そのはち
「パーティ…ねえ」
さっさと目的地である『医の楽園』へと向かう予定だったのだが
ここの領主であるバフォメットが、どうしても歓迎の宴を開きたいということで
俺達は出発を一日遅らせることになったのだ。
……まさかとは思うが、乱交パーティじゃあるまいな。
まあ、俺も嫁達との普段のセックスは、ほとんど乱交みたいなものだが。
「こないなことになると思うてたら、ウチらも
事前にそれなりの衣装を用意しておけたんやけどなぁ」
俺は普段着がこれだから特に問題ないなあ。
「いいんじゃないの?私達は魔物なんだし、この姿が
私達にとっての、オスを誘う最高の衣装ってことなんだから。問題ないわよ」
しがみつくように俺の腕を抱きかかえるマリナが言葉を続ける。
「まあ、ミミルやフランツィスカ様は、流石にちょっとね…」
「言うと思った〜」
「言われると思いました」
二人は人間だった頃とさほど変わらない服装になっていた。
ミミルは魔力で衣装を創り出し、女王はローパーの特性で擬態したのだろう。
よく見るとプリメーラも普段より身体を毛深くしている。
「…毛深くなったとか思ってるでしょ」
睨まれた。
「確かにそう思ったが、それはそれで、ベッドの上で
その茂った獣毛をかき分けて味わう楽しみがありそうだから、悪くない」
「…………きゃうぅ」
デレた。
――ここは、まだ魔界ではなく親魔物国家だったためか
パーティの内容はそれなりに無難なものだった。
まあ、ダンスが扇情的だったり、猥談を平然と話したりしてるところは
やはりそれなりに魔物の影響を受けているということなのだろう。
(…それを無難だと思う俺も、やはり
魔物の思考になっているということなのかな………いやいやいや!)
俺は頭を振って弱気な考えを振り払った。
「諦めが悪いわねぇ」
下戸なため、酒ではなく果実ジュースが湛えられたグラスを持ったマリナが
困った顔で俺の顔を見つめてきた。
「性分なんでな」
「もう、意地っ張りなんだから」
しなだれかかってきた。
「…身も心も魔物になって、いっしょにどこまでも堕ちようよ……」
マリナ、頼むから現状で満足してくれよ。俺は人でいたいって言ってるだろ。
ぐいっ
「………こっち来て」
人目が離れたタイミングを見計らったかのように
マリナが俺の手を強引に引いて、パーティ会場から俺を引きずり出した。
なんのつもりだ?
「おいおい」
「そろそろお開きになりそうだし、別にいいでしょ」
と言うと何かを手渡してきた。
首輪と…リード?
「うふふっ、そこでお散歩したいな……って思って」
「わうんっ、わうううぅっ」
心底嬉しそうな声で、ペットのメス犬が鳴いていた。
彼女は胸や股間を惜しげもなく露出させ、会場の裏で、芝生の上を
尻を振りながら四つん這いで歩いては、媚を売るような視線で
チラチラとこちらを見上げてくる。
その細い首につけられたアクセサリーから伸びる線は、そのまま
俺の右手の内へと伸びていた。
「魔界勇者じゃなくて、魔界犬だな、これじゃ」
「はいっ、マリナは魔界の変態犬です。常に発情期なエロ犬ですぅ。
ご主人様とのお散歩が大好きでたまらないんですううぅ…!」
俺はマリナの尻を軽く叩いた。
「ひゃう!」
「犬が言葉を喋るのか?」
「わ、わうぅん、きゅうううぅんんっ…」
ごめんなさい、とでも言いたげな鳴き声をあげて、マリナは
叩かれたばかりの尻をくねるように左右に振った。
「そうか、罰が欲しいのか」
するとマリナは目を輝かせて俺へと懇願した。
「わふぅ、わうううぅ!わんっ、わわわんっ!」
パチィンッ
「きゃおおぉん!」
パチィンッ
「わひいぃいいぃぃい!」
パチィンッ
「あおおおおぉぉんっ!」
〜〜〜〜〜〜
「きゃおおぉんっ、あっ、あおおおんっ………!」
性器と太ももを愛液でびちゃびちゃに濡らして、マリナは俺からの罰を
堪能し、幾度となく魂を飛ばしていた。そんな調教のさなか。
――思いがけない襲来がきた。
叫び声や悲鳴、爆発音に金属のぶつかり合う音が
会場の玄関方面から聞こえてきたのだ。
「何事だ?」
「わからないけど、とりあえず向かいましょう!」
えっ。
「ちょっ、待て…っ!」
メス犬から魔物へと意識を切り替えたのか、マリナは
先程まで戯れていたときの格好そのままで音の聞こえた方へ即座に駆け出した。
つまり、そうなるとリードを持っているこの手も引っ張られて
結果的に俺も駆け出さないとならないんだが。
いや、リードはいざとなれば離せばいいし、マリナの足に
俺が追いつかないということもないが、問題はお前の今の格好だ。
「話は後にしましょう!」
まてまてその首輪を外せっておいちょっとお前わかってんのか自分の姿!
