猫又の皿
「誰かを騙そうとしているやつを騙すことほど簡単なことはない」という教訓は、確かに貴重なものではあったが、しかし自分の身をもってしてまで学びたくはなかった。
茶屋で、一見地味な、ごくありふれた皿に盛られた餌を食っている猫を見かけたのがそもそもの発端。
素人目には単なる皿に映るであろうその逸品が、その実、高名な陶芸家の手になる物であると見抜いてしまった瞬間、俺は罠に掛かっていたのだ。
直接皿をくれなどと言っては怪しまれよう、と賢しらに、店主に猫を譲ってくれと交渉を持ちかける。なんのかんのと渋る店主を説き伏せ、結局二両で手を打つこととなった。
交渉がまとまり、さあ皿を持って行こうとした瞬間。その皿は貴重なものだから持って行くなと言われた。
驚きのあまり、じゃあ何故、貴重なものと分かっていて猫の餌やりに使っていたのだと聞いたところ、店主の答えて曰く。
「こうしておりますと、時々猫が二両で売れます」
何のことはない。かつがれていたのは俺の方だったというわけである。
そうして、二両の金にはとても釣合いそうにない、ごく平凡な茶トラの猫を両手に抱えて家に連れ帰らざるを得なくなってしまったわけだ。
もともと欲しくて買った猫でもないし、その辺に捨ててしまおうかとも思ったのだが、やはり生き物をモノの様に打ち捨てるというのは良心が痛む。
腕の中で、妙に意味ありげにこちらをじっ……と見上げられると、なんだか縋られているような気もして、ますます気が咎める。
気ままな独身ぐらし、愛玩動物の一匹飼うくらい誰に憚るものでもないし、庭にでも放しておけば手前勝手な猫の事、何処へなり好きなところへ行くだろう、などと大損失に落ち込む俺自身に言い聞かせ、ふらふらと家路に着いた。
帰る途中、袋も籠もなかったため、件の猫を両手で抱えて帰ることとなったが、流石は元飼い猫というべきか、両手で持ち運ばれていても暴れたり逃げようとしたりすることは無い。
時折、身をよじるようにして体勢を変えたりはしていたが、動きに合わせて抱えなおしてやると、ふっと脱力し、気が抜けたように大人しくなるのだ。
木造平屋の我が家に辿り着き、猫を地面に降ろしてやると、チラチラとこちらの様子を伺いながら土間の隅へと歩いて行った。座り込み、何処か粘っこい、値踏みするような目で俺の方を見つめるその眼光が、やけに印象に残った。
「……猫相手に、馬鹿か俺は。晩飯でも食って、さっさと寝ちまおう」
吐き捨てて、台所に残った米と有り合わせの野菜で一食でっち上げることにした。
自分の食い物は自分で用意せねばならんのが独り身の悲しさ。余程上手に作れない限り、自分で作った料理を自分で食っても大して楽しくもない。
平々凡々な出来の、旨くもなく不味くもない、無味乾燥な食事の並んだちゃぶ台に一人向かっていると、いつの間にか家に上がってきていた猫がにゃあと鳴いた。
「なんだ。お前も腹が減ったのか」
にやああー、という返事が妙に人間臭く、思わず吹き出してしまった。余った皿の一枚(これは本当にただの皿だ)に鰹節を山盛りにして出してやると、まさしく猫まっしぐら。
しゃっく、しゃくと小気味良い音を立てて、貧相な食事を文句も言わず楽しむ新しい同居人を見ていると、味気ない夕食も何処か色づいたように感じられた。
「美味いか？」
答えを期待せずに聞いてみると、意外にも猫は律儀に食事を中止し、にゃあーと返事をしてくれた。何が言いたかったのか、猫語が分かる筈も無い俺だが、少なくとも一時安らぐことはできた。
「……二両取られたのは痛かったが、これはこれで悪くないな」
なーお、という鳴き声が、その独り言に賛同するように聞こえたのは、俺の気のせいだっただろうか。
食事を終わらせ食器を片付け、することもないしそれ以上に金が無いしで、さっさと布団を敷いて寝ようとしたところ。長らく洗っていない敷き布団の、隅の油汚れがその上に寝転がる気を失せさせてくれた。
男の一人暮らしなら何処もこんなものかもしれないが……俺が外で金を稼いでくる間、家内のことを片付けてくれる人でも居れば、毎日綺麗な布団で眠れるのになあ、などと思うと、急に一人寝が寂しくなってきた。
昼、まんまと出し抜かれ、気弱になっていたせいもあったろう、誰にともなく、俺はつぶやいていた。
「……ああ、嫁さん欲しいなあ」
「私がいるじゃニャいか！」
「！？」
何だ。若い女の声だったが、まさか物取りか。幸か不幸か、今の我が家には何も盗むべきものなど無いというのに。
「誰だ！」
「自分で買っておいて、誰だ、も無いニャ。この猫、見忘れたとは言わさんニャー」
部屋の向こうから現れたのは、裾の短い浴衣のようなものを身につけた、奇妙な女だった。
一見すると人間の女、それも十代後半くらいの、眼がぱっちりして非常に可愛らしい美少女である。しかし、暗がりに紛れてもなお隠し難い、異形なる物を、その少女は数多く有していた。
頭の上に立つ、一対の三角耳。
