ミルクティー
「いらっしゃいませ。二名様でしょうか?」
「うむ。そうじゃ」
「お席はどちらにいたしましょうか?カウンター席とテーブル席がございますが……」
「そうね……テーブル席でお願いしようかしら?」
「かしこまりました。ご案内します」
今回のお客さんはアリスちゃんとバフォ様というロリっ子コンビだ。
「それでは、ごゆっくりとおくつろぎください」
二人に席を案内した後に、僕は笑みを浮かべながら思う。
いやぁ、可愛いなぁ……
ギューってしたい。ギューって。
「こら空理。お客さんを変な目で見ない」
あ痛っ!?
後ろからビシッ!と誰かが僕の頭を叩いてきた。
なんだよ、と思いながら振り返ってみると、そこにはいつも着ている和服じゃなく、普通に店の制服を着て働いている美核がいた。
「いいじゃないか少しくらい。美核だって可愛い子がいたらギューってしたくならない?」
「……まぁ、否定は出来ないけど……って、それとこれとは話が別!」
「……二人とも、仕事に戻れ」
「「は〜い」」
マスターの一声で僕達は仕事に戻る。
さて、僕はさっきの子達の注文でも取ってこようかな?
「お客様、ご注文の方お決まりでしょうか?」
「うむ。ちょうどいいな。今決まったところじゃ」
「ええと、アップルパイ一つと、コーヒー二つ」
「かしこまりました」
二人の注文を聞いた後、すぐに僕はマスターに注文を伝える。
……にしても、あんな女の子二人がコーヒー頼むなんて意外だな。
普通なら、飲み物ならミルクティーなんかを頼むと思ったんだけどなぁ……
べしっ!
「だからお客さんを変な目で……」
「だからいいじゃん。別段忙しいわけではないしさぁ?」
「……まぁ、今の時間帯ならそうだけど……」
まだ時間は午前中。
この店が忙しくなってくるのはだいたいお昼から。
なので今僕たちはそれ程忙しくない。
「……ほら、パイと珈琲、出来たぞ」
「は〜い」
流石マスター。仕事が早い。
しかもちょうどいいタイミング!
マスターからあの二人から注文されたものを受け取って、僕は美核から逃げるようにそれを届けに行った。
「お待たせしました。アップルパイと、珈琲二つになります」
「ありがとう」
「うむ、ではさっそくいただこうぞ」
届いてすぐに、二人はそう言って食べ始めた。
……新しいお客さんはまだ来てないし、他のお客さんも注文する雰囲気はないので、僕は少し離れた場所から二人の様子を見ることにした。
「うむ!美味い!」
「そうね。甘くて、サクサクしてて……何より林檎の美味しさが損なわれてない……うん。美味しい」
「クスクス……良かった……」
マスターの作ってくれるものはだいたいが美味しい。
そんなこと、彼の料理を味わった僕にしたら当然のことだ。
しかし、他の人がマスターの作ってくれるものを美味しいと言ってくれるのはやっぱり嬉しいもんだ。
「……また見てるの?」
「ああ、美核。君も暇になったの?」
ニコニコしながら美味しそうにアップルパイを食べている二人の様子を見ていると、美核がまたかという風に言って僕の隣に来た。
「まぁね。……にしても、本当にあの子達可愛いわね……ちょっと話しかけてみようかしら……?」
ははは、やっぱり君も可愛いものが好きなんだねぇ。
「いいんじゃないかな?しばらくはお客さん来る様子もないし。僕も後で行くよ」
「……?一緒に話さないの?」
「うん。二人があまりにも可愛いからちょっとしたサービスしようかなってね」
じゃあ、先に話しててよ。
そう言って、僕はマスターのいる方に移動するのだった。
××××××××××××××××××××××××××××××
少しして、僕はアリスちゃんとバフォ様と美核のいる方にトレーを持って現れた。
「……あ、来たわね。遅いわよ空理」
「はいはい。さ、どうぞご両人。僕からのサービスです」
そう言って僕が出したのは、二つのティーカップ。
中に注がれているのは……
「あら、ミルクティーね」
