連載小説
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脇の下、そしてヘアブラシ
「その手の中を見せなさいクロバ」
「あの・・・あの・・・ええと・・・その・・・」

しどろもどろになりながら両手をあわせるフォリア・クロバ。恐らくその手の中には僕に見られてはならない決定的な弱みが握られている。無理やりその手を開かせてもかまわないのだが・・・一石二鳥にクロバを追い詰めるいい策を思いついた。

「よし、じゃあキスをしようかクロバ」
「ふぇ?・・・良いですけどなんでまた・・・んちゅっ」

戸惑ったような表情を見せながらも両手の平はしっかりと重ね隠したまま上顎を向けて柔らかな唇を重ねる。狙い通り、舌先を絡めあった瞬間に確信する・・・プリンの味がはっきりとクロバの口内から感じられたからだ。

「ぷはっ・・・さて、分かってしまったよクロバ君、犯人は君だったんだね」
「え?!ちょっなんで?!・・・あっっ?!?!しまったぁぁぁ!!!」

 まんまと策にはまったことを悟るクロバが悲鳴を上げた。

おそらくその手の中には魔法による空間圧縮が掛けられている。中のものをものすごく小さく縮めて保管できるから布団圧縮袋要らずですよ!なんてクロバが教えてくれた魔法だ。

・・・大慌てで隠してしまったから今更僕の目の前でその手を開くわけにもいかないのだろうことが容易に伺えた。

―――――その手の中には僕の分まで平げられたプリンの容器が隠されているに違いない。

「さて、こっちにおいでクロバちゃん?」
「ふぎゅっ・・・うう・・・ハイ」
「もうわかってるとは思うけど魔法で逃げたらダメだからねクロバ?」

ソファーに腰かけて促すと、クロバが観念したかのように閉じた手の平を開き、テーブルの上にプリンの容器が3つ現れた。

こちらに背を向けるようにしておずおずと座り、体重を預けきった所で両手を前に回して柔らかくていい匂いのする身体を抱き締める。

「うう・・・なにとぞ冗長酌量を・・・」
「再犯に次ぐ再犯だからねぇ・・・命乞いなら聞いてあげるよ?」
「30秒!!30秒で許してください!!」
「わかった、じゃあ僕が満足できるまで頑張ろうか」
「先輩の鬼!鬼畜!エロエロおっぱい星人!!」

もがくクロバの脇の下に手を差し込むと途端にギュッと身体に力が籠る。上目遣いに優しくしてくださいねと訴えかけられる表情はかえってサディスティックな欲求を焚き付けてくる・・・もう辛抱たまらない。

「ブロックワードは・・・もっとこちょこちょしてください・・・だったよね?」
「うぐっ・・・ハイ、ソノトオリデス」

ブロックワードとは拘束プレイなどパートナーの自由を奪った状態で一方的に攻める際、痛みや何らかのアクシデントによる耐え難い不快感を感じた時に速やかにプレイを中断し1度状況を整理するための合言葉だ。

この間のこちょこちょオシオキの時に2人で決めた約束事・・・もっとこちょこちょしてくださいというブロックワードは苦しいから一旦ストップして欲しいというブロックワードにしてもっとこちょこちょして欲しいとオネダリする矛盾した合言葉。

とどのつまりクロバは僕のくすぐり攻めに対しこのブロックワードを言ってしまう限り・・・僕に対してお代わりのオネダリをすることになる・・・こちょこちょされ続けてしまうということを意味している。

「じゃ・・・頑張って我慢しようねクロバ・・・笑っちゃうと苦しいからね」
「うぅ・・・優しく・・なにとぞ優しくお願いしますぅ・・・」

そうは問屋が卸さない、一先ず今日はそう簡単に許すつもりは無いぞとクロバの脇の下を指の骨を立てるようにしてくすぐり始める。人体において感覚神経が多数集まる部位である脇の下、その柔らかな肉の奥には多数の血管が集中している人体の急所・・・魔物娘でもそれは変わらない。

その部位の肉を揉み解すように繰り返し指先が蠢き、角度をつけた指先の関節が柔らかな脇肉の奥底までを攻め立てる・・・骨身に染みるとクロバが嘆くそのくすぐり方は顔を歪めて堪えるように歯を食いしばる彼女の我慢を一気に突き崩してゆく。

こーちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ

「ひはっっ❤ふひはっっ❤ひっうっぅ❤んぅんぅぅっ❤んぅぅぅっ❤んぅんっ❤んっひっひっひっひっひっ❤あぁあっっはっはっはっはっ❤もっつ❤あっはっはっ❤もっとこちょはっはっはっ❤もっとこちょこちょしてくださいっっ❤」

持って数秒の儚い我慢、クロバはくすぐったさを我慢出来ずに笑ってしまい、ブロックワードを早くも叫んでしまう。

「早かったねぇクロバ・・・もうブロックワードを言っちゃったんだ」
「はぁ・・・はぁ・・・いきなりそれはダメですって・・・くすぐったすぎますって・・・先輩のこちょこちょ攻撃が凄すぎるんですってば・・・」
「でもこちょこちょされるのだんだん好きになってきてるでしょ?」
「・・・ノーコメントでお願いします先輩」

賢い彼女がなぜ僕の分までのプリンを全て平らげてしまうのか・・・それは僕にこちょこちょでオシオキされるためだと僕はにらんでいる。恐らくそれは正しいのだが・・・くすぐられる側のクロバも苦しいという当然のジレンマがあって、プリンを食べ尽くした後になって容器を隠そうとする矛盾した行動に繋がるのだろう。

「苦しいけど解放された後の疲労感が気持ちよくなってるくせに」
「ひはっっ❤ふひはっっ❤そうですっ!なんだか最近ハマってきてるんですっ!んはははっ❤でも優しくっ優しくっですからねっぐっふひひっ❤」

こちょこちょ・・・こちょこちょ・・・こちょこちょ・・・こちょこちょ

「ふぐっっんふふっっぐっっひひっ❤ひっっひひっ❤もっとくすぐっんぅんひひっ❤ふぐっっひひひっっ❤」

両手で口を塞ぐように身を縮め出すクロバ、恐らくこうして口を塞がねばブロックワードを口走りそうになってしまうのだろう。たとえ塞がれようともクロバの我慢を突き崩し、一気に勝負を決めることは容易い事。しかしそれでは芸がない・・・可愛らしく笑い転げるクロバが必死に笑いそうになるのを堪える様を楽しみたい・・・そんなサディスティックな欲求、もっとこの柔らかな身体を存分に堪能するようにくすぐり倒さねばならない。

こちょこちょ・・・こちょこちょ・・・こちょこちょ・・・こちょこちょ・・・

「ひっふふっっ❤ぐっっひひっ❤ふぐっ・・・❤ひっひっひひひっ❤ふぐぐぐっ・・❤ふふふっっふふっ❤」

大口を開けてあっはっはと笑う声もいいのだが、手で口元を塞ぐようにして堪え切れずに漏れ出るぐぐもった笑い声もまたオツなものだ・・・でもそろそろ本気を出したくなってきた。

「クロバ・・・そろそろ本気でくすぐらせてもらおうかな?」
「ひっ?!う・・・あ・・あぁ・・・」

今更抵抗しようともいつかは本気でくすぐられてしまう・・・そんなあきらめにも似た心持なのか、クロバはただ口をぎゅっときつく塞ぎ身を縮めた。

実に可哀そうだが・・・この欲求は堪え切れない。勢いよく指先が脇の下をねちっこく蠢き始める。本気を出してのくすぐり攻撃・・・10秒経たずにブロックワードを言わせるほどにくすぐってみせよう。

こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ

「んっぐんんぅ?!いっいひひっ❤んぐっひっっひひっひっひっひっ❤あっはっはっはっはっはっ❤ダメっ❤もうダメです❤はっはっはっんぅぅんぐっっ❤っひっひっふふっっあぁぁはっはっはっ❤」

こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ

「うーん、10秒経たずにブロックワードを言わせるつもりだったけど、意外と粘るねぇクロバ?」
「あっはっはっはっ!もっとくすぐっっ❤ひはっっもっとくすぐってあっはっはっ❤はっぐっんっひひっはっはっはっ❤」

違う、クロバはとっくに屈服してブロックワードを口にしたい・・・のだがそれが出来ない・・・「もっとくすぐってください」という前に笑ってしまってうまく発音できないのだ。

