淫乱かつ従順でエロかわいい雌狼と化したプリメーラと、明るく楽しいラブラブちょーきょーエッチを存分に楽しんだ翌日。
　やりたいことをやれたことによる、ひどくすっきりした清々しい気分で玉座の間を訪れると、傀儡王フランツィスカを始めとする俺の女たちが出迎えてくれた。
　だがしかし、目に映る我が愛人の数は八人。
　大事な大事なハーレム構成員が一人欠けてしまっている。誰にともなく、俺は尋ねた。

「今宵は休みか？」
「いえ、それなんですが」

　答えたのはサーシャ。こちらへ進み出て、言葉を継ぐ。

「今朝からずっと、自分の部屋に引きこもってらっしゃるんですよ」
「なんだ。病気か？」
「よく分からないんですけれど、どうも体調不良ではないらしいです。一度、訪ねてみてはどうですか？」

　ふむ。
　人間よりも動物よりもタフで強靭な魔物たちは滅多なことでは病気になんか罹らないらしい(ただしエロいやつを除く)が、昨日以来会っていない彼女が一体どうしているのか、何故引きこもってしまっているのか、気になるところだ。
　俺に「プリメーラさんを何とかしてくれ」と訴えてきた時の彼女には、特に変わった様子は見受けられなかった。問題があったとしたらその後なのだろうが、なにせ俺はずっとプリメーラと遊んでいたので、何が起こったのか検討もつかない。

「寝坊じゃないのか？」
「いえ、呼びかけてみたら、何やら返事はしてくれたんですよ」
「でも部屋の外には出てこないと」
「はい。ちょっと心配なんですが、無理に部屋に入るのも悪いように思いますし……」
「そういう事なら、俺が行ってこよう」

　基本的にはお互い仲の良いレスカティエヒロインズだが、複数人の女が一人の男の愛を奪い合っているということに変わりはない。これでなかなかに複雑な関係で、女には女同士、お互いの領域を侵犯するような真似は避けたいと思うこともあるだろう。
　ならば、俺自身が動いて事態の真相を究明することも吝かではない。そのための俺、その為の男だ。
　まあ、何事も無かったとしても、昨日プリメーラだけを連れて部屋に引っ込み、訴えてきた当人の今宵を構ってやれなかったことについては、埋め合わせの必要を感じていたところだ。
　他の女たちには詫びを入れて、すぐに今宵の部屋へと向かうことにした。

　彼女の私室は玉座の間からそう遠くない場所にある。他の嫁たちと同じく、元王族の使っていた部屋をそのまま居室としているのだ。
　フスマやショウジといった調度品でジパング風に仕立ててもいいぞと言ってみたことはあったが、なぜだか今宵は微笑むばかりで、”それらしい”部屋を作ろうとはしなかった。
　ウィルマリナたちと違って、今宵を俺はまだ知り合って日が浅い。
　故郷であるはずのジパング的なものを厭うのはなにか理由があってのことなのか、単に好みの問題なのか。彼女から言い出すまで聞かないようにしようと思っていた。
　そういうことも含めて、これからもじっくりと仲を深めていければいいと思いつつ、俺は扉をノックした。

「今宵。起きてるかー」

　返事は無いが、部屋の中からは微かに衣擦れのような音がする。もう一度戸を叩き、入室の許可を乞うてみてもやはり返答が無い。

「今宵ー？　入るぞ」

　施錠されていなかった戸を開き、今宵ズルームに入ってみると、ベッドの上に部屋の主が座っていた。
　こちらに背を向け、両膝を腕で抱えて顔を脚の間に埋めている。見るからにヘコんだ感じで、意気消沈といった風の彼女は、全身から暗いオーラを放っていた。
　俺の入室に気づいた今宵は、顔を上げて首を回しこちらを見る。その両目が微かに赤くなっているのを見て、俺は何故だか強い罪悪感に襲われた。

