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闇夜 |
私は少女を食卓から半ば下ろし、その華奢な片足を椅子の背凭れに乗せる。
宝の貝のように綺麗で艶やかな少女の敏感が、真正面からよく見えるになる。 白かった細い太腿は今や紅潮しきりに火照っており、その付け根から蜜が垂れていた。 陰鬱なる黒いドレスまでもが、既に絞れるほど濡れている。 少女は私と顔を合わせない様に斜めに俯いている。 形のいい小さな唇の端からは蜜や涎が混ざったものが流れ出していた。 私は少女のドレスの下から手を入れ、少女の胸に触れる。 まだまだ成長を始めたばかりとはいえ、先程迄の行為のお陰か感度は最高に良い。 突起の周囲を回す様にして擽り弾くと、耳に喘ぎがダイレクトに届いてくる。 片手で胸をまさぐり、もう片方の腕で再び少女の最も敏感なポイントを責める。 当然のように、少女は私を抱き締めて深くキスを交わした。 しばらくそうして、一度深く達する。 少女が達した瞬間、お互いがお互いを丸ごと取り込まんとする勢いで吸いあった。 休憩に、濃厚な蜜を糸にして外気を肺に送る。 ドレスが少しばかりずれて、桃色の肌よりも淡い敏感が見える。 「…ひあ」 私は頭を動かして、淡くも硬く尖った触角を口に含む。 同時、両手も少女の背後に回して、腰下の秘部を撫でつけて揉みし抱く。 その突起は、少女の身体全ての中で最も甘い部分であった。 正確には味蕾が麻痺している為まったくをもって味など判らないのだが、直感した。 蜜より甘く、ささやかに主張し、何より小さいが私を包もうとしてくる柔らかさである。 少女は私の頭や背中を強く撫でて、無意識に夢中となって涎を垂らす。 「ふぅ」 流石に少女はこれだけだと物足りないのか。 それとも達する事それ自体に慣れてしまったのか。 私は軽い接吻を交わしてから一息つく。 いったい、何度した事なのだろうか。 軽く熱いキスを。 深く激しいキスを。 少女を溺れさせた事を。 しかし、私は全く疲れを感じない。 私は少女を味わい尽くし、それでも未だ一切として行っていない事があった。 自分自身を遣って、この幼い少女と一体と成る。 最後の牙城にして難攻不落の精神的障害だ。 原因。 少女のあまりにも幼い身体が、私には恐ろしいからである。 心中渦巻く私の危惧を理解しているであろう少女は、だらしなく蕩けた顔で笑い掛ける。 「…だいじょーぶ」 果てしなく当てどない声と、満足でありながら強欲な視線が私を優しく射抜く。 私も達する事無く満足していたと同時に飢えていた。 丁度同じ心持であった衝撃は更なる欲望を何処からとも無く引っ張り出してくる。 獣は充分吠えたがって、少女を善がらせたがって居る。 様々な考慮すべき事柄全てを、私は一足飛びで飛び越えた。 「形振り構わんくなるぞ」 「…本望だよ」 恥ずかしそうに、少女は微笑んだ。 私も笑って少女の髪に鼻を寄せ、ゆっくりと匂いを覚える。 そして少女を食卓から完全に下ろし、体の向きを180度変えた。 すらっとしたラインや肩甲骨等は、黒いドレスの上からでも艶めかしくよく見えた。 濡れ切って蜜を滴らせるドレスの端をめくり上げると、少女は手を食卓につけた。 少しばかり足を開かせて、私も膝を曲げて屈んだ。 少女に合わせる形をとって触角を当てると、少女が動いて蜜を絡ませてくる。 幾許かの間はそれを楽しんでいたが、やがて私も動く。 ゆるく、快楽の淵に挿し込んだ。 私の演算能力は途端。 焼き切れた。 思考回路に回復が見られた頃、私は少女を抱えて一生懸命腰を打ちつけていた。 少女は私に背を向けながらみゃあみゃあ叫び、両足を宙にぷらんぷらんと浮かせている。 