連載小説
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(59)ダークエンジェル
街の合間を、少年が一人駆けていた。
鎧をまとい、腰に剣を差した彼は、がちゃがちゃと音を立てながら道を走っていた。
「はぁはぁはぁ・・・!」
荒く呼吸を重ねながら、彼は時折前方から顔を逸らし、進行方向とは違うところを見た。
まるで、何者かに追われているかのようだったが、青年の域に足を踏み入れつつある彼の視線の先にあったのは、太陽だった。
冬に入り、日が短くなったためか太陽はすでに街の向こう、建物の合間に沈みつつある。
西の空はまだ赤く明るいが、東から点頂に向けて空が藍色に染まりつつあり、すでに星がちらほらと瞬き始めている。
もうすぐ夜が来る。
振り向く度に沈みつつある太陽におわれるように、少年は通りを駆け抜け、一軒の宿屋に飛び込んだ。
「おう、おつか・・・」
「ただいま!」
一階、酒場をかねた食堂のカウンターの奥からの、宿屋の主人の言葉に短く返すと、少年は二段とばしで階段を駆け上り、ここ一年ほどは借りっぱなしの部屋に飛び込んだ。
「はぁはぁ・・・」
少年は扉を勢いよく閉めると、人心地つける間もなく、部屋の隅に置かれたベッドに手をかけた。
大の男二人で運ぶほどの、しっかりとした作りのベッドを少年は易々と扉の前まで移動させた。そして、ベッドの足を掴み、立てかけるようにして扉を塞ぐ。
「はぁ、はぁ・・・」
少年はベッドの向こうの扉を見据えながら数歩退くと、ようやく立ち止まって言葉を紡いだ。
「これなら・・・」
ちらり、と目をはめごろしの窓の外に向けると、西の空を染めていた赤が、星を散りばめた藍色に塗りつぶされつつあるところが見えた。
日が沈み、夜が来る。
だが、今日は間に合った。
そう少年が胸をなで下ろし、空が完全に夜空となった瞬間、窓が勢いよく弾けた。
ガラスと窓枠が砕けながら部屋の中にまき散らされ、窓から白い影が飛び込んでくる。
勢いのため、輪郭が曖昧になった白い影は、ガラスの破片がまき散らされた床の上におり立った。
影の動きが止まり、ようやく少年の目がその姿をとらえる。
白い、丈の短いワンピースから青白い肌に包まれた四肢を晒し、ふわふわとした短い銀髪の少女。
彼女は、目に喜色を浮かべながら、呆然と立ち尽くす少年に向けてく血を開いた。
「ご褒美の時間よ、オラァァァァ!」
「ぎゃぁぁぁああああ!」
カラスのような、漆黒に染めあげられた翼を広げるダークエンジェルの言葉に、少年は悲鳴を上げた。
「邪魔が入らないようにバリケード?今日は二人で水入らず、ただしお小水マシマシってわけね!」
「違う、違うぅぅぅ!」
少年はきびすを返し、今し方扉に立てかけたベッドに飛びつこうとした。
だが、彼がベッドを倒すよりも早く、ダークエンジェルは少年の背中にしがみついた。
「ガラスが散らばってて床の上は危ないから、ベッドを出してくれるのね!優しい!大好き!」
「違う!違うぅぅ!」
少年はダークエンジェルを振り払おうともがくが、彼女は彼の銅に手を回したまま離れようともしなかった。
数度少年は勢いよく体を振り回していたが、ついに足をもつれさせ、床の上に倒れてしまう。
「ぐ・・・!」
うつ伏せに倒れた衝撃に、息が肺から絞り出される。ガラスや窓枠の破片が散らばっていたが、とっさの受け身と鎧のおかげでけがはなかった。
「ああ、私魔力バリアーあるからガラスぐらいじゃ怪我しないのに・・・押しつぶさないようにかばってくれたのね!もう、ご褒美あげちゃう!」
ダークエンジェルは少年の店頭に一人ヒートアップすると、がばと少年の背中から上半身を離し、少年の腰のあたりを覆う装甲に手をかけた。
ばき、と金具の壊れる音が響き、直後彼の鎧の腰が引きはがされる。
少年はとっさに床にひざを突き、四つん這いになって逃れようとした。しかし、腰が浮かび上がった瞬間ダークエンジェルの足が彼の太腿に絡みつき、無様に尻を掲げた姿勢で動きが封じられた。
そしてズボンに手をかけると、彼女は下着ごと衣服を引きずり下ろした。
「カワイイ桃発見!違った!勇者のお尻でした!んもー、おいしそうな桃のモノマネなんてして!」