すぐさま正面玄関に着くと、そこでは、人間と魔物の混合集団と
人間のみの一団が武器を構えて睨みあっていた。どうみても戦闘への秒読み段階だ。
「レスカティエに巣くいし、強大にして淫猥な古き魔物よ、いざ姿を見せよ!
貴様がこの穢れた地に現れたことはすでに調べがついている!
潔く、我らメイデナ聖騎士団と、真なるサバトン兵団の手にかかるがいい!!」
一際豪華な鎧に身を包んだ騎士が、高らかにこちらへ叫んできた。
……真なる、って要するに、ここの残党だろ。
となると、ここから逃げられずに魔物娘やインキュバスになった連中は
新なるサバトン兵団になるのかな。
「…狙いはあなたみたいね」
「だな。しかもあいつら、小競り合いじゃなく本気できてるみたいだ。
でなきゃこの場所にまで辿り着けるわけがない。
たぶん、教団か、近隣の反魔物国家から兵を都合してもらって、
そいつらにこの都市の防衛部隊の相手をさせている間に突破してきたんだろう」
おーおー、教官やプリメーラが、こちら側の最前列で
鋭い気を放ちまくってるわ。こわいこわい。
「教国の聖乙女、ウィルマリナ・ノースクリムを、卑劣にも、堕落させて
魔の存在へと貶めたその罪、死をもって償うがいい!!」
テンションたけーなー。
それにしても、マリナが堕ちたのは、そんなにショックなのかね。
いやまあ、俺も人のことは言えないか。レスカティエがデル何とかに襲われた時に
最後の希望として、頼みの綱にしてたしな。
頼もうとしたら現在進行形でデ何とかに調教中だったわけだが。
あれにはマジで絶望したな。
……………今では俺が人々を絶望させる存在になってるんだけどさ。
「ほら、お呼びみたいだし、ボケッとしてないで行こうよ」
マリナが味方をかきわけスタスタと先に進んでいく。だからその格好を…
「…あなた達、どこで油を売ってブッ」
サーシャ姉がすぐさま吹き出した。理由は言うまでもない。
「大事になったね〜」
「これは一戦交えないとならんかな」
俺はマリナの後を歩きながら、こちらへ近寄ってきたミミルと相談した。
「そうだね〜〜、向こうは引き下がる気はないだろうし〜〜、
これは、お兄ちゃんの首でも出さないと収まらないんじゃないのブッ」
今度はミミルが遅めに吹いた。
「そんなことになるくらいなら、私は彼ら全員の首を跳ね飛ばすよ」
「うんうん、マリナさんの言うとおりやブッ」
今宵まで吹いたのに当事者は全くわかってないとか凄いな。
周囲の吹き出す声を尻目に、マリナは足を止めることなく
教官たちのいる最前列へと近づいていき……
「ブッ!?
