ずっと記憶に残る日
「ん……」
……眩しい。
広大な砂漠に点在する遺跡の一室。
魔力によって灯された光を浴びて、僕は目を覚ました。
時計を見ると6時。いつも通りだ。時間に正確な彼女が灯す光は僕が知っている限りでは一度もずれたことはなかった。
ふぁ、とあくびがもれた。
慌ててあくびを噛み殺し、ベッドから抜け出す。
まだ眠気が残っているとはいえ、朝から晩まで予定が詰まっている僕には二度寝をしている余裕はない。第一、二度寝なんてした日には彼女に延々と説教をされてしまう。
そうして起床した僕の一日は朝の体操から始まる。なにやら遥か遠く、ジパングと言う国に伝わる健康体操を彼女がアレンジしたものらしい。
少し面倒だけど、彼女が僕の事を考えて立ててくれた予定の一つだ。それを思えば健康体操なんてどうと言うこともない。
順当に体操をこなしていると、ドアがノックされた。
6時15分、これも正確だ。
「ケイ、起きているか?」
そう言いながら入って来たのはアヌビスのエリー。
凛々しさを感じさせる小さく整った顔立ちにさらさらと絹のような長い黒髪。健康的でハリのある褐色の肌。アヌビスの特徴である黒いつややかな毛並みの耳としっぽがひょこひょこと動く姿はとても愛らしい。
真面目できっちりした性格の彼女は、それを買われてこの遺跡の維持、管理を全て任されている。
僕はその手伝いをしているというわけだ。
朝の体操で始まる僕の生活計画も彼女が作ってくれたものだ。
「うん、起きてるよ」
そう言いながらも、体操は続ける。20分までが朝の体操だからな。
でも、そうしていれば……
「おはよう、エリー」
「ああ、おはようケイ。よし、今日も予定通りだな。感心だぞ」
砂漠に輝く太陽のような笑顔を見せるエリー。
……こんなにもかわいい笑顔を見せてくれるのだ。
この笑顔が見れるから、僕は毎日きっちり起きることが出来ている。
「さて、そろそろ体操も終わるな。終わったら朝食だ、遅れるなよ」
「大丈夫だよ。エリーの作るご飯はいつも美味しいからね」
毎日仕事が忙しいのに手を抜かずに栄養バランスを考えて作ってくれるエリーのご飯は、どこか暖かい感じがしていつも美味しい。
「いつもありがとう」
微笑みながらそう返すと、褐色の顔が一気に真っ赤に染まっていった。
「なっ、お、お前は、こっ、こんな時間からそんな恥ずかしいことを……。遅れるなよ! 1分でも遅れたら朝食抜きだからなっ!」
……僕としては普通に感謝しただけなんだけど。
突然の事に恥ずかしさを堪えきれなくなったのか、勢いよく部屋を出ていってしまった。
……しっぽ、すごい振ってたな。
そんなに嬉しかったんだろうか。
あんなに赤くなって、しっぽをふりふりして。
そこまで喜んでもらえると、なんだかこっちも嬉しくなってくる。
「さて、もう行かないとな…」
エリーの事だ。
多少僕が遅れたとしても最後には許してくれるだろうけど、わざと遅れて不機嫌にすることもないだろう。
ずっと待たせているのも悪いし。
それに……
もうすぐあの日が来るのだ。
僕とエリーの大切な日が。
彼女は毎日の仕事に追われて、忘れているだろうけど。
だからこそ驚かせてやりたいし、喜んでほしい。
彼女の同僚であるスフィンクスや部下のマミー達にも頼んで、その日の仕事を代わってもらった。
その計画をここで悟られるようなことはしたくない。
その為にも僕は足早に部屋を出るのであった。
最近、ケイの様子がおかしい。
なんだかそわそわしているし、たまに顔を見ると、難しい顔をしながら何かを考えているようだ。
「私の手伝いはてきぱきとこなしているんだが……」
声をかけてみても、何でもないというだけで毎回はぐらかされてしまう。
もしかしたら、何か悩みでもあるのだろうか。
しばらく考えてみたが、これと言って思い当たることはなかった。
……それに、おかしいのはケイだけではない。
マミー達は妙に落ち着きがないし、スフィンクスのファニはニヤニヤと笑いながらこっちを見ていることがあった。
……考える程に分からない。
私が何かしてしまったのか?
