mad and lunaticcer
色々と話は省くが、何の因果か、俺は”不思議の国”に招待と言う名のテレポートを受けた。
そうして、このメルヘンでありつつも、どこか雰囲気的に色に狂っているような世界に誘拐された。
どうしたもんかと頭を掻いていると、突然現れたチェシャ猫が案内してくれると言うので、甘んじて受けてみたら。
そりゃもうエロい光景が目の前に広がる広がる。
『ねぇ、見て、あの男の子。さっきまではお兄さんと同じくらいの男の人だったんだよ? お兄さんもあんな風に、小さくなって、甘えたいよねぇ?』
「バカ野郎! こっちが小さくなって甘えるよりも、小さい女の子に『お兄ちゃん? お兄ちゃん! お兄ちゃん♪ お兄ちゃーん!』と甘えられる方が嬉しいに決まってんだろうが。ついでにツインテールだったら最高だ! あくまで俺の話だけどな!」
などと、普通に考えれば未精通な小さな男の子が、お姉さんな魔物に甘える光景を見ながら一方的に熱い弁論を交え。
『にゃふ、ねぇねぇ、理性も何もかも取っ払って、身も心も文字通り獣になって女の子を犯すの、すっごく気持ちよさそうだよねぇ? セックスじゃなくて、交尾。気持ちのいい、交尾。ねぇ、お兄さん、してみたいよねぇ?』
「アホかタコ助! 獣姦の楽しみ方っつうのはなぁ、女を犯してる犬っころに感情移入するんじゃねぇんだよ。犬に犯されてアヘってる女見ながら、自分でチンコをしごくのが至高の楽しみ方なんだよ! ま、あくまで俺の話だけどな」
とか、犬に腰を振られて喘いでいる女性の光景を見て、俺のあまり知られたくない性癖を自ら暴露し。
『にゃふふ、お兄さんあそこ、見て? あそこの池。あれただの池じゃなくて、媚薬のローションで出来た池だよ。ほら、中に男女が入って、ぬちょぬちょぐちゅぐちゅの蕩けるセックス、してるの見えるよねぇ? あの中でセックスしたら、本当の、本当に気持ちいいと思わない?』
「いや……悪いけど俺、ガキの頃に間違えてローションをがぶ飲みした事があって、その時に喉詰まらせて死ぬ思いしたから、実は全然魅力感じないんだよな。むしろトラウマになってるせいか、見てるだけで如何せんチンコがバッドなエンディングを迎えそうになる」
『…………』
という、飄々と俺に語り掛けてくるチェシャ猫ですらも絶句するような過去で、お涙頂戴、ではなくむしろ個人的に何かお言葉頂戴な話をしてしまったり。
話のネタには事欠かないエロい光景のオンパレードだが、どうも彼女的にはむしろ俺が何がしかの不適合だったらしく。
『お兄さんとは別の場所で会いたかったにゃあ。主にお酒とか飲める場所で』
という言葉を残して、チェシャ猫は俺の案内役を辞退した。
辞退するのは別に構わない。彼女にも色々と事情や都合はあるだろう。
だとしても、ならばどうすればいいのかとか、どっち行けばいいのかくらいは、教えてくれても良かったんじゃないんだろうか。
もしかしたら、新たな案内役がここに来るかもしれない、という限りなく薄い望みを賭けて、その場で座禅を組んで待ってみる。
しかし、現れたのは案内役ではなく、恐らく自分のペットだろう名前を呼びながらチーズのクッションを抱き締めながら半べそをかく、パジャマを着た女の子だった。
どう見ても案内役ではなかった。どちらかと言うと、この子の方が俺よりも緊急感満載だった。
泣いている彼女を呼び止めてから、今まで来た方角を指して、あっちは人が多いから誰か知ってる奴もいるかもしれない、と伝える。
それを聞いて希望を見出した表情になり、ありがとぅ、と一言お礼を言われてとてとてと歩き出した。
そうして歩いていく女の子を見て、自分も待ってばかりはいられないと悟り、その場を後にした。
とは言っても、先ほどの女の子と違うのは、俺には全くあてが無いということである。
それでも、一度歩き出してしまった以上、立ち止まるわけにはいかなかった。
そこで、他の事をしながらなら、歩くのも苦にはならないだろうと思い、白目を剥きながら歩いたり、逆立ちしながら歩いたり、想像上に作ったマス目を実際の光景に当てはめたリアル人生ゲームをエアプレイしたり、と適当に気分転換しながら歩いていた時の事だった。
「……お?」
何だか庭園のような場所があったので、すかさず飛び込んでみると、長テーブルがあり、周りに椅子がいくつも並ぶ中で、ちょうど隅の椅子に座っている人物と出くわした。
「――おや? この時間にお客様とは珍しい」
ところどころキノコの傘のような装飾を施し、青緑色の燕尾服のその人物は、俺が来たことに気付いていても、動じた様子は無い。
また、燕尾服の袖の二の腕に、ダイヤマークのような模様が輪のようになっていた。
シルクハットよりもツバを大きくしたような帽子は、燕尾服に付いた装飾と同じようなキノコが付いていて、またトランプのスートの模様が帽子の上部分に施されている。
「待ちきれなくなってしまったのかな? 残念だけど、お茶会を始めるのは、もう少しあとなんだ」
その声や口調、仕草はあくまでも中性的。
だが、その一つ一つの言動から溢れる気品、
そして何より――初対面の相手にそういう目で見るのは、失礼千万だという事は承知の上だが。
その身体は、確実に”女”だった。
ぴっちりとした服のせいか、胸の大きさが強調されているのもそうだが、それだけではなく身体が女性的な丸みを帯びているのだ。
「準備中だったか? だとしたら、邪魔して悪かったな」
しかし、その顔は燕尾服と同色のツバの広い帽子を、目深にかぶっているので、窺い知る事が出来ない。
見えるのは、紫色の一束の髪だけだった。
「いや、見ての通り、始まるまで紅茶を楽しんでいただけさ。一人で飲む紅茶も悪くないからね」
そう言いながら、彼女は赤黒いキノコの入ったカップを啜っていく。
「ふぅ。でも、さすがに一人だと、寂しくてね。ちょうど、お茶会が始まるまで、相手が欲しいと思っていたんだ」
そう言いながらようやく彼女は顔を上げる。
肩まで伸びた髪だが、その色が少し特殊だった。
