母を恋うる記
ある夜。家で一人母親の帰りを待ちながら、俺は考えていた。
血の繋がらない息子を成人間近まで育ててくれたイオ母さんの恩に、どうすれば報いることが出来るだろうかと。
俺の母さんはサキュバス、淫魔である。しかしこの世界での常識として、魔物娘から人間は生まれない ー つまり、俺は母さんの義理の息子ということになる。
どういうことかというと、話は簡単。俺の実母は出産直後に亡くなったため、父は男手一つで赤子を三年ほど育て、その後イオ母さんと再婚したのだ。
その赤子が成長した姿である当の俺に、実母の記憶は全く残っていない。物心ついた頃には既に母さんが俺の家にいて、食事から教育まであらゆることを愛情いっぱいに、血の繋がらない息子へと施してくれた。その為、たとえ血の繋がりは無くとも彼女は俺にとって唯一無二の母親であると言える。
イオ母さんは旦那の連れ子である俺を手ひどく扱うこともなく、とても可愛がってくれた。魔物と人間の間には人間同士よりも子供ができにくいということもあって、俺は一人、父と継母の寵愛を独占することができたのだ。
そのまま家族三人仲良く暮らしていければよかったのだが、俺が十代半ばに差し掛かった頃事件が起こる。
父親が、教会軍と魔王軍の戦闘に巻き込まれて死んでしまったのだ。
サキュバスと何度となく交わり、恐らくインキュバスとなっていたであろう親父だが、それでも不死身という訳にはいかない。
故郷を焼かれ、一家の大黒柱を失い、俺と母さんは半ば呆然としていた。その時、自暴自棄になったりせず、魔王軍の庇護のもと平和な土地まで逃れていくことが出来たのは、確かにお互いの存在あってのことだったろう。
だが、定住の地を見つけてからもずっと、母として俺を守り、養い導いてくれたことには、俺は全面的にイオ母さんに借りがある。
淫魔として、男なしに生きていくのはとても辛いだろうに、母さんは再婚もせずに俺を育て上げてくれた。そのことについて俺はただひたすら感謝するしかない。
だから。
だから、何年経ってもちっとも汚れず、むしろ年を増すごとに艶とハリを増す母さんの肌や、子供に授乳したことも無い筈なのに、揉めばすぐにもミルクが吹き出そうなほど巨大に育ったおっぱいや、長年の家事と水仕事にも耐えて、未だ白く細く長く、完璧な美しさを保っている五指などを、よりによって息子が欲望に汚れた目で見ることなど、あってはならないのだ。
と、そんな軽い自己嫌悪に陥っていると、玄関の方から物音がした。
手荒く扉を開ける音と、壁か床に重いものがぶつかるような音がする。最近帰りが遅くなるといつもこうだ。
俺はコップに水を汲むと、母さんを迎えに行った。
「うう〜っ。く、苦しい……」
部屋を出て玄関口へ向かうと、果たしてそこには俯せになって倒れた母さんがいた。真っ赤な顔をして、なにか分けのわからぬことを呟き続けるその姿は、まさしく酔っ払い。
「あううう……もー、私の何が分かるってのよ……! 欲しいからもらう、とか、そんなんじゃにゃーのよ……!」
「母さん。ほら起きて。水だよ」
「っへ……? 水?」
「はいどうぞ。立てる?」
「う……カスト? うわ……ごめん、ね……私……」
顔を上げた母さんは俺の名を呼び、ひどく申し訳なさ気な表情をした。
確かに、ベロンベロンに酔って帰られるのは困る。昔は、親父が死んだ直後はそんなこともなかったのに、俺が年を重ね大人になっていくごとに、こういう騒がしいご帰宅が増えてきた。
しかし、だからといって俺が母さんを怒ったり、ましてや愛想を尽かす事などありえない。彼女こそ、俺にとって一番大事な恩人なのだから。
それに、熱気を逃がすために自分でやったのだろうか、白いブラウスの胸元が大きく開かれており、綺麗な肌や黒いブラジャーが垣間見え、とても色っぽいのだ。
と、まただ。義理とはいえ、母親、それも大恩あるイオさんに劣情を抱くなんて、いくら魔物とその社会が性的に自由だからといって到底許されることではない。
