読切小説
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惜しみなく主導権は奪う
 「はぁむっ……じゅ、じゅるるっ、うちゅちゅ……! んぐ、ふ、くくっ……!」

 突然ですが、私は今、愛する下僕さんのおちんちんをしゃぶっています。
 壁際に立たされ、私のお口で吸い付かれ、苦悶の表情を浮かべているこの彼はカットル。私の元ご主人様にして、現使い魔の男性です。
 今まで私を使役する立場だったのに、立場を逆転され好き放題に搾られる立場へと落ちてしまった彼はその事実を受け入れられず、意地を張って、なかなか私の寵愛と求愛に応えようとしてくれません。
 そんな生意気な彼も可愛いんですが、精を貰えないのは困ります。そういう訳で、今日遂に私は実力行使することを決めました。まず始めに彼の心を折り、その上で素直になってもらおうという訳です。

「はあ、はぁ……! もう、いいかげんにしろ、ミリアン!」
「嫌ですよぅ。もっと精液、貰わなくちゃ。それにカットルだって、おちんちん舐められて気持ちいいんでしょう?」
「誰が、お前みたいなガキに!」
「ガキじゃないです。あなたのお陰で、結構育ったんですからね私も」

 カットルから沢山ザーメンを授かったお陰で、幼女っぽい見た目の下級淫魔だった私は目出度くクラスチェンジ。手足が長く、胸も大きな大悪魔へと進化できたのです。
 まあ元が元だったので、成長後の姿もムチムチ豊満のぽよよんぱややんボディ、というわけにはいかなかったんですが。生まれながらの妖婦たるサキュバスさんや、乳牛女のホルスタウロスさんなんかと比べると、まだまだ少女っぽい感じの残る身体だと自分でも分かります。
 人間で例えるならば、十代半ばといったところでしょうか。背丈や手足よりもおっぱいが優先的に成長してくれてロリ巨乳的な身体になれたのは、嬉しかったんですが。
 つるぺただった時と同じように、服も何も着ずただ上にリボンを巻きつけただけの胸にカットルの熱い視線を感じます。乳首以外はほとんど露出してしまっているこの大きな乳をつい見てしまうのは、男性ならば当然のことでしょう。
 ですが、今は私がお口でご奉仕しているのですから、そっちに集中してもらわないと困ります。
 腰に手を回し、亀頭を口に含んで唇で挟むと、身体を震わせたカットルがこちらを見ます。怯えのような哀願のような、曰く言いがたい表情が酷くそそります。
 可愛い喘ぎが聞けるかと思いましたが、意地を張った彼は下唇を噛んで、首を反らせて叫びを抑えてしまいました。蕩けた声が楽しめないのは残念でしたが、必死になって耐える何ともいじましい姿を拝めたので、まあよしとします。
 どのみち、先端を咥えられただけではぁはぁ言わされてしまっているカットルに、私の口技を耐えるなど不可能なのです。
 魔物という生き物を知らないわけでもない彼ならばその程度、もうそろそろいい加減分かりそうなものなのですが、恐らく男のプライドってやつが邪魔をしているのでしょう。その無駄な虚栄心を捨てて素直になってくれるまで、私は何度でもカットルを甘く責め立てるのです。
 口から尿道を吸い上げるように息を吸い込み、頬を凹ませて鈴口を刺激するとすぐに透明な先走りが漏れてきます。やや薄味なそれを賞味しながら、上下の唇を竿に密着させた私はゆっくりと彼の剛直を飲み込んでいきます。
 喉の奥から溢れる私の唾を男性器に塗り込めるように、口の中に入った肉棒を舌で舐め回し、複雑な形状の先っぽを丹念にお掃除。
 唇の端から漏れ出る唾で、殊更に卑猥な水音を立てながらじっくりお口で弄んであげると、抱きしめた身体から抗う意志が見る見るうちに抜け落ちていきます。
 こっそり見上げた目線の先には、早くもアヘりそうで、元使い魔に秒殺される屈辱に悶える顔がありました。
 そんな情けない様を見せられてしまっては、もうたまりません。じゅっぽじゅっぽと唾の音を鳴らして、一刻も早くイかせてあげたくなってしまいます。
 一際強く尿道口を吸引し、唇を突き出し頬を窄めて顔を卑猥に歪めて差し上げると、喉奥に届いたおちんちんがぴくっと震えました。
 どんなふうにすれば、どんなことをすればカットルが勃起するのか、淫魔たる私にはもう一から十まで分かってしまっているのです。こうすれば感じてくれそうだな、ということをすると、過剰なくらいに反応してびっくんびっくん震えてくれるので、本当に楽しくってなりません。
 
