読切小説
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大好きなボクのおにーさん
「おい、メーリン」
「なんですか、サーニャ様?」
「今日は黒ミサじゃが、お前相手いないよな?」
「………………」

ミラーサバト、その中心であるサーニャ様は、ボクを呼びつけてすぐに、それはなんの嫌がらせなの?と言った感じの質問を投げかけてきた。
いきなりの言葉に、ボクはグサッとなりながらも、とりあえず答える。

「ええ、まぁ……たしかに、相手いないからお酒飲む気ですけど……」
「む、酒を飲む気じゃったか。ならちょうど良い。今夜、ここに行ってくれないか?」

そう言ってサーニャ様はメモを手渡す。
どれどれ、と内容を確認してみると、書いてあることは、場所を示すには少し不思議な書き方をしていた。

「あの……サーニャ様、行き方を書いてあるのはいいんですけど、肝心の店の名前が……」
「うむ、それは仕方がないのじゃ。わしも知らんからの」
「え?知らないって、どういうことですか?」
「いやの、わしも人に頼まれての?場所のメモを受け取って、ここに誰か行かせてこいとな。じゃから、詳しいことはわからんのじゃ」
「そうですか……」

うーん、サーニャ様にそんなことを頼める人がいるとしたら、他のサバトの長達か、または……ラインのあの人達とか、かな……?
サーニャ様の話を聞いて、そう思いながら、ボクは曖昧に頷いた。

「じゃが、一応、酒は飲めると聞いたの。今日はサバトの経費で落としてやるから、行ってはくれんかの?」
「……わかりました。そこまで言うなら、行きます」
「すまんの、黒ミサの日なのに別のことを頼んでしまって……」
「いいですよ。どっちにしたってボク一人で飲むつもりだったんで」
「……すまんの」

どうせ、ボク以外に相手がいない魔女なんていないから、一人で飲むしかいもんね……
悲しい現実にどんよりしながらも、ボクは承諾するのだった。


××××××××××××××××××××××××××××××


黒ミサが始まる少し前に、ボクはサバトからでて、近くの街に来た。
幸い、メモに書いてあるところは、現在のサバトの拠点の近くの街であったため、移動にさほど時間はかからなかった。
というか、サーニャ様に依頼した人は、サバトの拠点とこの街が近かったからサーニャ様に依頼したんだろうなぁ……
まぁそれはともかく……
今日はもうこれ以外の仕事はないし、お酒飲めるそうだし……

「思いっきり息抜きしよ〜っと♪」

と、言いながら、ボクは満面の笑みを浮かべた。
ふっふふんっふっふふんっ♪と鼻歌を歌いながら、ボクはスキップしてメモに書いてある場所へ向かう。
仕事の終わったあとのボクのこの様子を見て、子供っぽいとか、落差が激しすぎるとか、演技じゃないの?とか言われるけど、ボクの本来の性格はこんな感じだし、そもそも見た目は完全に子供なんだから、どこもおかしいところはないと思う。
まぁ、それはともかく、書いてある場所に向かってるには向かってるんだけど……

「路地裏の突き当たりって、すっごい怪しい場所よね〜」

そもそも、メモに書いてあること自体あまり信用出来ない。
とりあえず、路地裏の突き当たりに青い扉があるから、そこに入ればいいよ☆
って書いてあったから、なぁ……
というか、言葉でいうならともかく、文章で書かれてるとすっごいムカつくなぁ……
せめて、このメモを書いた人が女の人だといいなぁ……
男の人だったら、なんかおかしい気がするし……
と、そんなことを考えていると、路地裏に到着した。
そして、目の前には……

「……なんで、扉しかないの……?」

たしかに、青い扉があった。
だけど、青い扉しかなかった。
……いったいどうすればいいのかな……?
笑えば、いいのかな?
と、思ったのも束の間。すぐにボクは扉が普通のものとは違うことに気がついた。
扉から、光が漏れてる……
てことは、どこかに通じてるってことかな〜?
まぁ、入れってメモに書いてあるから……

「ノックしてお邪魔しま〜す」

とか言いつつ、ノックしないでボクは扉を開け、中に入った。

「いらっしゃい」

扉をくぐると、その先には、酒場のような、しかしそれよりも静かで落ち着くような雰囲気の場所にボクはたっていた。
カウンターの方にいる、店主みたいなおにーさんが声をかけてくる。

「お嬢さんが今日のお客さんやね?初めまして。われは北岡 銀次(きたおか・ぎんじ)いうもんや。よろしくな」
「初めまして!ボクはメーリンです!よろしくなのです!」

姿を見てみると、別段悪そうな人には見えないため、ボクは少し安心しながら挨拶を返した。
と、おにーさんはおや?と首を傾げた。

「僕……って言ってるってことは、あんさん、その格好で男の子なんか?」
「むぅ、違うよ〜!ボクはちゃんと見た目通りの女の子だよっ!」
「ああ、すまんすまん。ぼく言うたら男の子かと思ってな。ほら、おるやろ?なんか、女の子のカッコをしてる男の子とか……」
「え?そうなの?」
「……知らんかったらええわ。ま、お詫びといってはアレやけど、これで許したってぇな」