「ブロックワードを言ってないからこちょこちょは続行だよクロバ?」
「ごめんなさいごめんなさいっあっはっはっはっごめんなさいぃっ❤」

こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ

「あっはっはっはっ!!あっはっはっはっはっはっはっひっひっひひひっはっはっはっ許してぇ❤許してぇぇぇぇぇ❤」

ブロックワードすら口に出来ない程に笑い転げるクロバ。やりすぎの1歩手前を心得るのもこちょこちょ攻めの大事な事。一旦くすぐる手を止めるとクロバがくたりと力の入らぬ身体で僕から身を離し、床を這うように逃げてゆく。

「はぁ・・・はぁ・・・あぅぅ・・・ちょっと・・・休憩させてくださいぃ・・・」

余程くすぐったかったようだ、疲弊しきったクロバは数メートルも行かぬまま力尽き、そのままうつ伏せにへたり混んだまま肩で大きく息をしている。

当然僕の目を力強く引きつけるのはスカートなのに大きく片足を曲げるように開かれた股の間、クロバお気に入りの薄緑のパンティが丸見えだ。脚を開くような体勢のせいで布地に淫美で複雑なシワが出来ているから非常に刺激的・・・グツグツと性欲が沸き起こる。

辛抱たまらずチャックを下ろそうとした僕の目の前にカランと言う音を立ててとあるものが落ちた。

テーブルの上から落ちた物・・・それはクロバの使うヘアブラシ。

途端に閃く閃光・・・無防備に僕に向けられている真っ白な足の裏に目が吸い寄せられる。

―――――これを使ってもう少しクロバをくすぐりたい。

「ふぎゅっ・・・せ・・・先輩?なんで私の上に座るんですか?」

そう思った時にはクロバの脚を跨ぐようにして座っていた。重たくなりすぎないように手加減こそしているものの、これでクロバは身動きが取れなくなる。

「クロバ、悪いけど覚悟の準備をして欲しいな」
「覚悟の準備?!なんですかそれ?!なんだか猛烈に嫌な予感しかしないのですけど?!」
「ヒントは・・・これさ」

クロバが身をねじるようにしてこちらを向き、見せつけるように掲げているヘアブラシが視界に映る。

ヘアブラシがなんだと言うのだという怪訝そうな顔が数秒続き、賢い彼女は答えを悟る。

「ちょっ?!それもしかして私の足の裏をするつもりですよね?!そうですよねぇ?!」
「ふっふっふ・・・大正解なクロバ君にご褒美の時間を贈ろうじゃないか、足の裏をブラシでたっぷりと擦ってあげようね」
「また貴方という人はなんて事を?!そっそんなの・・・そんなのぉ・・・」

クロバがジタバタと暴れて逃げようとし始める。

「こらクロバ!暴れるのならこうだよ!」
「あっ?!ちょっ?!ひははっっ?!や・・・先輩・・・コレすっごいくすぐったい・・・」
「優しくしてあげるよクロバ・・・さぁ、あと5分頑張ろうね」
「5分?!無理です無理です3分でお願いします!」

あんまりやりすぎても可哀想だと思う気持ちが強くなる。それでいいよとこちらが折れたらクロバが心底ホッとした表情を浮かべた。

目の前にふよふよと中を浮かんで飛んできたのはクロバが魔法で引き寄せたキッチンタイマー。約束通り3分にセットされたそれは僕の目の前でピタリと浮かんだまま漂い続けている。

「せっかくだから魔法でスタートボタンまでも押せるよねクロバ?」
「う・・・心の準備をさせて欲しいです」
「ふふふ・・・構わないよクロバ・・・でも僕が痺れを切らさない内にだけどね?」

センパイノキチク・・・小さくもハッキリ聞こえた声に対する返礼は触れるか触れないかのフェザータッチでの足裏ブラッシング。

たちまちギュッと身体を縮めて悶えたクロバが2、3度大きく深呼吸をして覚悟を決めた。

「じゃあ・・・どうぞっ 」

ピッという音を立ててタイマーが動き始め、指先を丸めるように力んでいる足の裏にヘアブラシをキツく当てがい・・・上下に擦り立て始める。

じょりじょり・・・じょりじょり・・・じょりじょり・・・

左手で左足の足首をしっかりと掴み、右手のエアブラシがクロバへと襲い掛かる。硬いプラスチックの毛先が足の裏を猛烈に刺激して、クロバがたまらず足を振り払って逃れようとするがそうはいかない、左手はしっかりとつかんで離さない。

