読切小説
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アルとマティのWAY 第二話「いつも人に頼っているからこういうことになるのだ」
相変わらずその遺跡は、その一部分が地中から露出していた。
風雨に晒されて崩れた外壁から、俺たちは侵入する。
遺跡に入り込んだ俺を迎えたのは、左右に伸びる石造りの回廊だった。
一方をちらりと確認すると、俺は一歩一歩足元を確かめながらもう一方へ通路を進んでいった。
外壁に穴が開いていたせいか、石畳や壁面には苔が生えている。
おかげで石畳に設けられたトラップを見抜くのが困難になっているが、問題は無い。
既に何度も調査した事のある遺跡だからだ。
むしろ、野良モンスターが住み着いている可能性がある。
「入り口付近には何もいなかったんだよな、マティ?」
『うん、次の角まで何もね』
俺の傍らをふわふわと浮かんで移動する少女、マティアータが俺の問いに応えた。
年の頃は俺と同じぐらいだが、彼女は衣服や髪はおろかその肌までが見事に真っ白だった。
そしてスカートの裾から覗くべき二本の足は、煙のようにぼんやりとした塊になっている。
そう、彼女はゴースト。即ち幽霊である。
彼女は俺が物心ついた頃から俺に取り付いており、なぜか自身に関する記憶を一切持っていなかった。
そこで俺は彼女の記憶を取り戻し、その魂を天に還すべく旅をしているのだ。
『あー、それとこの通路この先で左右に分かれてるけど、今度はどうする?』
「いつもと同じだ。二手に分かれよう」
前回と同じような段取りでの調査法を確認すると、俺たちは遺跡の奥へと歩んで行った。






二日前のことだった。
「月の三賢人?」
「あぁ」
久々に会った仕事仲介者の男は、遺跡調査の依頼を俺に斡旋した後、雑談の一環でその名を口にした。
「月の、って何のことだよ」
「知らん」
男は何の面白みも無い答えを返した。
「なんでも数年前にこの国の東の方の小さな村に突然住み着いた三人組らしくてな。村人の信頼を得るために色々やって見せたそうだ」
最近の依頼を束ねた紙束を整えながら、彼はそう続けた。
「へえ、色々ねぇ・・・モンスターでも退治して見せたのか?それとも雨乞いとか?」
その辺の魔術師でも出来そうなことを俺は挙げてみた。
恐らく連中の正体は、素朴な村人を騙す魔術師か何かなのだろう。
そう俺は踏んでいた。
「いんや。どうやら詐欺師じゃないらしい。俺の聞いた話じゃ、一度で井戸を掘り当てたそうだ」
「一度で!?」
普通井戸掘りというものは経験と勘が必要だ。
しかも井戸掘りの名人といえども、見知らぬ土地では一度で井戸を掘り当てるというのは不可能に近い。
その土地の精霊に水源のありかを聞き出さぬ限りは。
「そいつら、精霊と対話できるのか?」
「かもしれん」
精霊と対話できるレベルの高位の魔術師が、わざわざ辺境の村人を騙す理由が思いつかない。
「もしかしたらお前さんの幽霊とも会話できるかもな」
「だったら助かるんだけどね・・・」
「先立つものが無い、ってか?」
「ああ」
男の言葉に、俺は応じた。
方角ぐらいしか分からないような目的地に向かうには、それなりの準備が必要だ。
勿論道中で訪れた町で依頼をこなし、路銀を稼ぐという方法もある。
しかし、それでは目的地に着くまでいつまで掛かるか分からない。
だが、男は俺の沈んだ返答に笑みを浮かべると、手元の紙束から一枚の紙を取り出した。
「実は近いうちに東の方へ向かう隊商があるんだ」
そう言いながら彼は依頼書を俺に差し出してきた。
「今のうちなら何か理由をつけてでお前をねじ込めるが・・・どうする?」
「うーん・・・」
俺は低くうめいた。
確かにこれなら旅費も掛からず東へ行けるが、依頼書に示された金額は相場より低い。
これなら普通に道中で稼ぎながら東へ向かった方がましだ。
だが、俺にはマティがいた。
「・・・・・・よし、頼む」
「了解。荷物運びか何かでねじ込んでおく」
男は軽く笑みを浮かべると、依頼書に顔を伏せ何事かを記していった。
「ところでアルよ」
「何だ?」
「今もお前さんの幽霊とやらは見えてるのか?」
辺りを確認するが姿は見えない。
「いんや。多分散歩でもしてるんだろ」
「そうか・・・早く治るといいな」
その言葉に微かな憐れみを感じたが、気のせいだろう。






