魔界であろうと住めば都
異世界に放り込まれて人間やめさせられて
女になった親友にちんぽしゃぶられて……と、なにかと
想定外の出来事しか起きていない、今日この頃。
「…んぁ、おふぁよほぉ…………んもっぶっ」
目が覚めたら、元から女だった親友に朝立ちマイサンをパックンされていた。
「お、おい、なにしてんだよ……っ」
「へらひふぉ」
状況的にたぶん、フェラチオ、と言ったんだろう。
エロエロワードになど興味ないとばかり
思っていたがそんな言葉を知っていたとはびっくりだ。誰だこいつに教えたの。
「んぷ……こ、こうだよね?こうやってたら
この、ち、ちんぽから、こってりとした精液がさ、いっぱい出るんでしょ?
一也が言ってたもん。病み付きになる味だって」
あいつか。
余計なことをしてくれたもんだ。頭が痛くなるな。
「……どの道こうなった以上、もう止めはしないけどさ……」
「そうそう、おとなしくこのエロかっこいい恵ちゃんに
チュパチュパされてなさい。あむっ、んぐむっ」
さっきからいかめしい尻尾をブンブン振ってるのは
機嫌が良いということの現れなんだろうが、この容姿でそれをやられると
ワニ顔負けの豪快ななぎ払いの前触れにしか見えない。
「ねえ、きもひぃい?」
「悪くはないよ」
というよりかなりいい。だが、なんか悔しいからネガティブっぽく答えた。
「そーいう言い方するんだ…………よぉし、だったら身体に聞いてやる。
んぷぉっ、んぷぉっ、んぷぉっんぷぉっんぷぉっんぷぉっ!」
「おうぅ!?」
一瞬でクライマックスにまでもってかれた……っ!
恵が、唇をすぼめたまま頭を前後に動かして、俺のちんぽの先端部分である、
矢のように返しのついた亀頭をねぶってきたのだ。
亀頭をまるまる口内に含んだかと思えば後ろに引き下がり、鈴口が唇の先から離れるか
離れないかというタイミングでまた前に出てくる。
引く時に亀頭の返しで唇をめくり上げると、その柔らかい感触と
抵抗に思わず腰が砕け、出る時は、暖かくてぬめる口の中に入っていく
感覚がまるでセックスでもしてるような、いや、まだ童貞なんだけど、
とにかくそんなような、くそ、なんなんだこの気持ちよさ…………オナニーなんて
まるで比較になんない……!
「うおっ、うっ、すげえよ、お前のそれ……!」
「んふえっ、素直になったね。素直なのはいいことだよ、うん。
だからわたしの口に、はじめのザーメンをドッピュンしちゃいなさい」
「ほ、本当に飲ませてもいいのか…?」
まさか拒否するわけないだろうけど、念のため聞いとく。
「そういうのを、はむっ、んっ、愚問って言うんだよ。
ちゅむっ、れろれろれろっ」
「うはぁあっ!」
先っぽを舌でほじくるのは反則だろっ…!
「で、出る、ぞ………!!」
限界を伝えると、恵は根元までくわえこんでバキュームしてきた!
「すっ吸われっううっ!?」
頭の中が真っ白になるほどの激しい快感に脳が染まっていって、
股間から精液がほとばしり、ベッドに仰向けで大の字になったまま
腰が跳ね上がって、うっ、あああああぁっ!!
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!?
んっ、むっ、んんんっ、ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
ウロコに覆われた尻尾をピンと立てて、恵が驚きと歓喜の呻き声をあげた。
「んむっ、おいひっ、コレおいひぃよぉ、んんっんごくっごくっ!