むぅ、ボクの見た目はどう見たって女の子なのに、それでも男の子だと疑うなんて、失礼しちゃうな……
それにしても、喋り方に癖のある人だなぁ……ジパングの出身のなのかな……?
でも、銀髪なのを見ると、そうは思えな……いや、いたか、ジパングの出身なのに銀の髪の人……
と、考えながらおにーさんの近くの席に座ると、おにーさんはお詫びにと飴玉の入った袋を出し、袋の口を広げてボクに向けた。

「どれでも好きな味取ってくれてかまへんよ。この袋にないんやったら、言ってくれや。なんとかするから」
「わ〜!いいの、おにーさん?」
「ああ、ええよ」
「ありがと〜!なにがいいかなぁ……?」

飴をくれると言うので、ボクは喜んでお礼を言いながら、ガサゴソと袋の中を漁った。
イチゴ味、レモン味、メロン味……
グレープ、ブルーベリー、オレンジ……
いろいろな種類があって、ボクは悩む。
けど、すぐに、ふと昔たまたま舐めたことのある味を思い出したので、ボクはおにーさんに訊いてみることにした。

「おにーさんおにーさん、ジンジャーエール味ってありますかー?」
「ジンジャーエール味?うーん、聞いたことないなぁ……」
「そうですかぁ……」

前に一度、よく作製した魔具の売り込みをする街であるラインの領主様がくれて舐めたんだけど、とても美味しかったんだよねぇ……
まぁ、あそこにあるってことは珍しい可能性が高かったわけだし、仕方がないかぁ……
そう思って、別の味にしようと思って袋を漁ろうとすると、おにーさんが、そんなにガッカリせんでええよ。と言って、ひょいと袋を下げてしまった。

「“なければ、置けばええ”んやから」
「おく?」
「せや。こんな感じにな。ほれ」

そういうと、おにーさんの前に、飴の入った袋が現れた。
突然の出来事に、ボクはふぁっ!?と驚くのと同時に、興味を持った。

「これでよかったか?」
「あ、うん。それであってるけど……さっきの、どうやったの!?」
「ん?ただ呼んだだけやけど?」
「よぶ……?」

突然現れた袋の中にあるジンジャーエール味の飴を、臆することなく取って舐めながら、ボクは首を傾げた。
うーん、転移魔術とかなら魔力でわかるだろうし〜……
もしかしたら……魔法?
……って、今日はもう仕事しないから遊ぶって決めたのに、なんか研究の時の頭になっちゃった……
そう思いながらも、ボクの頭は研究時から変わらず、おにーさんの説明を聞いていた。

「われはな、昔から物を呼んだりできるんよ」
「ん〜それって、ボクの知ってる人と同じような能力だね〜」
「あ〜、もしかして、ラインゆー街の魔法使いっちゅう存在か?」
「うん。そうそう。おにーさん、ラインのこと知ってるんだ?」
「まぁ、知り合いがよう行ってるらしいからな。話はよう聞くんや。われのはそこまですごいことは出来んよ。呼べる物だっていろいろと制限あるしな」
「そうなんだ〜?」

説明を終えると、おにーさんは、ああ、おしゃべりに夢中になってしもたわ。と言って、飴の入った袋をしまった。

「これは真っ先に聞かなあかんことやったんやけど……お嬢ちゃん、なに飲まれます?」

そういえばそうだっけ〜。
ボクもおしゃべりに夢中になって忘れてたけど、ここには飲みにきたんだった。

「うーん、そうだなぁ……とりあえず、おにーさんのオススメのお酒で!!」
「お酒って……お嬢ちゃん、そんな見た目なのに酒のんで平気なんか?」
「大丈夫だよっ!こう見えても黒ミサの時は結構飲んでるんだから!」

……理由は、相手がいないっていう悲しい理由なんだけどね……
そう心の中で呟きながら、えっへんと胸を張ると、さよか。そしたら……これなんかどうや?と、おにーさんは一本の瓶を出してきた。

「えーっと、なになに〜?“鬼ごろし”?」
「われはあんましアルコール感じへんのやけど、結構強いやつらしいで?」
「うーん……じゃあ飲んでみるっ!」
「んじゃ、どうぞ」

名前からすると、ジパング地方のお酒なんだろう。
どのくらい強いのか面白そうだったから、ボクは迷わずGOサインを出した。
オッケーをもらったおにーさんは、グラスにそのお酒をついで、ボクに出す。

「ほな、われは緑茶でも飲むかな」
「そしたら〜、かんぱーい!」
「乾杯、や」

なにに乾杯なのかはわからないけど、ノリで乾杯してから、ボクはグラスに入ったお酒を一気に煽った。
本当にアルコールがキツイのか、喉の辺りがカーッとなる。
少しジンジンしたので、落ち着くまでプルプルと我慢し、落ち着いたところで、ぷはぁっ!と持っていたグラスを置き、息を吐く。

「うん!美味しいね!」
「そうか。しっかし、ええ勢いで煽るな」
「そうかな?ボク的にはこの飲み方、面白いんだよね〜」
「われはちびちび飲むのが好きやなぁ」
「へぇ……じゃあ、今度はそうやって飲んでみよっと。あ、お代わりください!」
「はいな」