心の底でざわりと蠢いた何か不浄なものを無理に抑えこみ、俺は母さんに呼びかけた。
「いいからいいから。立てない? なら、肩を貸すから」
「ごめん、ね……ほんと、私って……」
水を飲み干し、なおもふらふらで息も絶え絶えな母さんを担ぎ、居間へと引っ張っていった。
すぐにでも寝かせてあげたいところだが、外出着のまま放っておくわけにも行かない。ひとまずソファーに酔っ払いを横たえ、楽にしてもらう。
コップを台所に置いて戻ってくると、胸元をはだけさせたまま母さんは眠ってしまっていた。
親父が死んで以来、母さんはサキュバスにしてはおとなしめな、露出度の少ない格好をしていることが多い。
新しく夫を娶るつもりはないと周囲にアピールしているつもりなのかもしれないが、白いブラウスは前のボタンが3つほど外れブラジャーが丸見え、黒のタイトスカートはめくれ上がって中の黒いパンティーがチラ見えなどという状態では、裸よりもむしろ扇情的。
仰向けになって静かに寝息を立てている美女から、俺は目を離せなくなってしまった。胸元の大きな盛り上がり、ムチッとして美味しそうな太もも、微かに動いて呼吸を示唆する白い喉が、俺の網膜に焼き付いてしまったかのようだ。
「母さん」
半ば無意識的にそう呼びかけると、眼下の義母は小さく呻いた。喉の奥から搾り出すような熱気を孕んだ吐息はまるで喘ぎ声のようで、興奮のあまり俺はまた全身が粟立つのを感じた。
ソファーのそば、床に膝をつき俺は母さんを見下ろす。
運んでいる最中にボタンが外れたのだろうか、大きく開かれた胸元は白い服と黒い下着のコントラストが強烈で、しばらく見ているともう手を触れたくて触れたくて狂いそうになってくる。
手を伸ばし、ブラと胸の間に指を差し入れんとして初めて、俺は自分のしようとしていることに気づいた。
若く美しい豊満な美女が、泥酔して意識を失っている。これがもし、血の繋がらない他人同士だったならば、俺が今からしようとしていることも、あるいは状況によっては許され得るかもしれない。
しかし、どんなに美しくても、義理の関係であっても、相手は母親なのだ。それも一朝一夕の間柄ではない、幼い頃からずっと俺の成長を見守って、優しく育ててくれた母さんなのだ。それを、俺は今どうしようとした。
理性の力を振り絞って右手を止める。持ち主の言うことも聞かず、猛る欲望のままにその母性の塊を揉みしだいてしまいたいと手が叫ぶ。どうにか自分を抑えこみ、手を下ろしたときに初めて俺は自分の陰茎が勃起しているのを知った。
「母さん……!」
規則正しく上下する胸元から、汗が艶めかしく匂い立つ。もう長いこと、誰にも触らせていないであろう乳房は、黒い布の下から若い男を誘い、惑わせる。ブラの鮮烈な色から必死の思いで眼を背けた時、微かに母さんが身動きした。
その時。ソファーから床へだらりとたらされていた母さんの左腕が、ちょっと動いた。イオさんのすぐ近くで膝立ちになっていた俺の股間へ、細い二の腕が僅かに擦れる。ズボン越しに与えられる感触が強烈すぎて、俺は思わず下着の中で射精してしまいそうだった。
「う……!」
もうだめだ。このままじゃ生殺しだ。せめて、一度精液を出して欲望を鎮めなければ俺は今夜眠ることすらできない。
イオ母さんの意識が無いのを良い事に、俺は衝動的にズボンとパンツを下ろして、下半身丸出しになってしまった。
衣服の拘束から解放された肉棒は、どんなエロ本を読んだ時よりも激しく膨張し、硬くなっている。透明な先走りすら漏らすそれを、何でもいいからおとなしくさせねば。
横たわった淫魔をおかずに、自分で扱くしか無いかと最初は思った。が、小さな頃から何度も俺の頭を撫でてくれた母さんの左手を見ると、俺はもう意識をその綺麗な手から反らせなくなってしまった。
いくら眠っているといっても、相手はサキュバス。男の精を肌に塗り込められたら目覚めるんじゃないだろうかと理性は警告する。が、頭の中に流れる赤黒い血の鳴る音がうるさすぎて、そんな声など聞こえない。
