教団プレイ
「教団プレイがしたい」
それは空も薄暗く、時たま付近をうろつく小さな黒い太陽がアヘアヘ言いながら周囲を黒く照らす、いつも通りの平和な一日のこと。
家でぐうたらしていた時、唐突にある事を思いつき、それが口に出ていた。
俺がそう言うと、ベッドでうつ伏せになりながら雑誌を読んでいたサキュバスのサキナがこちらを向く。
その顔は、なんとも言えない微妙な物だった。
「教団プレイ……教団プレイかー」
一度目は下を向いてその言葉を確認するように呟き、二度目には思案に耽るように天井を見つめながら呟いた。
反応は悪くない。
というかこういうエロ関係の言葉に対して、反応が悪かったことはないんだが。
「正確に言うと教団の勇者とサキュバスプレイ」
「相手はサキュバス限定なのね」
「サキュバスじゃなくてスライムとかラミアとかスキュラとかの方がよかった?」
「ごめん、あたしが間違ってた」
自分で言っておきながら、サキュバス以外もいいな……と思ったが、口に出すとサキナに問答無用で搾られそうだからやめておく。
「まぁ、面白そうだしたまにはいっかー」
「サンキューサッキュン!」
「あんたそれが言いたいだけでしょ」
ということで。
俺はとある民家の前にいる。ぶっちゃけると俺の家である。
右手には柔剣しゃもじ、左手には剛盾なべぶたを装備し、一度息を吐いた。
そして、自宅と言う民家の玄関扉に手をかける。
「おい魔物! ここに隠れている「スキあり!」のぶふぉ!」
扉を壊さない程度に力強く開けながら入ると、横からタックルを喰らい、そのまま押し倒される。
俺の剛柔な相棒達が手から離れ、ついでに意識も手放しそうになる。
しかし、意識だけは何とか引き戻すと、気付けば俺の上に跨るサキュバスがいた。
「ふふふ、見誤ったわね……あなたが来ることなど想定のうち……」
「ちょま」
そしてその目は既に獲物を如何に美味しくいただくかという、情欲に溢れた物で理性など微塵も感じられず。
「ちょ、ストっ、ストップ、ストーップ!」
サキナにとっては想定内でも、俺にとってこの展開は想定外であるので、思わずストップをかけてみるが。
「待ったは無しよ……これは食うか食われるかの戦い……あなたは運悪く食べられる側になっただけ――精的な意味で」
全く聞く耳は持たず、むしろ舌なめずりをしながら、俺のズボンに手をかけて聖剣チンポを取り出そうとしてきていたので。
「スタァァァップ! サッキュンスタァァァップ!!」
過去の人生でも現在の魔生でも、恐らくここまで本気になったことはないレベルのストップを発動した。
「……なによ。今すごい盛り上がってるのに。もう盛り上がりすぎてぐちょぐちょよ」
「おいやめろ腰を揺らすな」
本当にぐちょぐちょじゃねぇか。
その音だけで射精三回いける気がする。
「で、なにがご不満?」
「俺の思ってる教団と違う」
教団の勇者は、何というか、もっと強くて、(性的な意味で)救われなくちゃあならないんだ。
「それなら今のタックルは避けるべきだと思う」
「俺の本職は教団勇者じゃねぇから! そこんとこ理解しろ!」
元々勇者の「ゆ」の字もない、おまけに街の外にも出たことねぇ民間人だった。
インキュバスになって変わったのは、絶倫になったことぐらいだし。
「勇者になれば?」
「おま……俺に死ねと?」
俺っちったら、もう立派な魔物ですよ。
教団に行ったら「こんにちはしね!」になるのが目に見えすぎている。
「大体あたしら魔物からしたらさー、教団の人間にはスキ見せちゃだめなのよ。下手したら死ぬから」
「いや、だからプレイだっつってんだろうが」
なんでこいつは本気の教団とヤり合う気になってんの。
魔物たちが本気出したら、俺なんて押し倒されてアヘらされるという、幸せだが望んでいない未来しかない。
「なに、どうして欲しいの?」
「率直に言うと俺にイニシアチブを取らせろ」
「なんだ、そういうことかー。なら実力で奪い取ってみなさい。それが魔物たちの掟。言ったでしょ――これは食うか食われるか、なのよ」
「あ、あねごぉ……」
イケ女なサキナさんに一生付いて行きたくなるが、既に俺達は一生モンだった。
「ってそうじゃなくてさ」
とりあえず俺の上から退いてもらって、相対しながらこちらの要望を提示してみる。
「サキナが教団に捕まって、捕まえられた勇者に拷問をかけられる、みたいなシチュがやりたいんだ」
「ほほぉ?」
「『さぁ……魔王の居場所を吐け……吐かないなら俺の聖剣がお前を貫くぞ……』みたいな」
そう言いながら、俺は腰をクイクイッと動かす。
「なにその性剣」
「こんな感じでいかがでしょう」
「うーん、まいっかー。で、あたしはどうすればいいの?」
「そうだなぁ……」
とある俺ん家にある地下に降りると、そこには両手を縄で拘束され、壁際の手すりに括りつけられているサキュバスの姿を見つける。
身に着けていた衣服は脱がされ、さらに全身に水をかけられていた。まさに濡れ鼠でひどくみずぼらしい姿である。
