読切小説
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生まれ出づる希望
 人間には、その他の獣よりも遥かに高い環境適応能力がある。生まれ持った能力をベースとして、そこから更に必要なスキルを環境に応じて獲得し、向上させていくことができるわけだ。
 人間の上位互換たるインキュバスにも、当然その適応力は備わっている。普段から良く使う部分や技能は発達し、そうでないものは衰退し必要なスキルのために場所を開ける。毎日毎晩同じ箇所ばかり同じ目的に「使って」いたら、その箇所だけが他の同族と比較して、抜きん出て強靭に育つということも大いに有りうる。
 どういうことかというと。

「あ、あひひ……しゅご、こんなの……」
「お兄ひゃ……わらひ、こわれひゃ……」

 総勢八名の好色で淫乱な魔物娘たちをアヘらせよがらせ絶頂させ、中出しで失神させて失禁させてなお十分に余力を残したままでいられるということだ。
 深夜、デルエラ様に与えられた俺の私室では、人間でいうならまだ初潮も来ていなさそうな幼い娘から胸もお尻もむっちりと成熟した大人の女性まで、よりどりみどりの女たちが床に倒れ伏し、未だ引かない激しすぎる性感に喘いでいた。
 種類種族は異なれど、どれも皆魔界に名だたる美女たちと言ってよい。恍惚と法悦に圧倒される八人の美女たちは、全て俺の妻である。
 ベッドの上に一人座り深い満足感と共に、疲れきって昏倒した妻たちを見下ろして一息つきながら、俺はこの場にいない一人の女のことを考えていた。
 女の名はメルセ。「魔物の母」との別名を持つ、エキドナである。
 他の魔物娘と同じく、惚れた男とのセックスをこよなく愛する彼女が今ここで子作りを楽しんでいない理由には、心当たりがある。
 昨日の夜、メルセは我らが尊き領主殿、魔王女デルエラ様に呼ばれたとか言ってたような覚えがある。これといって特に異常事態も敵襲も無かったし、彼女が呼ばれる理由と言ったら、「蛇神の儀式」くらいしか思いつかない。
 「蛇神の儀式」とはその名の通り、選ばれた人間の少女をエキドナへと変化せしめる魔術式のことである。
 魔物化技術はデルエラ様や一般のサキュバスたちも有しているが、全魔物の中でも上位に位置するエキドナのような、強力な魔物娘を作るのは簡単なことではない。そのような上位種になれる素質を持った人間女性もそうたくさんいるわけではないので、メルセのような本職の人間に確実にこなして欲しいのだろうか。
 基本的に自分と同種族の子供しか産めない普通の魔物と異なり、エキドナはその通り名の如く多くの種類の魔物を生み出すことができる。様々な希少種や変種、時には全く新しい血統すら文字通り産むというその繁殖力は、レスカティエをより良い魔界とするために大いに役立つ。
 俺達やデルエラ様にとってレスカティエは「入植した土地」だが、これから生まれてくる魔物たちにとってはそうではない。彼女らにとって魔界都市レスカティエは故郷であり、魂の原風景となるのだ。
 今俺たちが住んでいる最も新しき魔界を唯一の故郷として感じる魔物が増えれば、この地の守りはさらに盤石なものとなる。美しき世界を俺たち開拓者の手から次の世代へ手渡すことによって、レスカティエは魔界として完成するのだ。
 その為にも、子を産んで殖やす女性の存在は欠かせない。メルセに掛かる期待も、自然と大きくなるのだろう。
 ただの人間を如何にして高貴なる蛇、希少な上位種へと転生せしめるのか、俺も少なからず興味をそそられているのだが、メルセは頑として俺の見学願いを聞き入れてくれない。頬を染めて話をそらさんとする彼女の様子を見るに、なかなかに淫らな儀式らしく、見たい気持ちに収まりが着かなくなって困る。 
 そんなことを考えながら数十回の射精に疲れた肉体を休めていると、部屋の入口から物音が聞こえてきた。床の絨毯に鱗のような硬質な物が擦れる音と共にノブが回され、開いた扉から見えた姿は。

