Ｋ県Ｔ市――
早朝の市街地を、私はホテルの最上階の部屋から見下ろしていた。
この町は昨夜、親魔物領宣言を果たしたばかりだ。にも関わらず、既に眼下には魔物の姿がちらほら見える。ほとんどの魔物は人間の男性と連れだっていた。おそらく彼らは昨日、旧Ｔトンネルの防衛戦でカップルになったのだろう。中には周囲に人がいないのをいいことに、お互いの恥部を撫で合っている者達までいた。微笑ましい光景だ。

もうじき、この町には大量の魔物が流入してくる。移住希望者の第一陣は、既にＳ県を出発している頃合いだ。第二陣以降も続々と到着するだろう。彼女達はその目的によって、大きく２つのグループに分けられる。
まず、新天地となったこのＴ市で、男性との出会いを求める者達。
そして、Ｔ市に隣接するＫ県の県庁所在地、Ｋ市を攻め落とそうとする者達。

自己紹介が遅れた。私の名前はリーラベルタ。種族はリリムだ。Ｓ県魔物自治委員会の副会長であり（会長は姉リリム）、そしてＫ県侵略プロジェクトのリーダーも務めている。
昨日の昼、私はこのＴ市を訪れ、親魔物領宣言に向けた打合せをＴ市市長始め市の要人達と行っていた。そして夜には今後の魔物受け入れに関する調整を行って、そのままこのホテルに宿泊したのである。

トントン、とドアがノックされる。「どうぞ」と返事をすると、私の部下のサキュバスであるフィアーナが入ってきた。

「おはようございます。リーラベルタ様。よくお休みになれましたか？」
「おはようフィアーナ。ぐっすり眠れたわ。良いホテルね」
「そろそろ時間ですので、お支度を」
「分かっているわ。１５分後にロビーで」
「かしこまりました」

フィアーナが退出する。
侵略者は多忙だ。前日夜遅くに仕事をしていたからと言って、ホテルでチェックアウトギリギリまでグースカ惰眠を貪るような真似は許されない。
そう、私には次の大仕事、Ｋ市侵略が控えているのだ。
私はもう一度、窓の外を見る。今度は眼下の市街地ではなく、遠くの町並だ。南向きの窓から見えている、Ｋ県最大にして、最重要の自治体、Ｋ市。
あの町を堕とせば、Ｋ県侵略プロジェクトは事実上終了する。
そして、私の独身時代も……


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ホテルをチェックアウトした私達は、リムジンに乗ってＫ市へと向かう。Ｋ市ではまだ魔物としての正体を晒すわけにいかないため、人化の術を使って角や尻尾、羽は隠した状態だ。
幸い、朝の渋滞に捕まることもなく、時間通りに目的地に到着。着いたのはＫ市でも指折りの歴史を持つホテル兼レストランのオテル・ドゥ・Ｋだ。そこのＶＩＰルームで、朝食会を兼ねたＫ市侵略会議を行う予定になっていたのである。

「お待ちしておりました、リーラベルタ様。皆様お揃いになっております」
「おはよう、オーナー。今日もよろしくね」

出迎えたオーナーに案内され、ＶＩＰルームに入る。

「ありがとう。料理を持ってきてほしくなったら電話するから、しばらくこの部屋には誰も来させないでちょうだい」
「かしこまりました、リーラベルタ様。どうぞごゆっくり」

オーナーが扉を閉めて出て行ったのを確認し、部屋の中を見回す。オーナーが言った通り、そこには既に出席者が揃っていた。

「おはよう、皆さん」

まず、発足したばかりのＴ市魔物自治委員会の会長、マッドハッターの真戸原竹子。それに副会長の白澤、白澤静。
親魔物領となっているＫ県の自治体はＴ市以外にもあるが、Ｋ市侵略作戦は主にＴ市を前線基地として行われるため、Ｔ市魔物自治委員会との連携が欠かせない。それでこの２人には出席を依頼した。

「やあ、リーラベルタ殿。今日もお美しい。それはそうと、この店のお茶は上品な香りだね。次の会議には、高遠君を連れて来てもいいかな？」
「ええ、構わないわよ」
「ありがとう。そのときは会議中の生殖行動もアリかな？」
「……話ができなくならない程度にね」

