第三章
「兄さん。しばらくは、私に精液を飲ませてくれなくても結構ですよ」
ある日、いつもの栄養補給を終えたルクレツィアが言った。
随分とまた急な話である。サキュバス化した妹の命を保つためとはいえ、毎晩繰り返される近親相姦まがいの行為に強い忌避感を覚えていた俺としては、そう言ってくれるのは正直言って嬉しい。のだが、やはり心配な事が一つ。
「本当か。しかし、大丈夫なのか。前みたいに、倒れたりしないのか」
「ええ。今まで兄さんに、たっぷり飲ませていただきましたもの。嫌々射精してもらう必要も、ありませんよ」
ちょっと捨て鉢な、吐き捨てるような口調で彼女は言う。
いったい如何なる心境の変化なのかは分からないが、これ以上実の妹に精飲させなくて済むならそれに越したことはない。
「うむ、分かった。苦しくなったらいつでも、呼ぶんだぞ。たまに様子を見に来るからな」
そう言って俺は、軽い足取りで地下室を出る。下半身に黒い下着一枚穿いただけのルクレツィアは、そんな俺を興味深げに見ていた。
そうして俺は、罪から解放された清々しい日々を送れるようになった。
といっても、この舘から自由に出られるわけではないし、これといってすることもない。家から持ってきた本でも読もうか、ここに来てからは正直、妹とのあれやこれやで読書どころじゃなかったからなあと、倉庫に積みっぱなしにしてあった荷物を解いてみた。
適当に実家の書棚から引っこ抜いてきた文芸書、思想書や軽い娯楽小説などいろいろな書物が出てきた。
これらを気の向いたものから読んでいけばひとまずの暇つぶしには困りそうにないし、読む物が無くなったら週に一回食べ物などを届けに来る実家からの使者に頼んで何か買ってきてもらってもいい。
対外的には、俺とルクレツィアは病気療養中ということになってるらしいから、まあその程度の要望は受け入れられるだろう。
最初に開けた箱の他にも、衣類や日用品を詰めたものたちが家から送ったままになっている。
時間もあることだし、とりあえず全部荷を解いてしまおうと手近な箱を開けると、そこには俺のではなくルクレツィアのものと思しき衣類が入っていた。
今の彼女はどういうわけか上下ともに下着だけしか着ていないが、しかしこれはこれで、必要なものだろう。
整理して箪笥にでも仕舞おうと思って上着やら靴下やらを取り出してみると、底の方から下着が見つかった。
白いブラジャーと、揃いのパンティー。新品ではなくある程度使われた形跡があることから、かつて家で妹が身に着けていたものだと分かる。
その白い下着から、どういうわけか俺は目を離せなくなっていた。
何度か洗濯されたせいか少しくたびれたところはあるものの、汚れもシミもない綺麗なブラとパンツ。
何ということない、単なる、家族の身に着けていた服。特に意識することなど無い、意識してはいけないはずのそれに俺はいつの間にか手を伸ばしていた。
清楚な白い布地。華美でなく、それでいて手の込んでいそうなレースの縁取り。中サイズのおっぱいを包むブラと薄くて脆そうなパンティーを握りしめ、俺ははっと我に返った。
今俺は、何を考えていた。散々、近親相姦はいかんと言っていた癖に、妹の下着を掴んで、一体どうしようとしていたのだ。
ひんやりした絹に妹の甘い残り香を感じたような気がして、俺は喜んではいなかったか。
「……バカバカしいっ!」
俺は勢いをつけて、手に持ったパンティーとブラを箱に投げ入れた。
男性ならば、女性の下着に多少興味が湧くのは当然だ。俺は妹の下着に興奮したんじゃない。
かすかに残ったルクレツィアの汗の匂いとか、見えるか見えないかという程度の汚れに気を惹かれることなど有り得ない。
こんなものは、単なる気の迷いだ。
ちょっと舐めてみたいとか、匂いを嗅いでみたいなんて思っちゃいない。俺は決して妹に誘惑されて、本気になりつつあるわけじゃない。
誰にともなく、俺は弁解していた。
数日後。
本を読む気分でもなく、かといって他に気晴らしのアテも無い俺は、不意に強い性欲を覚えた。
ここに来てからというものの、毎晩妹にしゃぶられていたせいで自発的に射精したくなることは全く無かったのだが、しばらく地下にも行っていないせいでいつの間にか溜まっていたらしい。
部屋に戻り、ズボンを脱いでさあ一仕事、と始めたはいいが、何かがおかしい。
俺のものはちゃんと勃起はするし、擦って刺激すれば我慢汁も出る。しかし、どれだけ頑張っても解放に至れないのだ。
右腕がだるくなるくらいしごき続けても、透明な汁をだらだら漏らすだけで俺の陰茎はいつまでたっても絶頂しない。
普通の倍くらい長く自分を慰め続けた果て、ついにくたびれて俺はベッドに倒れこんだ。
一体これは、どうしたことだ。勃起不全、ではないのだが、射精できないのはなぜだ。
そう考える俺の脳裏に、かわいい妹の顔が浮かぶ。
ついこの間まで、毎晩毎晩旨そうに俺のちんこを舐め舐めしていたルクレツィア。あいつの赤くて意外と長い舌で亀頭をじゅるじゅる味わわれるのは、俺の手なんかよりずっと気持ちよかった。
と、まただ。さっきの下着もそうだが、実の妹をいやらしい目で見るなんて、あってはならないという以前に本来ならあり得ないことなのに。
貴族の家庭は平民よりも閉鎖的で、純粋な血統を尊ぶこともあって近親交配が起こりやすいなんて前に読んだ本にも書いてあったが、我がメルドリッチ家では兄妹婚はおろか、いとこ婚すらも忌避されている。
だから、そのメルドリッチ家の一員である俺がルクレツィアに欲情することなどあり得ない。あいつに口や手や胸でしてもらわなければ射精できないなんて、あるわけない。
理屈にもなっていないそんな繰り言を唱えながら、俺は布団をかぶった。
きっとこれは一時的なものだ。一晩寝て起きれば、何もかも元通りになっているはずだと、儚い望みを託しながら。
眠っているときに、夢を見た。
サキュバスになるよりずっと前の、十代半ばくらいのルクレツィアが出てくる夢だった。
腕も足もぴちぴちして若々しく、胸や尻の肉付きも薄いまだまだ未成熟な彼女を、背後から組み伏せて犯していたのだ。
俺は机に彼女の上半身を押し付けて、両手を背中の方へ締め上げて自由を奪っていた。
全身で暴れて、泣き叫んで陵辱者の手から逃れようとする妹の口に、無理やり脱がした水色のパンティーを突っ込んで黙らせる。自分のズボンを脱ぎ捨てると、凶悪に硬くなったものが露になった。
ルクレツィアはそれを見て、実の兄が何をしようとしているのか悟ったらしい。
涙目になって、くぐもった叫び声を上げながらなんとか慈悲を乞おうとしているらしいが、夢の中の俺は気にも留めない。
