Slime "Carrier"
「――あれ?」
日課となっている屋敷の蔵書室で読書をしていたら、面白い本を見つけて夢中になってしまい、気付いたら昼をわずかに過ぎていた。
食事の仕度が遅れていることに気付かれてしまうと、姉さんが頬を膨らませてしまう。
それはそれで面倒な事になるので、すこし慌てながら蔵書室を出てきたのだが、その本人の気配を感じなかったのだ。
いつもならば、帰ってきている時間。というよりも、実を言えば、頬を膨らませるどころか、昼食を催促しにぼくを探して各部屋を殴り込みに来てもおかしくない時間。
その時間になっても、屋敷内は静かなままだったということは。
「……姉さんが、まだ帰ってきてない?」
言葉にした瞬間、嫌な予感がした。胸騒ぎとも言うか。
ルシア姉さんが、帰ってきていないだけ。たかがそんな事、と思うかもしれない。
確かに、朝は猛烈に弱く、感情が素直すぎてぼくよりも子供に見えるし、そして何よりズボラだけど、あれでもしっかりしている部分はちゃんとあるのだ。
例を言えば、昼前や夕前の時間には、必ずと言っていいほど決められた時間前には帰ってくる。
小さな問題――それこそ、その時間には帰れないだろうというような物事ならば、前持って言ってくる。急な出来事であれば、何かしらの手段で絶対に連絡を寄越してくるほど。
そういうところは、過去に一度も欠かさなかったのだ。
「あの姉さんが、時間を過ぎてるのに帰ってこない上に、何の連絡もない。ということは――」
何か、連絡も取れないほどに大きな問題に遭遇した、と考えた方がよさそうだ。
屋敷の外はいつも通り平和だ。これと言って騒動が起きている様子は無い。
ならば洞窟の見回り中に魔物に襲われたと考えるべきだろう。
彼女は一人だ。腕が立つと言っても、不意を突かれればどうにもならないこともある。
下手をすれば、即死することだって――
「…………」
いや、絶望するのはまだ早い。最悪の事態を考えるのは、少なくとも、彼女自身を示す何かを見つけてからだ。
……死んだなんて、まだ信じたくない。
「……探そう」
どちらにしろ、不安に囚われて待つくらいなら、行動した方が良い。
自分の部屋から、護身用の短剣を持って、家を出た。
姉さんの今日の仕事は、「近くの洞窟の見回り」だと言っていた。
こんなことになるとは思わなかったので、どこの洞窟かまでは把握していない。つまり、片っ端から探すしかない。
教団に頼るのが一番かもしれないけれど、強大な力を持った組織や存在というのは、何の力も持たない存在には、何も与えてくれない。どうせ、姉さんのことも、使い捨ての駒としか見ていないんだろう。
だから、期待しない方が良い。どうせやるなら、自分一人でやるしかないんだ。
「お疲れ様です」
「おう、気をつけろよ、坊ちゃん」
そんな言葉を街の門番の人と交わして、ぼくは難なく街に出た。出る事は簡単だが、戻るには面倒な手続きが必要になる。
だけど、教団の騎士団に所属している姉さんと一緒ならば、問題なく通れるはずだ。
まぁ、ぼくの杞憂によって入れ違いになっていたとしても、姉さんに迷惑をかけて怒られるだけで済む。本人の無事を確認できた安堵に比べれば、怒られるのなんて安いものだ。
「ここから一番近い洞窟は――こっちかな」
近くの洞窟の地図なら、頭の中に入っている。
姉さんが一人での見回りを任された直後は、支給された地図を自慢げに、しかもしばらく毎日かけて、ぼくに見せびらかしてきたせいで、地図の内容を覚えてしまったのだ。
おかげで、街の外に出たのはこれが初めてなのに、まるで何度も出歩いたことがあるみたいに、周りの地形が分かる。
そんなこともあってか、迷わずに一つ目の洞窟に到着する。
魔物退治が終わり、定期的に見回りされているとは言え、姉さんが何かあったかもしれない洞窟だ。
ぼくは護身用の短剣を強く握り、空いた片手には松明を手に持ち、息を吐く。
「……ふぅ、よし」
そして、気を引き締めてから、洞窟の中に入った。
あれから、どれくらいの洞窟を探っただろう。
姉さんは未だに見つからなかった。
外も暗くなり、辺りが暗い。疲れも溜まってきている。
そろそろ、教団の巡回も終わる頃だろうか。
ぼくも街に戻らなければ、魔物に見つかる可能性も高くなる。そして、見つかれば、成す術なく殺されるだろう。
姉さんが既に戻っている可能性もある。何か故あって連絡を寄越さなかったかもしれない。
そうして、ここを調べて、何もなければ一度街に戻ろうと決め、洞窟内を進んでいる時だった。
「……ぅ……っ……るぅ……」
泣き声のようなものが、奥からかすかに聞こえてきた。
その聞き覚えのある声に、ルシア姉さんだと、すぐに分かった。
朝になると聞くことがあるけど、それでも割と珍しい、甘えるような、縋るような声だ。
何はともあれ、声が出せるほどには無事なんだ。それなら、問題ない。
慌てて駆け寄る。
「ルシア姉――さ――」
そのとき、むせ返るほどに甘い、甘い匂いに迎え入れられた。
それは同時に、ぼくの希望を、絶望の淵まで叩き落とした。
そこにいたのは、確かに姉さんだった。
「ぅ……? ……ぁ……うぃる……?」
金色の長い髪を、赤いリボンで左右にまとめて、肩部から見えるのは、リボンと同色のブラウスの一部だろう。太ももから下まで伸びている、小さな赤いリボンにレースの刺繍が施された靴下なんて、彼女のお気に入りだった。
そう、目の前にいるのは、紛れも無く――ルシア姉さんだ。
だからこそ、残酷だった。
「ぁは……きて、くれたんだぁ……♪」
既に上気しきってだらしなくなっている顔に、いつもの彼女の面影はなかった。
その身体は、桃色の巨大なゼリーの塊に跨っている。見たところ、跨っているものは、スライム――だろうか?
履いていたはずの赤いスカートは脱いだのか見当たらず、胸や股間部で透明感のある桃色の粘液で覆われて、それ以外の姉さんの裸体は惜し気も無く晒されている。
呆然として動けなくなっているぼくに、姉さんがスライムに乗ったまま近寄ってくる。
その時、彼女のブラウスに下にあったガントレットが、まるで支えを失ったようにありえない方向に傾き、そして落ちて――
「――っ!!」
そこには、あるはずの腕が無かった。
ガントレットが外れて、ブラウスの袖から伸びているはずの腕が、無くなっていた。
それだけではない。
ぼくから見て、その透明度の高い桃色の粘液を通して、奥側の地面に落ちている剣は見えるのに。
粘液に埋もれているはずの、ルシア姉さんの膝下は、そのシルエットすら見当たらない
つまり、足も――無くなっている。
「ルシア、姉さん――」
最悪の事態と考えて、それは”死”だけだと、決め付けていた。
だけど、最悪の事態というのが、他にもあったということを忘れていた。
それは、魔物にされてしまうこと。
あるいは、魔物に取り込まれてしまうこと。
この場合、相手はスライムなのだから、取り込まれてしまったと考えるべきか。
……いや、同じことだ。どちらにしろ、その先に行き着くのは、”死”と同義。
今、ぼくが見ているルシア姉さんは――魔物でしかないのだから。
「おねえちゃんに……あいにきてくれたんだぁ……♪」
「ぁ――あぁ――」
絶望に心が塗り固められた瞬間、今までの疲労があり、ぼくは膝から崩れ落ちた。
目の前が真っ暗になる。
「……っは、はは……ハハハ……」
「……うぃる?」
どうやら、ぼくは思った以上に堪えているらしい。思わず、笑ってしまうほどだ。
当たり前じゃないか。
五体不満足の姉さんを見せられて。
それでいて、この姉さんはきっと偽物で。
これは、きっと魔物が人間をおびき寄せるための疑似餌だ。
つまり、ぼくが見ている姉さんは、姉さんではない。
近づいて触れたところで、姉さんは消え去り、ぼくはスライムに捕まって殺されてしまうのだろう。
だから、本当の姉さんは――もういないんだ。
「泣いて、るの……? ……ぁ、それじゃおねえちゃんがいやしてあげる♪ ぎゅぅ〜ってして、なでなでして、ちゅっちゅして、ぺろぺろして、ぬりゅぬりゅして、じゅぽじゅぽして、くちゅくちゅして――だから、ね?」
姉さんの姿をした魔物が、ゆっくりと近寄ってくる。
ひどく緩慢な動きなのがわかる。逃げようと思えば逃げられるほどに、遅い。
でも、逃げたところで何になるのだろう。
どうせ、戻ってもぼくには何もない。
それなら、いっそのこと、自分から――
「ぁ、あ……♪ うぃる……おいで♪」
立ち上がって、一歩近づくと、姉さんが嬉しそうに破顔した。
無くなった腕部分に周りのスライムが集まったかと思えば、そこには腕が出来た。生前と何ら変わらないその白い両腕を、まるでぼくを迎え入れるかのように伸ばしてきていた。
「おねえちゃんがぎゅってしてあげる♪ ほらっ、はやくっ♪ うぃるぅ♪」
いつもとは違い、ひどく舌っ足らずで、無邪気に嬉しそうな笑顔でこちらを寄ってくる。
この姉さんを見たことがあった。
それは朝の日で、群を抜いてひどく寝ぼけた時の姉さん。
こんな状態の姉さんに、抱き付かれた事もあるので、印象としては強く残っている。
でも、あの時の姉さんとは、何かが違う。
その何かは分からないけど、どうせこの後の結末を思えば、考える必要もない。
どうせこの姉さんは、まやかしに過ぎないのだから。
「――姉さん」
姉さんの胸に、倒れ込む。
そして、嬉しそうに上気した顔の、姉さんの幻影は崩れて、ぼくはスライムへと取り込まれ――
「…………え?」
なかった。
受け止められたのだ。消えるはずの、姉さんに。
「ふぁあ♪ うぃるきたぁ♪」
「……え、ぁ、な、んで?」
なんで。
なんでまだ姉さんは残っているんだ。
受け止める必要なんてないじゃないか。
あのまま、スライムの身体に倒れれば、もうぼくは逃げられずに死を待つしかなかったはずだ。
なのに、なぜ。
「いっぱいぎゅぅってしてあげる♪ ぎゅぅぅ〜♪ ぎゅぅぅぅ〜〜〜♪♪」
「……うわ、んぐっ!」
姉さんに強く抱きしめられ、形の良い胸に顔を埋めさせられた。
その身体はスライムに覆われていたせいか、ぬちゃりとしているが、不快感は不思議とない。