「おおー。ちゃんと起きて、待っててくれたんだな」
「当然だろ。頑張ってきたメルセ一人置いてギブアップなんて、そんなこと」

 半人半蛇の魔物娘にして母性と生殖の化身、エキドナ・メルセだった。
 乳首と股だけを最低限隠すその装いは、かつてレスカティエ教国で人間として俺の軍事訓練に当たっていた時とさほど変わりない。
 が、彼女自身の女性性を否定するために露出された肉体と、それとは逆に俺を誘惑し、女の魅力を魅せつけるために露出されたそれとでは美しさが段違いである。当然今の、誘惑と愛に満ち満ちたメルセの方が、人間だった頃の男女然とした彼女よりも何倍も魅力的だった。

「そうだな。お前は性欲過多のエロ男だから、アタシがしっかり抜いてやらないと眠れないんだもんな。……ふふ、そうだろ?」
「まあな。……でも、ちょっと消耗気味かも。ちんこが疲れて、煙が出そうだ」
「ったく、しょうがないな。一人じゃあ、おちんぽ勃起させることもできないのか?」

 揶揄するような言葉を吐きつつも、至極嬉しそうな表情のメルセは床の上をすすすっと這いずり、ベッドの上、俺の脚の間へと乗り上がってきた。半萎えの男性器を見下ろすと、細長い舌で唇を軽く舐める。両手を背中へ回し大きな胸をさらけ出すと、耳元で囁いた。

「ほーら、お前の大好きなオッパイだぞ。これちゅっちゅして、おちんちん勃て直しな」

 ぷるんとして重量感たっぷり、それでいて型崩れもせずどこまでも柔らかそうな一対のお乳を目の前にぶら下げられれば、もう味わい尽くさずにはいられない。向かって左の乳房に吸いつきコリコリして弾力のある乳首を甘噛みすると、エキドナが悶える。

「……っ!……そうそう、いっぱい、吸いな……」

 言われずとも、大きな胸とは対照的に控えめな乳首の美味しさが俺の唇を捉えて離さない。両腕で彼女の腰を抱きかかえ、敢えて音を鳴らしながら赤子がミルクを吸うように乳首を刺激してやると、母性本能を刺激された蛇は白く細い喉を反らして喘いだ。頬を凹ませ、成熟しきった乳腺から液体を吸い上げるようにしてみると、実際乳汁を分泌しないのが不思議なくらい豊かなおっぱいがしっとりと汗ばんできた。

「はあっ、ああ、いいぞ……もっともっと、吸え……! アタシをおっぱいで、いかせろ……!」
「勿論。メルセの柔らかいムネ、ちゅっちゅしてやる」

 固くしこった乳首への吸いつきは緩めないままに、俺は右手でまだ口を付けていない方の乳房を掴んだ。ぎゅっと五本の指に力を込めると、指と指の間から行き場をなくした乳肉がニュルンと飛び出してくるので、指同士を揃え近づけることでそのおっぱい肉をも責め、刺激する。
 両方の乳を一度に、しかも別々の刺激をそれぞれ与えられれば、如何にエッチに慣れた魔物娘といえども耐えられる道理は無い。
 乳肉の柔軟さを手全体で楽しみながら、俺は言った。

「大きいし柔らかいし、ほんとメルセのおっぱいは最高だな。これでミルクが出るようになったら、言うこと無しなんだけど」
「何だ、おっぱい出して欲しいのか? ……だったら、なあ? もっと、頑張ってもらわんと」
「そうだねえ。善処しよう」