小さなランタンを掲げ、俺は淡々と通路を進んでいた。
遺跡の奥のためか苔などは生えておらず、むき出しの遺跡の壁が俺を挟んでいる。時折見える壁に穿たれた小さな穴は、照明器具を支えるためのものっ立ったのだろう。
既にマティとは分かれており、一人だった。
数度入ったことのある遺跡の上、手元には地図もあるため迷うことは無い。
それより恐ろしいのは、遺跡に住み着いた盗賊や崩落である。
崩落箇所や居住者を発見すれば褒賞は上がるが、出来れば勘弁したいところだった。
なぜなら俺は、腕に自信はほとんど無いのだ。
腰に下げている剣も威嚇といざという時のための換金用でしか無いし、いくつか持っているナイフも何の役にも立たないだろう。
そんな俺がここまで生きながらえることが出来たのは、ほとんどマティのおかげだといえる。
彼女の姿が他の人間から見えないため、彼女が先回りして危険を俺に教えてくれるのだ。
だというのに、俺はいつもその事実を忘れており、独りぼっちになってからようやく彼女の重要性を思い出すのだ。
「あーあ・・・仕事終わったらもう少し優しくしてやるか・・・」
寂しさを紛らわすため、俺は闇の中でそう呟いた。
無論、忘れるのだろうが。
「しっかしこの遺跡も何度目だ・・・?四・・・五度目か」
独白を続けながら通路を確認していく。
問題ない。
「俺以外の連中も何度も入ってるから、ほとんど罠は解除されちまってるし」
何の用心も無く、どんどん通路を進む。
「今更未発見のトラップが発動、なんてことは」
踏み出した足の下で、靴越しにカチリ、という小さな振動が生じた。
「ない」
直後床が大きく開き、俺の真下にぽっかりと穴が開く。
「よ」
とっさに何か身体を支えるものを探すが、見つからない。
覚悟を決める以外、何も俺には出来なかった。
「な」
意外と冷静な意識を保ったまま、俺は落下していった。






闇の中、それは周囲の認識を再開した。
施設の点検のため時折起動する以外では、久々の緊急起動である。
「・・・・・・」
無言のまま自身を確認し、施設のどこから緊急信号が放たれたかを確認する。
そして直後、それの向かう先は決まった。
「地下二階、第六区画」
ざらついた音声と共に、それは動き出した。






「あだだだだ・・・」
強く打ち付けた尻を撫で回しながら、俺はやっとのことで落下の衝撃を受け止めてくれた物体から降りた。
それは天井に開いた穴の真下に置かれた黒い枯れ草の塊で、まるで落下してきたものを受けてめるかのように備えられていた。
「あーあ・・・全く、何だこりゃ・・・」
俺を受け止めた枯れ草と、天井に開いた穴を見比べながらそう呟く。
先程の通路は今までに何度も通ったものだ。
それがまさかたまたま残っていた罠に引っかかるとは・・・。
「全く、ついてねえな・・・」
溜息をつくと、俺は地図を広げた。
床から天井までの高さからおおよその深さを割り出し、今時分が地図上のどこにいるのかを確認する。
「えー、さっき通っていたのがここだから・・・」
紙面をなぞり、今いる部屋の広さと照らし合わせながら、俺は位置を推理する。
程無くして、地図上の一点で俺の指が止まった。
「・・・ここか」
そこは、地下二階の通路の脇にある空白部分であった。
思い返してみても扉などは無かったから、侵入者を捕らえるための隠し部屋のようなものなのだろう。
「どーすっかな・・・」
天井の穴と、部屋の壁に刻まれた扉型の線を見比べながら悩む。
天井の穴から脱出するには足場になりそうなものは無いし、穴の真下の枯れ草の山のせいでフック付きのロープを投げるのも難しい。
かと言って壁に刻まれた扉と思われる箇所には、ノブもとっても着いていないせいで開け方も分からない。
「・・・とりあえず、マティだよりかなあ・・・」
幽霊少女がいち早く察知してくれるのを祈りながら、俺は床に座り込んだ。






それは通路を進んでいた。
施設の人員の行き来が優先されるため、いつ目的地にたどり着けるかは分からなかったが、幸い通路に人の姿は無かった。
緊急起動からそう時間をかけることなく、彼女は目的地の前で足を止めた。
「・・・・・・」
位置を確認すると、それは腕を上げた。