バレたらバレた時、いやむしろバレてしまいたい、そうすれば、毎日毎日極上の女と寝食を共にしながら愛しあうことも出来ない、今のこの地獄のような状況から逃れられる。捨鉢な本能の囁きに、俺は身を任せた。
右手で母さんの手を取り、ガチガチになった肉槍に添える。起こしてしまわないようにそっと彼女の指を取り、一本一本丹念に曲げて竿に絡ませる。女に手コキしてもらう時のように、イオ母さんの手に俺の醜悪なものを握らせた。
握らせたといっても、眠っている母さんが手を動かしてくれる道理は無い。俺はそのまま自慰と同じ要領で、母さんの手を持ったまま右手を上下させ始めた。
やっていることはオナニーと大差無い。思いのままに操れる自分の指で直接弄るのではなく、イオさんの手を介して間接的に扱いているのだから、実質的な快楽は特に大きくもない筈なのだが、実際の所、俺は眠れる美女の与える快楽に心を奪われ切っていた。
毎日の仕事に加え、「安い店屋物なんか、体に悪いよ」と言って、毎食とは言えないまでも心の籠った料理を作ってくれるのと同じ手が、今俺の性器を握りしめている。娼婦のように逆手で肉棒を掴み、ザーメンを搾り出そうとしている。
そんなふうに考えただけでも、背徳感と罪悪感でめまいを覚える程だ。してはいけないことをするのがこんなに楽しいなんて、実際にやった奴以外には決して理解出来ないことだろう。
もはや寝ている母さんを起こさないようにしよう、という最低限の配慮も忘れて俺はひたすら手を動かす。掴んだ母さんの手に自分のものを握らせ、手淫を強制する。
今よりずっと昔、一緒に風呂に入っていた頃よりもずっと大きくなった俺の男性器を見たら、果たして彼女は何というのだろうか。全く想像もできないまま、俺はただただこの背徳的なオナニーに耽った。
意識の無い他者の肉体を性処理道具として用いるという、ある意味では強姦に匹敵するほど卑劣なこの行為は、同じくらい激しく男を昂らせる。
しゅっしゅっという卑しい音を立てて母さんの手を使い続けていると、自分でしている時よりもずっと早く限界が来た。家を汚さないようにしようとか、母さんの服に掛けないようにしようという気すら起こらないまま、俺は手の動きを早めた。
忍耐の臨界を近くに迎えて、なお強く刺激された男性器は容易く本能に屈服する。今までに味わったことがない、強い射精の快楽が、実際の射精感よりも先に来た。
板張りの床にぶちまけられた濃い白濁液を見て、俺はようやく我に返った。
義理とはいえ、母親であるイオさんの手にちんこを扱かせて達するというこの最低な行為は、余りに心地良過ぎた。美女の掌を精液と我慢汁でベトベトに濡らして、自分たちの家まで汚してなお、俺の股間は収まらない。
はぁはぁと荒い息を吐きながら、俺は未だ衰えない欲望を持て余していた。一度出したというのに、どういうわけか全く小さくならないこの息子を、どう処理すれば良いというのだろうか。
手でダメなら、と考えると同時に、眠っている母さんがまた身じろぎした。両脚を少し開き、黒いタイトスカートが僅かにめくれ上がる。顕になった白い太ももと、その奥、黒いパンティーに隠された秘所を一旦眼にしてしまうと、また衝動が沸き起こった。
床も、母さんの手も白濁に汚したまま、俺はソファーに上がる。ゆっくりと黒いスカートへ手を差し込んで、腰の横、繊細な布で作られた下着を引きずり下ろす。
完全に脱がすのも煩わしく、足首の方まで下ろして右脚だけを抜いて、一層いやらしくなった母さんの腰を膝でまたぐ体勢を取る。
性を貪る淫魔の本能故か、手を触れてもいない陰唇は早くも濡れ始めていた。試しに指を触れさせてみると、潤った膣口がくちゅりと可愛らしい音を立てる。
受け入れる準備ができている、母さんのまんこが俺のものを入れていいと言っている、そんな妄想が俺の脳を支配した。片足にパンティーを引っ掛けて、まるで強姦された直後のようなイオさんに性欲が迸る。