 子を孕んでお腹を大きく膨らませた愛しいメルセの胸から白い汁が溢れる所を想像してしまうと、もう堪らない。マシュマロみたいに優しい手触りの乳脂肪を揉みしだき、一方で乳輪まで口に含み乳首とその周辺を舌で舐り、母性の塊を味わう。
 何とかして母乳の一滴でも絞り出せないか、なんて思って強めに吸引してみると、頭上の蛇女が息を飲む音が聞こえた。
 これぐらいの強さがいいのか、と判断した俺は強めの吸引をさらに長く続けてみる。少し息が苦しくなるくらいの時間、一心に硬い乳首を吸い続けてみると、耐え切れなくなったメルセが高く喘いだ。

「あ、あああっ! 胸、そんなに吸っちゃ……!」
「メルセって本当におっぱい敏感だよなぁ。こんなんで、将来子供にお乳あげられるのか。授乳のたびに発情してたんじゃ、子育てもままならんだろ」
「あ、や、やっぱり、子供、欲しいか?」
「そりゃあな。愛する人と子作りしたいってのは、男として当然の感情じゃないか。
 ……このおっぱいを取られてしまうのはちょっと、癪だけどな」
「なんだ、そんなこと。……し、心配するな。私のおっぱいが2つあるのは、子供と旦那さん、両方に吸わせるため、なんだぞ?」

 こんな嬉しいことを言われてしまっては、より一層心を込めておっぱいを愛さずにはいられない。食い込む指を逆に包みこむような乳肉の海、その造形の素晴らしさに酔いながら、俺は彼女の昔を思い出していた。

 メルセが魔物化する前、昔彼女が人間だった時も、訓練やら何やらの弾みで胸を押し付けられることはあった。
 揉んだり吸ったり挟んだりしたわけではないので明言はできないのだが、あの時のメルセ乳はおっぱいという柔らかそうな響きに反して、どこか芯が残ったような、女を愛撫する男を拒絶するような硬さがあった。
 あの硬さは彼女の、「女性」を嫌悪する精神を反映していたのかもしれない。
 多少こじつけじみた解釈であることは否めないし、肉体が必ずしも精神の影響を受けるとも限らないのだけれど、少なくとも当時のメルセが「女」として扱われることを嫌悪していたのは確かだ。
 デルエラ様によって魔物、それも比類なき生殖力を持つ母性の権化たるエキドナへと導かれた彼女は今、俺に乳を揉まれ吸われて蕩けそうな表情をして、一切の苦痛としがらみと葛藤から解放されている。
 責め苦に満ちた人間の肉体を脱ぎ捨て、より自由で強力で、何より優雅な魔物と化すことで、メルセは自分の性を受け入れ、幸福になれたのだ。
 もし人間であり続けていたならば、彼女は今でも自分の中の「女」を憎悪し、自己嫌悪に苦しんでいたことだろう。
 やはり、人間では人間を幸福にできない。より高位な魔物娘の慈悲によってのみ、人類の救済は為されるのだろう。俺共々、デルエラ様に感謝せねばならんなあ、なんて考えていたせいか、ちょっと手に力が入り過ぎてしまった。

「ひあっ……! お、前、今の……!」
「あ、ごめん。痛かった?」
「いやいや、良かったよ……しっかし不意打ちとは、随分じゃないか」

 頬を紅に染めた彼女は、僅かに息を荒げてそう言った。どうやら軽くイかせてしまったらしい。
 さっき「おっぱいでいかせろ」なんて言っていたくせに、実際に胸で達したメルセはちょっと口を尖らせている。ぐっと体を起こし上半身を下げて、勃起した俺の男性器に胸を寄せると、蛇の逆襲が始まった。