片方は紫色で、もう片方は青緑色に染まっている。
「もし良ければ――相手になってくれないか」
そして、そう言いながら笑う眼は、紅茶のように深く紅かった。
そんな見目麗しい女性に言われて、断るのは男としてどうか、という話だ。
「もちろん、俺が暇潰しの足しになるんであれば、喜んで」
「くふふ、ありがとう。紅茶を用意するよ」
彼女の隣の席に座ると、カップを用意して、ポットから紅茶を入れてくれた。
そうして、目の前でカップを置かれると、紅茶の良い香りが鼻腔を刺激する。
彼女のものと見比べてみると、俺の紅茶にはキノコをいれないらしい。
「それじゃ始めようか。少し早い――二人だけのお茶会を」
そう言いながら、彼女はキノコの自己主張が激しい自分のカップをこちらに持ってきたので、俺もそれに合わせてカップを持って打ち鳴らした。
お茶会の中で自分を魔物である帽子屋と言い、マリアンネと名乗った彼女は、俺のここに来てからの苦労話を聞いて、愉快そうに笑った。
「くっ、ふふふ、君は本当に面白い人間だね」
そう言ってから、マリアンネ――マリに腹を抱えて爆笑された。
一体今までの話の中でどこがツボにハマったのだろうか。
「案内役の彼女にすら、見捨てられるなんて……くくっ、あはは、ひひっ、くひっ、ひひひいいいい!」
どうやらそこらしい。
まぁ、俺もぶっちゃけ案内の業務放棄宣言をされた時には何言ってんだこいつ、と心底思ったが。
彼女からすれば、おかしいのは俺の方だという事だろうか。
カップを手に取りながら、一口飲んで元に戻しながら、大げさにため息を吐いた。
「っていうか笑いすぎだろ。最初の瀟洒な感じはどうしたよ」
あと、笑い方が気違い過ぎる。
今の腹を抱えてテーブルに突っ伏して笑う様は、最初に出会った時の姿とは、とても同一人物とは思えない。
「あはは……はぁ、すまない。君がおかしなくらい狂った人間だと分かったからね。思わず笑ってしまった」
笑いすぎて涙が出たのか、目の端を指で拭いながら、謝罪するマリ。
さり気なくディスられたが、まぁ聞き流すことにしよう。
「自分じゃ、そうは思わないんだけどな」
まぁ、他人からそう見えてしまうならば、俺は狂っている分類なんだろう、とは思うが。
人というのは、自分では当たり前に思っていても、他人から言われて初めて『おかしい』と気付ける事もあるからな。
それでも、どちらかと言えば、普通寄りの価値観だとは思っている。
「いいや、君は狂っているよ。間違いない」
と自分を励ましていたら、マリは容赦なくぶちのめしてきた。
泣ける。
「それに、この不思議の国にいる者たちは、招かれた人間たちも含めて――例外なく狂っているよ」
そして、今さらな話ではあるが、気付くとマリが椅子をこちらに寄せていて片手を俺の腿に、そしてもう片手で俺の股間を撫でている。
「そうでなければ、ここに来ることなんて――君が私と出会う事なんて、無かったからね」
俺の肩に頭を置いて、寄りかかってくる仕草は、とてつもなく女性的な物だった。
すごいロマンチックでよろしいものだとは思うが、それを服越しとは言えチンコ撫でながらじゃ雰囲気も何もあったもんじゃねぇ。
「でも、君の狂い方は私たちとはちょっと違うね」
「……と言うと?」
チンコ撫でられっぱなしで聞き返すのもなんだが、マリの撫で方は、なんというか男のツボを心得ていて、とてつもなく気持ちいいのだから、下手に動くと暴発してしまう可能性がある。
……恐らく、極端に距離をつめておいて、そして女性だと意識せざるを得ない匂いで鼻を刺激してくるのも、彼女の計算なのだろう。
「もし君がハートの女王のように、自分の世界を作り出せるとしたら、それはきっと、ここよりも不可思議で、理解のしがたい、それでいて飽きの来ない世界だと思うんだ」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
もちろん褒めてるんだよ、とでも言いたげにマリは笑う。
その口調は本当にいつも通りだが、それ以外の仕草が、とてつもなく乙女になってきて、男心を否応なしにくすぐってくる。
「だけど、私はその世界が作られることは望んでいない」
「その心は?」
「君の世界は――私だけが知っていれば良いんだ」
椅子どころか、身体ごと密着させてきて、女性的な柔らかさを身体全体で感じさせてくる。
見た目通りに大きく柔らかな胸を押し付け、腿をぴったりとくっ付けられ、顔をこちらに向けて耳に息を吹きかけられる。
まるで身体が、心が、ねっとりとした物に絡め取られてしまっているような。
そんな感覚ですらも、全て悦びとなって身体が震えてしまう。
「……それは、プロポーズと受け取っても?」
「それ以外に何があるんだい? 私は、君を一人占めしたいんだよ」
彼女は意外と恥ずかしいことをさらりと言ってくれる。
度胸があるとでも言うのだろうか。彼女が男であれば、相手の女に同じことを口走れば結構な確率でコロリするだろう。
しかし、悲しいかな。彼女は女で、口説かれている俺は男だ。
「はは、どうせこのプロポーズを断ったとしても、結局一人占めしちまうんだろう?」
「ふふ、本気で嫌がらないなら、止めないよ」
……なるほど。『本気で嫌がったら止める』、とは言わないわけだ。
つまり、この時点で俺は、彼女の物になることが決まっているわけだ。
そして、その意志を示すように、服越しにチンコを撫でていた手を止め、社会の窓を開けようとしたとき、俺はとうとう自分から動いた。
「だが、断る」
「え――なっ!」
一度立ち上がりながら、マリの椅子を蹴飛ばし、そのまま地面に落ちていく彼女の後ろに回りこむ。
そのままマリを抱え上げながら自分の椅子に戻り、俺の膝の上に乗せる。
「……っ! ち、力が入らな……!」
「残念だったな。お前の飲んでる紅茶に入ってるキノコって、タケリダケだろ? 気違って笑ってる間に、一口だけ味見させてもらったぞ。うん、まぁタケリ紅茶も悪くないな」
