異端者の悦び
ある日のレスカティエ城。小腹の減った俺は一人、食料庫へ向かっていた。
デルエラ様の手によって街がまるごと魔界と化して以来、馴染みの女たちを集めたハーレムで合計9人の美女と愛し合う毎日だが、いくら俺がインキュバスだからといっても、食事も睡眠も取らずに一日中ずっと交わり続けているというわけではない。いや、たまにそういう日があることは否定しないが、そうでない日もあるのだ。例えば、今日のように。
特に最近では、むしろ、適度に休憩を入れて余分な体力消耗を避け、いざセックスするときには渾身の力を込め合う。そんなやり方が、俺達の間で主流となっていたのだ。
そんな訳で、側に誰も連れずのんびりと廊下を歩いていた俺の耳に、不意に聞き慣れた声が飛び込んできた。
向かって左手にある扉の向こう、元王族の私室にして現共用ベッドルーム第３４号室で、俺の女が二人して何やら言い争っているらしい。
なにも盗み聞きする趣味など持ち合わせていない。好奇心に駆られた俺は堂々と扉を開け、部屋に入っていった。
「よー。何してんだい」
「あ、旦那様ぁ」
そう言ってこちらに駆け寄ってきたのは今宵。元天才退魔師にして、漆黒の毛を持つ稲荷である。
彼女の向こうには、黒い剛毛に手脚を覆われたハーフエルフにしてハーフウルフ、プリメーラが立っていた。先ほど聞こえてきたやり取りはこの二人のものだったか、と得心行った俺に、今宵が語りかけてくる。
「何とか言ってやってぇよ旦那様。プリメーラさん、ひどいんよ」
「一体どうした。喧嘩か？」
種族レベルで独占欲が過剰にならないよう抑制されているのだろうか、魔物娘たちは一部の例外を除いて、一夫多妻制や一対複数の乱交も受け入れており、複数の妻を持ったくらいで不貞を詰られることは無い。
当然、黒き稲荷と化した今宵も他の女を排除して俺を独り占めしたいとか、邪魔な奴らを実力行使で追放したいとかは考えていないだろう。が、ウィルマリナにミミル、メルセにプリメーラにフランツィスカ、エロい三連星ことサーシャと二人の少女たちなど、俺の嫁たちは今宵を除いて皆、人間だった頃からの長い付き合いの者たちだ。
俺との、人間だった頃の記憶を共有している彼女らの中で、初めから魔物として我がハーレムに加入した彼女は、喩えるならば「大家族の中で、自分だけが血の繋がらない養子」であるかのような、軽い疎外感を感じていたのかもしれない。
今宵の見せる献身はウィルマリナ等古参の娘たちと比べても遜色無い、どころか時に彼女らを圧倒することすらあったが、それも彼女の寂しさから生まれたのだろうか。
このまま放っておいたら、良くない方へ精神を病んで、良くない凶行に及んでしまうかもしれない。
正直、今宵のような美人が俺を想う余りに暴走し、他の美女たちと血みどろの戦いを繰り広げる、という光景を見てみたいという気持ちは多少ある。
が、今宵に限らず、俺の嫁たちは皆魔物化することで一切の苦痛や苦悶から逃れてきた者たちだ。せっかく希望ある生を手に入れたその娘たちが、また嫉妬と憎悪の坩堝に突き落とされることなど、あってはならない。
そんな風に考えながら聞いた彼女の話をまとめると、こうである。
先日、性懲りも無くレスカティエにやってきた主神教聖騎士団の一軍を使って、今宵は新たなる魔力塊の実験をしようとしていたらしい。
多量の魔力を振りまくことでレスカティエ住民に恵みをもたらすその魔力塊は、デルエラ様から授かった力を行使することで、いつも今宵が作成している。元退魔師であるがゆえ、魔力の扱い方にかけては右に出る者は無い彼女は、頂いた技術をベースに更なる改良を考えていたらしい。
通常よりも効果の長持ちする新作、その試作版を完成させた今宵は、丁度良い具合に近くに来ていた聖騎士たちを実験台にしようとしていたのだと。
ところがそれに先んじて、何処からともなく現れたプリメーラが矢を放ち、やって来た女騎士たちの大半をワーウルフにしてしまったのだ。勿論聖騎士団には男性の方が多くいたのだが、脆弱で無思慮な人間どものこと、身内が突然魔物化しては、その秩序も戦意も瞬時に瓦解する。
散り散りになった男たちを、新生ワーウルフやその他の魔物があっさり捉えて持ち帰り、絶好のモルモットに出来る筈だった「聖騎士団」は消滅してしまったというのだ。
「今度人間さんが来はったら私に使わしてって、前から言ってたのに。何とか言ってやってぇやぁ」
主神勢力主力の一角たる聖騎士団が、まるで資源扱い。もうすっかり、レスカティエにおいて人間の武力は脅威として認知されなくなってしまっていた。
実際、レスカティエで「戦闘」と呼べる行為はデルエラ様が領主となって以来全くと言って良い程起こっていないのだから仕方ない。
時折どこからともなく勝手に突っ込んできては、突入する端から瘴気にやられてばたばた倒れていく阿呆共を掃除する作業を戦いなどと言ってしまっては、闘神アレスに怒られてしまう。農夫が鎌で作物を刈り取る光景のほうが、まだ闘争的だ。このままいけば、「戦争」とか「紛争」という概念そのものが消滅する日も、遠くはない筈だ。
話を戻そう。
今宵はプリメーラの行動に不服がある。当のプリメーラは、そんなもの知ったことかと言った感じで平然としている。恐らく俺が何か叱るようなことを言っても、今の彼女は聞かないだろう。
ならばどうすればいいか。群れの統率者に服従する本能を持つメス狼に言うことを聞かせるには、どうすればいいか。
決まっている。俺はプリメーラの手を取り、部屋を駆け出た。
「ちょ、ちょっと旦那様！？」