ちゅばっちゅるっちゅううううう!ずっじゅるっずずずずずずずずりゅるっ!!」
快楽に声も出ない俺がただただ吐き出す精液を
夢中になってドラゴン娘が搾り、吸い、飲み干していく。
何日も飲まず食わずで過ごしていた遭難者が
乳の張ったホルスタインに出会ったらこんな風になるんじゃないかってくらい
なりふり構わない飲みっぷりだ。
「んっぷ、けぷっ…………ん、おいしかったぁ……」
精液ごと胃に収めていた空気を吐き、恵は、満足そうに蕩けた顔を見せた。
しかしそれもわずかな間だった。
「あはぁ、まだビクビクして、元気だね。まだまだ出してくれそう…」
「出ないことはないけどさ」
一也の時もそうだったけど、なぜか萎えないんだよな。むしろ出したくなるくらいだ。
「じゃあちょうだい。濃くて甘い精液で、わたしのお腹の中を
ぐちゃぐちゃにしてほしいのぉ、ねえったらぁ」
これまで聞いたことの無い、恵の甘い声。
断る意思も方法もなかった。
………………
――部屋を出て、食堂で遅めの朝食をとったあと廊下をほっつき歩いてると、
元人間ドラゴンに悪魔の囁きをした元人間アルプに声をかけられた。
「ね、どうだった?
恵のおしゃぶり奉仕初体験は」
「どうもこうもない。合計で四発も吸い取られた。
あの不器用な恵がみるみるうちにフェラ上手になっていってびびったよ」
いらんことを教えやがって。
「ふふっ、そんなに出したんだ。妬けるね。
これで、僕も恵も、下は処女のまま上をはじめに犯されちゃったね」
…お前らが一方的に俺の精液を飲みにきただけだろ。こんなの逆レイプだ逆レイプ。
「にしても、ずいぶんと下品な物言いだな。お前らしくもない」
「魔物になったせいで色々とタガが外れちゃったのかな。
寝ても覚めてもセックスのことばかり考えてるよ」
うわあ立派な色ボケだあ。
ポテポテポテ……
名称しづらい足音を鳴らして山羊ロリがこっちに近づいてきた。
「良い知らせと悪い知らせがあるのじゃ」
「前者から教えてくれ」
「お主らをこの世界に転移させた古代兵器が見つかったのじゃ」
おお、確かに朗報だ。
「悪い知らせのほうも教えてよ。
どうせ、その……古代兵器?だっけ、それに関することなんでしょ?」
「一也はカンが鋭いのお。その通りじゃ。
例の古代兵器じゃが、現在、どうもここから少し離れた反魔物派の領地に
あるようなのじゃ。理由はわからぬが、お主らとその兵器の転移場所に
多少のブレがあったのじゃろうな。推測の域を出ぬ話じゃが」
「ということは、忍び込むなりしてそれを奪取しないと
ならないってことか。骨が折れそうだなー」
とはいったものの、あんなのこっそり持ち出せるか……?
……どう考えても無理だよな。困ったなこりゃ。
「別にいらないよ」
一也の冷めた声。
こいつのこんな声を耳にするのは生まれて初めてかもしれない。
「いらないってなんで」
「…こんな身体になって、帰れるわけないじゃないか」
まあ正論だな。
「それだけか?」
「うん、それだけだよ。こっちの世界のほうが綺麗だしね。色々と」
なんか引っかかるものがあるな。後で二人っきりになった時につついてみよう。
「戻りたくないといえば嘘になるけど、この身体で舞い戻ったところで
貴重なモルモット扱いされて色々と実験されそうで、それが嫌。
学者さん達が涎垂らしながらドカドカ押し寄せてくるのが簡単に想像できちゃうし」
「まーな」
やっぱり恵も同意見だった。
「けど、あの山羊ちゃんに聞いたんだけどさー。
この世界には人間に化ける魔法とかあるっていうから、それを会得すれば
あの変な輪っかで元の世界に戻っても問題ないとは思うんだけどな。
わたしはこの世界の魔物の中でも群を抜いて魔力が強い
ドラゴンって種族だし、一也だってほら、髪の毛が白くなってたでしょ?」
「ああ、魔王に近い存在になるとああなるらしいな」
「そうそう。つまり、一也は他の性転換サキュバスよりも
魔力が凄いってことなのよねこれが。だから、わたし達は変化の魔法も
無理なく使いこなせるとみて間違いないんじゃないかな……たぶん」
「一也はそのことを知っているのか?」
俺がそう聞くと、元いた世界では見たことも無い果実をかじりながら恵は首を縦に振った。
…………はて?
そうだとすると、おかしくないか?