「おい、ミ、ミリアン……!」
「ぁ、もういきそうですか? 射精するのに合わせて、吸って欲しいんですか?」
「い、いや、離せっ……!」

 早速本日一発目の精液を賞味できるとあっては、首を降るのを止められません。頭を前後させて、喉奥の肉で亀頭を撫でるくらいの勢いでディープスロート。竿の根元から張り出たカリ首までを思い切りチュパチュパして、上目遣いで裏筋を一舐め。痙攣しかけた肉槍をちゅぅぅぅっと啜ってあげると、熱い液体が口の奥にぶちまけられました。

「……!」
「んっ……! ん、こく、んぐっ……! ぐ、くくっ、ごくくっ……!」

 待ちに待ったザーメンが、喉の奥に注がれます。その濃厚な味わいと芳醇な香りは、何度味わっても頭がくらくらするくらい魅力的です。竿をまるごと喉奥に咥え込み、カットルの股間に私の顔面を密着させる勢いで喉フェラ。両腕で彼の腰を抱え、逃げられないようにしてじっくりと精子を頂きます。
 口腔と咽頭の境界付近で、亀頭が跳ねて断続的に白濁を放っているのが分かります。外気に一度も触れない新鮮な子種が直接私の食道に注ぎ込まれ、淫魔の身体は深い満足感を得ます。
 男性器を口の中に捉えたまま、喉奥に張り付いた精液をじっくり飲み下していきます。ぷるぷるでゲル状のザーメンはちょっと飲み込みにくいですが、唾で薄めたりして折角の味わいを殺すのも嫌です。
 粘膜にまとわりつく白濁粘液を舌の先でこそげ取り少しづつ胃へと流し込んでいくと、強い精の匂いが喉から鼻へ抜けて、身体がカッと熱くなります。口から脳を犯されるようなこの感覚があるから、フェラチオは止められません。
 一頻り精飲し終わり、名残惜しさをこらえて私は口からおちんちんを離しました。唾と精液でベタベタなそれは、当然まだ固いままです。
 いくらでも美味しいスペルマを漏らしてくれる、愛しいおちんちん。次はどうやって可愛がってあげようかなあ、とちょっと思案の後、私は今までにしたことのない遊びを思いついてしまいました。
 膝立ちの体勢は変えず、少し背筋を伸ばすと私の頭がカットルのお臍くらいの高さになります。その状態で右腕を上げ、身体を密着させて脇を男性器に当てると、彼にも私の意図が飲み込めたようです。

「おい、ミリアン、まさか」
「はいそうです。次は私の脇で、射精させてあげます」

 これから責められるというのに、カットルはなにか釈然としないような、怪訝な顔をしています。淫魔の身体を、男の人を愛するために造られたこの肉体を、侮っているのでしょうか。
 右の腋窩に亀頭を添えて、腕を下ろしてきゅっと脇を締めると、その余裕ぶった表情はたちまち消えました。
 手や口ほどに繊細な動きが取れず、おっぱいほど柔らかくもない脇で挟まれて、なぜ感じてしまうのかカットル自身にも分かっていないようです。なぜも何も、淫魔とはそういうものだと私がさんざん教え込んであげたというのに、まだ分からないのでしょうか。
 亀頭の先っぽが少し背中の方へはみ出るような位置取りで、ぎゅっぎゅっと二の腕と胸部側面で竿を挟み込み、優しく擦り立てます。腕が軽く前後させてみると、腋窩の後ろ側、堤上の広背筋がカリ首に当たり、強い刺激をもたらします。
 しかし、物理的な刺激よりは、脇という普段性的な目的には使わない部位で射精させられてしまう、という背徳感の方が、より激しく彼を苛んでいるようです。ズリズリと二の腕を振り、腋窩の薄い皮膚に亀頭の熱を感じながら、殊更サディスティックに私は語りかけます。

「あれ、オチンチンがちがちになってる。なんでこんな所で擦られて、勃起させちゃうの?」
「知るかっ。いやそもそも、お前がこれをやり始めたんだろうが」
「でも、カットルが私の腋コキで感じてるのは事実じゃない。ねえ、どうしてなの? どんなふうに感じちゃうのか、私に教えて……?」
「馬鹿、言えるかそんなこと!」
「もう、イジワル。だったらこのまま、射精させちゃいますよ」