不意に、重い音が部屋の中に響いた。
反射的に立ち上がり、音の出元に身を向けると、扉の形を刻まれた壁がこちらに向かってせり出しつつあった。
そして壁一枚の厚さだけせり出すと、扉は横にずれて開いた。
通路と隠し部屋が繋がり、扉を開けていた者の姿がランタンの灯りに照らし出された。
それは二十代ほどの女だった。
すらりとした身体に面積の小さい布のようなものを纏った、整った顔立ちの女だ。
だが、彫像のように微動だにしない髪や土の色をした肌、そしてその身体の所々に張り付く石組みの部品が、彼女が人間ではないことを示していた。
「やばい・・・ゴーレムだ・・・」
彼女の正体を、俺は呆然と呟いていた。
ゴーレム。様々な目的の下に生み出される人造の生物である。
恐らく彼女の仕事は遺跡の守護。
そうなれば俺の運命は唯一つだ。
「目標を確認、確保します」
「うわああああ!うわああああ!」
ざらついた声と共にこちらに向かって歩き始めたゴーレムから逃れようと、俺は部屋の隅に走りよって必死に壁に張り付いた。
だが彼女は構わずのっしのっしと歩み寄ってくる。
「うわああああ!来るなあああ!」
威嚇の大声を上げながら壁の方を向き、僅かな凹凸に指をかけて壁を登ろうとする。
無論無理だ。
「目標を確保。第十二区画に連行します」
「うぎゃあああああ!」
肩に乗せられたゴーレムの手に、俺は反射的に声を上げた。
「殺されるうううう!全身粉々にされるううう!」
彼女は絶叫する俺をひょいと抱え上げると、そのまま部屋から連れ出した。
そして手を開いていた扉に伸ばすと、その表面に穿たれた穴に指を差し入れ、扉を閉ざした。
後には見分けもつかないほど綺麗な壁面だけが残った。
「はーなーせー!いやだぁぁぁあああ!」
「暴れないで下さい、危険です」
逃れようと手足を振り回す俺を抱えなおしながら、ゴーレムはずんずん通路を進んでいった。
「わー!わーわー!!」
「・・・・・・」
粉袋でも担ぐかのように俺を担いだまま、通路を進み角を曲がっていく。
そして、とある通路で彼女は足を止めた。
再び俺の耳を、あの重い音が打つ。
どうやら別な隠し部屋に運ばれたようだ。
「第十二区画に、到着」
ゴーレムは扉を閉ざすとそう呟き、俺をそっと床の上に降ろした。
部屋の中には壁に立てかけられた大きな棺桶のような箱と、直方体の形に切り出された岩しかなかった。
「うわあうわあ・・・」
「落ち着いて、下さい」
床には降ろしたものの、俺の身体を掴んだままゴーレムが低い声でゆっくりと言った。
「私は、あなたに、危害を加えません」
「あわわわわ・・・って、え?」
彼女の言葉に、俺の意識が突然醒めた。
「あなたが落ちたのは、対侵入者用の捕獲罠です」
俺を安心させるように彼女は説明を連ねていく。
「通常施設入り口の罠が起動してから、施設内の罠が起動するのですが、何らかの原因により入り口の罠が誤作動したようです」
「誤作動って・・・」
「入り口の開閉記録がないので、罠の誤作動と考えられます」
「・・・・・・」
考えてみれば、俺たちが出入りしていたのは遺跡の途中に開いた穴だった。
本物の出入り口を使っていなかったので、今までトラップが作動しなかったらしい。
先人達がこの遺跡の罠を無事解除できたのは、そもそも起動していなかったからなのか。
「それでは、私の補給の後、あなたを解放します」
ある種情けない思いに囚われていた俺の耳に、妙な単語が入った。
補給?
「なあ・・・って!なぜ脱ぐ!」
疑問を放とうとした矢先、いつの間にか胸元を覆う布を脱ぎつつあったゴーレムに、俺は怒鳴っていた。
「なぜ・・・・補給のためですが?」
平坦な声音に無表情で、乳首も何もついていないつるりとした乳房を晒しながら応える。
そこには何を言っているんだ、と言わんばかりの疑問が混ざっていた。
「・・・なあ、補給ってのは・・・」
「勿論、精液の提供です。あなたが女性であればすぐに解放していたのですが」
ゴーレムの意味の無い仮定に溜息をつくと、俺はちらりと扉の方を見た。
底にあるのは壁に刻まれた線と、穿たれた小さな穴。
少なくとも俺の力で開閉できる代物ではない。
「分かった・・・」
「ご協力、感謝します」
彼女は短く礼を言うと、腰周りを隠す布に指を伸ばした。
屈んだ拍子に、彼女の乳房が大きく揺れた。
「それでは、あちらの椅子にどうぞ」
部屋の片隅に置かれた岩を彼女が示す。
俺は言われるがまま岩に腰を下ろした。
「後は、私に任せて下さい」
意外と座り心地の良い岩の前に屈み込みつつ、彼女は俺のズボンに手を伸ばした。
直後、彼女の裸体を眼にしたことで半勃ちになった肉棒が、部屋の空気に晒される。
「失礼、します」
そう言うと、ゴーレムは何のためらいも無く俺の肉棒を咥えた。
生温かい、ぬるりとした感触がペニスを包み込んだ。
彼女の口内は単に泥が詰まっていただけで、舌や襞があるわけではない。
だが、泥は適度な温もりと柔らかさと粘りを湛えており、まさにペニスに絡み付いてくるようだった。
「うぉ・・・」
予想以上の感触に、俺は声を漏らしていた。
「・・・・・・」
ゴーレムは俺の反応を気にかけるわけでもなく、ただ肉棒を根元まで頬張っているだけだった。
しかし口内では、その静かな外見とは真逆の動きが起こっていた。