ア、アンタ、なによその格好!?」
「えっ、格好ってどういう……………っ!!」
プリメーラに突っ込まれてようやく気づいたマリナが
あわてふためいて………こけた。
ズテッ
「きゃあっ!?」
「おお!?」
そうなると、リードを持っていた俺の手も
勢いよく引っ張られ、つまり、俺を退治するために集まっている
沢山の兵士や騎士の目前に、地面に手と膝をついたマリナと、
彼女の首輪の紐を手に持つ俺が現れたわけで………………
――その後のことは語りたくない。
さっさと目的地である『医の楽園』へと向かう予定だったのだが
ここの領主であるバフォメットが、どうしても歓迎の宴を開きたいということで
俺達は出発を一日遅らせることになったのだ。
……まさかとは思うが、乱交パーティじゃあるまいな。
まあ、俺も嫁達との普段のセックスは、ほとんど乱交みたいなものだが。
「こないなことになると思うてたら、ウチらも
事前にそれなりの衣装を用意しておけたんやけどなぁ」
俺は普段着がこれだから特に問題ないなあ。
「いいんじゃないの?私達は魔物なんだし、この姿が
私達にとっての、オスを誘う最高の衣装ってことなんだから。問題ないわよ」
しがみつくように俺の腕を抱きかかえるマリナが言葉を続ける。
「まあ、ミミルやフランツィスカ様は、流石にちょっとね…」
「言うと思った〜」
「言われると思いました」
二人は人間だった頃とさほど変わらない服装になっていた。
ミミルは魔力で衣装を創り出し、女王はローパーの特性で擬態したのだろう。
よく見るとプリメーラも普段より身体を毛深くしている。
「…毛深くなったとか思ってるでしょ」
睨まれた。
「確かにそう思ったが、それはそれで、ベッドの上で
その茂った獣毛をかき分けて味わう楽しみがありそうだから、悪くない」
「…………きゃうぅ」
デレた。
――ここは、まだ魔界ではなく親魔物国家だったためか
パーティの内容はそれなりに無難なものだった。
まあ、ダンスが扇情的だったり、猥談を平然と話したりしてるところは
やはりそれなりに魔物の影響を受けているということなのだろう。
(…それを無難だと思う俺も、やはり
魔物の思考になっているということなのかな………いやいやいや!)
俺は頭を振って弱気な考えを振り払った。
「諦めが悪いわねぇ」
下戸なため、酒ではなく果実ジュースが湛えられたグラスを持ったマリナが
困った顔で俺の顔を見つめてきた。
「性分なんでな」
「もう、意地っ張りなんだから」
しなだれかかってきた。
「…身も心も魔物になって、いっしょにどこまでも堕ちようよ……」
マリナ、頼むから現状で満足してくれよ。俺は人でいたいって言ってるだろ。
ぐいっ
「………こっち来て」
人目が離れたタイミングを見計らったかのように
マリナが俺の手を強引に引いて、パーティ会場から俺を引きずり出した。
なんのつもりだ?
「おいおい」
「そろそろお開きになりそうだし、別にいいでしょ」
と言うと何かを手渡してきた。
首輪と…リード?
「うふふっ、そこでお散歩したいな……って思って」
「わうんっ、わうううぅっ」
心底嬉しそうな声で、ペットのメス犬が鳴いていた。
彼女は胸や股間を惜しげもなく露出させ、会場の裏で、芝生の上を
尻を振りながら四つん這いで歩いては、媚を売るような視線で
チラチラとこちらを見上げてくる。
その細い首につけられたアクセサリーから伸びる線は、そのまま
俺の右手の内へと伸びていた。
「魔界勇者じゃなくて、魔界犬だな、これじゃ」
「はいっ、マリナは魔界の変態犬です。常に発情期なエロ犬ですぅ。
ご主人様とのお散歩が大好きでたまらないんですううぅ…!」
俺はマリナの尻を軽く叩いた。
「ひゃう!」
「犬が言葉を喋るのか?」
「わ、わうぅん、きゅうううぅんんっ…」
ごめんなさい、とでも言いたげな鳴き声をあげて、マリナは
叩かれたばかりの尻をくねるように左右に振った。
「そうか、罰が欲しいのか」
するとマリナは目を輝かせて俺へと懇願した。
「わふぅ、わうううぅ!わんっ、わわわんっ!」
パチィンッ
「きゃおおぉん!」
パチィンッ
「わひいぃいいぃぃい!」
パチィンッ
「あおおおおぉぉんっ!」
〜〜〜〜〜〜
「きゃおおぉんっ、あっ、あおおおんっ………!」
性器と太ももを愛液でびちゃびちゃに濡らして、マリナは俺からの罰を
堪能し、幾度となく魂を飛ばしていた。そんな調教のさなか。
――思いがけない襲来がきた。
叫び声や悲鳴、爆発音に金属のぶつかり合う音が
会場の玄関方面から聞こえてきたのだ。
「何事だ?」
「わからないけど、とりあえず向かいましょう!」
えっ。
「ちょっ、待て…っ!」
メス犬から魔物へと意識を切り替えたのか、マリナは
先程まで戯れていたときの格好そのままで音の聞こえた方へ即座に駆け出した。
つまり、そうなるとリードを持っているこの手も引っ張られて
結果的に俺も駆け出さないとならないんだが。
いや、リードはいざとなれば離せばいいし、マリナの足に
俺が追いつかないということもないが、問題はお前の今の格好だ。
「話は後にしましょう!」
まてまてその首輪を外せっておいちょっとお前わかってんのか自分の姿!