さっきの一也の発言が矛盾してることになる。
「……ちょっと聞きたいんだが、一也のやつ、なんか悩み抱えてないか?
この話をしてた時、表情に暗い陰が落ちてたように見えたんだけど」
「…………………………あっ!」
ハンコを押すような仕草で手をポンと叩いて得心する恵。ちんぷんかんぷんな俺。
「説明よろ」
「う〜ん。プライベートなことだしな〜〜」
「二人して俺のちんぽを強引に咥えこんでおいて
プライベートとかどの口で言ってんだ。さっさと正直に言えよ」
「…………いや、実はね…」
「……親の離婚かぁ」
一也の背負っている事態は想像以上に重かった。
「まだ書類にサインはしてないけど秒読み段階ってとこらしいよ。
最近じゃ夫婦間の会話なんてほとんどないし、あっても
ギスギスした雰囲気の中で皮肉の応酬だとか。
一也にしてみれば二次災害をジワジワくらってるようなものよ」
「そりゃ帰りたくもなくなるな」
「まーね」
「けど、俺には内緒にしてたのはなぜだ。なぜハブった」
なぜ目をそらす。
「だ、だって、アンタってちょっと変人だから、そういう悩みを打ち明けても
参考になりそうにないし」
いやいやいや、一応は教えろよ。仮にも幼馴染だろうが。
「で、はじめはどうなの?元の世界に帰りたい?」
「……………………微妙」
ここが地獄そのものみたいな世界なら
即リターンしたいところだったけど、案外、居心地は悪くなかったりする。
突如として俺がいなくなって家族は嘆いているだろうが
百年くらい前の海外への移動というのも割と片道切符だったらしいし、
そう考えたらたいして深刻でもないんじゃないかと思う。
ただ、やはりあの兵器は手中に収めておきたいので
多少後ろめたい手を使ってでもゲットしておこう。
………………
――というわけで、俺は今、古代兵器が保管されてあるという
反魔物派の砦に潜入している。打ち切り漫画の巻き展開のように
スピーディーにここまできたが、人生が打ち切りになるのだけは避けたいところだ。
女になった親友にちんぽしゃぶられて……と、なにかと
想定外の出来事しか起きていない、今日この頃。
「…んぁ、おふぁよほぉ…………んもっぶっ」
目が覚めたら、元から女だった親友に朝立ちマイサンをパックンされていた。
「お、おい、なにしてんだよ……っ」
「へらひふぉ」
状況的にたぶん、フェラチオ、と言ったんだろう。
エロエロワードになど興味ないとばかり
思っていたがそんな言葉を知っていたとはびっくりだ。誰だこいつに教えたの。
「んぷ……こ、こうだよね?こうやってたら
この、ち、ちんぽから、こってりとした精液がさ、いっぱい出るんでしょ?
一也が言ってたもん。病み付きになる味だって」
あいつか。
余計なことをしてくれたもんだ。頭が痛くなるな。
「……どの道こうなった以上、もう止めはしないけどさ……」
「そうそう、おとなしくこのエロかっこいい恵ちゃんに
チュパチュパされてなさい。あむっ、んぐむっ」
さっきからいかめしい尻尾をブンブン振ってるのは
機嫌が良いということの現れなんだろうが、この容姿でそれをやられると
ワニ顔負けの豪快ななぎ払いの前触れにしか見えない。
「ねえ、きもひぃい?」
「悪くはないよ」
というよりかなりいい。だが、なんか悔しいからネガティブっぽく答えた。
「そーいう言い方するんだ…………よぉし、だったら身体に聞いてやる。
んぷぉっ、んぷぉっ、んぷぉっんぷぉっんぷぉっんぷぉっ!」
「おうぅ!?」
一瞬でクライマックスにまでもってかれた……っ!
恵が、唇をすぼめたまま頭を前後に動かして、俺のちんぽの先端部分である、
矢のように返しのついた亀頭をねぶってきたのだ。
亀頭をまるまる口内に含んだかと思えば後ろに引き下がり、鈴口が唇の先から離れるか
離れないかというタイミングでまた前に出てくる。
引く時に亀頭の返しで唇をめくり上げると、その柔らかい感触と
抵抗に思わず腰が砕け、出る時は、暖かくてぬめる口の中に入っていく
感覚がまるでセックスでもしてるような、いや、まだ童貞なんだけど、
とにかくそんなような、くそ、なんなんだこの気持ちよさ…………オナニーなんて
まるで比較になんない……!