それ以上に、甘い匂いが鼻をくすぐり、頭がクラクラする。
姉さんの、匂いだった。
「あぁ♪ うぃる♪ かわいい、だいすき♪」
頭を撫でられる。頭を頬擦りされているのも分かった。
疑問が多すぎる。考えたいことが多すぎる。
でも、柔らかな感触と匂いが、考えることを拒否させる。
「んふぅ♪ うぃる……こっち向いて?」
「え――うっ」
一瞬だけ、声色の変わった姉さんの言葉に、素直に従ってしまった。
顔を上げた瞬間、姉さんの唇が目前まであり、咄嗟に目を瞑る。
すると、目元に唇を当てられて、軽く吸われた。
「んっ……、ちゅっ……なかないで……うぃる……」
涙の跡を辿っているのか、唇が頬へと下っていく。
移動するたびに、その部分を軽く吸われ、少しだけくすぐったい。
「ちゅぅ……うぃる……うぃるぅ……♪」
反対側の目元も、同様に吸われる。
涙の跡を吸われ、それが頬の下まで辿り着いた時。
いきなり唇を吸われた。
「――っ!?」
「ちゅぅぅ〜〜〜♪ ちゅっちゅ♪ ちゅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜♪♪」
先ほどとはうって変わって、唇を強く吸われる。
顔を離そうとしたけど、姉さんに両手で頭を抱え込まれて逃げられない。
口内へと、なにかぬるりとした物の侵入を許し、舌を絡め取られた。姉さんの舌だった。
それとは別に液状の物が、甘い味を伴って喉の奥を通り過ぎた。
身体が熱くなり、思考がさらに鈍る。
「はぁぷ♪ んくっ、んちゅぅ♪ ねろれろ、ちゅるんむぅ♪」
舌を散々弄りまわされ、ちゅるちゅると吸われた。
意識が溶かされるような錯覚に陥る。
「っ……ぷぁ……♪ あは……♪ うぃるのつば……♪ おいしいぃ……♪」
口を離れる頃には、口内が姉さんの甘い甘い味で満たされていた。
呼吸する度に、頭が姉さん一色に染まっていく。
ボーっとした頭で姉さんを見ると、向こうもさらにだらしなくなっていた。
先ほどよりも顔は赤くなり、目はとろんとしていて、口からは涎が垂れている。
ひどくだらしなくて、そして魅入ってしまうほどに淫らだった。
「……っ」
ダメだ。意識をしっかり保たないと。
おかしいんだ。本当はあり得ないんだ。こんなことは。
だって、姉さんは――
「う、わぷっ」
突然、姉さんがぼくをまた胸に抱きながら、後ろにある大きなスライムへと倒れ込んだ。
まるでベッドのように大きく広がったスライムが、倒れたぼくたちの身体を柔らかい反動で受け止める。
そして、横向きにぼくを倒すと、スライムがぼくの身体を覆い包んでいく。
ぷるぷるとしていて、それでいてねっとりした感触が直接肌に届いて、身体が震えた。
「あ、れ……?」
そして、この時、あまりにも直接的な感触に、自分の衣服が無くなっていることに気付いた。
姉さんに抱き止められた時から、溶かされてしまっていたのか、それともまた別の何かなのか。
考えることは、出来なかった。
「はぁん……♪ うぃるぅ♪ おっぱい、すって? さきっぽ、ちゅぅちゅぅ――って♪」
口元に、固さを持った乳首を押し付けられた。
頭をぐりぐりと押し付けるように動かされ、唇に乳首がこりこりと擦れる。
その感触に思わず口を開くと、乳頭がその隙間に入り込むように押し付けられ、反射的に軽く吸い付いてしまった。
「ぁ♪ そぅ♪ うぃる、じょうずぅ♪ ぁん♪」
気のせいか、何だかほのかに甘い味がした。
ちゅっ、と少しだけ強めに吸ってみると、姉さんの口から喘ぎ声が漏れる。
「あぅぅん♪ んふぅ♪ あかちゃんみたいでかわいい……♪ うぃる……♪ うぃるぅ……♪」
姉さんの甘い言葉に、ぼくは完全に乳吸いの虜になった。
固く膨らんだ乳首を、舌でも舐め転がす。
「ふぁ♪ んぁぁ♪ さきっぽころころされるのもぉ♪ きもちいいよぉ♪ はぁん♪ うぃるぅ♪ はんたいのおっぱいもぉ、もみもみしてぇ……♪」
スライムがぼくの片手を覆い、姉さんの空いた胸へと勝手に押し付けられる。
ふにゃりと柔らかくて、それでいて押し返す感触が手のひら全体に届く。
その魅惑の弾力に、姉さんに言われるままに、指に力を込めてしまう。
「あ、ひぁん♪ おっぱいのいじりかた、やさしくてうれしい……♪ あぁぁん……♪」
一度力を込めてその感触を味わってしまうと、もう止められそうになかった。
指の先から手のひら全体を押し付けるように、むにゅむにゅと揉みながら、乳首を転がして吸うたびに、姉さんが身体を震わせて喘ぎ声をあげる。
自分が姉さんを気持ちよくしているということにも、さらに興奮してしまう。
スライムが口に入るのも厭わず、乳房に甘えるように吸い付く。
ずっとこうしていたい。この柔らかな乳惑に溺れていたい。
「ふあぁん……♪ うぃるぅ……♪ すきぃ……♪ だいすきぃ……♪」
姉さんが両手でぼくの頭を抱えるようにしながら、蕩けたような声でそう呟いた。
その言葉に応えるように、ぼくはさらに乳房に顔と手を埋没させた。
「あっ♪ ふぅん♪ んふふっ♪ うぃるもきもちよくして、あげる♪」
「――っあ、な、なにっ」
姉さんがそんなことを言ったかと思えば、いきなり股間が、人肌のような温かさのぬるぬるした何かに覆われた。
身体が震わせながらそこを見ると、姉さんの片手の形が崩れてスライム状になり、ぼくの男性器――ペニスを覆っていた。
いつもは下を向いて小さくまとまっているはずのそれは、姉さんの身体に向けて芯を持ったように大きくなっていた。
「これが、勃起……! あれ、でも、皮……」
場違いだと自覚しながらも、ぼくは呟かずにはいられなかった。
この生理現象の知識はあったけど、実際に経験するのは初めてだった。少しだけ感動する。
しかし、ぼくの知っているものとは少しだけ違った。姉さんの屋敷の本で見たときは、勃起すれば皮が剥ける、と書いてあった。
ぼくのは、皮を被ったままである。
「んー……? ――ふふっ♪ じゃぁ、おねえちゃんが、こうしてあげる♪」
ぼくの場違いな呟きを聞いて、姉さんが怪しく笑みを深めたかと思えば。
ペニスを覆ったスライムを、ずじゅじゅっと流動させて外側の皮を根本へと強く引っ張られる。
そして、限界まで引っ張られたとき、ぐいっと、何かが皮の中から飛び出る感覚を感じる。
「……っあっ、うぁ!」
快感とも痛みとも言えるような強烈な刺激に思わず大きな声が出た。
股間を見ると、そこには本で見たようなのと同じ姿をした、ぼくのペニスがあった。
姉さんによって、剥かれてしまったのだ。
……迫力が本とはだいぶ違うけど、あれはきっと本の奴のが規格外なだけだと思っておこう。
「あは♪ りっぱになった♪ けど、ちっちゃくてかわいいまんま♪」
姉さんにも言われてしまって、ちょっと泣きそうになった。
やっぱり、ぼくがまだ小さいせいだろうか。
少しだけ落ち込んでいると、姉さんに頭を撫でられた。
「それじゃぁ、このちっちゃくてかわいいりっぱなおちんちん、おせわしてあげる♪」
あまり分かってくれていない姉さんのその言葉で、ペニスを包むスライムが、緩く振動するようにざわつき始めた。
その動きが、まるでペニス全体を、ねっとりと優しく舐められているような気持ち良さで、背筋がゾクゾクと震える。
「う……あひぃ……」
「ぐちゅぐちゅ♪ ぐちゅちゅ♪ このまま、どろどろにしてあげる……♪」
振動はそのままに、ペニスにぐりゅぐりゅと強く扱かれるような刺激が追加された。
ペニス全体を舌で隙間なく舐められ、さらにその状態のまま扱かれているような感覚。
恐らく人間には出来ない芸当。
敏感な部分を余す所なく、ぐちゅぐちゅと音を立てて蹂躙され、容赦ない快感が送られてくる。
「ひぁ……! これ、まって……!」
「ぁ……うぃる……」
とても耐えられそうになく、姉さんから逃げるように身体を転がす。
その瞬間、スライムのベッドから、スライムの一部が飛び出し、ぼくの上半身に覆い被さってきた。
しかも、姉さんの手から逃げ出すことは出来ず、ペニスは変わらずくちゅくちゅとスライムに苛め続けられている。
「ぃ……ぁ……ちょ……まって……!」
「……うぃる、にげようとしたぁ……」
姉さんの声は明らかに拗ねていた。
仰向けの状態で上半身がスライムに包まれ、快感に身じろぎしようとしても、わずかに動くことすら許されない。
その上で、柔らかいぬるぬるした感触が包まれた部分を、くすぐるように動いてペニス以外からも快感が流れてくる。
「おねえちゃんから、にげようとしたんだぁ」
しかし次に聞こえた言葉は、拗ねてはいたけど、どこか不穏な声色だった。
姉さんから、寄り添うように身体の距離を詰められ、今度こそ本当に逃げられないことを確信する。
わずかな恐怖に身を震わせるぼくに、姉さんはにこぉ、と笑った。
「でも……ゆるしてあげる♪ そのかわりぃ……」
ぼくを包むスライムの動きを一旦止めてくれた。
そして、今度はペニスにかかる圧力が、じわじわと強くなってくる。
緩急を付けながらも強くなっていく圧力に、まるで全体を揉まれているような気持ち良さを感じてしまう。
「ぁ……うぁ……姉さん……まって……」
何だか、嫌な予感しかしない。
息がかかるくらいに近い姉さんのその顔は、上記した顔に先ほどと変わらない笑みだが、その笑みにどこか悪戯っぽいものが含まれていた。
むちゅり、むちゅり、とペニスを揉みこまれるわずかな快感と、それ以上の恐怖で身体が震える。
そんなぼくに、姉さんはにへらぁ、とだらしなく笑った。
「どろどろのぐちゅぐちゅにしてあげる♪」
その言葉を合図に、ギュルギュルギュル、という音が、股間からはっきりと聞こえた。
直後に、ペニスが螺旋状に吸い擦られるような強い刺激。
視界が点滅する。
「――ぅ、ひっ、ぁあ!」
「あはっ♪ かわいいこえでたぁ♪ もっとぉ♪」
その刺激が亀頭の先まで到達した時、急速に根元まで戻っていく。
そして、スライムの柔らかな感触で、全体を再び扱かれた。
さらに、スライムは睾丸まで覆い、袋の玉をこりこりと刺激された。
痛みにも似た快感が追加されて、身体を走る快楽の電流は、先ほどの比ではなかった。