「心配するな！ 悪いようにはしない！」
今宵には反抗的な態度をとっていたプリメーラだが、俺にはちゃんとついてきてくれる。二人手を繋いで適当な空き部屋に入ると、黒い狼は眼をキラキラ光らせた。
「ねー。いきなりこんな人気の無いところに連れてきて、どういうつもりー？ 急に、ムラムラ来ちゃった？」
エルフのしなやかさとワーウルフの力強さを併せ持った、野性的な身体の美女がしなを作る。愛し合う男女が密室で二人きり、これから起こることなど一つしかないと十分に分かっているのだろう。
「プリメーラ。これからお前を調教する」
「調教！？」
おどろおどろしい言葉を、半獣人は至極嬉しそうに叫んだ。実際、ウルフ系の魔物娘にとって、調教とは即ちラブラブエッチのことに他ならない。
部屋の中央に置かれた大きなベッドを指さし、俺は言った。
「そうだ調教だ。だから、早くそこのベッドの上で四つん這いになるんだ」
言われた通りに、殊更従順になってプリメーラは寝台へ登る。薄くて面積の小さい衣をすぐに脱ぎ捨てると、這う体勢になってこちらを見上げる。その瞳には隠しようもない期待と欲望が光っていた。
「じゃあ、まずはお口でご奉仕しようか？ ちょうきょう、なんでしょ？」
「いや、やめておこう」
そう断ると、眼下の美女はたちまち失望に顔を曇らせる。全く俺の予想通りに。
いつでも何処でも、場所を選ばずズボンさえ下ろせばしゃぶってくれるフェラ好きの雌狼を、今日はちょっといじめてみたいのだ。不満に気づかない振りをして、俺は尻を突き上げた彼女の背後に回った。
「早速行くぞ。調教なんだから、容赦無しだぞ……っと」
俺とて、前戯をじっくりやって、モノを粘っこい唾液でネトネトにして貰って、一、二回女の喉に射精してからおもむろに嵌めたほうが気持ち良いのは分かっている。それでも敢えていきなり本番に移ったのは、餓えているからではない。
「うぅぅ……舐め舐め、させてくれないの？」
「後でな。今は駄目だ」
わざと冷酷を装い、背中に右手を置いてプリメーラの動きを制する。
制するといっても、かたやただのインキュバスで、かたやハーフウルフ。力の差は歴然、腕力だけで俺が彼女を圧倒できる筈も無いのだが、プリメーラの肉体に流れる狼の血が、群れのリーダーと認めた男への反抗を許さない。
今回はその、リーダーとしての地位というものを存分に堪能してみたくなった訳だ。
セックスしていない時でもプリメーラに言うことを聞かせられるようになれば、彼女の放つ矢をよりレスカティエのために役立てることができるだろう、というのがそもそもの発想だが、そういう公的な理由よりも、スレンダーな美女を焦らして泣き叫ぶまで愛撫を乞わせてみたい、という私的な理由の方がより大きい。
許せ今宵。
そういう訳で、ひとまず自分の快感までも犠牲にして、俺は半ば強引に挿入することにした。
なんだかんだ言ってやはり魔物娘、旦那のものを挿れられるのは嫌でないらしい。小さな声をあげて、肉の槍が胎内へと食い込んでいく感覚に手足を震わせる。
「あうっ……もっと、ゆっくりやってくれてもいいのにぃ……」
「言っただろう。これは調教なんだ。楽しいばかりじゃ、ないんだぞ」
そう言い捨てて俺は腰の前後運動を始める。普段のじっくりと楽しむときほどではないが、やはり膣内はしっかりと濡れており、乾いていた陰茎をじっとり湿らせて肉壷へ誘い込んでくれる。愛液を絡めて粘膜同士がこすれ合う感触は、何度楽しんでも飽きが来ない。
が、組み伏せたハーフウルフは俺の感じていない飢餓感に苛まれているようだった。唇の端から赤い舌を垂らし、荒い息をつきながら、バックで犯される快感による喘ぎ声とは明らかに異なる、苦鳴とも取れる鳴き声を漏らしている。
「ふうぅぅ……、あ、う、ねえ、ねええっ！」
「何だ？ もっと速く、して欲しいのか」
「ちが、違うの！ やっぱり先に、口で……」
「駄目だって言ってるだろう。まずは一回、こっちでイってからだ」
プリメーラのお尻を両手で鷲掴みにして、勝手知ったる女の穴を存分に楽しむ。いつもより愛液の量が少なめだが、そのせいで生じる強めの摩擦がまた何とも言えず心地良い。
パンパンと軽い音を立てながら機嫌よく膣道を掘り進んでいた俺だが、しかし彼女の方は性の快楽からは程遠い表情をしていた。速くも先走りが出てきそうなくらいに感じさせられている一方で、女の方は涙すら流して、俺に慈悲を乞う。
「ねえ、ねえ！ 意地悪しないでよ、おちんちん、しゃぶらせてよぉっ！」
「全く、プリメーラはエロいなあ。まだだって、言ってるだろうに」
「あっ、い、イジワル！ イジワルイジワル！ ペロペロさせてよ、精液飲ませてよぉ……」
極上の美女が、俺の臭いザーメンを飲みたがって狂乱している。そんな夢の様な光景に、俺は今までに無い程自分の肉棒が硬くなるのを感じた。海綿体の疼きに任せて、俺はガンガン腰を振り立て、腹這いになって尻だけを上に突き上げる、服従の体勢を取ったメス狼の肉壷を激しく犯した。
「仕方ないな。じゃあ、これからは俺の言うことを、何でも聞くか？」
「聞く聞く！ なんでも言う通りにするから、ペロペロさせて……」
「ふふ、いい子だな。でも、まずは一回中出ししてからなっ」
きゅぅぅん、と捨てられた子犬のような声をあげて悲しむプリメーラ。聞きたかった台詞が聞けて、俺の興奮は最高潮に達していた。
焦らされて弄ばれる彼女も、案外この調教を楽しんでくれているようだ。