明るかった青いセミロングの髪は水を吸ったせいか、それとも地下という場所のせいか、いつもよりも幾分か暗く見えた。
ここでの囚われの生活が相当長かったのか、青紫の翼と尻尾が、力なく垂れている。
拘束している縄はただの縄ではなく、あらゆる魔法の発動を封印する聖なる魔力が宿っている。恐らく最上位種族リリムですらこの縄に縛られた状態で魔法を使う事は困難だろう。
リリムよりも下位の種族であるサキュバスであれば、なおさらだ。
「……久しぶりだな、サキュバス。ここで会ったが百年目。教団上層部の意向により、お前を処刑することになった」
俺の言葉に、彼女が俯いていた顔を上げる。
その双眸にはわずかではあるが、未だに意志が宿っていて、完全に屈服したわけではないことを視線のみで訴える。
「そう……そしてあたしを処刑するのが、勇者さまのあなた様……てことね」
そう言っておどける彼女の言葉には、元気が無理をしているように感じられた。
事実、無理をしているのだろう。先ほども言ったが、その翼と尻尾は力なく垂れていることが何よりの証拠である。
「さぁ、年貢の納め時だ、サキュバス。冥土の土産に、俺の聖剣で貴様を貫いてやろう」
そう言いながら、俺は股間に隠していた聖剣を取り出す。
既に俺の内に秘めた聖なる力でその刃は研ぎ澄まされ、天を向いていた。
この聖なる剣の凄さを、目の前の愚かなサキュバスに見せつけるために、俺は腰をクイクイッと動かして素振りをする。
「うっ、すごい……これが勇者の性剣っ!」
純真無垢な透明色の魔力を撒き散らす俺の剣に、サキュバスを既に弱り始めていた。
顔を上気させ、荒い息を吐きながらも、剣からは目をそらさない。
「ふむ、俺の聖剣の魔力を間近に受けながらも目を反らさぬその気丈な精神、評価してやろう!」
「はぁはぁ、すごい匂い……はっ、ありがとう。この程度で屈するあたしではないわよ」
「ほう……ならば特別に、まず最初に貴様のどの部位をこの聖剣で貫かれたいか選ぶ権利をやろう」
気丈な精神を持っているのは確かだが、やはり中身は魔物の魔力で満たされていることには変わりない。
相変わらず聖剣から目をそらすことはないが、既に口は半開きで涎が零れ落ち、瞼はわずかに閉じられ、顔はさきほどよりも紅く染まっている。
貫かれる場所を選択させたが、果たしてその理性は存在しているかどうか……。
「そうね……まずは、口から貫いてもらおうかしら」
一度唾を飲み込んだあと、サキュバスは答える。
どうやら思っていた以上に、不屈の精神を持っているようだ。
「ほう、口からとは、まさか俺から聖剣の魔力を吸い出すつもりか」
「ふふふ……サキュバスを甘く見ないことね、吸い尽くしてあげるわ」
不敵に笑うサキュバスは俺は腰の聖剣をサキュバスの口元に持っていく。
やってみるものはやってみろ、と言う挑発でもあった。
「んふ……はぁむっ、じゅるっちゅむっ」
サキュバスは一度笑ってから、果敢にも自ら聖剣にしゃぶりついてきた。
「ぬ……!」
口内の粘膜だけでなく、舌も使って聖剣の切っ先を丹念に舐めほじっていく。
その慣れた口術に、俺は少しだけうめき声をあげた。
こいつは、聖剣を口で扱う方法を心得ているのだ。
さすが、リリムより下位とは言え、魔物全体で見れば上位の淫魔と言えるだけはある。
「ちゅるっ、んぐっ、じゅぶっ、んじゅるっ」
聖剣を深く咥えこみ、切っ先だけでなく刀身全てを余す事無く舐めていく。
その様はまるで聖剣を包む穢れを落とし、聖剣をさらに強大な刀身へと進化させていくような、心地の良い舌使いだった。
とても聖剣の魔力を吸い尽くすような動きではないが、これもサキュバスの手口の一つかもしれない。俺もこのままやられっぱなしでいくわけにはいかない。
「ぢゅ、ちゅるっ、じゅぶぶっ、じゅるるるるるるぅっ!」
「ふん、中々やるなサキュバう゛っ!」
穢れを落とされ剥き出しとなった聖剣を、突然強くバキュームされ、俺は話す途中ながらも、危機を感じて浄化の魔力を吐き出した。
「んぶぅ! んっ、んぐぐっ、んぐむっごくんっ!」
激しい勢いで出される浄化の魔力。
意識が朦朧としかけ、身体の力が抜ける。
地面に倒れないように、サキュバスが背にしている壁に、上半身を預けた。
「ごくっ、こくっ、んくっ、ぢゅるるるるるるっ!」
「……っ!」
それでも構わず、サキュバスは嚥下しながらも口淫を続け、魔力を根こそぎ搾り取ろうとしている。
魔力を出し尽くしても、サキュバスは名残惜しげに緩く口淫を続けていたが、やがて諦めて聖剣から口を離した。
「ふぅ……ふはは、ばか正直に飲みおったなこのばか……ばかサキュ……ばきゅば……愚かなサキュバスがっ!」
ばかとサキュバスを合わせた言葉を作ろうと思ったがうまくできなかったので妥協する。
「はぁ、はぁ……もう我慢できないぃ……♪」
というか、目の前のサキュバスの耳には届いていなさそうだった。
俺の聖剣から放たれた浄化の魔力が、予想以上に彼女の身体を侵食しているようだ。
「今聖剣から放ったのは聖剣の魔力ではなく浄化のまりょ――」
――ぶちぃ!