「あぁ、やぁっ、うぅ、ひぃあぁ!」
「くふぁ♪ っ♪ んっ♪ うぃるぅ♪」
身体を捩ることも出来ず、姉さんから逃げることもできない。
ぐじゅぐじゅ、ぬじゅぬじゅ、こりこり、と容赦ない快感に頭が焼き切れていくようだった。
強烈すぎる快感をすこしでも逸らすには、素直に声を出すしかなかった。
「ぅぁ、ぁあ、ひぃ、ぅくぁぁ!」
「あふっ♪ またかわいいこえ♪ いいよぉ♪」
瞬間、顔と股間以外が、スライムの中へと沈み込んだ。
そしてすぐにスライムが流動して、沈んでいる部分に這いずり回ってきた。
胸も、脇も、腕も、腰も、脚も、さらにスライムにぬるぬるの揉みくちゃにされる。
「ぁ、ひぁ、ひぃ、ぅくぁぁ!」
「ふぁぁん♪♪ うぃるのあせぇ♪ おしるぅ♪ んはぁぁ♪♪」
姉さんの言葉で、身体中を這い回るようなスライムの動きがさらに激しくなっていく。
全身が、ぼく自身が、ぐじゅぐじゅの、ぬとぬとの、ねとねとにされる。
溶かされる。溶かされる。溶かされる。
「うぐぅ、ひぁ、あぁぁ、はぁ、うぁぁん!」
「んふぅ♪ おちんちんぎゅっぽぎゅっぽ♪ たまたまもにゅもにゅ♪」
ペニスが根本から亀頭の先へと、まるでポンプのように、ぎゅっぽぎゅっぽと何度も何度も吸い上げられる。
それを補助するように、睾丸ももにゅもにゅと丹念に揉み上げられる。
全部、全部吸われてしまう。
「くひっ、あくぅ、あぁ、ふぁ、ひやぁぁ!」
「おちんちんびくんびくんしてる♪ もうでちゃうね♪ いっぱい、いっぱいでちゃうね♪」
姉さんの言葉に、呼応するように、何かが腰の奥からせり上がってくる。
未知の感覚に対する、期待と恐怖。
しかし、すぐにその感情すらも、揉み砕かれて、吸われてしまった。
「ぁは♪ おちんちんもうだめだね♪ もうでちゃう♪ いいよ♪ だして、だしてぇ♪♪」
姉さんに嬌声のような声で催促され、限界へとさらに加速していく。
そして、玉をぎゅぅ、と強く揉まれると同時に、先端をぢゅぅぅぅっと音が鳴るほどに、強く吸引された。
その瞬間、視界は真っ白に染まる。
「ひぎっ、ふくぁ――あああぁぁぁぁぁ!!」
ペニスが脈動して、白い何かを姉さんの腕の内部に吐き出していった。
これは、きっと精液だ。ぼくは、生まれて初めて精液を吐き出している。
激しい放出感と快感に、何度も何度もペニスが震えた。
「ふぁ――んぁぁぁぁぁ♪♪♪ せーしぃ♪♪ うぃるのせーしぃん♪♪」
ぼく以上に、姉さんが尋常ではない嬌声をあげた。
それでも全身への刺激も止めてくれず、睾丸は揉まれ先端を吸われ続ける。
容赦のない快感に全身を痙攣させながら射精するしかなかった。
吐き出された白い精液は、桃色のスライムと混ざり合いながら、姉さんの腕を遡り、体内へと沈んでいく。
その度に、姉さんは大きく身体を震わせ、蕩けた声を漏らしていた。
「ひぁぁん……♪♪ とけちゃうよぉ……♪♪ うぃるにとかされちゃうぅ……♪♪ おねえちゃんとろとろにされちゃうよぉ……♪♪」
射精が終わる頃に、ようやくスライム責めも止めてくれた。
埋められていた全身もスライムの上へと解放される。
しかし、身体には異常事態が起きていた。
「ふへっ、あくぁ、うぅ、はっ、ひきぃ」
「ぅ……うぃる、だいじょうぶ……?」
もう快感は送られてきていないのに、まだ、身体中を弄られている快感が、全身を駆け巡る。
余韻というには、強すぎて辛いものだった。
強すぎて受け止めきれなかった快感を、脳が苦痛に変換してしまっているのだろうか。
身体が痙攣し、声すらまともに出せない。代わりに出てくるのは、止めどない涙だった。
「ひぃ……はぁ……う、うん……」
「あぅ……うぃる、ごめんね……? うぃるがかわいくて、かわいすぎて、やりすぎちゃった……」
かわいいだとか、たかがそんな理由でこんな目に合わせられる身としては、たまったもんじゃない。
とは言え、人間の身体というのは何とかなるように出来ているらしく、少しすれば、その余韻が引いてまともな状態になってきた。
まさに死ぬほどの快楽という奴だった。
「つぎは、やさしくするから、ゆるして?」
「うん……え゛?」
その言葉は、まだまだ終わらないことを意味していた。
本当に反省しているのだろうか。しているなら、これで終わるべきではないのか。大事を取ってひとまず寝かせて欲しい。
「おちんちんも、まだおおきいままだし……♪」
「ぇ……あっ! やめっ、あぁっ……!」
姉さんが、人差し指で亀頭をくにくにと弄り回してきた。
スライムと違って、はっきりとした刺激が、確かな快感となって送られてきた。
「おちんちん、まだまだげんき♪ えへへぇ♪ こんどは、おねえちゃんといっしょに、いっしょにきもちよくなろうね……♪」
そう言いながら、姉さんがぼくの腰に跨った。
勃起したペニスが、押し潰される。
痛くはない。むしろ気持ちいい。
「あっ♪ んぅ♪ うぃる、わかる? しってる? いま、うぃるのおちんちんと、ちゅっちゅしてるばしょ……♪」
姉さんが、ぼくに顔を寄せながら、腰を揺らす。
その度に、姉さんと女性器と、ぼくのペニスが擦れあってくちゅくちゅと水音が聞こえる。
先ほどの快感とは、比較にならないほどに小さいものだ。
なのに、ぼくの腰の上で揺れている姉さんに、すごい興奮してしまうせいか、それだけでとても気持ちよかった。
「んぁ♪ はぁ♪ くぅん♪ だいじょうぶそう……♪」
と、姉さんが腰の動きを止めてしまった。
行為を止められたことで、まるで焦らされているような感覚に、自分でも腰を軽く揺すってしまう。
そんなぼくに、姉さんは優しく笑いながら膝立ちになると、ペニスを掴み自分の女性器に向かせる。
「……えへへ♪ ウィル……見ててね♪」
くちゅり、っとペニスが女性器に押し付けられる。
亀頭が半分ほど埋まり、その中はすごく熱く、そして気持ちいい。これだけで、頭がクラクラと茹ってしまいそうだった。
あの中に全て入ってしまったらどうなるのだろう、と考えるだけで期待に震えてしまう。
「んふぁ……♪ わたしの、初めて――ウィルに、あげるからね?」
「え――」
姉さんがはっきりと言ったその言葉の意味を、悟る前に腰を落とされた。
ペニスが、ずぷりと一気に飲み込まれていくような感覚に、思考がすべて飛んでいきそうになる。
その瞬間。
「――、――っ!?」
「ぁ――ふぁああああ♪♪」
姉さんが嬌声を上げて、身体を大きく反らす。
だけど、ぼくは確かに感じた。
ブチィ――と言う、何かを突き破るような、痛々しい感触を。
慌てて、二人の繋がった部分に視線を降ろす。
その場所から漏れる粘液に、紅色が混ざっていた。
破瓜の血だった。
「ね、ねえさ……!?」
「ぁぁ……♪ あげちゃったぁ……♪ うぃるにはじめてぇ……♪ あげちゃったぁ……♪♪」
姉さんが恍惚とした表情で呟く。
その様子は大丈夫そうに見えるし、無理しているような素振りもない。
でも、そういうことじゃない。
こういうことの初めては、男よりも女の人の方が大事なことじゃ――
「あぁん……♪ なかにうぃるはいってるぅ♪ あはぁ……♪」
姉さんは、全く気にした様子もなく、腰を前後に動かし始めた。
その度に、くちゅくちゅといやらしい音が鳴り、結合部から血色の粘液が溢れていく。
「ねえさ……っ! あぁ……!」
「……ぁ♪ ここぉ♪ ここ、きもちいぃ……♪」
膣内でペニスを執拗に擦られて、あまりの気持ち良さに声が漏れてしまう。
そんなぼくを、姉さんは蕩けた表情で見下ろしながら、呟くように言った。
「えっちしてる……♪ わたし、うぃるとえっちしてるんだぁ……♪」
「……ぅあ」
その言葉に、ぼくも再認識してしまう。
ルシア姉さんと性交している、という事実に。
そして、その事実に、異様な興奮を感じてしまっていた。
「ぁは……♪ もっと、きもちよくなろうね……♪」
「え――っ、うぁぁ!」
姉さんがそう呟いた瞬間、スライムが結合部へと入り込んできた。
それはぼくのペニスを伝うように入り込んできたせいで、スライムに、ねっとりと扱き上げられているようだった。
「ぁは♪ あん♪ んふぅ♪ すっごく、かわいいかお、してる♪」
「うぁ、あぁ……そん、な、ことぉ……」
スライムにペニスを包まれるが、その刺激は先ほどと違っていた。
ぐにゅぐにゅ、と優しく揉みこねられ、甘く溶かされるような気持ち良さだった。
それでも、姉さんは構わずに腰を前後に動かして、スライムに包まれているペニスを膣壁で擦り上げてくる。
二つの快感で腰が蕩けそうだった。
「んっくっ♪ んぁ♪ うぃる♪ ぁん♪ こういうのが、いいんだぁ♪」
「ぁ、うぁ、ねえ、さ――んむぅ……!」
姉さんに、覆い被さるようにぎゅっと抱きしめられた。
全身が、姉さんの柔らかい身体にすっぽりと包み込まれる。
その動きで、膣の中も動き、亀頭も膣内の柔らかい壁にぎゅむっと包まれるような快感に、思わず姉さんの胸に顔を埋めながら抱きついた。
「ぁ♪ うぃる♪ あまえんぼになった♪ ふふっ♪ ふぁんっ♪ すきぃ♪ んっ♪ あまえんぼうぃる♪ あぅっ♪ だいすきぃ♪」
ぼくを抱きしめながら、姉さんはさらに早く腰を前後に動かした。
ペニスはスライムにもにゅもにゅ、と揉まれながら、膣壁にあちこちをぐちゅぐちゅに擦られる。
「ふぁぅ♪ あんっ♪ うぃる♪ こしぃ♪ んくっ♪ うごいてるぅ♪」
「ん、ぅ、あ、ひぁ……!」
気付けば、腰が姉さんに向かってピストン運動をしていた。
ぐっぷぐっぷ、と結合部から聞こえる音が、とてつもなく卑猥だ。
「だっ、て……きもち、よすぎて……!」
「うんっ♪ うんっ♪ おねえちゃんも♪ きもちいぃ♪ もっと♪ もっとおまんこじゅぽじゅぽして……っ♪」
快感はもう十分すぎるほどに感じている。
それでもぼくの意思に関係なく、腰の動きは加速する。下にあるスライムのベッドに、大きい弾力を使ってピストン運動を強制されているような錯覚すら起きる。
「うんっ、んぁっ♪ ぁうっ、ひぅっ♪ おちん、ちん♪ ぁ、はぁ♪ びくんびくん、して、るぅ♪ くふぅん♪」