止めても始まらない。マッドハッターはそういう種族だ。

「おはようございます、リーラベルタ様。Ｔ市立大学への移籍をお世話していただいて、感謝しておりますわ」
「当然です、静先生。あなたのおかげで大勢の魔物が伴侶を得られたんですもの」

主席者は残り４人。こちらは人間と魔物のカップルが２組だ。

「り、リーラベルタ様、御機嫌うるわしゅう」
「こ、今週もどうぞよろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしく、県知事閣下、市長殿」

そう、２組のカップルとは、Ｋ県県知事とその妻のダークエルフ、そしてＫ市市長とその妻の刑部狸だ。

早くに妻を亡くしていたＫ県県知事は今から１年ほど前、こっそりと忍んで行った風俗店で、嬢に扮していたダークエルフに捕えられ、隠れ親魔物派となった。
彼はその頃選挙を控え、再選が危ぶまれていたのだが、Ｓ県魔物自治委員会が裏方からバックアップすることでどうにか知事の椅子を守ったのである。
Ｋ市市長も大体同じ頃、魔物主催とは知らず闇ギャンブルに手を出して首が回らなくなり、胴元の刑部狸に身柄を買い取られる形で人知れず伴侶となった。

２人はそれ以来、妻となった魔物と共にＫ県の親魔物化に尽力してきた。Ｎ町やＴ市で、魔物に喰われるための防衛隊が結成できたのも、県知事が配下の県警に黙認を命じたからである。

「アンタ……アタシの目の前で他の魔物に挨拶とはいい度胸ね」
「ひいい！　御主人様、どうかお許しおおお！」
「まあまあ、会議の席やさかい、そないに知事を虐めんとき」

ダークエルフがキレ、刑部狸がたしなめる。私は人化の術を解いて角と尻尾と羽を露わにすると、フィアーナが引いてくれた椅子に座った。

「全員揃っているわね。では、始めましょうか……と、その前に県知事閣下、普通に席に座っていただけるかしら？」

パンツ一枚で首輪を着けられ、四つん這いでダークエルフの椅子になっている県知事に私は言った。

「え〜でもお〜コイツはアタシを座らせるのが役目なんだから、構わないでよ、リーラベルタ様」
「……頼むわよ。会議にならないから」
「しょうがないわねえ……おらっ、さっさと椅子持ってきな！」

パシーン！

ダークエルフは立ち上がり、鞭で県知事の尻を叩いた。県知事は「あひい！」と声を上げて立ち上がり、部屋の隅にあった予備の椅子を２つ、急いで持って来る。

「ど、どうぞお座りください、御主人様」
「ふん、今はこれで我慢してやるわよ」

ダークエルフが普通の椅子にふんぞり返る。県知事も太った体を縮こまらせながら着席した。これでやっと会議が始められる。

「始めて、フィアーナ」
「かしこまりました、リーラベルタ様。それでは、第７６回Ｋ県侵略会議を始めたいと思います。まずは私から、Ｋ県要人の親魔物化について御報告いたします」

フィアーナは紙の資料を取り出し、立ち上がって読み始めた。

「先週までに、Ｋ県県議会では男性議員の１００パーセントが隠れ親魔物派に転向し、女性議員は１００パーセントが魔物化しました。Ｋ市市議会も同様です。全員が隠れ親魔物派、もしくは魔物となり、反魔物派は１人も残っておりません」

頷く私。フィアーナは続ける。

「さらに、Ｋ県内の大企業トップ１０の経営者全てが隠れ親魔物派になったことが確認できています。とりわけ、トップ３の企業では役員も全て隠れ親魔物派か魔物となりました。以上です」
「ご苦労、フィアーナ」

フィアーナが着席する。
さて、ここで疑問に思う人がいるかも知れない。
そこまで上層部が親魔物派、または魔物だらけになったなら、隠れていないでさっさとＫ県、Ｋ市の親魔物領宣言をしてしまえばよいのではないか？　と。
実は、まだ親魔物領宣言ができない事情がある。が、それについては後に譲ろう。

