連載小説
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困った時の宗教頼み
大会:3ヶ月前

借金の返済の為に博打の仕切で一山当てることにしたどん底商人姉妹は、さっそく作戦を練ることにした
一番の問題は、如何に堅物領主を口説き落とすかであったが、

「こういう場合は〜、
まず周りから協力者を募って〜、
みんなで領主に圧力をかけるのがいいと思うよ〜」

という京鈴商会・交渉担当の意見により、まずは協力者を探すことにした

「…考えた自分が言うんもなんやけど、こんなアホな企画に協力してくれる物好きなん、いるんかな…」

「駄目だよ〜、お姉ちゃん〜
企画発案者がそんな弱気じゃ〜。
売り込みをするときのコツは〜
どんなにアホな代物でも〜
売り込むその瞬間は〜
素晴らしいものだと売る本人が信じることなんだよ〜」

「うっ…」

…妹からもアホな企画認定を受けたことに、若干傷付く京であった…

「…で、まずは何処から攻めるんや、交渉担当?」

「ふふふ…まずはね〜…」


「っというわけでして〜、
今回の10周年を祝う記念すべきお祭りのイベントとして〜
是非とも堕落神様にも日頃の感謝を込めて〜
堕落神様に捧げる奉納行事にこちらの企画等は如何でしょうか〜?」

姉妹は街の旧:主神教会、現:堕落神教会を尋ねてダークプリーストのマリアに企画を説明していた。
観客の目の前で淫らに交わり、愛し合うことは反魔物領時代には考えられない行為であり、これこそ親魔物領化、堕落教会の布教の成果を内外に示し、新たな信徒を増やす布教のきっかけになり、堕落神の御心に沿うことに繋がる筈。
なにより淫らに堕落した行為は堕落神の喜ぶところでり、堕落教会が行うにふさわしいイベントであると、
鈴はそののんびりした口調とは裏腹に雄弁に語った。

(…アホな企画でもそれっぽい理屈を付ければ、それっぽく聞こえるもんやな…)

京は鈴の説明に聞き入りながら、妹の頼もしさに感心していた

「なるほど、話はよく分かりましたわ。
もとより淫らな行いは我ら堕落教徒の望むこと…。
私たち堕落教会の布教にも繋がり、大変喜ばしい企画です。
あなた方商人の思惑としては、このイベントを機会に性関係の商品の新たな顧客を獲得するきっかけにしたい…という理解でよろしいのでしょうか?」

「ふふふ〜そんなところですよ〜」

マリアの問いに鈴は微妙にはぐらかして答えた。

…まさか真実は、借金返済の為の苦肉の策だとは口が裂けてもいえないのであった。

「それでは人員、場所等、私たちで協力出来ることがあるならなんでも仰有って下さいな。出来る限り支援させて頂きますし、勿論イベントにも私と夫含め、信徒も参加させて頂きますわ♪」

マリア達、堕落教会の支援を得て京と鈴は教会を後にした。

「教会がスポンサーになるんは、世間的にも多少聞こえがようなるし、領主に対しての圧力にもなるな。
でかしたで、鈴!
これでなんとかなりそうやな♪」

しめしめと満足げな姉の言葉に、鈴は静かに首を横に振った。

「確かに今でも領主様に多少の圧力はかけれるけど〜
確実に説得するにはまだまだ足りないよ〜。
というわけで次に行くよ、お姉ちゃん〜」

「次の協力者のアテがあるんか?
何処行くん?」

「次はね〜…」


「…というわけで〜、
堕落教会のマリアさんは、快く私たちの企画に協力を約束して下さいました〜。
私たちとしてはサバトの皆様にも協力して頂きたく〜
お尋ねした次第です〜」

姉妹は堕落教会を訪ねたその足で、そのまま街のサバト本部を訪れた。

「う〜ん、話は分かったけどよぉ。
アタイ等は別に新たなお兄ちゃんの獲得には難儀してねーぜぇ?」

姉妹の訪問に対応するのは街のサバト本部のバフォメット筆頭補佐官であり、
サバトの実務一切を取り仕切っていると言われる魔女のエミリアである。
元々は腕の立つ姉御肌の女冒険者であったが、故あって魔女としてサバトに入信した女性である。
姉妹とは人間時代からの付き合いであり、二人の前では『サバトの妹』である魔女としての口調ではなく、
昔の冒険者としての口調で会話している。

「たしかにサバトの皆さんは順調に信者をこの街で増やしてますけど〜
ここで堕落教会のみなさんの頑張りようによっては〜
サバトから堕落教会に鞍替えしてしまうかもしれませんよ〜?
ダークプリーストの皆さんの〜
震えるナイスバディーに魅了されて〜
ロリコンから巨乳派になってしまうかもしれませんよ〜?」

(な、なんでエミリアはんに喧嘩売るような真似しとるんや、鈴!?)

