(88)ノーム
青空の下、街道を一台の荷馬車が進んでいた。
薄汚れた幌を荷台にかけ、いくらでも代わりがいそうな馬が引く、ありふれた荷馬車だった。
「久々に家族と会うんだよねえ」
馬車に乗り、手綱を握ったまま、ふと男が口を開いた。
「うん、前々から話はしてたよね、この度の目的とか」
「・・・・・・」
男の言葉に、彼の背後の荷台から、無言ではあるが肯定の気配が滲んだ。
「その目的地に向かう前に、家族と合流しようってのが今度の目標なのよ。うん。そういえば家族の話したっけ?オレの家族」
「・・・・・・」
「してなかったかあ」
微かな気配の変化に、彼は空を見上げた。
「とりあえず、オレは四人兄弟なのよ。一応四番目だけど、誰も上下なんて気にしてない。まあ、そういう兄弟」
思いついた順に言葉を紡いでいるのか、彼はつらつらと言葉を並べた。
「まあ、会ってみればとりあえず驚くと思う。これに関してはオレが保証する。驚かなかったらその場でキスしてもいいぐらいだ」
「・・・・・・」
「賭に対するリスクがない?そりゃあ、命とかかけられても困るだろ?それに、どちらかというとオレの立場としては、お前が驚かない方が嬉しい、ってところなんだよ。だからキス賭けたの」
「・・・・・・?」
幌の内側から、疑問符が浮かび上がった。
「まあ、そうなるよねぇ。一言言えば簡単だけど、それじゃあ賭にならないし・・・あ!ハーピーだ!」
不意に男が言葉を断ち切り、青空に向けて腕を掲げた。
「ほらほらほら、あっちあっち!飛んでる!スゲエ高い!」
「・・・・・・!」
荷台の中で、ゴソゴソと蠢く音が響き、幌から褐色の顔がでた。
土を整形して作ったかのような、褐色の美女の顔だ。だが彫像ではないし、動くからと言ってゴーレムでもなかった。
「お、こっち見た!ははは、スゲエ残念そうな顔!」
獲物を探していると思しきハーピーは、荷馬車の男の傍らから覗く美女の顔に、翼を操り向きを変えた。
「残念でしたー!こっちはノームの嫁さんいるもんねー!ゲラゲーラ!」
「・・・・・・」
飛び去っていくハーピーの影に向けて、ノームは無言で大きな腕を掲げ、振った。
夫をハーピーの手から守れたという喜びからではない。
単に、飛び去っていく彼女を見送るためだった。
青空の下、馬車はゆっくりと進んでいた。
それから日が沈んだところで、男は馬車を街道の傍らに停めた。
ノームを馬車から降ろし、馬に餌を与え、野営の準備をする。
ノームが土を使って即席の竈を作り、男がそこで煮炊きをした。
単なるたき火より熱を効率よく使えるため、非常にありがたかった。
「はあ、食ったし片づいた」
早めの晩飯を平らげ、食器や調理器具を片づけてから、男は一息ついた。
空には星が輝いており、横になって空を見ながら眠りの訪れを待つには、ちょうど良さそうだった。
「・・・・・・」
そのままごろりと横になりそう立った男の肩に、ノームが軽く触れた。「ん?ああ、わかってるって」
男は即席竈の前に腰を据えると、薪を火の中に放り込んでから、彼女に向かった。
「今日もお疲れ」
「・・・・・・」
男の言葉に、ノームは軽く頷く。
男がノームと契約してからと言うものの、土壌の操作などの他に、彼は一つの仕事を彼女に任せていた。
それが、行く先の地面の確認と修繕だ。街道の舗装が荒れていないかをノームの力で確認し、小さな穴程度なら塞いでもらっていたのだ。
おかげで男は、ノームと旅をするようになってから車輪を地面にとられたり、モグラの穴に馬が足を落として負傷させたりという事故から無縁になった。
だがもちろん彼女の働きは無償のものではなく、男には応える義務があった。