俺がいた街は、親魔物国家だ。故に魔界特産の物に関しては結構流通しているし、メジャーな物も入っている。
特にタケリダケと言ったものは怪しいタヌキがよく売っていた上に押し売り上等で押し付けてくるので、常に持っていたし、その効果は把握済みだった。
食えば理性が吹き飛ぶかもしれないが――その量を限りなく少なくすれば、理性を保ったまま、タケリダケの効果を得る事が出来ると、俺の過去が証明している。
俺の場合だけかもしれんが、タケリダケを小指の爪ほど齧ってから、股間のチンコを引くと、あり得ないくらい胞子をまき散らすことができる。まさにキノコの大胞子還元フェスティバルだ。
ただ、タケリダケを食っておくと、好意を持っている魔物に対して、優位に立てるとは聞いていたが、ここまでとは。
「し、しかし、私のプロポーズは断る、と……っ」
そう言いながら、彼女は涙声だった。顔を除くと、その眼から涙が零れ落ちそうなくらいに潤んでいる。
俺に断られて、結構ショックだったらしい。
その泣いて崩れそうな顔はとてつもなく可愛かった。
「確かに断るとは言ったけど、それ以上に俺が言いたい事があるからだ」
「……?」
理性を保っていられる、とは言ったが、実を言うと、残っている理性はわずかしかない。
タケリダケを身に入れた状態で、女性に触れたことが無かったせいか、彼女の感触や匂いや息遣いが嫌に扇情的に煽ってくる。あとさっきの泣きそうな顔もかなり理性を持っていった。
今回のタケリダケが思っていた以上に強力な物だったか、それともマリの存在自体が俺の理性を鈍らせているのか。
どちらにしても、俺のタケリダケさんが、さっさと解放してくれよと自己主張がうるさい。
「勘違いすんなよ、マリアンネ――俺は一人占めされるんじゃなくて、する方がいいんだ」
「……ぁ、それは、つまり……」
目の前のマリが魅力的過ぎて、そろそろ耐え切れない。
答える代わりに、胸に手を伸ばす。
「んぁ♪ 急に触るなんて、ズルい、じゃないか……」
「……俺も余裕が無いんだ。楽しめる内にやらせてくれ」
思っていた通りの大きな乳を手に収めて、揉み回す。
服の上からでも柔らかく、まるでねっとりと絡みついてくるような感触は、まるで帰ってこれなくなるような魔性の魅力があった。
「ふはぁ、くぅ……そんなの、いつでも楽しませてあげるよ……んぁぁ♪」
力を入れる度に、ずぶりと指が飲み込まれ、囚われていくようだった。
彼女の身体が震え、口からは艶っぽい吐息が漏れる。
責めているのは俺のはずなのに、まるで責められているような、錯覚にさえ陥ってしまう。
「……っ、く……」
「はぁ、くふっ……♪ 良いんだ……私に溺れてしまっても、んくぅ♪ そっちの方が、嬉しいから、ぁ♪」
それを悟られてしまったか、彼女が色っぽい声で、俺の心を煽り、絡め取っていく。
おかげで俺のタケリダケが、触られてもいないのに、白い胞子をまき散らしそうだった。
そろそろ我慢ができない。このまま乳絞りしていたいところだが、挿れずに白い胞子をぶちまけるのはマリにも申し訳ないだろう。
「……挿れるぞ」
「ぁ……あぁ、待ってたよ、早く君のが、はぁ、欲しいんだ」
自分でズボンのファスナーを開けてさらし出された俺のタケリダケを、彼女の股間に押し当てる。
その瞬間に、そう言えばこいつの服を脱がすのを忘れていたな、と思い出して股間に手を伸ばそうとした瞬間――俺の肉棒は、ぬぷぅ、と何かに勢いよく入り込んでいった。
「え、ちょ、まっ」
ついでに、ブチィ、と激しく何かを強引に突破した。
「うおぉい!? なんか突き破っ……って、まさか、お前」
俺のチンコが入っているのが膣だとすれば、考えられることは一つしかなかった。
それを証明するかのように、彼女は額にびっしりと汗をかいていた。
「はっ、あ、はぁ……♪ こういう事するの、ぁ、初めて、なんだ……♪」
衝撃的な事実である。
あれだけ自然な動作で俺の股間を撫で摩ってきていたくせに、こいつ。
「えぇ、処女!? ってことはお前耳年増だったの!?」
「ちが、うぅ♪ 忘れ、たのかい? ふぅ、私は、魔物、だよ」
あぁ、そう言えばそうだ。魔物は性交渉に関する技術は本能として組み込まれている。
あまりに人外的な要素が少なすぎて、魔物という事すら忘れていた。
思えば、チェシャ猫だったり、半べそパジャマ少女だったり、これまでにここで出会った奴らには、そこそこ人には無い物があったから――
「うおっ――おい!」
向こうから、一度だけ腰を大きく上げて、膣壁を強く締めた状態で落とされた。
強い電流が快感として脳に流れ込み、身体が跳ねる。
「んくふぅぅぅ♪ こういう場において、他の女性の事を考えるのは、失礼だと、思わない、かい?」
喘ぎながら、にやりと口角を上げるマリだったが、その赤くて紅い眼は笑っていなかった。
確かに今のは目の前の相手に対して失礼だ。いやマリが怖いとかではなくて。
そのお詫びは言葉ではなく、身体で示す。
「……あぁ♪ くふっ♪ そう、私だけを、見てくれれば、いい♪」
嬉しそうに喘ぐ彼女を後ろから抱きながら、腰を動かして、彼女の膣内を堪能する。
さすが魔物と言うべきか、大して前戯もしていないのに、動いても問題ないほどに濡れていて、そして気持ちいい。
膣から分泌されている愛液が、肉棒にねっとりと余すところなく絡みついてくる。
それはまるで、昔、俺ががぶ飲みしたローションのように。
ローションの――ように。
「――――」
「っ、くぅ♪ ん……どうした、んっ、だい?」
思わず、腰を止める。
恐怖心からか、心臓がドックンドックンとうるさいくらい高鳴っていた。
喉に膜のような物が貼られ、気体すら通してくれない、あの閉塞感。
まるで息が詰まるようで、酸素が足りなくすら感じてくる。
早足で近づいてくる、死。
「……あれ?」
そして働く生殖本能――というところまで来て、気付く。
むしろ、この心臓の高鳴りは、彼女とシている時から起きていて、元々気付かなかったのではないか?