「美味しそうなのじゃ。……正直に言ってしまうと、コーヒーは苦くて少し飲みづらかったのでな……ありがとうな……ええと……?」
「星村 空理です。可愛いお嬢さん」
「むぅ……照れるのぉ……///」
「ははは……正直なことを言ったまd痛い!?え?美核?何?どうしたの?」
ベシベシベシベシ……と、何故か無言で美核が僕の頭を叩いてくる。
最初の一撃以外はさほど痛いわけではないので問題はないのだが、無言のままで叩いてくる美核の雰囲気が怖い。
なんとかして欲しい。
と思ってると、バフォ様とアリスちゃんが呆れたような、哀れんでるような目でこちらを見て、そして美核をなだめ始めた。
「ほらほら美核殿。星村殿が怖がっておるぞ?そろそろ止めた方がよいぞ」
「それに大丈夫よ美核さん。私達にはルー君が……一応好きな人がいるから。安心して」
「……そうなの?……ごめんね二人とも。空理が迷惑なことして……」
「いやいや。大丈夫じゃよ。それに、なかなか嬉しかったしのぉ?」
「たしかに。ルー君そういうこと恥ずかしがって言わないからね」
「えぇ?恋人いるの?残念だなぁ」
「……空理君?」
「はい。口説くのやめるんでこれ以上そのオーラは纏わないでください。怖いです」
「……よろしい」
「「……プッ……クスクスクス……」」
「む、何を笑っているのかしら二人とも?」
「いやいや。なんともまぁ面白い人達じゃのうと思っただけじゃ」
「私も同じく……クスクス……」
「酷いなぁ……結構必至なんだけどなぁ……」
僕は苦笑いしながら頬をかく。
それを見てさらに笑みの色を濃くしながら二人は僕のサービスであるミルクティーを一口飲んだ。
「うむ。美味い。ありがとう星村殿」
「いえいえ。お口にあったようで何よりです」
「……ほんと、君は料理は駄目なのに紅茶とか珈琲淹れるのは上手いよね……」
「まぁね」
料理は美核が。
飲み物は僕が。
そしてマスターはどちらも作るのが上手。
それが、ここの特徴……なのかな?
ちなみに今回ミルクティーにはアッサムを使った。
いつもなら個人的に好きな香りのよいダージリンを使ったんだけど、やっぱりあの二人は甘いの好きなんだろうなぁと思って、味のいいアッサムを使ったのだ。
アッサムは味が濃くて甘みがあり、僕の好きなダージリンよりもミルクティーの相性がいいのだ。
ふふん。とそんなことを考えながら胸を張っていると、チリンチリン……とベルがなってお客さんが来たことを伝えてきた。
「……あ、じゃあ私行ってくるわ」
「え?いいよ、僕が行くよ」
「いや、私の方がこの子達と長く話してたしね。それに、忙しくなったら手伝ってもらうし」
「うーん……じゃあ、お願いしようかな?」
うん。よろしい。
そう言って、美核はその場を離れて接客を再開したのだった。
「……のぉ、星村殿」
「なんですか?」
「いったいどのくらい“フリ”を続けるつもりじゃ?」
「……………………」
美核が離れて少しした後に放たれたバフォ様の言葉に、僕はしばらく沈黙する。
その後に、
「さて、いったい何のことかさっぱりわかりませんね。……クスクス……」
「全く、狸じゃのう……」
「狐ならそこで接客してますけどね♪」
「クスクス……面白い人ね、星村さんは」
「いえいえ。ただの嘘つきですよ」
「認めたのぅ?」
「認めたわね」
「……否定も肯定もしません」
「「………………」」
「「「クスクスクスクス……」」」
そんなやりとりをしてから、僕達三人は不気味に笑うのだった。
「うむ。そうじゃ」
「お席はどちらにいたしましょうか?カウンター席とテーブル席がございますが……」
「そうね……テーブル席でお願いしようかしら?」
「かしこまりました。ご案内します」
今回のお客さんはアリスちゃんとバフォ様というロリっ子コンビだ。
「それでは、ごゆっくりとおくつろぎください」
二人に席を案内した後に、僕は笑みを浮かべながら思う。
いやぁ、可愛いなぁ……
ギューってしたい。ギューって。
「こら空理。お客さんを変な目で見ない」
あ痛っ!?