姉さんの動きもぼくに合わせて速くなり、膣内でペニスをぐちゅぐちゅに溶かすスライムの動きもより、激しく、ねちっこくなっていく。
ずちゅずちゅずちゅっ、と小刻みな音が耳に入り、先ほどのような射精欲が腰から昇ってくるのが分かった。
「ひぁ、うぁ、ねえ、さん……!」
「ぁ♪ あっ♪ うぃる♪ イっちゃうね♪ ふぁっ♪ おねえちゃんも♪ やっ♪ もぅ♪ イっちゃう、からぁ♪ いっしょに、いっしょにイこ♪」
姉さんの言葉に、何度もうなずく。
ぎゅぅぎゅぅ、と膣内が収縮を始めていた。
もう限界はすぐそこまで来ていた。
「ねえ、さんっ、ねえさ、んっ……!」
「あっ♪ ぁ♪ んぁ♪ もぅ♪ イく♪ イくぅ♪ イっちゃうぅぅぅ♪♪」
姉さんの言葉を合図に、ペニスを一際高く膣奥に突き上げる。
そのとき、亀頭のさらに先っぽの方で何かがぺたっとくっついた。
その瞬間、それに、ちゅぅぅぅっと強く吸われ、目の前が弾けた。
「――っっ!!!」
「ぁは――きひゃぁぁぁぁぁ♪♪♪」
姉さんに、一段と強く抱きしめられながら、吸われるままに精を放った。
さらに膣内が収縮し、膣内の肉が、スライムと連動した蠕動運動で、ペニスを絞り上げてくる。
亀頭の先っぽでくっついてきたものに、まだ吸われていて、快感は収まらない。
「ぁ、ひぁ……!!」
「ふぁぁぁぁぁぁぁ♪♪♪ あっ♪♪ あっ♪♪ せーし♪♪ せーし♪♪ ぁぁぁぁぁん♪♪」
まだ残っていたのかと思うくらいに、深い腰奥から精が引き上げられる。
それが吐き出されるたび、膣内の動きは活発化し、姉さんは悦びの声をあげた。
「ふはっ、はぁ、はっ……」
ようやくおわった瞬間、ぼくは全身の力すらも吸われてしまったように、動けなくなっていた。
震えや涙が来ないだけ、先ほどよりはマシかもしれないが、射精中のさらなる快感に晒されている最中の恐怖感は同じだった。
「んぁぁ……♪ うぃるぅ……すき……♪ すき、すき、すき……♪ だいすき……♪ うぃるぅ……♪」
姉さんに何度も名前を呟かれ、好きだと言われても。
その言葉を返すだけの体力すら、ぼくには残っていなかった。
「……ぅあー……あぅー……」
暗い洞窟内に、うめき声が響く。
この声は、ぼくではない。
ルシア姉さんである。
「あぅあぅ……ぅぁー……」
スライムの上で膝を抱えて座りながら、両手で顔を覆っている姉さんの姿は、未だかつてないほどにコンパクトにまとまっていた。
唯一、ぼくの目にも晒されている、その両耳はとてつもなく赤い。
さっきの出来事が終わって、ぼくが理性を取り戻したときには既にこの状態だった。というか、むしろずっとこの状態である。
きっと恥ずかしいんだろう。だってぼくも恥ずかしいのだから。
恥ずかしすぎて、今までずっと姉さんとスライムから距離をあけて、話しかけることすら出来なかった。
だけど、過ぎたことはどうしようもない。”過去を悔やむよりかは、未来に向けて考えうる限りで最善の行動をせよ”と最近読んだ本に書いてあった。
行動しよう。姉さんに話しかけるんだ。
そもそも、姉さんには色々と、確認したいことがある。
「あの……姉さん……?」
「……なによぅ」
声をかけると、顔も上げずに返事をされた。
一応、意思の疎通は取れそうだ。
「聞きたいことがあるんだけど」
「……どーぞ」
しかし、この姉さんは、朝でも見かけない姉さんだ。
というよりも、ここまでしおらしい姉さんは初めて見たかもしれない。
基本的に元気な姉さんを知っているだけに、なんだか可愛く見える。
「姉さんってさ、その……本当に、姉さん……なの?」
「……わたしが、わたしじゃなかったら、一体何なのよ」
「魔物……としか」
ちなみに、スライムに溶かされたと思った服は、すぐ近くの所で綺麗に畳まれていたので、今は着直している。
姉さんは、まだ全裸だけど。
「あぁ……そう言えば、わたしは魔物だった……返す言葉も無かった……」
「いや、あの、魔物なのはもう分かってるからいいんだけど、その、気になるのはそこじゃなくて――」
こんな感じで、苦労しながらも話を進めた結果、そこそこ分かってきたことをまとめると。
姉さんは単純に魔物にされたというよりかは、スライムと同化してしまった。同化したと言っても、記憶はそのまま残っていて、スライムは姉さんの意思によって動かすことも出来るらしい。
姉さん曰く、このスライムの宿主にされたというか、どちらかと言えば、死ぬまで共存関係のようなものらしい。だから、姉さんは姉さんであり、このスライムでもあるという。そのせいもあるのか、姉さんが人間の姿ではあっても、その身体はスライムに近いものらしい。
そのせいか、自分の考え方が少しだけ変わり、理性も弱くなった、という自覚もあるらしい。
どんなふうに変わったの、とぼくが聞くと。
「……今もね、ウィルを見てると、あぁ、ちっちゃいなぁ、かわいいなぁって思って、それから、ぎゅってしたくて、なでなでしたくて。できることならちゅっちゅして、スライムでねとねとにして、押し倒してにゅぷにゅぷして、じゅっぽじゅっぽして、そんな感じでずっと、ずーっとえっちしてたいなぁ……♪ って、考えちゃう」
話を聞いている内に、顔を上げてくれるようになったルシア姉さんが、上気させた顔で苦笑しながら言った。
姉さんの、股間から何か変な音が聞こえたような気がしたのは、きっと何かの聞き間違いだろう。
「それは、なんか、全然違ってるような……」
「前までは、ちゅっちゅしたくなるくらいで満足できそうだったんだけどなー」
「え……そうなの……?」
前の姉さんもあまり変わらないこと考えていたのか。
となると、朝のあの寝ぼけてる姉さんは、普段よりも素に近い状態だったのか。
というか、満足できそう、とかそういう話なんだろうか、これは。
「うーん……そもそも、魔物ってわたしたち人間よりも、えっちなことにすごく忠実みたい。本能的って言うのかな。だからその本能が強すぎて、教団で言ってるような、”魔物は人間を殺す”とか、”人肉を貪り喰う”とか、選択肢にすら出ないくらい。だから、ウィルを見て、すっごく愛でたくなっちゃうのは、仕方ないのかなーって」
「……そっか」
これは魔物になってから分かったんだけどね、と姉さんは照れ笑いを浮かべながら付け足した。
ということは、世間一般の常識とされている魔物の知識は、嘘だということになる。
だからと言って、それはぼくにどうにかなる問題ではない。
「何にしても、目の前にいるのがぼくの知ってる姉さんなのがわかったから、今はそれでいいかな」
「んー? もう良いの?」
「うん、ぼくは姉さんがいてくれるなら、それでいいや」
わりと簡単だった自分の気持ちに、ぼくは笑った。
姉さんが人間だろうが魔物だろうが、ルシア姉さんであるならば大した問題ではないということに、話しているうちに気付いたのだ。
魔物になった姉さんを見て、絶望したあの時が、ばかみたいで――
「――うわぁ!」
急に腹をスライムに包まれ、思いっきり引き寄せられた。
そのまま、ぼくを待ち受けるように広がっているスライムの上に、飛び込む形で倒れこむ。
「ねぇ、ウィル、わたし、言ったよね? 理性、よわくなったってぇ……」
「う、うん……そ、それ、が……?」
姉さんが覆い被さってくると、スライムにうつ伏せに倒されていたぼくの体勢を、仰向けに変えさせられた。
見下ろしてくる姉さんの顔は、既に出来上がりかけている。
逃げようにも、覆い被さられてはどうにもならないし、第一このスライムが逃がすことを許してくれないだろう。
「あんなこと言われて、おまけにかわいい笑顔見せられたら――おねえちゃん、かんちがいしちゃうよ?」
「え、えっと……なんのこと、でしょう」
ぼくは一体、何をしてしまったのだろう。
こうなる直前の場面を思い出しても、特に問題は見当たらない。
思ったことを、素直に口にしただけだし。
「えへへぇ♪ そうなんだぁ♪ うぃる、じかくないんだぁ♪」
姉さんが完全に出来上がった。
既視感にしては、記憶に新しすぎる。
そして、気付けばぼくは既に服を着ていなかった。
何なんだ、このマジックは。心臓に良くないので、トリックのタネを明かしてほしい。
「じかくないなら、おそわれちゃっても、しょうがないよね……うぃるぅ♪」
「ぅ、ぅあ……」
姉さんが身体を密着させてくる。
胸とか腹とか太ももとか、姉さんの柔らかい身体に、ぼくのペニスが勃起し始めた。
勃起して起き上がるたびに、姉さんの身体を擦ることになり、勝手に流れてくる快感に、さらに興奮してしまう。
「んんぅ♪ おちんちん、おねえちゃんの身体すりすりしてる♪」
「ま、待って……せめて、ここ出てから……」
「えっち、おわってからね♪」
姉さんがそう言いながら、身体を動かして、女性器でペニスをにゅぷにゅぷと擦ってくる。
魔物の性本能は、いつ来るかわからない危険よりも優先してしまうのか。
ちょっと心配になるってレベルじゃない。
「ぅあ、姉さん、その……まっ」
「もう、イれちゃうからね♪ また――たべちゃうからね♪」
「え――うはぁ……!」
そう言ったかと思えば、静止を入れる間もなく、姉さんに挿入された。
既に姉さんの膣内はまるでスライムのようにどろどろで、それでいて燃えるように熱い。
「あはぁ……♪ うぃるのおちんちん、やっぱりなかでぴくぴくしてるぅ♪」
「ひぁ……ぁぁ……」
「んふふ♪ いっぱい、いっぱいきもちよくなろうね♪」
もう理性など欠片も残っていない姉さんが、腰を動かし始めた。
こうなってしまうと、きっと姉さんが満足するまで解放されないだろう。
二回目にして、すでに悟りつつあった。
「ぁ♪ はっ♪ うぃる♪ ずっと♪ ずっといっしょ♪ すきぃ♪ だいすきぃ♪」
「っ、ぁ、ねえ、さぁん……」
ここは、まだ反魔物国家の領なのだ。
姉さんが魔物になってしまった以上、教団の連中に見つかるのは面倒だし、危険だ。
とりあえず、これが終わったら、即刻出よう。
ぼくは、腰の上で揺れる姉さんを見ながら、既に溶けかけている心で誓ったのだった。