俺が話している途中でサキナが思いっきり身体を前に倒し、両腕を拘束していた縄を引き千切った。
「なにぃぃぃぃぃ!?」
思わず目玉が飛び出しそうな光景に叫んでしまう。
そして、俺は叫びながら彼女に押し倒された。
リリムですら破れないはずの縄をブチ抜くのは、反則が過ぎるだろう。
しかし、俺がこの事に対して何を言ったところで、今サキナに押し倒されている状況に変わりはないのだ。
「くっそ、形成逆転か……!」
「はぁ、はぁ……あなたの性剣の魔力、あたしのナカで直接吸い取ってあげるわ……♪」
押し倒した俺の腰に馬乗りになるサキナが、淫靡に表情を歪めながら言う。
恐らく理性など欠片ほどしか残っていないと思うが、俺の股間にあるものを聖剣と呼んでくれる彼女には感服した。我慢できないとか言っていたことは……聞かなかったことにしよう。
いや、それよりも……どうやら彼女は本気で、俺の聖剣の魔力を奪いにくるようだ。
「いいだろう……俺もどうせ貴様の魔膣にこの聖剣を貫くつもりでいた。ヤれるものならヤってみろ!」
できることなら、尻を向かせた状態で貫いてやりたかったが、致し方あるまい。
結果的に聖剣がサキュバスの魔膣を貫くことに変わりはないのだから。
「はぁはぁ、あたしの魔膣とあなたの聖剣、どっちが勝つか…………めんどくさいからもう挿入れるわね」
「めんどくさいとか言うのっほぉぉぉぉぉ!!」
「あっはぁぁぁぁぁ♪♪」
俺が言葉で突っ込んでる間に、熱い魔膣に聖剣を突っ込まれて、変な声が出た。
しかも、俺の聖剣との対決を喜ぶように魔膣は中で痙攣するように激しく収縮している。
「ってお前……早速イッてんじゃ――あっ」
「ひっああぁぁぁぁぁ♪♪」
そして俺の聖剣も呼応するように、白い魔力を魔膣にぶちまけた。
たとえ魔物と言えど、相手に対する礼儀を忘れてはならない。
今のはいわゆる、開戦前の礼のようなものである。
それだけではない。これによって、相手の実力を測れるのである。
先ほどの結果から――俺とこいつの実力は、互角。
「はぁ、あぁん♪ ずっと焦らされてたから、入れただけでイッちゃったわ……それよりも……」
互いに礼儀を払い終わったあと、恍惚な表情のサキナが色っぽい吐息の後、こちらに身体を寄せて、顔を近づけてくる。
「ナカであっつぅいのが来てたけど、なにか言った……?」
「……今のは挨拶代わりだ、と」
悪意のありすぎる笑みを浮かべながら聞いてくる彼女に、俺は顔を反らして答えるしかなかった。
「ふーん♪」
どこか機嫌良く鼻を鳴らし、俺をにやりと見やってくる。
いけない。このままでは劣勢のままである。
反らした顔を彼女に向けて、俺は不敵な笑みを浮かべた。
「しかし、これが本気だと思ったら――だから人が喋ってる時に動かすのやめろおおぉぉぉぇふん」
動き出した魔膣の中は、魔物の巣窟のようであった。
例えるならば――スライムのようなものが刀身に絡みつき、身をもって聖剣の耐久力を下げ、そして、待ち構えていたオークのようなもの達が、聖剣にのしかかり、聖剣を押し潰して物理的に折ろうとしてくる。
そう、この魔膣の魔物たちは、凄まじいコンビネーションを発揮しているのだ。
「んはっ、くんっ♪ 気持ちっ、いい♪ いいのぉ、これっ♪」
しかし、俺もただやられるだけではない。
動き出した魔膣に合わせるように聖剣を振るい、襲いくるスライムやオーク達を薙ぎ払いながら奥深くへ突き進んでいく。
さらに、俺は魔膣の外からも進撃を開始する。
サキナの腰が跳ねる度に、揺れる双球に手を伸ばして侵略し、そして頂点に君臨する桃色の王者たちも攻略していく。
「んっくひぃ♪ 胸までいじられたらぁ、もっと気持ちよくなっちゃぅん♪♪」
危機を感じたのか、魔膣のスライムはより深くねっとりと聖剣に絡み付いてくる。さらに、オーク達も聖剣を圧迫する力が強くなる。
魔膣自体の動きも小刻みになり、聖剣も移り変わる状況に適応し、魔膣の動きに合わせていく。
「あっ、はっ、んっ、あっ、うそっ、あたし、もうっ♪♪」
「残念、だったなっ! 俺の方がっ、結構やばいっ!」
言いながら、片手を胸から離して親指を立てると、腰を振る動きに合わせて額を思いっきり叩かれた。理性も何もないと思えるほどにだらしない顔ではあるが、わりとそういう元気はあるらしい。
そうこうしている内に、とうとう聖剣が魔膣の奥深くまで辿り着いた。
そこにあったのは、壁。行き止まりである。
ここで終わりなのか……とオーク達やスライムの猛襲を受けながら、聖剣が折れかける。
しかし、何かあるはずである。試しに、聖剣で行き止まりの壁を体当たりしてみた。
