じゃれあうものどうし
街から遠く離れた場所にある、森に囲まれた小さな村。
青年たちの仕事話が村にわずかな発展を与え、女性たちの井戸端会議が村内の繋がりを深める。
数多くの冒険者たちがこの村の宿に身を預け、この空気を気に入って住人となる者も、数少ないが存在する。
そんな平和な村に、近頃新しい住人がやってきた。
ホブゴブリン一人と、ゴブリン二人。言うまでも無く魔物である。
ある時、村の外へと『たんけん』に出て行った三人組の少年たちが、その魔物三人を連れて帰ってきたのである。
魔物が村の住人になった例はなく、当時はさすがに村の者たちも大変驚いた。
しかし、ホブゴブリンが一人の少年にべったりだった為、その仲を察した村人たちは素直に歓迎を示した。
こうして、村に腰を落ち着ける魔物が、初めて現れたである。
それから、しばらく経ったある日。
太陽が真上から照りつける昼のことだった。
あの日から、揃いそうで揃わなかった当時の『たんけん』パーティ三人と、ゴブリン三人組が集合したのだ。
とは言え、特にやることに変わりはなく、普段どおり木に登ったり村内を駆け回ったりボーっとしたりするだけである。
しかし、遊びが一段落したころに、金髪の少年、キッドがおもむろに言い放った。
「ゴブリンごっこしようぜ!」
あまりに唐突かつ聞き慣れない言葉に、残りの少年たちはおろか、ホブゴブリンのミルルやゴブリンであるトトラとネレレまでもが、意味がわからないといった表情をしている。
「……えぇ!?」
その反応が信じられないと言った様子で、大袈裟にのけ反るキッド。
「テオやコリンはいいよ! でもおまえらはなんでわかんねーんだよ!」
彼の言うお前らとはもちろんゴブリンのことである。
「そういわれても」
「アタイらがどしたー」
「どういうこと〜?」
言われた三人は、その疑問を口々に言う。
説明不足も甚だしいが、キッド少年はやはりゴブリンたちが理解していないのが不満そうであった。
「テオ、分かる〜?」
ミルルがその顔の左右で一束ずつ結われた髪を揺らしながら、隣にいた黒髪の少年、テオの顔を覗き込みながら聞いてくる。
わかるはずもないので、彼は素直に首を横に振った。
「わかんないって〜」
「いや、だからテオはいいんだよわかんなくて! わかってても何も言わねぇし!」
テオは無口を通り越して、言葉を持たぬ少年である。それはこの小さい村の中では結構有名な話である。
生まれながらにして発声器官を持っていないのか、単に言葉を発する方法を知る気がないのか、それとも別の何かがあるのか、実際のところは誰にも分からない。
「テオ、仲間はずれだね〜」
ミルルに、慰めるように頭を撫でられるテオ。
しかし、嬉しそうにしているのはテオではなく、頭を撫でているミルルであった。
「仲間はずれはむしろおれだよ! なんでだれもわかってくんねーんだよ!」
「ちゃんとわかるように言ってよ」
地団駄を踏むキッドに、ネレレがはっきりと言い放つ。
しかし、誰もわかってくれなかった悔しさと切なさは止まらない。
そしてその想いは半ば八つ当たりとなり、指摘してきた相手を指差しながら叫ぶ。
「おまえだれだよ!」
「ぶっとばすぞあんた」
ホブゴブリンであるミルルはともかく、同じゴブリンであるトトラ、ネレレはほとんど似たような容姿をしている。
赤味を帯びたショートの髪に、その髪を一束ずつ結って顔の左右で垂らしていること。
また、頭に二本生えている黄土色のやや小さめの角、そして長い耳に丸いピアスを付けていることも同じである。
さらには、ミルルとは違って、子供の見かけ相応に無い胸を覆うチューブトップや、緑色に透けたショートパンツから、チューブトップと同じ色と模様の布を前方で垂らしている所まで同じだ。
しかし、目の色や耳にしているピアスの色、またチューブトップや緑色のショートパンツから垂らしている布地の模様がわずかに違う。
「やーいやーい! ネレレのびーばー!」
「よく分からないけど本気でぶっとばすぞあんた」
ネレレの目はやや緑色で同系統色のピアスをしている。
また、胸を覆う服には、等間隔に横線の模様が引かれた物を身に付けていて、股間部を隠すように垂らしている布も同様の模様である。
「ケンカか! ショーブか! それならアタイもやるぞ!」
トトラは髪色と同じ赤味を帯びた目の色をしていて、耳にしているピアスも同様の色である。
そして、彼女の身に付けたチューブトップには、縦線の模様が等間隔に引かれている。腰から前に垂らした布地も同じである。
「ちがうよ、ちがうからね、トトラ」
この二人の一番の相違点と言えば、その雰囲気である。
ネレレは三人組の中でも、雰囲気が一番落ち着いており、逆にトトラは一番騒がしい雰囲気をしている。
今でも間違われることは稀にあるが、この二人の違いは、彼女らがこの村に腰を落ち着けてから見てきた者ならば、その雰囲気だけでも判別は可能である。
「おーぅ、なんだコリン! ヤるのか! アタイとヤるのか!」
「やんないよ、やんないからね、勝てないし」
特にキッドの家はネレレを、コリンの家はトトラを居候として置いているので、判別が付かないはずがなかった。
つまり、キッドの先ほどの『おまえだれだよ』発言は、ネレレに対する皮肉を込めた言葉でしかなかったのだ。
「みんなたのしそうだね〜テオ〜♪」
ちなみに、ミルルに関しては、二人と違って容姿に見合わない豊満すぎる胸を持つホブゴブリンという事を除いても、いつもテオと一緒にいる女の子と言えば誰も間違えることはない。
「っていうか、ゴブリンごっこって何すんの?」
様々な方向で荒れ始める三人を宥めながら、茶髪の少年コリンが問いかける形でキッドに助け舟を出した。
それを聞き、頭を掻きながら言いだしっぺは歯切れ悪く答える。
「ゴブリンごっこっつったら……あれだよ……ゴブリンがおれたちを追いかけるんだよ……つかまったら、おれらはおしまいだよ」
つまりはただの鬼ごっこである。
歯切れの悪さは鬼ごっこを何とか改変しようとしたが思い浮かばなかったのだろう。
「あたしらが追い回す限定かよ」
ネレレが、呆れながら言う。
そんなネレレをキッドは不満げな顔で言い返す。
「おまえら追いかけっこしてたんじゃねーの?」
「だれと?」
「にんげんと」
「してたけど」
「じゃあゴブリンごっこだろうが!」