日課となっている屋敷の蔵書室で読書をしていたら、面白い本を見つけて夢中になってしまい、気付いたら昼をわずかに過ぎていた。
食事の仕度が遅れていることに気付かれてしまうと、姉さんが頬を膨らませてしまう。
それはそれで面倒な事になるので、すこし慌てながら蔵書室を出てきたのだが、その本人の気配を感じなかったのだ。
いつもならば、帰ってきている時間。というよりも、実を言えば、頬を膨らませるどころか、昼食を催促しにぼくを探して各部屋を殴り込みに来てもおかしくない時間。
その時間になっても、屋敷内は静かなままだったということは。
「……姉さんが、まだ帰ってきてない?」
言葉にした瞬間、嫌な予感がした。胸騒ぎとも言うか。
ルシア姉さんが、帰ってきていないだけ。たかがそんな事、と思うかもしれない。
確かに、朝は猛烈に弱く、感情が素直すぎてぼくよりも子供に見えるし、そして何よりズボラだけど、あれでもしっかりしている部分はちゃんとあるのだ。
例を言えば、昼前や夕前の時間には、必ずと言っていいほど決められた時間前には帰ってくる。
小さな問題――それこそ、その時間には帰れないだろうというような物事ならば、前持って言ってくる。急な出来事であれば、何かしらの手段で絶対に連絡を寄越してくるほど。
そういうところは、過去に一度も欠かさなかったのだ。
「あの姉さんが、時間を過ぎてるのに帰ってこない上に、何の連絡もない。ということは――」
何か、連絡も取れないほどに大きな問題に遭遇した、と考えた方がよさそうだ。
屋敷の外はいつも通り平和だ。これと言って騒動が起きている様子は無い。
ならば洞窟の見回り中に魔物に襲われたと考えるべきだろう。
彼女は一人だ。腕が立つと言っても、不意を突かれればどうにもならないこともある。
下手をすれば、即死することだって――
「…………」
いや、絶望するのはまだ早い。最悪の事態を考えるのは、少なくとも、彼女自身を示す何かを見つけてからだ。
……死んだなんて、まだ信じたくない。
「……探そう」
どちらにしろ、不安に囚われて待つくらいなら、行動した方が良い。
自分の部屋から、護身用の短剣を持って、家を出た。
姉さんの今日の仕事は、「近くの洞窟の見回り」だと言っていた。
こんなことになるとは思わなかったので、どこの洞窟かまでは把握していない。つまり、片っ端から探すしかない。
教団に頼るのが一番かもしれないけれど、強大な力を持った組織や存在というのは、何の力も持たない存在には、何も与えてくれない。どうせ、姉さんのことも、使い捨ての駒としか見ていないんだろう。
だから、期待しない方が良い。どうせやるなら、自分一人でやるしかないんだ。
「お疲れ様です」
「おう、気をつけろよ、坊ちゃん」
そんな言葉を街の門番の人と交わして、ぼくは難なく街に出た。出る事は簡単だが、戻るには面倒な手続きが必要になる。
だけど、教団の騎士団に所属している姉さんと一緒ならば、問題なく通れるはずだ。
まぁ、ぼくの杞憂によって入れ違いになっていたとしても、姉さんに迷惑をかけて怒られるだけで済む。本人の無事を確認できた安堵に比べれば、怒られるのなんて安いものだ。
「ここから一番近い洞窟は――こっちかな」
近くの洞窟の地図なら、頭の中に入っている。
姉さんが一人での見回りを任された直後は、支給された地図を自慢げに、しかもしばらく毎日かけて、ぼくに見せびらかしてきたせいで、地図の内容を覚えてしまったのだ。
おかげで、街の外に出たのはこれが初めてなのに、まるで何度も出歩いたことがあるみたいに、周りの地形が分かる。
そんなこともあってか、迷わずに一つ目の洞窟に到着する。
魔物退治が終わり、定期的に見回りされているとは言え、姉さんが何かあったかもしれない洞窟だ。
ぼくは護身用の短剣を強く握り、空いた片手には松明を手に持ち、息を吐く。
「……ふぅ、よし」
そして、気を引き締めてから、洞窟の中に入った。
あれから、どれくらいの洞窟を探っただろう。
姉さんは未だに見つからなかった。
外も暗くなり、辺りが暗い。疲れも溜まってきている。
そろそろ、教団の巡回も終わる頃だろうか。
ぼくも街に戻らなければ、魔物に見つかる可能性も高くなる。そして、見つかれば、成す術なく殺されるだろう。
姉さんが既に戻っている可能性もある。何か故あって連絡を寄越さなかったかもしれない。
そうして、ここを調べて、何もなければ一度街に戻ろうと決め、洞窟内を進んでいる時だった。
「……ぅ……っ……るぅ……」
泣き声のようなものが、奥からかすかに聞こえてきた。
その聞き覚えのある声に、ルシア姉さんだと、すぐに分かった。
朝になると聞くことがあるけど、それでも割と珍しい、甘えるような、縋るような声だ。
何はともあれ、声が出せるほどには無事なんだ。それなら、問題ない。
慌てて駆け寄る。
「ルシア姉――さ――」
そのとき、むせ返るほどに甘い、甘い匂いに迎え入れられた。
それは同時に、ぼくの希望を、絶望の淵まで叩き落とした。
そこにいたのは、確かに姉さんだった。
「ぅ……? ……ぁ……うぃる……?」
金色の長い髪を、赤いリボンで左右にまとめて、肩部から見えるのは、リボンと同色のブラウスの一部だろう。太ももから下まで伸びている、小さな赤いリボンにレースの刺繍が施された靴下なんて、彼女のお気に入りだった。
そう、目の前にいるのは、紛れも無く――ルシア姉さんだ。
だからこそ、残酷だった。
「ぁは……きて、くれたんだぁ……♪」
既に上気しきってだらしなくなっている顔に、いつもの彼女の面影はなかった。
その身体は、桃色の巨大なゼリーの塊に跨っている。見たところ、跨っているものは、スライム――だろうか?
履いていたはずの赤いスカートは脱いだのか見当たらず、胸や股間部で透明感のある桃色の粘液で覆われて、それ以外の姉さんの裸体は惜し気も無く晒されている。
呆然として動けなくなっているぼくに、姉さんがスライムに乗ったまま近寄ってくる。
その時、彼女のブラウスに下にあったガントレットが、まるで支えを失ったようにありえない方向に傾き、そして落ちて――
「――っ!!」
そこには、あるはずの腕が無かった。
ガントレットが外れて、ブラウスの袖から伸びているはずの腕が、無くなっていた。
それだけではない。
ぼくから見て、その透明度の高い桃色の粘液を通して、奥側の地面に落ちている剣は見えるのに。
粘液に埋もれているはずの、ルシア姉さんの膝下は、そのシルエットすら見当たらない
つまり、足も――無くなっている。
「ルシア、姉さん――」
最悪の事態と考えて、それは”死”だけだと、決め付けていた。
だけど、最悪の事態というのが、他にもあったということを忘れていた。
それは、魔物にされてしまうこと。
あるいは、魔物に取り込まれてしまうこと。
この場合、相手はスライムなのだから、取り込まれてしまったと考えるべきか。
……いや、同じことだ。どちらにしろ、その先に行き着くのは、”死”と同義。
今、ぼくが見ているルシア姉さんは――魔物でしかないのだから。
「おねえちゃんに……あいにきてくれたんだぁ……♪」
「ぁ――あぁ――」
絶望に心が塗り固められた瞬間、今までの疲労があり、ぼくは膝から崩れ落ちた。
目の前が真っ暗になる。
「……っは、はは……ハハハ……」
「……うぃる?」
どうやら、ぼくは思った以上に堪えているらしい。思わず、笑ってしまうほどだ。
当たり前じゃないか。
五体不満足の姉さんを見せられて。
それでいて、この姉さんはきっと偽物で。
これは、きっと魔物が人間をおびき寄せるための疑似餌だ。
つまり、ぼくが見ている姉さんは、姉さんではない。
近づいて触れたところで、姉さんは消え去り、ぼくはスライムに捕まって殺されてしまうのだろう。
だから、本当の姉さんは――もういないんだ。
「泣いて、るの……? ……ぁ、それじゃおねえちゃんがいやしてあげる♪ ぎゅぅ〜ってして、なでなでして、ちゅっちゅして、ぺろぺろして、ぬりゅぬりゅして、じゅぽじゅぽして、くちゅくちゅして――だから、ね?」
姉さんの姿をした魔物が、ゆっくりと近寄ってくる。
ひどく緩慢な動きなのがわかる。逃げようと思えば逃げられるほどに、遅い。
でも、逃げたところで何になるのだろう。
どうせ、戻ってもぼくには何もない。
それなら、いっそのこと、自分から――
「ぁ、あ……♪ うぃる……おいで♪」
立ち上がって、一歩近づくと、姉さんが嬉しそうに破顔した。
無くなった腕部分に周りのスライムが集まったかと思えば、そこには腕が出来た。生前と何ら変わらないその白い両腕を、まるでぼくを迎え入れるかのように伸ばしてきていた。
「おねえちゃんがぎゅってしてあげる♪ ほらっ、はやくっ♪ うぃるぅ♪」
いつもとは違い、ひどく舌っ足らずで、無邪気に嬉しそうな笑顔でこちらを寄ってくる。
この姉さんを見たことがあった。
それは朝の日で、群を抜いてひどく寝ぼけた時の姉さん。
こんな状態の姉さんに、抱き付かれた事もあるので、印象としては強く残っている。
でも、あの時の姉さんとは、何かが違う。
その何かは分からないけど、どうせこの後の結末を思えば、考える必要もない。
どうせこの姉さんは、まやかしに過ぎないのだから。
「――姉さん」
姉さんの胸に、倒れ込む。
そして、嬉しそうに上気した顔の、姉さんの幻影は崩れて、ぼくはスライムへと取り込まれ――
「…………え?」
なかった。
受け止められたのだ。消えるはずの、姉さんに。
「ふぁあ♪ うぃるきたぁ♪」
「……え、ぁ、な、んで?」
なんで。
なんでまだ姉さんは残っているんだ。
受け止める必要なんてないじゃないか。
あのまま、スライムの身体に倒れれば、もうぼくは逃げられずに死を待つしかなかったはずだ。
なのに、なぜ。
「いっぱいぎゅぅってしてあげる♪ ぎゅぅぅ〜♪ ぎゅぅぅぅ〜〜〜♪♪」
「……うわ、んぐっ!」
姉さんに強く抱きしめられ、形の良い胸に顔を埋めさせられた。
その身体はスライムに覆われていたせいか、ぬちゃりとしているが、不快感は不思議とない。
それ以上に、甘い匂いが鼻をくすぐり、頭がクラクラする。
姉さんの、匂いだった。