ペニスに絡みつく泥が、うねり始めたのだ。
肉棒を中心とする渦を描くように、きめ細やかな泥がゆっくりとうねっていく。
ペニスの表面を泥の細かな粒子が擦り、柔らかな心地よさが股間から這い登ってくる。
次第に熱を帯びていく泥と相まって、俺は肉棒が溶けて行くような快感を味わっていた。
「ぐぉ・・・おぉ・・・!」
反射的に快感を堪えようと全身が強張り、うめき声が漏れていく。
だが、絡みつく泥はそんな些細な俺の努力をあざ笑うかのように、着実に俺を追い詰めつつあった。
泥の熱が体温を追い越し、泥のうねりがペニスを嫐る。
そして、俺の意識がはじけた。
「・・・っ・・・!」
食いしばった歯の間から息が漏れ、直後全身を震わせながら俺は射精していた。
「・・・・・・」
ゴーレムは無言のまま、渦巻く泥で精液を受け止めていく。
そして、かなり多めの精液が迸ったところでようやく射精が終わった。
「っはぁはぁ・・・」
「・・・・・・お疲れさまです」
ペニスから口を離すと、全身を脱力させ荒く息をつく俺に向けて、彼女はそう言った。
「おかげさまで、かなり補給できました。ご協力感謝いたします」
「あぁ、それじゃあ・・・」
「次はこちらで補給させていただきます」
「・・・・・・は・・・?」
立ち上がりながら自身の股間を弄り始めたゴーレムの言葉に、俺は呆けた声を上げていた。
「いや待て、補給できました、って・・・」
「はい、かなりの分量を補給できました。ですが次の補給が未定ですので、出来るだけ蓄えておこうと」
指先を股間に埋め、ぐりぐりと動かしながら彼女は応える。
確かに考えてみれば、彼女は今の今まで発見されなかったゴーレムだ。
次の待機期間に備えておくのは当然のことだと言える。
「ご理解いただけましたか?」
「ああ分かった分かった、分かりましたよ!」
ここで拒絶したところで、脱出方法は無いのだ。
大人しく従った方が良い。
「さあ、好きにしろ」
彼女を迎えるかのように両腕を広げながら、俺はそう言った。
「ありがとうございます」
彼女はそう礼を言うと、股間に伸ばしていた手を離し、大きく足を開いて俺のひざの上に跨った。
彼女の股間は無論一本の陰毛も無かったが、つるりとした何も無い造りになっていた。
だがそこには、丁度亀頭が収まるほどの幅と深さの穴が開いていた。
彼女は手を伸ばして俺のペニスをやさしく掴むと、軽くその穴に亀頭をあてがった。
「それでは、失礼します」
直後、ゆっくりと足を曲げ腰を下ろし始める。
次第に亀頭が穴の中にもぐりこんで行き、やがて穴のそこに先端が当たった。
だが、それでもゴーレムは屈みつづけた。
肉棒が彼女の胎内の泥を掻き分けながら、奥へ奥へと埋まっていく。
生温かく滑らかな泥が、うねりながら次第にペニスに絡み付いていく。
「うぁぁ・・・」
口中のものより遥かに柔軟に蠢動する泥に、俺は声を漏らす。
やがて俺のペニスが根元まで泥の中に埋まり、彼女の太腿が俺の太腿と触れ合った。
「挿入完了しました」
そう言いながら彼女は、自身を支えるためか抱きつくように俺の背中に腕を回す。
つるりとした乳房が俺の眼前に寄せられた。
「以降、私の貯蓄器が満タンになるまで射精していただきます」
淡々とした言葉と共に、泥のうねりがその激しさを増した。
ペニスを中心とする泥の渦が、容赦なく肉棒を翻弄する。
「っ!!」
口中のそれを遥かに上回る刺激と快感に、俺は彼女の腕の中で小さく仰け反った。
すると俺の動きにあわせるように、泥のうねりが少しだけ変化する。
亀頭に絡みつき、纏わりつく泥。
カリ首をなぞり、擦っていく泥。
竿を撫でさすり、くすぐっていく泥。
泥が、泥が、泥が、俺を追い詰めていく。
「ぐ・・・!う・・・っ・・・!」
程無く限界が訪れ、うねる泥の渦の中へ向けて精液が迸っていく。
射精を受けるやいなや亀頭を包む泥のうねりが変化し、注がれた白濁を吸い上げていった。
亀頭に吸い付く泥の感触に、絶頂が引き伸ばされていく。
「うぐ・・・あぁ・・・!」
やがて射精の勢いが収まっていくが、それを感知したのか泥の動きが変わった。
ペニスを中心とする渦の動きから、ペニスの根元から先への流れるような動きへと変化したのだ。
泥のうねりが生み出す快感が変わり、再び興奮が高まっていく。
そして、俺は三度目の射精に至っていた。
「あが・・・あぁ・・・!」
「暴れないで下さい。危険です」
連続する絶頂により痙攣を始めた俺の身体を押さえるためか、ゴーレムが俺を抱き寄せる。
つるりとした乳房が俺の顔を柔らかく受け止めた。
反射的に彼女の背中に手を回すと、妙な安心感が俺を包んでいく。
だが、快感は変わらない。
俺は彼女の腕の中で身悶えしながら、精液を放ち続けていた。
根元から亀頭へと流れていた泥の動きが逆転し、今度は延々泥に地震を埋めていくような錯覚を覚える。
やがて泥の動きが止まり、直後ペニスを中心とする渦が再び巻き始める。
射精の勢いが衰えれば刺激が変わり、刺激が変わることで射精が続く。
延々と続く射精が、俺の意識を次第に削っていく。
そして
「うあ・・・・・・あぁ・・・・・・」
俺の意識は
「ぁ・・・・・・・」
薄れて
「・・・・・・・・・」
消えた。





