ごうごうと音を立てて、大きな建物が燃えている。
窓から炎が吹きあがり、黒煙が空に立ち上っている。
人々がバケツや桶を手に、川や井戸から水を汲んで屋敷に掛けているが、炎が弱まる様子はない。
わずかな湿り気をものともせず、炎は踊り、歌い、燃えていた。
もはやこの火は止められない。周囲の木を切り倒して延焼を防ぎ、屋敷が燃え尽きるのを待つしかない。
必死に消化をしていた人々に、あきらめが芽生えた。
だが、そこに一人の男が駆け寄ってきた。
水晶を先端に戴く杖を手にして、刺繍の入ったマントを羽織る男だった。
「み、みんな･･･離れろ･･･！」
かなりの距離を走ってきたのか、息も絶え絶えに、男が声を上げる。
「俺は、火の精霊使いだ･･･！今から･･･火を収める･･･！」
男がそういいながら、杖を掲げた。
瞬間、杖の水晶が橙色の光を放ち、直後彼の前に一人の女が現れていた。
赤い髪の、肌を多く露出した女だ。ただ、彼女はふわふわと宙に浮いており、胸元と股間、そして手首と足首に火を纏っていた。
「イグニス･･･！」
男が精霊の名を呼ぶと、宙に浮かぶ彼女は両手を屋敷に向けてかざした。
すると、屋敷の窓から吹きあがる炎が、その勢いを強めた。
熱と光が強まり、屋敷の屋根を越えんばかりに炎が増していく。
不意に火力が増したことにより、消火にあたっていた人々は、本能的な恐怖によって屋敷から離れた。
火を消すと言っていたのに、強めてどうする。
人々の戸惑いの視線が、精霊使いの男に向けられる。
だが、直後人々は炎が強まったのではないことを悟った。
「おい、あれ･･･！」
吹きあがる炎が、煙のように宙を舞い上がり、屋敷の屋根の上で渦を巻いていることに、人々が気がついた。
屋敷から煙の代わりに炎が噴き出し、空中で炎が固まっていく。
そして、空の黒煙の下に、もう一つの太陽のような炎の塊ができあがると、屋敷を舐めていた火は消えていた。
屋敷の炎を、空中に吸い上げたのだ。
屋敷の上空に浮いていた火事の炎は、不意に縮み始めた。
下手すれば屋敷よりも大きく見えた炎の球体は、徐々に小さくなっていき、屋敷の幅から高さ、部屋一つ、馬車一台、人一人ほどの大きさへと徐々に縮んでいく。
そして、握り拳ほどの大きさになったところで、両手をかざす火の精霊の下へと滑るように移動した。
「･･････」
拳大の光の玉が、イグニスの胸に触れ、彼女の体内に沈んでいった。
「消えたぞ！」
「火が消えた！」
いくらかの焦げ痕をのこしてたたずむ屋敷に、人々が歓声を上げる。
ほんの少し前まで、地獄の火炎のように燃えていた火が、一欠片も残っていないのだ。
人々の歓声は、いつしか精霊使いと火の精霊への賞賛に変わっていた。
「あんた、よくやったなあ！」
「助かった！」
「ああ、はいはい。ありがとうありがとう」
興奮した人々を落ち着かせるように、男は適当に答えた。
「とりあえず、俺は火を消しただけだ。だいぶ焼けているから、屋敷には入らない方がいい。持ち主には、修理するか取り壊して新しいのをたてるかするよう言ってくれ」
そう説明するが、誰も聞いている様子はなかった。


それから、精霊使いは近隣住民たちの歓待を断りきれず、屋敷近くの酒場でお礼の宴会を開かれ、そのまま酒場の二階の宿に泊まることとなった。
「はぁ、食った食った･･･」
男は宿屋のベッドにゴロリと横たわると、心地よい満腹感を味わっていた。
屋敷が燃えるどころか、下手すれば辺り一帯を焼き尽くしていたかもしれない火事を消したということで、男は暴力的なまでの接待を受けたのだ。
