未熟な長
罵声や破壊の音が聞こえる…
逃げ惑う人に捕らわれ連れて行かれる人々の悲鳴
今回の襲撃も成功に終わったものの一人の少女は苦虫を噛みしめたように眉間にしわを寄せ舌打ちをした。
「今回も成功です。ソーニャ様」
側近らしい逞しく大きな女性が頭を下げながら言う
「そうね…あなたに言われなくても判っているわ」
とにかく全てが気に入らなかった。
表向きには頭を下げるものの誰一人として自分を認めていない、それだけではなく裏では自分を馬鹿にし、命令すら聞かず各人自由に狩りを楽しむ状況が気に入らないのだ。
母から受け継いだリーダーの座だったが、誰も私に従おうとはしない、実績も無ければ成人すらしていない自分に付いて来るアマゾネスなぞ居ないのは当たり前だった。
しかし成人(結婚)しようにもリーダーである以上それなりの相手でなければ成人していない以上に馬鹿にされる…自分に相応しい夫探しに焦りを感じていたのだ。
毎晩のように周囲の村を襲撃するが略奪品以外の目ぼしいモノは無く、不機嫌さを募らせるのだった…
数日後
集落から少し離れた村を襲撃した時のことである。
襲撃の最中にも関わらず、部下の一人が緊急集合の笛を鳴らした
襲撃中に集合があるということは余程のことである。
急いで急行すると既に多くのアマゾネスが輪になって大騒ぎとなっていた。
アマゾネスを掻き分けその輪の中心に居たのは一人の座った体勢のあどけない少年と武器を落とした母の片腕とも謳われた村で1,2の強さを誇るエリーだった。
あのエリーが負けた!それは多くのアマゾネスの興味を引き立てたが、それだけでは無かった。
ソーニャ「あれは!?」
少年の持っていた武器に目を奪われた。シンプルながらも紐で編まれた独特の装飾が施されたグリップ(柄)と質素だがツヤツヤと怪しい色気を放つブレードカバー(鞘)、何より一瞬見えたブレードは鏡の様に研ぎ澄まされ武器と言うより美術品のような輝き…
間違いない!少女は確信した。
以前自分のリーダー就任の挨拶回りに行った際、自分達より遥かに大きく裕福なアマゾネスの村で一番の宝として村長が持っていた”カタナ”と呼ばれるモノだった。
ソーニャ「(…となるとアレが”サムライ”か?)」
チョンマゲは無く恐ろしい強さをほこり、情けより死を選択することに喜びすら感じるプライドの高さを感じさせない優しくどちらかと言えば中性的な顔立ちだったので少し疑問に思った…がそれは一気に払拭された。
一人の勇敢なアマゾネスが彼に勝負を挑んだ瞬間だった。
十分すぎると思えるほどの距離を置いて少年は片足を放り出して座っていたハズだったのだが、重心を放り出した足に移しながら低姿勢から一気に中腰に移りながら”カタナ”と言う武器を一気に抜いたかと思った瞬間そのアマゾネスの武器が弾き飛ばされていた。
端から見るとゆっくりで優美でありながらアッと言う間の出来事…スローモーションのような動きなのに攻撃できる気配の無い隙の無い動きだった。
薄い板のような武器なのにアマゾネスの狩りに使う大きな武器を軽々と弾き飛ばす魔法のような動きに魅了され、思わず言葉を発してしまう。
ソーニャ「”サムライ”だ!」
その一声が周囲のアマゾネスを変えた、目の色が変わり戦士としてのプライドは消え失せた。
サムライ…その地方では半ば伝説のように語り継がれた遠い島国の戦士
烈火の如き強さと負けるより死を選び、切られるより自害することを最高の喜びとするほどのプライド高き戦士
捕らえる前に自害する事から彼等を見たものはほとんどおらず、その亡骸は骨ではなく”カタナ”になるとまで言われる人種でその”カタナ”は凄まじい価格で取引され、触れるだけで人が切れると言う話もある彼女達戦士にとって伝説的な垂涎のアイテムだった。
もし、その男を伴侶にする事が出来たなら…数あるアマゾネスの長達の尊敬を一心に受け、どんな村の長よりも権力を持つ事が出来るハズ…