腰の辺りから伸びているらしい、二本の尻尾。
四本指に、大きな肉球を備えた手足。
それら全てが、薄茶色の短い毛に覆われている。
人と猫の特徴を併せ持つ、妖怪といえば。
「化け猫！？」
「違うニャ！ ネコマタニャ！」
どう違うんだよ。反射的に突っ込みかけたが、しかし今はもっと重要なことがある。
「ネコマタだかなんだかしらんが、お前は誰だ。自分で買っておいて、ってどういう事だ」
今日俺が買ったものといえば、二両の猫以外に無いぞ。言いかけて、ふとその高級猫の姿が見えないことに気づく。部屋中見回し、不思議がる俺を謎の女は何故か得意げに見てきた。
「分からんかニャ？ 私が、その猫ニャ。猫でなく人でもない、由緒正しきネコマタなのニャ」
名前は伊勢だニャ。そう言って、少女は薄い胸を張って見せる。
谷間と呼べる物はほとんど出来ない、小さく貧しい胸だったが、一重の着物にはそれがよく似合っていた。細い鎖骨や、肉付きの薄い、ほっそりした太ももと相まって、少女らしい、未完成な故の危うさ、何処か背徳的な艶めかしさといったものを感じさせる。
萌えている場合ではない。
「本当か。お前が、あの猫だってのか」
金額を知っているということは、やはり例の猫がこの少女に化けたということで、間違いないのだろうか。耳やら尻尾やらの質感はどうみても本物で、少なくともこいつが変装した女盗賊でないことは分かる。
「そうだニャ。猫の姿を借りて、理想の旦那さんを探していたのニャ」
「なるほどねえ。ネコマタ……か。猫が人間になるなんて、不思議なこともあるもんだな……」
まあ、ここはジパング。狐の神や蜘蛛女が人間の男を婿に取る話なんてものも、ちょくちょく聞かれる国である。猫が人に化けるくらい、なんということはないのかもしれない。
「そして私は猫にして、今夜からご主人のお嫁さんなのニャ」
何故だ。何故いきなりそんな話になる。
「おい、どういう事だ」
「猫として、いろんなところを回ってきた私ニャけど、あんなに熱烈に求められたのは初めてだったニャ……♪ 大してお金も持ってないだろうに、二両払ってまで私が欲しい、なんて……」
「ほっとけ！」
「ご主人の一途な口説きに、私の乙女心は完全に奪われてしまったのニャ。喜んで、ご主人のものになるニャ。不束者ですが、よろしくお願い致しますニャ」
なんということだ。茶碗目当てでした交渉を、この猫女は身請けの話かなんかだと思い込んでしまったらしい。確かに、猫を買おうと交渉したのは事実なのだが。
「あー……いや、その、なんだ……」
「本当はもうちょっと様子を見ても良かったんニャが、『嫁が欲しい』なんて言われちゃもう我慢ならんニャ。
謹んで、私を差し上げるのニャ。二両分の働きは、きっとしてみせるニャ。損はさせないニャ」
真摯で折り目正しいその様に、俺は思わず言葉に詰まる。
端的に言ってしまうと、嫁云々の話はこのネコマタの勘違いなわけだが、可憐な美少女にこうまで言われて、いや実は俺お前のことが欲しかった訳じゃないんだよなんて、とても言えん。
と、俺が一人煩悶していると、伊勢がこちらににじり寄ってきた。その眼は猫らしく金色に光り輝き
、また瞳孔は奇妙なほど大きく開かれていた。
「ニャッフッフッフ……♪ 早速、新妻のお勤めを果たすのニャ……」
「！？」
布団に座った俺を、猫が獲物を見る目で捉える。
両膝と両手を床に突き、ジリジリとこちらへ這い寄ってくる。姿勢を下げられると、浴衣の首元から薄く可愛らしい乳房や桃色の綺麗な乳首が垣間見えそうで、劣情に身が硬くなる。
俺の視線に気づいているのかいないのか、にやりにやりといやらしい笑みを浮かべた伊勢はついに俺と顔を付き合わせるところまで近寄ってきた。
「お、おい、お勤め、って……」
「そりゃあ勿論、夜のお勤め、だニャ。旦那様のお情け、下さいニャ？」
「いや待て、いくらなんでも今日会ったばっかりで……」
「帰ってくる途中、ご主人の大きな手でずっと抱きしめられてて、堪んなかったニャ……♪ その上、聞えよがしに嫁が欲しいなんて言われちゃ、もうどうにも止まらんニャ。好き好き大好き超愛してるニャー♪」
ぴょーん、とまさしく鼠に跳びかかる猫の如きバネで、伊勢は俺を布団に押し倒した。モフモフの獣手で、器用にも俺の服を下からぱっぱっと脱がしていく。動転していた俺は抵抗らしい抵抗もできず、あっと言う間に剥かれてしまった。
「ニャフフ、なんだかんだ言って、ご主人もヤル気じゃニャいか♪ そんなに私の胸チラで、興奮したのニャ？」
こいつ、やっぱり気づいてやがった。幼くも肉感的な肢体のネコミミ美少女に身体の関係を迫られ、いつのまにやら俺の下半身は準備万端。柔らかい肉球で勃起しきった肉棒を制されると、そのあまりに甘美な感触に伊勢を拒む心はたちまち潰えてしまう。
「こんなに張り詰めちゃって、苦しそうだニャ…… 旦那様の好きなつるぺたおっぱいで、今楽にしてあげるニャ……」