「今宵お前、泣いてたのか……？」
「だ、だってっ」

　首だけでなく身体もこちらへ回して、両手をベッドに突いて稲荷が訴える。しどけなく脚を崩した体勢は、言い知れぬ色気を放っていた。

「昨日かて、ウチが旦那さんと話してたのに、いきなりプリメーラさん連れて、どっか行ってもうたやん！
　置いてかれて、ウチ、寂しゅうて……やっぱりウィルマリナさんらと違うて、新参のウチはあんまり愛して貰われへんのかなぁとか、一目惚れなんて言うてみたかて、男の人には信じて貰われへんのかなぁなんて考えてたら悲しゅうて……」

　涙目になりながら叫ぶ今宵に、俺は歩み寄る。ベッドに腰掛けて、意外に華奢な肩を抱きしめると、腕の中の稲荷は一層嗚咽した。

「う……う、うぅ……寂し、かったんやから……！　ウチの気持ち、疑われてたらどうしょうって、心細かったんやからね……！」
「ごめんよ。今宵がそんなに辛い思いをしていたなんて、知らなかったんだよ」

　確かに、元人間たる俺の感覚としては、「敵陣中心部で出会った男に一目惚れ、そのまま一生添い遂げる」などという話はちょっと出来過ぎと言うか、そのまま鵜呑みにして良いものか躊躇してしまうネタではある。
　が、そんな理由で目の前の美しい女が傷つけられるなど、あってはならない。俺を信じて慕ってくれる９人の女たち、その全員を永遠に幸せにすることが、俺に課せられた唯一にして最大の責務なのだから。
　胸の上でしばらく泣いて、ようやく今宵は落ち着いた。共にゆっくり時を過ごせそうなくらいには泣き止んだ彼女の眼を見据え、できるだけ優しく声を掛ける。

「本当に、ごめんな。お前のこと、分かってやれなくて」
「……じゃあ、仲直り、してくれる？　ちゃんとウチのことも、愛してくれる？」
「当然。好きだよ、今宵」

　夫からの愛の言葉で、黒稲荷の瞳は見る見るうちに蕩けていく。愛撫を待つかのように僅かに開かれた紅い唇に俺のそれを重ねると、溜まっていた涙が流れ去って後には歓喜だけが残った。

「ちゅっ、ん、……んじゅ、るる……。ぷ、はぁ……」
「あむっ、ふ、ふふ……」

　上下の歯列の間へ割って入り、俺の舌先が今宵の口内を味わう。いかにもフェラチオ向きな、小さく整ったお口の中は興奮に熱く滾っている。
　どこへも逃がさない、と意思表示するように今宵の体を抱きしめて、唾と粘膜で淫らな音を立てながら、ちょっと強引なくらいに恋人の口から体液を啜る。
　今宵の方も、貪られてばかりではいない。侵入してくる俺の舌に、長めの舌を絡めてちゅるちゅるとぬるい唾液を吸い取っていく。
　たっぷり十分はお互いの口を蹂躙しあった後、俺はゆっくりと唇を離した。粘ついた涎が、名残惜しげに伸びる。下腹部に俺の肉勃起を押し当てられた今宵が、至極嬉しそうに囁く。

「……なあ、これなんや？　ウチの身体に当たってる、このカタイやつは？」
「今宵にちゅーしてて、こうなったんだよ。鎮めてくれるか？」
「はぁい♪　ウチに任せときっ」

　やはり彼女も魔物娘らしく、セックスするとなったらたちまち機嫌が直ったようだ。東方の古いことわざで「外れたショウジと夫婦喧嘩は、ハメれば元に戻る」なんてフレーズがあると聞いたことを思い出す。
　久々に一対一のセックスが出来るとあって随分興奮している様子の今宵は、慣れた手つきで俺の下半身を裸にすると、自分の服の胸元も大きくはだけた。
　首元から肩までを大胆に露出する構成となっている彼女の服は、ちょっとずらすだけで簡単におっぱいを外に出すことができる。胸元から窮屈そうにはみ出た巨乳を両手で抱え、俺のものに寄せていく。