スカートを捲りあげて、毛も満足に生え揃っていない処女の膣を見てしまうと夢の中の俺は全身が熱くなって、いよいよ引き返せないところまで興奮してしまった。
まだ男とセックスできる状態になく、愛液なんてちっとも分泌されていない乾いた膣に自分の肉棒を無理やりねじ込んでやると、めりめりという音をたてて未成熟な膣肉が裂けた。
自分の身に余る剛直をその小さな身体に突き挿された幼いルクレツィアは、股から破瓜の鮮血を流して苦悶する。
涙をぽろぽろ流し、泣き声をあげて望まない処女喪失の痛みに苦しむ妹の姿に背徳感と官能を強く刺激された俺は、右手で妹の上半身を膨らみかけの乳房が潰れてしまうくらい強く机の天板に押し付け、強引に腰を使い始めた。
俺が一回腰を往復させるごとに、犯されているルクレツィアは助けてとか許してとかなんとか言っているようだったが、猿轡代わりのパンティーが役に立ってその声は誰にも届かない。
まだまだあどけないところの残る少女、それも実の妹を無理やり犯すというこの行為はこの上なく魅力的で、快楽に溺れていた俺はすぐに限界に達してしまった。
生理が来ているかどうかも怪しい子宮を太くて長い大人の男根で蹂躙され、処女ながらに何かおぞましいものを感じ取ったのか、ルクレツィアは激しく首を振って拒む。が、破壊衝動と性欲だけの存在となり果てた夢の中の俺にとってそんなものは考慮に値しない。
後頭部の髪を掴んで彼女の顔面を机に打ち付け、一発で黙らせると俺はラストスパートを掛けた。
純潔の証で濡れる膣壁はきつく締まって侵入者を拒むが、却ってそれが快感となる。少女の狭い女性器の奥、無理やり突っ込んだ肉槍が犯す子宮口に、大量の精液をぶちまけた。
「……! ん、む、んむぅ! ……!!」
膣内射精と受精の恐怖ゆえか、妹は何か呻いていた。
処女喪失と同時に中出しを決められた彼女の気持ちは俺には推察できないが、欲望のままに肉親を犯し子供を孕ませるのはとても気持ち良かった。
白い精液と赤い血が混じりあって妹の陰唇がピンク色に染まっていくのを見て、俺はただ満足していた。
「……う、あああっ!!」
おぞましすぎる夢にうなされて、俺は飛び起きた。
まだ、普段起きる時刻よりはだいぶ早い。朝日が昇って間もないと思われる時間、俺ははぁはぁと息を切らしていた。
「な、なんなんだ、あれは……」
さっきの夢は無論、過去の回想などではない。俺はルクレツィアを犯したことも、犯そうと思ったこともない。
「夢は無意識下に抑圧された願望の発露である」という、前に本で読んだ記述を俺は意図的に思い出さないようにしていた。昨日ルクレツィアの顔を思い浮かべながら射精しようとして果たせなかったことと、さっきの夢を併せて考えるのも嫌だった。
「くそ。何だってんだよ」
一人悪態をついて俺はベッドから出た。じっとりした嫌な感じの寝汗をかきすぎて、もう一度眠る気にはなれなかった。
食堂へ赴き、普段よりも二時間は早い朝食を摂る。
最後に会った日以来何も言ってこないルクレツィアのことが気に掛かるが、今彼女に会うと何か思いも寄らないことを言ってしまいそうな気がする。
適当に作った朝食を終え、俺は自分の部屋へ戻った。
しかし椅子に座って寛いでみても、夢のせいか、どうにも心がざわざわして落ち着かない。いつの間にか勃起していた男性器を掴んでみても、焦らされるばかりでちっともすっきりできない。
どうにもならなくなった俺は、気晴らしを求めて再び荷物の置いてある倉庫へ行って手近な箱を漁ってみた。そこで手に当たったのは、昨日投げ入れたルクレツィアのパンティーとブラジャー。
その柔らかな感触に、俺は手を離せなくなってしまった。同時に、もしかしたら、という暗い期待が心に満ちる。
もしかしたら、妹の下着を使ってオナニーすれば絶頂に至れるかもしれない。そんな変態的な考えを、選択肢の一つとして真剣に検討し始めている自分がいた。
理性はそんなことするな、やめろと叫んでいるが、一方では下着を使うくらいならどうということはない、近親相姦には当たらないというもっともらしい声も聞こえてくる。
この下着で自分を鎮めれば、あの悪夢のように性欲のままに妹を貪ってしまわずに済む、と歪んだ欲望をそれらしく取り繕った意見を採用した俺は、ズボンをおろして陰茎にパンティーを巻きつけ、先端をブラジャーの裏側、胸に当たっていた辺りでこすり始めた。
単なる布に過ぎないはずのそれらが生み出す快楽は予想以上に激しく、今まであんなに頑張って擦って、それでも絶頂出来なかったのが嘘のように俺はあっさり射精した。
ブラジャーのカップ部分に、数日溜め込んだにしては少ないザーメンを注ぎながら、俺は強い自己嫌悪に陥っていた。
どんなに言い訳してみても、妹の下着で自慰するなんて変態のやることだ。妹を傷付けないため、とかいって自分を正当化してみたが、そもそも妹に性欲が向かうということ自体異常なことだ。
それに、あの時俺は妹を守りたかったんじゃない。勃起だけして射精できないのが苦しくて、ルクレツィアのパンツでオナニーしたくて、あんな理由づけをしたのだ。結局俺は、自分の欲望を晴らしたかっただけなのだ。
胸カップの中で揺れる精液が、俺の罪を逃れようなく示していた。
それからの日々は、地獄だった。
一度オナニーしてもなかなか性欲は治まらず、いつしか俺は妹の下着で一日に二度も三度も自慰するようになっていた。
それでもなかなか、最初に意図したような解放は訪れない。朝、体が目覚めきっていない状態で無理やり朝立ちをしごいて射精したときのように、快感も射精量も少なくただただ疲れるだけのオナニーを俺は何度も繰り返した。
夜は夜で、あの日見たような淫夢が毎晩俺を苛む。
妹の外見年齢はまちまちで、十代前半から今と変わらないくらいまで日によっていろいろ。しかしシチュエーションはいつも同じで、嫌がるルクレツィアを俺が力づくで制して、有無を言わさず処女を奪って膣内射精するというもの。
そのあまりの罪深さに、俺は毎日消耗していった。
「そうだ、ルクレツィア。ルクレツィアの様子を見に行こう」
眠れば悪夢、目覚めれば背徳。
昼も夜もなく妹の幻影に責められ続けていた俺は、ある日そう思い立った。
だいたい一週間程、彼女には精を与えていないことになる。もしかしたら、地下で声も出せないほどの餓えに苦しんでいるのかもしれない。
もしそうだとしたら、やはり自分が行ってザーメンを飲ませてやらねばならない。そうしなければ、サキュバスは死んでしまうというのだから。淫魔の妹を救うためには俺がそうする他ないのだから。