そう言って、肩から浴衣をはだけ、上半身、薄い胸を晒した。
真っ白な肌に、控えめに盛られた乳肉と、淫靡にしこり立った乳首。膨らみかけ、よりも少し育ったかな？ぐらいの慎み深いおっぱいは、変な言い方だが清らかないやらしさ、背徳的な幼さに溢れていた。
そんな危険な貧乳を、伊勢は遠慮なしに陰茎へと寄せてくる。小さな胸と胸の間、谷間とも呼べないようなささやかな凹みに、ぴったりと男性器を当て左右から寄せて揉み集めた乳脂肪をぎゅっと押し当てる。小さな乳首が胸と竿の間で潰れる感触は、背筋がゾクゾクするほど魅惑的だった。
薄くエロいおっぱいに圧迫され、すぐに俺のモノは我慢の証を漏らし始めた。胸の谷間に透明な、ネバネバした液が付着し始めると、伊勢はますます気を良くしたようだった。
「おっぱい当てただけで透明なの出すなんて、ご主人エッチ過ぎだニャあ……♪ そんなに私の胸、好きかニャ？」
「ああ、いい……これ……」
「気持ちよさそうな顔しちゃって、女冥利に尽きるニャー。もっともっと、喜ばせたくなっちゃうニャ」
嬉しげに、伊勢はおっぱいでの圧迫を緩めないまま、上半身を使って胸による摩擦を加えてきた。
巨乳女の、まるごと包みこむ様なパイズリとは全く違う、薄い肉とその下の硬い骨による、責め立てるような愛撫。
純粋な気持ち良さのみで言えば巨乳の方に軍配が上がるかもしれないが、全体的に肉付きが少なく、腕も足もほっそりとしてまだまだ未成熟な少女が、女の象徴たる乳房を男根に擦りつけてくる、という視覚的なインパクトはものすごい。上体を大きく倒し、こちらを見上げるような体勢ゆえ、パイズリの光景には同時に一対の細い、白く艶めかしい鎖骨も加わる、というのもまた俺の興奮を煽った。
「ふう、ふう……」
止めどなく漏れるカウパー氏腺液は、竿と胸との間でぬめり、摩擦を減らしていた。
そのためか、奉仕している伊勢の方もじわじわと感度を高められつつあるようだった。頬や乳が紅く色づき、じっとりとした汗が浮かび始め、息も熱く、荒くなってきた。板ズリで俺が感じる以上に伊勢も気持ちよくなってくれているのかと思うと、突然現れたこの幼妻（？）が急に愛おしく思えてくるのだった。
「ニャ、ふ、う……じゅるっ」
「ん！」
「あは、旦那様の我慢汁、美味しいにゃあ……濃くて白いのも、早く飲みたいにゃあ……」
夕方ということを考慮してもあまりに大きく開いた瞳の猫又が、その舌で先走りを、溢れる先から舐め取り始めた。
肉食獣たる猫らしく、その舌はザラザラして荒い。が、魔物娘ゆえの絶妙な舌使いで敏感な亀頭粘膜をペロペロされると、痛みなどは全く無く、むしろ腰が砕けそうなほど気持ちよかった。
「おい、伊勢、これやばい……！」
「えろっ……ちゅるる……にゃ、イきたくなったらいつでも、出して欲しいにゃ……れろ、胸とお口で、受け止めてあげるにゃ……れれろっ」
「！」
鈴口をゆっくりと舐められ、俺は戦慄した。弱い部分に執拗に加えられる、激しくも柔らかい刺激。もう一秒たりとも、耐えられそうにはなかった。
「で、出るっ……！！」
「んふふ……にゃ、あーん……」
舌を突き出し大きく開かれた口と、汗や我慢汁でベタベタになった貧乳めがけ、大量の精液が降り注いだ。
最初の一、二回分を大半口に含んだ伊勢は、それこそマタタビをもらった猫のような、うっとりとした、緩んだ表情を見せた。
満足気に白い汚液を舌の上で転がし、咀嚼し味わう彼女の胸に、更なるザーメンがかかり、平らな胸を欲情の証が汚していく。敏感な乳首まで白く染められ、半脱ぎ少女は心底嬉しげだった。
魂ごとヌくようないやらしすぎる奉仕で、一時虚脱した俺とは裏腹に、伊勢はぼうっとしながらも未だ満たされないような雰囲気を全身で放っていた。
白濁でどろどろになったぺたんこおっぱいもそのままに、両脚を開いて俺のモノに跨ってきた。猫耳少女の小さな口では受けきれなかった精液が唇の端から垂れている様はまたしても俺の官能を刺激し、達したはずの肉棒は休むことを許されない。
「お口と胸でご奉仕したから、次は、こっちにゃ？ ……いっぱい、奥に欲しいにゃ……♪」
「ああ……」
小さい胸ほど感度が良いというのは本当の話だったのか、伊勢が自ら浴衣の裾をたくし上げて見せてくれた女陰は、まだ直接触れてもいないのにグチョグチョだった。
布団に膝を突き、短い裾を自分でつまみ上げたまま、猫はゆっくりと狙いを定める。不思議と萎えない俺の物に膣口を合わせると、そのまま一気に咥えこんできた。
多少色気付いてはいても未発達な身体のこと、女性器、男根を受け入れる肉の筒は極めて狭く、侵入者を強力に締めつける。無数の指で掴まれているような、そのあまりの締りに思わずぬるい吐息が漏れる。
「にゃ、ふっふ、すっごいにゃ旦那様のおちんちん……長くてぶっとくて、私、挿れてるだけでトんじゃいそうにゃあ……♪」
「そ、そりゃあ、よかった」
思わず間抜けな返事をしてしまうほど、俺には余裕が無かった。