ほい、どうぞ。といいながら、おにーさんはお酒のお代わりをグラスについでくれる。
と、それにしても、珍しいよなぁ。と、おにーさんは話し始める。

「現の人間が狭間の世界に来るなんて、そうそうあることじゃないんやけど……」
「はざまのせかい……?」
「おや?お嬢ちゃん、ここに来る前に誰かに説明されなかったんか?」
「ないです!ただお前相手いないからここに行けって言われて来ただけです!」
「それは、なんというか……ご愁傷様、と言えばええんかな?」
「大丈夫なのです!どうせここに来なくても相手いなくて飲んでるだけなんで!なんでここに来れてよかったです!話し相手と美味しいお酒がありますから!」
「そか。それはよかった。……説明するとな、ここは狭間の世界ゆうて、まぁわれもよくわからないんやけど、会員制の店みたいなもんで、ある特定のもの以外は来れんらしいんよ」
「そうなんだぁ……あ、お代わり〜!です!」

話が切れたところで、ボクはグラスを掲げてお代わりを頼む。
おにーさんは、はいな。と答えてお代わりをつぐ。

「で、どうやった?われの飲み方は?」
「うーん、まぁまぁかな〜?美味しいには美味しいけど、カーッとならないからなぁ……」
「いや、それはなっちゃあかんやろ……」
「そうなの?」

お酒を飲む理由がストレス解消だし、カーッとした方が気分がすっきりするからいいんだけどなぁ〜、と思っていると、喉痛くならないんか……?とおにーさんが心配そうな顔で見てきた。

「うーん、大丈夫、かな?今までそんなことなかったし」
「さよか。まぁ、その飲み方が好きなら、われの飲み方はまぁまぁやろな。あれは景色とかを楽しんだりする飲み方やからな」
「そうなんだぁ……そしたらボクも景色を楽しみながら飲みたかったなぁ……」
「飲んでみる?」
「へ?」
「景色楽しみながら、飲んでみる?」
「え、出来るの?」
「出来るで〜」

じゃあ、やろか。
そういうと、突然ボクのいた店の空間が捻じ曲げられ、気がついたら、ジパングにあるお屋敷のような場所にボクとおにーさんはいた。

「え、え?おにーさん、なにやったの?」
「そうやなぁ……なんちゅうか、ここの特性を使ったんよ」
「ここの……?」
「ああ、ここ狭間の世界は、現実にはない、夢のような現のような世界なんよ。だから、こんな風に、好きな場所にすぐに移動出来るんや。それよりも、ほら見てみ。アレ、綺麗やろ?」

驚いておにーさんになにをしたのか訊くと、おにーさんは説明をしながら部屋の外の廊下……たしか、縁側、って言ったかな?……に移動し、外にあるソレを指差した。
おにーさんの指差した先には……

「うわぁ……」
「凄いやろ?ここで一番綺麗な……桜や」

満開の、大きな桜の木が、満月に照らされていた。
春でないのに、満開の、季節外れな桜。
それを見たボクは、感嘆の声をあげて、その綺麗な景色に呆然としていた。
心奪われたようになっているボクの姿を見て、おにーさんは気に入ってもらえたようで何よりだわ。と言ってから、説明を続けた。

「たしか、ここはある建物の再現で、名前が……ええと、しらたまおう?まぁともかく、ここでは桜が年中咲いてるんよ」
「綺麗だねぇ……」
「ああ、そうやな。……さてと、じゃあ、花見酒と洒落込むかいね。つまみはなにがええ?」

おつまみかぁ……うーん、いつもはチーズとかビーフジャーキーだったりするんだけど……そうだなぁ……
あ、せっかくジパングのお酒なんだし……
おつまみをなににするか訊かれたボクは、ふと思いついたそれを頼む。

「煮干しでお願いするのです!ジパングでは煮干しをおつまみで食べるんですよね!?」
「ま、まぁ、そう……やね。なんというか、またずいぶんと渋いもんを選ぶなぁ……」

まぁええわ、それにしよ。
そういうと、おにーさんは木製の丸いテーブルとお酒の瓶と、ボクの言った煮干しに、ビーフジャーキーなどのおつまみをたくさん、縁側に“呼んだ”。

「そしたら、飲もか。……と言っても、われが飲むのは茶やけどな」
「はいです!」

そう言って、ボク達は縁側に座って、静かに桜を見ながら飲む。
会話はなく、無言のまま、ボクもおにーさんも、ただ桜を見ている。
いつもの黒ミサの時みたいに、お酒を飲んでいるだけなのに、ボクは、妙な安らぎと、安心感を感じていた。
綺麗な桜を見ているからか、それとも……
おにーさんが、いるからなのかな……?
お店にきて、おにーさんと話していくうちに、ボクの心は、いままでにないくらいに、ウキウキとしていた。
もしかしたら、ボクは……
そう思いながら、おにーさんの方に視線を移してみると、おにーさんは、まるでここじゃない遠くを見ているような目をしながら、ポツリ、とつぶやいた。