まるで動物のように、息をすることも忘れた俺は一気に正常位で繋がった。
よほどたくさんお酒を飲んだのだろうか、股に男の性器、それも息子のものが入ってきているというのに、母さんは呻くばかりで覚醒しようとはしない。気をよくした俺は、若さに任せてそのままずぶずぶと腰を推し進め、愛しい母さんの膣肉を味わう。
もう長いこと使っていないはずなのに、母さんのおまんこはとても強く締まる。たっぷりの愛液を絡めた微細な襞が、何年ぶりかでやってきた男のモノを手荒く歓迎する。
ずっと自分の家にこれ以上ないほど美しい女の人が居たせいで、まともに女性経験の無い俺が一瞬で達してしまわなかったのは、さっき手でイかせてもらっていたからに他ならない。
射精した直後で敏感な肉棒には過酷すぎるほどの女性器を、本能に任せて割り進む。奥に行くほど狭くなり、刺激に弱い亀頭周辺を特に念入りに可愛がってくれる膣道に、もう病みつきだ。
イオ母さんの腰を手で押さえつけ、俺はガンガンに腰を振り始めた。長く保たそうとか、じっくりおまんこの甘い快楽を味わおうとか、そんな思考は吹っ飛んでいた。
ただ、自分をずっと愛して育ててくれた優しくて綺麗な母さんを犯したい、その獣じみた衝動だけで俺は生殖行動に励んだ。
一瞬正気を取り戻しかけたのは、二度目の限界が近くなってきてからだ。このまま勢い任せに腰を打ち付けていたら、またすぐに射精してしまうのは確実だが……いま愛してもらっているのは、手ではなく生殖器だ。濃いザーメンを中で思い切り出したりしたら、俺の子を孕ませてしまうのではなかろうか……。
そんな人間的な抑圧も、すぐに潰える。むしろ、世界で一番愛しい俺の母さんを妊娠させて、自分だけのものにしてしまうという想像が一層俺を奮い立たせる。バレるとかバレないとか言うなら、すでにもう取り返しの付かない所まで来て、生ハメセックスまでしてしまっている。このまま欲望を満たして、何が悪いというのだ。
組み伏せられた母さんが、ちょっと眉をひそめた。目覚めるには至らなかったようだが、なにか夢を見ていたようで、小さく寝言を言った。
「カスト……」
微かながら、しかし確かに囁かれた俺の名前。その声が、吐息の艶がまるで男と睦み合う痴女そのものに聞こえてしまって、俺は興奮のあまりそのまま一番奥で射精した。
「……!」
「はあ、はぁ、は、はははっ」
胎内の違和感に、またちょっと母さんは身を捩る。一回目よりもずっと多い精液を母の子宮に流しこみ、近親相姦という大きすぎる禁忌を犯した俺はこの上なく満足していた。
二回射精してようやく落ち着いた俺は、慌てて母さんの衣服を元に戻し、できるだけ精液を清めた。床の汚れも拭き取り、自分でも驚くほど手際よく悪事の証拠を隠滅。
俺にレイパーの才能があるとは、思いたくなかった。
水を飲んで心を落ち着かせ、居間に戻ってみると、やはり母さんは眠ったままだった。着衣はさすがに乱れているが、まあ帰ってきた時の格好も酷かったし、どうにかごまかせるんじゃないだろうか。
そんなふうに甘く予想していた俺の名を、寝ている母さんがまた呼んだ。さっきの、交わりのさなか絶頂と共に男の名を呼んだ時のような声色とは全く違う、母が子を優しく慈しむような声。
それを聞いた瞬間、俺の脳裏に一つの考えが閃いた。
いくら泥酔していたからといって、強制的に手コキをさせられた上に生だしセックス、更に膣内射精を決められて、本当に女が眠ったままでいられるのか。
眠っている女の膣が、童貞でも容易く挿入できるほどに塗れそぼることなど、あるのか。
俺の名を呼んだあの声は、本当に寝言だったのか。
分からない。俺には、母さんのことなど何も分からない。
ただ一つはっきりしているのは、俺が今夜超えてはならない線を超えてしまったということと、もしまた同じような状況があれば、俺はきっと我慢できずに、ぐっすり眠った母さんを犯すだろうという事だけだった。
これから、俺たち親子はどうなるのだろうか。まだまだ明けそうもない夜、眠る気にもなれず、俺はずっと考えていた。