呪文のようにつぶやき、自分に言い聞かせながら俺は地下への階段を下っていった。
連日の消耗により俺の足元は覚束ない。定まらない足取りでふらふらと螺旋階段を降りるも、どういうわけか妹のことを考えていたら転ぶことも落ちることも無く下まで辿りつけた。
明かりが無いため薄暗い廊下を歩き、突き当たりの扉を開ける。
部屋に入ってみると、前に会った時と変わらず悠然たる面持ちでルクレツィアが立っていた。
「あら、いらっしゃい兄さん。何か用事ですか?」
やはり上下、黒の下着一枚づつのみを身に着けた淫魔は、涼し気な顔つきで俺に問いかける。しばらく精を絶っていたにしてはやけにクールな感じの彼女だが、しかし一方で俺は全身が熱くなるのを感じていた。
何度も使ってしまったせいですっかり妹の下着を性的な対象として見てしまっている俺だが、しかし下着単体よりも妹に着用されているそれのほうが何倍も蠱惑的だ。
魔物の新陳代謝は人よりも鈍いのだろうか、ルクレツィアが前からずっと身に着けている上下の下着は、交換されたり洗濯されたりした様子も無いのにこれといった汚れもなく、綺麗なままである。
黒いため汚れが目立たないだけかもしれないが、しかしルクレツィアも女性、汚い服をいつまでも好んできていたがるとは思えない。
垢や汗は付いていなさそうだが、それでも長いこと彼女の肌に密着していたのは間違いないところ。
もしかしたら、あの荷物の中にあったブラやパンティよりもずっと強く、持ち主の匂いが染み付いているかもしれない。もしかしたら、俺のを舐めているときに漏れた愛液が少し残っているかもしれない。股間の布に、いやらしい粘液が残っているかもしれない。
そんな風に考えてしまうと、彼女の黒下着が今まで散々弄んできた白下着よりも何倍も魅力的に思えてきて、俺はまた自分の股間を膨らませてしまった。
あれでオナニーしたら、どんなに気持ちいいだろう。あのパンティーでしごいて、あのブラに射精できたらどんなに気持ちいいだろう。抵抗なくそんな気持ち悪いことを妄想している自分にはっと気づき、俺は恐怖した。
「……ああ、いや、何ということはないんだが。しばらく、その……してなかったからな。大丈夫かと思ってな」
咄嗟にごまかしてみたが、これが彼女に通じたかは定かでない。
実際、俺も自分がなぜ妹の部屋にまで降りてきたのか、はっきりと説明できないのだ。
ただ、衝動的にとしか言えない。朝も夜も消えない近親相姦の妄念から逃れたくて、ふらふらとやってきてしまったのだ。
戸惑う俺を、ルクレツィアはじっと見ている。ついこの間まではあんなに激しく俺を求めてきたというのに、今は全く冷ややかなものだ。
「そうですか。私はまだまだ、大丈夫ですよ。兄さんはどうです?」
今まで何度も俺のものを貪りザーメンを啜った赤い唇が蠢く。その瑞々しい口の端から白い精液が垂れているような幻覚を見たような気がして、一瞬俺は息を飲んだ。
息を荒げ、妹の下着姿を穴が空くほど見つめる俺を、ルクレツィアは追い出すでもなく迎え入れるでもなく、ひたすら嬉しそうに観察している。尻尾と翼を揺らしながら、無意識的に部屋へと入っていく俺に言った。
「私より、兄さんの方がずいぶん苦しそうですね。何かあったんですか? 私にできることなら、お手伝いしますよ」
放つ言葉はあくまで丁寧で、しかしその表情は淫靡。一日中俺を苛むあの黒い衝動を、彼女は理解しているのだろうか。
「ああ、苦しい。苦しいんだよルクレツィア……俺は、もうどうすればいいか」
「そうでしょうね。……分かっていますよ。射精できないんでしょう?
自分でどれだけ擦っても、満足できないんでしょう? これでも淫魔ですもの。そんなにおちんちん膨らませて、隠そうとしたって無理ですよ」
あっさりと苦しみを看破したルクレツィアは、その身を寄せて俺に抱きついてきた。魅惑の黒布で包まれた大きなおっぱいが二人の体の間でむにっと変形し、抑えこんできた衝動が爆発しそうになる。
相手は、ルクレツィアは実の妹だと自らに言い聞かせて鎮めようとしてみても、なぜ実の妹ではいけないのか、なぜ目の前の、手足が長く、腰もくびれ、おっぱいも大きいしかも自分のことを好いているらしいセクシィな美少女を抱いてはいけないのだという問いに答えることはできない。
相手が人間のルクレツィアなら、ここまで俺が惑うことは恐らく無かっただろう。
生きづらいとはいえ彼女も貴族。実の兄に犯されたりしなければ、それなりに良い旦那さんを見つけて幸せに暮らすことだって、運次第では不可能じゃなかった。
しかし相手は魔物。もはや人間社会の中で穏やかに暮らすことなど望むべくもない存在である。その魔物が、一人は嫌だ、兄さんといっしょにいたいと訴えかけてきたとしたら、俺は拒絶できない。それぐらい、俺はルクレツィアのことを大事に思っていたのだ。
どうせ二人とも真っ当に道を歩めないのなら、いっそ堕ち切ってもいいじゃないかと俺の中の獣が囁く。堕ちる道を堕ち切った先、俺とルクレツィアだけの狭い世界は、きっと凄く快適だと誰かが語る。ひんやりした柔肌を俺に押し付けて、ルクレツィアが誘惑する。
「ねえ、兄さん。イきたいんでしょう? 一人じゃ出来なくて、私にして欲しいんでしょう?
なら、ちゃんと兄さんの口からそう言って欲しいです。それで、兄さん自身の意志で私とエッチして欲しいです。嫌々、仕方なしに抱かれるのって、女としては結構傷つくものなんですよ」
事ここに至って、俺はようやく彼女の狙いが分かってきた。
先日ルクレツィアが俺の精を飲まなくてもいいといったのは、本当に精無しで生きていけるからじゃない。俺を焦らして落とすための策略だったのだ。
あの淫夢や射精不可が、どこまで彼女の仕組んだものかはわからないが、しかしサキュバスの魔力をもってすれば、一つ屋根の下に住む男一人操る程度、容易い事だろう。そのために必要な精は、俺が散々彼女の喉に注ぎ込んだ。
実の兄をその色香に狂わせて、悶えさせる彼女の策は見事に功を奏し、俺はそのことについて不快感を覚えることもなかった。むしろ、かわいいかわいい妹が何かを望んでいるのなら、それを叶えてやりたいとさえ思える。
本能に蝕まれゆく理性を必死になって支える俺。淫魔は容赦などしない。
正面から抱きつく体勢のまま、ルクレツィアはちょっと背伸びをした。もともと女性にしてはそこそこ背丈のある彼女の唇が、それによって俺の耳たぶに触れる。柔らかい肉塊を甘噛みしながら、サキュバスは囁いた。
「さあ兄さん。私に教えて?
兄さんは、誰とエッチな事がしたいの?
兄さんは、誰に射精させて欲しいの?
兄さんは、誰に赤ちゃん産んで欲しいの?