それは彼女の半身たるワーウルフの特性に依るものなのかもしれないが、本当はハーフエルフとして、長い期間寄る辺無き暮らしを続けてきた彼女の生い立ちに由来するものではないかとも思えた。
人の群れにもエルフの群れにも受け入れてもらえず、彼女自身に何ら罪は無いのにもかかわらず、生まれながらの異端者として、森と都市の境でずっと孤独に耐えてきたプリメーラ。
彼女にとって、所属と承認の欲求は、時に生存に必須の要求である食欲や睡眠欲すら上回るものであっただろう。寂しがり屋で甘えん坊の、可愛いハーフエルフの女の子。
魔界都市レスカティエで、俺のハーレムに参入して以来彼女はいつも楽しそうだった。かつて教団の使い走りをやってた時にはなかなか見られなかった笑顔も、ここでは毎日のように披露してくれる。はぐれ者として生まれた彼女にとってが、孤独な自由よりももっと強く求めていたものが、ここにはあるのだ。
侵入者に矢を放ったとか言うのも、彼女なりにデルエラ様や俺の役に立ちたいと思ったからなのだろうか。だとすると、あまりくだくだしい事を言わずラブラブ調教エッチに持ち込んだのは正解だったようだ。
と、そんなことを考えている間にもう限界が近づいてきた。ピストン運動を早めて、混血狼を孕ませるべく子宮の奥へ思い切り肉槍を突き入れる。
「もう、そろそろ、射精するぞ……！ ちゃんと子宮に注いでやるから、しっかりイきな」
「わふぅ……！ せーし、せーし、のみたぁい……！ のど、かわいたぁ……！」
強要された快感と恍惚に、プリメーラは口を半開きにして涎を垂らし、舌すら覗かせたどこまでも淫蕩な、だらしない表情を浮かべている。アヘ顔４，５歩手前、と言った感じの最高にいやらしい美女の顔に欲望が爆発し、俺は一気にストロークすることで強制的にフィニッシュへ持ち込むことにした。
膣と子宮口の境辺り、一際狭くなった部分にカリ首が擦れ、気を抜きかけた瞬間。特濃子種汁が細身な彼女の胎内にぶちまけられた。
「……！ ふぅ、ふ、うぅぅ……！」
なんだかんだ言ってもやはり魔物娘、膣内射精 受精エッチの快楽には耐えられないらしい。焦点の合わない瞳で、意味の分からない喘ぎと共に激しく息をして、黒毛に覆われた逞しい手脚をピクピクと震わせている。
全身の力を抜いてまるで人形のようになったプリメーラから手を離して、俺は陰茎を抜いた。張り出たカリ首に引っ掛かって掻き出された精液がまんこの奥から逆流して、膣口周りを白く汚す。
僅かな陰毛とたっぷりのザーメンに覆われた女性器の、そのあまりの卑猥さに目を奪われていると、相変わらずぼうっとした感じのプリメーラが、ベッドに膝をついた体勢のままこちらに向き直ってきた。
「あ、おちんちん、どろどろ。……お掃除、するね」
こっちの答えも聞かず、未だ中出しのエクスタシーから復帰し切っていない様子のワーウルフは身を寄せる。両脚を投げ出して座った俺の、その脚の間に割って入り、身体を倒して股間に顔を近づける。精液と愛液の強い匂いを鼻に吸い込んで、彼女は一気に口を開いて竿を飲み込んだ。
「あぐうっ……！ ふ、ほふ、ちゅるるる……！」
唇の端から粘ついた唾液を垂れ流しながら、プリメーラは無心に口唇奉仕し始めた。
いきなり全部飲み込んでディープスロートするか、と思いきやさにあらず、竿の中程までを口に含み、舌で裏筋を舐めながら窄めた口と唇で亀頭の辺りを重点的に刺激してきた。
鋭い歯が敏感な所にぶつかってしまわないよう注意を払いながらも、彼女はその飢えと衝動によって激しく肉棒を貪る。溢れ出した涎で、ぶぽっぶぽっと下品な音を出しながら尿道をストローに見立てた強烈なバキューム。魂ごと吸い尽くされそうな激しすぎる快感に思わずシーツを掴むと、見下ろした先の女がニンマリ笑った。
「ぇろぇろ……ちゅぅぅぅっ……！ ね？ わらひのおくひ、きもひいーれしょ……？」
「え、あ、ああ、最高だよ。もっとぺろぺろ、してくれ」
「くくく、もう、えっひなんらから……あむっ、うちゅちゅちゅ……！」
「！！」
狼エルフが鈴口から溢れ後ろへ引き、頬の裏でカリ首を擦る。舌先で尿道口をほじり、内側からも男性器を愛撫する。ひょっとこのように卑猥に歪んだ表情でじっと顔を見上げられると、俺は自分の首筋がチリチリと熱くなるのを感じた。
上目遣いのまま、プリメーラは激しく頭を前後に振り立て始めた。大量の唾が潤滑液のような役割を果たし、紅く小さな唇がまるで膣のような締め付けと滑りと摩擦をもたらす。同時に、舌は裏筋から先端までをつつっと舐め上げ、だらだらと流れ出るカウパー氏腺液を喉に送り込む。じゅぽじゅぽと水音を立てて、上顎が亀頭に当たるくらいの適度な深さまで飲み込んでは頭を引き、唾液に塗れた部分が外気の冷たさを感じるより速く再び口へ含む。
どこまでも献身的で愛情に満ち溢れていて、しかもそれでいて暴力的なフェラチオ奉仕に、俺はもう屈服していた。
「じゅじゅっ、ちゅっ、れろれろ……ねー、きもひいい？」
「いい、気持ちいいよプリメーラ。最高だ」
「うれひい……！ らあ、もっとひてあげるっ」
咥えたまま喋られると、舌の複雑な動きが陰茎に逐一伝わって、もう腰が砕けそうな思いをする。
背筋を這い登って脳まで侵食する妖しい感覚が俺を支配していく。改めて、ハーレムの主とは女たちの従僕と紙一重であるのだと実感させられる。
奴隷と主人、のような、一方的な関係ではない。俺が女を強く求める程に、女の方も激しく欲情し、生活のあらゆる瞬間から孤独が排除されていく。大げさでなく、もうお互いなしでは生きていけない体となった俺たちは、肉体と精神を共に鎖で繋ぎあった関係も同然。