その結論には相変わらず首を傾げざるを得ない。
キッドの逆切れ気味な物言いに、ネレレの眉間にも再び皺が寄っている。
どうやら、この二人はあまり相性が良くないらしい。
「じゃー、つかまえたニンゲン、ヤっちゃっていーのか!」
コリンのおかげで落ち着いたトトラが、自分なりに解釈したゴブリンごっこに沸き立つ。
ネレレはそれを聞いて気が変わったのか、にやりと表情を変えた。
捕まえたらヤれる――それは魔物にとって、最上の褒美であることに違いない。
「あぁそっか、ゴブリンごっこだしな。それならあたしもやるよ」
「わたしも〜」
「えぇ!? ヤられるのはちょっと……」
ゴブリン全員が賛同する中、ヤられるといった事に、身に覚えがあるらしいコリンが控えめに撤回を要求してきた。
先ほどから痛いほど視線を浴びせてきている、トトラの目に怯えているように見えなくもない。
「やりたくないなら、やめてもいいけどね。キッドがやらないって言うなら」
「え、テオは?」
「テオは……」
ネレレとコリンが、テオを見る。
既にミルルに捕まっていた。横から抱きつかれ、ミルルが嬉しそうに、そして楽しそうにその無表情な顔に頬擦りしている。
「あれは別にいいでしょ?」
「あぁ、うん……あれはいいや」
そのまま押し倒されそうになり、慌てて耐えているように見えるテオを放置して、ネレレはキッドに視線を向けた。
「で、どうすんのキッド」
「あ?」
言いだしっぺでありながら、あまり聞いていなかった感じの返事である。
「ゴブリンごっこ、するの?」
「え? あー……」
それでも一応話は聞いていたらしく、悩む素振りを見せていた。
「まぁ、あたしはキッドが”腑抜け”だって知ってるから、やんなくてもいいけど?」
「!! いいぜ! 来いよあねごぉ! こんぼうなんか捨ててかかってこいよぉ!」
「あねご言うな」
ネレレのあからさまな挑発に、キッドは全開でエンジンをぶっちぎった。
思っていたよりも相性は良いのかもしれない。
コリンもこの結末は予測していたのか、そのため息には諦観的な要素が大きかった。
「はぁ……やんなきゃだめか」
「なに言ってんだよ、つかまらなきゃいいんだよ! おれたちにんげんの底力、見せてやろうぜ!」
キッドは何事も全力である。絶対に負けない、という自信の表れでもある。
しかし、過剰な自信は破滅を招くということを、彼は後に知るだろう。
「おやぶん、行きますよ」
何はともあれ、これからの遊びはゴブリンごっこに決定した。
ネレレはテオにくっ付いているミルルを引き剥がし、距離を取るために引きずっていく。
「あ〜ん、テオ〜」
「はいはい、捕まえればいいだけですから」
「つかまらなかったらあとでヤればいーんですよ!」
「あっ、そっか〜」
どちらに転んでも、結果の変わらない不穏なやり取りが聞こえるが、テオの表情はやはり変わらない。
引きずられるミルルを見送っていると、キッドに呼ばれたので、彼も人間側へと向かっていく。
「じゃあ5秒数えるから。それまでにちゃっちゃと逃げてよ」
「おっしゃー行くぜーおまえらー!」
ネレレの言葉を聞いたのか聞いていないのか、キッドが声を上げると、少年たちはゴブリンたちから背を向けて駆け出した。
それを見てから、ゴブリン三人組は輪になって向かい合う。
そして、互いに頷きあうと、カウントを始めた。
「いっちにーさーん――」
そのカウントはリズム良く、そして早かった。
これを見越していたわけではないだろうが、カウントを始める前に距離を開けていたのは正解である。
最初の位置取りだったならば、逃げることすらままならなかっただろう。
「しーごー――」
「「「れっつごー!」」」
早すぎるカウントを終えると、三人は示し合わせたように声を揃えて棍棒を持っていない腕を掲げ上げた。
そのシンクロぶりから、人間の旅人を追い掛け回す時にも、5秒の猶予を与えていた事が窺える。
「いいな、あれ! おれたちもやんねぇ?」
「その前にまず逃げようか」
先ほどよりも離れた距離で、ゴブリンたちの様子を見ていたキッドが沸き立ち、コリンが諌める。
掲げた右腕を下ろしたゴブリンたちが、こちらに顔を向ける。
「「まてゴブー!」」
そして、棍棒を振り上げながら、トトラとネレレが猛ダッシュしてきた。
今まで付いていなかった語尾を付けているが、思っていたよりも早い彼女らの姿に、少年たちにはそんな事を気にしている余裕は無かった。
少年たちは彼女らに背を向けて駆け出す。
「まてご――」
ワンテンポほど遅れたミルルの声は、ズシャァァ、と言う盛大な音と共にかき消された。
あまりにも派手すぎた音に、少年たちも振り返る。
そこには、ミルルが砂埃を上げながら地面に倒れていた。
「おやびーん!!」
「おやぶーん!!」
三人組同様、振り返ってその姿を確認した二人のゴブリンが、ミルルへと駆け寄る。
二人の動きはどこか慣れていた。恐らく、何度も繰り返されているのだろう。
テオも倒れた彼女の元に駆け寄ろうとして、キッドとコリンに無言で両腕を抑えられた。
「だいじょびですかおやびん!」
「怪我とかしてませんかおやぶん!」
「んんぅ……だいじょうぶ〜」
やや目を回しながらも、ミルルが二人の声に答えて立ち上がる。
そして身体についた砂埃を叩いてから、棍棒を振り上げて再び走り始める。
「まてごぶ〜」
「「まてゴブー!」」
その速度は他のゴブリン二人よりも目に見えて遅いが、結果的にミルルが先導する形になった。
ミルルの後に続く形で、トトラ、ネレレも棍棒を振り上げて再び猛ダッシュしてきた。
「うわぁ、にげろー!」
キッドの声に、少年たちは踵を返して全力疾走する。
思い思いに村内を走り、三人はすぐに散り散りになる。後ろから聞こえる駆け足もそれぞれを追って減っていく。
少年たちが捕まるまで終わらないゴブリンごっこが、始まった。
すぐにミルルを撒くことが出来たテオは、村の物置となっている木造の小屋に入った。
年に一度ずつしか行われない様々な行事の道具が無造作に置かれ、中は入り組んでいる。
奥に進んでいくと、乱雑に積まれた道具が壁となって道を塞いでいた。
視線を下ろすと、子供一人が地に伏せれば何とか入れそうな小さな隙間を見つける。