「よくもやってくれたなぁ。今度は私が、お前をイかせる番だ」

 両手で大きな乳房を持ち上げ、谷間に挟んだ陰茎に押し付けられると、快感の余り首筋の毛が逆立った。
 どこまでも靭やかで、それでいて張りがあるメルセのおっぱいはその重量、体積にもかかわらず少しも垂れたり型崩れしたりすることは無く、ブラもしていないというのにいつでもツンと可愛い乳首を上に向けている。
 そんな、どんなに金を積んでも人間界ではまずお目にかかれないような、大きさと美しさを兼ね備えた完璧なおっぱいに男の象徴を挟まれてしまっては、如何にインキュバスといえども身動きを取れなくなるのは必然。情けない呻き声をあげて、今にも絶頂してしまいそうなのを耐えている俺の姿は随分と彼女のお気に召したらしい。

「ははっ。アタシのパイズリ、好きなんだろ? いつもいつも、お乳でぎゅってしただけで透明なの漏らすもんなぁ? ……ほぅら。こうして、おっぱいでちんこ包んで、見えなくしてやる」
「あ、ああ……! 最高だよ、メルセのムネ……!」
「だらしない顔してー。全く、女冥利に尽きるってもんだよ」

 伝法な言葉遣いとは裏腹に、メルセはその両手で大きな脂肪塊を自在に操り、不規則な形状の肉槍に絶え間ない快楽を注いでくれる。
 魔物娘の胸がどれだけ魅力的であっても、やはり膣のような強い締りには欠けるし、フェラのような吸引力も無い。
 しかしエキドナの母性溢れる双乳には、いきり立った男のものを優しく包み込んでそのまま射精させるような、一種独特な包容力がある。やわやわと粘膜を撫でられ、穏やかな快感に導かれて自然と勃起させられてしまうのだ。

「どうだーお姉さんのお乳は? ちんこが埋まって、気持ちいいだろ?」
「むっにむにだ……むにむにして、俺もう……もう……!」
「さて、どうしようかなぁ。優しくしてやろうか、それとも……激しくしてやろうか……
 よし、決めた。まずは一回、ぎゅぎゅっとしてやろう♪ 」

 メルセが両手でおっぱいを掴み直すと、男性器にかかる圧力が変わった。
 彼女の胸は、単に柔らかいだけではない。母のように優しく抱きしめてくれたかと思えば、持ち主の気分に応じて搾精器官の如き容赦ない姿をも見せるのだ。
 強い握力が乳腺の中で分散されて、中心部の肉槍に満遍なく掛かる。ぷるっぷるの乳肉を竿の根元から亀頭先端まで一度に押し付けられて左右の乳房でズリズリ擦られると、もうどうにも抗えないようになってしまう。
 気を抜くと射精してしまいそうになるが、敏感な部分をウォーターベッドのごとく抱擁されると魂の底から恍惚に侵食されていくような気がして、おっぱい以外の何も目に入らなくなってくる。
 ああああやばい、もう出る、出てしまう。もっとじっくり、楽しみたいのにと思いながらも自然と快感に身を任せてしまう、ある種悪魔的な性戯。それこそがエキドナのパイズリだ。
 メルセの方も自分のやっていることがどれだけ男を追い詰めるものなのかを十分に分かっていて、じっくりねっとりと俺の性感を高めようとしてくれる。乳と乳の合間から覗く亀頭の鈴口を、たまに長い舌の先でぺろりと舐めて我慢汁を啜ったりしながら、上目遣いでこちらに囁きかける。

「先走り、もうだらだら溢れてるぞ。本当にお前はこれが好きだなぁ」
「ああ、メルセ……! 好き、大好きだよ……!」
「へへっ。
 ……昔は、女の胸で男のモノを挟むなんて死んでも嫌だったけど」
「……今は違う?」
「最初はちょっと抵抗あったけどな。でも、お前があんまり気持ちよさそうな顔するから、段々楽しくなってきて」