 もとより彼をイかせない選択肢などありません。汗で滑りが良くなってきたので、調子づいた私は更に激しく脇を締めました。
 頭上から、息を飲む音が聞こえてきます。やはりこのやり方が正しいのだと確信した私は、もう射精が待ちきれません。オッパイの横側をヌルヌル言わせながら、容赦なく腋コキの快感を摺り込んでいきます。
 すぐに、カットルの男性器から先走りが漏れてきました。このまま一気にイかせてあげたいのはやまやまなんですが、せっかくの精子をただ床に零すのはもったいない。少し身体の向きを変え、尿道口がちょうど私の脇下を向くように位置を調整し、そこからラストスパートです。
 彼が短く息を吸い込むと同時に、忍耐が折れるのが分かりました。それに合わせてきゅっと脇を閉めると、一拍置いて、先程の時からほとんど減っていない大量の精子が溢れました。

「ひゃっ」
「……!」

 火傷しそうなほどに熱い子種汁が、私の腋窩に撒き散らされます。粘度の高い精液はどろりと垂れ落ち、腕の下側全体を白く染めていきます。呆然としているカットルに向けて、私は微笑みました。

「いっぱい出ましたね。気持よかったですか? 変態さん」
「お前、お前……!」
「何ですか? 脇フェチのド変態さん。今度は左で、して欲しいんですか?」
「う、うるせぇ! お前のせいだろうが、変態とか、言うな!」
「変態さんは変態さんじゃありませんかぁ。おっぱいでもお口でもない、腕と脇に責められて射精するなんて、普通じゃ有り得ませんよぉ」

 気分の乗ってきた私は、あからさまに意地悪な言葉を吐いて見ました。
 これは少しやり過ぎだったようで、屈辱に顔を紅く染めたカットルは憤然として私を押し倒しました。意外な積極性に驚いている私に馬乗りになり、彼は怒張をおっぱいの谷間に差し入れてきます。

「調子に乗りやがって……! そんなに精液が好きなら、たっぷり掛けてやるよ!」

 そう言って、両手で胸を掴んで真ん中に挿れておちんちんにギュッと押し付けます。汗と精子の滑りに任せて、そのまま強引にパイズリを始めてしまいました。
 逆襲の手段として馬乗りパイズリを選んだのは、おまんこに入れてしまったら勝ち目が無いことを十分に分かっているから、でしょうか。立て続けに責められて正常な判断ができなくなっただけかもしれませんが、どちらにしてもオッパイ遊びは私も望むところです。
 手のひらサイズ、よりも幾分大きめの胸は、かつてまな板だった時と同じく、リボンとボタンによって留められています。ハリのある胸乳は、リボンに巻かれることで仰向けに寝転んでも左右に垂れ落ちることが無く、男の人が腰を振って男性主導でのパイズリを行うのに大変適した状態となってしまっています。
 そんな締りのいいおっぱいに、射精直後で敏感なオチンチンを擦りつけたらどうなるか。これはもう、敢えて言及するまでもないことでしょう。一転、攻勢に転じたつもりのカットルは早くもその柔らかさに魅了され、腰を振ると言うよりも振らされる、胸を犯すと言うよりも胸に犯されるといったほうがいい状態に陥っていました。

「はぁ、はぁ……お、おい、なんだよこれ……」
「おっぱいが、お好きなんでしょう? もっと激しく犯してみてくださいよ。ほらァ」

 虚ろな瞳で、憑かれたようにガンガン肉棒を突き込んでくる彼の姿は、もう堕ちきる所まで堕ちきった感じです。床に膝をついて腰を振る不安定な体勢にもかかわらず、カットルのものは私の胸からまるで吸い付いたように離れません。
 腕を軽く持ち上げて、二の腕で両の乳を横から挟んで圧迫すると、おちんちんに掛かる圧力が倍増します。私に報復しようとしていたことも忘れてしまったのでしょうか、ふわふわおっぱいの圧搾に魅了されたカットルは涎を垂らさんばかりの緩みきった表情で、馬鹿みたいにただひたすら腰を振りたてます。

「もう、だらしない顔して。そんなの見せられたら、もっともっと気持ちよくしてあげたくなっちゃうじゃないですかぁ」
「あ、ああ……! こ、こっこれ、おっぱい、気持ちいい……!」
「もっともっと気持ちよくしてあげますからね。私のおっぱい、どろどろザーメンで妊娠させて下さいね」

