読切小説
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Necrophilia -屍姦-
 ベッドの傍らに置かれた椅子に男が座っている。その視線の先、ベッドの上には物言わぬ死体が横たわっている。正確に言うならば、死霊魔術によりゾンビとして生まれ変わろうとしている死体だ。
 死体の名前はエリザベート。男の妻になるはずだった女だ。
 エリザベートは呆気なく死んだ。腹をナイフで深々と刺されたのだ。エリザベートを殺した男はいくらか頭が愉快だったらしく、自ら馬車に突っ込むと、こちらも呆気なく死んだ。
愛する相手と憎むべき相手を同時に失った男は、エリザベートの墓の上で独り途方に暮れていた。
 そんな彼の前に、一人のリッチが現れた。
「彼女を生まれ変わらせてあげる」
 男はリッチに泣いてすがった。彼女が戻って来るならどんな形でも構わないと。
「準備が必要。三日後の夜まで待って」
 男は一も二も無く頷いた。
 そして、期日の夜に墓を暴いた。

 男はエリザベートの死体を眺めている。
 煌めいていた銀の髪は傷んでくすみ、しみ一つ無かった肌からは精気が失せている。それでも男にとってエリザベートは美しい。薄いシーツが型どるエリザベートの身体は死体であるのに崩れる事が無い。豊満な胸は柔らかく、その乳首は固く勃起してシーツを突き上げている。程よく括れた腹回りとシーツに隠れた陰部は在りし日の営みを思い出させる。
 そんなエリザベートの死体を眺めながら、男は墓を暴いた時の事を思い出している。


/////////////////


 月の無い暗闇の中、スコップ、釘抜き、カンテラを持って、男はエリザベートの墓へ向かっていた。
 墓に着いた男は作業するのに具合の良い場所へカンテラを置くと、墓ではなく、墓下の死体に愛を呟いた。そして、一心不乱に土を掘っていった。棺が現れると、釘抜きで一本一本丁寧に釘を抜いた。蓋を外すと、そこにはエリザベートが居た。少し腐りかけているがそれでも美しいと男は感じた。何時から彼女の死体を美しいと感じる様になったのか、男は思い出してみた。

 彼女の死体を美しいと初めて感じたのは、彼女の葬儀の時だった。花嫁衣装よりも先に死に装束を纏う事になった彼女は、生前の生き生きとした美しさとは逆の儚い美しさを感じさせた。周りの人々は、若くして亡くなったエリザベートの死を嘆いた。勿論、男もエリザベートの死を嘆いた。彼女と長い年月を共にし、幸福の内にどちらかに看取られるという未来がほんの一瞬で奪い去られたのだから。しかし、男の胸中には悲しみだけが存在する訳では無かった。
『愛しのエリザベート、君との未来が奪われた事は本当に辛い。けれど、君は美しいまま死んでしまった。たとえ身体が腐っても、僕にとって君は永遠に美しいままだ』
 そう思いながらエリザベートの頬を撫でていた男は、ぺニスが勃起していることに気付いた。男は、愛しき君の美しい死体に欲情していた。男はそんな自分が不快で堪らなくなって逃げ出した。周りの人々は、恋人の死に耐えきれなくなったのだと思い同情の視線を向けた。

 そして、目の前には棺から出されたエリザベートの死体がある。それだけで男のぺニスは勃起した。今すぐにでも彼女を犯したい。男はそう思ったが、行為によって彼女の身体が崩れる事を酷く恐れた。男は慎重に慎重を重ねて死体を持ち上げると、リッチの待つ自分の家へと帰った。


/////////////////


 回想を終え、椅子から立ち上がった男はエリザベートの死体を見下ろしている。エリザベートはまだゾンビとして生まれ変わっていない。つまり、今はまだ、ただの死体なのだ。これから行おうとする凶行を思うと、男のぺニスはかつて無い程に勃起した。性的倒錯を抑圧していた倫理の枷が外れ、その解放感が劣情を掻き立てる。