 メルセも楽しんでくれているというのなら、それに越したことはない。恋人も感じてくれていると分かれば、俺も安心してこのパイズリに溺れることが出来る。
 男を愛し、また愛されるためにこの世に存在する魔物娘としては、やはり男性器を胸に擦りつけるという行為でも気持ちよくなってしまえるらしい。熱い吐息と潤んだ目で乳奉仕に没頭する彼女は、じわじわと興奮を高められているように見えた。
 いかにも元戦士らしい、女にしては大きめの手を持ってしても容易には支え切れない巨乳を下から抱えるようにして、メルセは乳房を左右交互に動かし始めた。同時に口内で唾を溜め、谷間に垂らして潤滑油代わりにする。
 水分を加えられて滑りが良くなった乳肌の与える、今までよりも激しい、まさしく搾り取るような快感を与えられた俺は歯を食いしばって耐えようとするが、それも無駄な抵抗だった。
 おっぱいで扱かれる肉体的な快楽に加え、愛する女の唾を男性器にまぶされるという、ちょっと倒錯的な楽しみもまた俺を狩りたてる。

「ほらほらぁ、もう出ちゃいそうなんだろ? お前が私の胸まんこに、耐えられるわけないもんなぁ……」
「う、うん、もうそろそろ……」
「しっかり出せよ。胸の中以外に射精したら、お仕置きしてやる」

 乳の圧迫と摩擦が強まり、腰の奥から解放感が急激に迫ってくる。
 思わず声を上げると、その追いつめられた感じが蛇女の愛情に火を付けたのだろうか、パイズリ奉仕は一層細やかさと激しさを増し、巨乳の餌食となった哀れな俺を弄び、いたぶる。
 メルセが上体を少し倒し、胸全体で股間を押しつぶすような体勢を取ると、それが止めとなった。

「あああっメルセぇっ!」
「ふふ。ふふふふふっ」

 乳肉へと完全に埋まった男性器がびくびく痙攣し、乳の間に白い濁流を注ぎこむ。
 大きすぎる胸に覆い隠された肉茎の様子はこちらからは見えない。断続的な射精と共に跳ねる竿がおっぱいに当たる感触と、大量の精液で潤った谷間にヌルヌルした気持ち良さだけが、俺の全てだった。
 精子が出なくなるまでじっくりと乳圧迫を続けていたメルセは、射精が終わったと知ると手の力を緩め、身体を起こした。
 陰茎を放した胸乳は濃い精液に塗れ、胸骨のあたりから始まって乳房全体、更にへその方にまで垂れ落ちて広がっていた。乳と乳との間、粘つくザーメンがぬちゃーっと糸を引いているのがたまらなく卑猥だ。

「今日もいっぱい出したなあ。えらいえらい」
「はあ、はあ……いやしかし、堪らんね。魂抜けそうになるよ、いつも」
「だらしない事言うなよ。これからが本番なんだぞ?」

 魔物の夫たるインキュバスの誇る底なしの精力ゆえ未だ硬度を保っている男性器を、母なる種族エキドナは嬉しそうに一瞥した。そのまま上半身をもたげ、下半身、蛇の肉体をこちらの股へと寄せる。鱗の隙間に開いた入り口は、もうびしょびしょだ。

「休ませてなんか、やらないからな。
 ……さあ、こっちにも。お前のザーメンで、孕ませてくれよ」

 あまりにも淫ら過ぎる受精の誘いは、俺をどこまでも奮い立たせる。ぞくり、と背筋を走った興奮が、また先走りを溢れさせた。
 もう既に何度も身体を重ねた二人であるからして、その動きに淀みはない。人間で言う騎乗位に近い、寝転んだ俺の股間にのしかかるような体勢をとって、メルセが陰茎を咥え込んでいく。
 訓練教官時代に鍛え上げられた筋肉は魔物と化しても衰えることはなく、むしろ柔軟性や伸展性を加えた女性的なそれへと進化している。
 それは当然膣の括約筋も例外でなく、亀頭が女性器に飲み込まれると内部の淫筒が強烈に収縮し、蠕動することで半ば自動的に男性器を内部へと取り込んでいく。口で吸い上げられるのにも似たバキューム感覚は、俺の精神をメルセ一色に染め上げてくれるのだ。
 竿を残らず飲み込んで子宮まで陰茎を届かせても、エキドナの肉筒は責める手を緩めない。
 強力でありながら、男を包容する柔らかさをも備えたメルセのまんこは、肉棒を強烈に締め上げながらも痛みや圧迫感は一切与えない。奥の方から止めどなく流れ出る愛液の潤滑力により、断続的な収縮の力は全て快感に変換され、硬くなった海綿体を更に刺激してくれる。