顔には出さないようにしながら、京は内心ビクビクであった。
今でこそ可愛らしいロリっ娘のエミリアであるが、冒険者時代は人間でありながら『ミノタウロス』の異名をとった肉体派の凄腕だったのである。
しかもどういう訳か、その力は魔女になって衰える所か、益々強大になっていた
本人曰わく、「筋肉が凝縮して、引き締まったんじゃねぇ?」とのことである。

「ほぅ、面白いじゃねぇか…
つまりアンタ等、アタイ等サバトに喧嘩売りに来たんだなぁ?」

案の定、エミリアからは凄まじい威圧感が放たれ始めた。

(あわわっ、す、鈴!?
どないするんやー!?)

最早表情を偽る余裕はなくなり、泣きそうになりながら隣の妹を見てみると、
妹はいつもと変わらない、のんびりとした表情でエミリアに答えた

「いえいえ〜
とんでもありませんよ、エミリアさ〜ん。
もし、サバトに本当に敵対するつもりなら、サバトに祭り当日まで秘密で行いましたよ〜
今回事前にお話したのは、純粋にサバトを心配してのことですよ〜」

「…よく言うぜ。
そもそもその企画を堕落側に持ち込んだのは、アンタらだろうが…。
何だったら、あの堅物領主に訴えて、企画を潰すように動いてもいいんだぜぇ?」

「それは確かに痛手ですけど〜
サバトの教義的には如何なんでしょうか〜?」

「ぐっ…」

確かに背徳を奨励するサバトとしては、今回のイベントは衆人観衆の中の性交という、なかなか背徳的なイベントである。
それを積極的に潰すのはサバトの教義には宜しくない。
根が真面目なエミリアは思わず押し黙ってしまった。

「それに〜
今回のイベントでサバトの魅力をしっかり伝えることが出来れば〜
ロリの魅力をお祭りを見にくる他の地域の皆さんにも伝えることが出来ますよ〜?」

「…そしてそれはそのまま堕落側にも当てはまるってことかよぉ…。
まぁ、確かに、ただ見過ごすだけのイベントにするにはもったいないかもなぁ…。
そっちがこっちに求める要求は何なんだぁ?」

「大したことじゃありませんよ〜
イベント運営の為の魔術的な技術支援に〜
イベントへ積極的に参加していただければ、それで結構ですよ〜」

「それと領主に対する口利きだろぉ。
全く…妹のお前の方が、よっぽど狸じゃねーかぁ…」

「ふふふっ、ありがとうございます、エミリアさ〜ん。
領主様にイベントを認めて頂いた暁には〜
お礼として…」

鈴はエミリアに近寄り、そっと耳打ちをした。

「!…マジだろうなぁ、その話ぃ…。」

「はい、必ずお約束いたしますよ〜」

「…いいだろう。バフォ様にはアタシから良く話しておく。
ウチらのサバトは、全力を挙げてイベントをサポートしてやるぜぇ!」

こうして姉妹は、街のサバトの支持を取り付けた

「ほ、ホンマ死ぬかと思うたで…。
何でわざわざエミリアはんに喧嘩売るような真似したんや、鈴?」

「サバトの人たちは何だかんだで巨乳にコンプレックスを持ってるからね〜
そこを煽れば、堕落教会、ていうか巨乳に対する対抗心で協力してくれると思ったんだよ〜」

「…同席する身としては、生きた心地せーへんかったけどな…
そういえば、最後にエミリアはんに何言うてたん?」

「内緒だよ〜
お祭りまでのお楽しみ〜♪
さぁ、宗教関係者に対する交渉はおしまい〜
次は商売関係の関係者に交渉に行くよ〜」

「ま、まだやるんか!?」

京は、先を行く妹を追いかけた。

続く
13/08/13 21:38更新 / ゼンラー待機
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■作者メッセージ
人物紹介
ダークプリースト:マリア

街の堕落教会の運営を執り行っている。
夫は街の元主神教会、司祭

本当は今すぐにでも夫と共にパンデモニウムに引きこもりたいが、信徒の数のノルマが達成できないので、未だ許可がおりずにいる。
今回の射精大会を通じて信徒を増やし、一気にノルマ達成を狙う。

好きなプレイ:焦らしプレイ


魔女:エミリア
元人間の冒険者。人間でありながら、その勇猛果敢な戦いぶりから『ミノタウロス』の異名を誇っていたが、訳あってサバトに入信、魔女化した。
何でも、想い人の為だとか…
本文の通り、魔女化しながらも力は衰えるどころか、むしろ強まっており、街の『怒らせてはいけない人』リストには、常にベスト3に入っている。

好きなおやつ:イチゴのショートケーキ
感想、助言等々お待ちしております。

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