上げると収縮した膣の、竿を抜かれた部分がまるでバキュームフェラのように亀頭と尿道を刺激し、下ろすと今度は根元から先端まで思い切り抱きしめる。2つの快楽をほとんど同時に与えられて、桐嶋は悶えた。
組み伏せた男が自分の身体に溺れていくのを見て、緋崎の眼が虚ろになっていく。彼に謝罪した時のような、理性的な色が赤い瞳から消え失せていく。
「はぁ、あ、ああイイ、気持ちいい、ですっ！ 桐嶋さんも、いい、ですよねぇ……！」
「う、うん、これ、これすごい……！」
「あハ、嬉しい……もっと、もっと私を……！ 私の全部、あげますから……！」
大きな胸を揺らして、騎乗位搾精に耽る緋崎。その巨乳が桐嶋の目を惹いた。
人外美女に犯されながら、彼の欲望は高まっていくばかりである。目の前で重そうにとすんとすんと揺れる一対の肉塊、その頂点が薄青ワイシャツの下から微かに透けているのが目に止まった。
今までは気付かなかったが、どうも今日の緋崎は制服の下にブラジャーを着けていないらしい。
かっちりした、権力と規範の象徴とも言うべき警官の制服の下がノーブラ。
凄まじいギャップに彼の脳は揺らされた。跨られて腰を振られていつ膣内射精してもおかしくないのを忘れたかのように、彼はうっすらと透ける左乳首に吸い付いた。
両手が後ろ手に拘束されてしまっているため、魅惑の巨乳を揉んで楽しむことは出来ない。そのもどかしさをぶつけるように、彼は思い切り服越しの乳首を舐めて甘噛みして刺激した。犯されてばかりだった男からの急な反撃で、緋崎の声が上ずる。
「ひゅっ！ や、おっぱい……いい、乳首いいですぅ……」
上半身を責められた彼女は下半身の責めをさらに激しくしてきた。
ワイシャツに唾を塗りたくってしっかり濡らしてやると、硬く勃起した淫らな乳首がもっと透けるようになる。
いやらしく勃起して、濡れた服にしっかりとその形を浮かび上がらせた、しかし直接見えない胸のいやらしさが彼の理性を焼き尽くした。無我夢中で着衣おっぱいを吸い、ワイシャツ越しの乳首の硬さを前歯で楽しむ。
乳房の大きさは男の手でも掴み切れなさそうな程だが、乳首と乳輪はそれに反して控えめで、色も薄い。出る筈もない母乳を渇望して、ぺちゃぺちゃと唾が鳴るのも構わず淫乱警官の胸を吸う。二人の限界は、もう間近だった。
「ひゅ、い、ムネと、おまんこ、きもちい、いく……！ いく、いくいく、イくぅ！ いっちゃい、ます……！」
綺麗な瞳を性欲で染め上げて、赤い目の陵辱者が悶える。乳を吸うのに夢中の桐嶋は生の膣内射精を躊躇うことも無い。
パンパンと、より激しく腰を打ち付けて緋崎は息を呑んだ。桐嶋を抱く手が強張り、全身が緊張している。竿を包み込む膣がきゅぅっと収縮し、そのまま子宮へ向けて射精させた。
緋崎に抱きしめられて生中出しを強制されている間も、彼は胸から口を離せなかった。
女の絶頂を示すように容赦なく締まる肉筒の中で何度も竿を跳ねさせ絶頂する快感が、彼の魂を鷲掴みにしていた。もし彼の両腕が自由だったなら、きっと緋崎の身体を強く抱きしめていただろう。
捕えられて犯されて種付けさせられて、無力な赤子のように乳を吸うことしか出来ない今の状況は、彼にとって紛れもなく幸福だった。
その後。
子宮に精液を注がれてようやく我に返った緋崎は慌てて桐嶋から離れ、狼藉を謝罪した。
散々気持よくされて、もう緋崎なしには生きていけない気分だった彼はあっさりその謝罪を受入れた。何か言いたそうな、しかしそれを切り出しにくそうな彼女に、
「僕の恋人になって下さい」
と言い放ってしまうほど、桐嶋は悩殺されてしまっていたのだ。
二人が付き合うようになった後。
緋崎がダンピールという魔物娘であること、魔物娘がこの世界にやってきているということなどを聞かされた桐嶋は、しかしあまりそういうことを気にしなかった。
人でないものが警察内部で人を支配するため動いているという状況はもしかすると酷い嫌悪感を催すものだったかもしれないが、魔物娘は人を害さないという緋崎の言葉を彼は信じたのだ。
そうして、幸せな魔物娘がまた一人増えたのだった。
ある夜。警察官の制服に身を包んだ緋崎はワイシャツのボタン、胸の下あたりのものを２つ外して桐嶋を誘惑していた。
「次は……あなたの好きな、この婦警おっぱいで遊んであげます。ノーブラおっぱいで搾っちゃいますよ」
ボタンが外れて押し広げられたワイシャツの隙間から、白くてすべすべな下乳が見えている。
今夜は既に着衣セックスを一度済ましており、短めのタイトスカートや股の部分を破られた黒ストッキングや股部分を横にずらされたパンツなどは膣奥から流れ出てきた精液でべっとり汚れている。その上彼女の胸は生ハメに興奮した桐嶋によって舐めまくられており、粘つく唾液塗れになってうっすら透けている。