「ウチの全部使って、ご奉仕するからなぁ……いっぱいいっぱい、気持ちようなってや……」

　「はんなり」とでも表現すれば良いのだろうか、ジパング出身である今宵の独特な発音は、この辺りの人間が話す言葉と比べても格段に響きが柔らかく、かつ優美である。耳元でそっと囁かれると、それだけでもう何もかも委ねたくなってしまうほどだ。
　反り立った剛直を、今宵は大きなそのおっぱいでぎゅっと挟みこむ。ふわふわの胸に俺の男性器が沈み込んでいくような感覚が、腰から脊髄を駆け上って脳を支配する。根元から中ほどまでを乳房で捉え、熱く滑らかな肌を陰茎に擦りつけ、黒き稲荷は軽く溜息をついた。

「ふぅ。旦那さんのコレ、今日も硬いわぁ……。オッパイに当てただけでウチ、ちょっとイってしもうたわ……」
「今宵は胸が好きなのか？」
「胸も、おクチも好きやでぇ……。こんな淫乱な女は、嫌い？」
「大好きだよ。もっともっと、エロくなりな」
「……っ！」

　一瞬動きを止めた今宵は、しかし俺の言葉で性欲に点火されたのか、強い力で胸を圧迫しつつ上下に擦りたてはじめた。
　魔物娘と化していくらか膨張した一対の肉塊は、無上の柔らかさでもって肉茎に絡みつく。左右互い違いに動かされる乳房が裏筋を撫で上げてカリ首まで愛撫したり、硬くしこった乳首が粘膜にぶつかったりするたびに、俺は息を飲んで突発的な射精欲に耐えねばならなかった。
　俺が興奮するごとに、番である今宵の欲情もまた激しくなっていく。パイズリ奉仕で自らも感じてしまう淫乱な狐は、粘ついたカウパーを胸に塗り込められることでその体をますます火照らせ、夫と認めたのであろう男をどこまでも高めていくのだ。
　胸愛撫だけでもう天にも昇る心地となっている俺を見て、今宵がニンマリ笑う。優しくも貪欲なおっぱいの海に抱かれて、されるがままに我慢汁をただ漏らす俺を、いよいよ捕食しようというのだろうか。

「えらい感じてくれて、ウチも嬉しいわぁ。そんなら、これはどうや？　……う、ああむっ……！」

　インキュバスになったことで、俺の男性器は今宵の巨乳でも覆い尽くせないくらいには長くなっている。彼女はその、胸で抱きしめ切れずにはみ出た先端を丸ごと、口に含んだのだ。
　　根元の方はおっぱいからの穏やかな快感が与えられ、敏感な先端からは口と舌と唾液による熱烈な奉仕。パイズリだけでも耐え切れないほど気持ちよかったのに、更に口唇愛撫を加えられてしまっては、もはや抗うことなど不可能。
　情と欲に狂った女狐の欲するままに、体液を捧げる以外にないのだ。

「き、気持ちええ……！　もっと、しゃぶってくれ……！」
「はぁい……んふふ、んじゅるるる、ぐっ、ん、ちゅぅぅぅっ」

　赤い唇と黒い男性器の間で、今宵が唾を鳴らす。片手に余る、まさに母性の塊といった感じの胸乳を下から支え、茎を摩擦しながら唇をしめ、亀頭周辺を重点的に舐め回す。
　小さい頭を小刻みに上下し、口の中全体を使ってフェラチオ。後から後から溢れる涎が胸の方まで垂れて、潤滑油のように働いてパイズリの快感をも増す。
　今宵の口の中は肌よりもなお熱く、舌も上顎も喉もまるで性器のように淫らに蠢く。乳の谷間から伸び出た醜悪なものを、思い切り頭を下げることで残さず飲み込み、胸に愛されていない部分を全て口の中に収める。
　喉頭まで亀頭が届いたかと思えるほどに深く咥え込まれ、鈴口から竿の方まで長めの舌でじっくりとしゃぶられ味わわれすると、腰が溶けそうな程気持ちいい。