血の繋がらない息子を成人間近まで育ててくれたイオ母さんの恩に、どうすれば報いることが出来るだろうかと。
俺の母さんはサキュバス、淫魔である。しかしこの世界での常識として、魔物娘から人間は生まれない ー つまり、俺は母さんの義理の息子ということになる。
どういうことかというと、話は簡単。俺の実母は出産直後に亡くなったため、父は男手一つで赤子を三年ほど育て、その後イオ母さんと再婚したのだ。
その赤子が成長した姿である当の俺に、実母の記憶は全く残っていない。物心ついた頃には既に母さんが俺の家にいて、食事から教育まであらゆることを愛情いっぱいに、血の繋がらない息子へと施してくれた。その為、たとえ血の繋がりは無くとも彼女は俺にとって唯一無二の母親であると言える。
イオ母さんは旦那の連れ子である俺を手ひどく扱うこともなく、とても可愛がってくれた。魔物と人間の間には人間同士よりも子供ができにくいということもあって、俺は一人、父と継母の寵愛を独占することができたのだ。
そのまま家族三人仲良く暮らしていければよかったのだが、俺が十代半ばに差し掛かった頃事件が起こる。
父親が、教会軍と魔王軍の戦闘に巻き込まれて死んでしまったのだ。
サキュバスと何度となく交わり、恐らくインキュバスとなっていたであろう親父だが、それでも不死身という訳にはいかない。
故郷を焼かれ、一家の大黒柱を失い、俺と母さんは半ば呆然としていた。その時、自暴自棄になったりせず、魔王軍の庇護のもと平和な土地まで逃れていくことが出来たのは、確かにお互いの存在あってのことだったろう。
だが、定住の地を見つけてからもずっと、母として俺を守り、養い導いてくれたことには、俺は全面的にイオ母さんに借りがある。
淫魔として、男なしに生きていくのはとても辛いだろうに、母さんは再婚もせずに俺を育て上げてくれた。そのことについて俺はただひたすら感謝するしかない。
だから。
だから、何年経ってもちっとも汚れず、むしろ年を増すごとに艶とハリを増す母さんの肌や、子供に授乳したことも無い筈なのに、揉めばすぐにもミルクが吹き出そうなほど巨大に育ったおっぱいや、長年の家事と水仕事にも耐えて、未だ白く細く長く、完璧な美しさを保っている五指などを、よりによって息子が欲望に汚れた目で見ることなど、あってはならないのだ。
と、そんな軽い自己嫌悪に陥っていると、玄関の方から物音がした。
手荒く扉を開ける音と、壁か床に重いものがぶつかるような音がする。最近帰りが遅くなるといつもこうだ。
俺はコップに水を汲むと、母さんを迎えに行った。
「うう〜っ。く、苦しい……」
部屋を出て玄関口へ向かうと、果たしてそこには俯せになって倒れた母さんがいた。真っ赤な顔をして、なにか分けのわからぬことを呟き続けるその姿は、まさしく酔っ払い。
「あううう……もー、私の何が分かるってのよ……! 欲しいからもらう、とか、そんなんじゃにゃーのよ……!」
「母さん。ほら起きて。水だよ」
「っへ……? 水?」
「はいどうぞ。立てる?」
「う……カスト? うわ……ごめん、ね……私……」
顔を上げた母さんは俺の名を呼び、ひどく申し訳なさ気な表情をした。
確かに、ベロンベロンに酔って帰られるのは困る。昔は、親父が死んだ直後はそんなこともなかったのに、俺が年を重ね大人になっていくごとに、こういう騒がしいご帰宅が増えてきた。
しかし、だからといって俺が母さんを怒ったり、ましてや愛想を尽かす事などありえない。彼女こそ、俺にとって一番大事な恩人なのだから。
それに、熱気を逃がすために自分でやったのだろうか、白いブラウスの胸元が大きく開かれており、綺麗な肌や黒いブラジャーが垣間見え、とても色っぽいのだ。
と、まただ。義理とはいえ、母親、それも大恩あるイオさんに劣情を抱くなんて、いくら魔物とその社会が性的に自由だからといって到底許されることではない。
心の底でざわりと蠢いた何か不浄なものを無理に抑えこみ、俺は母さんに呼びかけた。