ちゃんと兄さんの口から、教えて欲しいです♪」
甘やかな声で誘われ、俺はもう耐えられなくなった。
花のように微笑む妹に種付けしたくてたまらない。フェラよりパイズリより、今はセックスがしたい。血の繋がりあった兄妹で決してしてはいけないことを今しなければ、気が狂って死んでしまいそうだ。
震える身体を抑えて、ほとんど意識しないまま懇願する。
「ルクレツィア……したい、セックスしたいんだお前と。
許してくれ、こんな兄を……!」
「はい♪ やっと言ってくれましたね、私の兄さん。震えなくっても、大丈夫です。いっぱいいっぱいイかせて、ナカですっきりさせてあげますからね……」
満面の笑みを浮かべた淫魔は、そのまま木張りの床へと俺を押し倒す。ズボンを脱がせて、勃起しきった陰茎を取り出すともどかしげに黒いパンティーを脱ぎ捨て、腰に跨った。
「じゃあ初めて同士、しましょうか。私も経験はありませんけど、なんとなくやり方は分かりますから……私に任せて、気持ちよくなってくださいね」
処女らしくぴっちり閉じたルクレツィアの陰唇は、夢の中で見たのとは違ってしっかり濡れて、俺のものを欲しがっている。熱い汁を垂れ流す膣口を亀頭に当てたと思うと、そのまま一気に飲み込んできた。
未使用の膣道が俺の形へと割り開かれ、初めて受け入れた異物を強く締め付ける。一回擦れただけなのに、下着でしたオナニーを遥かに超える快感を与えられ、俺の中に微かに残っていた倫理道徳は綺麗に砕かれた。
「ねえ、兄さ、セックス、イイでしょう? 実の兄妹だから、エッチの相性もバッチリなんですよ……」
「き、気持ちいい……! すごい、これ、やめられなくなりそう……」
「やめなくって、いいですよ……
兄さんはこれからずっと、私とセックスするだけでいいんです……起きてから、眠るまでずっと私に、中出ししてくれればいいんです……!」
人間を貪る淫魔の性か、ヴァージンであるはずのルクレツィアは血も流さず、痛みも感じていないようだった。どころか、股ぐらに突きこまれた男性器の未知なる感触に酔いしれて、軽いエクスタシーを感じているようにも見える。
「あ、あうっ、兄さんの、大きい……私のおまんこ、めりめりって……!」
俺のが大きいというよりルクレツィアのがきついんじゃないかな、と思ったが、そんなことを言ってみる余裕は無い。床にしっかりと膝をついた彼女が、激しく腰を上下に動かし始めたからだ。
人間の膣と妹の膣を比べられるような経験は無いが、しかしその気持ちよさはこの世のものでない。カズノコ天井とかミミズ千匹とか言われるのはこの事か、と思える程に細かい襞や突起、凹凸に満ちたおまんこが、大量の汁を絡めて俺の肉竿にまとわりつく。
さらに、カリ首周りの複雑な形状にぴったりフィットするのではないかと思える柔らかさは、そのきめ細かい造形と相まって一気に俺を責め立てる。今日ここに降りてくる前、ルクレツィアのパンツで3回抜いていなかったら、おそらく挿れた瞬間に射精してしまっていただろう。
我慢汁を漏らしながらも、童貞にしては頑張ってみせる俺を、淫魔はちょっと訝しげに見た。
「……兄さんは童貞だから、すぐにイッちゃうかと思っていたのに。結構耐えるんですね」
「ん、まあな……。
というか、なんでお前、俺が童貞だって知ってるんだよ。あんまりそんな話したことなかっただろ……!」
「ふふっ」
こう言うと、ルクレツィアは今までで一番魔物らしい笑い方をした。口角を釣り上げて、目を三日月型にいやらしく曲げ、舌なめずりしながら俺の疑問に答えてくれる。
「それは、そうですよ。
兄さんが他所の女に汚されないように色々手を尽くしていたのは、私なんですから。家にいた、あの口うるさくて鬱陶しい人たちも、このことだけは協力してくれましたし」
「なんだと……?」
淫魔になるより前から、ルクレツィアは俺を愛し独占しようとしていたのか。
親父共が協力した、というのはまあ分からなくもない(貴族のバカ息子といえば、荒淫や私生児のスキャンダルがつきものだからな)が、しかし妹が自ら兄を守ろうとするとは。親族は何も言わなかったのか。
「まあなんだかんだ言って私も、大事にはされていましたしね。兄さんがいれば私が落ち着くってことも、分かってくれていたみたいです。
……そのうち私が嫁に行くまでの辛抱だ、なんて思われるのはちょっと癪でしたけど」
「嫁? 貰い手が、来ていたのか?」
「ええ。まだ本決まりではない、ってことでしたけど、利益供与やら閨閥強化やらなんやら、他に候補はいない、なんて言ってましたね皆さん」
すると。
もしかするとルクレツィアも、焦っていたのか。自分がどこともしれない男に貰われるより先に、想いを遂げたかったのか。
「それで、お前は……」
「ええ。人間のままでは、兄さんは振り向いてくれないと思いました。
それでサキュバスさんにお願いしたんですよ。私をもっと魅力的にしてください、って」
そうだったのか。
それは勝てるわけがないな、と俺は素直に認めた。欲するものを手に入れるために今までの生全てを投げ打った相手を、単なる倫理や理性で退けられるはずもない。俺は、なるべくして彼女の物になったというわけだ。
心の底からルクレツィアに屈服してしまったせいか、俺の忍耐ももうそろそろ潰えそうになってきた。
ちんこを取り込んでしまいそうなほど柔らかい膣肉が、その柔軟さとは裏腹にきつくつよく締まり、一刻も早く精液を搾り取ろうとしているようだ。実の妹に中出し、という大きな禁忌を犯すのに、もはや躊躇う理由は無い。
俺の上で体全体をバウンドさせ、全身を紅潮させ喘ぎながら腰を振るルクレツィアも、それを何よりも望んでいるのだ。
「ね、え、兄さんっ! 私の、この淫魔の身体、すごいでしょうっ!? これ、兄さんのために貰ってきたんです……!
だから、兄さんだけに使って、愛して欲しいんですっ! 私に膣内射精して、赤ちゃん作って、私だけのものに……!」
今さら何も、恐れることはない。俺はただ、愛する妹を喜ばせたい気持ちで一杯だった。
何十回目か、ルクレツィアが深く腰を落とし陰茎の根元まで咥え込んだ時。プルプルして柔らかい子宮口が亀頭に強く押し当てられ、その甘やかな感触に俺は抗う間もなく射精させられた。
膣の奥に放たれた精液はパンツで搾り出していた時とは比較にならない多さで、どろどろの子種汁が実妹を孕ませるため胎に満ちていく。熱い男の液が注がれる感覚は、愛に飢えた淫魔をも快楽の高みに押し上げる。
「ふ、ああああっ!! 兄さんのせーし、熱い……私の子宮でドクンドクンって、う、あハっ……」
焦点の合わない目をしてルクレツィアは叫ぶ。手足を痙攣させながらも、貪欲な膣は俺の肉棒に食いついて離さない。どころか、射精直後の男性器をきゅうきゅうしめあげ、萎えないように、もう一度種付けできるくらい硬くしようとしている。
ルクレツィア自身も一回では収まらないらしく、うわ言のように何か呟きながら、イきながらまた腰を使い始める。精液を注がれて更に滑りのよくなった妹まんこは、今まで以上の快楽で俺を喜ばせようとしてくれる。
「ねえ、兄さん。気持ち、いいでしょう? わたしのおまんこ、中出しすればするほど、具合が良くなるんですよぉ?