「さ、足開いて」
「・・・・・・」
義務感など感じられない、どこか楽しげな男の言葉に、ノームは地面に尻をつき、足を左右に開いた。
褐色のすねから膝、そして太腿がきれいなM字を描き、男の視線を両足の付け根に吸い寄せる。
彼女の太腿の間には、軽く閉じた慎ましやかな亀裂が縦に走っていた。
亀裂と言っても、地面に走るひび割れなどとは違い、遙かに柔らかそうなものだった。
「さてさーて、しっつれーいしまーす」
男は、ノームの両足の間にひざを突き、上体を倒して彼女の股間に顔を寄せた。
そして、亀裂に指を触れると、左右にそっと広げた。褐色の亀裂が広がり、内側から鮮やかなサーモンピンクの肉が覗く。
「うん、今日もきれいだ」
「・・・・・・」
男の評価に、ノームは無表情ながらも頬を赤らめ、顔を横に向けた。
「じゃ、いただきまーす」
男は誰にともなくそう言うと、亀裂に唇を寄せた。
まずは亀裂の縁、褐色の肌に数度キスをする。
太腿の根本という、そこまで敏感ではないものの、刺激になれていない箇所へのキスに、ノームはぴくんと体を跳ねさせた。
しかし男は、彼女の震えをものともせず、唇を幾度も触れさせては離した。
亀裂の右側を、下から上へとたどり、亀裂の上部付近を避けて左側を上から下へと下っていく。
「・・・!」
男の唇の感触に、ノームは顔を横に向けたまま、もどかしげな表情を浮かべた。
「ん?なにこれ?」
一通り亀裂の近くにキスをし終えると、男は声を出した。
「割れ目から、何か染み出してるな〜?」
「・・・・・・」
わざとらしい男の問いかけに、ノームは顔を横に向けたまま、少しだけうつむかせた。
「こっちもお腹すいたわぁ、って涎が出てんのかしらー?でも、まだお預けよん」
言葉を断ち、男は亀裂の真ん中に唇を当てた。
指を離せば自然と閉まる亀裂を、唇だけで左右に押し開き、桃色の内側に唇を触れさせる。
不意の敏感な粘膜への刺激に、うつむいていたノームの顔が跳ね上がった。
男は、塗れた彼女の内側を、キスの要領で軽く吸った。
溢れる透明な、さらさらとした粘液が、彼の唇から口中に流れ込む。
小便や汗とは異なる、微かな甘みを含んだ体液。彼女の興奮の証だった。
男は、彼女の亀裂の内側で唇を開くと、舌を出して粘膜を撫でた。
直に彼女の味が男に伝わり、彼の肉棒がズボンの内側で固くなっていく。
精霊の体液を摂取したことによる反応だけではない。彼自身も、ノームに興奮しつつあるのだ。
「ちゅ・・・んちゅ・・・む・・・んむ・・・」
「・・・!・・・・・・!・・・!」
男が音を立てて女陰を舐め、啜り、ノームは小さく吐息を漏らした。
いくら男が吸っても、愛液は彼女の内側からこんこんと溢れ、途切れる気配がなかった。
「ぷは・・・ははは、溺れるかと思った・・・」
いくら舐めても止まらない愛液に息継ぎが追いつかなくなり、男は口を離すと冗談めかした調子で言った。
「もう少し続けるか?オレはまだ我慢できるけど」
「・・・・・・」
男の問いかけに、ノームは無言で顔を左右に振った。
「わかった」
男は上体を起こすと、地面の上に膝立ちになり、ズボンのベルトをゆるめる。そして下着ごとズボンを下ろすと、がちがちに硬直した屹立が露わになった。
「さーて、今日も失礼しますよ・・・って、どうした?」
男が膝立ちの姿勢のまま、ノームににじり寄ろうとしたところ、彼女が巨大な手を掲げ、制止した。
彼女は動きを止めた男の肩に手をふれると、軽く押した。
「ああ、今日はお前が上になりたいのか」
男はノームの意図を察すると、地面に腰を下ろして両足を伸ばした。
