読切小説
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縁結びのコガラシェ・モンジェローヌさん
あっしの名は・・・いえ、名乗る程の者ではございやせん。ただの物書きでございやす。

ですがひとつ違う点があるとすれば、それはあっしが1人のヴァルキリーの後を追い、その足跡を書に記しているという事でしょうか。

あっ?!そんな奉公をお呼びにならないで!?変な事は書いてませんしヤラシイ場面なんかワザワザ隠れなくとも沢山見られ・・・どうか奉公だけは御勘弁を!!

じゃあ貴方にもこの書を見せてあげますから、どうかそれでひとつ手打ちという事で・・・ええ、ではどうぞ・・・拙い文お目苦しいかと存じ上げますが。

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とある天界にあるジョーシューヌ・ニッタコウディ村出身でヴァルキリーのコガラシェ・モンジェローヌさんはジパング地方の放浪を続けております。神に命じられた魔を討つ勇者と出会うために。

よってモンジェローヌさんの身分は博徒・・・イマドキ風にいえば賭け事だけで生計を立てていると言った所でしょうか。

口元にはとっくに舐め終わっているロリポップのキャンディバーが咥えられております。最初は特に理由はなかったんですが、口元が寂しかったから・・・何時か勇者様と出会えたら自らの口技を披露するためにイメージトレーニングをせよ、こう主神様の声も聞こえたもんですからね。

すました顔で咥えられたキャンディバーはその口の中でトンデモ無く淫らに舐めしゃぶられているという訳ですよ。いやぁ・・・あの棒が羨ましくない野郎はいねぇでしょう。

まだ誰のイチモツも咥えた事はありませんが、その舌技はもはや神業の領域に達しておりますことは間違いありません・・・そんな事を知る由もない周りの人々からは何時しかそれはモンジェローヌさんのトレード・マークになっているという訳でさぁ。

ちなみに息を吹いても特に木枯らしみたいな音はしません。そんな都合よく出る訳が無いでしょう?

さてここから先はモンジェローヌさんの格好の紹介でさぁ。

白地に様々な季節の花が咲き誇る着物はシミひとつない上等なモノ。その胸元は着物越しでもふっくらと豊満に盛り上がり、余計な場所には肉を付けぬと言わんばかりのくびれた腰つきに膝上高いミニ丈、その太腿の脇から紐が垂れ下がっているのが見えるんです。

そう、モンジェローヌさんは紐パンなんですよ。え?なんで分かるのかって?イヤイヤ、それは後ほど分かりますんで今は続きを・・・どうもモンジェローヌさんはジパングの住人が皆下着は褌を履くという間違った知識を模範しようとしたようでしてね。結果紐パンを履くようになった様なんです。

なおジパング地方では褌もパンティも今では混在していることおりやす、多様性の時代という訳ですねぇ。

さて、麗しき脚ばかりを見つめるのも野暮ってものでさ、紹介するのはこれが最後・・・と言ってもこれも大事な事、モンジェローヌさんは錆朱色の鞘を鉄環と鉄鐺で固めた長脇差を帯に刺しております・・・要は朱色の丈夫な造りをしている鞘に約60センチ程の刃渡りの刀が得物という事でござんすよ。

ちなみにこの長脇差、魔界銀で打たれておりやすから安心安全の非殺傷武器にござんす、このお話で血なまぐさい殺生は起こりえませんからお忘れなきよう・・・

時刻は午の刻・・・イマドキ風にいえばお昼ご飯の時間、モンジェローヌさんは煮売屋・・・これは大衆食堂のことをいいますが、ともかく煮売屋へと足を運びます。

「いらっしゃいませ!お名前書いて少しだけお待ちくださいな」

店内はお昼時ですから混みあってはおりやすが、すぐに席は空きそうな様子。モンジェローヌと帳簿に綺麗な筆跡で書き込んだモンジェローヌさんはしばしの待ち時間となりやす。

店内の他の客の盆を見る限り、今日の献立は大ぶりの焼き魚・・・これは鯖でしょうね、大根と小松菜の浮かんだ味噌汁に里芋の煮っころがし、気前よく盛られた白飯に沢庵が二切れ添えられて・・・なんて上等な焼き魚定食、空きっ腹にコレは堪りません、ガツガツ食べればあっという間に全部胃袋の中でしょう。