息が詰まるのは単純に膣内が気持ちよすぎて、肺の中に貯まった酸素すら吐き出し切ってしまっているから。
早足で近づいてきているのは、死ではなく、射精。
そう考えると、問題無く辻褄が合ってくる。
「……ま、まさか、私では、気持ちよく――」
そして、俺のタケリダケは生殖本能が働く以前から何度も限界を超えて、成長しまくっていた。
つまり――
「俺、ローショントラウマ克服してんじゃねぇかぁ!!」
「な、何を言って――うぁ、ちょ、いきなり、はぁ、ズル、ひいぁぁん♪♪」
思わず嬉しさに腰を突き上げながら、勢い余ってマリの胸を揉み揉みしてしまう。
突き上げた際にも縦に揺れる感触が掌に伝わるので、握っているだけでもさらに興奮させてきた。
後顧の憂いが無くなったせいか、今まで抑圧していた物が溢れだしてきたような、そんな感覚だった。
「くふぅ、ん、あっ♪ やっ、そんな、されたらっ、おかしく、なってしま、うぅ♪」
そして、向こうの性感スイッチも押してしまったのか、ひどく喘いでくれるようになった。
少しずつ腰の動きを激しく打ち上げる物へと変えつつ、口で彼女の耳を探し当てて、むしゃぶりつく。
耳たぶを舌でゆらすと、乳とは違う可愛らしい弾力を持って、応えてくれた。
耳の溝に舌を這わせ、最終的に唾液をたっぷりと含ませた舌で耳穴の外周を回す。
「んあぁ♪ まって、これじゃ、んぅ♪ わた、しだけが、あぅん♪」
「安心しろ、俺もあり得ないくらい興奮してるから」
耳穴の周囲を舐め回すたびに、マリの身体が痙攣し、膣壁も締めてくる。
触れば触るほど、どこも性感帯のようだった。触れば素直に反応が返ってくるから楽しくて気持ちが良い。
しかし、彼女にしてみれば快感が強すぎるのか、いやいやと首を振って耳責めから逃げられてしまった。
仕方が無いので、うなじに口付けをして、彼女の肌の味を堪能する方向に変える。
「んんぅぅぅ♪ くび、はぁ、くすぐった♪ くはぅ♪」
構わずにうなじにキスを続けながら、片手を股間へと持っていき、結合部上部にある小さな豆突起を指で弄り回す。
ついでに、胸の突起も指で摘んでくりくりと刺激してやることも忘れない。
「あぁ、こらぁ♪ そこ、はぁ、びんかんっ♪ だからぁ、あふぁ♪ どうじに、さわるのは、らぁぁ♪」
触るたびに、膣内がぎゅうぎゅうに締め付けられ、目の前が何度もフラッシュした。
マリの身体に触っている俺自身も、あり得ないくらい興奮し、肉棒が敏感になっていた。
興奮に興奮が重なり、無意識に腰を小刻みに動かして敏感な部分を何度も擦っていく。
「んあぁ♪ あぁ♪ もう、だめ、んはぁ♪ もう、キて、んぅ♪ いっしょ、にっ♪」
マリの膣内が痙攣するように収縮運動を始めていた。
中に入っている怒張が容赦なく締め上げられ、こちらの射精欲も激しく刺激されて、根元から急速に上がってくる。
「出すぞ……!」
「あぁ、はや、くぅ、んぁ、ぁ、だして!」
俺の言葉に答えるように、膣壁が精液を求めて強く締め付けてくる。
それが引き金になったのを感じて、マリの身体を抱えながら、思いっきり腰を膣奥に突き上げた瞬間――
「んぁぁぁぁぁぁぁぁ♪♪♪」
「っ、がっ、はぁ!!!」
さらに膣奥でも吸われ、頭すらも真っ白に染められ、俺の銃口から白い弾丸がぶちまけられた。
「ぁぁぁぁぁ……♪♪」
普段ならば出し切っているような時間でも、マグナムの乱射は止まらない。
膣壁によって根元から押し上げられ、そして最奥で絞り出されるのだから、強制的に出されているようなものだった。
それだけに快感も長く、それこそ気が遠くなるような気持ちよさだった。
「っ……はぁ……はぁ……」
打ち止めになった瞬間、二人同時に脱力する。
俺は椅子の背もたれに。そして、マリは俺の身体に。
「あぁ……これはぁ……ひくぅ、今まで飲んできた、どんな紅茶よりも……美味しい……はぁぁ……♪」
自分の下腹部をさすりながら、満足そうに、愛しげに笑うマリ。
一仕事終えたかのように、タケリダケだった俺のキノコも、ただのチンコダケへと縮んでいく。
やりたいと思っていたことの一パターンが大体出来て、童貞にして上出来だったんじゃないか、と俺も俺で実は満足だったのだが。
しかし、体力気力ともに疲労がひどい。
「さぁ……もう一度、しようか」
そんな状態で、俺の上を退こうともせず、あろう事がそんな事を言ってくる帽子屋。
今のでインターバルも終わりだろうか。だとしたら、設計時間が狂いすぎだろう。
「……いや、あの、マリアンネさん。こっちにも体力的な事情がありまして……」
主に俺のキノコちゃんがな。
さっきまで俺のタケリダケだった物はただの群生キノコに成り下がり、勃起すら出来そうにない状態なのだが。
「おや、君は最初に言ってくれた言葉を反故にするつもりかな? 言ったじゃないか、相手をしてくれるって」
「……いや、こういうことするとは想定外にも程があるんだが」
「でも、君は確かに言ったんだ。『自分が暇潰しの足しになるなら喜んで』、と」
そこまで覚えていないほど能無しではない。
確かに言った。そこに間違いは無いが。
「そう言ったのだから、もちろん付き合ってくれるだろう? 君の存在が無ければ、私の魔生は、暇潰しの足しにすらならない物になってしまった」
紫色と青緑の、二色が混在した髪を揺らしながら、こちらを振り向く。
その際、強く風が吹き、大きな帽子がぱさりとその頭から離れた。
「――私は、もっと君が欲しいんだ」
一転して、か弱く言い放つその顔は。
物欲しそうな表情で、不安げに瞳を潤ませた、少女の顔だった。
所々に気違いに狂う事はあるが、それでも凛々しい彼女にそんな顔をされて、聞けない男などいるはずが無い。
少し、反則が過ぎるだろう。
「……っ、仕方ないな、分かったよ――ならちょっとドーピングさせてもらうぞ」
そう言いながら、テーブルにある彼女のカップから、キノコを取って思いっきり齧って飲み込んだ。
「んぐっ、が、ぐぅ……」
次の瞬間、身体の内から燃え上がり、頭が茹っていくような感覚に支配された。
自分が自分で無くなり、性欲に支配され、ケダモノへと変わっていくのが分かる。