「うああ気持ちいい……！　おれ、もう……！」
「う、うひも……！」

　自ら敏感なおっぱいを揉みしだき、更にそれを夫の肉棒に押し付け押しつぶししていた今宵も、かなりのエクスタシーを感じているらしい。胸と口で奉仕しながら気持ちよくなってしまう淫乱撫子に、俺はもう夢中だ。
　口の中に太くて長いモノをぶち込まれ、苦しいはずの今宵は肉のシャフトが唇を一往復するごとに息を荒げ呼吸を早め、そしてその瞳は虚ろに、より淫らになっていく。自分の股間からじゅぷじゅぷとなるフェラチオの音の他に、陰唇からくちゅりという水音も聞こえるような気がして、また俺の首筋は熱を持つ。
　逃れられないようおっぱいでがっちりとホールドされ、汗ばんだ男根を深く深く咥えられ尿道を強く吸い上げられた時、とうとう俺は限界に達した。喉を反らし、みっともなく叫んで恋人の口に白濁をぶちまける。

「今宵、出るっ！！」
「ん、んふ、じゅ、ん、うぅぅん！？　……あふ、うっぐ、……！」

　喉奥のバキュームで吸い取られた精液は、今宵の食道に直接注ぎ込まれた。待ち望んだ濃厚汁を一度も空気に触れさせないまま咽頭で味わう黒稲荷は、半分涙目になりながら必死にゲルを飲み下す。
　涙目といっても、その表情に嫌悪は感じられない。ぼうっとした目付きや紅く染まった頬、もどかしげに動く太ももなどを見れば、彼女がイっているのは明らかだ。
　射精中、肉棒は断続的に痙攣し口の中で暴れる。
　喉の奥を亀頭で突かれ、普通なら苦しいはずなのに、今宵はますます気持ち良さそうな表情を浮かべる。
　それどころか、まだまだ足りないとばかりに自分から顔を下ろし、限界まで男性器を賞味しようとさえしている。
　あんなに気持ちいいパイズリフェラをしてくれて、さらに自分でも気持ちよくなってしまう今宵を見ていて、俺は彼女の愛を完全に受け入れる気になった。
　出会った時期がどうのとか、過ごした時間がどうのとか言うのは全て、人間の価値観だ。人間をやめた俺達にはそぐわない。
　この世で唯一信頼できるのは、魔物娘だ。魔物娘の愛情を信じることができないで、いったい他の何を信じられるというのだ。
　もはや彼女への愛に躊躇いは無い。絶対的な魔物の好意、これこそ俺の信じる真理だ。
　喉を男性器で突かれて気持ちよくなってしまう淫乱娘を見て、俺は胸が愛しさでいっぱいになるのを感じていた。
　こんな可愛くもエッチな女の子を、これ以上一瞬たりとも寂しがらせる訳にはいかない。口を股間から話して一息付いている今宵の肩に手を掛け、俺は一気に体勢を逆転した。
　仰向けになった女の脚の間に男が陣取る、いわゆる正常位である。一度射精した程度では到底鎮まらない肉棒を稲荷の陰唇に添えると、愛撫を待ち望んでいた膣口から透明な液体がドロっと流れだした。

「入れるぞ、今宵」
「ああ、えええよ。来て……！」

　その言葉を聞き終えるよりも早く、俺は腰を進めていった。
　口で肉棒を咥えてオーガズムを感じる程なのだから、挿入してやればそれはもう、潮と見紛うくらい大量に愛液が溢れ出るのは言うまでもないこと。
　長さも太さも平均以上のものを抵抗なく受け入れて、しかもそれでいて緩くなく、特に奥の方へ行くにしたがって締りが強くなるのが、全く堪らない。
　膣奥の反発と圧搾に突き動かされ、俺は半ば本能的に腰を振り始めた。
　体重をかけて思い切り男根を押し込むと、極上の締りとヒダが亀頭から竿まで余すとこなく密着し、愛撫してくれる。
　変幻自在の快感に翻弄されて、セックスしていると言うよりもむしろセックスさせられているといったほうが良いような、理性を削り取られるような気分だが、それがかえって心地良い。
　思考を放棄しているのはベッドの上に組み伏せた今宵も同じようで、股に剛直を受け入れ仰向けに寝転び脚を大きく開いた、余りにも下品な格好をとっていながらも、その顔に浮かぶのは満面の気色。
　もうはっきりとした意味のある言葉すら紡がなくなった唇からは、ただ艶かしい吐息が流れ出るばかり。
　切れ切れで文章にもならない、単語だけの喘ぎ声が彼女の興奮の度合いを示しているようにも思えた。