いや、そんな筈はない。
ケイの為に立てた計画は完璧だし、不備があるようには思えない。仕事を手伝ってもらってはいるが、大量の仕事を押し付けているわけでもない。
自分も決めたノルマを確実にこなしている。
遺跡に張ってある感知魔法にも侵入者が来たような痕跡はないし………
「一体なんなのだ……」
「エリー?」
「ひゃわっ!?」
驚いて顔をあげると、目の前にケイが立っていた。
「どうしたの、エリー? そんなに驚いて」
「な、なんでもないぞ。少し、考え事をしていただけだ」
私としたことが……、ケイが来ていたことに気付かないなんて。
考え込みすぎて周りが見えなくなっていたようだ。普段の私では有り得ない行動に彼はまだ不思議そうな顔をしていたが、私は無理矢理話を逸らした。
「そ、そうだ、見回りの方はどうだ? 何かあったか?」
「いや、何もなかったよ。侵入者もいないし、マミー達もファニも、みんなちゃんと仕事してた」
……やっぱりおかしい。
マミー達はいいが、ファニまでもがちゃんと仕事をしているなんて。
これは本当に何かあったのでは……
思わずまた悩んでいると、ケイが心配した様にのぞきこんでいた。
「本当に大丈夫かい? なんだかさっきからエリーらしくないよ? 声をかけただけであんなに驚いたり」
「いや、大したことではないんだ、気にしなくていい……」
「エリー」
ぽふっ、とケイは突然私を抱きしめてきた。
あ、ケイの胸は暖かいな……♪
見かけは細いが、案外しっかりしていて。
ああ……、幸せだ………じゃなくて!
「ど、どうかしたのか?」
どもりながら聞くと、ケイは真剣なまなざしでエリーを見つめた。
「エリー。僕達は夫婦なんだよ? 自分の奥さんが僕が近くにいることも気付かないくらいに考え事をしていたら、心配する。何か悩み事があるならちゃんと言ってよ」
そんなに心配をかけていたのか。心配していた側のつもりが、ケイにこんな思いをさせてしまうとは……
いろいろなものがあふれ出しそうになるのをケイにしがみついてこらえ、エリーは話し出した。
「……ケイ。最近体調でも悪いのか? 何だかいつもそわそわしているようだし、気になる事でもあるのか? 私は何かやらかしてしまったのだろうか……。それに皆の様子も、特にファニが仕事をしているなんて……」
ケイの笑顔が一瞬固まったように見えた。
「あっ、それは……ね。そ、そう、トイレを我慢してたんだよ!」
「……あんなに何度もか?」
「最近どうもトイレが近くてね……」
「そうなのか……」
身体の不調ならもっと早く言ってくれれば良かったのに。
「でも、ならファニ達は……」
「ファニは……、ようやくやる気を出してくれたんじゃないかな。エリーの説教が効いたんだよ」
「そうだといいんだがな……」
だが気になる。どうして急に……
「そんな事よりほら、もう今日の仕事の時間も終わるよ。そろそろ部屋に戻ろう?」
言われて時計を見ると、もうすぐ10時になる所だった。
「……そうだな、そうしよう」
悩んでいても仕方がない。
仕事が終わってもまだ今日の予定が全て終わったわけではない。
皆がおかしいのは、いずれ分かるようになるだろう。
とりあえず、明日の朝食には頻尿に効く食材を入れてみようと思うエリーであった。
………絶対にあり得ない。
私の朝は早い。
日が昇る前には起きて朝の見回りをし、遺跡内に明かりを灯す。
もちろん、こんな時間から起きているのは私だけだ。
その筈なのに……
「あっ、エリーかにゃ? いつもこんな時間に起きて見回りしてるにゃんて、本当にすごいにゃん」
「……何故だ」
何故、こいつがこんな時間に起きているのだ。
普段は仕事をさぼってまで寝ているのに!