一人一人が名乗りを上げて戦うルールは既に崩壊していた。
捕獲するためにあらゆる手段が使われていた。網や眠り薬を塗られた吹き矢、死んでも形さえ残っていればイイとまで言いながら弓を引くものまで居た。
彼女達が急ぐ理由は逃げられてしまい追い詰められたサムライは自害することを知っているからだ。
目の色が変わった瞬間気配の変化を感じ取り立ち上がった若いサムライだったが、一気に攻撃を受け何とか弓矢をカタナで弾いたところで吹き矢の眠り薬と網により捕獲され意識を失った。
それからが大変だった…壮絶な奪い合いとなったがとにかく村に帰って幽閉してしまわないことには話しにならないと言うことになり何とか納まったが、どうするか夜通しの話し合いとなった。
しかし村に帰った時点で既にソーニャの作戦勝ちだった。
一線を退いたとは言え絶対的な権力を握っていた母の言葉によりソーニャの伴侶になる事が決まった。
当然激しい反発や村を出るものも居たが得るものに比べれば小さな損失だった。
呪術師により強力な暗示を数日間掛けられ続けた若いサムライはソーニャを自分の主人と思い込むようになっていたのだ。
アマゾネスにとってはコレ以上無い最高の伴侶だろう
自分のためなら命をも平気で捨てる絶対的な忠誠心と愛、そればかりでは無く凄まじい強さとそれを手に入れ自分のものとしている悦び
何より他の村への外交の道具にも最高の効果をもたらした。
「伝説の”サムライ”を従えるほどのリーダーがいる」
それだけで十分な威嚇を与え、自分の夫を見るために遠くの裕福な村から高価な贈り物を持って謁見させて欲しいとまで言い出すのだ。
そして夫の強さにタメ息と羨望の眼差しを向けて帰っていく。
自分の村と併合する代わりに部族の少女にサムライの子種が欲しいと言う長すら居たほどだった
彼女にとってはこれ以上無いほど愛おしい存在となり、若い侍はこの先もソーニャの寵愛を受け続ける事となるだろう…
逃げ惑う人に捕らわれ連れて行かれる人々の悲鳴
今回の襲撃も成功に終わったものの一人の少女は苦虫を噛みしめたように眉間にしわを寄せ舌打ちをした。
「今回も成功です。ソーニャ様」
側近らしい逞しく大きな女性が頭を下げながら言う
「そうね…あなたに言われなくても判っているわ」
とにかく全てが気に入らなかった。
表向きには頭を下げるものの誰一人として自分を認めていない、それだけではなく裏では自分を馬鹿にし、命令すら聞かず各人自由に狩りを楽しむ状況が気に入らないのだ。
母から受け継いだリーダーの座だったが、誰も私に従おうとはしない、実績も無ければ成人すらしていない自分に付いて来るアマゾネスなぞ居ないのは当たり前だった。
しかし成人(結婚)しようにもリーダーである以上それなりの相手でなければ成人していない以上に馬鹿にされる…自分に相応しい夫探しに焦りを感じていたのだ。
毎晩のように周囲の村を襲撃するが略奪品以外の目ぼしいモノは無く、不機嫌さを募らせるのだった…
数日後
集落から少し離れた村を襲撃した時のことである。
襲撃の最中にも関わらず、部下の一人が緊急集合の笛を鳴らした
襲撃中に集合があるということは余程のことである。
急いで急行すると既に多くのアマゾネスが輪になって大騒ぎとなっていた。
アマゾネスを掻き分けその輪の中心に居たのは一人の座った体勢のあどけない少年と武器を落とした母の片腕とも謳われた村で1,2の強さを誇るエリーだった。
あのエリーが負けた!それは多くのアマゾネスの興味を引き立てたが、それだけでは無かった。
ソーニャ「あれは!?」
少年の持っていた武器に目を奪われた。シンプルながらも紐で編まれた独特の装飾が施されたグリップ(柄)と質素だがツヤツヤと怪しい色気を放つブレードカバー(鞘)、何より一瞬見えたブレードは鏡の様に研ぎ澄まされ武器と言うより美術品のような輝き…
間違いない!少女は確信した。