だから、ね、もっといっぱい、生エッチしましょうね。いっぱいザーメン子宮に注いで、妊娠させて、下さいね……」
俺も異論は無い。ルクレツィアにももっと気持ちよくなって欲しかったから、今度は自分からも腰を使ってみた。
騎乗位の体勢で下から突き上げられると、ロストヴァージン直後の妹は高い声を上げて喜んでくれる。
長くて綺麗な髪を振り乱して、股から精液とも愛液ともつかない粘り気のある液体を垂れ流しながら実の兄を貪る彼女を見ていると、これといった理由もなしに近親相姦を嫌っていたかつての自分が馬鹿らしく思えてきた。
なぜ、近親相姦がいけないというのだ。愛し合う男女が番ってはいけない法など、この世には無い。
神は禁じるだろう。罰するだろう。それでも構わない。黒い翼と濃紫色の尾を備えたルクレツィアが、これからは俺を慈しんでくれる。俺は主神の管理を抜け出て、愛しい妹の信者となるのだ。
「愛してます、兄さん……ずっと一緒に、いてくださいね……」
「ああ、分かったよ。俺の可愛いルクレツィア」
「兄さん、兄さん……! 嬉しいです……!」
感極まった様子のルクレツィアは、俺に覆いかぶさった体勢のまま顔を寄せてきた。そのまま、潤った唇を俺の口に合わせ、舌を挿し入れ唾液を舐めとる。
遅まきながらのファースト・キスは、セックスと同じくらい俺たちの身体を熱くした。じゅるじゅる音が鳴るのも気にせず、俺と妹は貪欲に互いの口を味わい、唾を飲ませ合って愛情を確認した。
血の繋がりあった、世界で誰よりもよく自分を理解してくれる相手が目の前にいる。これ以上、何も望むべき事など無い。
目を閉じて兄妹二人だけの世界に没入しながら、俺は生まれて初めて「自由」というものを感じていた。
ある日、いつもの栄養補給を終えたルクレツィアが言った。
随分とまた急な話である。サキュバス化した妹の命を保つためとはいえ、毎晩繰り返される近親相姦まがいの行為に強い忌避感を覚えていた俺としては、そう言ってくれるのは正直言って嬉しい。のだが、やはり心配な事が一つ。
「本当か。しかし、大丈夫なのか。前みたいに、倒れたりしないのか」
「ええ。今まで兄さんに、たっぷり飲ませていただきましたもの。嫌々射精してもらう必要も、ありませんよ」
ちょっと捨て鉢な、吐き捨てるような口調で彼女は言う。
いったい如何なる心境の変化なのかは分からないが、これ以上実の妹に精飲させなくて済むならそれに越したことはない。
「うむ、分かった。苦しくなったらいつでも、呼ぶんだぞ。たまに様子を見に来るからな」
そう言って俺は、軽い足取りで地下室を出る。下半身に黒い下着一枚穿いただけのルクレツィアは、そんな俺を興味深げに見ていた。
そうして俺は、罪から解放された清々しい日々を送れるようになった。
といっても、この舘から自由に出られるわけではないし、これといってすることもない。家から持ってきた本でも読もうか、ここに来てからは正直、妹とのあれやこれやで読書どころじゃなかったからなあと、倉庫に積みっぱなしにしてあった荷物を解いてみた。
適当に実家の書棚から引っこ抜いてきた文芸書、思想書や軽い娯楽小説などいろいろな書物が出てきた。
これらを気の向いたものから読んでいけばひとまずの暇つぶしには困りそうにないし、読む物が無くなったら週に一回食べ物などを届けに来る実家からの使者に頼んで何か買ってきてもらってもいい。
対外的には、俺とルクレツィアは病気療養中ということになってるらしいから、まあその程度の要望は受け入れられるだろう。
最初に開けた箱の他にも、衣類や日用品を詰めたものたちが家から送ったままになっている。
時間もあることだし、とりあえず全部荷を解いてしまおうと手近な箱を開けると、そこには俺のではなくルクレツィアのものと思しき衣類が入っていた。
今の彼女はどういうわけか上下ともに下着だけしか着ていないが、しかしこれはこれで、必要なものだろう。
整理して箪笥にでも仕舞おうと思って上着やら靴下やらを取り出してみると、底の方から下着が見つかった。
白いブラジャーと、揃いのパンティー。新品ではなくある程度使われた形跡があることから、かつて家で妹が身に着けていたものだと分かる。
その白い下着から、どういうわけか俺は目を離せなくなっていた。
何度か洗濯されたせいか少しくたびれたところはあるものの、汚れもシミもない綺麗なブラとパンツ。
何ということない、単なる、家族の身に着けていた服。特に意識することなど無い、意識してはいけないはずのそれに俺はいつの間にか手を伸ばしていた。
清楚な白い布地。華美でなく、それでいて手の込んでいそうなレースの縁取り。中サイズのおっぱいを包むブラと薄くて脆そうなパンティーを握りしめ、俺ははっと我に返った。
今俺は、何を考えていた。散々、近親相姦はいかんと言っていた癖に、妹の下着を掴んで、一体どうしようとしていたのだ。
ひんやりした絹に妹の甘い残り香を感じたような気がして、俺は喜んではいなかったか。
「……バカバカしいっ!」
俺は勢いをつけて、手に持ったパンティーとブラを箱に投げ入れた。
男性ならば、女性の下着に多少興味が湧くのは当然だ。俺は妹の下着に興奮したんじゃない。
かすかに残ったルクレツィアの汗の匂いとか、見えるか見えないかという程度の汚れに気を惹かれることなど有り得ない。
こんなものは、単なる気の迷いだ。
ちょっと舐めてみたいとか、匂いを嗅いでみたいなんて思っちゃいない。俺は決して妹に誘惑されて、本気になりつつあるわけじゃない。
誰にともなく、俺は弁解していた。
数日後。
本を読む気分でもなく、かといって他に気晴らしのアテも無い俺は、不意に強い性欲を覚えた。
ここに来てからというものの、毎晩妹にしゃぶられていたせいで自発的に射精したくなることは全く無かったのだが、しばらく地下にも行っていないせいでいつの間にか溜まっていたらしい。
部屋に戻り、ズボンを脱いでさあ一仕事、と始めたはいいが、何かがおかしい。
俺のものはちゃんと勃起はするし、擦って刺激すれば我慢汁も出る。しかし、どれだけ頑張っても解放に至れないのだ。
右腕がだるくなるくらいしごき続けても、透明な汁をだらだら漏らすだけで俺の陰茎はいつまでたっても絶頂しない。
普通の倍くらい長く自分を慰め続けた果て、ついにくたびれて俺はベッドに倒れこんだ。
一体これは、どうしたことだ。勃起不全、ではないのだが、射精できないのはなぜだ。
そう考える俺の脳裏に、かわいい妹の顔が浮かぶ。
ついこの間まで、毎晩毎晩旨そうに俺のちんこを舐め舐めしていたルクレツィア。あいつの赤くて意外と長い舌で亀頭をじゅるじゅる味わわれるのは、俺の手なんかよりずっと気持ちよかった。
と、まただ。さっきの下着もそうだが、実の妹をいやらしい目で見るなんて、あってはならないという以前に本来ならあり得ないことなのに。
貴族の家庭は平民よりも閉鎖的で、純粋な血統を尊ぶこともあって近親交配が起こりやすいなんて前に読んだ本にも書いてあったが、我がメルドリッチ家では兄妹婚はおろか、いとこ婚すらも忌避されている。