そんな中で目の前に魅力的なマリの身体がある。
その身体を、テーブルにうつ伏せに押し倒し、先ほどよりもタケリダケになったチンコダケを、彼女にぬぷっと挿入する。
「あぁ、そんな――くひゃうぅ♪」
そんな、マリの可愛らしい声を耳にしたあと、俺の意識は完全に飛んだ。
次に気付いた時、俺の白い精液でぬっとぬとになったマリが恍惚とした表情でテーブルに横たわっていた。
そうして、このメルヘンでありつつも、どこか雰囲気的に色に狂っているような世界に誘拐された。
どうしたもんかと頭を掻いていると、突然現れたチェシャ猫が案内してくれると言うので、甘んじて受けてみたら。
そりゃもうエロい光景が目の前に広がる広がる。
『ねぇ、見て、あの男の子。さっきまではお兄さんと同じくらいの男の人だったんだよ? お兄さんもあんな風に、小さくなって、甘えたいよねぇ?』
「バカ野郎! こっちが小さくなって甘えるよりも、小さい女の子に『お兄ちゃん? お兄ちゃん! お兄ちゃん♪ お兄ちゃーん!』と甘えられる方が嬉しいに決まってんだろうが。ついでにツインテールだったら最高だ! あくまで俺の話だけどな!」
などと、普通に考えれば未精通な小さな男の子が、お姉さんな魔物に甘える光景を見ながら一方的に熱い弁論を交え。
『にゃふ、ねぇねぇ、理性も何もかも取っ払って、身も心も文字通り獣になって女の子を犯すの、すっごく気持ちよさそうだよねぇ? セックスじゃなくて、交尾。気持ちのいい、交尾。ねぇ、お兄さん、してみたいよねぇ?』
「アホかタコ助! 獣姦の楽しみ方っつうのはなぁ、女を犯してる犬っころに感情移入するんじゃねぇんだよ。犬に犯されてアヘってる女見ながら、自分でチンコをしごくのが至高の楽しみ方なんだよ! ま、あくまで俺の話だけどな」
とか、犬に腰を振られて喘いでいる女性の光景を見て、俺のあまり知られたくない性癖を自ら暴露し。
『にゃふふ、お兄さんあそこ、見て? あそこの池。あれただの池じゃなくて、媚薬のローションで出来た池だよ。ほら、中に男女が入って、ぬちょぬちょぐちゅぐちゅの蕩けるセックス、してるの見えるよねぇ? あの中でセックスしたら、本当の、本当に気持ちいいと思わない?』
「いや……悪いけど俺、ガキの頃に間違えてローションをがぶ飲みした事があって、その時に喉詰まらせて死ぬ思いしたから、実は全然魅力感じないんだよな。むしろトラウマになってるせいか、見てるだけで如何せんチンコがバッドなエンディングを迎えそうになる」
『…………』
という、飄々と俺に語り掛けてくるチェシャ猫ですらも絶句するような過去で、お涙頂戴、ではなくむしろ個人的に何かお言葉頂戴な話をしてしまったり。
話のネタには事欠かないエロい光景のオンパレードだが、どうも彼女的にはむしろ俺が何がしかの不適合だったらしく。
『お兄さんとは別の場所で会いたかったにゃあ。主にお酒とか飲める場所で』
という言葉を残して、チェシャ猫は俺の案内役を辞退した。
辞退するのは別に構わない。彼女にも色々と事情や都合はあるだろう。
だとしても、ならばどうすればいいのかとか、どっち行けばいいのかくらいは、教えてくれても良かったんじゃないんだろうか。
もしかしたら、新たな案内役がここに来るかもしれない、という限りなく薄い望みを賭けて、その場で座禅を組んで待ってみる。
しかし、現れたのは案内役ではなく、恐らく自分のペットだろう名前を呼びながらチーズのクッションを抱き締めながら半べそをかく、パジャマを着た女の子だった。
どう見ても案内役ではなかった。どちらかと言うと、この子の方が俺よりも緊急感満載だった。
泣いている彼女を呼び止めてから、今まで来た方角を指して、あっちは人が多いから誰か知ってる奴もいるかもしれない、と伝える。
それを聞いて希望を見出した表情になり、ありがとぅ、と一言お礼を言われてとてとてと歩き出した。
そうして歩いていく女の子を見て、自分も待ってばかりはいられないと悟り、その場を後にした。
とは言っても、先ほどの女の子と違うのは、俺には全くあてが無いということである。
それでも、一度歩き出してしまった以上、立ち止まるわけにはいかなかった。
そこで、他の事をしながらなら、歩くのも苦にはならないだろうと思い、白目を剥きながら歩いたり、逆立ちしながら歩いたり、想像上に作ったマス目を実際の光景に当てはめたリアル人生ゲームをエアプレイしたり、と適当に気分転換しながら歩いていた時の事だった。
「……お?」
何だか庭園のような場所があったので、すかさず飛び込んでみると、長テーブルがあり、周りに椅子がいくつも並ぶ中で、ちょうど隅の椅子に座っている人物と出くわした。
「――おや? この時間にお客様とは珍しい」
ところどころキノコの傘のような装飾を施し、青緑色の燕尾服のその人物は、俺が来たことに気付いていても、動じた様子は無い。
また、燕尾服の袖の二の腕に、ダイヤマークのような模様が輪のようになっていた。
シルクハットよりもツバを大きくしたような帽子は、燕尾服に付いた装飾と同じようなキノコが付いていて、またトランプのスートの模様が帽子の上部分に施されている。
「待ちきれなくなってしまったのかな? 残念だけど、お茶会を始めるのは、もう少しあとなんだ」
その声や口調、仕草はあくまでも中性的。
だが、その一つ一つの言動から溢れる気品、
そして何より――初対面の相手にそういう目で見るのは、失礼千万だという事は承知の上だが。
その身体は、確実に”女”だった。
ぴっちりとした服のせいか、胸の大きさが強調されているのもそうだが、それだけではなく身体が女性的な丸みを帯びているのだ。
「準備中だったか? だとしたら、邪魔して悪かったな」
しかし、その顔は燕尾服と同色のツバの広い帽子を、目深にかぶっているので、窺い知る事が出来ない。
見えるのは、紫色の一束の髪だけだった。
「いや、見ての通り、始まるまで紅茶を楽しんでいただけさ。一人で飲む紅茶も悪くないからね」
そう言いながら、彼女は赤黒いキノコの入ったカップを啜っていく。