ダークエンジェルはなぜかうれしげにケラケラ笑いながら、少年の尻に手のひらをたたきつけた。
「ぎゃっ!」
「はーい、痛いのはこれでおしまい!勇者のお尻ちゃんには一日立つか座るかしていたご褒美として、マッサージしてあげます!」
「うわあああ!」
直接見ることはできないものの、エンジェルの指が少年の尻を遠慮なく這い回り揉み解す感触に、少年は裏返った悲鳴を上げた
太腿と腰の間、尻の筋肉に十本の指が食い込み、ぐにぐにと揉み立てる。少年はダークエンジェルの指が筋肉の筋をこりこりと指で転がすのを感じながら、自身の尻が知らない内に凝っていたのを知った。
だが、凝りがほぐされる快感よりも、背筋をぞわぞわとなでる感覚の不気味さが、素直に心地よいと少年に感じさせなかった。
「マッサージ終了!尻は百点!桃尻!いただきまーす!」
ダークエンジェルは指を止めると、一息にそうまくし立て、口を開いて少年の尻に食いついた。
正確に言うと尻の亀裂の間、少年の尻の穴にだ。
「あ、あ、あ、あ、あぁぁぁ・・・!」
唇をすぼめて肛門にキス、どころではなく、尻に吸いつき、舌が不浄の門を這い回る。唾液をたっぷりと塗り込み、きゅっと引き締まった括約筋を解そうとするその感触は、少年の背骨を蟻の群のように這い上っていく。
「んふー、んふー」
「うぁぁぁ・・・あぁぁ・・・うぁ・・・」
口で肛門を塞いでいるため、勢いよく出入りする鼻息が少年の尾てい骨や左右の尻を撫で、肛門への感覚とともに彼から力を奪っていく。
一方、ダークエンジェルの口内では、尻の肌がふやけるほど唾液を塗り込んだ舌先が、少年の体内に入ろうと肛門をつついていた。場違いかつ無遠慮な来訪者のノックに対し、少年の肛門はきゅっと引き締まって、入り口(正しくは出口)を閉ざしていた。
だが、突然の便意を肛門括約筋だけで耐えようとした方なら分かるだろうが、肛門というのはそう長時間引き締めることはできない。
少年の尻がプルプルと震え、ついに括約筋が緩んだ。ダークエンジェルは一瞬の脱力を逃すことなく、ノックをそのまま破城鎚の一撃に変え、少年の進入者お断り区域への突入を果たした。
「ふひゃぁぁぁ!」
「んーふふー」
少年の、文字通り尻から背骨を伝い頭に届いた感覚による悲鳴に、ダークエンジェルはどこか誇らしげに鼻を鳴らした。
尾てい骨を皮膚越しに撫でる、ダークエンジェルの鼻息は、緩んでしまった少年の肛門を引き締めた。圧力だけで侵入者を締め出そうと、せめてそれ以上の侵入を止めようとするかのようにだ。
だが、彼女の舌は少年の必死の抵抗をせせら笑うように、括約筋の締め付けをものともせず、にゅるりと蠢きながら押し入ってくる。先ほど肛門にたっぷりとまぶした唾液が、滑りをよくしているのだ。
「ぁぁぁ・・・!」
少年は必死に尻に力を込めながら声を上げる。しかし、彼女の舌は止まらず、粘膜を擦られる感覚に、彼の肉棒は屹立していく。
やがて、ダークエンジェルの長い舌は少年の腸壁にその先端を当て、粘膜を探るように動き始めた。腹の中を圧迫感が動き周り、腸壁の一点で動きを止めた。彼女の舌先が腸壁越しに、弾力ある何かに触れたからだ。
「ん」
「あー!?」
ダークエンジェルが息を漏らしながら軽くつつくと、少年が体を震わせ、声を上げた。
彼の両足の間では、徐々に固くなりつつあった肉棒が、一息に屹立していた。
ダークエンジェルは、彼の腰の下に手を差し入れると、体の内側、前立腺への刺激で勃起した彼の分身に、そっと指を絡めた。握るわけでも、扱くわけでもなく、ただ軽く指で包み、屹立に手のひらを当てる。
そして、彼女は軽く力を込めて、前立腺を舌先で押した。
少年の意識を稲光が走り、精が彼女の手の中に迸る。彼が絶頂に突き上げられたのは、尿道を擦る粘液の感触によって立った。
「あああああ!」
少年は体を震わせ、ダークエンジェルの手の中に精液を放ち、全身の力を緩めた。
そして、彼女は締め付けの弱まった肛門から舌を引き抜くと、尻との接吻を終わらせ、屹立から手を離した。
「うふふ、お漏らしがこんなにいっぱい・・・」
目の前に自身の手のひらを移し、手に絡みつく白濁をうっとりと見つめると、彼女は口を近づけて舌をのばし、精液を舐めた。
舌先で、盛り上がるほどに粘ついた白濁の表面を擦り、ほんの少しだけ掬いとる。