その中を通っていくと、やや広めの空間に出た。少なくとも、テオが寝転がりながら両手を広げても余裕のある広さだった。さらに地面にはマットも敷かれているので、砂利を踏む音もしない。中に灯りは無く、やや暗いが窓から差し込む太陽の光のおかげで、視界にはそれほど苦労しない。
まさしく、身を隠すには最適の環境だった。
外が暗くなるまでここでやり過ごせば問題無いだろう、と彼は考えていた。
しかし、すぐに物置の入り口から、誰かが入ってくる気配を感じた。
乱雑に積まれた道具の隙間から入り口を覗くと、ほんの少しだけ色素の薄い赤髪の女の子がいた。テオと同じくらいの小さな背丈であるが、それに見合わぬ豊かな乳房が揺れている。
「テオ〜?」
紛れも無くミルルだった。
息を潜めてその様子を見る。
彼女は一度だけ物置小屋の中を見渡すと、急にこちら側に顔を向けた。
向こう側からは、物陰に隠れて見えないはずなのに、何故か目が合った気がした。
それが気のせいではないことを示すように、ミルルは目を細めて笑みを浮かべながら迷う事なくこちらに歩いてくる。
そして、テオと道具を挟んだ向かいまで来ると、すぐに何かを見つけたのか、その場からしゃがみこんで見えなくなってしまった。
恐らく、この空間へと続く小さな隙間を見つけたのだろう。向こう側からごそごそと音が聞こえている。
「んっしょ、んっしょ……んんぅ、テオ〜」
自分に助けを求めるような声も聞こえている。しかし、答えるわけにはいかない。今はゴブリンごっこの最中なのだ。ホブゴブリンであるミルルに捕まってはいけないのである。
周りを見回してここから逃げられる場所を探してみるが、今ミルルが通っている場所以外には隙間すら見当たらない。
既に詰んでいた。
「んっしょ、んしょ……あ、出れたぁ〜」
逃げ場を探している間に、ミルルが同じ空間に来てしまった。
目が合った瞬間、彼女はぱぁっと表情を明るくしたかと思えば、いきなり抱きつかれ、そして押し倒された。
「えへへ〜捕まえた〜♪」
テオの顔に頬擦りしながら、ミルルは嬉しそうに言う。あっさりと捕まってしまったのである。
しかし、どうしてすぐにこの場所を見つけられてしまったのだろうか。
「んふふ〜テオのことは何でもお見通しなんだからね〜♪」
そんな彼の疑問が雰囲気に出ていたらしく、ミルルが嬉しそうな表情を変えずに答えた。
そして顔を上げ、テオを見下ろして笑ったかと思えば、いきなり顔を近づけてキスされる。
あまりに突然だったので身体を離そうと身をよじらせるが、上に乗られた状態であることと、相手が怪力持ちのホブゴブリンであるせいで、その抵抗は空しく終わった。
「んむぅ、ちゅっ、ちゅっちゅ、ちゅぅ〜♪」
唇を啄ばまれた後、ミルルが柔らかな唇を押し付けてきた。
されるがままでいると、今度はゆっくりと、甘えるように唇を啄ばまれる。
「あむぅ、ふぁ、ちゅるっ、はむっ、んんぅ〜♪」
ミルルに求められてしまえば、彼にそれを断る理由は無かった。
彼女の意図を悟り、こちらから啄ばみ返すと、嬉しそうな声を漏らす。
しかし、すぐにミルルから下唇を挟まれ、ちゅぅっと吸われた。
それだけの事なのに、走る快感が大きく身体を駆け巡り、頭に靄がかかるように思考が鈍っていく。
ただ夢中でバードキスを続けていると、ミルルがテオから顔を離した。
「ふわぁ、んぅ……ふふっ♪」
彼女の顔は上気していて、笑みを漏らす表情は、魅惑的で妖艶な魔物のものだった。
その笑みに魅入られたように、しばらく見つめ合っていると、ミルルが下半身へと下っていく。
その流れでズボンも下ろされ、キスだけで屹立している一物を彼女の前で晒すことになってしまった。
それを見たミルルが一瞬だけ驚き、しかしすぐ楽しそうに笑いながら言った。
「あいかわらず、ほーけーさんだねぇ〜」
彼女の言うとおり、それは包皮を被って隠れていた。
ミルルたちが村に来てから、魔物の知識は得たのだが自分の身体に関する知識は全く入っていない。それ故に彼女の言葉は理解できなかった。
天を衝く自分の小さな局部を見ながら考えていると、ミルルがチューブトップを両手でずり下ろした。
覆われていた胸が大きく揺れながら飛び出る。
服に包まれている状態でも揺れていたその乳房に、目を奪われていると、ミルルが目を細めて笑う。
「えへへ〜♪ いっつもおっぱい見てるんだから〜♪」
その声に嫌そうな色は微塵も無く、むしろ見せつけるように自分で胸を揉み回し始めた。
指摘に目を逸らそうにも、痴態を見せられた状態ではそれが出来るはずもなく、目に焼き付けるように凝視してしまう。
柔らかく自由自在に形を変える乳房はとても淫靡で、触れられてもいないのに陰茎が跳ね動く。
視覚的な興奮だけで彼は昇りつめそうな雰囲気だった。
「そのほーけーさん、むきむきしてあげるねぇ〜♪」
弾んだ声でそう言うと、豊かな双乳の間に包茎をあてがった。
乳房に皮の先が当たり、それだけで快感が走る。そして、それ以上に期待に身体が震える。
恐らく、その期待が顔にも出ていたのだろう。ミルルはこちらの顔を見て、じらすように乳房を揺らした。
「んっふふ〜♪」
そしてにんまりと笑って、両手に力を込めて双房を寄せ、その谷間に皮を被った亀頭を沈めていく。
密着してくる乳肉を掻き分けるように埋まっていく自分の愚息。
全てが乳房に包まれるころには包皮が完全に剥かれ、股間部から裂けるような衝撃と――それ以上の快感が身体を駆け巡った。
ミルルの宣言通り、おっぱいでむきむきされたのだ。
「ふぁっ、んくっ……えへへ〜、むきむきしちゃったぁ〜♪」
ミルルが胸に肉棒を挟み込んだまま、胸を交互に上下させるように揉み捏ねる。
それだけなのに、強い快感が電流のように身体中に伝わってくる。
「あふぅ……んぁっ、おちんちん、びくんびくんしてる〜♪」
ペニスが震えるたびに、それを止めようとしているのか、両手で乳房を押さえて圧迫を強めてくる。
しかしある時、無意識に力を込めすぎたのか、痛みにも強い快感に全身が跳ね上がった。
耐え切れそうにない快楽に、テオは思わず頭を上げて、必死に首を横に振った。
「……んんぅ? もっと優しいほうがいいの?」
それに対して頷くと、ミルルも応えるようにコクン、と頷き、先ほどよりもゆっくりと乳房を動かし始めた。
先ほどとは違う、まるで柔肉がふにゅふにゅと優しく絡み付いてくるような気持ちよさに、口の端から涎が垂れることにも厭わず、口を開けて快感に喘いでしまう。