「ぁっ、あっ、あっ♪ そこ、奥っ♪ 奥、いいのっ♪」
「おほぉはは! これが、ええのか! ええの、ぅ゛、か!」
思わぬ効果に俺は高揚を感じざるを得ない。思わず聖剣から魔力が飛び出すところだった。
魔物たちが動きを封じるように聖剣に強く抱きつき、魔窟の内部も大きく揺れ、収縮し始める。
中心点に小さな穴のような物があり、聖剣で隠された最奥へと進むために、絡みつくスライムやオークたちを振り払って、重点的に突きまくる。
「うひぁぁ♪ そこっ、弱いっ、かっ、らっ、めぇっ♪ あぁ、んっ、あっ、ぁっ、あ♪ あっ♪ ぁっ♪」
俺の聖なる突きが炸裂する度に、魔窟が狭くなり、魔物たちが聖剣に密集し始めた。
このままではジリ貧で聖剣が負けてしまう――そう考えた俺は、狭すぎる魔窟の中をわずかに引く。
そして、勢いよく壁に向かって鋭い突きを繰り出し、そのまま聖剣を押し込んだ。
「あっ、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ♪♪♪」
サキナが嬌声を上げ、身体を思いっきり反らした。差し出されるように突き出された豊満な乳房を握り潰すように力を込めて、さらに強い刺激を送ってやる。
一方、魔窟ではその先にあった小さな穴が開き、聖剣をさらに奥へと進められるが、壁自体がひどく収縮し、聖剣を強く圧迫してきていた。
「うっ、ぐぉぉぉぉぉぉ!」
さすがにオークやスライム達から猛攻を受けていた聖剣に、それに耐え切る力は無く、最後の足掻きに、と開かれた小さな穴の中に聖剣の魔力を吐き出した。
「んっはぁぁぁぁ♪♪ きてるっ♪ ナカにあっついのが、キてっ、ぁん♪♪」
魔力を吐き出す聖剣を、まるで勝利に喜ぶように、魔窟内でスライムやオーク、果てには壁までもが聖剣を蹂躙する。
スライムは相変わらず粘液体を絡みつかせ、オークはその体重で聖剣を押し潰し、魔窟は生き物のように蠕動した。
既に敗れた聖剣は、その動きに情けなく聖剣の魔力を吐き出し、ただの剣へと戻っていくだけである。
「うっふ、くぅ♪♪ あっは、イイわぁ♪ やっぱりこの瞬間、たまんない……うへへ♪」
さらにだらしなく恍惚の表情を浮かべるサキナを見ながら、俺は身体が脱力していくのを感じた。
やがて乳房を握っていた両手の力も抜け、地面に落ちていく。
残ったのは、むせ返るような性交の匂いと、二人の荒い息だった。
「くっ……さすがは……サキュバス、か……俺の、負けだ……」
「あ、まだ続いてたんだそれ」
「おい」
やっぱり途中から忘れてやがったか。俺の頑張りを無駄にしないで欲しい。
っていうか、結局イニシアチブ取られてんじゃねぇか。
思えば、何一つ希望通りいかなかった、世知辛い今回。
「あーでもまだ足りないわ。っていうかあなたのココもそう言ってるし」
「おぅふ、おぅふ、サキナさんすとっぽぅふ」
そう言いながら腰を揺らすサキナ。
あまりに名器過ぎるそこに、俺の折れた聖剣が再び加護を受けて修復され――もういいか。
「うっふふん、じゃあ今度はどうする? 今度は冒険者と魔物プレイでもする?」
「ほぅ、それはまた中々……ってあまり変わらなくね?」
サキナの提案に、口出ししてみるが、既に俺の意見はシャットアウトなご様子で。
「じゃあ、スタート♪ ぅん、くふぅ、あはぁ、良いわぁ、あなたの剣、とっても立派なのね♪」
「んほぉ、そこはよわいんですぅ! って、ここから!? ここからスタート!?」
俺の意志を無視してスタートされた新たなプレイは、既に俺にとって絶望的な状況からのスタートである。
その後、苦労の甲斐なく俺は同じようにイかされ、サキナも同様に絶頂する。
それでも、満足できない俺たちは再び別のシチュエーションで新たに始める。
俺たちのエンジョイプレイは、始まったばかりであった。
それは空も薄暗く、時たま付近をうろつく小さな黒い太陽がアヘアヘ言いながら周囲を黒く照らす、いつも通りの平和な一日のこと。
家でぐうたらしていた時、唐突にある事を思いつき、それが口に出ていた。
俺がそう言うと、ベッドでうつ伏せになりながら雑誌を読んでいたサキュバスのサキナがこちらを向く。
その顔は、なんとも言えない微妙な物だった。
「教団プレイ……教団プレイかー」
一度目は下を向いてその言葉を確認するように呟き、二度目には思案に耽るように天井を見つめながら呟いた。
反応は悪くない。
というかこういうエロ関係の言葉に対して、反応が悪かったことはないんだが。
「正確に言うと教団の勇者とサキュバスプレイ」
「相手はサキュバス限定なのね」