以前自分のリーダー就任の挨拶回りに行った際、自分達より遥かに大きく裕福なアマゾネスの村で一番の宝として村長が持っていた”カタナ”と呼ばれるモノだった。
ソーニャ「(…となるとアレが”サムライ”か?)」
チョンマゲは無く恐ろしい強さをほこり、情けより死を選択することに喜びすら感じるプライドの高さを感じさせない優しくどちらかと言えば中性的な顔立ちだったので少し疑問に思った…がそれは一気に払拭された。
一人の勇敢なアマゾネスが彼に勝負を挑んだ瞬間だった。
十分すぎると思えるほどの距離を置いて少年は片足を放り出して座っていたハズだったのだが、重心を放り出した足に移しながら低姿勢から一気に中腰に移りながら”カタナ”と言う武器を一気に抜いたかと思った瞬間そのアマゾネスの武器が弾き飛ばされていた。
端から見るとゆっくりで優美でありながらアッと言う間の出来事…スローモーションのような動きなのに攻撃できる気配の無い隙の無い動きだった。
薄い板のような武器なのにアマゾネスの狩りに使う大きな武器を軽々と弾き飛ばす魔法のような動きに魅了され、思わず言葉を発してしまう。
ソーニャ「”サムライ”だ!」
その一声が周囲のアマゾネスを変えた、目の色が変わり戦士としてのプライドは消え失せた。
サムライ…その地方では半ば伝説のように語り継がれた遠い島国の戦士
烈火の如き強さと負けるより死を選び、切られるより自害することを最高の喜びとするほどのプライド高き戦士
捕らえる前に自害する事から彼等を見たものはほとんどおらず、その亡骸は骨ではなく”カタナ”になるとまで言われる人種でその”カタナ”は凄まじい価格で取引され、触れるだけで人が切れると言う話もある彼女達戦士にとって伝説的な垂涎のアイテムだった。
もし、その男を伴侶にする事が出来たなら…数あるアマゾネスの長達の尊敬を一心に受け、どんな村の長よりも権力を持つ事が出来るハズ…
一人一人が名乗りを上げて戦うルールは既に崩壊していた。
捕獲するためにあらゆる手段が使われていた。網や眠り薬を塗られた吹き矢、死んでも形さえ残っていればイイとまで言いながら弓を引くものまで居た。
彼女達が急ぐ理由は逃げられてしまい追い詰められたサムライは自害することを知っているからだ。
目の色が変わった瞬間気配の変化を感じ取り立ち上がった若いサムライだったが、一気に攻撃を受け何とか弓矢をカタナで弾いたところで吹き矢の眠り薬と網により捕獲され意識を失った。
それからが大変だった…壮絶な奪い合いとなったがとにかく村に帰って幽閉してしまわないことには話しにならないと言うことになり何とか納まったが、どうするか夜通しの話し合いとなった。
しかし村に帰った時点で既にソーニャの作戦勝ちだった。
一線を退いたとは言え絶対的な権力を握っていた母の言葉によりソーニャの伴侶になる事が決まった。
当然激しい反発や村を出るものも居たが得るものに比べれば小さな損失だった。
呪術師により強力な暗示を数日間掛けられ続けた若いサムライはソーニャを自分の主人と思い込むようになっていたのだ。
アマゾネスにとってはコレ以上無い最高の伴侶だろう
自分のためなら命をも平気で捨てる絶対的な忠誠心と愛、そればかりでは無く凄まじい強さとそれを手に入れ自分のものとしている悦び
何より他の村への外交の道具にも最高の効果をもたらした。
「伝説の”サムライ”を従えるほどのリーダーがいる」
それだけで十分な威嚇を与え、自分の夫を見るために遠くの裕福な村から高価な贈り物を持って謁見させて欲しいとまで言い出すのだ。
そして夫の強さにタメ息と羨望の眼差しを向けて帰っていく。
自分の村と併合する代わりに部族の少女にサムライの子種が欲しいと言う長すら居たほどだった
彼女にとってはこれ以上無いほど愛おしい存在となり、若い侍はこの先もソーニャの寵愛を受け続ける事となるだろう…
10/04/21 02:16更新 / ごんべえ