 その言葉が届いたのかどうかはわかりませんが、少なくとも今の彼に男の矜持とか克己心とかそういう煩わしいものは感じられません。進化したことで、これほどまでに容易く男の人の心を貪れるとは。全く素晴らしいことです。
 快感と熱に駆り立てられて、訳も分からぬまま乳姦に溺れる姿が余りにも愛おしすぎて、犯されているはずの私も、なんだか胸が気持ち良くなって来ました。
 しこり立った乳首が硬い勃起ちんぽに擦れると、ピリピリとした電流のような快感が乳腺全体に広がります。その強さは彼がおちんぽを私の胸に埋めるごとに強くなり、いつしか組み伏せられた私も嬌声を上げ始めていました。

「ああ、あ、うっ……! おっぱい、ジンジンして……!」
「う、も、もうダメだ、出る、また精子、出ちまう……!」
「え、ええっ、精子、今掛けられたらっ」

 ただでさえ、大好きな人に胸を侵されて激しく興奮していたところに、更におっぱい中出しなんて決められたら、きっと私もイってしまいます。
 でも、そんなことを言っても彼は聞いてくれないでしょう。恐らく彼の眼には今、私のおっぱいしか映っていないからです。そうなったのは半ば自分のせいだとはいえ、胸をレイプされてイかされるハメになるとは、流石の私も予想外です。
 カットルが上半身を下げ、身体を落としてきました。私の胸骨と左右のおっぱいで強く、肉棒を圧迫しています。真ん中にきゅっと寄せられた胸の合間をカリ高おちんぽが強引に割り開いていく感触で意識が飛びかけた次の瞬間、かつてない熱を感じました。

「う……!」
「ひっ……! 精子、胸に溢れて、あつぅい……」

 不規則な外形の肉塊を敏感肌に擦りつけられ、宙に投げ出されたようなエクスタシーを感じたと思ったところに、ダメ押しの射精。大好きな精子を肌にたっぷりとかけられて、自分が誰なのか、今何処にいるのか分からなくなるような激しい絶頂を味わわされてしまいました。
 しかし気持ちよかったのは、何も私だけではありません。
 ふと我に返ってみると、膝立ちで、馬乗りパイズリをしていた時の体勢のまま、カットルが忘我状態にあるのが見えました。
 きっとパイズリが気持ちよすぎたのでしょう。上体を起こし、ぼうっとしている彼の耳に私はそっと囁きました。

「ね。気持ちよかったでしょう? これからもいっぱい、こんなことをしたいでしょう?」
「……」

 魂の抜けたような顔のカットルは、返事をしてくれません。が、構いやしません。私ももう、我慢ができないのです。今までとは逆に、私は彼を押し倒して、覆いかぶさって抱きつきました。

「ふ。ふふ。ふふふふ。いい子です。いい子ですよ。大丈夫ですからね、何にも怖くありませんからね……二人でたっぷり楽しみましょうね」

 もう萎えることが無いんじゃないかと思えるほどに勃起しっぱなしの素敵な男性器を、私の股に触れさせます。ずっとイチャイチャし続けて、更には一回絶頂もしたせいでびっしょびしょのそこは、粘膜が触れる、ただそれだけの刺激で透明な涙を流します。
 もはや、言葉は不要。私に制されることを受け入れてくれたカットルを精一杯可愛がるべく、私は一気に腰を下ろし、愛しい肉棒を咥え込みました。

「ぃ、やぁぁあっ! これ、かたァい……! さいこう、これ、最高……!」
「う……」

 狭さに自身のあるおまんこに大きなおちんちんをぶち込むと、行き場を失った愛液が溢れ出て二人の股間を濡らします。ヌルヌルおちんぽの熱さが胎内に直接食い込むようで、私は私が正気を失っていくのをはっきりと感じました。
 幼い少女のような、ただのインプであった頃の契約ずくのエッチとは比べ物になりません。恋人を貪る、これこそが淫魔のセックスかと、感嘆する余裕すらありません。初めて女体に触れた童貞少年のように、私は我を忘れて性の甘みに耽りました。
 床に膝をついて腰を上下に動かすピストン運動ももどかしく、大きく育った一対の翼を羽ばたかせての騎乗位エッチ。凶悪に尖った肉の槍に自分の膣道が押し広げられ、彼のものにぴったり合うようおまんこを作り変えられていくような感覚がたまらなく心地良い。
 私が腰を持ち上げるとオチンチンが抜けかけて外気に触れますが、卑猥なカリ首が膣口に引っかかって止まります。そこで私が体重をかけて一気に男性器を飲み込むと、細かい膣壁の襞とゴツゴツした竿や亀頭が思い切り摩擦して、思わず失禁してしまいそうな程気持ちいい。
 実際、女性器の奥から絶え間なく愛液が分泌され続けているので、少しくらい失禁しても分からないんでしょうが、放尿などという変態嗜好よりも、今はこのセックスが重要です。
 私に跨られていいように犯されているカットルは、私を使役するという立場にこだわっていたかつてとは違い、ただただ性の快感を味わってくれていました。
 その余りにも無防備な姿はさながら生まれたての小動物のようで、自分がこれを守らなければいけない、この者は自分なしでは生きて行けないのだという強い保護欲と、この可愛い物を他人の目に触れさせたくないという独占欲で心がいっぱいになってしまいます。