右肩から柔らかいお腹までを抱え、その手の先は絶えず少女の敏感を刺激していた。 全身がずっと大きく痙攣し、中は私を優しくきつく受け入れており、よく濡れている。 そしてその奥部には壁があった。 自責の念に駆られて一旦動きを緩め、やがて止めて深呼吸をする。 少女は火照りきった体に力が入らないようで、だらんと全身脱力していた。 汗や涎も食卓に飛び散り垂らされている。 結合部を見ると、泡立った白濁蜜が少女の下半身を伝って濡らしている。 私は出来る限り優しく少女を持ち上げ、ひとつになったまま向き合えるように回転させる。 随分と軽く、それは人間ではない為かとさえ思える程に脆く感じた。 回転で生ずるひとしきりの喘ぎ声を聞いた後、少女は焦点の合わない目で私を見る。 正面から、汗と涙と涎まみれの顔の少女はだらりと微笑んだ。 そして気怠そうな所作で上半身を持ち上げて抱きついてくる。 柔らかで少ない膨らみが私の胸に当たった。 額にくっついている髪を払うと、少女の顔がよく見えた。 数え切れない位しても飽き疲れる事の無いキスを深く深く行った。 そしてそのまま、上下に動く。 「…ん、んっ! んっ」 テンポよく、時に回す様に。 私は偶に少女の軽い足を動かして、一体となったまま攻め尽くす。 「…はぁっ、はぁっ、ひゅいっ、ひうっ」 自然に少女の声は消えて、途切れ途切れの甘い吐息が漏れる様になった。 そろそろ限界も近い。 少女も、私自身も。 この状況から最後のペースへは、疲れきって汗まみれの少女が追いやった。 私の口から舌を抜いて思い切りしがみ付いて耳元で囁いたのだ。 もっと愛して、と。 からからでどろどろになった喉を震わせていた。 一層深く突き上げると、とうとう壁が私を受け入れる。 触角の全体がきつく握られて、そのままマッサージされる様に深く押し込まれていく。 自動的だった。 私が全てを挿し込み包まれると、その動作は絞り上げる事に似た動きに変わった。 少女が私の後ろで足をがしり組む。 数秒麻痺していると、今まで以上に吸いついてきた。 戦慄が走る前に、私は少女の奥で達してしまう。 見た目だけなら可憐な女性が、指をぱちんと鳴らした。 「話をしよう」 「何ですか」 「あれは今から云万何千...」 「判ってないじゃないですか」 「しかもあれ結構コケたらしいぜ」 「へぇ、そうなんですか」 「いや知らないんだけどね」 「えっ」 「ところで、本題だ」 「...何でしょう」 「その都市伝説はどうなるんだい?」 私は大学の講義堂で、上司と話していた。 上司と言っても実は彼女も学生であり、専門外の講義はこうして受けたりするのである。 天才のキャンパスライフはよく判らない。 「愛し合っておしまいかい?」 「えぇ、そうですね」 「ふぅん...」 上司は私から初めて話す都市伝説を脳みそに刻む様に、腕を組んで頭を傾けた。 「同じ内容になりますが、続きが判ったら教えますよ」 「ああそれはありがたい。ぜひ頼むわ」 彼女は講義の為にたった一枚持ってきたA4無地の印刷用紙の端に、小文字で要約した。 横に伸びた丸みのある文字である。 「しかし、この男は幸せだねえ。都市伝説は大抵が不幸話だってのに」 不満げにちらりと横目が光る。 やはり説明した事は不味かったかもしれないが、惚気話を誰かにしたくて仕方なかった。 一応自分の事は隠して、秘密も嘘もふんだんに取り入れた。 それでも彼女は恐らく私自身に起こった、怒っている事だと見抜いているのだろう。 私はそのさりげなく聡い眼光に苦笑いして受け流し、指先でペンをくるりと回し、答えた。 「そうですね。これからも幸せであれば、良いですね」 |