さっき大量の精を吸われたばかりだと言うのに、もう我慢汁が出ているかと思われるほど、伊勢のおまんこは気持ちよかった。
複雑な構造を備えた膣壁が、その強い力で収縮し、勃起した俺のモノに隙間なく張りつくような感触を与える。俺も伊勢も止まったままのはずなのに、男を受け入れた肉壷は奇妙に動き、予測できない快楽を強制的に与えてくる。
何より、外見年齢で俺より二回りは下であろう美少女が、股で自分の一物を嬉しげに咥え込み、淫らな笑みを浮かべているというこの光景が俺をどこまでも昂ぶらせる。このままじっとしていても、遠からずまたイってしまいそうだった。
そんな俺に、ニヤニヤ笑いの猫は追い打ちを掛ける。
「じゃあ、動くにゃ？」
「おい、待て……！」
両膝を着いたまま、伊勢は腰を振り立て始めた。
濡れに濡れていた肉筒は摩擦というものは全く感じさせず、滑らかにぬめり肉竿を先端から根元まで激しく擦り立てる。少しザラザラした、それこそ猫の舌のような淫らな粘膜で執拗に愛撫され、神経に電流が流されたような思い。
いかん。
このままではまたすぐ射精してしまう。あまり何度も何度もあっさり屈するのもどうかと思ったし、もっとこの人外の快楽に浸っていたいという願いもあった。しかし、嵐のようなこの騎乗位奉仕に、ただ耐えていることなど到底不可能である。
そこで俺はぬっと上体を起こし、ガンガン腰を振り立てている伊勢の首もと、たおやかで可愛らしい左の鎖骨に唇を寄せた。バウンドする伊勢の上半身を両手で抱きしめて、その骨を上下の唇で軽く咥え、舌でそっと舐めてやると、腕の中の少女がびくんと反応した。
「にゃ！？ なんで、そんにゃとこ……」
「いや、なんか、可愛かったから」
「にゃ、ご主人、なんか変態っぽ……にゃぁっ！？」
構わず舌を使って、薄い肉と皮に覆われたその骨を優しく愛撫する。別段生殖とは関係無い筈の部位だが、悦んでくれているようで何より。
ヤられてばかり居るわけにはいかない、と俺は更に左手を伸ばし、体液で汚れたままの伊勢のちっぱいを掌に収めた。僅かに盛り上がっているかいないか、といったごくささやかな乳肉を、左手全体でぎゅっと押し、同時に可愛い薄桃色の乳首を中指と人差指との間に挟み、こりこりしてみる。立て続けの逆襲に、伊勢の腰が一瞬止まった。
「ひやあっ、にゃ、ご主人、そんにゃ、だめだにゃあ……私が、ご主人にご奉仕するんだにゃあ……」
「いいじゃないか。可愛いおっぱい、もっと楽しませてくれよ」
「ひ、ひ、ひどいにゃあ……い、やぁアっ！！」
再び左手に力を込めてみると、伊勢は体を反らし、ぴくっと小刻みに痙攣した。
美少女を感じさせることができて満足する俺に、猫はさらなる逆襲を持って応じる。胸と鎖骨を愛撫される不自由な体勢で、今まで以上の腰使いを魅せつけてきた。小さな身体が壊れるのではないかと心配になるほど激しいピストンで、伴侶と認めた男をイかせようとしているのだ。
本気になった魔物の搾精に、人間はまず耐えられない。急に迫ってきた限界に戦慄する俺に、伊勢はそっとその端正な小顔を寄せてきた。
「にゃ、にゃあ……ご主人、ちゅー、したいにゃあ……ちゅーしながら、一緒に、イきたいにゃあ……」
「ああ……」
こんな可愛すぎるお願いを、断れるはずもない。右手を伊勢の後頭部に当て、小さな唇を俺のそれに合わせる。待ちきれぬとばかりに侵入してきた伊勢の舌に自分のを絡めていると、いよいよ達する時が来た。
「ん……！」
「う……むっ……、ちゅる、じゅるる……！」
一番奥まで俺の陰茎が突き込まれた瞬間、白濁は溢れた。
狭すぎる膣道の奥、伊勢の子宮を俺で一杯にすべく、一度目に倍する量の精液が出た。俺と同時にアクメに達したらしき彼女は、俺にぎゅっとしがみついたまま、胎の中を白く染める膣内射精に感じ入っているようだった。
「ふう、ふう……に、ゃあ……」
「……」
どちらともなく離した唇と唇の間に、名残惜しげに唾液の糸が伸びる。その銀の橋は、未だ満たされぬ欲に焦がれる伊勢の内心を暗示しているかのように、俺には思えた。
翌朝。
いつもよりだいぶ遅めの時間に起きた俺は、ふと魅惑的な匂いに気がついた。
味噌と、お茶と、ご飯の匂い。タンタンという軽い包丁の音に誘われ台所を覗いてみると、そこには昨晩とうって変わって割烹着姿の伊勢が居た。
「お前、その格好は？」
「あ、ご主人、おはようございますニャ。もうすぐ、朝御飯ができるニャ」
「ん、ああ、ありがとう」
満面の笑みを浮かべた伊勢に、なんというか気勢を削がれてしまった。猫から人化するに当たって、あの浴衣のようなものも何処からともなく現れたわけだし、割烹着くらい別に驚くには値しないのかもしれないが。
「本当に、嫁さんになったんだなあ……」
「ニャ？」
小首をかしげ、こちらを見やる伊勢。すっかりこの家の奥さんになった気で居るらしい。