そんな、自分よりも大事な相手に敏感な男性器を長い舌でべろべろと舐めしゃぶられて、そう長く耐えられる道理は無い。本当はもう少し耐えて、じっくりと彼女の熱心な口技と献身を味わっていたかったのだが、カリ首の下辺りを舐められて思わず射精しそうになって何とか踏みとどまった所を思い切り吸引されると、どうにもならなかった。
勝ち誇り、男を感じさせる満足感に酔い切った性的上位者そのものの瞳で、プリメーラは顔を見上げてくる。その彼女の口の中に、俺は大量の精液を放った。
「んぐぐっ……はふ、えるる……ん、こくっ……！」
物も言わず、目を軽く閉じて口淫狼はザーメンを口で受け止める。どろどろして粘性の高い子種汁を、うまい具合に舌を使って喉奥へ送り込んで味わっているのがはっきりと分かる。
白く、意外と細い喉が上下に動く度、あの中を俺の精子が通っているのだということをまざまざと感じさせられ、背徳的な快感と歪んだ独占欲が海綿体を充血させ続ける。
４，５回に分けて精飲して、しかしプリメーラは口を股間から離さない。どころか、飲みきれなかった精液を唇と男根の合間から零しながら、激しく、それでいて何処かもどかしげにフェラチオを続行してきた。
今までに無いその熱心な様子と、射精直後の肉棒を更にしゃぶられるという異次元の感覚に、俺の身体は硬直する。苦痛一歩手前の苛烈な快感にたまらず悲鳴を上げたが、暴走したエロフは聞く耳を持たない。
唾と精液の混じり合った白っぽい汚液を口から垂れ流し、精を取り込むという淫魔の存在意義すら忘れてしまったかのような様子でプリメーラは更に深く、男性器の根元まで一気に飲み込んできた。
彼女の小さい口は、インキュバスの立派な生殖器を容易に収められない。口腔を肉棒で満たし、喉の奥まで亀頭を届かせて、それでも彼女は吸引を緩めない。
白く柔らかい頬に醜い男根の形状が微かに浮かび上がり、その中で施されている奉仕の激しさを示唆する。舌と唇と口で与えられる快楽に咥え、卑猥な光景を通じて視覚からも男を感じさせる彼女の口淫はどこまでも抗いがたい。
汗と我慢汁をズルズル啜りながら、プリメーラはヘッドバンギングをし始めた。
先程までとは違い、今回のフェラチオは一回頭を振るごとに竿の根元までググっと咥え込み、口だけでなく喉の方までも使って男性器全体に大きな刺激を加えるものだ。
竿全体を往復している筈なのに、頭を一回振るのに掛かる時間はさっきまでよりもむしろ早くなっている。それだけプリメーラが興奮しているのだろうか、と考えただけでも、背筋がゾクゾクする程興奮させられた。
それなりに大きいインキュバスの男根を、女性らしい、大き過ぎないお口が無理やり飲み込み、奥で喉頭の肉が亀頭に当たってコツコツする感覚は今までに無かったもので、改めて魔物の性戯の凄まじさを思い知らされる。
「はあ、はあ……！ プ、プリメーラ……！」
「うぅぅ……！ は、あむ、ずるるっ…… んん、あふ…… ず、ちゅぱ、ちゅぅぅっ……！」
俺の声すら聞こえなくなったか、熱中し過ぎた感じのハーフエロフは無心に男のモノをしゃぶり続ける。人間ならば確実に、えづいたり咳き込んだりでフェラチオどころではなくなるだろう、それくらいに深く激しく彼女は一気に男性器を口に収め、休む間も与えず引き戻し吸引と摩擦に依る快楽を捧げてくる。頭を引くときに、時折ちらりとこちらを見やるその表情が、大きな棒を咥えて歪んだ端正な顔立ちが余りにも卑猥すぎて、首筋の毛が一気に逆立つ。
「はっ、あ、う、これ、おいひい……！ おひんひん、おいひいよぉ……！」
「う、美味い、のか？」
「うん、うん、べとべとおひんひん、にがくて、とっへもおいひい……！ これすき、らいすきぃ！」
まさしく貪るように、プリメーラはその口で俺の精を絞りとる。何度も何度も裏筋を舌で舐め上げられ、尿道を吸われカリ首を上下の唇で挟まれていると、すぐに我慢がならなくなる。
限界を感じた俺は、衝動的に彼女の頭を掴んだ。
根元までを口に含み、喉奥まで肉棒で一杯にしたプリメーラの小さな頭を両手で捉え、逃げられないように固定。解放を求めてびくびく震える陰茎を奥の奥まで挿し込み、食道の入り口まで亀頭を届かせ、一気に欲望を解放した。
「出す、射精するぞプリメーラ……！ 一杯、飲めっ……！」
「んぐうぅぅぅっ！？ う、ごふっ……！ ふ、ぁ、ん、ぐぐっ…… ん、こく、ん……」
イラマチオのような、無理矢理な口内射精をハーフウルフは喜んで受け入れてくれる。口の奥に直接注がれた白濁粘液を、出される端から飲み込み、食べて胃へ送り込んでいく。
上下の唇で竿の根元を軽く圧迫し、尿道に残った精液もしっかり搾り出して味わってくれる献身的な彼女がとても愛しい。両手で頭を掴んだまま掌で耳を塞いでやると、精液を飲み込む水音が頭蓋の中で響くのだろうか、殊更にうっとりとした表情を見せてくれた。
男の大事な部分を口で弄ばれ、半ば強制的に射精させられるというのはある意味では屈辱的なことなのかもしれないが、俺はそれに嫌悪感を覚えることはなかった。
プリメーラと同じく、俺だって従属したいのだ。たった一人で生きるだけの自由など、必要無いのだ。
ならば俺は、愛する女たちを皆支配しよう。彼女たちに俺を支配してもらうために。
しがらみも悩みも苦悶も無く、互いのことだけを想い合える滅私の輪は、ここレスカティエに実現する。その為に必要なものは全て、我らが愛しき第四王女、デルエラ様が用意してくれている。
この一生を魔界の内のみで過ごすことを、俺はひたすら願い続けていた。