え?原作はこんな豪勢じゃなかった?・・・なんの事を仰っておられるのやら分かりませんが・・・

「ええと・・・モンジェ・・・ローヌさん?モンジローさん?」
「へい、あっしがモンジェローヌですが」
「あぁ、お待ちどうさま、こちらの席へどうぞ」

恰幅の良い女将がモンジェローヌさんを席へと案内します。ちなみにモンジェローヌと発音するのはジパング的に中々馴染みが無いもんで・・・あっしは沢山練習したからちゃんとお呼び出来ますが、大抵の場合モンジェローヌさんは「モンジロー」と呼ばれてしまいます。

ちょっとだけ不満気なモンジェローヌさんはひとまずお茶をすすりながら飯を待ちます。

「はい、お待ち!」

さほど待つことも無く、恰幅のいい女将さんがモンジェローヌさんの分を載せた盆を運んできてくれました。

香ばしく焼きあがった鯖が目でも鼻でも食欲を刺激してきます、間違いなく当たりの煮売屋だと言えるでしょう。

それをあろうことかモンジェローヌさん、焼き魚を箸でぐちゃぐちゃに解して白飯の上にかけると追い打ちをかけるかのように里芋の煮っころがしと沢庵までも突っ込んで、上から味噌汁までぶっかけるではありませんか!

それを食うと言うより口に入れてろくに噛まずに飲み込むように掻っ込むモンジェローヌさん、なんで何時もこんなに急いでいるのか・・・コレばっかりはモンジェローヌさんしか知らぬ事なのでしょうが・・・

「なっ・・・なんて食べ方だい?!それにモンジローさんったらそんなに早く食べたら喉詰まらせるよ?」

「っっゲホッゲホッっ・・・お心遣い痛み入りやす女将さん。そして申し訳ござんせんが、あっしの名はモンジェローヌだと何度も・・・」
「言いずらいからモンジローさんで通させてもらうよ!」

案の定喉を詰まらせたモンジェローヌさん、慌ててお茶で流し込みます。

それを見た恰幅の良い女将さんが大声で朗らかに笑っていると、そのやり取りを聞いていた辺りの連中が聞き覚えのある名に食い付いてきます。

「え?あんたモンジロー・・・縁結びのモンジローさんかい?」
「口に咥えたキャンディバーもある!間違いない!モンジローさんだろう!?」

囲まれるモンジェローヌさん、たちまち皆からお願いごとを頼まれます。

「ウチのドラ息子に縁を1つお願い出来ないかい?」
「ウチも毎日博打しか打たない甲斐性なしでね!嫁さんのひとつでも貰えりゃ変わるかもしれないんだ頼むよモンジェローヌさん」

もしかしたらこんな風に他の者に絡まれるのが嫌だからあんな掻っ込むような喰い方になってしまったんでしょうかねぇ・・・

「皆さん方、申し訳ありませんが、あっしはそんな縁結びの権能なんて持ち合わせちゃおりやせんよ。その証拠にこのあたりにいるとお告げのあった勇者様とは未だめっきりご縁がごさんせん、まぁ気長に探すだけでしょうが」

渋る客たちも何処吹く風、ひとしきり飯を飲み下したモンジェローヌさんはお代を払って煮売屋を後にします。

そして一路向かうはこの村の賭場・・・俗に鉄火場と呼ばれる程度の規模・・・ええ、比較的小規模なカジノですよ、とにかくそこへとモンジェローヌさんはやって来ました。

時に、丁半博打ってご存知ですかい?