人間の偽装を止め、赤い目に金髪となった彼女にそんなものを見せられては、勃起しないはずもない。
「もう、散々子宮に中出ししたのに、またこんなにして。しょうがないですね。あなたの大好きなおっぱいで、今日も楽にしてあげますからね……」
服は脱がないまま、むっちりした乳の谷間に竿を挿し込んでいく。服の中、胸の間に男性器を捉えると、赤い目の彼女は両手で一つづつ乳房を掴み、中心へ思い切り圧迫した。
少し小さめの制服の中で行き場を失った巨乳は、2つの乳房の間に挿れられた男根に思い切り押し付けられる。膣壁のように男性器の形に合わせて柔軟に変形する柔らかい胸が、桐嶋専用のオナホールとなって今夜も精液を搾り取るのだ。
ふわふわおっぱいの間に埋められてぴくぴく痙攣しているペニスを緋崎は上機嫌で責める。小さめの手ではなかなか支えきれない大きな乳房を左右交互に動かして、特に敏感な亀頭周りを柔らかい乳で激しく刺激する。我慢汁で乳と竿の間がぬちゃぬちゃ言い始めると、パイズリ奉仕にますます熱が入った。
「おちんちん、硬いですね……おまんこに入れてる時よりカタイかも。そんなに私のムネが好きなんですか？」
「好き、好きだよこれ、最高……！」
「そうですか。じゃあ、こんなことしたら一体どうなってしまうんでしょうね」
おっぱいの上側、胸元から飛び出た亀頭を緋崎がぺろりと一舐めする。先走りを啜られて男性器がまた跳ねる。あまりにも分かりやすい反応に、淫乱な魔物娘は大いに気を良くした。
「ふふ。ぴくぴくして、可愛いです。もっとしてあげましょうねぇ……ぇろ、れろれろ、ちゅっ……」
「う……！ いい、いいよこれ、すぐ……！」
「……ほんとに、がちがち。こっちから血を吸ってみるのも、いいかもしれませんねぇ」
物騒な言葉に、思わず萎えかける。いくら彼女の虜だとはいえ、陰茎に穴を開けられるようなのは勘弁願いたい。そう身構えると、耐え切れぬように緋崎が吹き出した。
「いえいえ、冗談ですよ。こんなにいいおちんちん、傷つけたりする訳ありませんよ。
こうやって……大事にして、可愛がってあげないと」
脅かしたことを詫びるように、緋崎は乳での圧搾を強めた。少し紅潮した胸の肌色が薄青ワイシャツの色と交じり合って、見たことのない色を作る。むぎゅぅぅっと、思い切りおっぱいを押し付けられているのだ。
胸と舌で愛されて、桐嶋はただ感じることしか出来ない。亀頭が谷間から顔を出す時、外に張り出たカリ首が乳肉に激しく擦れて、何も言えなくなるほど気持ちいいのだ。
おっぱいで挟んで舌で舐めて、彼の方を上目遣いでちらちら眺める緋崎の瞳は彼女の愛情の誠実さを示すが如く真っ赤で、その魔性の眼に見られているだけでも彼は屈してしまう。
普段は警官として人間たちを守護している緋崎が、仕事中と同じ格好で、しかしブラは付けずに硬く凝った乳首をシャツの裏から透けさせながら、こんなに淫らな奉仕をしてくれている。
彼の欲望は毎日のこのコスチュームプレイで十分過ぎる程に満たされるのだ。
そんな風に優しく責められ激しく奉仕されていると、長くは耐えられない。桐嶋が限界を訴えるより先に、緋崎はそれを悟っている。
少しでも多くの精液を搾り取るため、たぷたぷの胸を掴んだ手の動きを急に速め、先端を重点的に責める。
乳フェチの男はあっさりと、パイズリ責めに屈した。
谷間から胸元へ僅かに見える鈴口が断続的にザーメンを出す。顎と喉、胸元からワイシャツをスペルマ塗れにして、まだ射精は終わらない。
緋崎の仕事服を自分の体液で汚して、桐嶋は申し訳なさそうな、しかし嬉しそうな表情を浮かべる。外で働く時にも使う制服が自分の汚い精液で白くまだらになるのを見る度、彼のフェティシズムは大いに悦ぶのだ。
射精の最中も、尿道に精子が残らないように、少しでも多く搾れるように緋崎は根本からゆっくりと乳房で揉み、優しく撫でる。絶頂中にそんな風に愛撫されて、桐嶋は物も言えなくなる。シャツが精子に浸されてザーメン塗れの乳首が透けても、緋崎のパイズリ遊びは終わらない。
もちろん、パイズリが終われば次はセックス、第二ラウンドだ。血に飢えた半吸血鬼は、合間に吸血を入れて勃起力と体力を強制的に回復させるのも忘れない。
こうして毎晩、桐嶋はダンピールに愛され続けるのだ。こんなに熱心に人間を愛してくれる存在が権力を握ってくれているのだ。きっとこの世界は、これからどんどん良くなっていくのであろう。
13/01/10 00:51更新 / ナシ・アジフ