だから、そのメルドリッチ家の一員である俺がルクレツィアに欲情することなどあり得ない。あいつに口や手や胸でしてもらわなければ射精できないなんて、あるわけない。
理屈にもなっていないそんな繰り言を唱えながら、俺は布団をかぶった。
きっとこれは一時的なものだ。一晩寝て起きれば、何もかも元通りになっているはずだと、儚い望みを託しながら。
眠っているときに、夢を見た。
サキュバスになるよりずっと前の、十代半ばくらいのルクレツィアが出てくる夢だった。
腕も足もぴちぴちして若々しく、胸や尻の肉付きも薄いまだまだ未成熟な彼女を、背後から組み伏せて犯していたのだ。
俺は机に彼女の上半身を押し付けて、両手を背中の方へ締め上げて自由を奪っていた。
全身で暴れて、泣き叫んで陵辱者の手から逃れようとする妹の口に、無理やり脱がした水色のパンティーを突っ込んで黙らせる。自分のズボンを脱ぎ捨てると、凶悪に硬くなったものが露になった。
ルクレツィアはそれを見て、実の兄が何をしようとしているのか悟ったらしい。
涙目になって、くぐもった叫び声を上げながらなんとか慈悲を乞おうとしているらしいが、夢の中の俺は気にも留めない。
スカートを捲りあげて、毛も満足に生え揃っていない処女の膣を見てしまうと夢の中の俺は全身が熱くなって、いよいよ引き返せないところまで興奮してしまった。
まだ男とセックスできる状態になく、愛液なんてちっとも分泌されていない乾いた膣に自分の肉棒を無理やりねじ込んでやると、めりめりという音をたてて未成熟な膣肉が裂けた。
自分の身に余る剛直をその小さな身体に突き挿された幼いルクレツィアは、股から破瓜の鮮血を流して苦悶する。
涙をぽろぽろ流し、泣き声をあげて望まない処女喪失の痛みに苦しむ妹の姿に背徳感と官能を強く刺激された俺は、右手で妹の上半身を膨らみかけの乳房が潰れてしまうくらい強く机の天板に押し付け、強引に腰を使い始めた。
俺が一回腰を往復させるごとに、犯されているルクレツィアは助けてとか許してとかなんとか言っているようだったが、猿轡代わりのパンティーが役に立ってその声は誰にも届かない。
まだまだあどけないところの残る少女、それも実の妹を無理やり犯すというこの行為はこの上なく魅力的で、快楽に溺れていた俺はすぐに限界に達してしまった。
生理が来ているかどうかも怪しい子宮を太くて長い大人の男根で蹂躙され、処女ながらに何かおぞましいものを感じ取ったのか、ルクレツィアは激しく首を振って拒む。が、破壊衝動と性欲だけの存在となり果てた夢の中の俺にとってそんなものは考慮に値しない。
後頭部の髪を掴んで彼女の顔面を机に打ち付け、一発で黙らせると俺はラストスパートを掛けた。
純潔の証で濡れる膣壁はきつく締まって侵入者を拒むが、却ってそれが快感となる。少女の狭い女性器の奥、無理やり突っ込んだ肉槍が犯す子宮口に、大量の精液をぶちまけた。
「……! ん、む、んむぅ! ……!!」
膣内射精と受精の恐怖ゆえか、妹は何か呻いていた。
処女喪失と同時に中出しを決められた彼女の気持ちは俺には推察できないが、欲望のままに肉親を犯し子供を孕ませるのはとても気持ち良かった。
白い精液と赤い血が混じりあって妹の陰唇がピンク色に染まっていくのを見て、俺はただ満足していた。
「……う、あああっ!!」
おぞましすぎる夢にうなされて、俺は飛び起きた。
まだ、普段起きる時刻よりはだいぶ早い。朝日が昇って間もないと思われる時間、俺ははぁはぁと息を切らしていた。
「な、なんなんだ、あれは……」
さっきの夢は無論、過去の回想などではない。俺はルクレツィアを犯したことも、犯そうと思ったこともない。
「夢は無意識下に抑圧された願望の発露である」という、前に本で読んだ記述を俺は意図的に思い出さないようにしていた。昨日ルクレツィアの顔を思い浮かべながら射精しようとして果たせなかったことと、さっきの夢を併せて考えるのも嫌だった。
「くそ。何だってんだよ」
一人悪態をついて俺はベッドから出た。じっとりした嫌な感じの寝汗をかきすぎて、もう一度眠る気にはなれなかった。
食堂へ赴き、普段よりも二時間は早い朝食を摂る。
最後に会った日以来何も言ってこないルクレツィアのことが気に掛かるが、今彼女に会うと何か思いも寄らないことを言ってしまいそうな気がする。
適当に作った朝食を終え、俺は自分の部屋へ戻った。
しかし椅子に座って寛いでみても、夢のせいか、どうにも心がざわざわして落ち着かない。いつの間にか勃起していた男性器を掴んでみても、焦らされるばかりでちっともすっきりできない。
どうにもならなくなった俺は、気晴らしを求めて再び荷物の置いてある倉庫へ行って手近な箱を漁ってみた。そこで手に当たったのは、昨日投げ入れたルクレツィアのパンティーとブラジャー。
その柔らかな感触に、俺は手を離せなくなってしまった。同時に、もしかしたら、という暗い期待が心に満ちる。
もしかしたら、妹の下着を使ってオナニーすれば絶頂に至れるかもしれない。そんな変態的な考えを、選択肢の一つとして真剣に検討し始めている自分がいた。
理性はそんなことするな、やめろと叫んでいるが、一方では下着を使うくらいならどうということはない、近親相姦には当たらないというもっともらしい声も聞こえてくる。
この下着で自分を鎮めれば、あの悪夢のように性欲のままに妹を貪ってしまわずに済む、と歪んだ欲望をそれらしく取り繕った意見を採用した俺は、ズボンをおろして陰茎にパンティーを巻きつけ、先端をブラジャーの裏側、胸に当たっていた辺りでこすり始めた。
単なる布に過ぎないはずのそれらが生み出す快楽は予想以上に激しく、今まであんなに頑張って擦って、それでも絶頂出来なかったのが嘘のように俺はあっさり射精した。
ブラジャーのカップ部分に、数日溜め込んだにしては少ないザーメンを注ぎながら、俺は強い自己嫌悪に陥っていた。
どんなに言い訳してみても、妹の下着で自慰するなんて変態のやることだ。妹を傷付けないため、とかいって自分を正当化してみたが、そもそも妹に性欲が向かうということ自体異常なことだ。
それに、あの時俺は妹を守りたかったんじゃない。勃起だけして射精できないのが苦しくて、ルクレツィアのパンツでオナニーしたくて、あんな理由づけをしたのだ。結局俺は、自分の欲望を晴らしたかっただけなのだ。
胸カップの中で揺れる精液が、俺の罪を逃れようなく示していた。
それからの日々は、地獄だった。
一度オナニーしてもなかなか性欲は治まらず、いつしか俺は妹の下着で一日に二度も三度も自慰するようになっていた。
それでもなかなか、最初に意図したような解放は訪れない。朝、体が目覚めきっていない状態で無理やり朝立ちをしごいて射精したときのように、快感も射精量も少なくただただ疲れるだけのオナニーを俺は何度も繰り返した。
夜は夜で、あの日見たような淫夢が毎晩俺を苛む。
妹の外見年齢はまちまちで、十代前半から今と変わらないくらいまで日によっていろいろ。しかしシチュエーションはいつも同じで、嫌がるルクレツィアを俺が力づくで制して、有無を言わさず処女を奪って膣内射精するというもの。
そのあまりの罪深さに、俺は毎日消耗していった。
「そうだ、ルクレツィア。ルクレツィアの様子を見に行こう」
