超常の輪舞曲
「お兄さ〜ん、到着したよ〜?」 貨物と一緒の部屋で寝ていると、船員の一人が僕に目的地についたことを教えてくれた。 「ああ、ありがとうございます」 「おはようさん。旅客用の部屋が空いてなかったとはいえ、貨物の場所で寝かせてすまなかったな。あまり良く眠れなかったろう?」 「いえ、十分眠れましたよ。それに謝ることはないですよ。僕が無理を言って乗せてもらってるんですから」 「そう言ってもらえると助かるよ」 それじゃ、俺は仕事に戻るよ。 そう言って、船員はどこかに行く。 仕事中だったのに起こしてくれたのか…… すまないことをさせてしまったな…… 申し訳なく思いながらも、僕は部屋を出て、船の甲板に移動する。 甲板に到着すると、更に淵の手すりの方へ近づき、少し強めの日差しを浴びながら、船の進行方向を見る。 雲ひとつない青い空に空よりは少し濃い青をした海、その先に、一つの街が見える。 とりあえず、到着したら市場にでも行ってみようかな。 この街で、何が起こるとも知らず、その時僕は呑気にもそんなことを考えていたのだった。 |
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