「懐かしいわぁ……あそこ、どうなってるんやろな……」
「……どうしたの?おにーさん」

気になって訊いてみると、おにーさんは、ちょっと昔のことを思い出してただけや。と答えて、さらに話を続けてくれた。

「いやな、実はな、今日みたいに誰かと花を見て飲むんは、久しぶりなんよ」
「そうなの?こんなに綺麗な桜があるんだから、もっとやってるのかと思った!」
「そうやなぁ……われもやりたかったんたけど、この世界の住人はあんまし飲まんからのぉ……」
「そしたら、おにーさん一緒にお花見いこうよ!ボクのサバトはね、毎年春の桜が満開になる頃にね、ラインって街でお花見してるんだ!たっくさん人が集まるから、きっと面白いよ!!」
「せやなぁ、行けたら、ええんやけどなぁ……」
「行け、ないの……?」

折角だから、とお花見に誘ってみるけど、おにーさんは少し悲しそうな顔をした。
その顔が、妙にボクの胸を締め付ける。

「残念ながら、な……われはな、この世界から、でられないんよ……」
「え……?」
「われら狭間の世界の住人はな、この世界の特性を受け継いでてな……夢と現……つまり、存在と非存在の境界が曖昧なんよ。だから、外の世界に出れば、境界がどちらかに傾いて……最悪、存在がなくなる。やから、出られんのよ」
「そう、なんだ……」

そこまで話を訊いて、ボクは少し泣きそうになって、そして、確信した。
ボクはおにーさんのことが、好きになっていた。
まだそんなに話していないのに、長い時間過ごしてるわけじゃないのに。
一目惚れってやつ、なのかな……?
いままで感じたことなかったけど、これが、人を好きになるってこと、なんだろうな……
でも、おにーさんとは、一緒にサバトには行けない……
……折角、好きな人が出来たのに、一緒にいれないのかぁ……

「あーあ、おにーさんがボクのおにーさんになってくれたらいいなって思ったんだけどなぁ……外の世界に出れないんじゃ、しょうがないか……」
「われも、お嬢ちゃんみたいな妹、欲しかったなぁ……」
「ありがと、おにーさん!」

少しわざとらしく言うと、おにーさんはポンッとボクの頭に手を置いて撫でながらそう答えてくれた。
おにーさんの言葉が嬉しくて、ボクはおにーさんの腕に、左腕を絡ませた。
本当は両手で抱きつきたかったけど、お酒の入ったグラスを持ってるからできなかった。

「……ほんと、可愛らしいやっちゃな……なんでだぁれも見向きせえへんかったんやろ?」
「………………」
「あ、いや……すまん……」
「いいもん。おにーさんに出会えたからいいもん……」
「ははは……嬉しいこと言ってくれるなぁ……」
「……話しかける前に他の子に取られてたけど、いいもん……」
「…………………………」

……自分で言ってて、ちょっと悲しくなってきた。
おにーさんも、顔が引きつってて、なんて言ったらいいのかわからない風だ。
早く話題を変えないと!と思って話題をあれこれ探していると、おにーさんは何か考えるような顔をした後、よし!と手を叩き、そして、ボクを驚かせる、でも、嬉しい一言を言ってくれた。

「なら、ここにいる間くらいは、われがお嬢ちゃんの“兄ちゃん”になったる!」
「え……いいの?」
「ああ、われもこんな可愛い妹が欲しかったしな!むしろ、お嬢ちゃんはいいのか?こんなのが兄ちゃんで」
「いいよ!おにーさんがおにーさんになってくれて嬉しい!」

おにーさんがボクのおにーさんになってくれる……
その言葉を聞いた時、ボクは嬉しくて、おにーさんの腕に絡ませている腕の力をキュッと強めた。
そんなボクの様子を見て、おにーさんは嬉しそうに笑ってくれた。

「そっか。それはよかった。したら、そんな可愛い妹の……メーリンに、プレゼントや」
「え、なにかな?」

名前で呼んでくれたことをうれしく思いながら、ワクワクして手に持っていたグラスを置き、おにーさんからのプレゼントを受け取る。
それは、鮮やかな赤色をした、小さな袋だった。

「なにこれ?」
「そうやなぁ、通行証、みたいなもんやね。これを握って念じれば、いつでも狭間の世界に来れるんよ。……われと話したかったら、いつでも来れるように、な」
「ありがとう!……いつでも、おにーさんに来れるんだ……えへへ……」

一度諦めたからか、おにーさんの行為の一つ一つが、すっごく嬉しかった。
はしゃぐみたいに、ボクは喜ぶ。

「さて、じゃあメーリン、なにやる?」
「とりあえず……まだお酒があるから、飲む!」
「なら……引き続き、夜桜を楽しみながら飲むか……」

お酒をボクのグラスに注いで、おにーさんは微笑みながら言ってくれた。

「よーし、今日は黒ミサだし、イチャイチャしている子達に、ボクにもおにーさんが出来たぞー!って飲むのです!……っと、そうだ。おにーさん」
「なんや?」
「お膝に乗りたいです!」
「ええで。ほれ、のり」

ボクが頼むと、おにーさんはあぐらをかいてポンポンッと膝を叩いて来ていいよって誘ってくれた。
それを見てボクはわはー!と目を輝かせておにーさんのお膝の上にピョンッと乗り、そこでお酒を飲み始めた。
おにーさんは、膝に乗ってお酒を飲んでいるボクに、ほんと、可愛いなぁと言いながら、ボクの頭にポンッと手を置いて撫でてくれた。
ボクの頭を撫でるおにーさんの手は、とても暖かくて、心地よかった。