デルエラ様の手によって街がまるごと魔界と化して以来、馴染みの女たちを集めたハーレムで合計9人の美女と愛し合う毎日だが、いくら俺がインキュバスだからといっても、食事も睡眠も取らずに一日中ずっと交わり続けているというわけではない。いや、たまにそういう日があることは否定しないが、そうでない日もあるのだ。例えば、今日のように。
特に最近では、むしろ、適度に休憩を入れて余分な体力消耗を避け、いざセックスするときには渾身の力を込め合う。そんなやり方が、俺達の間で主流となっていたのだ。
そんな訳で、側に誰も連れずのんびりと廊下を歩いていた俺の耳に、不意に聞き慣れた声が飛び込んできた。
向かって左手にある扉の向こう、元王族の私室にして現共用ベッドルーム第３４号室で、俺の女が二人して何やら言い争っているらしい。
なにも盗み聞きする趣味など持ち合わせていない。好奇心に駆られた俺は堂々と扉を開け、部屋に入っていった。
「よー。何してんだい」
「あ、旦那様ぁ」
そう言ってこちらに駆け寄ってきたのは今宵。元天才退魔師にして、漆黒の毛を持つ稲荷である。
彼女の向こうには、黒い剛毛に手脚を覆われたハーフエルフにしてハーフウルフ、プリメーラが立っていた。先ほど聞こえてきたやり取りはこの二人のものだったか、と得心行った俺に、今宵が語りかけてくる。
「何とか言ってやってぇよ旦那様。プリメーラさん、ひどいんよ」
「一体どうした。喧嘩か？」
種族レベルで独占欲が過剰にならないよう抑制されているのだろうか、魔物娘たちは一部の例外を除いて、一夫多妻制や一対複数の乱交も受け入れており、複数の妻を持ったくらいで不貞を詰られることは無い。
当然、黒き稲荷と化した今宵も他の女を排除して俺を独り占めしたいとか、邪魔な奴らを実力行使で追放したいとかは考えていないだろう。が、ウィルマリナにミミル、メルセにプリメーラにフランツィスカ、エロい三連星ことサーシャと二人の少女たちなど、俺の嫁たちは今宵を除いて皆、人間だった頃からの長い付き合いの者たちだ。
俺との、人間だった頃の記憶を共有している彼女らの中で、初めから魔物として我がハーレムに加入した彼女は、喩えるならば「大家族の中で、自分だけが血の繋がらない養子」であるかのような、軽い疎外感を感じていたのかもしれない。
今宵の見せる献身はウィルマリナ等古参の娘たちと比べても遜色無い、どころか時に彼女らを圧倒することすらあったが、それも彼女の寂しさから生まれたのだろうか。
このまま放っておいたら、良くない方へ精神を病んで、良くない凶行に及んでしまうかもしれない。
正直、今宵のような美人が俺を想う余りに暴走し、他の美女たちと血みどろの戦いを繰り広げる、という光景を見てみたいという気持ちは多少ある。
が、今宵に限らず、俺の嫁たちは皆魔物化することで一切の苦痛や苦悶から逃れてきた者たちだ。せっかく希望ある生を手に入れたその娘たちが、また嫉妬と憎悪の坩堝に突き落とされることなど、あってはならない。
そんな風に考えながら聞いた彼女の話をまとめると、こうである。
先日、性懲りも無くレスカティエにやってきた主神教聖騎士団の一軍を使って、今宵は新たなる魔力塊の実験をしようとしていたらしい。
多量の魔力を振りまくことでレスカティエ住民に恵みをもたらすその魔力塊は、デルエラ様から授かった力を行使することで、いつも今宵が作成している。元退魔師であるがゆえ、魔力の扱い方にかけては右に出る者は無い彼女は、頂いた技術をベースに更なる改良を考えていたらしい。
通常よりも効果の長持ちする新作、その試作版を完成させた今宵は、丁度良い具合に近くに来ていた聖騎士たちを実験台にしようとしていたのだと。
ところがそれに先んじて、何処からともなく現れたプリメーラが矢を放ち、やって来た女騎士たちの大半をワーウルフにしてしまったのだ。勿論聖騎士団には男性の方が多くいたのだが、脆弱で無思慮な人間どものこと、身内が突然魔物化しては、その秩序も戦意も瞬時に瓦解する。
散り散りになった男たちを、新生ワーウルフやその他の魔物があっさり捉えて持ち帰り、絶好のモルモットに出来る筈だった「聖騎士団」は消滅してしまったというのだ。
「今度人間さんが来はったら私に使わしてって、前から言ってたのに。何とか言ってやってぇやぁ」
主神勢力主力の一角たる聖騎士団が、まるで資源扱い。もうすっかり、レスカティエにおいて人間の武力は脅威として認知されなくなってしまっていた。
実際、レスカティエで「戦闘」と呼べる行為はデルエラ様が領主となって以来全くと言って良い程起こっていないのだから仕方ない。
時折どこからともなく勝手に突っ込んできては、突入する端から瘴気にやられてばたばた倒れていく阿呆共を掃除する作業を戦いなどと言ってしまっては、闘神アレスに怒られてしまう。農夫が鎌で作物を刈り取る光景のほうが、まだ闘争的だ。このままいけば、「戦争」とか「紛争」という概念そのものが消滅する日も、遠くはない筈だ。
話を戻そう。
今宵はプリメーラの行動に不服がある。当のプリメーラは、そんなもの知ったことかと言った感じで平然としている。恐らく俺が何か叱るようなことを言っても、今の彼女は聞かないだろう。
ならばどうすればいいか。群れの統率者に服従する本能を持つメス狼に言うことを聞かせるには、どうすればいいか。
決まっている。俺はプリメーラの手を取り、部屋を駆け出た。
「ちょ、ちょっと旦那様！？」
「心配するな！ 悪いようにはしない！」
