そのきゅう
ここは、魔界国家と化したレスカティエに数多く存在する、
いわゆる『純粋酒場』のひとつだ。
純粋酒場とは、風俗要素などを排除し
『とにかく酒を楽しみたい』といった者達(主に男性)のニーズに合わせ
営業している本格派の酒場である。説明おわり。
「おかわり」
俺は前日の夜から、その店のカウンター席でフルーツをつまみながら
グラスを何度も空にし、その度にアルコールの追加を頼んでいた。
なぜ俺がここにいるのか。
事の始まりはこのレスカティエに
一週間前、教団の雇ったいくつもの傭兵団が攻めてきたことから始まる。
戦闘自体は魔物の優勢で終わった。しょせん金で釣られた連中などに
高い士気があるはずもなく不利を悟ると蜘蛛の子を散らすように
ちりぢりに逃げていき、半分近くは捕まって
魔物達の婿にされたがそんなことはどうでもいい。
重要なのは、その時に俺のハーレム構成員達が一人残らず
玉座の間から出撃したことだ。
「ぬふふ、これは大チャンスですぞ」
なんか小物っぽい台詞を吐いた俺は、かねてより取りかかっていた計画を
実行に移すべく大慌てで行動を開始した。
名づけて『影武者に後を任せる計画』である。
逃げても捜索されて捕まるなら最初から代わりを置いとけばよい。
そんなわかりやすいコンセプトの元、俺は自分と寸分たがわぬ
高度自立式魔力塊を急ピッチで作り出すことにした。
ある程度の知能と情報、大量の魔力と精が詰め込まれたこのそっくりさんは
嫁達に普段の俺とさほど変わらぬ応対をして、なんと
夜の相手というか昼夜問わずの相手までするという自信作である。
しかも俺がセックスの際に得た彼女らの魔力とその特性を
利用したことで、嗅覚鈍化に近い状態――自分と似たような魔力波長してるから
かすかな違和感に気づけない――に彼女らを陥らせて、
魔的な感知能力や第六感をスルーする効果までそなえているのだ。
…とはいえ、それとて限界があり、だいたい一ヶ月ほどの期間しか
彼女らを騙せないだろう。なぜならメンテもしないで延々と
マリナ達の相手をさせていれば、魔力を精に変換する機能にガタが生じて
精が劣化していくのは避けられないからだ。
リカバリ機能をもつ魔力塊をくっつければ問題はないが
直径1メートル近いサイズの黒球と魔力の管で繋がってる偽者を見て
マリナ達が不審がらないはずがない。
なので影武者のタイムリミットまで飲んで飲んで飲みまくり、
リミット直前で、玉座の間にあるデルエラしか鳴らせない
警報の鐘を俺の中のデルエラ成分入り魔力でガンガン鳴らして
みんないなくなったらこっそりバトンタッチする案を選んだ。
うまくいったらこの計画は正式採用しよう。
「おにーちゃんみっけ!」「いたいたー」
はい不採用。
俺が聞こえないフリをして再び酒を要求するとマスターは無言で首を振った。
無視して切り抜けるのは無理だよ。そう目が語っていた。
周りからの好奇の視線はほとんど感じられない。きっと客が
この手の窮地に陥るというのは珍しくもないことなのだろう。
「………二人とも、なぜここに」
うめくような声しか出なかった。
かつて孤児院で俺が共に暮らしていた二人の少女、ロリーサとロリシャは
「そーいうおにーちゃんこそなんでいるのかな?」「にげたらだめじゃないかな?」
逆に質問してきて、俺は今度こそ言葉に詰まってしまった。
「ぺろっ………あは、おいしいっ…」「んーちゅ、んちゅ、ちゅちゅ…」
説得や買収ができない以上、俺は最後の手段に頼った。簡単に言うとちんこである。
「顔にぶちまけてやるから、黙ってるんだぞ?」
「おっけーだよ」「はーい」
そそり立つペニスを左右からペロペロ舐める神官淫魔ふたりを見て
俺はちょっと罪の意識を感じるのだった。
ドビュッ、ブビュブビュルルルルッ!
「きゃはああああああぁんっ、出た出た出たああっ!