「全く･･･待ち合わせまで、もうすぐだが･･･まあ、このぐらいの寄り道は大丈夫か」
腹は膨れ上がった腹を撫でながら、彼は呟いた。腹が張って苦しいが、苦痛ではない。
「イグニス･･･お前の仕事だってのに、俺ばっかりもてはやされて･･･すまんなあ」
彼と同じように、ベッドに横たわる火の精霊に、彼はそう声をかけた。
すると、火の精霊は男の方に顔を向け、気にするなとばかりに顔を左右に振った。
「そうか、お前も結構食べてたしな」
男言葉通り、イグニスの腹も少しだけ膨れていた。
身重の母親とまではないが、それでも子を宿しているように見える。
「へへ、お前もよく食ったなあ･･･まるで、俺の子が入ってるみたいだ」
「･･････」
イグニスは男の言葉に、頬を少しだけ赤くすると、照れくさそうに腹を撫でた。
彼女の滑らかな肌の下に詰まっているのは、焼いた肉や野菜に飲み物ばかりだ。
だが、彼女の手つきには愛おしさが宿っていた。
「･･･俺も撫でていいか？」
じっとイグニスを見ている内、男は妙な気分になり、彼女に思わず問いかけていた。
「･･･」
イグニスがこくん、と小さく頷くと、男はベッドに身を起こした。
そして、寝転がるイグニスの側に移動すると、胸元と股間で燃え上がる炎の間の、膨れた腹に指を伸ばした。
イグニスの呼吸により、小さく上下する腹に、彼の指が触れる。鳩尾とへその間ほどだ。
彼女の肌は、炎の精霊にふさわしくやや高めの体温による熱を帯びていたが、吸い付くようなしっとりとした潤いも有している。
男は、指先で軽く彼女の肌をなぞった。肌が彼の諮問を撫で、すべすべとした感触をもたらす。
ゆっくりゆっくり、彼の指先がへそを中心に円を描くように滑っていった。
そして、彼は彼女の腹を一周指で辿ると、指先を離した。
だが腹に触れるのが終わったわけではない。手のひら全体で触れるためだ。
腹の膨らみに会わせ、軽く指を曲げた彼の手のひらが、イグニスの腹に接する。
手のひら全体が彼女の熱を感じ、皮膚の下のうごめきを覚えた。
「子供ができたら、こんな気分になるのか･･･」
優しく優しく、本当にその中に子が宿っているかのような手つきで腹を撫でながら、男は呟いた。
すると、イグニスが手を伸ばし、腹に触れる男の手に重ねた。
「ん？」
「･･･」
イグニスの動きに、男が腹から彼女の顔に目を向けると、妙に赤くなった精霊の顔が見えた。
腹を撫でられている気恥ずかしさや、子が宿ったらだとかいう将来の話への照れではない。
濡れた瞳と赤い頬は、興奮の証だった。
「そうか･･･昼間火を吸収したからな」
火事の炎をその身で受け止めたため、熱があふれだしているのだ。
イグニスが炎を吸収すれば、消費するしかない。体から炎を出すか、炎を徐々に熱として消費するか。それとも、消費した体力を補うのに使うかだ。
「今日もがんばってくれたご褒美だな」
「･･･！」
イグニスの顔が、喜びに輝いた。
男は、彼女の傍らに身を横たえると、そっと彼女の乳房に手を伸ばした。
炎が胸を隠すように踊っているが、彼は憶することなくその中に指を入れる。熱はなく、ただチロチロとくすぐられるような、そよ風が指にまとわりつく感覚だけが彼を迎えた。
男は彼女の炎のくすぐりを味わいながら、イグニスの乳房の先端に指を触れた。
「･･･！」
イグニスが、普段は気の強そうな目を閉じ、悩ましげに眉根を寄せた。
男は、彼女の反応を楽しむように、乳輪を軽く撫でてから乳房をつかんだ。