 男は服を脱ぎ捨てると死体に掛けられているシーツを剥がした。そして、生前よりも美しいとさえ感じる身体に飛び付くと、その豊満な胸を鷲掴みにした。片方の手はむにむにと形を変える柔肉の感触を楽しみ、もう片方の手は固く勃起した乳首を執拗に捏ね回している。男は鷲掴みにしている胸の乳首に吸い付いた。生まれ変わりきっていない為か口内に死臭が漂うが、その死臭さえも男を興奮させる材料でしかなかった。
 男は一頻り胸を味わうと、谷間にぺニスを当てて先走りを擦り付けた。谷間が先走りで滑ると、両胸を捏ね回してぺニスを扱きながら腰を振る。愛しい恋人の死体で自分本意に快楽を貪ると言う罪悪感と背徳感が男の腰の動きを激しくさせ、放たれた精液は死体の胸と顔を汚した。
 未だ衰えぬぺニスを谷間から抜くと、男は死体のヴァギナを見た。死体のヴァギナからは愛液が滴りベッドを濡らしている。男は歓喜した。今まさに、愛しのエリザベートは美しい動く屍として生まれ変わろうとしているのだ。男は死体のヴァギナにぺニスをあてがうと、死体に愛を囁いた。
「愛しのエリザベート、時の止まった君は永遠に美しい」
 そして、死体のヴァギナにぺニスを突き入れた。死体でありながら濡れそぼるヴァギナは男のぺニスを容易く受け入れた。濡れてはいるが、締まりも緩みもしない死体のヴァギナを男は犯す。全ては愛しのエリザベートの為に。
 男は死体の膝裏に腕を通して持ち上げると、無理やりヴァギナの締め付けを強めさせた。部屋中に響く程に強く腰を打ち付け、死体の子宮に精液を注ぎ込む。二度、三度と痙攣しながら精液を注ぐ度に、死体のヴァギナは締め付けを強くしていく。男は死体の生まれ変わりを確信した。
 男は萎えかけのぺニスを締め付けの強くなりつつある死体のヴァギナから何とか抜いた。抜かれて行くぺニスを逃すまいとヴァギナは締め付けを強め、抜き去られた今でも物欲しそうに愛液を垂れ流している。

 男は死体の腹を見た。そこにはエリザベートを死に至らしめた縦一線の傷がある。男はそこにぺニスを突き入れたいという衝動に駆られた。屍を犯すだけでこの倒錯感と快楽である。死体の腹にぺニスを突き入れ、内臓を掻き回し、思うままに狂った欲望を吐き出せばどれだけ気持ちが良いだろうか。しかし、生まれ変わりつつあっても内臓を犯されて無事でいられるはずがないという考えが頭を過った。男は悩みに悩んだ。
 そうしている内に、死体の手が動きだして腹の傷を開いた。その様は、娼婦が自らの秘裂を開いて男を誘い込もうとしているかの様だった。
 男を死体の顔を見た。まるで寝惚けている様な眼差しで、死体は男を見つめている。男は歓喜に打ち震えた。今、死体はゾンビのエリザベートとして生まれ変わったのだ。愛しのエリザベートは死を超越し、永遠に美しい存在として帰って来たのだ。

 そんな男を微笑みながら見つめてエリザベートは言った。
「…入れて、いいよ」
 男はこの一言を聞くと、エリザベートの腹に跨がった。そして、腹の秘裂にぺニスをあてがうと、ゆっくりと挿入していく。亀頭が筋肉を掻き分け、繊維が断ち切られていく感触がぺニスを通じて脳幹を刺激する。そして、筋肉の膜を抜けた亀頭は、冷たい内臓の隙間を押し広げて行った。
「はぁあ……」
 内臓を掻き回される音と共に、エリザベートから熱い吐息が漏れ出た。彼女は愛する男のぺニスに内臓を犯されて感じているのだ。
男はエリザベートをより喜ばせようと、腰を腹に打ち付けた。ぐじゅぐじゅと内臓を犯すぺニスに蠕動する小腸が絡み付く。
「あぅッ、ん!…カハッ!…ッ、あぁ!」
 男が突き上げる度に横隔膜が押し上げられ、矯声の中に意味を成さない喘ぎが混じる。それでも男はエリザベートの内臓を犯す事を止めなかった。ぺニスを引き抜こうとすれば腸が絡み付き、腹筋が絞まる。突き入れれば柔らかく包み込んで射精を促す。男の中で、生に対するリアリティーが薄れ、死者への欲望が高まっていく。
「コフッ、ぁッ…あぅう…あは、出そう、なの?…んぅ!」
 男は頷くと、一層激しく腰を打ち付ける。限界の近づいたぺニスが肥大し、より強い快楽を得ようと内臓を掻き回す。エリザベートは男のぺニスを小腸で絡め取ると、より深くへ誘う様に扱き上げる。
「あん!あふッ…んぅ!だ、出していいよ?…くひぃ!私の、お腹の中にぃ!ああ!」
 幾度かの激しい抽送の後に、男はエリザベートの腹の中に精液を注ぎ、エリザベートは男の腰に腕を回すと逃すまいと強く抱き寄せた。
 既に二度も出しているとは思えない程の量の精液が内臓にぶちまけられ、冷えた内臓を焼いた。
「はぁあ…暖かい…」
 血の気の失せたはずの頬を僅かに赤らめ、エリザベートは腹の中に精液を注ぎ込まれる快楽に果てた。男はそんなエリザベートを愛しげに見つめながら、腹の秘裂からぺニスを抜いた。ぺニスは精液とエリザベートの体液でぬらぬらと光っている。エリザベートは男のぺニスを見ると、媚びる様に言った。
「私ね、生まれ変わったばかりでまだお腹が空いてるの。…だから、もっと私を犯して?」
16/08/09 15:02更新 / PLUTO

■作者メッセージ
何番煎じネタかわかりませんが、アンデッドのダークと言ったら真っ先にこれが思い付いたので…

特殊な内容ですが、楽しんでいただけたでしょうか?

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