「なぜって何がにゃん?」
「何で貴様がこんな朝早くからおきているんだ!」
とぼけるファニに、思わず声を荒げてしまう。
「失礼だにゃ。わたしもたまには早起きするにゃん。」
……信じられない。
しかし、次にファニが言った言葉は更に信じられないものだった。
「そうだにゃ、今日の見回りはあたしがしておくから、エリーは戻っていていいにゃん」
「は?」
エリーは耳を疑った。
……なんてことだ。ファニが自分から仕事をするだと……
聞き間違いだろうか……、きっとそうに違いない。
「ちょっ!さすがにその反応はひどいにゃん!」
「……いや、だって貴様が仕事などと。風邪でも引いたのか?」
「たまたま早く起きたから、いつも迷惑かけてるエリーに感謝の気持ちにゃん。他意はないにゃ」
「……そんな事をするのなら普段からちゃんとして欲しいものだな」
エリーの言葉を「まあまあ」と受け流すとファニは彼女の肩を叩いた。
「そんな訳で、早くエリーはケイの所にってやるにゃん」
そう言って、エリーの身体を反転させてぐいぐい押してきた。
「ちょっ、なんでそこでケイが出てくるんだ!」
「まあまあ、気にするにゃ。どうせ見回りの後はケイの朝ご飯を作りにいくんにゃろ? だったら今日はケイを起こしてから、一緒にご飯を作ったらどうかにゃ? 明かりもつけておくから」
「だが、それではケイの予定が……」
「予定が早く進む分には特に問題はないにゃ」
「確かにそうだが……」
なかなか予定を変えたがらないエリーに焦れてきたのか、
「ほら! うだうだ言ってにゃーでさっさとケイを起こしに行くにゃー!」
ファニはマミー達が起きだしてしまいそうなほどの声をあげながら、さらに強く背中を押してくる。
「分かった! 分かったから押すな!」
しぶしぶエリーが部屋へと歩き出すと、ファニは大きくため息をついて
「こんの、幸せもんがーー!うにゃーーーー!」
と、大声で言いながら走り去って行った。
一体なんだったのだろうか。
無理矢理押しきられてしまった……
……でも、確かにファニの言う通り予定が早く進む分には仕事には影響は出ない。
なら、たまには朝食を一緒に作るのも悪くないか。
ケイと過ごせる時間も増えるし。
「ファニの助言と言うのが納得行かないが……」
ここはひとつ、ケイを先に起こしてみる事にしよう。
ケイの部屋の前に着いた時には辺りは明るくなっていた。
どうやらファニはちゃんと遺跡全体の明かりも灯してくれたようだ。
「時間には少し早いんだがな……」
まあそれでも、仕事をしてくれる分には感謝せねばな。
そんなことより今はケイの事だ。
「ケイ、入るぞ……」
音を立てないよう、静かにドアを開いた。
だが、まだ彼の起床時間には早い。いつもはエリーが来た時にはすでに起きている彼も、今は寝息を立てていた。
「ケイの寝顔……」
駄目だ……。想像しただけで口元が緩んでしまう。
しっぽが左右に揺れてしまうのが止められない。
エリーは欲に負けてそっとベットに近寄った。
「か、かわいい……」
普段の穏やかながらも、どこか強い意志の見える顔付き。それが成りをひそめた、元々の幼げな寝顔がそこにはあった。
こうして寝顔を見ていると、まだ彼がここに来たばかりの頃を思い出してしまう。
彼は商人である両親と砂漠を渡っている途中に砂嵐に襲われ、この遺跡にたどり着いた。
しばらくして両親が生きていて近くの町にいることがわかっても、ここにいることを選んでくれた。
まるであの時ままのようだった。
「ふふ……ふふふ……」
思わず笑みがこぼれる。
全く、こんなに可愛くて恰好いい旦那さんを持った私は幸せだなぁ……
ファニはこの事を言っていたんだろうか。そうだとしても、絶対に分けてやるものか。ケイは私のものなのだ。
あまりの可愛さに沸き上がってきた撫でてやりたい衝動を押さえられず、肉球でそっと頬をなでる。
すると、
「ん……」
むず痒かったのか、ケイは小さく声を漏らした。
「むふふ……」
笑いが止まらない。
しばらくの間、エリーは彼の寝顔を眺め続けた。
ああ、このままずっと見ていたい……
けれど、こうしているうちにも時間がなくなっていく。これでは一緒に朝食が作れなくなってしまう。
名残惜しいが……
仕方なく彼を起こしにかかる。
「ケイ。起きてくれ」
そう言いながら強めに揺すると、彼は数回唸って、「……はっ!?」と目を覚ました。
「まさか寝坊した!?」
エリーに起こされるとは思わなかったのだろう。
まあ、いつものケイではあり得ないからな。
彼女は彼を落ち着かせる為に微笑みかけた。
「大丈夫だ、寝坊ではない。少し早い時間だが、その、今日は一緒に、……朝食を作ってみたくて」
「? あ、ああ、いいけど……どうしてまた急に?」
「今朝な、見回りをしようとしていたら、ファニがなぜか起きていて……」
そこまで聞くとケイはなるほど、という風な顔で頷いた。
「ファニが朝食を一緒に作ればと言ってきたのか」
「ああ。なんだかやけに先に起こすことを強調していたな」
……ん?