熱々の肉鞠が男の指を沈ませ、主に刺激を伝える。
指に力を込め、軽く肉鞠を揉むと、イグニスの唇から吐息が漏れた。
指をゆるめ、人差し指の先端で乳首を擦ると、イグニスの手がシーツをつかむ。
獰猛で勝ち気で活動的な顔立ちの彼女が、快感に表情をゆがめ、身をくねらせていた。
「･･･！･･･！」
声もなく、快感に体をたわめ、男の指から逃れようとするかのように、彼女は悶えた。
だが、少し寝返りを打てば簡単に逃れられるはずの男の手を、彼女ははねのけられなかった。
いや、はねのける意志がないのだ。
快感に身悶えしつつも、彼女は男の指を受け入れていた。
「･･･！･･･！」
不意に、イグニスが全身をこわばらせ、口を開いて虚空を見つめた。
一瞬の硬直の後、彼女の体が弛緩し、遅れて男は彼女が絶頂したことを悟った。
「まずは、軽く一回か･･･」
彼女の乳房から指をはなしながら、男は呟いた。
「･･･」
イグニスは、彼の言葉に目を向け、何かを止めようとするかのように首を左右に振った。
乳房から手を離さないでほしい。もっと、もっと。
彼女の視線と仕草が、そう物語っている。
「胸だけじゃ満足しないだろ？」
男は、彼女の肌を手のひらで擦りながら、そう問いかけた。
ゆっくりと肌を撫でていく指が、へその脇を通り、下腹で燃える炎へ迫っていく。
「･･････」
イグニスは男の意図に気が付いたらしく、その瞳を期待で輝かせた。
直後、彼の手が下腹の炎に入り、イグニスの両足の付け根に入り込む。
そして、火の中にあるというのに、湿り気を帯びた亀裂に彼の指が沈んだ。
「･･･！」
女陰への刺激に、イグニスは体をぴくんと震わせた。
「んー？なんだか濡れているなあ･･･」
「･･･！･･･っ！」
「火の精霊が、自分から消火活動かなあ･･･？」
男がいたずら心を込めて問いかけながら、女陰を軽くかき回す。
イグニスの炎が揺れ、彼女の体が震える。
胸元の火も、股間の火も、彼女の興奮を示すように、徐々に大きく燃えあがっていく。
「はい、ここまで」
男が不意に指を止め、女陰から引き抜いた。
「･･･？」
中途半端な興奮の熱が取り残され、イグニスが困惑気味に男を見る。
もっとしてほしかったのに。口にこそ出さないものの、彼女の視線にはそんな思いが宿っていた。
「指だけじゃもったいないだろう。続きはこっちで･･･な？」
男がベッドに身を起こし、ズボンの内側から肉棒を取り出した。
イグニスを弄ぶ内、彼も興奮していたのか、そこは堅く大きく屹立していた。
「･･･！」
「ほら、だったらちゃんとベッドの上に寝ろ」
男が、そうイグニスに催促すると、彼女は男に尻を向けるように四つん這いの姿勢をとった。
「ん？それでいいのか？」
「･･･」
尻の谷間を隠すように燃える炎に向け、男がそう訪ねると、イグニスは首をひねって振り返りながら、小さく頷いた。
「だったら、どこに突っ込んでほしいか、見せてみな」
「･･････」
男の求めに、イグニスは自身の尻に手を近づけた。
顔をシーツに押しつけ、尻を高々と掲げながら、彼女は自身のまるまるとした尻たぶをつかみ、グイと左右に開いた。
股間が押し広げられ、炎が割れ、濡れた女陰が露わになる。
彼女の亀裂の内側は、炎より赤かった。
「そこだな」
男はイグニスの腰をつかむと、屹立の先端を女陰に押し当て、腰をつきだした。
肉の亀裂を亀頭が広げ、肉棒が彼女の内側に入る。
「･･･！」
待ちかねた男自身の挿入に、イグニスは吐息を漏らした。
「よ･･･っと･･･」