宙に浮かんでいたキッチンタイマーが不安定に揺れ動いたのちに糸が切れたかのように床に落ちた。くすぐったさのあまりに浮遊の魔法を制御できずにいるようだ。

「んぐっぅ・・・♥っんひひひ・・・♥ぅふふふふふ・・・♥ひっ・・・ひぃぃんひひひひっ♥」
「おや、脇の下よりも我慢できているじゃないかクロバ・・・あまりお気に召さなかったかな?」
「ちっちがいますっひはははっ❤これはこれでしんどひひひひはははっ❤」

くすぐられていない右足がのた打ち回るようにびくびくと伸びては縮んでいる。今度はこっちの足の番だと右手で右足をつかんで左手でブラシを握り、じょりじょり・・・じょりじょり・・・

「んひはっ♥んっぅっぷ♥んんんっ♥んぅっんんんひっひっひ♥ぷっははははは♥やっやだっ♥やだやだやだっ♥足の裏きついっっんひひひひひ♥」
「ふぅん・・・大声をあげて笑ってしまうほどではない・・・なるほど・・・大声を出してしまえないからこそくすぐったさを逃がす術がないのか」
「ひひひひははははっ❤そっそうなんですっ❤んひひひひっ❤うまくくすぐったさにひははははっ❤抵抗できないんですっ❤くすぐったいのにがまんのしかたがわからないんですははははははっ❤」

大笑いさせるだけがくすぐりにあらず・・・擽りをこよなく愛する者としてまた一つ学びを得たのだと一人納得しているとピピピピとタイマーが時間を告げた。

約束以上のお仕置きはナンセンス。名残惜しくはあるがくすぐりはこれでおしまい・・・クロバの上から退いて、キッチンでコップに水を汲んでクロバに渡す・・・きっとのどがカラカラに違いないから。

受け取った水を美味そうにゴクリゴクリと飲み干して、大きくため息をついたクロバ。顔を真っ赤に染めながらキッと僕のほうをにらみつけてくる・・・その顔もとても可愛らしいものだが。

「はぁ・・・ふぅ・・・先輩・・・よくもあんなにくすぐってくれましたね!」
「ふふ、久しぶりにここまでくすぐって僕も大満足だよ」
「えへへ、それは良かっ・・・じゃないです!今度は私の番ですよ!」

何やらクロバが詠唱を終え、ニンマリと笑みを浮かべた。途端に勝手に動き始めた自身の身体・・・どうやら身体の制御がクロバの手に堕ちたようだ。自分の意志ではなく勝手に動く手付きがベルトを緩め、ズボンを降ろそうとしている。

「鬼畜でスケベでエロエロおっぱい星人な先輩にはこれから私のお尻をくすぐってもらいます!」
「そりゃ良いけど・・・なんでズボンを下ろさせてるのかな?」
「ふっふっふっ・・・くすぐるのは先輩の手じゃなくて、おちんちんでこちょこちょしてもらいますよ!」
「うっ・・・そう来たか」

ぷにぷにで柔らかなクロバのヒップを・・・パンティ越しにおちんちんで擦り倒す行為は・・・変則的ながらとても刺激的で気持ちが良いプレイだ。

「くすぐられた時間と同じだけ、その時間で我慢しきれずに射精してしまったらオシオキ❤ですからね❤」

時間にして10分かそこら・・・既に準備万端だと高らかに天を仰ぐ我が息子は・・・おそらく10分も持たずに屈服してしまいそうだが・・・その時はその時、諦めてクロバにオシオキをされることにしよう・・・きっとそのオシオキも・・・とんでもなく気持ちが良いに違いないのだろうから。
25/02/13 02:30更新 / たっぷりとしたクリーム
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■作者メッセージ
やはり・・・こちょこちょシーンを無理やりどこかの小説に混ぜ込むよりも、最初からくすぐりしか書かないと決めた小説のほうがずっと健全・・・かな?

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