「はぁ……きゅふ……ふぁぁん……あはぁ、テオ、すっごく可愛い顔してる〜♪」
そう言うミルルも快感を感じているのか、とろんと瞼を落とし、うっとりとした表情で胸を動かして小さな男根をこねこねと翻弄する。
彼が身体を震わせて快感を示す度に、彼女の笑顔は淫靡さを増し、よりその乳肌を押し付けて柔らかな乳肉を感じさせてくる。
鈴口から溢れた我慢汁が乳肉を濡らし、むちゅむちゅと音を立てて、物置小屋の狭い空間に響いた。
「あはぁ、えっちな音出てきたぁ〜♪ これ気持ちいいんだ〜♪」
その言葉に頷くとミルルは、えへ〜、っと艶かしく笑い、双乳をふにゅふにゅと動かす。
縦長に形を変え、にゅぷにゅぷと淫猥な音を出す柔乳からもたらされる幸せで気持ちのいい感触に、亀頭が膨張し、何度も震えた。
「ふきゅぅ……あぁん、んぁぁ……♪ あふぅ……んふ〜、もう、出ちゃう〜?」
だらしない表情をしていると自覚しながら、何度も頷く。
しかし、ミルルは胸を動かす手を早めることもせず、喘ぎ声を上げながらむにむにとした刺激を送り続けてくる。
じれったくもあり、それでいてずっと続けていたい快感。
自分からも肉棒を乳房に押し付けるように、腰を左右にゆるゆると動かすと、ミルルが擦り合わせる乳房の動きを合わせてくれる。
「んくぅ……ふぁ……♪ くふっ、んきゅぅ♪ ぁん……このまま、出しちゃおっか〜♪」
夢見心地の蕩けそうな感覚の中で、ゆっくりと確実に昇り詰めていく。
汗や先走りで湿ったミルルの乳肉が、ねっとりと吸い付くように陰茎全体に纏わりつき、時折腰までもが痙攣を始める。
「このまま、おっぱいの中に、ぴゅっぴゅ〜って♪」
何か言っているのが聞こえるが、おっぱいからもたらされるねっとりとした柔らかい快感に、蕩けて真っ白に染まりつつある頭では聞き取れなかった。
ミルルが、んふふ〜、と笑うと、乳房をきゅむっきゅむっと優しく圧迫する。
それを引き金にして、精液を漏らすように射精した。
「ふぁ、あくっ、んくぅ♪♪」
全身を痙攣させて、白濁を乳内で撒き散らすと、ミルルが嬌声を上げる。
そして、どくどくと律動しながら精を吐き出すペニスの動きに合わせて、むきゅむきゅと乳肉で絞り上げた。
「んっ、はぁ……んぅ……はぁ……んんぅ……気持ち、いい〜♪」
射精が止まっても、ミルルは恍惚とした表情で何度も乳房を揉みこねてきた。
精液が混じったことによって、先ほどよりもぐちゅっぐちゅっと大きく粘っこい音が反響する。
それが潤滑油として働いているとしても、射精直後で敏感になっている肉棒には強すぎる刺激だった。
いったん止めてもらおうとミルルに手を伸ばそうとするが、鋭い快感に身体が動くことを拒否してしまう。
「あはぁ……きもちいいよぉ……♪ おちんちんに、んぅ、おっぱい、こすりつけるの、くぅん♪ きもちいいよぉ♪」
ミルルは自分の快感を優先し始めたらしい。その潤んだ瞳はどこも見ておらず、意識を自分の胸に集中させているのが何となく分かった。
テオとしては、別に構わないのだが、射精直後の自分の一物を使うのはやめて欲しかった。
愚息に押し付けてくる乳肉の力が少しずつ強くなり、その動きも早くなってくる。
先ほどとは違い、容赦のない刺激に思わず歯を食いしばる。
しかし、急に小さな固いものが亀頭を両側から舐めるように刺激してきて、視界が明滅した。
「ふぁぁん♪ これ、いいっ、んふぁ、ふくぅん♪」
見れば、彼女が固くなった両胸の乳頭を、亀頭に擦り合わせている。
柔らかい圧迫感の中で、こりこりっと送られる固い刺激は腰が浮くほどの快感だった。
「あはぁ、おっぱいの先っぽがぁ、びりびりってぇ♪ ふきゅぅぅん♪」
ミルルにも強烈な快感として流れているようで、身体を震わせながらも亀頭に強く擦り付けてくる。
形を自在に変える乳房と、ペニスに押し付けられてぐにゅぐにゅと動く乳首がとても淫猥だった。
テオは再び歯を食いしばりながら、寄せられた二つの突起を擦るように腰を動かして快楽を貪っていく。
「はくっ、んあぁん♪ おちんちん、びくびくしながら、うごいてるぅ♪ はぁっ、テオっ、テオぉ♪」
腰を動かすたびに、乳肉が引きずられてその乳頭も内側へと引き込まれていく。
そんな乳首を陰茎に擦りつけられる快感に、ミルルが無意識にか、両側から乳房を強く圧迫してくる。
一度はその身体を大きく震わせるが、強い刺激に慣れてきたテオには、腰を加速させるほどの快感でしかなかった。
「はぅぅ、ひやぁ、あぁん♪ くるっ♪ きちゃうっ♪ おっぱいイっちゃうぅ♪」
柔らかな圧迫感と固い刺激に、射精欲が急速に昇り詰めてくる。
その瞬間、ミルルは身体を大きく震わせながら、両胸をさらにぎゅぅぅぅっと押し込んできた。
陰茎にぐにゅぅっと突起が押し潰され、その上からさらに柔肉に強く圧迫される。
身体中に電撃が走り抜け、頭が真っ白になった。
「ふあっ、んっ、きゅぅぅぅぅぅ♪♪♪」
二人の身体が大きく痙攣し、同時に絶頂を迎えた。
その大きな乳房の再び白濁を迸らせ、その度にミルルの身体がぴくんっ、と大きく跳ねる。
隙間の無くなったその谷間の中から溢れ出て、ミルルの顔を白く汚していく。
「ふぁぁ……んくぅ……♪♪」
顔に白濁を受けるたびに、嬉しそうな声を出して、表情を蕩けさせていくミルル。
その彼女の艶やかさに興奮を覚えてしまい、挟まれた乳房の中で陰茎をびくびくと震わせて残った精を吐き出していく。
「はふぅ……♪ んふふ〜、テオぉ〜♪」
精を出し切り、役目は終えた、と言わんばかりに萎えながら包皮の中へと戻っていくペニスを解放し、ミルルはテオに抱きつき、その顔に頬擦りし始める。
それは、自分の吐き出した精が自分の顔にかかる事を意味していた。
ぬちゃぁ、っと嫌な音ともに粘液が頬に付くのを感じ、テオはわずかに顔をしかめる。
しかし、それでも笑顔の彼女を突き放すようなことはせず、甘んじて受けていた。
顔面が自分の精液にまみれるくらいミルルからの抱擁と頬擦りを受けたあと、物置小屋を出た。
夕焼け色に染まる村の中、井戸から水を組んで二人で顔を洗ったあと、六人が揃った最初の場所に戻ってみると。
ため息を吐くネレレに手を引かれてベソをかいているキッドと、満足げなトトラに背負われて気を失っているコリンがいた。
それを見て、ゴブリンごっこはこちらの完敗であるということを、テオは無表情に悟ったのだった。