「サキュバスじゃなくてスライムとかラミアとかスキュラとかの方がよかった?」
「ごめん、あたしが間違ってた」
自分で言っておきながら、サキュバス以外もいいな……と思ったが、口に出すとサキナに問答無用で搾られそうだからやめておく。
「まぁ、面白そうだしたまにはいっかー」
「サンキューサッキュン!」
「あんたそれが言いたいだけでしょ」
ということで。
俺はとある民家の前にいる。ぶっちゃけると俺の家である。
右手には柔剣しゃもじ、左手には剛盾なべぶたを装備し、一度息を吐いた。
そして、自宅と言う民家の玄関扉に手をかける。
「おい魔物! ここに隠れている「スキあり!」のぶふぉ!」
扉を壊さない程度に力強く開けながら入ると、横からタックルを喰らい、そのまま押し倒される。
俺の剛柔な相棒達が手から離れ、ついでに意識も手放しそうになる。
しかし、意識だけは何とか引き戻すと、気付けば俺の上に跨るサキュバスがいた。
「ふふふ、見誤ったわね……あなたが来ることなど想定のうち……」
「ちょま」
そしてその目は既に獲物を如何に美味しくいただくかという、情欲に溢れた物で理性など微塵も感じられず。
「ちょ、ストっ、ストップ、ストーップ!」
サキナにとっては想定内でも、俺にとってこの展開は想定外であるので、思わずストップをかけてみるが。
「待ったは無しよ……これは食うか食われるかの戦い……あなたは運悪く食べられる側になっただけ――精的な意味で」
全く聞く耳は持たず、むしろ舌なめずりをしながら、俺のズボンに手をかけて聖剣チンポを取り出そうとしてきていたので。
「スタァァァップ! サッキュンスタァァァップ!!」
過去の人生でも現在の魔生でも、恐らくここまで本気になったことはないレベルのストップを発動した。
「……なによ。今すごい盛り上がってるのに。もう盛り上がりすぎてぐちょぐちょよ」
「おいやめろ腰を揺らすな」
本当にぐちょぐちょじゃねぇか。
その音だけで射精三回いける気がする。
「で、なにがご不満?」
「俺の思ってる教団と違う」
教団の勇者は、何というか、もっと強くて、(性的な意味で)救われなくちゃあならないんだ。
「それなら今のタックルは避けるべきだと思う」
「俺の本職は教団勇者じゃねぇから! そこんとこ理解しろ!」
元々勇者の「ゆ」の字もない、おまけに街の外にも出たことねぇ民間人だった。
インキュバスになって変わったのは、絶倫になったことぐらいだし。
「勇者になれば?」
「おま……俺に死ねと?」
俺っちったら、もう立派な魔物ですよ。
教団に行ったら「こんにちはしね!」になるのが目に見えすぎている。
「大体あたしら魔物からしたらさー、教団の人間にはスキ見せちゃだめなのよ。下手したら死ぬから」
「いや、だからプレイだっつってんだろうが」
なんでこいつは本気の教団とヤり合う気になってんの。
魔物たちが本気出したら、俺なんて押し倒されてアヘらされるという、幸せだが望んでいない未来しかない。
「なに、どうして欲しいの?」
「率直に言うと俺にイニシアチブを取らせろ」
「なんだ、そういうことかー。なら実力で奪い取ってみなさい。それが魔物たちの掟。言ったでしょ――これは食うか食われるか、なのよ」
「あ、あねごぉ……」
イケ女なサキナさんに一生付いて行きたくなるが、既に俺達は一生モンだった。
「ってそうじゃなくてさ」
とりあえず俺の上から退いてもらって、相対しながらこちらの要望を提示してみる。
「サキナが教団に捕まって、捕まえられた勇者に拷問をかけられる、みたいなシチュがやりたいんだ」
「ほほぉ?」
「『さぁ……魔王の居場所を吐け……吐かないなら俺の聖剣がお前を貫くぞ……』みたいな」
そう言いながら、俺は腰をクイクイッと動かす。
「なにその性剣」
「こんな感じでいかがでしょう」
「うーん、まいっかー。で、あたしはどうすればいいの?」
「そうだなぁ……」
とある俺ん家にある地下に降りると、そこには両手を縄で拘束され、壁際の手すりに括りつけられているサキュバスの姿を見つける。
身に着けていた衣服は脱がされ、さらに全身に水をかけられていた。まさに濡れ鼠でひどくみずぼらしい姿である。
明るかった青いセミロングの髪は水を吸ったせいか、それとも地下という場所のせいか、いつもよりも幾分か暗く見えた。
ここでの囚われの生活が相当長かったのか、青紫の翼と尻尾が、力なく垂れている。
拘束している縄はただの縄ではなく、あらゆる魔法の発動を封印する聖なる魔力が宿っている。恐らく最上位種族リリムですらこの縄に縛られた状態で魔法を使う事は困難だろう。
リリムよりも下位の種族であるサキュバスであれば、なおさらだ。