眠れば悪夢、目覚めれば背徳。
昼も夜もなく妹の幻影に責められ続けていた俺は、ある日そう思い立った。
だいたい一週間程、彼女には精を与えていないことになる。もしかしたら、地下で声も出せないほどの餓えに苦しんでいるのかもしれない。
もしそうだとしたら、やはり自分が行ってザーメンを飲ませてやらねばならない。そうしなければ、サキュバスは死んでしまうというのだから。淫魔の妹を救うためには俺がそうする他ないのだから。
呪文のようにつぶやき、自分に言い聞かせながら俺は地下への階段を下っていった。
連日の消耗により俺の足元は覚束ない。定まらない足取りでふらふらと螺旋階段を降りるも、どういうわけか妹のことを考えていたら転ぶことも落ちることも無く下まで辿りつけた。
明かりが無いため薄暗い廊下を歩き、突き当たりの扉を開ける。
部屋に入ってみると、前に会った時と変わらず悠然たる面持ちでルクレツィアが立っていた。
「あら、いらっしゃい兄さん。何か用事ですか?」
やはり上下、黒の下着一枚づつのみを身に着けた淫魔は、涼し気な顔つきで俺に問いかける。しばらく精を絶っていたにしてはやけにクールな感じの彼女だが、しかし一方で俺は全身が熱くなるのを感じていた。
何度も使ってしまったせいですっかり妹の下着を性的な対象として見てしまっている俺だが、しかし下着単体よりも妹に着用されているそれのほうが何倍も蠱惑的だ。
魔物の新陳代謝は人よりも鈍いのだろうか、ルクレツィアが前からずっと身に着けている上下の下着は、交換されたり洗濯されたりした様子も無いのにこれといった汚れもなく、綺麗なままである。
黒いため汚れが目立たないだけかもしれないが、しかしルクレツィアも女性、汚い服をいつまでも好んできていたがるとは思えない。
垢や汗は付いていなさそうだが、それでも長いこと彼女の肌に密着していたのは間違いないところ。
もしかしたら、あの荷物の中にあったブラやパンティよりもずっと強く、持ち主の匂いが染み付いているかもしれない。もしかしたら、俺のを舐めているときに漏れた愛液が少し残っているかもしれない。股間の布に、いやらしい粘液が残っているかもしれない。
そんな風に考えてしまうと、彼女の黒下着が今まで散々弄んできた白下着よりも何倍も魅力的に思えてきて、俺はまた自分の股間を膨らませてしまった。
あれでオナニーしたら、どんなに気持ちいいだろう。あのパンティーでしごいて、あのブラに射精できたらどんなに気持ちいいだろう。抵抗なくそんな気持ち悪いことを妄想している自分にはっと気づき、俺は恐怖した。
「……ああ、いや、何ということはないんだが。しばらく、その……してなかったからな。大丈夫かと思ってな」
咄嗟にごまかしてみたが、これが彼女に通じたかは定かでない。
実際、俺も自分がなぜ妹の部屋にまで降りてきたのか、はっきりと説明できないのだ。
ただ、衝動的にとしか言えない。朝も夜も消えない近親相姦の妄念から逃れたくて、ふらふらとやってきてしまったのだ。
戸惑う俺を、ルクレツィアはじっと見ている。ついこの間まではあんなに激しく俺を求めてきたというのに、今は全く冷ややかなものだ。
「そうですか。私はまだまだ、大丈夫ですよ。兄さんはどうです?」
今まで何度も俺のものを貪りザーメンを啜った赤い唇が蠢く。その瑞々しい口の端から白い精液が垂れているような幻覚を見たような気がして、一瞬俺は息を飲んだ。
息を荒げ、妹の下着姿を穴が空くほど見つめる俺を、ルクレツィアは追い出すでもなく迎え入れるでもなく、ひたすら嬉しそうに観察している。尻尾と翼を揺らしながら、無意識的に部屋へと入っていく俺に言った。
「私より、兄さんの方がずいぶん苦しそうですね。何かあったんですか? 私にできることなら、お手伝いしますよ」
放つ言葉はあくまで丁寧で、しかしその表情は淫靡。一日中俺を苛むあの黒い衝動を、彼女は理解しているのだろうか。
「ああ、苦しい。苦しいんだよルクレツィア……俺は、もうどうすればいいか」
「そうでしょうね。……分かっていますよ。射精できないんでしょう?
自分でどれだけ擦っても、満足できないんでしょう? これでも淫魔ですもの。そんなにおちんちん膨らませて、隠そうとしたって無理ですよ」
あっさりと苦しみを看破したルクレツィアは、その身を寄せて俺に抱きついてきた。魅惑の黒布で包まれた大きなおっぱいが二人の体の間でむにっと変形し、抑えこんできた衝動が爆発しそうになる。
相手は、ルクレツィアは実の妹だと自らに言い聞かせて鎮めようとしてみても、なぜ実の妹ではいけないのか、なぜ目の前の、手足が長く、腰もくびれ、おっぱいも大きいしかも自分のことを好いているらしいセクシィな美少女を抱いてはいけないのだという問いに答えることはできない。
相手が人間のルクレツィアなら、ここまで俺が惑うことは恐らく無かっただろう。
生きづらいとはいえ彼女も貴族。実の兄に犯されたりしなければ、それなりに良い旦那さんを見つけて幸せに暮らすことだって、運次第では不可能じゃなかった。
しかし相手は魔物。もはや人間社会の中で穏やかに暮らすことなど望むべくもない存在である。その魔物が、一人は嫌だ、兄さんといっしょにいたいと訴えかけてきたとしたら、俺は拒絶できない。それぐらい、俺はルクレツィアのことを大事に思っていたのだ。
どうせ二人とも真っ当に道を歩めないのなら、いっそ堕ち切ってもいいじゃないかと俺の中の獣が囁く。堕ちる道を堕ち切った先、俺とルクレツィアだけの狭い世界は、きっと凄く快適だと誰かが語る。ひんやりした柔肌を俺に押し付けて、ルクレツィアが誘惑する。
「ねえ、兄さん。イきたいんでしょう? 一人じゃ出来なくて、私にして欲しいんでしょう?
なら、ちゃんと兄さんの口からそう言って欲しいです。それで、兄さん自身の意志で私とエッチして欲しいです。嫌々、仕方なしに抱かれるのって、女としては結構傷つくものなんですよ」
事ここに至って、俺はようやく彼女の狙いが分かってきた。
先日ルクレツィアが俺の精を飲まなくてもいいといったのは、本当に精無しで生きていけるからじゃない。俺を焦らして落とすための策略だったのだ。
あの淫夢や射精不可が、どこまで彼女の仕組んだものかはわからないが、しかしサキュバスの魔力をもってすれば、一つ屋根の下に住む男一人操る程度、容易い事だろう。そのために必要な精は、俺が散々彼女の喉に注ぎ込んだ。
実の兄をその色香に狂わせて、悶えさせる彼女の策は見事に功を奏し、俺はそのことについて不快感を覚えることもなかった。むしろ、かわいいかわいい妹が何かを望んでいるのなら、それを叶えてやりたいとさえ思える。
本能に蝕まれゆく理性を必死になって支える俺。淫魔は容赦などしない。
正面から抱きつく体勢のまま、ルクレツィアはちょっと背伸びをした。もともと女性にしてはそこそこ背丈のある彼女の唇が、それによって俺の耳たぶに触れる。柔らかい肉塊を甘噛みしながら、サキュバスは囁いた。
「さあ兄さん。私に教えて?
兄さんは、誰とエッチな事がしたいの?
兄さんは、誰に射精させて欲しいの?
兄さんは、誰に赤ちゃん産んで欲しいの?