そして口内に運んだ一滴を口中で軽く転がし、味を確かめる。
「ん・・・ちょっと疲れてるみたいね・・・」
精液の味で少年の体調を推し量ると、彼女は手に絡み付く残りの白濁に唇を寄せ、音を立てて啜った。彼女を見ていない少年にも聞こえるように。
「うぅぅ・・・」
じゅず、ぬちゅ、と粘液と粘膜が奏でる音を聞きながら、少年は呻いた。
(何でこんなことに)
彼の思いは、単に床にくみ伏せられて尻を吸われ、塗りたくられた唾液がもたらす冷気だけに向けられたものではなかった。
いったいいつからダークエンジェル、昔はエンジェルだった彼女と彼の関係はこうなってしまったのだろう。

少年が勇者として故郷を送り出されたのは、まだまだ幼かった頃だ。
だが、彼の旅立ちと同時に、一人のエンジェルが彼のそばに現れ、少年の旅を導いてくれた。
やがて、少年はエンジェルの導きもあって、勇者として成長していったが、時代の移り変わりとともに自分のような勇者が求められていないことを悟った。
勇者としての旅を終え、気の合う魔物と別の仕事でもしようかなどと彼が悩んでいたとき、エンジェルがこう申し出た。
『がんばったら、私がご褒美をあげます』
エンジェルの、自身の体を差し出すという褒美は、少年にやる気を与えた。
だが同時に、少年はエンジェルとの行為に耽溺していった。
最初の内こそ、唇を重ね、単に交わるだけだったのだが、若い少年の性欲はさらなる快感を求めた。
聞きかじった知識を元に、エンジェルに自身の屹立をしゃぶらせた。
胸の大きい女を目にしてふと思い浮かんだ、肉棒を乳房に挟むという奉仕を、人並み程度のエンジェルにさせた。
自分ばかりが気持ちよくなってはいけないと、指先でエンジェルの女陰を、ただひたすら弄んだ。
そして、間断なく注ぎ込まれる快感と立て続けの絶頂に、エンジェルが失禁してしまった瞬間から、少年の好奇心と探求は加速した。
エンジェルの恥ずかしがる顔を見るため、彼女が排尿する様子を見る。
エンジェルに新たな奉仕の仕方を覚えさせるため、二人連れでいかがわしい店に入り、店の女に手取り足取り教えてもらう。
エンジェルに外套と履き物だけを身につけさせ、夜の街を一枚脱げば全裸という状態で散策する。
少年へのご褒美のため、かすかに抵抗しながらもエンジェルは少年の求めに応じ、少年はますます行為をエスカレートさせていった。
しかしある夜、二人の関係に転機が訪れた。
宿屋の一室で、エンジェルに買わせた張り型を用いて、彼女自身の女陰を慰めさせていたときのことだった。
彼女の興奮をあおるための言葉責めの一環で、少年が『ご褒美のためにイヤイヤやっているんじゃなくて、自分が楽しむためにやっているんだろう』と尋ねたのだ。
いつもならば、股間を苛む刺激と快感に顔をゆがめながらも、口先では彼女は否定していた。
しかしそのとき、エンジェルは言ってしまったのだ。
『そうです。気持ちいいの、大好きです』
勇者である少年のためではなく、自分が快感を味わうためである。その言葉を口にしてしまった瞬間、エンジェルは変わった。
自己の淫性の自覚により、ぎりぎりのところでエンジェルとして踏みとどまっていた彼女は、ダークエンジェルになってしまったのだ。
見る見るうちに黒く染まる翼と、青みを帯びていく肌、そしてふわふわとしていた金髪が銀髪になっていく変貌に、少年は目を見開いた。
エンジェルがダークエンジェルに変異しきると、彼女は女陰から張り型を引き抜き、呆然とする少年を押し倒して言った。
『作りものじゃ足りない』
と。


少年が、記憶の反芻を終えると同時に、彼の体がころりとひっくり返された。腰を抱えあげられたまま、仰向けの姿勢になる。
彼の両足を手に持ったまま、少年の胸のあたりをダークエンジェルが跨いだ。すると、彼女のすらりとした足から、丈の短いスカートの下のむき出しの股間までが少年の眼前に晒された。
「ほら、見える?」
少年の尻に唇を重ねるうちに興奮したのか、愛液を太腿に垂れ流す女陰と、上下に亀裂の入ったような形の不浄の門を、彼女は見せつけるように軽く揺すった。ひくひくと、女陰と窄まりが物欲しげにひくつく。
「上の口で桃を食べたから、下のお口はお肉の気分のよ。だから、あなたのソーセージカタクナッターノ、ごちそうになるわよ!」