青年たちの仕事話が村にわずかな発展を与え、女性たちの井戸端会議が村内の繋がりを深める。
数多くの冒険者たちがこの村の宿に身を預け、この空気を気に入って住人となる者も、数少ないが存在する。
そんな平和な村に、近頃新しい住人がやってきた。
ホブゴブリン一人と、ゴブリン二人。言うまでも無く魔物である。
ある時、村の外へと『たんけん』に出て行った三人組の少年たちが、その魔物三人を連れて帰ってきたのである。
魔物が村の住人になった例はなく、当時はさすがに村の者たちも大変驚いた。
しかし、ホブゴブリンが一人の少年にべったりだった為、その仲を察した村人たちは素直に歓迎を示した。
こうして、村に腰を落ち着ける魔物が、初めて現れたである。
それから、しばらく経ったある日。
太陽が真上から照りつける昼のことだった。
あの日から、揃いそうで揃わなかった当時の『たんけん』パーティ三人と、ゴブリン三人組が集合したのだ。
とは言え、特にやることに変わりはなく、普段どおり木に登ったり村内を駆け回ったりボーっとしたりするだけである。
しかし、遊びが一段落したころに、金髪の少年、キッドがおもむろに言い放った。
「ゴブリンごっこしようぜ!」
あまりに唐突かつ聞き慣れない言葉に、残りの少年たちはおろか、ホブゴブリンのミルルやゴブリンであるトトラとネレレまでもが、意味がわからないといった表情をしている。
「……えぇ!?」
その反応が信じられないと言った様子で、大袈裟にのけ反るキッド。
「テオやコリンはいいよ! でもおまえらはなんでわかんねーんだよ!」
彼の言うお前らとはもちろんゴブリンのことである。
「そういわれても」
「アタイらがどしたー」
「どういうこと〜?」
言われた三人は、その疑問を口々に言う。
説明不足も甚だしいが、キッド少年はやはりゴブリンたちが理解していないのが不満そうであった。
「テオ、分かる〜?」
ミルルがその顔の左右で一束ずつ結われた髪を揺らしながら、隣にいた黒髪の少年、テオの顔を覗き込みながら聞いてくる。
わかるはずもないので、彼は素直に首を横に振った。
「わかんないって〜」
「いや、だからテオはいいんだよわかんなくて! わかってても何も言わねぇし!」
テオは無口を通り越して、言葉を持たぬ少年である。それはこの小さい村の中では結構有名な話である。
生まれながらにして発声器官を持っていないのか、単に言葉を発する方法を知る気がないのか、それとも別の何かがあるのか、実際のところは誰にも分からない。
「テオ、仲間はずれだね〜」
ミルルに、慰めるように頭を撫でられるテオ。
しかし、嬉しそうにしているのはテオではなく、頭を撫でているミルルであった。
「仲間はずれはむしろおれだよ! なんでだれもわかってくんねーんだよ!」
「ちゃんとわかるように言ってよ」
地団駄を踏むキッドに、ネレレがはっきりと言い放つ。
しかし、誰もわかってくれなかった悔しさと切なさは止まらない。
そしてその想いは半ば八つ当たりとなり、指摘してきた相手を指差しながら叫ぶ。
「おまえだれだよ!」
「ぶっとばすぞあんた」
ホブゴブリンであるミルルはともかく、同じゴブリンであるトトラ、ネレレはほとんど似たような容姿をしている。
赤味を帯びたショートの髪に、その髪を一束ずつ結って顔の左右で垂らしていること。
また、頭に二本生えている黄土色のやや小さめの角、そして長い耳に丸いピアスを付けていることも同じである。
さらには、ミルルとは違って、子供の見かけ相応に無い胸を覆うチューブトップや、緑色に透けたショートパンツから、チューブトップと同じ色と模様の布を前方で垂らしている所まで同じだ。
しかし、目の色や耳にしているピアスの色、またチューブトップや緑色のショートパンツから垂らしている布地の模様がわずかに違う。
「やーいやーい! ネレレのびーばー!」
「よく分からないけど本気でぶっとばすぞあんた」
ネレレの目はやや緑色で同系統色のピアスをしている。
また、胸を覆う服には、等間隔に横線の模様が引かれた物を身に付けていて、股間部を隠すように垂らしている布も同様の模様である。
「ケンカか! ショーブか! それならアタイもやるぞ!」
トトラは髪色と同じ赤味を帯びた目の色をしていて、耳にしているピアスも同様の色である。
そして、彼女の身に付けたチューブトップには、縦線の模様が等間隔に引かれている。腰から前に垂らした布地も同じである。
「ちがうよ、ちがうからね、トトラ」
この二人の一番の相違点と言えば、その雰囲気である。
ネレレは三人組の中でも、雰囲気が一番落ち着いており、逆にトトラは一番騒がしい雰囲気をしている。
今でも間違われることは稀にあるが、この二人の違いは、彼女らがこの村に腰を落ち着けてから見てきた者ならば、その雰囲気だけでも判別は可能である。
「おーぅ、なんだコリン! ヤるのか! アタイとヤるのか!」
「やんないよ、やんないからね、勝てないし」
特にキッドの家はネレレを、コリンの家はトトラを居候として置いているので、判別が付かないはずがなかった。
つまり、キッドの先ほどの『おまえだれだよ』発言は、ネレレに対する皮肉を込めた言葉でしかなかったのだ。
「みんなたのしそうだね〜テオ〜♪」
ちなみに、ミルルに関しては、二人と違って容姿に見合わない豊満すぎる胸を持つホブゴブリンという事を除いても、いつもテオと一緒にいる女の子と言えば誰も間違えることはない。
「っていうか、ゴブリンごっこって何すんの?」
様々な方向で荒れ始める三人を宥めながら、茶髪の少年コリンが問いかける形でキッドに助け舟を出した。
それを聞き、頭を掻きながら言いだしっぺは歯切れ悪く答える。
「ゴブリンごっこっつったら……あれだよ……ゴブリンがおれたちを追いかけるんだよ……つかまったら、おれらはおしまいだよ」
つまりはただの鬼ごっこである。
歯切れの悪さは鬼ごっこを何とか改変しようとしたが思い浮かばなかったのだろう。
「あたしらが追い回す限定かよ」
ネレレが、呆れながら言う。
そんなネレレをキッドは不満げな顔で言い返す。
「おまえら追いかけっこしてたんじゃねーの?」
「だれと?」
「にんげんと」
「してたけど」
「じゃあゴブリンごっこだろうが!」
その結論には相変わらず首を傾げざるを得ない。