今宵には反抗的な態度をとっていたプリメーラだが、俺にはちゃんとついてきてくれる。二人手を繋いで適当な空き部屋に入ると、黒い狼は眼をキラキラ光らせた。
「ねー。いきなりこんな人気の無いところに連れてきて、どういうつもりー？ 急に、ムラムラ来ちゃった？」
エルフのしなやかさとワーウルフの力強さを併せ持った、野性的な身体の美女がしなを作る。愛し合う男女が密室で二人きり、これから起こることなど一つしかないと十分に分かっているのだろう。
「プリメーラ。これからお前を調教する」
「調教！？」
おどろおどろしい言葉を、半獣人は至極嬉しそうに叫んだ。実際、ウルフ系の魔物娘にとって、調教とは即ちラブラブエッチのことに他ならない。
部屋の中央に置かれた大きなベッドを指さし、俺は言った。
「そうだ調教だ。だから、早くそこのベッドの上で四つん這いになるんだ」
言われた通りに、殊更従順になってプリメーラは寝台へ登る。薄くて面積の小さい衣をすぐに脱ぎ捨てると、這う体勢になってこちらを見上げる。その瞳には隠しようもない期待と欲望が光っていた。
「じゃあ、まずはお口でご奉仕しようか？ ちょうきょう、なんでしょ？」
「いや、やめておこう」
そう断ると、眼下の美女はたちまち失望に顔を曇らせる。全く俺の予想通りに。
いつでも何処でも、場所を選ばずズボンさえ下ろせばしゃぶってくれるフェラ好きの雌狼を、今日はちょっといじめてみたいのだ。不満に気づかない振りをして、俺は尻を突き上げた彼女の背後に回った。
「早速行くぞ。調教なんだから、容赦無しだぞ……っと」
俺とて、前戯をじっくりやって、モノを粘っこい唾液でネトネトにして貰って、一、二回女の喉に射精してからおもむろに嵌めたほうが気持ち良いのは分かっている。それでも敢えていきなり本番に移ったのは、餓えているからではない。
「うぅぅ……舐め舐め、させてくれないの？」
「後でな。今は駄目だ」
わざと冷酷を装い、背中に右手を置いてプリメーラの動きを制する。
制するといっても、かたやただのインキュバスで、かたやハーフウルフ。力の差は歴然、腕力だけで俺が彼女を圧倒できる筈も無いのだが、プリメーラの肉体に流れる狼の血が、群れのリーダーと認めた男への反抗を許さない。
今回はその、リーダーとしての地位というものを存分に堪能してみたくなった訳だ。
セックスしていない時でもプリメーラに言うことを聞かせられるようになれば、彼女の放つ矢をよりレスカティエのために役立てることができるだろう、というのがそもそもの発想だが、そういう公的な理由よりも、スレンダーな美女を焦らして泣き叫ぶまで愛撫を乞わせてみたい、という私的な理由の方がより大きい。
許せ今宵。
そういう訳で、ひとまず自分の快感までも犠牲にして、俺は半ば強引に挿入することにした。
なんだかんだ言ってやはり魔物娘、旦那のものを挿れられるのは嫌でないらしい。小さな声をあげて、肉の槍が胎内へと食い込んでいく感覚に手足を震わせる。
「あうっ……もっと、ゆっくりやってくれてもいいのにぃ……」
「言っただろう。これは調教なんだ。楽しいばかりじゃ、ないんだぞ」
そう言い捨てて俺は腰の前後運動を始める。普段のじっくりと楽しむときほどではないが、やはり膣内はしっかりと濡れており、乾いていた陰茎をじっとり湿らせて肉壷へ誘い込んでくれる。愛液を絡めて粘膜同士がこすれ合う感触は、何度楽しんでも飽きが来ない。
が、組み伏せたハーフウルフは俺の感じていない飢餓感に苛まれているようだった。唇の端から赤い舌を垂らし、荒い息をつきながら、バックで犯される快感による喘ぎ声とは明らかに異なる、苦鳴とも取れる鳴き声を漏らしている。
「ふうぅぅ……、あ、う、ねえ、ねええっ！」
「何だ？ もっと速く、して欲しいのか」
「ちが、違うの！ やっぱり先に、口で……」
「駄目だって言ってるだろう。まずは一回、こっちでイってからだ」
プリメーラのお尻を両手で鷲掴みにして、勝手知ったる女の穴を存分に楽しむ。いつもより愛液の量が少なめだが、そのせいで生じる強めの摩擦がまた何とも言えず心地良い。
パンパンと軽い音を立てながら機嫌よく膣道を掘り進んでいた俺だが、しかし彼女の方は性の快楽からは程遠い表情をしていた。速くも先走りが出てきそうなくらいに感じさせられている一方で、女の方は涙すら流して、俺に慈悲を乞う。
「ねえ、ねえ！ 意地悪しないでよ、おちんちん、しゃぶらせてよぉっ！」
「全く、プリメーラはエロいなあ。まだだって、言ってるだろうに」
「あっ、い、イジワル！ イジワルイジワル！ ペロペロさせてよ、精液飲ませてよぉ……」
極上の美女が、俺の臭いザーメンを飲みたがって狂乱している。そんな夢の様な光景に、俺は今までに無い程自分の肉棒が硬くなるのを感じた。海綿体の疼きに任せて、俺はガンガン腰を振り立て、腹這いになって尻だけを上に突き上げる、服従の体勢を取ったメス狼の肉壷を激しく犯した。
「仕方ないな。じゃあ、これからは俺の言うことを、何でも聞くか？」
「聞く聞く！ なんでも言う通りにするから、ペロペロさせて……」
「ふふ、いい子だな。でも、まずは一回中出ししてからなっ」
きゅぅぅん、と捨てられた子犬のような声をあげて悲しむプリメーラ。聞きたかった台詞が聞けて、俺の興奮は最高潮に達していた。
焦らされて弄ばれる彼女も、案外この調教を楽しんでくれているようだ。
それは彼女の半身たるワーウルフの特性に依るものなのかもしれないが、本当はハーフエルフとして、長い期間寄る辺無き暮らしを続けてきた彼女の生い立ちに由来するものではないかとも思えた。