彼女は腰を落としてがに股気味に足を開くと、少年の足を具意図持ち上げた。
彼の腰から先が宙に浮き、床に背中と肩が押し当てられる。
そして持ち上げられて上下逆さになった屹立に、彼女は女陰を近づけ、挿入した。
対面座位の姿勢を、無理矢理少年が下になるように縦にした姿勢での挿入は、普段とは違う感触を少年にもたらした。
屹立をぬるつく襞が包み込み、がに股気味で立っている姿勢のためか、妙にいつもと違う場所が締め付ける。
彼女は腰を落としつつ、少年の足を引き上げて肉棒を根本まで挿入すると、かはっ、と声を漏らした。
「入ったぁ・・・!」
「あぁあ・・・!」
彼女の感嘆の声と同時に、膣奥が軽く窄まり、少年の亀頭が締め付けられる。
エンジェルだった頃の、締め付けばかりがキツい膣穴とは異なり、襞やざらつく天井を備えた彼女の穴は、軽く締め付けて蠢くだけでも男を絶頂に追いやるほどであった。
しかし、エンジェルの頃からのつきあいのおかげで刺激に慣れ、なおかつ今し方射精したばかりの少年は、ダークエンジェルの肉壷に挿入した程度では達しなかった。
「うふふ、一回出したのに元気いっぱいビンビン丸チンチン・・・」
腹の奥に触れる、固く熱を帯びた屹立の感触を楽しもうと、彼女は腰を軽く回した。
少年の両足を抱えながらの動きのため、肉棒が抜けることはなかったが、それでも屹立が濡れた肉をかき回す感触は、両者に快感を与えた。
「あぁぁん・・・」
「うぅぅ・・・!」
僅かに反った屹立が、浮かび上がる血管や張り出したカリ首で、膣内の粘膜をかき分ける。
折り重なる襞が竿に絡みつき、裏筋を撫で、ざらつく粘膜が亀頭を擦る。
互いに与えあった感触が、二人の口から声をあふれさせた。
そしてダークエンジェルは、さらなる快感を求めるかのように、腰を揺らしていく。
肉棒からそそぎ込まれる快感に、少年は目をぎゅっと閉じて耐えていたが、彼が目を開けば気が付いただろう。彼女が腰を揺らす様は、いつかエンジェルと連れだって訪れた夜の店で、踊り子が男を誘うように踊っていたときの腰と似ていることに。
だが、少年には目を開く余裕はなく、ダークエンジェルにも見せつけるつもりはなかった。
気持ちよければそれでいいのだから。
「ああ・・・奥・・・そこ・・・!」
腰の動きが深く、大きくなり、ダークエンジェルの言葉も甘く悩ましげなものになっていく。
一方彼女の膣内でも、屹立の脈動が大きくなっていた。
二人の限界が迫っている。
そして、彼女は一度腰を浮かして動きを止めると、勢いよく腰を落とした。
半ば以上が膣内に収まっていたとはいえ、その勢いに屹立の先端が膣の奥底を突いた。
肉の穴をかき分けられ、脳天へと抜けていく衝撃と、屹立に絡みつき亀頭を軟らかい肉で削らんとする蠢きに、二人は同時に絶頂を迎えた。
「あぁぁ・・・!」
どちらの口からともなく声があふれ、精液が彼女の胎内に注ぎ込まれた。
そして、しばし二人は硬直していたが、ついにダークエンジェルが動いた。
がに股気味に開いていた両足をまっすぐに伸ばし、膣内から屹立を解放する。精液と泡だった愛液が混ざりあった粘液が、二人の間に糸の橋を架け、ちぎれた。
「一杯一杯出たわね・・・妊娠する前に、精液でおなかが膨れそう・・・」
腹の奥の熱を感じながら、彼女は微笑んだ。
「ねえ、今日こそ一杯出して、私のお腹を赤ちゃんいるみたいにして・・・そしたらね、今度こそザー汁出産するの」
うっとりとつぶやく彼女に、少年は今日も覚悟を決めた。
ご褒美の時間は、今日も続く。
12/10/18 21:38更新 / 十二屋月蝕
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■作者メッセージ
「ご褒美の時間だ、オラァ!」という一言を思いついて書きました。
読み返してみると、このダークエンジェルさんは何なんでしょう。痴女?
いずれにせよ彼女の言葉が割と最低であることには変わりません。
ですがそんな彼女も、妊娠出産すれば多少は丸くなるのではないのでしょうか。

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