「ああ、い、いいイイっ！　おちんぽ、さいっこ、もっと、してぇ……！」
「は、あ、あはは……可愛いな、今宵は……！」

　衝動的に放った言葉でも、彼女は喜んでくれている。喘ぎ狂いながらも、目尻を下げてくれたのが見て取れた。褒め言葉に弱い女の子を見ていると、また自分の中の愛情が膨れ上がるのを感じた。
　愛が増せば欲も比例する。技巧もテクも無くただ飢えと性欲に任せて腰を振り立てる、まるで獣のような正常位セックスの快感も必然的に倍増する。
　今宵の両太ももを抱えて膣道を掘り進むにも、もう限界が近い。
　俺の様子から射精が近いことを自然と感じ取ったのか、大きな胸をぶるんぶるん揺らして愛欲に耽っていた黒稲荷は、不意に脚を動かした。
　ふくらはぎを持ち上げ俺の背後に回し、腰を引けないように両脚で俺の腰を捕らえたのだ。
　中出し以外許さない、というこの仕草に俺は完全にノックアウトされた。彼女の望む通り、たっぷりの精子で種付けしてやりたくなって、他のことは全て頭から抜け落ちた。
　膣の一番奥、子宮口まで達するんじゃないかと思うくらい深くまで陰茎を突き込むと、今までで一番強い刺激が俺を襲った。最も弱い部分に瞬間的に、許容量を遥かに超える快楽を与えられ、俺は自分でも意識しないままに射精してしまっていた。

「……！」
「う！？　あ、熱い……！　子宮が、どろどろ……！」

　濃い精液を女性器に流し込まれ、今宵は両腕と体をぴくぴく震わせながら絶頂していた。
　両目の焦点は合わず、口の端からは涎すら垂らしていたがそれでも脚の力は抜かず、最後の一滴まで中にもらおうとしているのがまた淫らで愛しかった。
　手負いの動物のような荒々しい呼吸で、今宵はただ性の快楽を享受している。
　俺は、俺たちにとって今の彼女のようにあることが真に理想的なのだと強く確信していた。


　数時間後。
　すっかり元通り仲良くなった俺と今宵は、上機嫌でレスカティエ城の廊下を歩いていた。と、そこに現れた淫魔が一人。

「あら。何か揉め事があったとか聞いていたけど、大丈夫そうじゃない」

　魔界都市レスカティエの支配者にして第四魔王女、デルエラ様だった。　

「ええ、おかげさまで。もう、何も問題ありませんよ」
「そうみたいね。迷いのない、良い目をしてるもの」

　まるで娯楽活劇小説に出てくる、主人公を導いて奥技とか授けてくれたりするポジションの年老いた武術の達人みたいなことを言って、デルエラ様は微笑んだ。

「迷い、ですか。確かに、今はありませんね。うだうだ悩んだり、益体もないことを考えたりするより、もっとやるべきことがあるってことに気づけましたから」
「そうそう。それでいいのよ」

　デルエラ様の真っ赤な目が喜悦に歪む。

「考えたり、頭を捻ったりするのは人間のやることですもんね。俺たちは、ただこの生を楽しめばいい。その為の力があるのだから。……これで、いいんですよね」

　デルエラ様はもう返答しない。ただ、満足気に頷くだけだ。
　その反応に、俺は自分とデルエラ様の正しさを確信した。隣に立つ今宵の手をとって、領主様の前を辞する。

「では、俺たちはウィルマリナたちのところへ戻りますので」
「ええ。いってらっしゃい。これからも、仲良くするのよ」
「はい。分かっていますよ」

　それこそが、今の俺の存在意義なのだから。今宵達が俺を必要としてくれている限り、俺はいつまでも彼女たちのために在り続けるだろう。
　

■作者メッセージ
フェラでイく女の子を書きたかった。