「……久しぶりだな、サキュバス。ここで会ったが百年目。教団上層部の意向により、お前を処刑することになった」
俺の言葉に、彼女が俯いていた顔を上げる。
その双眸にはわずかではあるが、未だに意志が宿っていて、完全に屈服したわけではないことを視線のみで訴える。
「そう……そしてあたしを処刑するのが、勇者さまのあなた様……てことね」
そう言っておどける彼女の言葉には、元気が無理をしているように感じられた。
事実、無理をしているのだろう。先ほども言ったが、その翼と尻尾は力なく垂れていることが何よりの証拠である。
「さぁ、年貢の納め時だ、サキュバス。冥土の土産に、俺の聖剣で貴様を貫いてやろう」
そう言いながら、俺は股間に隠していた聖剣を取り出す。
既に俺の内に秘めた聖なる力でその刃は研ぎ澄まされ、天を向いていた。
この聖なる剣の凄さを、目の前の愚かなサキュバスに見せつけるために、俺は腰をクイクイッと動かして素振りをする。
「うっ、すごい……これが勇者の性剣っ!」
純真無垢な透明色の魔力を撒き散らす俺の剣に、サキュバスを既に弱り始めていた。
顔を上気させ、荒い息を吐きながらも、剣からは目をそらさない。
「ふむ、俺の聖剣の魔力を間近に受けながらも目を反らさぬその気丈な精神、評価してやろう!」
「はぁはぁ、すごい匂い……はっ、ありがとう。この程度で屈するあたしではないわよ」
「ほう……ならば特別に、まず最初に貴様のどの部位をこの聖剣で貫かれたいか選ぶ権利をやろう」
気丈な精神を持っているのは確かだが、やはり中身は魔物の魔力で満たされていることには変わりない。
相変わらず聖剣から目をそらすことはないが、既に口は半開きで涎が零れ落ち、瞼はわずかに閉じられ、顔はさきほどよりも紅く染まっている。
貫かれる場所を選択させたが、果たしてその理性は存在しているかどうか……。
「そうね……まずは、口から貫いてもらおうかしら」
一度唾を飲み込んだあと、サキュバスは答える。
どうやら思っていた以上に、不屈の精神を持っているようだ。
「ほう、口からとは、まさか俺から聖剣の魔力を吸い出すつもりか」
「ふふふ……サキュバスを甘く見ないことね、吸い尽くしてあげるわ」
不敵に笑うサキュバスは俺は腰の聖剣をサキュバスの口元に持っていく。
やってみるものはやってみろ、と言う挑発でもあった。
「んふ……はぁむっ、じゅるっちゅむっ」
サキュバスは一度笑ってから、果敢にも自ら聖剣にしゃぶりついてきた。
「ぬ……!」
口内の粘膜だけでなく、舌も使って聖剣の切っ先を丹念に舐めほじっていく。
その慣れた口術に、俺は少しだけうめき声をあげた。
こいつは、聖剣を口で扱う方法を心得ているのだ。
さすが、リリムより下位とは言え、魔物全体で見れば上位の淫魔と言えるだけはある。
「ちゅるっ、んぐっ、じゅぶっ、んじゅるっ」
聖剣を深く咥えこみ、切っ先だけでなく刀身全てを余す事無く舐めていく。
その様はまるで聖剣を包む穢れを落とし、聖剣をさらに強大な刀身へと進化させていくような、心地の良い舌使いだった。
とても聖剣の魔力を吸い尽くすような動きではないが、これもサキュバスの手口の一つかもしれない。俺もこのままやられっぱなしでいくわけにはいかない。
「ぢゅ、ちゅるっ、じゅぶぶっ、じゅるるるるるるぅっ!」
「ふん、中々やるなサキュバう゛っ!」
穢れを落とされ剥き出しとなった聖剣を、突然強くバキュームされ、俺は話す途中ながらも、危機を感じて浄化の魔力を吐き出した。
「んぶぅ! んっ、んぐぐっ、んぐむっごくんっ!」
激しい勢いで出される浄化の魔力。
意識が朦朧としかけ、身体の力が抜ける。
地面に倒れないように、サキュバスが背にしている壁に、上半身を預けた。
「ごくっ、こくっ、んくっ、ぢゅるるるるるるっ!」
「……っ!」
それでも構わず、サキュバスは嚥下しながらも口淫を続け、魔力を根こそぎ搾り取ろうとしている。
魔力を出し尽くしても、サキュバスは名残惜しげに緩く口淫を続けていたが、やがて諦めて聖剣から口を離した。
「ふぅ……ふはは、ばか正直に飲みおったなこのばか……ばかサキュ……ばきゅば……愚かなサキュバスがっ!」
ばかとサキュバスを合わせた言葉を作ろうと思ったがうまくできなかったので妥協する。
「はぁ、はぁ……もう我慢できないぃ……♪」
というか、目の前のサキュバスの耳には届いていなさそうだった。
俺の聖剣から放たれた浄化の魔力が、予想以上に彼女の身体を侵食しているようだ。
「今聖剣から放ったのは聖剣の魔力ではなく浄化のまりょ――」
――ぶちぃ!