「ふぅ。でも、さすがに一人だと、寂しくてね。ちょうど、お茶会が始まるまで、相手が欲しいと思っていたんだ」
そう言いながらようやく彼女は顔を上げる。
肩まで伸びた髪だが、その色が少し特殊だった。
片方は紫色で、もう片方は青緑色に染まっている。
「もし良ければ――相手になってくれないか」
そして、そう言いながら笑う眼は、紅茶のように深く紅かった。
そんな見目麗しい女性に言われて、断るのは男としてどうか、という話だ。
「もちろん、俺が暇潰しの足しになるんであれば、喜んで」
「くふふ、ありがとう。紅茶を用意するよ」
彼女の隣の席に座ると、カップを用意して、ポットから紅茶を入れてくれた。
そうして、目の前でカップを置かれると、紅茶の良い香りが鼻腔を刺激する。
彼女のものと見比べてみると、俺の紅茶にはキノコをいれないらしい。
「それじゃ始めようか。少し早い――二人だけのお茶会を」
そう言いながら、彼女はキノコの自己主張が激しい自分のカップをこちらに持ってきたので、俺もそれに合わせてカップを持って打ち鳴らした。
お茶会の中で自分を魔物である帽子屋と言い、マリアンネと名乗った彼女は、俺のここに来てからの苦労話を聞いて、愉快そうに笑った。
「くっ、ふふふ、君は本当に面白い人間だね」
そう言ってから、マリアンネ――マリに腹を抱えて爆笑された。
一体今までの話の中でどこがツボにハマったのだろうか。
「案内役の彼女にすら、見捨てられるなんて……くくっ、あはは、ひひっ、くひっ、ひひひいいいい!」
どうやらそこらしい。
まぁ、俺もぶっちゃけ案内の業務放棄宣言をされた時には何言ってんだこいつ、と心底思ったが。
彼女からすれば、おかしいのは俺の方だという事だろうか。
カップを手に取りながら、一口飲んで元に戻しながら、大げさにため息を吐いた。
「っていうか笑いすぎだろ。最初の瀟洒な感じはどうしたよ」
あと、笑い方が気違い過ぎる。
今の腹を抱えてテーブルに突っ伏して笑う様は、最初に出会った時の姿とは、とても同一人物とは思えない。
「あはは……はぁ、すまない。君がおかしなくらい狂った人間だと分かったからね。思わず笑ってしまった」
笑いすぎて涙が出たのか、目の端を指で拭いながら、謝罪するマリ。
さり気なくディスられたが、まぁ聞き流すことにしよう。
「自分じゃ、そうは思わないんだけどな」
まぁ、他人からそう見えてしまうならば、俺は狂っている分類なんだろう、とは思うが。
人というのは、自分では当たり前に思っていても、他人から言われて初めて『おかしい』と気付ける事もあるからな。
それでも、どちらかと言えば、普通寄りの価値観だとは思っている。
「いいや、君は狂っているよ。間違いない」
と自分を励ましていたら、マリは容赦なくぶちのめしてきた。
泣ける。
「それに、この不思議の国にいる者たちは、招かれた人間たちも含めて――例外なく狂っているよ」
そして、今さらな話ではあるが、気付くとマリが椅子をこちらに寄せていて片手を俺の腿に、そしてもう片手で俺の股間を撫でている。
「そうでなければ、ここに来ることなんて――君が私と出会う事なんて、無かったからね」
俺の肩に頭を置いて、寄りかかってくる仕草は、とてつもなく女性的な物だった。
すごいロマンチックでよろしいものだとは思うが、それを服越しとは言えチンコ撫でながらじゃ雰囲気も何もあったもんじゃねぇ。
「でも、君の狂い方は私たちとはちょっと違うね」
「……と言うと?」
チンコ撫でられっぱなしで聞き返すのもなんだが、マリの撫で方は、なんというか男のツボを心得ていて、とてつもなく気持ちいいのだから、下手に動くと暴発してしまう可能性がある。
……恐らく、極端に距離をつめておいて、そして女性だと意識せざるを得ない匂いで鼻を刺激してくるのも、彼女の計算なのだろう。
「もし君がハートの女王のように、自分の世界を作り出せるとしたら、それはきっと、ここよりも不可思議で、理解のしがたい、それでいて飽きの来ない世界だと思うんだ」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
もちろん褒めてるんだよ、とでも言いたげにマリは笑う。
その口調は本当にいつも通りだが、それ以外の仕草が、とてつもなく乙女になってきて、男心を否応なしにくすぐってくる。
「だけど、私はその世界が作られることは望んでいない」
「その心は?」
「君の世界は――私だけが知っていれば良いんだ」
椅子どころか、身体ごと密着させてきて、女性的な柔らかさを身体全体で感じさせてくる。
見た目通りに大きく柔らかな胸を押し付け、腿をぴったりとくっ付けられ、顔をこちらに向けて耳に息を吹きかけられる。
まるで身体が、心が、ねっとりとした物に絡め取られてしまっているような。
そんな感覚ですらも、全て悦びとなって身体が震えてしまう。
「……それは、プロポーズと受け取っても?」
「それ以外に何があるんだい? 私は、君を一人占めしたいんだよ」
彼女は意外と恥ずかしいことをさらりと言ってくれる。
度胸があるとでも言うのだろうか。彼女が男であれば、相手の女に同じことを口走れば結構な確率でコロリするだろう。
しかし、悲しいかな。彼女は女で、口説かれている俺は男だ。
「はは、どうせこのプロポーズを断ったとしても、結局一人占めしちまうんだろう?」
「ふふ、本気で嫌がらないなら、止めないよ」
……なるほど。『本気で嫌がったら止める』、とは言わないわけだ。
つまり、この時点で俺は、彼女の物になることが決まっているわけだ。
そして、その意志を示すように、服越しにチンコを撫でていた手を止め、社会の窓を開けようとしたとき、俺はとうとう自分から動いた。
「だが、断る」
「え――なっ!」
一度立ち上がりながら、マリの椅子を蹴飛ばし、そのまま地面に落ちていく彼女の後ろに回りこむ。
そのままマリを抱え上げながら自分の椅子に戻り、俺の膝の上に乗せる。
「……っ! ち、力が入らな……!」