しかし、嫌な感じは全く無かった。偶然と勘違いによる出会いだったが、これからは色々と楽しくなりそうだ。
茶屋で、一見地味な、ごくありふれた皿に盛られた餌を食っている猫を見かけたのがそもそもの発端。
素人目には単なる皿に映るであろうその逸品が、その実、高名な陶芸家の手になる物であると見抜いてしまった瞬間、俺は罠に掛かっていたのだ。
直接皿をくれなどと言っては怪しまれよう、と賢しらに、店主に猫を譲ってくれと交渉を持ちかける。なんのかんのと渋る店主を説き伏せ、結局二両で手を打つこととなった。
交渉がまとまり、さあ皿を持って行こうとした瞬間。その皿は貴重なものだから持って行くなと言われた。
驚きのあまり、じゃあ何故、貴重なものと分かっていて猫の餌やりに使っていたのだと聞いたところ、店主の答えて曰く。
「こうしておりますと、時々猫が二両で売れます」
何のことはない。かつがれていたのは俺の方だったというわけである。
そうして、二両の金にはとても釣合いそうにない、ごく平凡な茶トラの猫を両手に抱えて家に連れ帰らざるを得なくなってしまったわけだ。
もともと欲しくて買った猫でもないし、その辺に捨ててしまおうかとも思ったのだが、やはり生き物をモノの様に打ち捨てるというのは良心が痛む。
腕の中で、妙に意味ありげにこちらをじっ……と見上げられると、なんだか縋られているような気もして、ますます気が咎める。
気ままな独身ぐらし、愛玩動物の一匹飼うくらい誰に憚るものでもないし、庭にでも放しておけば手前勝手な猫の事、何処へなり好きなところへ行くだろう、などと大損失に落ち込む俺自身に言い聞かせ、ふらふらと家路に着いた。
帰る途中、袋も籠もなかったため、件の猫を両手で抱えて帰ることとなったが、流石は元飼い猫というべきか、両手で持ち運ばれていても暴れたり逃げようとしたりすることは無い。
時折、身をよじるようにして体勢を変えたりはしていたが、動きに合わせて抱えなおしてやると、ふっと脱力し、気が抜けたように大人しくなるのだ。
木造平屋の我が家に辿り着き、猫を地面に降ろしてやると、チラチラとこちらの様子を伺いながら土間の隅へと歩いて行った。座り込み、何処か粘っこい、値踏みするような目で俺の方を見つめるその眼光が、やけに印象に残った。
「……猫相手に、馬鹿か俺は。晩飯でも食って、さっさと寝ちまおう」
吐き捨てて、台所に残った米と有り合わせの野菜で一食でっち上げることにした。
自分の食い物は自分で用意せねばならんのが独り身の悲しさ。余程上手に作れない限り、自分で作った料理を自分で食っても大して楽しくもない。
平々凡々な出来の、旨くもなく不味くもない、無味乾燥な食事の並んだちゃぶ台に一人向かっていると、いつの間にか家に上がってきていた猫がにゃあと鳴いた。
「なんだ。お前も腹が減ったのか」
にやああー、という返事が妙に人間臭く、思わず吹き出してしまった。余った皿の一枚(これは本当にただの皿だ)に鰹節を山盛りにして出してやると、まさしく猫まっしぐら。
しゃっく、しゃくと小気味良い音を立てて、貧相な食事を文句も言わず楽しむ新しい同居人を見ていると、味気ない夕食も何処か色づいたように感じられた。
「美味いか？」
答えを期待せずに聞いてみると、意外にも猫は律儀に食事を中止し、にゃあーと返事をしてくれた。何が言いたかったのか、猫語が分かる筈も無い俺だが、少なくとも一時安らぐことはできた。
「……二両取られたのは痛かったが、これはこれで悪くないな」
なーお、という鳴き声が、その独り言に賛同するように聞こえたのは、俺の気のせいだっただろうか。
食事を終わらせ食器を片付け、することもないしそれ以上に金が無いしで、さっさと布団を敷いて寝ようとしたところ。長らく洗っていない敷き布団の、隅の油汚れがその上に寝転がる気を失せさせてくれた。
男の一人暮らしなら何処もこんなものかもしれないが……俺が外で金を稼いでくる間、家内のことを片付けてくれる人でも居れば、毎日綺麗な布団で眠れるのになあ、などと思うと、急に一人寝が寂しくなってきた。
昼、まんまと出し抜かれ、気弱になっていたせいもあったろう、誰にともなく、俺はつぶやいていた。
「……ああ、嫁さん欲しいなあ」
「私がいるじゃニャいか！」
「！？」
何だ。若い女の声だったが、まさか物取りか。幸か不幸か、今の我が家には何も盗むべきものなど無いというのに。
「誰だ！」
「自分で買っておいて、誰だ、も無いニャ。この猫、見忘れたとは言わさんニャー」
部屋の向こうから現れたのは、裾の短い浴衣のようなものを身につけた、奇妙な女だった。
一見すると人間の女、それも十代後半くらいの、眼がぱっちりして非常に可愛らしい美少女である。しかし、暗がりに紛れてもなお隠し難い、異形なる物を、その少女は数多く有していた。
頭の上に立つ、一対の三角耳。
腰の辺りから伸びているらしい、二本の尻尾。
四本指に、大きな肉球を備えた手足。
それら全てが、薄茶色の短い毛に覆われている。