「あぁ♪ うぃる♪ かわいい、だいすき♪」
頭を撫でられる。頭を頬擦りされているのも分かった。
疑問が多すぎる。考えたいことが多すぎる。
でも、柔らかな感触と匂いが、考えることを拒否させる。
「んふぅ♪ うぃる……こっち向いて?」
「え――うっ」
一瞬だけ、声色の変わった姉さんの言葉に、素直に従ってしまった。
顔を上げた瞬間、姉さんの唇が目前まであり、咄嗟に目を瞑る。
すると、目元に唇を当てられて、軽く吸われた。
「んっ……、ちゅっ……なかないで……うぃる……」
涙の跡を辿っているのか、唇が頬へと下っていく。
移動するたびに、その部分を軽く吸われ、少しだけくすぐったい。
「ちゅぅ……うぃる……うぃるぅ……♪」
反対側の目元も、同様に吸われる。
涙の跡を吸われ、それが頬の下まで辿り着いた時。
いきなり唇を吸われた。
「――っ!?」
「ちゅぅぅ〜〜〜♪ ちゅっちゅ♪ ちゅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜♪♪」
先ほどとはうって変わって、唇を強く吸われる。
顔を離そうとしたけど、姉さんに両手で頭を抱え込まれて逃げられない。
口内へと、なにかぬるりとした物の侵入を許し、舌を絡め取られた。姉さんの舌だった。
それとは別に液状の物が、甘い味を伴って喉の奥を通り過ぎた。
身体が熱くなり、思考がさらに鈍る。
「はぁぷ♪ んくっ、んちゅぅ♪ ねろれろ、ちゅるんむぅ♪」
舌を散々弄りまわされ、ちゅるちゅると吸われた。
意識が溶かされるような錯覚に陥る。
「っ……ぷぁ……♪ あは……♪ うぃるのつば……♪ おいしいぃ……♪」
口を離れる頃には、口内が姉さんの甘い甘い味で満たされていた。
呼吸する度に、頭が姉さん一色に染まっていく。
ボーっとした頭で姉さんを見ると、向こうもさらにだらしなくなっていた。
先ほどよりも顔は赤くなり、目はとろんとしていて、口からは涎が垂れている。
ひどくだらしなくて、そして魅入ってしまうほどに淫らだった。
「……っ」
ダメだ。意識をしっかり保たないと。
おかしいんだ。本当はあり得ないんだ。こんなことは。
だって、姉さんは――
「う、わぷっ」
突然、姉さんがぼくをまた胸に抱きながら、後ろにある大きなスライムへと倒れ込んだ。
まるでベッドのように大きく広がったスライムが、倒れたぼくたちの身体を柔らかい反動で受け止める。
そして、横向きにぼくを倒すと、スライムがぼくの身体を覆い包んでいく。
ぷるぷるとしていて、それでいてねっとりした感触が直接肌に届いて、身体が震えた。
「あ、れ……?」
そして、この時、あまりにも直接的な感触に、自分の衣服が無くなっていることに気付いた。
姉さんに抱き止められた時から、溶かされてしまっていたのか、それともまた別の何かなのか。
考えることは、出来なかった。
「はぁん……♪ うぃるぅ♪ おっぱい、すって? さきっぽ、ちゅぅちゅぅ――って♪」
口元に、固さを持った乳首を押し付けられた。
頭をぐりぐりと押し付けるように動かされ、唇に乳首がこりこりと擦れる。
その感触に思わず口を開くと、乳頭がその隙間に入り込むように押し付けられ、反射的に軽く吸い付いてしまった。
「ぁ♪ そぅ♪ うぃる、じょうずぅ♪ ぁん♪」
気のせいか、何だかほのかに甘い味がした。
ちゅっ、と少しだけ強めに吸ってみると、姉さんの口から喘ぎ声が漏れる。
「あぅぅん♪ んふぅ♪ あかちゃんみたいでかわいい……♪ うぃる……♪ うぃるぅ……♪」
姉さんの甘い言葉に、ぼくは完全に乳吸いの虜になった。
固く膨らんだ乳首を、舌でも舐め転がす。
「ふぁ♪ んぁぁ♪ さきっぽころころされるのもぉ♪ きもちいいよぉ♪ はぁん♪ うぃるぅ♪ はんたいのおっぱいもぉ、もみもみしてぇ……♪」
スライムがぼくの片手を覆い、姉さんの空いた胸へと勝手に押し付けられる。
ふにゃりと柔らかくて、それでいて押し返す感触が手のひら全体に届く。
その魅惑の弾力に、姉さんに言われるままに、指に力を込めてしまう。
「あ、ひぁん♪ おっぱいのいじりかた、やさしくてうれしい……♪ あぁぁん……♪」
一度力を込めてその感触を味わってしまうと、もう止められそうになかった。
指の先から手のひら全体を押し付けるように、むにゅむにゅと揉みながら、乳首を転がして吸うたびに、姉さんが身体を震わせて喘ぎ声をあげる。
自分が姉さんを気持ちよくしているということにも、さらに興奮してしまう。
スライムが口に入るのも厭わず、乳房に甘えるように吸い付く。
ずっとこうしていたい。この柔らかな乳惑に溺れていたい。
「ふあぁん……♪ うぃるぅ……♪ すきぃ……♪ だいすきぃ……♪」
姉さんが両手でぼくの頭を抱えるようにしながら、蕩けたような声でそう呟いた。
その言葉に応えるように、ぼくはさらに乳房に顔と手を埋没させた。
「あっ♪ ふぅん♪ んふふっ♪ うぃるもきもちよくして、あげる♪」
「――っあ、な、なにっ」
姉さんがそんなことを言ったかと思えば、いきなり股間が、人肌のような温かさのぬるぬるした何かに覆われた。
身体が震わせながらそこを見ると、姉さんの片手の形が崩れてスライム状になり、ぼくの男性器――ペニスを覆っていた。
いつもは下を向いて小さくまとまっているはずのそれは、姉さんの身体に向けて芯を持ったように大きくなっていた。
「これが、勃起……! あれ、でも、皮……」
場違いだと自覚しながらも、ぼくは呟かずにはいられなかった。
この生理現象の知識はあったけど、実際に経験するのは初めてだった。少しだけ感動する。
しかし、ぼくの知っているものとは少しだけ違った。姉さんの屋敷の本で見たときは、勃起すれば皮が剥ける、と書いてあった。
ぼくのは、皮を被ったままである。
「んー……? ――ふふっ♪ じゃぁ、おねえちゃんが、こうしてあげる♪」
ぼくの場違いな呟きを聞いて、姉さんが怪しく笑みを深めたかと思えば。
ペニスを覆ったスライムを、ずじゅじゅっと流動させて外側の皮を根本へと強く引っ張られる。
そして、限界まで引っ張られたとき、ぐいっと、何かが皮の中から飛び出る感覚を感じる。
「……っあっ、うぁ!」
快感とも痛みとも言えるような強烈な刺激に思わず大きな声が出た。
股間を見ると、そこには本で見たようなのと同じ姿をした、ぼくのペニスがあった。
姉さんによって、剥かれてしまったのだ。
……迫力が本とはだいぶ違うけど、あれはきっと本の奴のが規格外なだけだと思っておこう。
「あは♪ りっぱになった♪ けど、ちっちゃくてかわいいまんま♪」
姉さんにも言われてしまって、ちょっと泣きそうになった。
やっぱり、ぼくがまだ小さいせいだろうか。
少しだけ落ち込んでいると、姉さんに頭を撫でられた。
「それじゃぁ、このちっちゃくてかわいいりっぱなおちんちん、おせわしてあげる♪」
あまり分かってくれていない姉さんのその言葉で、ペニスを包むスライムが、緩く振動するようにざわつき始めた。
その動きが、まるでペニス全体を、ねっとりと優しく舐められているような気持ち良さで、背筋がゾクゾクと震える。
「う……あひぃ……」
「ぐちゅぐちゅ♪ ぐちゅちゅ♪ このまま、どろどろにしてあげる……♪」
振動はそのままに、ペニスにぐりゅぐりゅと強く扱かれるような刺激が追加された。
ペニス全体を舌で隙間なく舐められ、さらにその状態のまま扱かれているような感覚。
恐らく人間には出来ない芸当。
敏感な部分を余す所なく、ぐちゅぐちゅと音を立てて蹂躙され、容赦ない快感が送られてくる。
「ひぁ……! これ、まって……!」
「ぁ……うぃる……」
とても耐えられそうになく、姉さんから逃げるように身体を転がす。
その瞬間、スライムのベッドから、スライムの一部が飛び出し、ぼくの上半身に覆い被さってきた。
しかも、姉さんの手から逃げ出すことは出来ず、ペニスは変わらずくちゅくちゅとスライムに苛め続けられている。
「ぃ……ぁ……ちょ……まって……!」
「……うぃる、にげようとしたぁ……」
姉さんの声は明らかに拗ねていた。
仰向けの状態で上半身がスライムに包まれ、快感に身じろぎしようとしても、わずかに動くことすら許されない。
その上で、柔らかいぬるぬるした感触が包まれた部分を、くすぐるように動いてペニス以外からも快感が流れてくる。
「おねえちゃんから、にげようとしたんだぁ」
しかし次に聞こえた言葉は、拗ねてはいたけど、どこか不穏な声色だった。
姉さんから、寄り添うように身体の距離を詰められ、今度こそ本当に逃げられないことを確信する。
わずかな恐怖に身を震わせるぼくに、姉さんはにこぉ、と笑った。
「でも……ゆるしてあげる♪ そのかわりぃ……」
ぼくを包むスライムの動きを一旦止めてくれた。
そして、今度はペニスにかかる圧力が、じわじわと強くなってくる。
緩急を付けながらも強くなっていく圧力に、まるで全体を揉まれているような気持ち良さを感じてしまう。
「ぁ……うぁ……姉さん……まって……」
何だか、嫌な予感しかしない。
息がかかるくらいに近い姉さんのその顔は、上記した顔に先ほどと変わらない笑みだが、その笑みにどこか悪戯っぽいものが含まれていた。
むちゅり、むちゅり、とペニスを揉みこまれるわずかな快感と、それ以上の恐怖で身体が震える。
そんなぼくに、姉さんはにへらぁ、とだらしなく笑った。
「どろどろのぐちゅぐちゅにしてあげる♪」
その言葉を合図に、ギュルギュルギュル、という音が、股間からはっきりと聞こえた。
直後に、ペニスが螺旋状に吸い擦られるような強い刺激。
視界が点滅する。
「――ぅ、ひっ、ぁあ!」
「あはっ♪ かわいいこえでたぁ♪ もっとぉ♪」
その刺激が亀頭の先まで到達した時、急速に根元まで戻っていく。
そして、スライムの柔らかな感触で、全体を再び扱かれた。
さらに、スライムは睾丸まで覆い、袋の玉をこりこりと刺激された。
痛みにも似た快感が追加されて、身体を走る快楽の電流は、先ほどの比ではなかった。
「あぁ、やぁっ、うぅ、ひぃあぁ!」
「くふぁ♪ っ♪ んっ♪ うぃるぅ♪」