なぜファニが言ってきたで納得するんだ?
あのサボり魔がこんな早くになんて……そうそう信じられることではないのに。
「まあ、そう聞こえただけだろうが」
「そうか、ファニがそんな事を……。これは後でお礼をしに行かないとな」
「ファニにお礼? どうしてだ?」
「それはね………」
ケイが私をベッドに引きずり込んだ。
「なっ!?」
「エリーに朝ご飯を作ってもらっても、無駄になるかもしれなかったからだよ」
あっという間に、私はケイの上に寝かされ、ぎゅっと抱きしめられてしまった。
それだけで私の身体は安心して、自然に力が抜けてしまう。
だが流されるわけにはいかない。今日も仕事が山積みになっているのだ。
「なっ…け、ケイ?何を! ?」
「エリー。今日何の日か分かる?」
今日?
……特別な用事はなかった筈だが。
記憶を探ってみても、特に思い当たることはなかった。
なんなのだ?
急展開に混乱するエリーを、ケイはさらに強く抱きしめた。
「今日は僕達二人の結婚記念日だよ」
「あっ……」
すっかり忘れていた。
こんな大事な日を忘れているなんて……
ど、どうしよう……、ケイになんて言えばいいのだ……
一変して慌てだすエリーの頭を、そっとケイの手が撫でた。
それだけで、エリーは落ち着きを取り戻した。
「心配いらないよ。エリーはいつも仕事で忙しいから。それで、こんな日位エリーに休んで欲しくて、皆に1日だけ仕事を代わってもらうように頼んでおいたんだ」
「……じゃあ、最近ケイがそわそわしていたのも、マミーや……特にファニが真面目に仕事をしていたのも」
「うん、どうしても驚かせたくてね。ファニも、仕方にゃいねーとか言っていたけど、笑って引き受けてくれたよ」
「そうだったのか。それでファニがあんなに」
「まあ、君をそのまま部屋に来させてくれるとまでは思って無かったけどね」
そうだ、朝食……
「朝食が無駄になるとはどういうことだ?」
「ああ、それは、これから僕達二人は愛し合うからだよ」
なっ!?
どうしてそうなる!!