人と猫の特徴を併せ持つ、妖怪といえば。
「化け猫！？」
「違うニャ！ ネコマタニャ！」
どう違うんだよ。反射的に突っ込みかけたが、しかし今はもっと重要なことがある。
「ネコマタだかなんだかしらんが、お前は誰だ。自分で買っておいて、ってどういう事だ」
今日俺が買ったものといえば、二両の猫以外に無いぞ。言いかけて、ふとその高級猫の姿が見えないことに気づく。部屋中見回し、不思議がる俺を謎の女は何故か得意げに見てきた。
「分からんかニャ？ 私が、その猫ニャ。猫でなく人でもない、由緒正しきネコマタなのニャ」
名前は伊勢だニャ。そう言って、少女は薄い胸を張って見せる。
谷間と呼べる物はほとんど出来ない、小さく貧しい胸だったが、一重の着物にはそれがよく似合っていた。細い鎖骨や、肉付きの薄い、ほっそりした太ももと相まって、少女らしい、未完成な故の危うさ、何処か背徳的な艶めかしさといったものを感じさせる。
萌えている場合ではない。
「本当か。お前が、あの猫だってのか」
金額を知っているということは、やはり例の猫がこの少女に化けたということで、間違いないのだろうか。耳やら尻尾やらの質感はどうみても本物で、少なくともこいつが変装した女盗賊でないことは分かる。
「そうだニャ。猫の姿を借りて、理想の旦那さんを探していたのニャ」
「なるほどねえ。ネコマタ……か。猫が人間になるなんて、不思議なこともあるもんだな……」
まあ、ここはジパング。狐の神や蜘蛛女が人間の男を婿に取る話なんてものも、ちょくちょく聞かれる国である。猫が人に化けるくらい、なんということはないのかもしれない。
「そして私は猫にして、今夜からご主人のお嫁さんなのニャ」
何故だ。何故いきなりそんな話になる。
「おい、どういう事だ」
「猫として、いろんなところを回ってきた私ニャけど、あんなに熱烈に求められたのは初めてだったニャ……♪ 大してお金も持ってないだろうに、二両払ってまで私が欲しい、なんて……」
「ほっとけ！」
「ご主人の一途な口説きに、私の乙女心は完全に奪われてしまったのニャ。喜んで、ご主人のものになるニャ。不束者ですが、よろしくお願い致しますニャ」
なんということだ。茶碗目当てでした交渉を、この猫女は身請けの話かなんかだと思い込んでしまったらしい。確かに、猫を買おうと交渉したのは事実なのだが。
「あー……いや、その、なんだ……」
「本当はもうちょっと様子を見ても良かったんニャが、『嫁が欲しい』なんて言われちゃもう我慢ならんニャ。
謹んで、私を差し上げるのニャ。二両分の働きは、きっとしてみせるニャ。損はさせないニャ」
真摯で折り目正しいその様に、俺は思わず言葉に詰まる。
端的に言ってしまうと、嫁云々の話はこのネコマタの勘違いなわけだが、可憐な美少女にこうまで言われて、いや実は俺お前のことが欲しかった訳じゃないんだよなんて、とても言えん。
と、俺が一人煩悶していると、伊勢がこちらににじり寄ってきた。その眼は猫らしく金色に光り輝き
、また瞳孔は奇妙なほど大きく開かれていた。
「ニャッフッフッフ……♪ 早速、新妻のお勤めを果たすのニャ……」
「！？」
布団に座った俺を、猫が獲物を見る目で捉える。
両膝と両手を床に突き、ジリジリとこちらへ這い寄ってくる。姿勢を下げられると、浴衣の首元から薄く可愛らしい乳房や桃色の綺麗な乳首が垣間見えそうで、劣情に身が硬くなる。
俺の視線に気づいているのかいないのか、にやりにやりといやらしい笑みを浮かべた伊勢はついに俺と顔を付き合わせるところまで近寄ってきた。
「お、おい、お勤め、って……」
「そりゃあ勿論、夜のお勤め、だニャ。旦那様のお情け、下さいニャ？」
「いや待て、いくらなんでも今日会ったばっかりで……」
「帰ってくる途中、ご主人の大きな手でずっと抱きしめられてて、堪んなかったニャ……♪ その上、聞えよがしに嫁が欲しいなんて言われちゃ、もうどうにも止まらんニャ。好き好き大好き超愛してるニャー♪」
ぴょーん、とまさしく鼠に跳びかかる猫の如きバネで、伊勢は俺を布団に押し倒した。モフモフの獣手で、器用にも俺の服を下からぱっぱっと脱がしていく。動転していた俺は抵抗らしい抵抗もできず、あっと言う間に剥かれてしまった。
「ニャフフ、なんだかんだ言って、ご主人もヤル気じゃニャいか♪ そんなに私の胸チラで、興奮したのニャ？」
こいつ、やっぱり気づいてやがった。幼くも肉感的な肢体のネコミミ美少女に身体の関係を迫られ、いつのまにやら俺の下半身は準備万端。柔らかい肉球で勃起しきった肉棒を制されると、そのあまりに甘美な感触に伊勢を拒む心はたちまち潰えてしまう。
「こんなに張り詰めちゃって、苦しそうだニャ…… 旦那様の好きなつるぺたおっぱいで、今楽にしてあげるニャ……」
そう言って、肩から浴衣をはだけ、上半身、薄い胸を晒した。