「……いいなー、こんな夜……」
「……せやね」

ポツリと呟いたボクの言葉に、おにーさんは何かを感じたのか、ボクの腰あたりに手を回して、軽く抱き寄せてきた。
おにーさんの暖かさが、背中とお腹のあたりから伝わってくる。

「えへへ……おにーさん、あったかいね……」
「メーリンも、あったかいで。それに、良い匂いや……」
「むぅ……恥ずかしいよ……」

おにーさんがボクの首元に顔を寄せてきたので、恥ずかしかったから少し抵抗してボクは首を曲げておにーさんの邪魔をした。
おにーさんは、ボクが邪魔してきたので、首を戻して、少しむぅっとした。

「ええやないか、二人っきりやし、別に恥ずかしいことは…………あるか……」
「でしょー?」
「でも、良い香りなんは、事実やで」
「だから恥ずかしいって〜!」

もう、と抱きつかれたまま顔を上げておにーさんの顔を見ると、すまんすまん、とおにーさんは謝ってボクの頭を撫でてくれた。
妙に気持ち良くて、ボクはふにゃあ……と猫みたいな声を出す。
……しばらく撫でてもらってから、ボクはもう一度、おにーさんに確認した。

「……ねぇおにーさん、また、ここに来ても……良いんだよね?」
「もちろん。なんだったら、毎日来てもらってもええで?」
「そんなこと言ってもいいのかな〜?本当に毎日来ちゃうよ?」
「ええで。メーリンと一緒にいられる時間が増えるからな」
「……そっかぁ、いいんだぁ……えへへへへ……」
「……なぁメーリン、もし次ここに来るとしたら、いつになるんや?」
「え?えーっとね……そうだなぁ、黒ミサの度にここに来たいから……明日とか、明後日とかかな?」
「ほう!えらい早いなぁ?黒ミサっていうと、今日もそうやなかったっけ?」
「そう、なんだけど、ボクのサバトは他のところよりも黒ミサが多くてね……週に五回、ってところかな?」
「それは……えらい多いな……ま、そのおかげでメーリンが週五で来てくれるんや、感謝せんとな」

おにーさんはそう言って桜の方を向いた。
ボクもおにーさんの視線に釣られて、桜を見る。
大きくて綺麗な桜が花びらを散らしながら、月明かりに照らされている。
……おにーさんの言ってた通り、こういう時に、ちびちび飲むものなんだなぁ……と思いながら、ボクはグラスを傾ける。
と、おにーさんが不意にまた口を開いた。

「……次にメーリンがここに来たら、今度は、海を見ながらとか、良さそうやなぁ……」
「海を見ながらかぁ……うん、良さそうだねぇ……」
「メーリンには、たくさんの景色を見せたいからなぁ……他には、どんなところがええやろか……」
「あはは……どこでもいいよ。ボクは、おにーさんと一緒にいれれば、なんでも楽しいから」
「嬉しいこと言ってくれるなぁ……」
「ふにゃうっ!?」

もう本当に可愛いなぁ……と、おにーさんが突然ボクに頬ずりをしてきたので、ボクは驚いて変な声を上げてしまった。
……むぅ、おにーさんばっかり……
嫌じゃないけど、でも……

「むぅ〜、おにーさんばっかりズルいです!ボクもなにかおにーさんにしてやるのです!」
「ははっ、すまんすまん。メーリンがあまりにも可愛くてな……ええで。メーリンがしたいこと、なんでも兄ちゃんにやってもええで?」
「……本当に、いいの?」
「ええで〜」
「そっかぁ……そしたら……」

ボクのしたいこと、なんでもしていい……
その言葉を聞いた時、ボクはおにーさんにしたいことは、すでに決まっていた。
本当に、なんでもしてもいいんなら……
コトッと、グラスをテーブルに置く。
そして、自分の本能に、素直に従った。

「えいっ!」
「ん?っんぅ!?」

ボクはおにーさんの唇に、ボクの唇を重ねた。
驚いておにーさんはボクのことを引き離そうとしてきたけど、ボクは構わずに足で床を蹴っておにーさんと一緒に倒れこんだ。
そしてそのままボクは、おにーさんの口の中に舌を入れて、おにーさんの舌に絡ませた。
ペチャ、ニチャ、といういやらしい音が、耳に入ってきて、ボクの感情を昂らせる。
と、ついにおにーさんがボクを持ち上げてお互いの体を離してしまった。

「め、メーリン、いったいなにを……!」
「……むぅ、おにーさんが悪いんですよぉ?おにーさんがなんでもしていいって言うからぁ……」

驚いた顔をしながら息を荒げるおにーさんを見て、ボクは自分でもわかるくらいに、えっちな顔で微笑んでいる。
さっき急に離されちゃったせいで頬っぺたについた唾液を指で取って口に入れてから、ボクは床に手をつき、もう少しでまたキス出来そうな位置に顔を近づけた。

「ボクはね、おにーさんの妹になったけど、女で、魔物なんだよ?」
「………………」
「ううん、違うね。妹だけど、じゃなくて、妹だからこそ、だね。おにーさんの妹で、女で、魔物だから、大好きなおにーさんと、“こういうこと”、したいの」