「いいからいいから。立てない? なら、肩を貸すから」
「ごめん、ね……ほんと、私って……」
水を飲み干し、なおもふらふらで息も絶え絶えな母さんを担ぎ、居間へと引っ張っていった。
すぐにでも寝かせてあげたいところだが、外出着のまま放っておくわけにも行かない。ひとまずソファーに酔っ払いを横たえ、楽にしてもらう。
コップを台所に置いて戻ってくると、胸元をはだけさせたまま母さんは眠ってしまっていた。
親父が死んで以来、母さんはサキュバスにしてはおとなしめな、露出度の少ない格好をしていることが多い。
新しく夫を娶るつもりはないと周囲にアピールしているつもりなのかもしれないが、白いブラウスは前のボタンが3つほど外れブラジャーが丸見え、黒のタイトスカートはめくれ上がって中の黒いパンティーがチラ見えなどという状態では、裸よりもむしろ扇情的。
仰向けになって静かに寝息を立てている美女から、俺は目を離せなくなってしまった。胸元の大きな盛り上がり、ムチッとして美味しそうな太もも、微かに動いて呼吸を示唆する白い喉が、俺の網膜に焼き付いてしまったかのようだ。
「母さん」
半ば無意識的にそう呼びかけると、眼下の義母は小さく呻いた。喉の奥から搾り出すような熱気を孕んだ吐息はまるで喘ぎ声のようで、興奮のあまり俺はまた全身が粟立つのを感じた。
ソファーのそば、床に膝をつき俺は母さんを見下ろす。
運んでいる最中にボタンが外れたのだろうか、大きく開かれた胸元は白い服と黒い下着のコントラストが強烈で、しばらく見ているともう手を触れたくて触れたくて狂いそうになってくる。
手を伸ばし、ブラと胸の間に指を差し入れんとして初めて、俺は自分のしようとしていることに気づいた。
若く美しい豊満な美女が、泥酔して意識を失っている。これがもし、血の繋がらない他人同士だったならば、俺が今からしようとしていることも、あるいは状況によっては許され得るかもしれない。
しかし、どんなに美しくても、義理の関係であっても、相手は母親なのだ。それも一朝一夕の間柄ではない、幼い頃からずっと俺の成長を見守って、優しく育ててくれた母さんなのだ。それを、俺は今どうしようとした。
理性の力を振り絞って右手を止める。持ち主の言うことも聞かず、猛る欲望のままにその母性の塊を揉みしだいてしまいたいと手が叫ぶ。どうにか自分を抑えこみ、手を下ろしたときに初めて俺は自分の陰茎が勃起しているのを知った。
「母さん……!」
規則正しく上下する胸元から、汗が艶めかしく匂い立つ。もう長いこと、誰にも触らせていないであろう乳房は、黒い布の下から若い男を誘い、惑わせる。ブラの鮮烈な色から必死の思いで眼を背けた時、微かに母さんが身動きした。
その時。ソファーから床へだらりとたらされていた母さんの左腕が、ちょっと動いた。イオさんのすぐ近くで膝立ちになっていた俺の股間へ、細い二の腕が僅かに擦れる。ズボン越しに与えられる感触が強烈すぎて、俺は思わず下着の中で射精してしまいそうだった。
「う……!」
もうだめだ。このままじゃ生殺しだ。せめて、一度精液を出して欲望を鎮めなければ俺は今夜眠ることすらできない。
イオ母さんの意識が無いのを良い事に、俺は衝動的にズボンとパンツを下ろして、下半身丸出しになってしまった。
衣服の拘束から解放された肉棒は、どんなエロ本を読んだ時よりも激しく膨張し、硬くなっている。透明な先走りすら漏らすそれを、何でもいいからおとなしくさせねば。
横たわった淫魔をおかずに、自分で扱くしか無いかと最初は思った。が、小さな頃から何度も俺の頭を撫でてくれた母さんの左手を見ると、俺はもう意識をその綺麗な手から反らせなくなってしまった。
いくら眠っているといっても、相手はサキュバス。男の精を肌に塗り込められたら目覚めるんじゃないだろうかと理性は警告する。が、頭の中に流れる赤黒い血の鳴る音がうるさすぎて、そんな声など聞こえない。