「ふう、ふっ……! あああイイ、いいぞっ! お前のちんぽ、最高だ……!」
「メルセのも……! きゅぅきゅぅしてて、やばい……!」

 男を狂わすためだけに生まれた精妙な肉の構造が、感じやすい先端からじっくりと愛液の洗礼を施し、抜け落ちないようにがっちりと捉える。勃起した肉棒にまとわりついた膣壁は、粘膜の摩擦で持ち主にも大きな快感を返す。
 男性器を咥え込んだメルセは両手で俺の肩を掴み、ベッドに押し倒すような体勢で腰を使い始めた。蛇の下半身を器用に操り、淫蜜の飛沫を撒き散らしながら言う。

「し、しかし、お前も、立派になったよなあっ! 初めてアタシの部隊に来たときには、あんなにひょっろひょろでなよっちくて、頼りなかったってのによ……!」
「や、やめてくれよっ。昔のことはいいだろっ」
「はははっ、何だお前、照れてんのか? 可愛い奴めっ」

 必ずしも戦争向きな人間ではなかった俺が、曲がりなりにもレスカティエ聖騎士団の一員としてやっていくことが出来たのは、偏にメルセによる熱心な指導の賜物である。
 もし途中で騎士団をドロップアウトして何処か他の国へ逃げ出していたら、今みたいにウィルマリナやメルセたちと一緒に暮らすことはできかっただろう。そう考えると、今更ながらに感謝の念を覚える。が、恥ずかしいので言葉には出さない。
 メルセの方も、言葉より行動が欲しいことだろう。普通のラミア種よりもだいぶ長い蛇体を俺の右脚に巻きつけてバランスを取り、騎乗位の要領で腰を振り立てる恋人が求めるのは只管に肉体。
 両手で俺の肩をベッドに押し付け身動きを封じ、母性溢れる大きなオッパイを上下にたぷんたぷんと揺らし、彼女は小動物を絞め殺し丸呑みにして貪る蛇の如く俺を咥え込む。
 強力な膣の締まりは、手で握るよりも強い圧迫を生み出し、しかもその凹凸や不規則な形状にもかかわらず必要以上の摩擦を産まず、引っかかることもなく素早く上下にピストン運動する。
 やはり男と交わるために作られた器官だけあって、強靭な筋肉で膣壁がカリ首にまとわりついても痺れるような快感が与えられるだけで、締め付けられる痛みなどは一切無い。
 たっぷりの愛液により、圧搾力と滑らかな出し入れを両立させた肉の壺は俺の肉棒に完全にフィットし、神経の一本一本まで愛撫してくれているかのよう。襞が醜怪な男性器に張り付き、瞬間的に強い摩擦を生むたびに俺の鈴口からは透明な汁が零れ、メルセもまたその刺激に我を忘れる。

「はあ、はあ、ふ、す、しゅごい……これ好き、好きぃ……! アタシもうトんじゃいそうっ! お前も、気持ち、イイか!? アタシの、女の、穴、好きそうかぁっ!?」
「大好きに決まってるさ……! 俺は男なんだから……男もどきより、女らしい女が好きで当たり前だろ!
 愛してるよ、メルセ! 女っぽくてエロい今のお前が、大好きだっ!」
「う、嬉しい……! アタシ、美味しいザーメンで、もっとオンナらしくなって……! もっとエロい、お前好みのオンナに……!」

