連載小説
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酒と肴と雪解け水
冬空を見上げ、何時しか止んだ雪を待つ。
辺りは積雪に包まれ。
音すらも、彼らはその柔らかい身体で包み込む。
彼らは何十何兆と、何重何層に積み重なり。
その冷たい身体で、冷え切った大地を暖めるかの如く、己が白でこの土地を包み込む。
嗚呼。彼らは何と大きい事か。
それらを邪魔せぬよう、最小の足跡だけで歩く私。
私とはなんと小さい者か。
そんな私の小さきすら、彼らは包み込んで消していく。
小さな私の足跡など。明日の朝には消えて無くなる。
嗚呼。私とは何と小さいのだろう。

冬空を見上げ、何時しか降りだした雪を眺める。
空は綿雪に包まれ。
彼らは、白煙になってしまった彼女の身体を包み込む。
私の幾日幾夜の悲しみは、幾重幾等と積み重なり。
その冷たい身体に触れて、虚しくもそれを暖めようと、手を握り続けた、届かぬ思い。
嗚呼。彼女は何と不幸な者か。
そんな彼女の帰幽すら、引き止めようとする私。
私とは何と罪深い者か。
そんな私の罪すら、彼らは許すと囁いた。
些細な私の想いなど。千年の後には消えて無くなる。
嗚呼。人生とは何と短いのだろう。
流天雪夜10/04/10 03:52
結の詩10/04/10 03:55
おまけ10/04/10 04:01

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