真っ白な肌に、控えめに盛られた乳肉と、淫靡にしこり立った乳首。膨らみかけ、よりも少し育ったかな？ぐらいの慎み深いおっぱいは、変な言い方だが清らかないやらしさ、背徳的な幼さに溢れていた。
そんな危険な貧乳を、伊勢は遠慮なしに陰茎へと寄せてくる。小さな胸と胸の間、谷間とも呼べないようなささやかな凹みに、ぴったりと男性器を当て左右から寄せて揉み集めた乳脂肪をぎゅっと押し当てる。小さな乳首が胸と竿の間で潰れる感触は、背筋がゾクゾクするほど魅惑的だった。
薄くエロいおっぱいに圧迫され、すぐに俺のモノは我慢の証を漏らし始めた。胸の谷間に透明な、ネバネバした液が付着し始めると、伊勢はますます気を良くしたようだった。
「おっぱい当てただけで透明なの出すなんて、ご主人エッチ過ぎだニャあ……♪ そんなに私の胸、好きかニャ？」
「ああ、いい……これ……」
「気持ちよさそうな顔しちゃって、女冥利に尽きるニャー。もっともっと、喜ばせたくなっちゃうニャ」
嬉しげに、伊勢はおっぱいでの圧迫を緩めないまま、上半身を使って胸による摩擦を加えてきた。
巨乳女の、まるごと包みこむ様なパイズリとは全く違う、薄い肉とその下の硬い骨による、責め立てるような愛撫。
純粋な気持ち良さのみで言えば巨乳の方に軍配が上がるかもしれないが、全体的に肉付きが少なく、腕も足もほっそりとしてまだまだ未成熟な少女が、女の象徴たる乳房を男根に擦りつけてくる、という視覚的なインパクトはものすごい。上体を大きく倒し、こちらを見上げるような体勢ゆえ、パイズリの光景には同時に一対の細い、白く艶めかしい鎖骨も加わる、というのもまた俺の興奮を煽った。
「ふう、ふう……」
止めどなく漏れるカウパー氏腺液は、竿と胸との間でぬめり、摩擦を減らしていた。
そのためか、奉仕している伊勢の方もじわじわと感度を高められつつあるようだった。頬や乳が紅く色づき、じっとりとした汗が浮かび始め、息も熱く、荒くなってきた。板ズリで俺が感じる以上に伊勢も気持ちよくなってくれているのかと思うと、突然現れたこの幼妻（？）が急に愛おしく思えてくるのだった。
「ニャ、ふ、う……じゅるっ」
「ん！」
「あは、旦那様の我慢汁、美味しいにゃあ……濃くて白いのも、早く飲みたいにゃあ……」
夕方ということを考慮してもあまりに大きく開いた瞳の猫又が、その舌で先走りを、溢れる先から舐め取り始めた。
肉食獣たる猫らしく、その舌はザラザラして荒い。が、魔物娘ゆえの絶妙な舌使いで敏感な亀頭粘膜をペロペロされると、痛みなどは全く無く、むしろ腰が砕けそうなほど気持ちよかった。
「おい、伊勢、これやばい……！」
「えろっ……ちゅるる……にゃ、イきたくなったらいつでも、出して欲しいにゃ……れろ、胸とお口で、受け止めてあげるにゃ……れれろっ」
「！」
鈴口をゆっくりと舐められ、俺は戦慄した。弱い部分に執拗に加えられる、激しくも柔らかい刺激。もう一秒たりとも、耐えられそうにはなかった。
「で、出るっ……！！」
「んふふ……にゃ、あーん……」
舌を突き出し大きく開かれた口と、汗や我慢汁でベタベタになった貧乳めがけ、大量の精液が降り注いだ。
最初の一、二回分を大半口に含んだ伊勢は、それこそマタタビをもらった猫のような、うっとりとした、緩んだ表情を見せた。
満足気に白い汚液を舌の上で転がし、咀嚼し味わう彼女の胸に、更なるザーメンがかかり、平らな胸を欲情の証が汚していく。敏感な乳首まで白く染められ、半脱ぎ少女は心底嬉しげだった。
魂ごとヌくようないやらしすぎる奉仕で、一時虚脱した俺とは裏腹に、伊勢はぼうっとしながらも未だ満たされないような雰囲気を全身で放っていた。
白濁でどろどろになったぺたんこおっぱいもそのままに、両脚を開いて俺のモノに跨ってきた。猫耳少女の小さな口では受けきれなかった精液が唇の端から垂れている様はまたしても俺の官能を刺激し、達したはずの肉棒は休むことを許されない。
「お口と胸でご奉仕したから、次は、こっちにゃ？ ……いっぱい、奥に欲しいにゃ……♪」
「ああ……」
小さい胸ほど感度が良いというのは本当の話だったのか、伊勢が自ら浴衣の裾をたくし上げて見せてくれた女陰は、まだ直接触れてもいないのにグチョグチョだった。
布団に膝を突き、短い裾を自分でつまみ上げたまま、猫はゆっくりと狙いを定める。不思議と萎えない俺の物に膣口を合わせると、そのまま一気に咥えこんできた。
多少色気付いてはいても未発達な身体のこと、女性器、男根を受け入れる肉の筒は極めて狭く、侵入者を強力に締めつける。無数の指で掴まれているような、そのあまりの締りに思わずぬるい吐息が漏れる。
「にゃ、ふっふ、すっごいにゃ旦那様のおちんちん……長くてぶっとくて、私、挿れてるだけでトんじゃいそうにゃあ……♪」
「そ、そりゃあ、よかった」
思わず間抜けな返事をしてしまうほど、俺には余裕が無かった。
さっき大量の精を吸われたばかりだと言うのに、もう我慢汁が出ているかと思われるほど、伊勢のおまんこは気持ちよかった。