「……一緒にご飯を作るのも、悪くはない提案なんだけどね。ずっと考えていたんだよ。エリーを喜ばせてあげられるものは何か」
思った事がそのまま声に出てしまっていたようだが、今のエリーにはそれを理解する余裕はなかった。
「最近はあんまりできてないし、これが記念となる日に一番ふさわしいものだと思ったから」
「だ、だからと言ってこんな……ひゃあ♪」
返そうとした言葉は、彼が不意に私の耳を舐めたことによって止められてしまった。
「け、ケイ……そ、こは、だ、だめ……ぁ♪」
必死に止めようとするが、舐められ甘噛みをされるたびにどんどん力が抜けていく。
そうしているうちに彼はエリーをベッドに寝かせて乗りかかる形になると、つぅっ、とお腹を撫でまわす。
「ふぁ…♪あっ……あぅ…♪」
だめだ……♪な、流されて……♪
肌をなぞられるたびに少しづつ快楽に染まっていくエリーに満足したケイは、今度はエリーの水着の様な服をずらして先端に触れないようにゆっくりと胸を揉み始めた。
「ふぁ……♪♪胸もっ…♪だ、めっなん、だっ……♪ひぅ、だめ……っ♪」
ど、ドロドロしたのが……お腹…、し、子宮に…ぃ…♪
思いとは裏腹に、エリーの本能は目の前のオスが与えてくれる快感に打ち震えていた。
「好きだよ、エリー」
「ひぇっ……?」
「きちんと計画を立てて、それをちゃんと実行していく君もかっこよくて素敵だし、突然の出来事に対応できなくて慌ててる君もかわいくて好きだよ。それに、」
ピン、と浮き上がっているエリーの胸の先端を弾いた。
「ふぁぁっ♪♪」
「こうやって、感じてるとろけた顔も素敵だよ」
「ケ……イ♪だ……め………♪」
「でもエリー。そう言っているけど」
ケイが視線を下ろしたのにつられてエリーも下を見ると、エリーの秘部を覆った布からは愛液が染み出し、黒い布地がさらに光沢を帯びていた。
下腹部の疼きも、ケイが触れるたびに増していく。
「エリーの身体は今日の贈り物をすごく喜んでくれてるみたいだよ」
「そ、んな……、ぁ♪♪こ、となっ……ひぃ♪」
「本当に、そうかな?」
口では否定しながらも、身体はもうすでにケイとする準備を終え、あふれ出す蜜も布では最早抑えきれずベットを濡らし始めていた。
「だから、ね、エリー。素直に受け取ってよ。僕のプレゼント」
……ケイの、プレゼント。
うまく回らない頭でその言葉を思い浮かべた瞬間、ケイの両手がエリーの乳首を同時に摘み上げた。
「ひっ……♪〜〜〜〜っぁっ♪♪♪♪」
声にならない音を漏らしながら、エリーは絶頂した。
むね、っ…があっ……♪
「ふふっ、イッてる君もかわいいよ」
ビクビクと痙攣するエリーを見下ろし余裕げに言うケイだが、既に彼も限界ギリギリの所まできていた。
エリーのイキ顔や、彼女から放たれる雌の香りのせいで、ただでさえ溜まっていた彼の股間ははち切れそうになっている。
「エリー、僕の贈り物を受け取ってくれるかい?」
「ぁ………、の………♪」
絶頂の余韻で身体を震わせてエリーは何かを言いかけたが、小さく息が漏れただけだった。
ケイの、プレゼント……それなら……
「どうしたの?」
「ぷ……、プレゼントなら…………子供が欲しい…。ケイ、との……」
恥ずかしさの所為か消え入りそうな声でそう囁くエリーに、今までなんとか平静を保っていたケイの理性はブツンと音を立てて切れてしまった。
「エリー!!」
「ふぁあっ♪、…っひゃいぃぃぃん♪♪」
ズボンを引き千切らんばかりの勢いで脱ぎ捨てると、ぐしょぐしょになってしまったエリーの秘部を覆っていた布を引き下ろし、その勢いのままいきり立ったそれを挿入した。
そん、なぁっ♪……い…きな…りいっ…♪
抉るような突きが子宮口を叩いた瞬間、どぷり、と熱が弾ける感覚にエリーはまた一気に達してしまった。
きたぁ…♪♪ケイの、が…ぁ♪
バチバチ、…ってえ♪
「ふわっ♪……わふぅ…♪わふっ♪わふっ、ふぅ……♪」
しかしそれだけでは終わらない。
「絶対に、君に、赤ちゃん、プレゼント、してあげるから、ね!」
ケイは歯を噛みしめて唸りながら、エリーの押し込めば甘えるように絡みつき、引き抜けば行かないでと彼のそれを締め付ける穴に刻み付けるように何度も何度も腰を打ち付けた。
「わふっ…♪……わおーん♪♪」
こうして二人して予定を忘れて一日中抱き合ったまま、一生思い出に残る結婚記念日を過ごしたのでした。
彼女の願いは叶ったのかどうかは
「おめーら爆発しろにゃー!!!」
と叫びながら走り去っていったファニが全てを物語っているのでした。
14/03/12 05:26更新 / 古蛙