「残念だったな。お前の飲んでる紅茶に入ってるキノコって、タケリダケだろ? 気違って笑ってる間に、一口だけ味見させてもらったぞ。うん、まぁタケリ紅茶も悪くないな」
俺がいた街は、親魔物国家だ。故に魔界特産の物に関しては結構流通しているし、メジャーな物も入っている。
特にタケリダケと言ったものは怪しいタヌキがよく売っていた上に押し売り上等で押し付けてくるので、常に持っていたし、その効果は把握済みだった。
食えば理性が吹き飛ぶかもしれないが――その量を限りなく少なくすれば、理性を保ったまま、タケリダケの効果を得る事が出来ると、俺の過去が証明している。
俺の場合だけかもしれんが、タケリダケを小指の爪ほど齧ってから、股間のチンコを引くと、あり得ないくらい胞子をまき散らすことができる。まさにキノコの大胞子還元フェスティバルだ。
ただ、タケリダケを食っておくと、好意を持っている魔物に対して、優位に立てるとは聞いていたが、ここまでとは。
「し、しかし、私のプロポーズは断る、と……っ」
そう言いながら、彼女は涙声だった。顔を除くと、その眼から涙が零れ落ちそうなくらいに潤んでいる。
俺に断られて、結構ショックだったらしい。
その泣いて崩れそうな顔はとてつもなく可愛かった。
「確かに断るとは言ったけど、それ以上に俺が言いたい事があるからだ」
「……?」
理性を保っていられる、とは言ったが、実を言うと、残っている理性はわずかしかない。
タケリダケを身に入れた状態で、女性に触れたことが無かったせいか、彼女の感触や匂いや息遣いが嫌に扇情的に煽ってくる。あとさっきの泣きそうな顔もかなり理性を持っていった。
今回のタケリダケが思っていた以上に強力な物だったか、それともマリの存在自体が俺の理性を鈍らせているのか。
どちらにしても、俺のタケリダケさんが、さっさと解放してくれよと自己主張がうるさい。
「勘違いすんなよ、マリアンネ――俺は一人占めされるんじゃなくて、する方がいいんだ」
「……ぁ、それは、つまり……」
目の前のマリが魅力的過ぎて、そろそろ耐え切れない。
答える代わりに、胸に手を伸ばす。
「んぁ♪ 急に触るなんて、ズルい、じゃないか……」
「……俺も余裕が無いんだ。楽しめる内にやらせてくれ」
思っていた通りの大きな乳を手に収めて、揉み回す。
服の上からでも柔らかく、まるでねっとりと絡みついてくるような感触は、まるで帰ってこれなくなるような魔性の魅力があった。
「ふはぁ、くぅ……そんなの、いつでも楽しませてあげるよ……んぁぁ♪」
力を入れる度に、ずぶりと指が飲み込まれ、囚われていくようだった。
彼女の身体が震え、口からは艶っぽい吐息が漏れる。
責めているのは俺のはずなのに、まるで責められているような、錯覚にさえ陥ってしまう。
「……っ、く……」
「はぁ、くふっ……♪ 良いんだ……私に溺れてしまっても、んくぅ♪ そっちの方が、嬉しいから、ぁ♪」
それを悟られてしまったか、彼女が色っぽい声で、俺の心を煽り、絡め取っていく。
おかげで俺のタケリダケが、触られてもいないのに、白い胞子をまき散らしそうだった。
そろそろ我慢ができない。このまま乳絞りしていたいところだが、挿れずに白い胞子をぶちまけるのはマリにも申し訳ないだろう。
「……挿れるぞ」
「ぁ……あぁ、待ってたよ、早く君のが、はぁ、欲しいんだ」
自分でズボンのファスナーを開けてさらし出された俺のタケリダケを、彼女の股間に押し当てる。
その瞬間に、そう言えばこいつの服を脱がすのを忘れていたな、と思い出して股間に手を伸ばそうとした瞬間――俺の肉棒は、ぬぷぅ、と何かに勢いよく入り込んでいった。
「え、ちょ、まっ」
ついでに、ブチィ、と激しく何かを強引に突破した。
「うおぉい!? なんか突き破っ……って、まさか、お前」
俺のチンコが入っているのが膣だとすれば、考えられることは一つしかなかった。
それを証明するかのように、彼女は額にびっしりと汗をかいていた。
「はっ、あ、はぁ……♪ こういう事するの、ぁ、初めて、なんだ……♪」
衝撃的な事実である。
あれだけ自然な動作で俺の股間を撫で摩ってきていたくせに、こいつ。
「えぇ、処女!? ってことはお前耳年増だったの!?」
「ちが、うぅ♪ 忘れ、たのかい? ふぅ、私は、魔物、だよ」
あぁ、そう言えばそうだ。魔物は性交渉に関する技術は本能として組み込まれている。
あまりに人外的な要素が少なすぎて、魔物という事すら忘れていた。
思えば、チェシャ猫だったり、半べそパジャマ少女だったり、これまでにここで出会った奴らには、そこそこ人には無い物があったから――
「うおっ――おい!」
向こうから、一度だけ腰を大きく上げて、膣壁を強く締めた状態で落とされた。
強い電流が快感として脳に流れ込み、身体が跳ねる。
「んくふぅぅぅ♪ こういう場において、他の女性の事を考えるのは、失礼だと、思わない、かい?」
喘ぎながら、にやりと口角を上げるマリだったが、その赤くて紅い眼は笑っていなかった。
確かに今のは目の前の相手に対して失礼だ。いやマリが怖いとかではなくて。
そのお詫びは言葉ではなく、身体で示す。
「……あぁ♪ くふっ♪ そう、私だけを、見てくれれば、いい♪」
嬉しそうに喘ぐ彼女を後ろから抱きながら、腰を動かして、彼女の膣内を堪能する。
さすが魔物と言うべきか、大して前戯もしていないのに、動いても問題ないほどに濡れていて、そして気持ちいい。
膣から分泌されている愛液が、肉棒にねっとりと余すところなく絡みついてくる。
それはまるで、昔、俺ががぶ飲みしたローションのように。
ローションの――ように。
「――――」
「っ、くぅ♪ ん……どうした、んっ、だい?」
思わず、腰を止める。
恐怖心からか、心臓がドックンドックンとうるさいくらい高鳴っていた。
喉に膜のような物が貼られ、気体すら通してくれない、あの閉塞感。
まるで息が詰まるようで、酸素が足りなくすら感じてくる。
早足で近づいてくる、死。
「……あれ?」
そして働く生殖本能――というところまで来て、気付く。
むしろ、この心臓の高鳴りは、彼女とシている時から起きていて、元々気付かなかったのではないか?