ずぶずぶと、濡れた肉をかき分け、根本まで屹立を挿入する。
亀頭に膣の底が触れる感触を覚えると、彼はすぐに腰を引いた。
張り出したカリ首が彼女の膣壁を擦り、イグニスにゾクゾクするような快感をもたらした。
そして肉棒の半ばまでが彼女の外にでたところで、再び腰を突き出す。
「･･･っ･･･！」
尻をつかみ、女陰を広げていたイグニスの手が、力を失いシーツの上に落ちる。
だが、指は弛緩しておらず、シーツをつかんでいた。
男の一突きごとに、シーツを握る彼女の指に力がこもり、吐息が唇から溢れる。
だが、彼女もただ感じているばかりではなかった。
「う･･･く･･･ふん･･･！」
腰を前後に揺すりながら、男は時折吐息に苦しげな声音を混ぜた。イグニスの膣は滑らかで、話に聞くサキュバスの膣のように柔襞がひしめいているわけではない。
ただ熱く、男の肉棒を時折締め付けてくるばかりだ。
だが、男はその熱と締め付けに、徐々に追いつめられていた。
滑らかな膣壁が、肉棒を締め付けてしごきあげ、物理的な快感をもたらす。
そして彼女の熱い膣の熱が、イグニスがそれほどまでに感じ、興奮しているという精神的な快感をもたらす。
締め付けと熱。その二つが、男を徐々に追いつめていく。
「･･･っ･･･っ･･･！」
不意にイグニスがベッドに顔を押し当て、全身を震わせた。
彼女の絶頂の痙攣は、もちろん膣道にも及び、男の肉棒が震える肉筒に揉みたてられた。
「ぐぅ･･･！」
男の口からくぐもった声が漏れ、彼の屹立から白濁が迸った。
イグニスの体温に負けないほどに熱を帯びた粘液が、彼女の膣奥に叩きつけられる。
その衝撃と、男の温もりに、イグニスの震えが大きくなる。
そして、互いに互いをたっぷりと心地よくしてから、二人はようやく絶頂から解放された。
「はぁはぁ･･･」
「･･････」
イグニスの腰をつかんだまま男が呼吸を重ね、イグニスは尻を掲げてベッドに突っ伏したまま、うっとりと絶頂の余韻に浸っていた。
「ふぅ･･･さあ、もう一発･･･！」
男の言葉とともに、彼女が小さく身をのけぞらせる。
彼女の内側で、肉棒が固さを取り戻したからだ。
イグニスの炎が、彼の陰部を炙り、疲労を回復させている。
どうやら獣のような交わりは、まだまだ続くらしい。

■作者メッセージ
喧嘩とか大好きそうなヤンキー系の女の子いいよね。
ふとしたことでつるむようになって、まあ駄弁ったり弁当のおかずを交換したりするようになるんだよ。
そして下ネタ関係の話をしていたら、彼女が実はまだ処女だと言うことが発覚するんだ。
表向き彼氏はいるけど、体を許したことはなく、いずれそういうことをする際に処女だとばれたら恥ずかしいとか、そういう理由で処女の押し売りされると嬉しい。
まあ、こちらも童貞だから、うろ覚えの性教育をベースに、緊張のあまりがちがちになりながら互いの体を探って処女と童貞を交換するんだよ。
もちろん、いつもの喧嘩の傷とは異なる痛みに彼女は泣くんだ。おかげでこちらはビビってセックス中断。泣く彼女を優しく抱いて、落ち着くまで元気ビンビン丸さ。
そしてその後、とりあえずの処女喪失したと言うことでカレシ相手に体を許すけど、心の処女膜が破れきってなくてもめるんだ。
それから、ちゃんとした初体験をすませたいと俺のところにきて、痛みに耐えながらも心の処女膜もぶち破るんだよ。
それからは、まあ暴力的なところはなりを潜めて、だいぶ優しくなった彼女と、幼なじみ以上恋人未満の関係をやっていきたい。
そういうヤンキー系でありながら純情奥手少女はいませんか？