バレたらバレた時、いやむしろバレてしまいたい、そうすれば、毎日毎日極上の女と寝食を共にしながら愛しあうことも出来ない、今のこの地獄のような状況から逃れられる。捨鉢な本能の囁きに、俺は身を任せた。
右手で母さんの手を取り、ガチガチになった肉槍に添える。起こしてしまわないようにそっと彼女の指を取り、一本一本丹念に曲げて竿に絡ませる。女に手コキしてもらう時のように、イオ母さんの手に俺の醜悪なものを握らせた。
握らせたといっても、眠っている母さんが手を動かしてくれる道理は無い。俺はそのまま自慰と同じ要領で、母さんの手を持ったまま右手を上下させ始めた。
やっていることはオナニーと大差無い。思いのままに操れる自分の指で直接弄るのではなく、イオさんの手を介して間接的に扱いているのだから、実質的な快楽は特に大きくもない筈なのだが、実際の所、俺は眠れる美女の与える快楽に心を奪われ切っていた。
毎日の仕事に加え、「安い店屋物なんか、体に悪いよ」と言って、毎食とは言えないまでも心の籠った料理を作ってくれるのと同じ手が、今俺の性器を握りしめている。娼婦のように逆手で肉棒を掴み、ザーメンを搾り出そうとしている。
そんなふうに考えただけでも、背徳感と罪悪感でめまいを覚える程だ。してはいけないことをするのがこんなに楽しいなんて、実際にやった奴以外には決して理解出来ないことだろう。
もはや寝ている母さんを起こさないようにしよう、という最低限の配慮も忘れて俺はひたすら手を動かす。掴んだ母さんの手に自分のものを握らせ、手淫を強制する。
今よりずっと昔、一緒に風呂に入っていた頃よりもずっと大きくなった俺の男性器を見たら、果たして彼女は何というのだろうか。全く想像もできないまま、俺はただただこの背徳的なオナニーに耽った。
意識の無い他者の肉体を性処理道具として用いるという、ある意味では強姦に匹敵するほど卑劣なこの行為は、同じくらい激しく男を昂らせる。
しゅっしゅっという卑しい音を立てて母さんの手を使い続けていると、自分でしている時よりもずっと早く限界が来た。家を汚さないようにしようとか、母さんの服に掛けないようにしようという気すら起こらないまま、俺は手の動きを早めた。
忍耐の臨界を近くに迎えて、なお強く刺激された男性器は容易く本能に屈服する。今までに味わったことがない、強い射精の快楽が、実際の射精感よりも先に来た。
板張りの床にぶちまけられた濃い白濁液を見て、俺はようやく我に返った。
義理とはいえ、母親であるイオさんの手にちんこを扱かせて達するというこの最低な行為は、余りに心地良過ぎた。美女の掌を精液と我慢汁でベトベトに濡らして、自分たちの家まで汚してなお、俺の股間は収まらない。
はぁはぁと荒い息を吐きながら、俺は未だ衰えない欲望を持て余していた。一度出したというのに、どういうわけか全く小さくならないこの息子を、どう処理すれば良いというのだろうか。
手でダメなら、と考えると同時に、眠っている母さんがまた身じろぎした。両脚を少し開き、黒いタイトスカートが僅かにめくれ上がる。顕になった白い太ももと、その奥、黒いパンティーに隠された秘所を一旦眼にしてしまうと、また衝動が沸き起こった。
床も、母さんの手も白濁に汚したまま、俺はソファーに上がる。ゆっくりと黒いスカートへ手を差し込んで、腰の横、繊細な布で作られた下着を引きずり下ろす。
完全に脱がすのも煩わしく、足首の方まで下ろして右脚だけを抜いて、一層いやらしくなった母さんの腰を膝でまたぐ体勢を取る。
性を貪る淫魔の本能故か、手を触れてもいない陰唇は早くも濡れ始めていた。試しに指を触れさせてみると、潤った膣口がくちゅりと可愛らしい音を立てる。
受け入れる準備ができている、母さんのまんこが俺のものを入れていいと言っている、そんな妄想が俺の脳を支配した。片足にパンティーを引っ掛けて、まるで強姦された直後のようなイオさんに性欲が迸る。
まるで動物のように、息をすることも忘れた俺は一気に正常位で繋がった。