キッドの逆切れ気味な物言いに、ネレレの眉間にも再び皺が寄っている。
どうやら、この二人はあまり相性が良くないらしい。
「じゃー、つかまえたニンゲン、ヤっちゃっていーのか!」
コリンのおかげで落ち着いたトトラが、自分なりに解釈したゴブリンごっこに沸き立つ。
ネレレはそれを聞いて気が変わったのか、にやりと表情を変えた。
捕まえたらヤれる――それは魔物にとって、最上の褒美であることに違いない。
「あぁそっか、ゴブリンごっこだしな。それならあたしもやるよ」
「わたしも〜」
「えぇ!? ヤられるのはちょっと……」
ゴブリン全員が賛同する中、ヤられるといった事に、身に覚えがあるらしいコリンが控えめに撤回を要求してきた。
先ほどから痛いほど視線を浴びせてきている、トトラの目に怯えているように見えなくもない。
「やりたくないなら、やめてもいいけどね。キッドがやらないって言うなら」
「え、テオは?」
「テオは……」
ネレレとコリンが、テオを見る。
既にミルルに捕まっていた。横から抱きつかれ、ミルルが嬉しそうに、そして楽しそうにその無表情な顔に頬擦りしている。
「あれは別にいいでしょ?」
「あぁ、うん……あれはいいや」
そのまま押し倒されそうになり、慌てて耐えているように見えるテオを放置して、ネレレはキッドに視線を向けた。
「で、どうすんのキッド」
「あ?」
言いだしっぺでありながら、あまり聞いていなかった感じの返事である。
「ゴブリンごっこ、するの?」
「え? あー……」
それでも一応話は聞いていたらしく、悩む素振りを見せていた。
「まぁ、あたしはキッドが”腑抜け”だって知ってるから、やんなくてもいいけど?」
「!! いいぜ! 来いよあねごぉ! こんぼうなんか捨ててかかってこいよぉ!」
「あねご言うな」
ネレレのあからさまな挑発に、キッドは全開でエンジンをぶっちぎった。
思っていたよりも相性は良いのかもしれない。
コリンもこの結末は予測していたのか、そのため息には諦観的な要素が大きかった。
「はぁ……やんなきゃだめか」
「なに言ってんだよ、つかまらなきゃいいんだよ! おれたちにんげんの底力、見せてやろうぜ!」
キッドは何事も全力である。絶対に負けない、という自信の表れでもある。
しかし、過剰な自信は破滅を招くということを、彼は後に知るだろう。
「おやぶん、行きますよ」
何はともあれ、これからの遊びはゴブリンごっこに決定した。
ネレレはテオにくっ付いているミルルを引き剥がし、距離を取るために引きずっていく。
「あ〜ん、テオ〜」
「はいはい、捕まえればいいだけですから」
「つかまらなかったらあとでヤればいーんですよ!」
「あっ、そっか〜」
どちらに転んでも、結果の変わらない不穏なやり取りが聞こえるが、テオの表情はやはり変わらない。
引きずられるミルルを見送っていると、キッドに呼ばれたので、彼も人間側へと向かっていく。
「じゃあ5秒数えるから。それまでにちゃっちゃと逃げてよ」
「おっしゃー行くぜーおまえらー!」
ネレレの言葉を聞いたのか聞いていないのか、キッドが声を上げると、少年たちはゴブリンたちから背を向けて駆け出した。
それを見てから、ゴブリン三人組は輪になって向かい合う。
そして、互いに頷きあうと、カウントを始めた。
「いっちにーさーん――」
そのカウントはリズム良く、そして早かった。
これを見越していたわけではないだろうが、カウントを始める前に距離を開けていたのは正解である。
最初の位置取りだったならば、逃げることすらままならなかっただろう。
「しーごー――」
「「「れっつごー!」」」
早すぎるカウントを終えると、三人は示し合わせたように声を揃えて棍棒を持っていない腕を掲げ上げた。
そのシンクロぶりから、人間の旅人を追い掛け回す時にも、5秒の猶予を与えていた事が窺える。
「いいな、あれ! おれたちもやんねぇ?」
「その前にまず逃げようか」
先ほどよりも離れた距離で、ゴブリンたちの様子を見ていたキッドが沸き立ち、コリンが諌める。
掲げた右腕を下ろしたゴブリンたちが、こちらに顔を向ける。
「「まてゴブー!」」
そして、棍棒を振り上げながら、トトラとネレレが猛ダッシュしてきた。
今まで付いていなかった語尾を付けているが、思っていたよりも早い彼女らの姿に、少年たちにはそんな事を気にしている余裕は無かった。
少年たちは彼女らに背を向けて駆け出す。
「まてご――」
ワンテンポほど遅れたミルルの声は、ズシャァァ、と言う盛大な音と共にかき消された。
あまりにも派手すぎた音に、少年たちも振り返る。
そこには、ミルルが砂埃を上げながら地面に倒れていた。
「おやびーん!!」
「おやぶーん!!」
三人組同様、振り返ってその姿を確認した二人のゴブリンが、ミルルへと駆け寄る。
二人の動きはどこか慣れていた。恐らく、何度も繰り返されているのだろう。
テオも倒れた彼女の元に駆け寄ろうとして、キッドとコリンに無言で両腕を抑えられた。
「だいじょびですかおやびん!」
「怪我とかしてませんかおやぶん!」
「んんぅ……だいじょうぶ〜」
やや目を回しながらも、ミルルが二人の声に答えて立ち上がる。
そして身体についた砂埃を叩いてから、棍棒を振り上げて再び走り始める。
「まてごぶ〜」
「「まてゴブー!」」
その速度は他のゴブリン二人よりも目に見えて遅いが、結果的にミルルが先導する形になった。
ミルルの後に続く形で、トトラ、ネレレも棍棒を振り上げて再び猛ダッシュしてきた。
「うわぁ、にげろー!」
キッドの声に、少年たちは踵を返して全力疾走する。
思い思いに村内を走り、三人はすぐに散り散りになる。後ろから聞こえる駆け足もそれぞれを追って減っていく。
少年たちが捕まるまで終わらないゴブリンごっこが、始まった。
すぐにミルルを撒くことが出来たテオは、村の物置となっている木造の小屋に入った。
年に一度ずつしか行われない様々な行事の道具が無造作に置かれ、中は入り組んでいる。
奥に進んでいくと、乱雑に積まれた道具が壁となって道を塞いでいた。
視線を下ろすと、子供一人が地に伏せれば何とか入れそうな小さな隙間を見つける。
その中を通っていくと、やや広めの空間に出た。少なくとも、テオが寝転がりながら両手を広げても余裕のある広さだった。さらに地面にはマットも敷かれているので、砂利を踏む音もしない。中に灯りは無く、やや暗いが窓から差し込む太陽の光のおかげで、視界にはそれほど苦労しない。