「さ、かかってこい」
男はそう、挑発するような口調で、ノームに言った。
だがノームは男のおふざけに乗るつもりもなく、ただ静かに立ち上がると、彼の両足をまたいだ。
女陰から溢れ出す滴が、彼女の太腿から膝へと伝わり、ふくらはぎを通って地面を濡らす。
それは、愛液がさらさらしているだけでなく、止めどなく滲みだしているからこそ可能なことだった。
「・・・・・・」
ノームは、内心の興奮を抑えきれないように、腰を下ろした。
膝を屈めて彼女の両足が広がることで、女陰も薄く口を開いた。
男は自信の分身を握ると、先走りの滲む先端が亀裂にふれるよう、位置を調整した。
「・・・!」
亀頭が肉の割れ目に触れ、サーモンピンクの内側に沈み込むと同時に、ノームが小さく息をもらした。
それまでどこか急いでいたようだった彼女の動きが不意に遅くなり、ぎこちないものに変わる。
肉棒が女陰を押し広げる刺激が強すぎるのだ。
「よーしよし、大丈夫大丈夫・・・」
ついに動きを止めたノームに、男は手を伸ばした。彼女の腰に男の指が触れ、支える。
「ゆっくりだ。オレが支えるから、ゆっくりな」
「・・・・・・」
ノームは頷くと、彼の手を支えに腰を下ろしていく。
足が震え、ともすれば容易に崩れ落ちてしましいそうになるが、男の手が彼女を支えてくれていた。
ノームは地面に手を突き、膝を突きながら、男の腰の上に跨った。
「・・・・・・」
「よしよし、全部入ったな。偉いぞ」
ノームの頭を軽く撫でると、彼女の表情が少しだけほころんだ。
同時に、彼女の内側がノーム自身の感情に合わせるように、小さく蠢いた。
ノームの体は、土と肉が入り乱れた構造になっている。ある部分は肉でできており、ある部分は土でできている。
肌や髪、骨などは土と意志でできており、目や舌などは肉でできていた。
そして、彼女の胎内は、入り口付近は肉でできているが、その奥は土のままであった。柔らかな土にたっぷりと水分を含ませた、泥が詰まっているのだ。
泥は、ノームの興奮と感情にあわせるように、屹立にぬるぬると絡みついていく。
ただの粘膜だけでは成し得ない、屹立の細かな凹凸さえ擦られる感触が、男を襲う。
「お・・・これは・・・うぉ・・・!」
じっと腰を下ろしているノームとは裏腹に、肉棒を舐め、しゃぶるように蠢く膣と泥が、男に快感を与える。
彼は、肉棒から腰と背筋を伝い、脳髄へと届く心地よい痺れに、ノームに両腕を回して抱きついた。
彼女の両腕の割に細い肩が男の腕の中に収まり、豊かな乳房が男の胸に押し当てられる。
「・・・!」
不意の抱擁に、ノームは驚いたような表情を浮かべた。
だが、それも一瞬で、姿勢の変化による屹立の動きと快感によって、愛らしく歪んだ。
「んー・・・うん、これなら、うん・・・」
ノームを抱くことで意識を逸らし、余裕が出てきたのか、男は何事かを呟きながら彼女の胎内を楽しんだ。
抱きしめるノームの体を揺らし、自身の腰を動かし、彼女の胎内の泥をかき回す。
実際のところ、多少角度が変わっただけにすぎないが、ノームにとっては激しい動きに感じられた。
「・・・!・・・!」
両目を閉じ、口をきゅっと締め、男のもたらす快感に小さく体を震わせる。
すると彼女の胎内で、肉棒に絡み付く泥が一瞬、また一瞬と圧力を増し、不規則に屹立を締めた。
「お?うぉ・・・!」
膣内のうごめきに、男が頓狂な声を上げる。
余裕を持って楽しんでいたはずなのに、追いつめられていく。
締め付け、絡みつき、流動する泥の感触に、男は少しでも気を抜けば、達してしまいそうになる。
「はは・・・こりゃスゲエや・・・」