後ろからビシッ!と誰かが僕の頭を叩いてきた。
なんだよ、と思いながら振り返ってみると、そこにはいつも着ている和服じゃなく、普通に店の制服を着て働いている美核がいた。
「いいじゃないか少しくらい。美核だって可愛い子がいたらギューってしたくならない?」
「……まぁ、否定は出来ないけど……って、それとこれとは話が別!」
「……二人とも、仕事に戻れ」
「「は〜い」」
マスターの一声で僕達は仕事に戻る。
さて、僕はさっきの子達の注文でも取ってこようかな?
「お客様、ご注文の方お決まりでしょうか?」
「うむ。ちょうどいいな。今決まったところじゃ」
「ええと、アップルパイ一つと、コーヒー二つ」
「かしこまりました」
二人の注文を聞いた後、すぐに僕はマスターに注文を伝える。
……にしても、あんな女の子二人がコーヒー頼むなんて意外だな。
普通なら、飲み物ならミルクティーなんかを頼むと思ったんだけどなぁ……
べしっ!
「だからお客さんを変な目で……」
「だからいいじゃん。別段忙しいわけではないしさぁ?」
「……まぁ、今の時間帯ならそうだけど……」
まだ時間は午前中。
この店が忙しくなってくるのはだいたいお昼から。
なので今僕たちはそれ程忙しくない。
「……ほら、パイと珈琲、出来たぞ」
「は〜い」
流石マスター。仕事が早い。
しかもちょうどいいタイミング!
マスターからあの二人から注文されたものを受け取って、僕は美核から逃げるようにそれを届けに行った。
「お待たせしました。アップルパイと、珈琲二つになります」
「ありがとう」
「うむ、ではさっそくいただこうぞ」
届いてすぐに、二人はそう言って食べ始めた。
……新しいお客さんはまだ来てないし、他のお客さんも注文する雰囲気はないので、僕は少し離れた場所から二人の様子を見ることにした。
「うむ!美味い!」
「そうね。甘くて、サクサクしてて……何より林檎の美味しさが損なわれてない……うん。美味しい」
「クスクス……良かった……」
マスターの作ってくれるものはだいたいが美味しい。
そんなこと、彼の料理を味わった僕にしたら当然のことだ。
しかし、他の人がマスターの作ってくれるものを美味しいと言ってくれるのはやっぱり嬉しいもんだ。
「……また見てるの?」
「ああ、美核。君も暇になったの?」
ニコニコしながら美味しそうにアップルパイを食べている二人の様子を見ていると、美核がまたかという風に言って僕の隣に来た。
「まぁね。……にしても、本当にあの子達可愛いわね……ちょっと話しかけてみようかしら……?」
ははは、やっぱり君も可愛いものが好きなんだねぇ。
「いいんじゃないかな?しばらくはお客さん来る様子もないし。僕も後で行くよ」
「……?一緒に話さないの?」
「うん。二人があまりにも可愛いからちょっとしたサービスしようかなってね」
じゃあ、先に話しててよ。
そう言って、僕はマスターのいる方に移動するのだった。
××××××××××××××××××××××××××××××
少しして、僕はアリスちゃんとバフォ様と美核のいる方にトレーを持って現れた。
「……あ、来たわね。遅いわよ空理」
「はいはい。さ、どうぞご両人。僕からのサービスです」
そう言って僕が出したのは、二つのティーカップ。
中に注がれているのは……
「あら、ミルクティーね」
「美味しそうなのじゃ。……正直に言ってしまうと、コーヒーは苦くて少し飲みづらかったのでな……ありがとうな……ええと……?」
「星村 空理です。可愛いお嬢さん」