まさしく、身を隠すには最適の環境だった。
外が暗くなるまでここでやり過ごせば問題無いだろう、と彼は考えていた。
しかし、すぐに物置の入り口から、誰かが入ってくる気配を感じた。
乱雑に積まれた道具の隙間から入り口を覗くと、ほんの少しだけ色素の薄い赤髪の女の子がいた。テオと同じくらいの小さな背丈であるが、それに見合わぬ豊かな乳房が揺れている。
「テオ〜?」
紛れも無くミルルだった。
息を潜めてその様子を見る。
彼女は一度だけ物置小屋の中を見渡すと、急にこちら側に顔を向けた。
向こう側からは、物陰に隠れて見えないはずなのに、何故か目が合った気がした。
それが気のせいではないことを示すように、ミルルは目を細めて笑みを浮かべながら迷う事なくこちらに歩いてくる。
そして、テオと道具を挟んだ向かいまで来ると、すぐに何かを見つけたのか、その場からしゃがみこんで見えなくなってしまった。
恐らく、この空間へと続く小さな隙間を見つけたのだろう。向こう側からごそごそと音が聞こえている。
「んっしょ、んっしょ……んんぅ、テオ〜」
自分に助けを求めるような声も聞こえている。しかし、答えるわけにはいかない。今はゴブリンごっこの最中なのだ。ホブゴブリンであるミルルに捕まってはいけないのである。
周りを見回してここから逃げられる場所を探してみるが、今ミルルが通っている場所以外には隙間すら見当たらない。
既に詰んでいた。
「んっしょ、んしょ……あ、出れたぁ〜」
逃げ場を探している間に、ミルルが同じ空間に来てしまった。
目が合った瞬間、彼女はぱぁっと表情を明るくしたかと思えば、いきなり抱きつかれ、そして押し倒された。
「えへへ〜捕まえた〜♪」
テオの顔に頬擦りしながら、ミルルは嬉しそうに言う。あっさりと捕まってしまったのである。
しかし、どうしてすぐにこの場所を見つけられてしまったのだろうか。
「んふふ〜テオのことは何でもお見通しなんだからね〜♪」
そんな彼の疑問が雰囲気に出ていたらしく、ミルルが嬉しそうな表情を変えずに答えた。
そして顔を上げ、テオを見下ろして笑ったかと思えば、いきなり顔を近づけてキスされる。
あまりに突然だったので身体を離そうと身をよじらせるが、上に乗られた状態であることと、相手が怪力持ちのホブゴブリンであるせいで、その抵抗は空しく終わった。
「んむぅ、ちゅっ、ちゅっちゅ、ちゅぅ〜♪」
唇を啄ばまれた後、ミルルが柔らかな唇を押し付けてきた。
されるがままでいると、今度はゆっくりと、甘えるように唇を啄ばまれる。
「あむぅ、ふぁ、ちゅるっ、はむっ、んんぅ〜♪」
ミルルに求められてしまえば、彼にそれを断る理由は無かった。
彼女の意図を悟り、こちらから啄ばみ返すと、嬉しそうな声を漏らす。
しかし、すぐにミルルから下唇を挟まれ、ちゅぅっと吸われた。
それだけの事なのに、走る快感が大きく身体を駆け巡り、頭に靄がかかるように思考が鈍っていく。
ただ夢中でバードキスを続けていると、ミルルがテオから顔を離した。
「ふわぁ、んぅ……ふふっ♪」
彼女の顔は上気していて、笑みを漏らす表情は、魅惑的で妖艶な魔物のものだった。
その笑みに魅入られたように、しばらく見つめ合っていると、ミルルが下半身へと下っていく。
その流れでズボンも下ろされ、キスだけで屹立している一物を彼女の前で晒すことになってしまった。
それを見たミルルが一瞬だけ驚き、しかしすぐ楽しそうに笑いながら言った。
「あいかわらず、ほーけーさんだねぇ〜」
彼女の言うとおり、それは包皮を被って隠れていた。
ミルルたちが村に来てから、魔物の知識は得たのだが自分の身体に関する知識は全く入っていない。それ故に彼女の言葉は理解できなかった。
天を衝く自分の小さな局部を見ながら考えていると、ミルルがチューブトップを両手でずり下ろした。
覆われていた胸が大きく揺れながら飛び出る。
服に包まれている状態でも揺れていたその乳房に、目を奪われていると、ミルルが目を細めて笑う。
「えへへ〜♪ いっつもおっぱい見てるんだから〜♪」
その声に嫌そうな色は微塵も無く、むしろ見せつけるように自分で胸を揉み回し始めた。
指摘に目を逸らそうにも、痴態を見せられた状態ではそれが出来るはずもなく、目に焼き付けるように凝視してしまう。
柔らかく自由自在に形を変える乳房はとても淫靡で、触れられてもいないのに陰茎が跳ね動く。
視覚的な興奮だけで彼は昇りつめそうな雰囲気だった。
「そのほーけーさん、むきむきしてあげるねぇ〜♪」
弾んだ声でそう言うと、豊かな双乳の間に包茎をあてがった。
乳房に皮の先が当たり、それだけで快感が走る。そして、それ以上に期待に身体が震える。
恐らく、その期待が顔にも出ていたのだろう。ミルルはこちらの顔を見て、じらすように乳房を揺らした。
「んっふふ〜♪」
そしてにんまりと笑って、両手に力を込めて双房を寄せ、その谷間に皮を被った亀頭を沈めていく。
密着してくる乳肉を掻き分けるように埋まっていく自分の愚息。
全てが乳房に包まれるころには包皮が完全に剥かれ、股間部から裂けるような衝撃と――それ以上の快感が身体を駆け巡った。
ミルルの宣言通り、おっぱいでむきむきされたのだ。
「ふぁっ、んくっ……えへへ〜、むきむきしちゃったぁ〜♪」
ミルルが胸に肉棒を挟み込んだまま、胸を交互に上下させるように揉み捏ねる。
それだけなのに、強い快感が電流のように身体中に伝わってくる。
「あふぅ……んぁっ、おちんちん、びくんびくんしてる〜♪」
ペニスが震えるたびに、それを止めようとしているのか、両手で乳房を押さえて圧迫を強めてくる。
しかしある時、無意識に力を込めすぎたのか、痛みにも強い快感に全身が跳ね上がった。
耐え切れそうにない快楽に、テオは思わず頭を上げて、必死に首を横に振った。
「……んんぅ? もっと優しいほうがいいの?」
それに対して頷くと、ミルルも応えるようにコクン、と頷き、先ほどよりもゆっくりと乳房を動かし始めた。
先ほどとは違う、まるで柔肉がふにゅふにゅと優しく絡み付いてくるような気持ちよさに、口の端から涎が垂れることにも厭わず、口を開けて快感に喘いでしまう。
「はぁ……きゅふ……ふぁぁん……あはぁ、テオ、すっごく可愛い顔してる〜♪」