「ひっ、ふふ、カットル、またそろそろ、出ちゃうんじゃないですかっ!? ……イくならいっしょに、ね?」
「ああ、もう出る、だから……!」

 もうさんざんエッチしあった仲です。カットルがどのくらいのタイミングで射精するかはもう分かり過ぎるほど分かっています。あとは、男の精を貪る淫魔の体に新鮮な子種汁を供給してあげるだけです。
 彼の両脇の舌に手をついて、上体を倒して顔を近づけます。腰の結合は離さないまま、私はカットルの唇を奪いました。
 閉じたままの口に私の舌を差し入れ、唾液を飲ませてあげるとカットルの方もそれに応え、舌を絡めてきてくれます。濡れた粘膜同士が触れ合って産まれるビチャビチャという卑猥な音が、二人の頭に響いていきます。旦那様の口を啜りながら、私は腰の運動を早め一気にフィニッシュまで持っていくことにしました。

「んっ……ミリアン、もう……」
「はむっ……ちゅぅぅ、んじゅっ……ふふふ、んっ……」

 言われずとも、射精しそうなのは分かっています。キスしたまま、上と下の口で繋がりあいながら、仲良く一緒にイきたいのです。
 深い深い口付けを続けると、ようやく彼にも事態が飲み込めてきたようです。目を閉じて私の唾を飲み下してくれるカットルの姿に改めて心奪われながら一際強く激しくおちんちんを締め付けると、膣の多くで温かいものが弾けました。

「んっ!」
「! ……ふ、はうっ……ちゅ、うちゅっ……!」

 全身を密着させたままの膣内射精は、魔物娘としてこの世に生まれてきたことを感謝したくなるくらい満足の行くものでした。
 全身の感覚が無くなって、魂そのものが何か柔らかく心地よいものに包まれるような法悦の中、私はこの力をどこまでも彼のために振るっていくことを決意していました。



 数日後。
 カットルと並んで外を歩いていると、背後から声を掛けられました。

「ああ、ちょっと! ……おお、やっぱり。久しぶりだな、魔導師さん。長いこと連絡が取れなかったんで、心配してたんだよ」

 振り向いた先に立っていたのは、何処かで見たような男でした。
 カットルのことを魔導師と読んだことから察するに、かつて彼が魔物使いとして働いていた頃の顧客でしょうか。考えてみても、教会派だったか魔王派だったかすら思い出せません。

「なぜか魔物使いってのは、ちょっと腕を上げたと思ったら行方を絶ったりする奴が多くてなあ。
 あんたも、どっか他所の国へでも行ったかと思ってたが。無事なようで何よりだよ」

 正直に言って、私は早く家に帰ってまたカットルとイチャイチャしたいのですが。そんな私の不満にも気づかず、男はこちらへ歩み寄って来ました。

「実は、あんたじゃなきゃこなせない仕事があるんだよ。報酬は弾むから、一つ引き受けてくれないかい」
「お断りしますわ」

 答えたのは私。予想外のところから発せられた予想外の返答に、男が目を見開きます。反論する間を与えず、私は畳み掛けました。

「カットルは、もう荒事から手を引いたんです。彼はもう、この優しい世界で切った張ったのして、カッコ付ける必要なんて無いんです。そのためにこそ、今の私は在るんです」
「君は……まさか、あの小さかった……?」
「行きましょう、カットル。貴方はもう、無意味に血を流したり、流させたりしなくてもいいんです。私だけ見ていてくれれば、それでいいんです」
「……そういうことだ。すまんな」

 呆気に取られた様子の男を置いて、私達二人は家路に着きます。
 他者を傷つけたり、力づくで目的を達成するための魔術はもう私達には必要有りません。私とカットルのための、狭くて温かい愛の繭を作って維持する以上の力は、全く無用の長物なのです。
 このような在り方こそが、真に魔王閣下が魔物娘たちに望んでいることなのだろうという確信が、今の私たちの支えでした。
12/03/25 17:12更新 / ナシ・アジフ

■作者メッセージ
男が女に逆襲しようとするも、あっさり制されるシチュエイションがやりたくて書きました。

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