いつもの男が上になる姿勢とは異なる、彼女の膣内の感触に、彼は思わずそう呟いた。
だが、そう言ったところで何かが変わるわけではない。
男には、ただノームを抱きしめながら、射精を堪えるほかできることはなかった。
「うぐ・・・はは・・・く・・・!」
「・・・!・・・・・・!」
男とノームは、互いに互いを感じながら時折身じろぎし、瞬間走り抜ける快感に体を震わせていた。
そして、二人の痙攣が相互に相手を刺激しあい、ついに限界に達する。
「く・・・う・・・!?」
男が苦しげに脈打つ肉棒をなだめていると、不意にノームが顔を上げ、男と唇を重ねた。
土でできた、少しだけ湿り気を帯びている彼女の唇は、柔らかかった。
男が不意のキスに気を取られた瞬間、必死に押さえ込んでいた射精感が、彼の腰の奥で爆発する。
体内で熟成されていた白濁が、男の興奮を熱として宿して、ノームの体内に迸った。
「・・・っ・・・!」
腹の奥、泥を叩き泥と混ざっていく白濁に、ノームは男と唇を重ねたまま体を震わせた。
彼女もまた、男とともに達したのだ。
放たれる白濁を吸い上げるように泥がうごめき、肉棒を擦られて男は精を放つ。
そして、ノームはたっぷりと男の腹から白濁を啜り上げると、糸が切れたかのように男に体を預けた。
「うぅ・・・う・・・」
男は、ノームの体を抱き止めながら、しばし精液を放ってから射精を止めた。
後には心地よい疲労と、妙に冷静になった意識だけが取り残された。
「はぁはぁ・・・ハハ、ご満足いただけたようで、なにより・・・」
意識を手放したノームに、男はそう呟いた。
彼女の体は決して軽いとはいえなかったが、男は抱きしめたままだった。
こうしてつながっているだけでも、幸せなのだから。
薄汚れた幌を荷台にかけ、いくらでも代わりがいそうな馬が引く、ありふれた荷馬車だった。
「久々に家族と会うんだよねえ」
馬車に乗り、手綱を握ったまま、ふと男が口を開いた。
「うん、前々から話はしてたよね、この度の目的とか」
「・・・・・・」
男の言葉に、彼の背後の荷台から、無言ではあるが肯定の気配が滲んだ。
「その目的地に向かう前に、家族と合流しようってのが今度の目標なのよ。うん。そういえば家族の話したっけ?オレの家族」
「・・・・・・」
「してなかったかあ」
微かな気配の変化に、彼は空を見上げた。
「とりあえず、オレは四人兄弟なのよ。一応四番目だけど、誰も上下なんて気にしてない。まあ、そういう兄弟」
思いついた順に言葉を紡いでいるのか、彼はつらつらと言葉を並べた。
「まあ、会ってみればとりあえず驚くと思う。これに関してはオレが保証する。驚かなかったらその場でキスしてもいいぐらいだ」
「・・・・・・」
「賭に対するリスクがない?そりゃあ、命とかかけられても困るだろ?それに、どちらかというとオレの立場としては、お前が驚かない方が嬉しい、ってところなんだよ。だからキス賭けたの」
「・・・・・・?」
幌の内側から、疑問符が浮かび上がった。
「まあ、そうなるよねぇ。一言言えば簡単だけど、それじゃあ賭にならないし・・・あ!ハーピーだ!」
不意に男が言葉を断ち切り、青空に向けて腕を掲げた。
「ほらほらほら、あっちあっち!飛んでる!スゲエ高い!」
「・・・・・・!」
荷台の中で、ゴソゴソと蠢く音が響き、幌から褐色の顔がでた。
土を整形して作ったかのような、褐色の美女の顔だ。だが彫像ではないし、動くからと言ってゴーレムでもなかった。
「お、こっち見た!ははは、スゲエ残念そうな顔!」
獲物を探していると思しきハーピーは、荷馬車の男の傍らから覗く美女の顔に、翼を操り向きを変えた。