すぐさま正面玄関に着くと、そこでは、人間と魔物の混合集団と
人間のみの一団が武器を構えて睨みあっていた。どうみても戦闘への秒読み段階だ。
「レスカティエに巣くいし、強大にして淫猥な古き魔物よ、いざ姿を見せよ!
貴様がこの穢れた地に現れたことはすでに調べがついている!
潔く、我らメイデナ聖騎士団と、真なるサバトン兵団の手にかかるがいい!!」
一際豪華な鎧に身を包んだ騎士が、高らかにこちらへ叫んできた。
……真なる、って要するに、ここの残党だろ。
となると、ここから逃げられずに魔物娘やインキュバスになった連中は
新なるサバトン兵団になるのかな。
「…狙いはあなたみたいね」
「だな。しかもあいつら、小競り合いじゃなく本気できてるみたいだ。
でなきゃこの場所にまで辿り着けるわけがない。
たぶん、教団か、近隣の反魔物国家から兵を都合してもらって、
そいつらにこの都市の防衛部隊の相手をさせている間に突破してきたんだろう」
おーおー、教官やプリメーラが、こちら側の最前列で
鋭い気を放ちまくってるわ。こわいこわい。
「教国の聖乙女、ウィルマリナ・ノースクリムを、卑劣にも、堕落させて
魔の存在へと貶めたその罪、死をもって償うがいい!!」
テンションたけーなー。
それにしても、マリナが堕ちたのは、そんなにショックなのかね。
いやまあ、俺も人のことは言えないか。レスカティエがデル何とかに襲われた時に
最後の希望として、頼みの綱にしてたしな。
頼もうとしたら現在進行形でデ何とかに調教中だったわけだが。
あれにはマジで絶望したな。
……………今では俺が人々を絶望させる存在になってるんだけどさ。
「ほら、お呼びみたいだし、ボケッとしてないで行こうよ」
マリナが味方をかきわけスタスタと先に進んでいく。だからその格好を…
「…あなた達、どこで油を売ってブッ」
サーシャ姉がすぐさま吹き出した。理由は言うまでもない。
「大事になったね〜」
「これは一戦交えないとならんかな」
俺はマリナの後を歩きながら、こちらへ近寄ってきたミミルと相談した。
「そうだね〜〜、向こうは引き下がる気はないだろうし〜〜、
これは、お兄ちゃんの首でも出さないと収まらないんじゃないのブッ」
今度はミミルが遅めに吹いた。
「そんなことになるくらいなら、私は彼ら全員の首を跳ね飛ばすよ」
「うんうん、マリナさんの言うとおりやブッ」
今宵まで吹いたのに当事者は全くわかってないとか凄いな。
周囲の吹き出す声を尻目に、マリナは足を止めることなく
教官たちのいる最前列へと近づいていき……
「ブッ!?
ア、アンタ、なによその格好!?」
「えっ、格好ってどういう……………っ!!」
プリメーラに突っ込まれてようやく気づいたマリナが
あわてふためいて………こけた。
ズテッ
「きゃあっ!?」
「おお!?」
そうなると、リードを持っていた俺の手も
勢いよく引っ張られ、つまり、俺を退治するために集まっている
沢山の兵士や騎士の目前に、地面に手と膝をついたマリナと、
彼女の首輪の紐を手に持つ俺が現れたわけで………………
――その後のことは語りたくない。
12/03/20 15:14更新 / だれか
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