身体を捩ることも出来ず、姉さんから逃げることもできない。
ぐじゅぐじゅ、ぬじゅぬじゅ、こりこり、と容赦ない快感に頭が焼き切れていくようだった。
強烈すぎる快感をすこしでも逸らすには、素直に声を出すしかなかった。
「ぅぁ、ぁあ、ひぃ、ぅくぁぁ!」
「あふっ♪ またかわいいこえ♪ いいよぉ♪」
瞬間、顔と股間以外が、スライムの中へと沈み込んだ。
そしてすぐにスライムが流動して、沈んでいる部分に這いずり回ってきた。
胸も、脇も、腕も、腰も、脚も、さらにスライムにぬるぬるの揉みくちゃにされる。
「ぁ、ひぁ、ひぃ、ぅくぁぁ!」
「ふぁぁん♪♪ うぃるのあせぇ♪ おしるぅ♪ んはぁぁ♪♪」
姉さんの言葉で、身体中を這い回るようなスライムの動きがさらに激しくなっていく。
全身が、ぼく自身が、ぐじゅぐじゅの、ぬとぬとの、ねとねとにされる。
溶かされる。溶かされる。溶かされる。
「うぐぅ、ひぁ、あぁぁ、はぁ、うぁぁん!」
「んふぅ♪ おちんちんぎゅっぽぎゅっぽ♪ たまたまもにゅもにゅ♪」
ペニスが根本から亀頭の先へと、まるでポンプのように、ぎゅっぽぎゅっぽと何度も何度も吸い上げられる。
それを補助するように、睾丸ももにゅもにゅと丹念に揉み上げられる。
全部、全部吸われてしまう。
「くひっ、あくぅ、あぁ、ふぁ、ひやぁぁ!」
「おちんちんびくんびくんしてる♪ もうでちゃうね♪ いっぱい、いっぱいでちゃうね♪」
姉さんの言葉に、呼応するように、何かが腰の奥からせり上がってくる。
未知の感覚に対する、期待と恐怖。
しかし、すぐにその感情すらも、揉み砕かれて、吸われてしまった。
「ぁは♪ おちんちんもうだめだね♪ もうでちゃう♪ いいよ♪ だして、だしてぇ♪♪」
姉さんに嬌声のような声で催促され、限界へとさらに加速していく。
そして、玉をぎゅぅ、と強く揉まれると同時に、先端をぢゅぅぅぅっと音が鳴るほどに、強く吸引された。
その瞬間、視界は真っ白に染まる。
「ひぎっ、ふくぁ――あああぁぁぁぁぁ!!」
ペニスが脈動して、白い何かを姉さんの腕の内部に吐き出していった。
これは、きっと精液だ。ぼくは、生まれて初めて精液を吐き出している。
激しい放出感と快感に、何度も何度もペニスが震えた。
「ふぁ――んぁぁぁぁぁ♪♪♪ せーしぃ♪♪ うぃるのせーしぃん♪♪」
ぼく以上に、姉さんが尋常ではない嬌声をあげた。
それでも全身への刺激も止めてくれず、睾丸は揉まれ先端を吸われ続ける。
容赦のない快感に全身を痙攣させながら射精するしかなかった。
吐き出された白い精液は、桃色のスライムと混ざり合いながら、姉さんの腕を遡り、体内へと沈んでいく。
その度に、姉さんは大きく身体を震わせ、蕩けた声を漏らしていた。
「ひぁぁん……♪♪ とけちゃうよぉ……♪♪ うぃるにとかされちゃうぅ……♪♪ おねえちゃんとろとろにされちゃうよぉ……♪♪」
射精が終わる頃に、ようやくスライム責めも止めてくれた。
埋められていた全身もスライムの上へと解放される。
しかし、身体には異常事態が起きていた。
「ふへっ、あくぁ、うぅ、はっ、ひきぃ」
「ぅ……うぃる、だいじょうぶ……?」
もう快感は送られてきていないのに、まだ、身体中を弄られている快感が、全身を駆け巡る。
余韻というには、強すぎて辛いものだった。
強すぎて受け止めきれなかった快感を、脳が苦痛に変換してしまっているのだろうか。
身体が痙攣し、声すらまともに出せない。代わりに出てくるのは、止めどない涙だった。
「ひぃ……はぁ……う、うん……」
「あぅ……うぃる、ごめんね……? うぃるがかわいくて、かわいすぎて、やりすぎちゃった……」
かわいいだとか、たかがそんな理由でこんな目に合わせられる身としては、たまったもんじゃない。
とは言え、人間の身体というのは何とかなるように出来ているらしく、少しすれば、その余韻が引いてまともな状態になってきた。
まさに死ぬほどの快楽という奴だった。
「つぎは、やさしくするから、ゆるして?」
「うん……え゛?」
その言葉は、まだまだ終わらないことを意味していた。
本当に反省しているのだろうか。しているなら、これで終わるべきではないのか。大事を取ってひとまず寝かせて欲しい。
「おちんちんも、まだおおきいままだし……♪」
「ぇ……あっ! やめっ、あぁっ……!」
姉さんが、人差し指で亀頭をくにくにと弄り回してきた。
スライムと違って、はっきりとした刺激が、確かな快感となって送られてきた。
「おちんちん、まだまだげんき♪ えへへぇ♪ こんどは、おねえちゃんといっしょに、いっしょにきもちよくなろうね……♪」
そう言いながら、姉さんがぼくの腰に跨った。
勃起したペニスが、押し潰される。
痛くはない。むしろ気持ちいい。
「あっ♪ んぅ♪ うぃる、わかる? しってる? いま、うぃるのおちんちんと、ちゅっちゅしてるばしょ……♪」
姉さんが、ぼくに顔を寄せながら、腰を揺らす。
その度に、姉さんと女性器と、ぼくのペニスが擦れあってくちゅくちゅと水音が聞こえる。
先ほどの快感とは、比較にならないほどに小さいものだ。
なのに、ぼくの腰の上で揺れている姉さんに、すごい興奮してしまうせいか、それだけでとても気持ちよかった。
「んぁ♪ はぁ♪ くぅん♪ だいじょうぶそう……♪」
と、姉さんが腰の動きを止めてしまった。
行為を止められたことで、まるで焦らされているような感覚に、自分でも腰を軽く揺すってしまう。
そんなぼくに、姉さんは優しく笑いながら膝立ちになると、ペニスを掴み自分の女性器に向かせる。
「……えへへ♪ ウィル……見ててね♪」
くちゅり、っとペニスが女性器に押し付けられる。
亀頭が半分ほど埋まり、その中はすごく熱く、そして気持ちいい。これだけで、頭がクラクラと茹ってしまいそうだった。
あの中に全て入ってしまったらどうなるのだろう、と考えるだけで期待に震えてしまう。
「んふぁ……♪ わたしの、初めて――ウィルに、あげるからね?」
「え――」
姉さんがはっきりと言ったその言葉の意味を、悟る前に腰を落とされた。
ペニスが、ずぷりと一気に飲み込まれていくような感覚に、思考がすべて飛んでいきそうになる。
その瞬間。
「――、――っ!?」
「ぁ――ふぁああああ♪♪」
姉さんが嬌声を上げて、身体を大きく反らす。
だけど、ぼくは確かに感じた。
ブチィ――と言う、何かを突き破るような、痛々しい感触を。
慌てて、二人の繋がった部分に視線を降ろす。
その場所から漏れる粘液に、紅色が混ざっていた。
破瓜の血だった。
「ね、ねえさ……!?」
「ぁぁ……♪ あげちゃったぁ……♪ うぃるにはじめてぇ……♪ あげちゃったぁ……♪♪」
姉さんが恍惚とした表情で呟く。
その様子は大丈夫そうに見えるし、無理しているような素振りもない。
でも、そういうことじゃない。
こういうことの初めては、男よりも女の人の方が大事なことじゃ――
「あぁん……♪ なかにうぃるはいってるぅ♪ あはぁ……♪」
姉さんは、全く気にした様子もなく、腰を前後に動かし始めた。
その度に、くちゅくちゅといやらしい音が鳴り、結合部から血色の粘液が溢れていく。
「ねえさ……っ! あぁ……!」
「……ぁ♪ ここぉ♪ ここ、きもちいぃ……♪」
膣内でペニスを執拗に擦られて、あまりの気持ち良さに声が漏れてしまう。
そんなぼくを、姉さんは蕩けた表情で見下ろしながら、呟くように言った。
「えっちしてる……♪ わたし、うぃるとえっちしてるんだぁ……♪」
「……ぅあ」
その言葉に、ぼくも再認識してしまう。
ルシア姉さんと性交している、という事実に。
そして、その事実に、異様な興奮を感じてしまっていた。
「ぁは……♪ もっと、きもちよくなろうね……♪」
「え――っ、うぁぁ!」
姉さんがそう呟いた瞬間、スライムが結合部へと入り込んできた。
それはぼくのペニスを伝うように入り込んできたせいで、スライムに、ねっとりと扱き上げられているようだった。
「ぁは♪ あん♪ んふぅ♪ すっごく、かわいいかお、してる♪」
「うぁ、あぁ……そん、な、ことぉ……」
スライムにペニスを包まれるが、その刺激は先ほどと違っていた。
ぐにゅぐにゅ、と優しく揉みこねられ、甘く溶かされるような気持ち良さだった。
それでも、姉さんは構わずに腰を前後に動かして、スライムに包まれているペニスを膣壁で擦り上げてくる。
二つの快感で腰が蕩けそうだった。
「んっくっ♪ んぁ♪ うぃる♪ ぁん♪ こういうのが、いいんだぁ♪」
「ぁ、うぁ、ねえ、さ――んむぅ……!」
姉さんに、覆い被さるようにぎゅっと抱きしめられた。
全身が、姉さんの柔らかい身体にすっぽりと包み込まれる。
その動きで、膣の中も動き、亀頭も膣内の柔らかい壁にぎゅむっと包まれるような快感に、思わず姉さんの胸に顔を埋めながら抱きついた。
「ぁ♪ うぃる♪ あまえんぼになった♪ ふふっ♪ ふぁんっ♪ すきぃ♪ んっ♪ あまえんぼうぃる♪ あぅっ♪ だいすきぃ♪」
ぼくを抱きしめながら、姉さんはさらに早く腰を前後に動かした。
ペニスはスライムにもにゅもにゅ、と揉まれながら、膣壁にあちこちをぐちゅぐちゅに擦られる。
「ふぁぅ♪ あんっ♪ うぃる♪ こしぃ♪ んくっ♪ うごいてるぅ♪」
「ん、ぅ、あ、ひぁ……!」
気付けば、腰が姉さんに向かってピストン運動をしていた。
ぐっぷぐっぷ、と結合部から聞こえる音が、とてつもなく卑猥だ。
「だっ、て……きもち、よすぎて……!」
「うんっ♪ うんっ♪ おねえちゃんも♪ きもちいぃ♪ もっと♪ もっとおまんこじゅぽじゅぽして……っ♪」
快感はもう十分すぎるほどに感じている。
それでもぼくの意思に関係なく、腰の動きは加速する。下にあるスライムのベッドに、大きい弾力を使ってピストン運動を強制されているような錯覚すら起きる。
「うんっ、んぁっ♪ ぁうっ、ひぅっ♪ おちん、ちん♪ ぁ、はぁ♪ びくんびくん、して、るぅ♪ くふぅん♪」
姉さんの動きもぼくに合わせて速くなり、膣内でペニスをぐちゅぐちゅに溶かすスライムの動きもより、激しく、ねちっこくなっていく。