「残念でしたー!こっちはノームの嫁さんいるもんねー!ゲラゲーラ!」
「・・・・・・」
飛び去っていくハーピーの影に向けて、ノームは無言で大きな腕を掲げ、振った。
夫をハーピーの手から守れたという喜びからではない。
単に、飛び去っていく彼女を見送るためだった。
青空の下、馬車はゆっくりと進んでいた。
それから日が沈んだところで、男は馬車を街道の傍らに停めた。
ノームを馬車から降ろし、馬に餌を与え、野営の準備をする。
ノームが土を使って即席の竈を作り、男がそこで煮炊きをした。
単なるたき火より熱を効率よく使えるため、非常にありがたかった。
「はあ、食ったし片づいた」
早めの晩飯を平らげ、食器や調理器具を片づけてから、男は一息ついた。
空には星が輝いており、横になって空を見ながら眠りの訪れを待つには、ちょうど良さそうだった。
「・・・・・・」
そのままごろりと横になりそう立った男の肩に、ノームが軽く触れた。「ん?ああ、わかってるって」
男は即席竈の前に腰を据えると、薪を火の中に放り込んでから、彼女に向かった。
「今日もお疲れ」
「・・・・・・」
男の言葉に、ノームは軽く頷く。
男がノームと契約してからと言うものの、土壌の操作などの他に、彼は一つの仕事を彼女に任せていた。
それが、行く先の地面の確認と修繕だ。街道の舗装が荒れていないかをノームの力で確認し、小さな穴程度なら塞いでもらっていたのだ。
おかげで男は、ノームと旅をするようになってから車輪を地面にとられたり、モグラの穴に馬が足を落として負傷させたりという事故から無縁になった。
だがもちろん彼女の働きは無償のものではなく、男には応える義務があった。
「さ、足開いて」
「・・・・・・」
義務感など感じられない、どこか楽しげな男の言葉に、ノームは地面に尻をつき、足を左右に開いた。
褐色のすねから膝、そして太腿がきれいなM字を描き、男の視線を両足の付け根に吸い寄せる。
彼女の太腿の間には、軽く閉じた慎ましやかな亀裂が縦に走っていた。
亀裂と言っても、地面に走るひび割れなどとは違い、遙かに柔らかそうなものだった。
「さてさーて、しっつれーいしまーす」
男は、ノームの両足の間にひざを突き、上体を倒して彼女の股間に顔を寄せた。
そして、亀裂に指を触れると、左右にそっと広げた。褐色の亀裂が広がり、内側から鮮やかなサーモンピンクの肉が覗く。
「うん、今日もきれいだ」
「・・・・・・」
男の評価に、ノームは無表情ながらも頬を赤らめ、顔を横に向けた。
「じゃ、いただきまーす」
男は誰にともなくそう言うと、亀裂に唇を寄せた。
まずは亀裂の縁、褐色の肌に数度キスをする。
太腿の根本という、そこまで敏感ではないものの、刺激になれていない箇所へのキスに、ノームはぴくんと体を跳ねさせた。
しかし男は、彼女の震えをものともせず、唇を幾度も触れさせては離した。
亀裂の右側を、下から上へとたどり、亀裂の上部付近を避けて左側を上から下へと下っていく。
「・・・!」
男の唇の感触に、ノームは顔を横に向けたまま、もどかしげな表情を浮かべた。
「ん?なにこれ?」
一通り亀裂の近くにキスをし終えると、男は声を出した。
「割れ目から、何か染み出してるな〜?」
「・・・・・・」
わざとらしい男の問いかけに、ノームは顔を横に向けたまま、少しだけうつむかせた。
「こっちもお腹すいたわぁ、って涎が出てんのかしらー?でも、まだお預けよん」
言葉を断ち、男は亀裂の真ん中に唇を当てた。
指を離せば自然と閉まる亀裂を、唇だけで左右に押し開き、桃色の内側に唇を触れさせる。