茶碗ほどの壺の中に2つの賽子を入れてから壺振りと呼ばれる・・・ええ、ディーラーでございやす。壺に目隠しの布を被せて振り、中身の賽子の出目が丁(偶数)か半(奇数)かを当てるというものでございます。

そしてこの場は参加者の掛け金を勝った者の内で分配するという決まりで行われているようなんですね。

とまぁ、御託を並べやしたがここの鉄火場の壺は壺振り側からしか見えない小さな覗き穴が仕込まれておりやしてね。壺振りからそれぞれこの場を仕切る男集に適時中身の結果を合図するという手筈になっておりやした。

ええ、ハッキリとしたイカサマが行われております。

とはいえモンジェローヌさんは魔物娘のヴァルキリー、例え目隠しされていようとも壺の中で振られる賽子の音だけで出目くらい当てられるのですよコレが。

当然モンジェローヌさんは出目に対するこの場の最大賭け金を賭けて勝ちまくります。

最初の1回はマグレ、2回目はツイてるねアンタ!・・・3回目ともなればイカサマだと難癖を付けられて、暴力の下で尻の毛までも毟り取られて追い出されても文句は言えないのでしょうが・・・そうはならずにモンジェローヌさんが勝負を続けられるのには訳がありやした。

ええ、モンジェローヌさんったら片膝を立てながら・・・無意識かつ無防備にパンチラしながら丁半博打に勤しんでいるのです。

あっしも目の保養を少々・・・うーん、純白の紐パンにふっくらと柔らかそうな土手の高い肉丘が何度拝んでも堪らない。出来ることならこのままあっしも節操無しの愚息を扱きたいところですが流石にそれは叶いません。

丁と半の合図を送ってもまるで男どもはモンジェローヌさんのパンチラ攻撃に夢中で見向きもしません。

馬鹿勝ちしているモンジェローヌさんにケチをつけるべき親分さんもモンジェローヌさんに夢中で役に立ちません。

真面目に仕事をこなしていた壺振り役の男もこの有様では張合いがない・・・とっとと諦めて自分も存分にモンジェローヌさんのパンチラを拝み、目に焼き付けようとする始末。

結果、モンジェローヌさんはたんまりと懐を潤わせた後に鉄火場を後にするのでした。

その後を追う1人の青年・・・先程の壺振り役がモンジェローヌさんへ声をかけます。

「おいおいそこのツイてるお嬢さん!分かっちゃいるとは思うけど山の上の寺、あそこがウチの寺でね・・・そこに粗方寄付してくれれば何とかなるよ」

この壺振り役、たっぷりと目の保養をさせて貰った礼と最終警告を告に来たのです。

そう、そんなに大金をタダで持ち去られては何時の時代も問屋が卸さない。勝ち分の8割以上を返せば荒事にはしない。それが鉄火場を仕切る親分さんからの最終警告だったのです。

「あっしには関わりのねぇこって」

あっと壺振り役の男が面食らう隙にモンジェローヌさんは足早に立ち去ってゆくのでした。

「んだとぉ?!新参者が荒稼ぎしたってだけでもメンツが丸潰れなのに、女日照りの俺たちをあんなに誘いやがって!!」

そりゃ鉄火場の親分さんが激怒するのも無理はありやせん。

「もう許せねぇ!あの女とっ捕まえて皆で回しちまえ!」

腕っ節に自信があり、怒りだった男たちが群れを成してモンジェローヌさんへと追いかけ始めます。

文字通り命を取られても文句は言えない状況になってしまいました、しかしモンジェローヌさんにだって落ち度はありますからね?

そんな事はモンジェローヌさんも言われるまでもなく分かっている事のようでしてね。モンジェローヌさんは賭博で荒稼ぎしてそれを取り返しに来るゴロツキどもから勇者を探そうとしているようなんですよ。

まぁ腕っ節に自信がなけりゃあ賭場のケツ持ちは出来やせんから遠からずも近からずな探し方なのでしょうが・・・

だからモンジェローヌさんは適当な場所でお昼寝を決める始末・・・思いっきり脚を開けっ広げて眠るもんですから・・・内腿の肉感と奥に見える純白が堪りません、目の保養もおかわりし放題という訳ですね。

さて、ひとしきりゴロツキ共がモンジェローヌさんを取り囲もうとして・・・特等席たる真正面の奪い合いを時間たっぷり、見かねた親分さんに叱られてからようやく囲みが完成します。

「・・・今のうちに乳のひとつも揉んでやってから叩き起すか」

スケベ心を出した親分さんがモンジェローヌさんの豊満な胸元へと手を差し伸べた瞬間、モンジェローヌさんは跳ね起きて身を翻してその手を躱します。

「生憎ですがこの身は未だ見ぬ勇者様の為に捧げよと主神様が告げておりやしてね、そう容易く触れてもらうのはご勘弁願いますよ」
「くっ・・・このアマっ!野郎ども!やっちまえ!!」