 うわ言と共に激しく乱れるメルセの膣の奥、子宮が蠢いて男の精を欲しているのが分かってきた。頭上の美女が俺を求めている、俺と子を作りたがっていると考えると、もう興奮を抑えられない。発情蛇女に膣内射精して、受精させて孕ませて出産させること以外の何も考えられなくなる。

「メルセ、出すぞ、良いよなっ!?」
「いい、いいぞ膣内に出せぇっ! 外に出したりしたら、許さないんだからな……!」

 中出しされると知って急に頬を染め、一層激しく腰を上下させるメルセ。複雑な構造と筋層による搾精肉筒に陰茎を猛烈に扱かれ、あっさり俺は屈服した。

「メルセっ……!」
「ひっ……! 中で、どくどく言って……すごい、熱い……! 濃いぃ精液が、アタシのお腹に……! あああっ素敵……!」

 子供の種を胎内に受けて、未来の母親はどこまでも幸せそうな表情を浮かべていた。
 股と股を密着させて、少しの精液も無駄にしないよう、より確実に子供を作れるようメルセは俺から離れない。たっぷり出したザーメンで更に潤いと滑りと淫猥さを増したきつい穴に抱きしめられれば、萎えることなど出来るはずもなく。

「まだまだ出来るよな? 絶倫インキュバスさんよぉ♪」
「無理なんて言っても、聞かないんだろ?」
「とーぜん。お前と一対一でじっくりヤるために、わざわざエッチの時間をずらしたんだからな」
「え、そうだったのか?」
「おーよ。しっかり中出しして、孕ませてもらいたかったからな。……そうだな、最低、後三回は中に出してもらうぞ。そんだけやりゃあ、きっとアタシも母親になれるだろうからなぁ……」

 そう言って再び腰を振り出した彼女の表情はまさしく淫蕩。一切の暗い感情から解き放たれた、幸福そのものがそこにはあった。
 魔物が人間と交わっても魔物しか産めないことを理由に、『このまま魔物と人間が交わり続ければ人間の数が減り続けてしまう』として、魔物の人間への求愛行動を緩やかな侵略と呼称する人間もいるが、そういう奴らはきっと、実際に男と番った魔物を見たことがないのだろう。
 今のメルセのような、悪意の欠片も無い法悦の表情を一度でも見れば、その純粋な歓びを「侵略」などといって貶めることなど出来るはずがあるまい。
 愛する夫との愛の結晶を求め続ける未来の母親を見ることで、俺の心も明るい光に満たされていった。
 今の世界は、苦しみと悲しみに満ちている。それらは全て、人間の弱さのせいだ。自分の力を超えて欲する、人間の貪欲さのせいだ。
 魔物となれば、愛する伴侶のみを生きがいにできようになれば、誰しもそんな無用の欲からは解放される。
 魔物は男の精を喰らって生きる存在であり、インキュバスはほぼ無限の精力を誇る生き物である。ゆえに、魔物夫婦はまず間違いなく飢えに苦しむことが無く、常に満ち足りた心持ちでいられる。
 腹を減らした人間は他人のことを思いやったり順番を譲ったりはできない。自分の必要を自分で賄えるようになって初めて、他者への思いやりや情けが産まれる。強くあることこそが、優しさの第一条件なのだ。
 魔王閣下の作る、強く美しい、相互扶助に満ちた優しい世界にこそ、子供たちに残していきたい。俺は良妻にして賢母を両手で掻き抱き、そう思うのだった。
11/10/23 00:48更新 / ナシ・アジフ

■作者メッセージ
ウィルマリナさんに引き続き、今回はメルセさん。
私の中で「あなた」のイメージがかなり固まってきました。話を作りやすくなる反面、どうしてもこのキャラクター造形を受け入れがたく感じる読者さんも居られるであろうことを考えると、余り自分の中の人物像に拘り過ぎるべきではないのかなとも思います。
これからも、色々やっていきたいですね。

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