息が詰まるのは単純に膣内が気持ちよすぎて、肺の中に貯まった酸素すら吐き出し切ってしまっているから。
早足で近づいてきているのは、死ではなく、射精。
そう考えると、問題無く辻褄が合ってくる。
「……ま、まさか、私では、気持ちよく――」
そして、俺のタケリダケは生殖本能が働く以前から何度も限界を超えて、成長しまくっていた。
つまり――
「俺、ローショントラウマ克服してんじゃねぇかぁ!!」
「な、何を言って――うぁ、ちょ、いきなり、はぁ、ズル、ひいぁぁん♪♪」
思わず嬉しさに腰を突き上げながら、勢い余ってマリの胸を揉み揉みしてしまう。
突き上げた際にも縦に揺れる感触が掌に伝わるので、握っているだけでもさらに興奮させてきた。
後顧の憂いが無くなったせいか、今まで抑圧していた物が溢れだしてきたような、そんな感覚だった。
「くふぅ、ん、あっ♪ やっ、そんな、されたらっ、おかしく、なってしま、うぅ♪」
そして、向こうの性感スイッチも押してしまったのか、ひどく喘いでくれるようになった。
少しずつ腰の動きを激しく打ち上げる物へと変えつつ、口で彼女の耳を探し当てて、むしゃぶりつく。
耳たぶを舌でゆらすと、乳とは違う可愛らしい弾力を持って、応えてくれた。
耳の溝に舌を這わせ、最終的に唾液をたっぷりと含ませた舌で耳穴の外周を回す。
「んあぁ♪ まって、これじゃ、んぅ♪ わた、しだけが、あぅん♪」
「安心しろ、俺もあり得ないくらい興奮してるから」
耳穴の周囲を舐め回すたびに、マリの身体が痙攣し、膣壁も締めてくる。
触れば触るほど、どこも性感帯のようだった。触れば素直に反応が返ってくるから楽しくて気持ちが良い。
しかし、彼女にしてみれば快感が強すぎるのか、いやいやと首を振って耳責めから逃げられてしまった。
仕方が無いので、うなじに口付けをして、彼女の肌の味を堪能する方向に変える。
「んんぅぅぅ♪ くび、はぁ、くすぐった♪ くはぅ♪」
構わずにうなじにキスを続けながら、片手を股間へと持っていき、結合部上部にある小さな豆突起を指で弄り回す。
ついでに、胸の突起も指で摘んでくりくりと刺激してやることも忘れない。
「あぁ、こらぁ♪ そこ、はぁ、びんかんっ♪ だからぁ、あふぁ♪ どうじに、さわるのは、らぁぁ♪」
触るたびに、膣内がぎゅうぎゅうに締め付けられ、目の前が何度もフラッシュした。
マリの身体に触っている俺自身も、あり得ないくらい興奮し、肉棒が敏感になっていた。
興奮に興奮が重なり、無意識に腰を小刻みに動かして敏感な部分を何度も擦っていく。
「んあぁ♪ あぁ♪ もう、だめ、んはぁ♪ もう、キて、んぅ♪ いっしょ、にっ♪」
マリの膣内が痙攣するように収縮運動を始めていた。
中に入っている怒張が容赦なく締め上げられ、こちらの射精欲も激しく刺激されて、根元から急速に上がってくる。
「出すぞ……!」
「あぁ、はや、くぅ、んぁ、ぁ、だして!」
俺の言葉に答えるように、膣壁が精液を求めて強く締め付けてくる。
それが引き金になったのを感じて、マリの身体を抱えながら、思いっきり腰を膣奥に突き上げた瞬間――
「んぁぁぁぁぁぁぁぁ♪♪♪」
「っ、がっ、はぁ!!!」
さらに膣奥でも吸われ、頭すらも真っ白に染められ、俺の銃口から白い弾丸がぶちまけられた。
「ぁぁぁぁぁ……♪♪」
普段ならば出し切っているような時間でも、マグナムの乱射は止まらない。
膣壁によって根元から押し上げられ、そして最奥で絞り出されるのだから、強制的に出されているようなものだった。
それだけに快感も長く、それこそ気が遠くなるような気持ちよさだった。
「っ……はぁ……はぁ……」
打ち止めになった瞬間、二人同時に脱力する。
俺は椅子の背もたれに。そして、マリは俺の身体に。
「あぁ……これはぁ……ひくぅ、今まで飲んできた、どんな紅茶よりも……美味しい……はぁぁ……♪」
自分の下腹部をさすりながら、満足そうに、愛しげに笑うマリ。
一仕事終えたかのように、タケリダケだった俺のキノコも、ただのチンコダケへと縮んでいく。
やりたいと思っていたことの一パターンが大体出来て、童貞にして上出来だったんじゃないか、と俺も俺で実は満足だったのだが。
しかし、体力気力ともに疲労がひどい。
「さぁ……もう一度、しようか」
そんな状態で、俺の上を退こうともせず、あろう事がそんな事を言ってくる帽子屋。
今のでインターバルも終わりだろうか。だとしたら、設計時間が狂いすぎだろう。
「……いや、あの、マリアンネさん。こっちにも体力的な事情がありまして……」
主に俺のキノコちゃんがな。
さっきまで俺のタケリダケだった物はただの群生キノコに成り下がり、勃起すら出来そうにない状態なのだが。
「おや、君は最初に言ってくれた言葉を反故にするつもりかな? 言ったじゃないか、相手をしてくれるって」
「……いや、こういうことするとは想定外にも程があるんだが」
「でも、君は確かに言ったんだ。『自分が暇潰しの足しになるなら喜んで』、と」
そこまで覚えていないほど能無しではない。
確かに言った。そこに間違いは無いが。
「そう言ったのだから、もちろん付き合ってくれるだろう? 君の存在が無ければ、私の魔生は、暇潰しの足しにすらならない物になってしまった」
紫色と青緑の、二色が混在した髪を揺らしながら、こちらを振り向く。
その際、強く風が吹き、大きな帽子がぱさりとその頭から離れた。
「――私は、もっと君が欲しいんだ」
一転して、か弱く言い放つその顔は。
物欲しそうな表情で、不安げに瞳を潤ませた、少女の顔だった。
所々に気違いに狂う事はあるが、それでも凛々しい彼女にそんな顔をされて、聞けない男などいるはずが無い。
少し、反則が過ぎるだろう。
「……っ、仕方ないな、分かったよ――ならちょっとドーピングさせてもらうぞ」
そう言いながら、テーブルにある彼女のカップから、キノコを取って思いっきり齧って飲み込んだ。
「んぐっ、が、ぐぅ……」
次の瞬間、身体の内から燃え上がり、頭が茹っていくような感覚に支配された。
自分が自分で無くなり、性欲に支配され、ケダモノへと変わっていくのが分かる。
そんな中で目の前に魅力的なマリの身体がある。
その身体を、テーブルにうつ伏せに押し倒し、先ほどよりもタケリダケになったチンコダケを、彼女にぬぷっと挿入する。
「あぁ、そんな――くひゃうぅ♪」
そんな、マリの可愛らしい声を耳にしたあと、俺の意識は完全に飛んだ。
次に気付いた時、俺の白い精液でぬっとぬとになったマリが恍惚とした表情でテーブルに横たわっていた。
16/05/13 07:34更新 / edisni