複雑な構造を備えた膣壁が、その強い力で収縮し、勃起した俺のモノに隙間なく張りつくような感触を与える。俺も伊勢も止まったままのはずなのに、男を受け入れた肉壷は奇妙に動き、予測できない快楽を強制的に与えてくる。
何より、外見年齢で俺より二回りは下であろう美少女が、股で自分の一物を嬉しげに咥え込み、淫らな笑みを浮かべているというこの光景が俺をどこまでも昂ぶらせる。このままじっとしていても、遠からずまたイってしまいそうだった。
そんな俺に、ニヤニヤ笑いの猫は追い打ちを掛ける。
「じゃあ、動くにゃ？」
「おい、待て……！」
両膝を着いたまま、伊勢は腰を振り立て始めた。
濡れに濡れていた肉筒は摩擦というものは全く感じさせず、滑らかにぬめり肉竿を先端から根元まで激しく擦り立てる。少しザラザラした、それこそ猫の舌のような淫らな粘膜で執拗に愛撫され、神経に電流が流されたような思い。
いかん。
このままではまたすぐ射精してしまう。あまり何度も何度もあっさり屈するのもどうかと思ったし、もっとこの人外の快楽に浸っていたいという願いもあった。しかし、嵐のようなこの騎乗位奉仕に、ただ耐えていることなど到底不可能である。
そこで俺はぬっと上体を起こし、ガンガン腰を振り立てている伊勢の首もと、たおやかで可愛らしい左の鎖骨に唇を寄せた。バウンドする伊勢の上半身を両手で抱きしめて、その骨を上下の唇で軽く咥え、舌でそっと舐めてやると、腕の中の少女がびくんと反応した。
「にゃ！？ なんで、そんにゃとこ……」
「いや、なんか、可愛かったから」
「にゃ、ご主人、なんか変態っぽ……にゃぁっ！？」
構わず舌を使って、薄い肉と皮に覆われたその骨を優しく愛撫する。別段生殖とは関係無い筈の部位だが、悦んでくれているようで何より。
ヤられてばかり居るわけにはいかない、と俺は更に左手を伸ばし、体液で汚れたままの伊勢のちっぱいを掌に収めた。僅かに盛り上がっているかいないか、といったごくささやかな乳肉を、左手全体でぎゅっと押し、同時に可愛い薄桃色の乳首を中指と人差指との間に挟み、こりこりしてみる。立て続けの逆襲に、伊勢の腰が一瞬止まった。
「ひやあっ、にゃ、ご主人、そんにゃ、だめだにゃあ……私が、ご主人にご奉仕するんだにゃあ……」
「いいじゃないか。可愛いおっぱい、もっと楽しませてくれよ」
「ひ、ひ、ひどいにゃあ……い、やぁアっ！！」
再び左手に力を込めてみると、伊勢は体を反らし、ぴくっと小刻みに痙攣した。
美少女を感じさせることができて満足する俺に、猫はさらなる逆襲を持って応じる。胸と鎖骨を愛撫される不自由な体勢で、今まで以上の腰使いを魅せつけてきた。小さな身体が壊れるのではないかと心配になるほど激しいピストンで、伴侶と認めた男をイかせようとしているのだ。
本気になった魔物の搾精に、人間はまず耐えられない。急に迫ってきた限界に戦慄する俺に、伊勢はそっとその端正な小顔を寄せてきた。
「にゃ、にゃあ……ご主人、ちゅー、したいにゃあ……ちゅーしながら、一緒に、イきたいにゃあ……」
「ああ……」
こんな可愛すぎるお願いを、断れるはずもない。右手を伊勢の後頭部に当て、小さな唇を俺のそれに合わせる。待ちきれぬとばかりに侵入してきた伊勢の舌に自分のを絡めていると、いよいよ達する時が来た。
「ん……！」
「う……むっ……、ちゅる、じゅるる……！」
一番奥まで俺の陰茎が突き込まれた瞬間、白濁は溢れた。
狭すぎる膣道の奥、伊勢の子宮を俺で一杯にすべく、一度目に倍する量の精液が出た。俺と同時にアクメに達したらしき彼女は、俺にぎゅっとしがみついたまま、胎の中を白く染める膣内射精に感じ入っているようだった。
「ふう、ふう……に、ゃあ……」
「……」
どちらともなく離した唇と唇の間に、名残惜しげに唾液の糸が伸びる。その銀の橋は、未だ満たされぬ欲に焦がれる伊勢の内心を暗示しているかのように、俺には思えた。
翌朝。
いつもよりだいぶ遅めの時間に起きた俺は、ふと魅惑的な匂いに気がついた。
味噌と、お茶と、ご飯の匂い。タンタンという軽い包丁の音に誘われ台所を覗いてみると、そこには昨晩とうって変わって割烹着姿の伊勢が居た。
「お前、その格好は？」
「あ、ご主人、おはようございますニャ。もうすぐ、朝御飯ができるニャ」
「ん、ああ、ありがとう」
満面の笑みを浮かべた伊勢に、なんというか気勢を削がれてしまった。猫から人化するに当たって、あの浴衣のようなものも何処からともなく現れたわけだし、割烹着くらい別に驚くには値しないのかもしれないが。
「本当に、嫁さんになったんだなあ……」
「ニャ？」
小首をかしげ、こちらを見やる伊勢。すっかりこの家の奥さんになった気で居るらしい。
しかし、嫌な感じは全く無かった。偶然と勘違いによる出会いだったが、これからは色々と楽しくなりそうだ。
11/05/25 17:21更新 / ナシ・アジフ