俺が話している途中でサキナが思いっきり身体を前に倒し、両腕を拘束していた縄を引き千切った。
「なにぃぃぃぃぃ!?」
思わず目玉が飛び出しそうな光景に叫んでしまう。
そして、俺は叫びながら彼女に押し倒された。
リリムですら破れないはずの縄をブチ抜くのは、反則が過ぎるだろう。
しかし、俺がこの事に対して何を言ったところで、今サキナに押し倒されている状況に変わりはないのだ。
「くっそ、形成逆転か……!」
「はぁ、はぁ……あなたの性剣の魔力、あたしのナカで直接吸い取ってあげるわ……♪」
押し倒した俺の腰に馬乗りになるサキナが、淫靡に表情を歪めながら言う。
恐らく理性など欠片ほどしか残っていないと思うが、俺の股間にあるものを聖剣と呼んでくれる彼女には感服した。我慢できないとか言っていたことは……聞かなかったことにしよう。
いや、それよりも……どうやら彼女は本気で、俺の聖剣の魔力を奪いにくるようだ。
「いいだろう……俺もどうせ貴様の魔膣にこの聖剣を貫くつもりでいた。ヤれるものならヤってみろ!」
できることなら、尻を向かせた状態で貫いてやりたかったが、致し方あるまい。
結果的に聖剣がサキュバスの魔膣を貫くことに変わりはないのだから。
「はぁはぁ、あたしの魔膣とあなたの聖剣、どっちが勝つか…………めんどくさいからもう挿入れるわね」
「めんどくさいとか言うのっほぉぉぉぉぉ!!」
「あっはぁぁぁぁぁ♪♪」
俺が言葉で突っ込んでる間に、熱い魔膣に聖剣を突っ込まれて、変な声が出た。
しかも、俺の聖剣との対決を喜ぶように魔膣は中で痙攣するように激しく収縮している。
「ってお前……早速イッてんじゃ――あっ」
「ひっああぁぁぁぁぁ♪♪」
そして俺の聖剣も呼応するように、白い魔力を魔膣にぶちまけた。
たとえ魔物と言えど、相手に対する礼儀を忘れてはならない。
今のはいわゆる、開戦前の礼のようなものである。
それだけではない。これによって、相手の実力を測れるのである。
先ほどの結果から――俺とこいつの実力は、互角。
「はぁ、あぁん♪ ずっと焦らされてたから、入れただけでイッちゃったわ……それよりも……」
互いに礼儀を払い終わったあと、恍惚な表情のサキナが色っぽい吐息の後、こちらに身体を寄せて、顔を近づけてくる。
「ナカであっつぅいのが来てたけど、なにか言った……?」
「……今のは挨拶代わりだ、と」
悪意のありすぎる笑みを浮かべながら聞いてくる彼女に、俺は顔を反らして答えるしかなかった。
「ふーん♪」
どこか機嫌良く鼻を鳴らし、俺をにやりと見やってくる。
いけない。このままでは劣勢のままである。
反らした顔を彼女に向けて、俺は不敵な笑みを浮かべた。
「しかし、これが本気だと思ったら――だから人が喋ってる時に動かすのやめろおおぉぉぉぇふん」
動き出した魔膣の中は、魔物の巣窟のようであった。
例えるならば――スライムのようなものが刀身に絡みつき、身をもって聖剣の耐久力を下げ、そして、待ち構えていたオークのようなもの達が、聖剣にのしかかり、聖剣を押し潰して物理的に折ろうとしてくる。
そう、この魔膣の魔物たちは、凄まじいコンビネーションを発揮しているのだ。
「んはっ、くんっ♪ 気持ちっ、いい♪ いいのぉ、これっ♪」
しかし、俺もただやられるだけではない。
動き出した魔膣に合わせるように聖剣を振るい、襲いくるスライムやオーク達を薙ぎ払いながら奥深くへ突き進んでいく。
さらに、俺は魔膣の外からも進撃を開始する。
サキナの腰が跳ねる度に、揺れる双球に手を伸ばして侵略し、そして頂点に君臨する桃色の王者たちも攻略していく。
「んっくひぃ♪ 胸までいじられたらぁ、もっと気持ちよくなっちゃぅん♪♪」
危機を感じたのか、魔膣のスライムはより深くねっとりと聖剣に絡み付いてくる。さらに、オーク達も聖剣を圧迫する力が強くなる。
魔膣自体の動きも小刻みになり、聖剣も移り変わる状況に適応し、魔膣の動きに合わせていく。
「あっ、はっ、んっ、あっ、うそっ、あたし、もうっ♪♪」
「残念、だったなっ! 俺の方がっ、結構やばいっ!」
言いながら、片手を胸から離して親指を立てると、腰を振る動きに合わせて額を思いっきり叩かれた。理性も何もないと思えるほどにだらしない顔ではあるが、わりとそういう元気はあるらしい。