人の群れにもエルフの群れにも受け入れてもらえず、彼女自身に何ら罪は無いのにもかかわらず、生まれながらの異端者として、森と都市の境でずっと孤独に耐えてきたプリメーラ。
彼女にとって、所属と承認の欲求は、時に生存に必須の要求である食欲や睡眠欲すら上回るものであっただろう。寂しがり屋で甘えん坊の、可愛いハーフエルフの女の子。
魔界都市レスカティエで、俺のハーレムに参入して以来彼女はいつも楽しそうだった。かつて教団の使い走りをやってた時にはなかなか見られなかった笑顔も、ここでは毎日のように披露してくれる。はぐれ者として生まれた彼女にとってが、孤独な自由よりももっと強く求めていたものが、ここにはあるのだ。
侵入者に矢を放ったとか言うのも、彼女なりにデルエラ様や俺の役に立ちたいと思ったからなのだろうか。だとすると、あまりくだくだしい事を言わずラブラブ調教エッチに持ち込んだのは正解だったようだ。
と、そんなことを考えている間にもう限界が近づいてきた。ピストン運動を早めて、混血狼を孕ませるべく子宮の奥へ思い切り肉槍を突き入れる。
「もう、そろそろ、射精するぞ……！ ちゃんと子宮に注いでやるから、しっかりイきな」
「わふぅ……！ せーし、せーし、のみたぁい……！ のど、かわいたぁ……！」
強要された快感と恍惚に、プリメーラは口を半開きにして涎を垂らし、舌すら覗かせたどこまでも淫蕩な、だらしない表情を浮かべている。アヘ顔４，５歩手前、と言った感じの最高にいやらしい美女の顔に欲望が爆発し、俺は一気にストロークすることで強制的にフィニッシュへ持ち込むことにした。
膣と子宮口の境辺り、一際狭くなった部分にカリ首が擦れ、気を抜きかけた瞬間。特濃子種汁が細身な彼女の胎内にぶちまけられた。
「……！ ふぅ、ふ、うぅぅ……！」
なんだかんだ言ってもやはり魔物娘、膣内射精 受精エッチの快楽には耐えられないらしい。焦点の合わない瞳で、意味の分からない喘ぎと共に激しく息をして、黒毛に覆われた逞しい手脚をピクピクと震わせている。
全身の力を抜いてまるで人形のようになったプリメーラから手を離して、俺は陰茎を抜いた。張り出たカリ首に引っ掛かって掻き出された精液がまんこの奥から逆流して、膣口周りを白く汚す。
僅かな陰毛とたっぷりのザーメンに覆われた女性器の、そのあまりの卑猥さに目を奪われていると、相変わらずぼうっとした感じのプリメーラが、ベッドに膝をついた体勢のままこちらに向き直ってきた。
「あ、おちんちん、どろどろ。……お掃除、するね」
こっちの答えも聞かず、未だ中出しのエクスタシーから復帰し切っていない様子のワーウルフは身を寄せる。両脚を投げ出して座った俺の、その脚の間に割って入り、身体を倒して股間に顔を近づける。精液と愛液の強い匂いを鼻に吸い込んで、彼女は一気に口を開いて竿を飲み込んだ。
「あぐうっ……！ ふ、ほふ、ちゅるるる……！」
唇の端から粘ついた唾液を垂れ流しながら、プリメーラは無心に口唇奉仕し始めた。
いきなり全部飲み込んでディープスロートするか、と思いきやさにあらず、竿の中程までを口に含み、舌で裏筋を舐めながら窄めた口と唇で亀頭の辺りを重点的に刺激してきた。
鋭い歯が敏感な所にぶつかってしまわないよう注意を払いながらも、彼女はその飢えと衝動によって激しく肉棒を貪る。溢れ出した涎で、ぶぽっぶぽっと下品な音を出しながら尿道をストローに見立てた強烈なバキューム。魂ごと吸い尽くされそうな激しすぎる快感に思わずシーツを掴むと、見下ろした先の女がニンマリ笑った。
「ぇろぇろ……ちゅぅぅぅっ……！ ね？ わらひのおくひ、きもひいーれしょ……？」
「え、あ、ああ、最高だよ。もっとぺろぺろ、してくれ」
「くくく、もう、えっひなんらから……あむっ、うちゅちゅちゅ……！」
「！！」
狼エルフが鈴口から溢れ後ろへ引き、頬の裏でカリ首を擦る。舌先で尿道口をほじり、内側からも男性器を愛撫する。ひょっとこのように卑猥に歪んだ表情でじっと顔を見上げられると、俺は自分の首筋がチリチリと熱くなるのを感じた。
上目遣いのまま、プリメーラは激しく頭を前後に振り立て始めた。大量の唾が潤滑液のような役割を果たし、紅く小さな唇がまるで膣のような締め付けと滑りと摩擦をもたらす。同時に、舌は裏筋から先端までをつつっと舐め上げ、だらだらと流れ出るカウパー氏腺液を喉に送り込む。じゅぽじゅぽと水音を立てて、上顎が亀頭に当たるくらいの適度な深さまで飲み込んでは頭を引き、唾液に塗れた部分が外気の冷たさを感じるより速く再び口へ含む。
どこまでも献身的で愛情に満ち溢れていて、しかもそれでいて暴力的なフェラチオ奉仕に、俺はもう屈服していた。
「じゅじゅっ、ちゅっ、れろれろ……ねー、きもひいい？」
「いい、気持ちいいよプリメーラ。最高だ」
「うれひい……！ らあ、もっとひてあげるっ」
咥えたまま喋られると、舌の複雑な動きが陰茎に逐一伝わって、もう腰が砕けそうな思いをする。
背筋を這い登って脳まで侵食する妖しい感覚が俺を支配していく。改めて、ハーレムの主とは女たちの従僕と紙一重であるのだと実感させられる。
奴隷と主人、のような、一方的な関係ではない。俺が女を強く求める程に、女の方も激しく欲情し、生活のあらゆる瞬間から孤独が排除されていく。大げさでなく、もうお互いなしでは生きていけない体となった俺たちは、肉体と精神を共に鎖で繋ぎあった関係も同然。