そこまで言ってボクは、完全に体をおにーさんに預けて、口を耳元に持っていき、そして、誘う。

「ねぇ、お願いおにーさん。ボクと一緒に……気持ちよく、なろ?」

ボクの誘いに、おにーさんは答えない。
ただ、ポンッと手を置いてきた、だけ……
……駄目だった、かな……?
嫌われちゃった、かな……?
そう、不安になった頃に、おにーさんの口が開いた。

「メーリンは、ええんか?われみたいなもんが相手で。後悔は……せんか?」
「しないよ。するわけがないよ。だって、大好きなおにーさんが相手なんだもん」

そんな心配なんて必要ないよ。そう言って、ボクはおにーさんの首筋を舐めて、そして耳元で囁く。

「おにーさん、だぁいすき……!」

そうボクが囁くと、おにーさんは、わかった、と短く答えて、あとは行動で応えてくれた。
よっと、とおにーさんはボクの体を起こして、ボクの服を脱がす為にボタンに手をかける。
でもボクはその手を止めて、自分で服を脱ぐ。
上のボタンを全て外したあと、片腕で体重を支えながら、下着を脱ぐ。

「おにーさんは、おっぱいは大きい方が好き?小さい方が好き?」
「そんなの関係ない。われはメーリンが好きやからな」
「そーゆー意味で訊いたわけじゃ……ぁっ……」

四つん這いになりながら訊くと、おにーさんはそう答えたので、ボクはぷくりと頬を膨らませる。
けど、おにーさんがボクの胸に吸い付いてきて、ボクは気持ち良くて文句が言えなかった。
自分以外誰にも触られたことのない胸に、おにーさんのザラザラした舌の感覚が伝わる。
自分で弄るよりも強い快感が駆け巡る。
さらに、おにーさんの指が、ボクのおまんこを弄り始めた。
甘い、とろけるような快感がじんわりと染み込んでくる。
ボクは魔物らしく、その快楽に溺れたくなったけど、だけど、それを堪えて、おにーさんの攻めを止める。
だって……

「おにーさん、またおにーさんばっかりになってるよ〜!」
「む?ああ、すまんすまん。どうもメーリンにはいろいろとしたくなるんよな……」
「むぅ……それじゃやだよ!おにーさんがボクにいろいろしたいように、ボクだっておにーさんにいろいろしたいんだから!」

そう言ってボクは後ろに下がって股の辺りまで行き、おにーさんの着ている着物をずらしておちんちんを出す。
やっぱり興奮してるからか、おにーさんのおちんちんはもう結構な大きさになっていた。
でも……

「まだまだ、大っきくなるよね?」

ニッコリと笑って、ボクはおにーさんのおちんちんに触って、扱き始めた。
最初は少しぷにぷにとした柔らかめの感触を楽しむように少し力を入れてゆっくりと。おちんちんが上を向いて硬くなってきたら、手の皮を擦らせるように素早く、力を入れないでおちんちんの頭のぷにぷにした部分を中心にして扱く。
たまにおしっこの出る穴に指先を触れさせて入り口をクリクリしながらおにーさんのおちんちんを扱いていく。

「おにーさん、どぉ?気持ちいい?」
「あ、ああ……メーリン、かなり上手いなぁ……誰かと、一緒にしたことあるん?」
「ないもんっ!おにーさん酷いよそんなこと言うなんて〜!そんなおにーさんには、こうだっ!」
「ぅあっ……」

おにーさんの言葉に少し怒ったボクは、おちんちんがいっぱい大きくなったのを見計らって、パクッとおちんちんを口の中に頬張った。
口の中に、人肌の熱さと柔らかいのと硬い感触、両方を感じる。
ボクの口の大きさじゃおちんちんの頭と、そのちょっと先までしか入らないけど、それでもいい。
そのままボクは適度に甘噛みを混じえながら、おちんちんの先っぽや頭の笠の部分を舌先で舐めていく。

「ほひーはん、ひほひひぃ?」
「あ……う……」

上目遣いになりながらおにーさんの顔を見ると、おにーさんが可愛らしい顔になっていたから、ボクはもっとおにーさんを気持ち良くさせたくなった。
おちんちんの頭を咥えるのを止めて、今度は横から咥えて、上下に口で扱いていく。
ボクの唾液が絡みついて、手でやった時と違ってヌチャッヌチャッとエッチな音が立ち、ボクやおにーさんをさらに興奮させる。
と、舌も使っておにーさんのおちんちんを扱いていくうちにおちんちんが、ピクピクとしてきた。

「あは☆おにーさん、そろそろイキそうなんですか……?」
「そ、そやな……予想外に、気持ちよかったからな……」
「そう言ってくれると嬉しいのです!でも、まだイッちゃ駄目だよ〜。最初は、ちゃんと中で出して欲しいもん」

もうすぐイッちゃいそうだから、ボクはフェラを止めておまんこをおちんちんの竿に当てる。
おにーさんに弄られたりしたボクのおまんこは、ねばついた愛液がとろとろと出ていて、おちんちんから伝わるおにーさんの体温を感じるだけでピクピクと気持ち良くなってきた。
でも、それでイッちゃうほど、ボクは満足していない。