よほどたくさんお酒を飲んだのだろうか、股に男の性器、それも息子のものが入ってきているというのに、母さんは呻くばかりで覚醒しようとはしない。気をよくした俺は、若さに任せてそのままずぶずぶと腰を推し進め、愛しい母さんの膣肉を味わう。
もう長いこと使っていないはずなのに、母さんのおまんこはとても強く締まる。たっぷりの愛液を絡めた微細な襞が、何年ぶりかでやってきた男のモノを手荒く歓迎する。
ずっと自分の家にこれ以上ないほど美しい女の人が居たせいで、まともに女性経験の無い俺が一瞬で達してしまわなかったのは、さっき手でイかせてもらっていたからに他ならない。
射精した直後で敏感な肉棒には過酷すぎるほどの女性器を、本能に任せて割り進む。奥に行くほど狭くなり、刺激に弱い亀頭周辺を特に念入りに可愛がってくれる膣道に、もう病みつきだ。
イオ母さんの腰を手で押さえつけ、俺はガンガンに腰を振り始めた。長く保たそうとか、じっくりおまんこの甘い快楽を味わおうとか、そんな思考は吹っ飛んでいた。
ただ、自分をずっと愛して育ててくれた優しくて綺麗な母さんを犯したい、その獣じみた衝動だけで俺は生殖行動に励んだ。
一瞬正気を取り戻しかけたのは、二度目の限界が近くなってきてからだ。このまま勢い任せに腰を打ち付けていたら、またすぐに射精してしまうのは確実だが……いま愛してもらっているのは、手ではなく生殖器だ。濃いザーメンを中で思い切り出したりしたら、俺の子を孕ませてしまうのではなかろうか……。
そんな人間的な抑圧も、すぐに潰える。むしろ、世界で一番愛しい俺の母さんを妊娠させて、自分だけのものにしてしまうという想像が一層俺を奮い立たせる。バレるとかバレないとか言うなら、すでにもう取り返しの付かない所まで来て、生ハメセックスまでしてしまっている。このまま欲望を満たして、何が悪いというのだ。
組み伏せられた母さんが、ちょっと眉をひそめた。目覚めるには至らなかったようだが、なにか夢を見ていたようで、小さく寝言を言った。
「カスト……」
微かながら、しかし確かに囁かれた俺の名前。その声が、吐息の艶がまるで男と睦み合う痴女そのものに聞こえてしまって、俺は興奮のあまりそのまま一番奥で射精した。
「……!」
「はあ、はぁ、は、はははっ」
胎内の違和感に、またちょっと母さんは身を捩る。一回目よりもずっと多い精液を母の子宮に流しこみ、近親相姦という大きすぎる禁忌を犯した俺はこの上なく満足していた。
二回射精してようやく落ち着いた俺は、慌てて母さんの衣服を元に戻し、できるだけ精液を清めた。床の汚れも拭き取り、自分でも驚くほど手際よく悪事の証拠を隠滅。
俺にレイパーの才能があるとは、思いたくなかった。
水を飲んで心を落ち着かせ、居間に戻ってみると、やはり母さんは眠ったままだった。着衣はさすがに乱れているが、まあ帰ってきた時の格好も酷かったし、どうにかごまかせるんじゃないだろうか。
そんなふうに甘く予想していた俺の名を、寝ている母さんがまた呼んだ。さっきの、交わりのさなか絶頂と共に男の名を呼んだ時のような声色とは全く違う、母が子を優しく慈しむような声。
それを聞いた瞬間、俺の脳裏に一つの考えが閃いた。
いくら泥酔していたからといって、強制的に手コキをさせられた上に生だしセックス、更に膣内射精を決められて、本当に女が眠ったままでいられるのか。
眠っている女の膣が、童貞でも容易く挿入できるほどに塗れそぼることなど、あるのか。
俺の名を呼んだあの声は、本当に寝言だったのか。
分からない。俺には、母さんのことなど何も分からない。
ただ一つはっきりしているのは、俺が今夜超えてはならない線を超えてしまったということと、もしまた同じような状況があれば、俺はきっと我慢できずに、ぐっすり眠った母さんを犯すだろうという事だけだった。
これから、俺たち親子はどうなるのだろうか。まだまだ明けそうもない夜、眠る気にもなれず、俺はずっと考えていた。
11/12/18 17:50更新 / ナシ・アジフ