「うおっ、うっ、すげえよ、お前のそれ……!」
「んふえっ、素直になったね。素直なのはいいことだよ、うん。
だからわたしの口に、はじめのザーメンをドッピュンしちゃいなさい」
「ほ、本当に飲ませてもいいのか…?」
まさか拒否するわけないだろうけど、念のため聞いとく。
「そういうのを、はむっ、んっ、愚問って言うんだよ。
ちゅむっ、れろれろれろっ」
「うはぁあっ!」
先っぽを舌でほじくるのは反則だろっ…!
「で、出る、ぞ………!!」
限界を伝えると、恵は根元までくわえこんでバキュームしてきた!
「すっ吸われっううっ!?」
頭の中が真っ白になるほどの激しい快感に脳が染まっていって、
股間から精液がほとばしり、ベッドに仰向けで大の字になったまま
腰が跳ね上がって、うっ、あああああぁっ!!
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!?
んっ、むっ、んんんっ、ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
ウロコに覆われた尻尾をピンと立てて、恵が驚きと歓喜の呻き声をあげた。
「んむっ、おいひっ、コレおいひぃよぉ、んんっんごくっごくっ!
ちゅばっちゅるっちゅううううう!ずっじゅるっずずずずずずずずりゅるっ!!」
快楽に声も出ない俺がただただ吐き出す精液を
夢中になってドラゴン娘が搾り、吸い、飲み干していく。
何日も飲まず食わずで過ごしていた遭難者が
乳の張ったホルスタインに出会ったらこんな風になるんじゃないかってくらい
なりふり構わない飲みっぷりだ。
「んっぷ、けぷっ…………ん、おいしかったぁ……」
精液ごと胃に収めていた空気を吐き、恵は、満足そうに蕩けた顔を見せた。
しかしそれもわずかな間だった。
「あはぁ、まだビクビクして、元気だね。まだまだ出してくれそう…」
「出ないことはないけどさ」
一也の時もそうだったけど、なぜか萎えないんだよな。むしろ出したくなるくらいだ。
「じゃあちょうだい。濃くて甘い精液で、わたしのお腹の中を
ぐちゃぐちゃにしてほしいのぉ、ねえったらぁ」
これまで聞いたことの無い、恵の甘い声。
断る意思も方法もなかった。
………………
――部屋を出て、食堂で遅めの朝食をとったあと廊下をほっつき歩いてると、
元人間ドラゴンに悪魔の囁きをした元人間アルプに声をかけられた。
「ね、どうだった?
恵のおしゃぶり奉仕初体験は」
「どうもこうもない。合計で四発も吸い取られた。
あの不器用な恵がみるみるうちにフェラ上手になっていってびびったよ」
いらんことを教えやがって。
「ふふっ、そんなに出したんだ。妬けるね。
これで、僕も恵も、下は処女のまま上をはじめに犯されちゃったね」
…お前らが一方的に俺の精液を飲みにきただけだろ。こんなの逆レイプだ逆レイプ。
「にしても、ずいぶんと下品な物言いだな。お前らしくもない」
「魔物になったせいで色々とタガが外れちゃったのかな。
寝ても覚めてもセックスのことばかり考えてるよ」
うわあ立派な色ボケだあ。
ポテポテポテ……
名称しづらい足音を鳴らして山羊ロリがこっちに近づいてきた。
「良い知らせと悪い知らせがあるのじゃ」
「前者から教えてくれ」
「お主らをこの世界に転移させた古代兵器が見つかったのじゃ」
おお、確かに朗報だ。
「悪い知らせのほうも教えてよ。
どうせ、その……古代兵器?だっけ、それに関することなんでしょ?」
「一也はカンが鋭いのお。その通りじゃ。
例の古代兵器じゃが、現在、どうもここから少し離れた反魔物派の領地に
あるようなのじゃ。理由はわからぬが、お主らとその兵器の転移場所に
多少のブレがあったのじゃろうな。推測の域を出ぬ話じゃが」
「ということは、忍び込むなりしてそれを奪取しないと
ならないってことか。骨が折れそうだなー」
とはいったものの、あんなのこっそり持ち出せるか……?