「じゃあ、おにーさん、いくよ?」
「本来、これ言う立場は逆なんやろうけどなぁ……」

そんなおにーさんのボヤキは無視して、ボクはおまんこにおちんちんの先を当てて、少しずつ中に入れていく。
おにーさんの硬いおちんちんが、ボクのお肉に食い込みながら中に侵入していき、そして……

「あ……うく……」
「だ、大丈夫か、メーリン!?」
「大……丈夫だよ。ちょっと痛い……だけ」
「無理して動かしたらあかんよ!少し休め!」
「大丈夫だよ。本当に、痛いのは少しだけだから……」

鋭い痛みを感じた後に、ボクのおまんこから、愛液と一緒に血が出てきた。
やっぱり、おにーさんのおちんちん、大っきいから裂けちゃったかぁ……
本当は裂けない方が嬉しかったけど、おにーさんのモノを受け入れたんだから、仕方が無い。
おにーさんはボクの様子を見て心配してくれたけど、ボクが反応したほどは痛くないので、そのままおちんちんを中へ入れていく。
ツプツプ……と、愛液で滑りながら入ってきているから、処女膜が裂けちゃった以外の痛みはない。
そして、おにーさんのおちんちんが、ボクの子宮口まで届いた。

「ぁんっ……♪おにーさん、わかる?おちんちんの先っぽ、子宮口に当たってるんだよ……♪」
「っ、わかっとる。先が当たる、度に……っ」
「ボクも気を抜いたらイッちゃいそうかも……でも、おにーさんのおちんちん、全部入りきらなかったね」
「まぁ、体格差が、あるからな……」

本当に今動いたらすぐにイッちゃいそうだから、ボクはこの感覚に慣れるために少しの間おとなしく動かないでいた。
と、おにーさんがボクに気を使ったのか、それとも単純に訊きたかっただけなのか、質問をしてきた。

「なぁメーリン、メーリンは、魔女なんよな?」
「うん、そうだよ?」
「メーリンのとこのサバトって、どんなところなん?」
「うーん、そうだなぁ……たぶん、他のサバトよりも、黒ミサの頻度が高いかなぁ……?」
「そういえばちっと前にも言ってたな。そんなんでお金は足りるんか?」
「うん、一応、リーダーのサーニャ様が優秀で、沢山の魔具の開発をして売ってるからね。……まぁ、普段は面倒臭がりな人だけどね……」
「ほぅ……それは凄いな。是非そのサーニャさん?とやらにもあってみたいわ」
「む、ボクの前で、しかも最中で他の女性に感心持つなんて、おにーさん酷いよ!」
「いやいや、メーリンから話したんやろ?まったく、嫉妬深いなぁメーリンは」
「そうですよ〜、嫉妬深いですよ〜だ。だからおにーさんにはお仕置きなのです!」

ちょうど感覚に慣れてきたから、ボクはニヤリと笑ってから、腰を小刻みに上下させた。
イキそうでイけない程よい感じの快感でおにーさんの攻める。
ちょっ、め、メーリン……と言いながら身をよじらせてるおにーさんが可愛くて、ボクはつい腰の振りを大きくしながらさらに攻めてしまう。

「おにーさん、どう?イけないよねぇ?まだイかせないよ?いっぱい気持ち良くなってから出した方が気持ちいいもん」
「あ、ははは……メーリン、以外とSっ気があるなぁ……」
「だっておにーさん、可愛いんだもん。ついつい意地悪したくなっちゃうんだ。で・も、焦らし過ぎは良くないし、ボクもそろそろ我慢出来ないんだよね〜。だ・か・ら…………」

そろそろ、出して♪
そう言ってボクは、一気に腰を大きく、速く振った。
おにーさんのおちんちんがボクの中をかき混ぜ掘り進む感覚に、ボクの足がピクピクとして、上手く立てなくなりそうになる。

「あ、んっ、はぁっ……あんっ!はぁ、おにーさん、きもち、い……ね……はぅんっ!?」
「め、メーリン、やば……締まって、イキそ……!」
「い、いよ!イッて!おにーさんの、せーえき!いっぱい、ちょうだい!」

おにーさんが言うと、おちんちんがまたビクビクしてきた。
もうすぐ、いっぱいせーえきもらえる……!
そう思った瞬間、ボクは一気に腰を下におろし、おにーさんの腰と密着させる。
下におろした勢いで、おまんことおちんちんが擦れ、おちんちんの先っぽが子宮口にカツンッ!と当たった瞬間……

「クッ、出るっ!!」
「は、うぅぅぅぅぅぅん!?」

ボクもおにーさんも、一緒にイッた。
せーえきが勢いよく吐き出され、全部ボクの子宮の中に注ぎ込まれていく。
焦らした分凄く気持ち良くて、ボクはへたっとおにーさんの上に体を重ねる。けど、おまんこの中は注ぎ込まれてるせーえきを逃さないように、さらにまだおっきいままのおちんちんからせーえきを搾り取るように、きゅうきゅう締まっておにーさんのおちんちんと密着していた。