ずちゅずちゅずちゅっ、と小刻みな音が耳に入り、先ほどのような射精欲が腰から昇ってくるのが分かった。
「ひぁ、うぁ、ねえ、さん……!」
「ぁ♪ あっ♪ うぃる♪ イっちゃうね♪ ふぁっ♪ おねえちゃんも♪ やっ♪ もぅ♪ イっちゃう、からぁ♪ いっしょに、いっしょにイこ♪」
姉さんの言葉に、何度もうなずく。
ぎゅぅぎゅぅ、と膣内が収縮を始めていた。
もう限界はすぐそこまで来ていた。
「ねえ、さんっ、ねえさ、んっ……!」
「あっ♪ ぁ♪ んぁ♪ もぅ♪ イく♪ イくぅ♪ イっちゃうぅぅぅ♪♪」
姉さんの言葉を合図に、ペニスを一際高く膣奥に突き上げる。
そのとき、亀頭のさらに先っぽの方で何かがぺたっとくっついた。
その瞬間、それに、ちゅぅぅぅっと強く吸われ、目の前が弾けた。
「――っっ!!!」
「ぁは――きひゃぁぁぁぁぁ♪♪♪」
姉さんに、一段と強く抱きしめられながら、吸われるままに精を放った。
さらに膣内が収縮し、膣内の肉が、スライムと連動した蠕動運動で、ペニスを絞り上げてくる。
亀頭の先っぽでくっついてきたものに、まだ吸われていて、快感は収まらない。
「ぁ、ひぁ……!!」
「ふぁぁぁぁぁぁぁ♪♪♪ あっ♪♪ あっ♪♪ せーし♪♪ せーし♪♪ ぁぁぁぁぁん♪♪」
まだ残っていたのかと思うくらいに、深い腰奥から精が引き上げられる。
それが吐き出されるたび、膣内の動きは活発化し、姉さんは悦びの声をあげた。
「ふはっ、はぁ、はっ……」
ようやくおわった瞬間、ぼくは全身の力すらも吸われてしまったように、動けなくなっていた。
震えや涙が来ないだけ、先ほどよりはマシかもしれないが、射精中のさらなる快感に晒されている最中の恐怖感は同じだった。
「んぁぁ……♪ うぃるぅ……すき……♪ すき、すき、すき……♪ だいすき……♪ うぃるぅ……♪」
姉さんに何度も名前を呟かれ、好きだと言われても。
その言葉を返すだけの体力すら、ぼくには残っていなかった。
「……ぅあー……あぅー……」
暗い洞窟内に、うめき声が響く。
この声は、ぼくではない。
ルシア姉さんである。
「あぅあぅ……ぅぁー……」
スライムの上で膝を抱えて座りながら、両手で顔を覆っている姉さんの姿は、未だかつてないほどにコンパクトにまとまっていた。
唯一、ぼくの目にも晒されている、その両耳はとてつもなく赤い。
さっきの出来事が終わって、ぼくが理性を取り戻したときには既にこの状態だった。というか、むしろずっとこの状態である。
きっと恥ずかしいんだろう。だってぼくも恥ずかしいのだから。
恥ずかしすぎて、今までずっと姉さんとスライムから距離をあけて、話しかけることすら出来なかった。
だけど、過ぎたことはどうしようもない。”過去を悔やむよりかは、未来に向けて考えうる限りで最善の行動をせよ”と最近読んだ本に書いてあった。
行動しよう。姉さんに話しかけるんだ。
そもそも、姉さんには色々と、確認したいことがある。
「あの……姉さん……?」
「……なによぅ」
声をかけると、顔も上げずに返事をされた。
一応、意思の疎通は取れそうだ。
「聞きたいことがあるんだけど」
「……どーぞ」
しかし、この姉さんは、朝でも見かけない姉さんだ。
というよりも、ここまでしおらしい姉さんは初めて見たかもしれない。
基本的に元気な姉さんを知っているだけに、なんだか可愛く見える。
「姉さんってさ、その……本当に、姉さん……なの?」
「……わたしが、わたしじゃなかったら、一体何なのよ」
「魔物……としか」
ちなみに、スライムに溶かされたと思った服は、すぐ近くの所で綺麗に畳まれていたので、今は着直している。
姉さんは、まだ全裸だけど。
「あぁ……そう言えば、わたしは魔物だった……返す言葉も無かった……」
「いや、あの、魔物なのはもう分かってるからいいんだけど、その、気になるのはそこじゃなくて――」
こんな感じで、苦労しながらも話を進めた結果、そこそこ分かってきたことをまとめると。
姉さんは単純に魔物にされたというよりかは、スライムと同化してしまった。同化したと言っても、記憶はそのまま残っていて、スライムは姉さんの意思によって動かすことも出来るらしい。
姉さん曰く、このスライムの宿主にされたというか、どちらかと言えば、死ぬまで共存関係のようなものらしい。だから、姉さんは姉さんであり、このスライムでもあるという。そのせいもあるのか、姉さんが人間の姿ではあっても、その身体はスライムに近いものらしい。
そのせいか、自分の考え方が少しだけ変わり、理性も弱くなった、という自覚もあるらしい。
どんなふうに変わったの、とぼくが聞くと。
「……今もね、ウィルを見てると、あぁ、ちっちゃいなぁ、かわいいなぁって思って、それから、ぎゅってしたくて、なでなでしたくて。できることならちゅっちゅして、スライムでねとねとにして、押し倒してにゅぷにゅぷして、じゅっぽじゅっぽして、そんな感じでずっと、ずーっとえっちしてたいなぁ……♪ って、考えちゃう」
話を聞いている内に、顔を上げてくれるようになったルシア姉さんが、上気させた顔で苦笑しながら言った。
姉さんの、股間から何か変な音が聞こえたような気がしたのは、きっと何かの聞き間違いだろう。
「それは、なんか、全然違ってるような……」
「前までは、ちゅっちゅしたくなるくらいで満足できそうだったんだけどなー」
「え……そうなの……?」
前の姉さんもあまり変わらないこと考えていたのか。
となると、朝のあの寝ぼけてる姉さんは、普段よりも素に近い状態だったのか。
というか、満足できそう、とかそういう話なんだろうか、これは。
「うーん……そもそも、魔物ってわたしたち人間よりも、えっちなことにすごく忠実みたい。本能的って言うのかな。だからその本能が強すぎて、教団で言ってるような、”魔物は人間を殺す”とか、”人肉を貪り喰う”とか、選択肢にすら出ないくらい。だから、ウィルを見て、すっごく愛でたくなっちゃうのは、仕方ないのかなーって」
「……そっか」
これは魔物になってから分かったんだけどね、と姉さんは照れ笑いを浮かべながら付け足した。
ということは、世間一般の常識とされている魔物の知識は、嘘だということになる。
だからと言って、それはぼくにどうにかなる問題ではない。
「何にしても、目の前にいるのがぼくの知ってる姉さんなのがわかったから、今はそれでいいかな」
「んー? もう良いの?」
「うん、ぼくは姉さんがいてくれるなら、それでいいや」
わりと簡単だった自分の気持ちに、ぼくは笑った。
姉さんが人間だろうが魔物だろうが、ルシア姉さんであるならば大した問題ではないということに、話しているうちに気付いたのだ。
魔物になった姉さんを見て、絶望したあの時が、ばかみたいで――
「――うわぁ!」
急に腹をスライムに包まれ、思いっきり引き寄せられた。
そのまま、ぼくを待ち受けるように広がっているスライムの上に、飛び込む形で倒れこむ。
「ねぇ、ウィル、わたし、言ったよね? 理性、よわくなったってぇ……」
「う、うん……そ、それ、が……?」
姉さんが覆い被さってくると、スライムにうつ伏せに倒されていたぼくの体勢を、仰向けに変えさせられた。
見下ろしてくる姉さんの顔は、既に出来上がりかけている。
逃げようにも、覆い被さられてはどうにもならないし、第一このスライムが逃がすことを許してくれないだろう。
「あんなこと言われて、おまけにかわいい笑顔見せられたら――おねえちゃん、かんちがいしちゃうよ?」
「え、えっと……なんのこと、でしょう」
ぼくは一体、何をしてしまったのだろう。
こうなる直前の場面を思い出しても、特に問題は見当たらない。
思ったことを、素直に口にしただけだし。
「えへへぇ♪ そうなんだぁ♪ うぃる、じかくないんだぁ♪」
姉さんが完全に出来上がった。
既視感にしては、記憶に新しすぎる。
そして、気付けばぼくは既に服を着ていなかった。
何なんだ、このマジックは。心臓に良くないので、トリックのタネを明かしてほしい。
「じかくないなら、おそわれちゃっても、しょうがないよね……うぃるぅ♪」
「ぅ、ぅあ……」
姉さんが身体を密着させてくる。
胸とか腹とか太ももとか、姉さんの柔らかい身体に、ぼくのペニスが勃起し始めた。
勃起して起き上がるたびに、姉さんの身体を擦ることになり、勝手に流れてくる快感に、さらに興奮してしまう。
「んんぅ♪ おちんちん、おねえちゃんの身体すりすりしてる♪」
「ま、待って……せめて、ここ出てから……」
「えっち、おわってからね♪」
姉さんがそう言いながら、身体を動かして、女性器でペニスをにゅぷにゅぷと擦ってくる。
魔物の性本能は、いつ来るかわからない危険よりも優先してしまうのか。
ちょっと心配になるってレベルじゃない。
「ぅあ、姉さん、その……まっ」
「もう、イれちゃうからね♪ また――たべちゃうからね♪」
「え――うはぁ……!」
そう言ったかと思えば、静止を入れる間もなく、姉さんに挿入された。
既に姉さんの膣内はまるでスライムのようにどろどろで、それでいて燃えるように熱い。
「あはぁ……♪ うぃるのおちんちん、やっぱりなかでぴくぴくしてるぅ♪」
「ひぁ……ぁぁ……」
「んふふ♪ いっぱい、いっぱいきもちよくなろうね♪」
もう理性など欠片も残っていない姉さんが、腰を動かし始めた。
こうなってしまうと、きっと姉さんが満足するまで解放されないだろう。
二回目にして、すでに悟りつつあった。
「ぁ♪ はっ♪ うぃる♪ ずっと♪ ずっといっしょ♪ すきぃ♪ だいすきぃ♪」
「っ、ぁ、ねえ、さぁん……」
ここは、まだ反魔物国家の領なのだ。
姉さんが魔物になってしまった以上、教団の連中に見つかるのは面倒だし、危険だ。
とりあえず、これが終わったら、即刻出よう。
ぼくは、腰の上で揺れる姉さんを見ながら、既に溶けかけている心で誓ったのだった。
13/11/05 01:25更新 / edisni
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