あむちゅ、ずずっ、ずずずずずっ!」「ふにゃあっ、お顔とろけちゃうよおぉ〜!」
まあ出すものは出すが。
俺が使ったような最後の手段を他の客も使ったりするための
場所にもなってるらしい、やけに広いトイレの個室に二人を置いて
俺はそそくさとカウンターに戻ると金を払い店を出た。
ちなみに、二人の口の軽さが心配だったので、あれから二人には
さらに一発ずつノドの奥に射精して駄目押ししておいた。
………しかし、なぜバレた?
明らかに二人は俺を探していた。それは発言からもわかる。
となれば、当然、他の面々も俺を探しているだろう。
俺は逃げ場を考えつつその原因を推理した。
まず、影武者の誤作動だが、これは十分にありえる。
仕上がりが上々だったといっても急ごしらえの一品である以上は
その可能性はぬぐえない。
デルエラからの出撃要請……は問題ない。何人か、あるいは全員が
玉座の間から離れるだけで、それだけではバレる原因にならない。
俺が想像していたよりも感覚が優れていたりカンが鋭い者が
いたという可能性はどうか。候補としてはプリメーラや教官あたりか。
デルエラ自らが玉座の間に姿を見せたというのもある。
彼女なら、俺が間近にでもいない限り、易々とあれを偽者だと見抜くだろう。
しかし、今日、デルエラがわざわざ玉座の間に来るような
何か大事なことがあるとは思えないし……………………………あ!
はいはいはいはい忘れてました。今日は、レスカティエ教国の陥落と
魔界国家レスカティエの誕生を祝う記念式典と武道大会があったんだった。
……影武者任せがバレたうえに、それをすっぽかしたとなると
彼女らの精神状態はオカンムリどころではないぞこれは。
ロリーサ達は能天気なほうだから特に怒ってはいなかったが
他はヤバい。特にデルエラとマリナやばい超やばい。雲隠れするしかない。
「よお、探したぜ。影武者とはやってくれるじゃないか」
「………おにいちゃん。ミミルだよ……」
挟まれた。
「偽者とさんざん愛し合わせるなんて、悪趣味じゃないかな。
さすがの私でもカチンときちゃうよ」
翼をはためかせてマリナまでもが舞い降りてきた。
「まあまあ、皆さんここはひとつ落ち着いて話し合いを」
弁解は聞き入れられなかった。
魔物は人間を傷つけることを好まないなんて嘘じゃねーか。
どうなってんだよオイ。
いわゆる『純粋酒場』のひとつだ。
純粋酒場とは、風俗要素などを排除し
『とにかく酒を楽しみたい』といった者達(主に男性)のニーズに合わせ
営業している本格派の酒場である。説明おわり。
「おかわり」
俺は前日の夜から、その店のカウンター席でフルーツをつまみながら
グラスを何度も空にし、その度にアルコールの追加を頼んでいた。
なぜ俺がここにいるのか。
事の始まりはこのレスカティエに
一週間前、教団の雇ったいくつもの傭兵団が攻めてきたことから始まる。
戦闘自体は魔物の優勢で終わった。しょせん金で釣られた連中などに
高い士気があるはずもなく不利を悟ると蜘蛛の子を散らすように
ちりぢりに逃げていき、半分近くは捕まって
魔物達の婿にされたがそんなことはどうでもいい。
重要なのは、その時に俺のハーレム構成員達が一人残らず
玉座の間から出撃したことだ。
「ぬふふ、これは大チャンスですぞ」
なんか小物っぽい台詞を吐いた俺は、かねてより取りかかっていた計画を
実行に移すべく大慌てで行動を開始した。
名づけて『影武者に後を任せる計画』である。
逃げても捜索されて捕まるなら最初から代わりを置いとけばよい。
そんなわかりやすいコンセプトの元、俺は自分と寸分たがわぬ
高度自立式魔力塊を急ピッチで作り出すことにした。
ある程度の知能と情報、大量の魔力と精が詰め込まれたこのそっくりさんは
嫁達に普段の俺とさほど変わらぬ応対をして、なんと
夜の相手というか昼夜問わずの相手までするという自信作である。
しかも俺がセックスの際に得た彼女らの魔力とその特性を
利用したことで、嗅覚鈍化に近い状態――自分と似たような魔力波長してるから
かすかな違和感に気づけない――に彼女らを陥らせて、
魔的な感知能力や第六感をスルーする効果までそなえているのだ。
…とはいえ、それとて限界があり、だいたい一ヶ月ほどの期間しか
彼女らを騙せないだろう。なぜならメンテもしないで延々と