そんな、自分よりも大事な相手に敏感な男性器を長い舌でべろべろと舐めしゃぶられて、そう長く耐えられる道理は無い。本当はもう少し耐えて、じっくりと彼女の熱心な口技と献身を味わっていたかったのだが、カリ首の下辺りを舐められて思わず射精しそうになって何とか踏みとどまった所を思い切り吸引されると、どうにもならなかった。
勝ち誇り、男を感じさせる満足感に酔い切った性的上位者そのものの瞳で、プリメーラは顔を見上げてくる。その彼女の口の中に、俺は大量の精液を放った。
「んぐぐっ……はふ、えるる……ん、こくっ……！」
物も言わず、目を軽く閉じて口淫狼はザーメンを口で受け止める。どろどろして粘性の高い子種汁を、うまい具合に舌を使って喉奥へ送り込んで味わっているのがはっきりと分かる。
白く、意外と細い喉が上下に動く度、あの中を俺の精子が通っているのだということをまざまざと感じさせられ、背徳的な快感と歪んだ独占欲が海綿体を充血させ続ける。
４，５回に分けて精飲して、しかしプリメーラは口を股間から離さない。どころか、飲みきれなかった精液を唇と男根の合間から零しながら、激しく、それでいて何処かもどかしげにフェラチオを続行してきた。
今までに無いその熱心な様子と、射精直後の肉棒を更にしゃぶられるという異次元の感覚に、俺の身体は硬直する。苦痛一歩手前の苛烈な快感にたまらず悲鳴を上げたが、暴走したエロフは聞く耳を持たない。
唾と精液の混じり合った白っぽい汚液を口から垂れ流し、精を取り込むという淫魔の存在意義すら忘れてしまったかのような様子でプリメーラは更に深く、男性器の根元まで一気に飲み込んできた。
彼女の小さい口は、インキュバスの立派な生殖器を容易に収められない。口腔を肉棒で満たし、喉の奥まで亀頭を届かせて、それでも彼女は吸引を緩めない。
白く柔らかい頬に醜い男根の形状が微かに浮かび上がり、その中で施されている奉仕の激しさを示唆する。舌と唇と口で与えられる快楽に咥え、卑猥な光景を通じて視覚からも男を感じさせる彼女の口淫はどこまでも抗いがたい。
汗と我慢汁をズルズル啜りながら、プリメーラはヘッドバンギングをし始めた。
先程までとは違い、今回のフェラチオは一回頭を振るごとに竿の根元までググっと咥え込み、口だけでなく喉の方までも使って男性器全体に大きな刺激を加えるものだ。
竿全体を往復している筈なのに、頭を一回振るのに掛かる時間はさっきまでよりもむしろ早くなっている。それだけプリメーラが興奮しているのだろうか、と考えただけでも、背筋がゾクゾクする程興奮させられた。
それなりに大きいインキュバスの男根を、女性らしい、大き過ぎないお口が無理やり飲み込み、奥で喉頭の肉が亀頭に当たってコツコツする感覚は今までに無かったもので、改めて魔物の性戯の凄まじさを思い知らされる。
「はあ、はあ……！ プ、プリメーラ……！」
「うぅぅ……！ は、あむ、ずるるっ…… んん、あふ…… ず、ちゅぱ、ちゅぅぅっ……！」
俺の声すら聞こえなくなったか、熱中し過ぎた感じのハーフエロフは無心に男のモノをしゃぶり続ける。人間ならば確実に、えづいたり咳き込んだりでフェラチオどころではなくなるだろう、それくらいに深く激しく彼女は一気に男性器を口に収め、休む間も与えず引き戻し吸引と摩擦に依る快楽を捧げてくる。頭を引くときに、時折ちらりとこちらを見やるその表情が、大きな棒を咥えて歪んだ端正な顔立ちが余りにも卑猥すぎて、首筋の毛が一気に逆立つ。
「はっ、あ、う、これ、おいひい……！ おひんひん、おいひいよぉ……！」
「う、美味い、のか？」
「うん、うん、べとべとおひんひん、にがくて、とっへもおいひい……！ これすき、らいすきぃ！」
まさしく貪るように、プリメーラはその口で俺の精を絞りとる。何度も何度も裏筋を舌で舐め上げられ、尿道を吸われカリ首を上下の唇で挟まれていると、すぐに我慢がならなくなる。
限界を感じた俺は、衝動的に彼女の頭を掴んだ。
根元までを口に含み、喉奥まで肉棒で一杯にしたプリメーラの小さな頭を両手で捉え、逃げられないように固定。解放を求めてびくびく震える陰茎を奥の奥まで挿し込み、食道の入り口まで亀頭を届かせ、一気に欲望を解放した。
「出す、射精するぞプリメーラ……！ 一杯、飲めっ……！」
「んぐうぅぅぅっ！？ う、ごふっ……！ ふ、ぁ、ん、ぐぐっ…… ん、こく、ん……」
イラマチオのような、無理矢理な口内射精をハーフウルフは喜んで受け入れてくれる。口の奥に直接注がれた白濁粘液を、出される端から飲み込み、食べて胃へ送り込んでいく。
上下の唇で竿の根元を軽く圧迫し、尿道に残った精液もしっかり搾り出して味わってくれる献身的な彼女がとても愛しい。両手で頭を掴んだまま掌で耳を塞いでやると、精液を飲み込む水音が頭蓋の中で響くのだろうか、殊更にうっとりとした表情を見せてくれた。
男の大事な部分を口で弄ばれ、半ば強制的に射精させられるというのはある意味では屈辱的なことなのかもしれないが、俺はそれに嫌悪感を覚えることはなかった。
プリメーラと同じく、俺だって従属したいのだ。たった一人で生きるだけの自由など、必要無いのだ。
ならば俺は、愛する女たちを皆支配しよう。彼女たちに俺を支配してもらうために。
しがらみも悩みも苦悶も無く、互いのことだけを想い合える滅私の輪は、ここレスカティエに実現する。その為に必要なものは全て、我らが愛しき第四王女、デルエラ様が用意してくれている。
この一生を魔界の内のみで過ごすことを、俺はひたすら願い続けていた。
11/11/30 09:24更新 / ナシ・アジフ