……どう考えても無理だよな。困ったなこりゃ。
「別にいらないよ」
一也の冷めた声。
こいつのこんな声を耳にするのは生まれて初めてかもしれない。
「いらないってなんで」
「…こんな身体になって、帰れるわけないじゃないか」
まあ正論だな。
「それだけか?」
「うん、それだけだよ。こっちの世界のほうが綺麗だしね。色々と」
なんか引っかかるものがあるな。後で二人っきりになった時につついてみよう。
「戻りたくないといえば嘘になるけど、この身体で舞い戻ったところで
貴重なモルモット扱いされて色々と実験されそうで、それが嫌。
学者さん達が涎垂らしながらドカドカ押し寄せてくるのが簡単に想像できちゃうし」
「まーな」
やっぱり恵も同意見だった。
「けど、あの山羊ちゃんに聞いたんだけどさー。
この世界には人間に化ける魔法とかあるっていうから、それを会得すれば
あの変な輪っかで元の世界に戻っても問題ないとは思うんだけどな。
わたしはこの世界の魔物の中でも群を抜いて魔力が強い
ドラゴンって種族だし、一也だってほら、髪の毛が白くなってたでしょ?」
「ああ、魔王に近い存在になるとああなるらしいな」
「そうそう。つまり、一也は他の性転換サキュバスよりも
魔力が凄いってことなのよねこれが。だから、わたし達は変化の魔法も
無理なく使いこなせるとみて間違いないんじゃないかな……たぶん」
「一也はそのことを知っているのか?」
俺がそう聞くと、元いた世界では見たことも無い果実をかじりながら恵は首を縦に振った。
…………はて?
そうだとすると、おかしくないか?
さっきの一也の発言が矛盾してることになる。
「……ちょっと聞きたいんだが、一也のやつ、なんか悩み抱えてないか?
この話をしてた時、表情に暗い陰が落ちてたように見えたんだけど」
「…………………………あっ!」
ハンコを押すような仕草で手をポンと叩いて得心する恵。ちんぷんかんぷんな俺。
「説明よろ」
「う〜ん。プライベートなことだしな〜〜」
「二人して俺のちんぽを強引に咥えこんでおいて
プライベートとかどの口で言ってんだ。さっさと正直に言えよ」
「…………いや、実はね…」
「……親の離婚かぁ」
一也の背負っている事態は想像以上に重かった。
「まだ書類にサインはしてないけど秒読み段階ってとこらしいよ。
最近じゃ夫婦間の会話なんてほとんどないし、あっても
ギスギスした雰囲気の中で皮肉の応酬だとか。
一也にしてみれば二次災害をジワジワくらってるようなものよ」
「そりゃ帰りたくもなくなるな」
「まーね」
「けど、俺には内緒にしてたのはなぜだ。なぜハブった」
なぜ目をそらす。
「だ、だって、アンタってちょっと変人だから、そういう悩みを打ち明けても
参考になりそうにないし」
いやいやいや、一応は教えろよ。仮にも幼馴染だろうが。
「で、はじめはどうなの?元の世界に帰りたい?」
「……………………微妙」
ここが地獄そのものみたいな世界なら
即リターンしたいところだったけど、案外、居心地は悪くなかったりする。
突如として俺がいなくなって家族は嘆いているだろうが
百年くらい前の海外への移動というのも割と片道切符だったらしいし、
そう考えたらたいして深刻でもないんじゃないかと思う。
ただ、やはりあの兵器は手中に収めておきたいので
多少後ろめたい手を使ってでもゲットしておこう。
………………
――というわけで、俺は今、古代兵器が保管されてあるという
反魔物派の砦に潜入している。打ち切り漫画の巻き展開のように
スピーディーにここまできたが、人生が打ち切りになるのだけは避けたいところだ。
12/10/20 21:10更新 / だれか
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