マリナ達の相手をさせていれば、魔力を精に変換する機能にガタが生じて
精が劣化していくのは避けられないからだ。
リカバリ機能をもつ魔力塊をくっつければ問題はないが
直径1メートル近いサイズの黒球と魔力の管で繋がってる偽者を見て
マリナ達が不審がらないはずがない。
なので影武者のタイムリミットまで飲んで飲んで飲みまくり、
リミット直前で、玉座の間にあるデルエラしか鳴らせない
警報の鐘を俺の中のデルエラ成分入り魔力でガンガン鳴らして
みんないなくなったらこっそりバトンタッチする案を選んだ。
うまくいったらこの計画は正式採用しよう。
「おにーちゃんみっけ!」「いたいたー」
はい不採用。
俺が聞こえないフリをして再び酒を要求するとマスターは無言で首を振った。
無視して切り抜けるのは無理だよ。そう目が語っていた。
周りからの好奇の視線はほとんど感じられない。きっと客が
この手の窮地に陥るというのは珍しくもないことなのだろう。
「………二人とも、なぜここに」
うめくような声しか出なかった。
かつて孤児院で俺が共に暮らしていた二人の少女、ロリーサとロリシャは
「そーいうおにーちゃんこそなんでいるのかな?」「にげたらだめじゃないかな?」
逆に質問してきて、俺は今度こそ言葉に詰まってしまった。
「ぺろっ………あは、おいしいっ…」「んーちゅ、んちゅ、ちゅちゅ…」
説得や買収ができない以上、俺は最後の手段に頼った。簡単に言うとちんこである。
「顔にぶちまけてやるから、黙ってるんだぞ?」
「おっけーだよ」「はーい」
そそり立つペニスを左右からペロペロ舐める神官淫魔ふたりを見て
俺はちょっと罪の意識を感じるのだった。
ドビュッ、ブビュブビュルルルルッ!
「きゃはああああああぁんっ、出た出た出たああっ!
あむちゅ、ずずっ、ずずずずずっ!」「ふにゃあっ、お顔とろけちゃうよおぉ〜!」
まあ出すものは出すが。
俺が使ったような最後の手段を他の客も使ったりするための
場所にもなってるらしい、やけに広いトイレの個室に二人を置いて
俺はそそくさとカウンターに戻ると金を払い店を出た。
ちなみに、二人の口の軽さが心配だったので、あれから二人には
さらに一発ずつノドの奥に射精して駄目押ししておいた。
………しかし、なぜバレた?
明らかに二人は俺を探していた。それは発言からもわかる。
となれば、当然、他の面々も俺を探しているだろう。
俺は逃げ場を考えつつその原因を推理した。
まず、影武者の誤作動だが、これは十分にありえる。
仕上がりが上々だったといっても急ごしらえの一品である以上は
その可能性はぬぐえない。
デルエラからの出撃要請……は問題ない。何人か、あるいは全員が
玉座の間から離れるだけで、それだけではバレる原因にならない。
俺が想像していたよりも感覚が優れていたりカンが鋭い者が
いたという可能性はどうか。候補としてはプリメーラや教官あたりか。
デルエラ自らが玉座の間に姿を見せたというのもある。
彼女なら、俺が間近にでもいない限り、易々とあれを偽者だと見抜くだろう。
しかし、今日、デルエラがわざわざ玉座の間に来るような
何か大事なことがあるとは思えないし……………………………あ!
はいはいはいはい忘れてました。今日は、レスカティエ教国の陥落と
魔界国家レスカティエの誕生を祝う記念式典と武道大会があったんだった。
……影武者任せがバレたうえに、それをすっぽかしたとなると
彼女らの精神状態はオカンムリどころではないぞこれは。
ロリーサ達は能天気なほうだから特に怒ってはいなかったが
他はヤバい。特にデルエラとマリナやばい超やばい。雲隠れするしかない。
「よお、探したぜ。影武者とはやってくれるじゃないか」
「………おにいちゃん。ミミルだよ……」
挟まれた。
「偽者とさんざん愛し合わせるなんて、悪趣味じゃないかな。
さすがの私でもカチンときちゃうよ」
翼をはためかせてマリナまでもが舞い降りてきた。
「まあまあ、皆さんここはひとつ落ち着いて話し合いを」
弁解は聞き入れられなかった。
魔物は人間を傷つけることを好まないなんて嘘じゃねーか。
どうなってんだよオイ。
12/01/12 16:10更新 / だれか
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