親分さんの号令の元、手下達が長脇差を引き抜き構えます。

対するモンジェローヌさんも長脇差を抜き放ち、大上段に構えてから・・・モンジェローヌさん一目散に逃げ出します。

別にモンジェローヌさんは取り囲まれていようとも一太刀も浴びずに全員を容易く制圧できるのですが・・・そんな実力を持ってしてもモンジェローヌさんは決して驕らず、愚直なまでに師の教えに従っておりやした。

その教えとは・・・敵は何時でも強大であり、生き延びる為のあらゆる手段と努力を尽くす事。
だからこそモンジェローヌさんは迷うこと無く囲みを抜けるために、一目散に、逃げ出したのです。

思わず面食らう男達は呆気なくモンジェローヌさんを逃がしてしまいます。親分の追え!という怒声に慌てて後を追う始末・・・モンジェローヌさんの見事な逃げ足もさることながら何とも情けのない話ですね。

とはいえモンジェローヌさんもただ逃げるだけではキリがありません、こういう時は各個撃破を試みるようです。

モンジェローヌさんの後に追いすがっているのは2人ほど、それもかなりバテてはいます。

機を見出したモンジェローヌさん、突如急制動をかけて反転し身を低く構えます。

アッと男達が息を飲む間もなく、モンジェローヌさんの長脇差が一閃します。

長脇差はバルンバルン暴れる乳房と低く構えた時に見える深い谷間に見とれていた男たちの金玉と既にそそりたっている竿にかけてを下からすくい上げるように斬り上げられました。

斬られた男は堪らず腰を激しく股座を突き上げるかのように震わせて、青臭い栗の花の香りを立ち登らせながら情けない顔でヒクヒクと震えておりやした。

いくら非殺傷たる魔界銀の長脇差とはいえ、股間を痛烈に斬り上げられれば・・・股間をヒュッとさせて抑えている男方には申し訳ありやせんね・・・痛みはありやせん、大丈夫でござんすよ。

この男、当たり前ですが痛みで射精に至るような変態ではござんせん。斬られた男の名誉の為にあえてここで詳しく語りますが、モンジェローヌさんの長脇差が男の肉棒を撫で斬りにした際、男はまるで女の柔らかな指先が肉棒へとまとわりつき、その裏スジまでも余す所なく優しく撫であげるように扱いてくれたかのような性感に震えたのです。

言うまでもなく女日照りの彼にとってひとたまりも無い。非常に甘美な射精だった訳です。

残るもう1人も同じくモンジェローヌさんの長脇差が股間を直撃し、同じく至福の表情を浮かべております。

後発として追いすがってきたさらなる2人に対してはモンジェローヌさん着物の裾をたくしあげてパンチラ攻撃、面食らう2人を踊るように金玉強打、あっという間に仕留めます。

最後に追いすがったのは同元の親分さん、手下がやられて破れかぶれの親分さんも意地がありやした、雄叫びを上げながら斬りかかりますもモンジェローヌさん冷静にその身をヒラリと躱して、親分さんの金玉へ長脇差が一閃します。

モンジェローヌさんは見事に降り掛かる火の粉を払ってみせました・・・やり方はどうあれね・・・

すえた性の匂いを辺り一面に漂わせながらヒクヒク甘く震える男たちを後目にモンジェローヌさんは長脇差を腰に戻すと一言。

「主神様は勇者様がこの付近にいると告げておりやしたが、行き違いにでもなったのか・・・ここにはいらっしゃらなかったようでござんすね」

モンジェローヌさんは再び放浪へと戻ってゆきました。次なる町で勇者様に出会えることを信じて。

なおこの男たちは山に住む未婚の魔物娘たちと残らず全員結ばれ、祝言を挙げることになります。

縁結びの渡世人として・・・コガラシェ・モンジェローヌさんの名声はまたひとつ大きくなったのでした。


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おあとがよろしいようで、ご清聴ありがとうございやした。
24/10/13 02:16更新 / たっぷりとしたクリーム

■作者メッセージ
元ネタは・・・木枯らしの方です、ウケが良ければシリーズものとして書くかもしれませんよ

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