そう言うミルルも快感を感じているのか、とろんと瞼を落とし、うっとりとした表情で胸を動かして小さな男根をこねこねと翻弄する。
彼が身体を震わせて快感を示す度に、彼女の笑顔は淫靡さを増し、よりその乳肌を押し付けて柔らかな乳肉を感じさせてくる。
鈴口から溢れた我慢汁が乳肉を濡らし、むちゅむちゅと音を立てて、物置小屋の狭い空間に響いた。
「あはぁ、えっちな音出てきたぁ〜♪ これ気持ちいいんだ〜♪」
その言葉に頷くとミルルは、えへ〜、っと艶かしく笑い、双乳をふにゅふにゅと動かす。
縦長に形を変え、にゅぷにゅぷと淫猥な音を出す柔乳からもたらされる幸せで気持ちのいい感触に、亀頭が膨張し、何度も震えた。
「ふきゅぅ……あぁん、んぁぁ……♪ あふぅ……んふ〜、もう、出ちゃう〜?」
だらしない表情をしていると自覚しながら、何度も頷く。
しかし、ミルルは胸を動かす手を早めることもせず、喘ぎ声を上げながらむにむにとした刺激を送り続けてくる。
じれったくもあり、それでいてずっと続けていたい快感。
自分からも肉棒を乳房に押し付けるように、腰を左右にゆるゆると動かすと、ミルルが擦り合わせる乳房の動きを合わせてくれる。
「んくぅ……ふぁ……♪ くふっ、んきゅぅ♪ ぁん……このまま、出しちゃおっか〜♪」
夢見心地の蕩けそうな感覚の中で、ゆっくりと確実に昇り詰めていく。
汗や先走りで湿ったミルルの乳肉が、ねっとりと吸い付くように陰茎全体に纏わりつき、時折腰までもが痙攣を始める。
「このまま、おっぱいの中に、ぴゅっぴゅ〜って♪」
何か言っているのが聞こえるが、おっぱいからもたらされるねっとりとした柔らかい快感に、蕩けて真っ白に染まりつつある頭では聞き取れなかった。
ミルルが、んふふ〜、と笑うと、乳房をきゅむっきゅむっと優しく圧迫する。
それを引き金にして、精液を漏らすように射精した。
「ふぁ、あくっ、んくぅ♪♪」
全身を痙攣させて、白濁を乳内で撒き散らすと、ミルルが嬌声を上げる。
そして、どくどくと律動しながら精を吐き出すペニスの動きに合わせて、むきゅむきゅと乳肉で絞り上げた。
「んっ、はぁ……んぅ……はぁ……んんぅ……気持ち、いい〜♪」
射精が止まっても、ミルルは恍惚とした表情で何度も乳房を揉みこねてきた。
精液が混じったことによって、先ほどよりもぐちゅっぐちゅっと大きく粘っこい音が反響する。
それが潤滑油として働いているとしても、射精直後で敏感になっている肉棒には強すぎる刺激だった。
いったん止めてもらおうとミルルに手を伸ばそうとするが、鋭い快感に身体が動くことを拒否してしまう。
「あはぁ……きもちいいよぉ……♪ おちんちんに、んぅ、おっぱい、こすりつけるの、くぅん♪ きもちいいよぉ♪」
ミルルは自分の快感を優先し始めたらしい。その潤んだ瞳はどこも見ておらず、意識を自分の胸に集中させているのが何となく分かった。
テオとしては、別に構わないのだが、射精直後の自分の一物を使うのはやめて欲しかった。
愚息に押し付けてくる乳肉の力が少しずつ強くなり、その動きも早くなってくる。
先ほどとは違い、容赦のない刺激に思わず歯を食いしばる。
しかし、急に小さな固いものが亀頭を両側から舐めるように刺激してきて、視界が明滅した。
「ふぁぁん♪ これ、いいっ、んふぁ、ふくぅん♪」
見れば、彼女が固くなった両胸の乳頭を、亀頭に擦り合わせている。
柔らかい圧迫感の中で、こりこりっと送られる固い刺激は腰が浮くほどの快感だった。
「あはぁ、おっぱいの先っぽがぁ、びりびりってぇ♪ ふきゅぅぅん♪」
ミルルにも強烈な快感として流れているようで、身体を震わせながらも亀頭に強く擦り付けてくる。
形を自在に変える乳房と、ペニスに押し付けられてぐにゅぐにゅと動く乳首がとても淫猥だった。
テオは再び歯を食いしばりながら、寄せられた二つの突起を擦るように腰を動かして快楽を貪っていく。
「はくっ、んあぁん♪ おちんちん、びくびくしながら、うごいてるぅ♪ はぁっ、テオっ、テオぉ♪」
腰を動かすたびに、乳肉が引きずられてその乳頭も内側へと引き込まれていく。
そんな乳首を陰茎に擦りつけられる快感に、ミルルが無意識にか、両側から乳房を強く圧迫してくる。
一度はその身体を大きく震わせるが、強い刺激に慣れてきたテオには、腰を加速させるほどの快感でしかなかった。
「はぅぅ、ひやぁ、あぁん♪ くるっ♪ きちゃうっ♪ おっぱいイっちゃうぅ♪」
柔らかな圧迫感と固い刺激に、射精欲が急速に昇り詰めてくる。
その瞬間、ミルルは身体を大きく震わせながら、両胸をさらにぎゅぅぅぅっと押し込んできた。
陰茎にぐにゅぅっと突起が押し潰され、その上からさらに柔肉に強く圧迫される。
身体中に電撃が走り抜け、頭が真っ白になった。
「ふあっ、んっ、きゅぅぅぅぅぅ♪♪♪」
二人の身体が大きく痙攣し、同時に絶頂を迎えた。
その大きな乳房の再び白濁を迸らせ、その度にミルルの身体がぴくんっ、と大きく跳ねる。
隙間の無くなったその谷間の中から溢れ出て、ミルルの顔を白く汚していく。
「ふぁぁ……んくぅ……♪♪」
顔に白濁を受けるたびに、嬉しそうな声を出して、表情を蕩けさせていくミルル。
その彼女の艶やかさに興奮を覚えてしまい、挟まれた乳房の中で陰茎をびくびくと震わせて残った精を吐き出していく。
「はふぅ……♪ んふふ〜、テオぉ〜♪」
精を出し切り、役目は終えた、と言わんばかりに萎えながら包皮の中へと戻っていくペニスを解放し、ミルルはテオに抱きつき、その顔に頬擦りし始める。
それは、自分の吐き出した精が自分の顔にかかる事を意味していた。
ぬちゃぁ、っと嫌な音ともに粘液が頬に付くのを感じ、テオはわずかに顔をしかめる。
しかし、それでも笑顔の彼女を突き放すようなことはせず、甘んじて受けていた。
顔面が自分の精液にまみれるくらいミルルからの抱擁と頬擦りを受けたあと、物置小屋を出た。
夕焼け色に染まる村の中、井戸から水を組んで二人で顔を洗ったあと、六人が揃った最初の場所に戻ってみると。
ため息を吐くネレレに手を引かれてベソをかいているキッドと、満足げなトトラに背負われて気を失っているコリンがいた。
それを見て、ゴブリンごっこはこちらの完敗であるということを、テオは無表情に悟ったのだった。
13/04/16 14:17更新 / edisni