ちゃんと兄さんの口から、教えて欲しいです♪」
甘やかな声で誘われ、俺はもう耐えられなくなった。
花のように微笑む妹に種付けしたくてたまらない。フェラよりパイズリより、今はセックスがしたい。血の繋がりあった兄妹で決してしてはいけないことを今しなければ、気が狂って死んでしまいそうだ。
震える身体を抑えて、ほとんど意識しないまま懇願する。
「ルクレツィア……したい、セックスしたいんだお前と。
許してくれ、こんな兄を……!」
「はい♪ やっと言ってくれましたね、私の兄さん。震えなくっても、大丈夫です。いっぱいいっぱいイかせて、ナカですっきりさせてあげますからね……」
満面の笑みを浮かべた淫魔は、そのまま木張りの床へと俺を押し倒す。ズボンを脱がせて、勃起しきった陰茎を取り出すともどかしげに黒いパンティーを脱ぎ捨て、腰に跨った。
「じゃあ初めて同士、しましょうか。私も経験はありませんけど、なんとなくやり方は分かりますから……私に任せて、気持ちよくなってくださいね」
処女らしくぴっちり閉じたルクレツィアの陰唇は、夢の中で見たのとは違ってしっかり濡れて、俺のものを欲しがっている。熱い汁を垂れ流す膣口を亀頭に当てたと思うと、そのまま一気に飲み込んできた。
未使用の膣道が俺の形へと割り開かれ、初めて受け入れた異物を強く締め付ける。一回擦れただけなのに、下着でしたオナニーを遥かに超える快感を与えられ、俺の中に微かに残っていた倫理道徳は綺麗に砕かれた。
「ねえ、兄さ、セックス、イイでしょう? 実の兄妹だから、エッチの相性もバッチリなんですよ……」
「き、気持ちいい……! すごい、これ、やめられなくなりそう……」
「やめなくって、いいですよ……
兄さんはこれからずっと、私とセックスするだけでいいんです……起きてから、眠るまでずっと私に、中出ししてくれればいいんです……!」
人間を貪る淫魔の性か、ヴァージンであるはずのルクレツィアは血も流さず、痛みも感じていないようだった。どころか、股ぐらに突きこまれた男性器の未知なる感触に酔いしれて、軽いエクスタシーを感じているようにも見える。
「あ、あうっ、兄さんの、大きい……私のおまんこ、めりめりって……!」
俺のが大きいというよりルクレツィアのがきついんじゃないかな、と思ったが、そんなことを言ってみる余裕は無い。床にしっかりと膝をついた彼女が、激しく腰を上下に動かし始めたからだ。
人間の膣と妹の膣を比べられるような経験は無いが、しかしその気持ちよさはこの世のものでない。カズノコ天井とかミミズ千匹とか言われるのはこの事か、と思える程に細かい襞や突起、凹凸に満ちたおまんこが、大量の汁を絡めて俺の肉竿にまとわりつく。
さらに、カリ首周りの複雑な形状にぴったりフィットするのではないかと思える柔らかさは、そのきめ細かい造形と相まって一気に俺を責め立てる。今日ここに降りてくる前、ルクレツィアのパンツで3回抜いていなかったら、おそらく挿れた瞬間に射精してしまっていただろう。
我慢汁を漏らしながらも、童貞にしては頑張ってみせる俺を、淫魔はちょっと訝しげに見た。
「……兄さんは童貞だから、すぐにイッちゃうかと思っていたのに。結構耐えるんですね」
「ん、まあな……。
というか、なんでお前、俺が童貞だって知ってるんだよ。あんまりそんな話したことなかっただろ……!」
「ふふっ」
こう言うと、ルクレツィアは今までで一番魔物らしい笑い方をした。口角を釣り上げて、目を三日月型にいやらしく曲げ、舌なめずりしながら俺の疑問に答えてくれる。
「それは、そうですよ。
兄さんが他所の女に汚されないように色々手を尽くしていたのは、私なんですから。家にいた、あの口うるさくて鬱陶しい人たちも、このことだけは協力してくれましたし」
「なんだと……?」
淫魔になるより前から、ルクレツィアは俺を愛し独占しようとしていたのか。
親父共が協力した、というのはまあ分からなくもない(貴族のバカ息子といえば、荒淫や私生児のスキャンダルがつきものだからな)が、しかし妹が自ら兄を守ろうとするとは。親族は何も言わなかったのか。
「まあなんだかんだ言って私も、大事にはされていましたしね。兄さんがいれば私が落ち着くってことも、分かってくれていたみたいです。
……そのうち私が嫁に行くまでの辛抱だ、なんて思われるのはちょっと癪でしたけど」
「嫁? 貰い手が、来ていたのか?」
「ええ。まだ本決まりではない、ってことでしたけど、利益供与やら閨閥強化やらなんやら、他に候補はいない、なんて言ってましたね皆さん」
すると。
もしかするとルクレツィアも、焦っていたのか。自分がどこともしれない男に貰われるより先に、想いを遂げたかったのか。
「それで、お前は……」
「ええ。人間のままでは、兄さんは振り向いてくれないと思いました。
それでサキュバスさんにお願いしたんですよ。私をもっと魅力的にしてください、って」
そうだったのか。
それは勝てるわけがないな、と俺は素直に認めた。欲するものを手に入れるために今までの生全てを投げ打った相手を、単なる倫理や理性で退けられるはずもない。俺は、なるべくして彼女の物になったというわけだ。
心の底からルクレツィアに屈服してしまったせいか、俺の忍耐ももうそろそろ潰えそうになってきた。
ちんこを取り込んでしまいそうなほど柔らかい膣肉が、その柔軟さとは裏腹にきつくつよく締まり、一刻も早く精液を搾り取ろうとしているようだ。実の妹に中出し、という大きな禁忌を犯すのに、もはや躊躇う理由は無い。
俺の上で体全体をバウンドさせ、全身を紅潮させ喘ぎながら腰を振るルクレツィアも、それを何よりも望んでいるのだ。
「ね、え、兄さんっ! 私の、この淫魔の身体、すごいでしょうっ!? これ、兄さんのために貰ってきたんです……!
だから、兄さんだけに使って、愛して欲しいんですっ! 私に膣内射精して、赤ちゃん作って、私だけのものに……!」
今さら何も、恐れることはない。俺はただ、愛する妹を喜ばせたい気持ちで一杯だった。
何十回目か、ルクレツィアが深く腰を落とし陰茎の根元まで咥え込んだ時。プルプルして柔らかい子宮口が亀頭に強く押し当てられ、その甘やかな感触に俺は抗う間もなく射精させられた。
膣の奥に放たれた精液はパンツで搾り出していた時とは比較にならない多さで、どろどろの子種汁が実妹を孕ませるため胎に満ちていく。熱い男の液が注がれる感覚は、愛に飢えた淫魔をも快楽の高みに押し上げる。
「ふ、ああああっ!! 兄さんのせーし、熱い……私の子宮でドクンドクンって、う、あハっ……」
焦点の合わない目をしてルクレツィアは叫ぶ。手足を痙攣させながらも、貪欲な膣は俺の肉棒に食いついて離さない。どころか、射精直後の男性器をきゅうきゅうしめあげ、萎えないように、もう一度種付けできるくらい硬くしようとしている。
ルクレツィア自身も一回では収まらないらしく、うわ言のように何か呟きながら、イきながらまた腰を使い始める。精液を注がれて更に滑りのよくなった妹まんこは、今まで以上の快楽で俺を喜ばせようとしてくれる。
「ねえ、兄さん。気持ち、いいでしょう? わたしのおまんこ、中出しすればするほど、具合が良くなるんですよぉ?
だから、ね、もっといっぱい、生エッチしましょうね。いっぱいザーメン子宮に注いで、妊娠させて、下さいね……」
俺も異論は無い。ルクレツィアにももっと気持ちよくなって欲しかったから、今度は自分からも腰を使ってみた。
騎乗位の体勢で下から突き上げられると、ロストヴァージン直後の妹は高い声を上げて喜んでくれる。
長くて綺麗な髪を振り乱して、股から精液とも愛液ともつかない粘り気のある液体を垂れ流しながら実の兄を貪る彼女を見ていると、これといった理由もなしに近親相姦を嫌っていたかつての自分が馬鹿らしく思えてきた。
なぜ、近親相姦がいけないというのだ。愛し合う男女が番ってはいけない法など、この世には無い。
神は禁じるだろう。罰するだろう。それでも構わない。黒い翼と濃紫色の尾を備えたルクレツィアが、これからは俺を慈しんでくれる。俺は主神の管理を抜け出て、愛しい妹の信者となるのだ。
「愛してます、兄さん……ずっと一緒に、いてくださいね……」
「ああ、分かったよ。俺の可愛いルクレツィア」
「兄さん、兄さん……! 嬉しいです……!」
感極まった様子のルクレツィアは、俺に覆いかぶさった体勢のまま顔を寄せてきた。そのまま、潤った唇を俺の口に合わせ、舌を挿し入れ唾液を舐めとる。
遅まきながらのファースト・キスは、セックスと同じくらい俺たちの身体を熱くした。じゅるじゅる音が鳴るのも気にせず、俺と妹は貪欲に互いの口を味わい、唾を飲ませ合って愛情を確認した。
血の繋がりあった、世界で誰よりもよく自分を理解してくれる相手が目の前にいる。これ以上、何も望むべき事など無い。
目を閉じて兄妹二人だけの世界に没入しながら、俺は生まれて初めて「自由」というものを感じていた。
11/10/09 17:10更新 / ナシ・アジフ
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