「ご協力、ありがとうございました」








数日後、俺は街道を進む隊商の荷馬車の一つに乗っていた。
『いーざすーすーめーやー馬車ー めーざすーはーひーがーしー』
荷馬車の幌の上から覗く、ぶらぶらと揺れる二本の足と共にマティの適当な歌が聞こえる。
あの後俺は、失神したまま遺跡の通路に放置されていた。
すぐ側の壁に小さな穴が開いていたことから、恐らくあの隠し部屋の前だったのだろう。
しかし俺には扉を開く手段は無いし、マティに頼んで中を見てもらうには気が引けた。
そもそも何と言えばいいのだろう?

「いやあ、生き残ってた罠に引っかかって、警備のゴーレムにこってり搾られたよ、二重の意味でね!HAHAHA!」

言えるわけが無い。
と言うわけで俺はその後手早く遺跡のチェックを済ませると、待ちくたびれた幽霊少女のいる待ち合わせ場所へ急いだのだった。
勿論、あのゴーレムの存在は報告していない。
それに報告したところで、中央の調査団がやってきて研究のために解体するのだ。
恐らく彼女は、入り口の罠が作動しない限りあの部屋で眠り続けているのだろう。
だと言うのなら、そっと眠らせておいてやった方が彼女のためだ。
別に知り合いに知られるのが恥ずかしいと言うわけではない。
「・・・・・・」
ふと幌の端から顔をのぞかせると、青空が見えた。
馬車が動いているせいか、風が吹いているせいか、雲がゆっくり流れていく。
「・・・・・・」
とりあえず、今は東に向かうことに集中しよう。
そして、仕事仲介者の言っていた月の三賢人とやらが、マティをどうにかできるかもしれないことを祈ろう。
今の俺に出来るのは、それだけだった。
09/12/28 10:58更新 / 十二屋月蝕

■作者メッセージ
というわけで第二話です。
ゴーレムです。大きいです。
個人的には女性の身長は高いほうがいいと思います。
榊さんみたいな女性に逆レされてみたいです。
十二屋でした。

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