「むぅ……照れるのぉ……///」
「ははは……正直なことを言ったまd痛い!?え?美核?何?どうしたの?」
ベシベシベシベシ……と、何故か無言で美核が僕の頭を叩いてくる。
最初の一撃以外はさほど痛いわけではないので問題はないのだが、無言のままで叩いてくる美核の雰囲気が怖い。
なんとかして欲しい。
と思ってると、バフォ様とアリスちゃんが呆れたような、哀れんでるような目でこちらを見て、そして美核をなだめ始めた。
「ほらほら美核殿。星村殿が怖がっておるぞ?そろそろ止めた方がよいぞ」
「それに大丈夫よ美核さん。私達にはルー君が……一応好きな人がいるから。安心して」
「……そうなの?……ごめんね二人とも。空理が迷惑なことして……」
「いやいや。大丈夫じゃよ。それに、なかなか嬉しかったしのぉ?」
「たしかに。ルー君そういうこと恥ずかしがって言わないからね」
「えぇ?恋人いるの?残念だなぁ」
「……空理君?」
「はい。口説くのやめるんでこれ以上そのオーラは纏わないでください。怖いです」
「……よろしい」
「「……プッ……クスクスクス……」」
「む、何を笑っているのかしら二人とも?」
「いやいや。なんともまぁ面白い人達じゃのうと思っただけじゃ」
「私も同じく……クスクス……」
「酷いなぁ……結構必至なんだけどなぁ……」
僕は苦笑いしながら頬をかく。
それを見てさらに笑みの色を濃くしながら二人は僕のサービスであるミルクティーを一口飲んだ。
「うむ。美味い。ありがとう星村殿」
「いえいえ。お口にあったようで何よりです」
「……ほんと、君は料理は駄目なのに紅茶とか珈琲淹れるのは上手いよね……」
「まぁね」
料理は美核が。
飲み物は僕が。
そしてマスターはどちらも作るのが上手。
それが、ここの特徴……なのかな?
ちなみに今回ミルクティーにはアッサムを使った。
いつもなら個人的に好きな香りのよいダージリンを使ったんだけど、やっぱりあの二人は甘いの好きなんだろうなぁと思って、味のいいアッサムを使ったのだ。
アッサムは味が濃くて甘みがあり、僕の好きなダージリンよりもミルクティーの相性がいいのだ。
ふふん。とそんなことを考えながら胸を張っていると、チリンチリン……とベルがなってお客さんが来たことを伝えてきた。
「……あ、じゃあ私行ってくるわ」
「え?いいよ、僕が行くよ」
「いや、私の方がこの子達と長く話してたしね。それに、忙しくなったら手伝ってもらうし」
「うーん……じゃあ、お願いしようかな?」
うん。よろしい。
そう言って、美核はその場を離れて接客を再開したのだった。
「……のぉ、星村殿」
「なんですか?」
「いったいどのくらい“フリ”を続けるつもりじゃ?」
「……………………」
美核が離れて少しした後に放たれたバフォ様の言葉に、僕はしばらく沈黙する。
その後に、
「さて、いったい何のことかさっぱりわかりませんね。……クスクス……」
「全く、狸じゃのう……」
「狐ならそこで接客してますけどね♪」
「クスクス……面白い人ね、星村さんは」
「いえいえ。ただの嘘つきですよ」
「認めたのぅ?」
「認めたわね」
「……否定も肯定もしません」
「「………………」」
「「「クスクスクスクス……」」」
そんなやりとりをしてから、僕達三人は不気味に笑うのだった。
10/11/15 20:56更新 / 星村 空理
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