不意の敏感な粘膜への刺激に、うつむいていたノームの顔が跳ね上がった。
男は、塗れた彼女の内側を、キスの要領で軽く吸った。
溢れる透明な、さらさらとした粘液が、彼の唇から口中に流れ込む。
小便や汗とは異なる、微かな甘みを含んだ体液。彼女の興奮の証だった。
男は、彼女の亀裂の内側で唇を開くと、舌を出して粘膜を撫でた。
直に彼女の味が男に伝わり、彼の肉棒がズボンの内側で固くなっていく。
精霊の体液を摂取したことによる反応だけではない。彼自身も、ノームに興奮しつつあるのだ。
「ちゅ・・・んちゅ・・・む・・・んむ・・・」
「・・・!・・・・・・!・・・!」
男が音を立てて女陰を舐め、啜り、ノームは小さく吐息を漏らした。
いくら男が吸っても、愛液は彼女の内側からこんこんと溢れ、途切れる気配がなかった。
「ぷは・・・ははは、溺れるかと思った・・・」
いくら舐めても止まらない愛液に息継ぎが追いつかなくなり、男は口を離すと冗談めかした調子で言った。
「もう少し続けるか?オレはまだ我慢できるけど」
「・・・・・・」
男の問いかけに、ノームは無言で顔を左右に振った。
「わかった」
男は上体を起こすと、地面の上に膝立ちになり、ズボンのベルトをゆるめる。そして下着ごとズボンを下ろすと、がちがちに硬直した屹立が露わになった。
「さーて、今日も失礼しますよ・・・って、どうした?」
男が膝立ちの姿勢のまま、ノームににじり寄ろうとしたところ、彼女が巨大な手を掲げ、制止した。
彼女は動きを止めた男の肩に手をふれると、軽く押した。
「ああ、今日はお前が上になりたいのか」
男はノームの意図を察すると、地面に腰を下ろして両足を伸ばした。
「さ、かかってこい」
男はそう、挑発するような口調で、ノームに言った。
だがノームは男のおふざけに乗るつもりもなく、ただ静かに立ち上がると、彼の両足をまたいだ。
女陰から溢れ出す滴が、彼女の太腿から膝へと伝わり、ふくらはぎを通って地面を濡らす。
それは、愛液がさらさらしているだけでなく、止めどなく滲みだしているからこそ可能なことだった。
「・・・・・・」
ノームは、内心の興奮を抑えきれないように、腰を下ろした。
膝を屈めて彼女の両足が広がることで、女陰も薄く口を開いた。
男は自信の分身を握ると、先走りの滲む先端が亀裂にふれるよう、位置を調整した。
「・・・!」
亀頭が肉の割れ目に触れ、サーモンピンクの内側に沈み込むと同時に、ノームが小さく息をもらした。
それまでどこか急いでいたようだった彼女の動きが不意に遅くなり、ぎこちないものに変わる。
肉棒が女陰を押し広げる刺激が強すぎるのだ。
「よーしよし、大丈夫大丈夫・・・」
ついに動きを止めたノームに、男は手を伸ばした。彼女の腰に男の指が触れ、支える。
「ゆっくりだ。オレが支えるから、ゆっくりな」
「・・・・・・」
ノームは頷くと、彼の手を支えに腰を下ろしていく。
足が震え、ともすれば容易に崩れ落ちてしましいそうになるが、男の手が彼女を支えてくれていた。
ノームは地面に手を突き、膝を突きながら、男の腰の上に跨った。
「・・・・・・」
「よしよし、全部入ったな。偉いぞ」
ノームの頭を軽く撫でると、彼女の表情が少しだけほころんだ。
同時に、彼女の内側がノーム自身の感情に合わせるように、小さく蠢いた。
ノームの体は、土と肉が入り乱れた構造になっている。ある部分は肉でできており、ある部分は土でできている。
肌や髪、骨などは土と意志でできており、目や舌などは肉でできていた。
そして、彼女の胎内は、入り口付近は肉でできているが、その奥は土のままであった。柔らかな土にたっぷりと水分を含ませた、泥が詰まっているのだ。