そうこうしている内に、とうとう聖剣が魔膣の奥深くまで辿り着いた。
そこにあったのは、壁。行き止まりである。
ここで終わりなのか……とオーク達やスライムの猛襲を受けながら、聖剣が折れかける。
しかし、何かあるはずである。試しに、聖剣で行き止まりの壁を体当たりしてみた。
「ぁっ、あっ、あっ♪ そこ、奥っ♪ 奥、いいのっ♪」
「おほぉはは! これが、ええのか! ええの、ぅ゛、か!」
思わぬ効果に俺は高揚を感じざるを得ない。思わず聖剣から魔力が飛び出すところだった。
魔物たちが動きを封じるように聖剣に強く抱きつき、魔窟の内部も大きく揺れ、収縮し始める。
中心点に小さな穴のような物があり、聖剣で隠された最奥へと進むために、絡みつくスライムやオークたちを振り払って、重点的に突きまくる。
「うひぁぁ♪ そこっ、弱いっ、かっ、らっ、めぇっ♪ あぁ、んっ、あっ、ぁっ、あ♪ あっ♪ ぁっ♪」
俺の聖なる突きが炸裂する度に、魔窟が狭くなり、魔物たちが聖剣に密集し始めた。
このままではジリ貧で聖剣が負けてしまう――そう考えた俺は、狭すぎる魔窟の中をわずかに引く。
そして、勢いよく壁に向かって鋭い突きを繰り出し、そのまま聖剣を押し込んだ。
「あっ、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ♪♪♪」
サキナが嬌声を上げ、身体を思いっきり反らした。差し出されるように突き出された豊満な乳房を握り潰すように力を込めて、さらに強い刺激を送ってやる。
一方、魔窟ではその先にあった小さな穴が開き、聖剣をさらに奥へと進められるが、壁自体がひどく収縮し、聖剣を強く圧迫してきていた。
「うっ、ぐぉぉぉぉぉぉ!」
さすがにオークやスライム達から猛攻を受けていた聖剣に、それに耐え切る力は無く、最後の足掻きに、と開かれた小さな穴の中に聖剣の魔力を吐き出した。
「んっはぁぁぁぁ♪♪ きてるっ♪ ナカにあっついのが、キてっ、ぁん♪♪」
魔力を吐き出す聖剣を、まるで勝利に喜ぶように、魔窟内でスライムやオーク、果てには壁までもが聖剣を蹂躙する。
スライムは相変わらず粘液体を絡みつかせ、オークはその体重で聖剣を押し潰し、魔窟は生き物のように蠕動した。
既に敗れた聖剣は、その動きに情けなく聖剣の魔力を吐き出し、ただの剣へと戻っていくだけである。
「うっふ、くぅ♪♪ あっは、イイわぁ♪ やっぱりこの瞬間、たまんない……うへへ♪」
さらにだらしなく恍惚の表情を浮かべるサキナを見ながら、俺は身体が脱力していくのを感じた。
やがて乳房を握っていた両手の力も抜け、地面に落ちていく。
残ったのは、むせ返るような性交の匂いと、二人の荒い息だった。
「くっ……さすがは……サキュバス、か……俺の、負けだ……」
「あ、まだ続いてたんだそれ」
「おい」
やっぱり途中から忘れてやがったか。俺の頑張りを無駄にしないで欲しい。
っていうか、結局イニシアチブ取られてんじゃねぇか。
思えば、何一つ希望通りいかなかった、世知辛い今回。
「あーでもまだ足りないわ。っていうかあなたのココもそう言ってるし」
「おぅふ、おぅふ、サキナさんすとっぽぅふ」
そう言いながら腰を揺らすサキナ。
あまりに名器過ぎるそこに、俺の折れた聖剣が再び加護を受けて修復され――もういいか。
「うっふふん、じゃあ今度はどうする? 今度は冒険者と魔物プレイでもする?」
「ほぅ、それはまた中々……ってあまり変わらなくね?」
サキナの提案に、口出ししてみるが、既に俺の意見はシャットアウトなご様子で。
「じゃあ、スタート♪ ぅん、くふぅ、あはぁ、良いわぁ、あなたの剣、とっても立派なのね♪」
「んほぉ、そこはよわいんですぅ! って、ここから!? ここからスタート!?」
俺の意志を無視してスタートされた新たなプレイは、既に俺にとって絶望的な状況からのスタートである。
その後、苦労の甲斐なく俺は同じようにイかされ、サキナも同様に絶頂する。
それでも、満足できない俺たちは再び別のシチュエーションで新たに始める。
俺たちのエンジョイプレイは、始まったばかりであった。
13/10/02 00:12更新 / edisni