「え、へへ……いっぱい出たね……」
「はぁ……はぁ……こんなに出たのは、初めてやわ……」
「ボクも、こんなに気持ちいいのは、初めてだよ」

今からもっとする?と訊くと、もうちょっと待ってぇなとおにーさんは困った顔をした。
さすがにボクもすぐには再開出来ないため、わかってるよ〜と返した。

「……これで、おにーさんのモノになったんだね……」
「……せやな」
「ボクはね、おにーさんだけのモノだよ。おにーさんしか知らないし、知るつもりもないよ。だから……おにーさんもボクだけのおにーさんでいてね」
「……言われなくても、われはメーリンだけの兄ちゃんや」

そう言って、おにーさんはボクの頭を撫でてくれる。その暖かさに安心してボクは、さっきの絶頂の余韻に浸るために、おちんちんを中にいれたまま、目を瞑り、頭をおにーさんの胸にポスンッと置いた。

「……なぁ、メーリン」
「……なぁに、おにーさん?」

と、おにーさんが話しかけてきたので、ボクは目を瞑ったまま、おにーさんの話を聞く。

「メーリンは、なんでわれのこと、兄ちゃんにしたかったんや?」
「うーん、なんとなく、かな?」
「なんとなくて、えらい曖昧な答えやなぁ……」
「だって、最初のうちは自覚してなかったんだもん。ただなんとなく、このおにーさん、かっこいいなぁって思ってただけでさ」
「かっこいいか……そう思ってくれてたんやなぁ……嬉しいわぁ」
「そういうおにーさんはなんなの?ボクを妹にしたかった理由」
「まぁ、われも同じようなもんや。店にきたのがこんな可愛い子やったから、こんな子がそばにいたらなぁってな」
「でも、最初は男の子かと思ったんだよねぇ……?」
「あ、ははは……そうやね。まぁ、あれは堪忍してぇな」
「どうしよっかなぁ……?」

許してあげよっかなぁなんて言って、ボクは目を開けて体を起こす。

「じゃあ、もっと気持ち良くしてくれたら、許してあげる♪」
「またやるんか?」
「もっちろん!おにーさんも魔物の性欲の強さくらい、知ってるでしょ?」
「まぁな。で、今度はどうするん?さっきはメーリンばっかりやったけど……?」
「……今度は、おにーさんの好きにしてもいいよ。おにーさんばっかりやりたい放題っていうののお返しはしたし、もっと、おにーさんのこと知りたいから」
「さよか。そしたら、どんな感じがええかなぁ……?」
「おにーさんの好きなようにして。……ボクのことおにーさん色に染めて♪」
「っ……!メーリン!」

ボクの言葉に、おにーさんは興奮したのか、くるりと横にまわってボクとの位置を変え、ボクに覆いかぶさる様な体勢になった。

「やぁんっ、おにーさんだいた〜ん!」
「メーリンが悪いんやで?好きにしていいとか、われの色に染めてとか言われたら、狼みたいになってしまうて」
「えへへ……いいよ。おにーさんなら、どんなに激しくても。だって大好きなおにーさんに求められてるんだもん。……だから……」

いっぱいボクのこと、愛してね。
ボクのその言葉を皮切りに、二回戦が始まった。


××××××××××××××××××××××××××××××


「サーニャ様、今夜も黒ミサですよね?」
「ああ、そうじゃが……また出かけるのか?」
「はい。片付けが終わったら、行きます」

お昼頃、ボクはサーニャ様の研究が一段落して片付けに入ったので、今日の予定を聞いてから、出かける旨をサーニャ様に伝えた。
と、サーニャ様はボクのその様子に、ふむ、と首を傾げた。

「……最近になってお主、出かけることが多くなったの?」
「そうですね」
「いったい、何をしに出かけとるんじゃ?」
「それは……」

サーニャ様の質問に、ボクは少し考えてから、満面の笑みを浮かべて、こう答えた。

「ボクの大好きな大好きなおにーさんのところに、遊びに行ってるんです♪」
「……?」
「あ、片付け終わったんで行きますね」
「あ、おいおにーさんっていったいどういう……」
「お疲れ様でした〜」

ボクの答えにさらに疑問符を浮かべるサーニャ様は放っておいて、ボクは急いでおにーさんのところへ向かう準備をして、サバトを出る。
サバトからそこそこ離れて、周りに誰もいないことを確認してから、ボクは赤色の小さな袋を握りしめて、念じる。
と、ボクの目の前には、もう見慣れた、青い扉が現れた。
ふふ……今日も、おにーさんと一緒だ!
そう思って、ボクは自然に笑みを浮かべながら、扉のノブを掴み、勢いよく開けて中に入るのだった。

「いらっしゃい」
「ただいま、おにーさんっ!」
11/12/03 15:02更新 / 星村 空理

■作者メッセージ
実は処女膜は破けないこともあるとwikiで知って驚きが鬼になった。
まぁ、それはともかく。
いかがだったでしょうか?
楽しんでいただけたら幸いです。
今回のお話は、最初に書いてあったとおり、ネームレスさんのご協力によって生まれた作品でございます。
ネームレスさん、ご協力ありがとうございました!
そして久しぶりのH回!
いやはや、頑張って書いてみましたが、やはり他の作家さんには敵いませんね……
改めて実力の差を実感しましたよ。
これからも精進して行きますので、よろしくお願いいたしします。
では、今回はここで。
感想をくださると嬉しいです。
では、星村でした。

……さて、メーリンが忘却少年で出ていることを思い出してくれた方はいたでしょうかね……?

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