泥は、ノームの興奮と感情にあわせるように、屹立にぬるぬると絡みついていく。
ただの粘膜だけでは成し得ない、屹立の細かな凹凸さえ擦られる感触が、男を襲う。
「お・・・これは・・・うぉ・・・!」
じっと腰を下ろしているノームとは裏腹に、肉棒を舐め、しゃぶるように蠢く膣と泥が、男に快感を与える。
彼は、肉棒から腰と背筋を伝い、脳髄へと届く心地よい痺れに、ノームに両腕を回して抱きついた。
彼女の両腕の割に細い肩が男の腕の中に収まり、豊かな乳房が男の胸に押し当てられる。
「・・・!」
不意の抱擁に、ノームは驚いたような表情を浮かべた。
だが、それも一瞬で、姿勢の変化による屹立の動きと快感によって、愛らしく歪んだ。
「んー・・・うん、これなら、うん・・・」
ノームを抱くことで意識を逸らし、余裕が出てきたのか、男は何事かを呟きながら彼女の胎内を楽しんだ。
抱きしめるノームの体を揺らし、自身の腰を動かし、彼女の胎内の泥をかき回す。
実際のところ、多少角度が変わっただけにすぎないが、ノームにとっては激しい動きに感じられた。
「・・・!・・・!」
両目を閉じ、口をきゅっと締め、男のもたらす快感に小さく体を震わせる。
すると彼女の胎内で、肉棒に絡み付く泥が一瞬、また一瞬と圧力を増し、不規則に屹立を締めた。
「お?うぉ・・・!」
膣内のうごめきに、男が頓狂な声を上げる。
余裕を持って楽しんでいたはずなのに、追いつめられていく。
締め付け、絡みつき、流動する泥の感触に、男は少しでも気を抜けば、達してしまいそうになる。
「はは・・・こりゃスゲエや・・・」
いつもの男が上になる姿勢とは異なる、彼女の膣内の感触に、彼は思わずそう呟いた。
だが、そう言ったところで何かが変わるわけではない。
男には、ただノームを抱きしめながら、射精を堪えるほかできることはなかった。
「うぐ・・・はは・・・く・・・!」
「・・・!・・・・・・!」
男とノームは、互いに互いを感じながら時折身じろぎし、瞬間走り抜ける快感に体を震わせていた。
そして、二人の痙攣が相互に相手を刺激しあい、ついに限界に達する。
「く・・・う・・・!?」
男が苦しげに脈打つ肉棒をなだめていると、不意にノームが顔を上げ、男と唇を重ねた。
土でできた、少しだけ湿り気を帯びている彼女の唇は、柔らかかった。
男が不意のキスに気を取られた瞬間、必死に押さえ込んでいた射精感が、彼の腰の奥で爆発する。
体内で熟成されていた白濁が、男の興奮を熱として宿して、ノームの体内に迸った。
「・・・っ・・・!」
腹の奥、泥を叩き泥と混ざっていく白濁に、ノームは男と唇を重ねたまま体を震わせた。
彼女もまた、男とともに達したのだ。
放たれる白濁を吸い上げるように泥がうごめき、肉棒を擦られて男は精を放つ。
そして、ノームはたっぷりと男の腹から白濁を啜り上げると、糸が切れたかのように男に体を預けた。
「うぅ・・・う・・・」
男は、ノームの体を抱き止めながら、しばし精液を放ってから射精を止めた。
後には心地よい疲労と、妙に冷静になった意識だけが取り残された。
「はぁはぁ・・・ハハ、ご満足いただけたようで、なにより・・・」
意識を手放したノームに、男はそう呟いた。
彼女の体は決して軽いとはいえなかったが、男は抱きしめたままだった。
こうしてつながっているだけでも、幸せなのだから。
12/11/29 18:53更新 / 十二屋月蝕
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