フィアーナの司会進行が続く。

「続きまして市長殿から、“リスト”の作成状況につきまして御報告をいただきたいと思います」
「はっ、はいっ！」

ここで“リスト”について説明しておく。“リスト”というのは、特定の地域に在住する独身男性全員の情報を記載した書類のことであり、魔物娘にとっては喉から手が出るほど欲しいデータが詰まっている。
“リスト”を作成するには、まず自治体の役所にある住民票から独身男性の氏名、住所の一覧を抽出する。その情報をベースとして、潜入したラタトスクやクノイチが職業、メールアドレスや電話番号などの情報を付け加えていくのだ。
魔物娘社会ではこの“リスト”の閲覧権が高額で売買されており、魔物自治委員会の資金源の１つとなっていた。記載されている情報が多ければ多いほど、“リスト”のランクが高くなり閲覧権の値段も跳ね上がるのは言うまでもない。
中でも、最もランクの高い特Ａクラスの“リスト”には、各独身男性のアダルトビデオ視聴歴が添付されている。これほど明白に、男性の性的嗜好を物語るものはない。魔物娘から見れば、自分と相性のよい独身男性がどこに住んでいて何をしているか、一目瞭然になるのだ。
そして、今回私が市長に命じて作らせていたのは、Ｋ市在住の独身男性に関する特Ａクラスの“リスト”である。もちろん、彼一人で作れるはずがないので、サポートのために魔物を何名か、Ｋ市役所に潜入させている。

「“リスト”の作成は先日完了いたしました。本日ここに持参しております……」

そう言って市長は、鞄から分厚い紙の束を取り出し、私のところに持ってきた。

「どうぞ、お改めください……」
「ご苦労様」

“リスト”を受け取った私は１枚ずつめくり始める。本来ならそのまま持ち帰って係の者に渡し、専用のサイトにアップさせるのだが、今回はそういうわけには行かない。
独身男性の氏名が５０音順に揃えられていることを確かめ、目当ての人物の情報を抜き取るために“か”行に飛ぶ。

「か……き……く……ん？　んん？」

探している名前がない。見落としたか。もう一度、一枚一枚丁寧にめくって確認する。
ない。
やっぱり、ない。
郡堂昌道さんの名前が、ない。
眉間に皺が寄ったのが、自分で分かった。

「…………」
「リーラベルタ様？」
「市長殿」
「はっ、はいいっ！」
「この“リスト”を最後に確認したのは、どなたかしら？」
「そ、それは……な、何かお気に召さない点でも……？」
「どうやら漏れがあるわね。１人の漏れもなく、とお願いしたはずだけど。もう一度聞くわね。このリストを最後に確認したのはどなたかしら？」
「い、い、稲生葛葉さんです……」

ちっ、あの狐め。
昌道さんの情報を抜いて寄越しやがった！

ドサッ

私は“リスト”を机の上に投げ出すと、市長をキッ、と睨んで言った。

「いい？　市長殿。“リスト”はね、地域に全ての独身男性の情報を網羅しているから価値があって、高い閲覧料を集められるのよ。あの男性は載っている、あの男性は載っていないなんて漏れや抜けがあったら、Ｓ県魔物自治委員会の信用に関わるの。その点理解できてる？」
「も、もも、申し訳ございません！　リーラベルタ様！！　決してわざとというわけでは……」
「言い訳はいらないわ。早急に見直して。最後はあなたが自分で確認するのよ。いいわね？」
「はっ、はいいいっ！！」

縮み上がって“リスト”を引っ込める市長。

「まあ、ミスは誰にでもあるわ。次は期待しているわよ、市長殿」
「はいいい！！　お任せください！！！」

次の“リスト”にはちゃんと昌道さんの情報が入っているだろう。私はフィアーナに目配せをした。

（次の議題に移って）
（かしこまりました）

フィアーナが頷き、進行を再開した。

「それでは、“お見合いパーティー”の件に移りたいと思います」
「「「！！」」」

場に緊張が走る。それほどこの“お見合いパーティー”は重要な案件なのだ。
先程、まだＫ県もＫ市も親魔物領宣言ができないと言ったが、それはこの“お見合いパーティー”が済んでいないからなのだ。
“お見合いパーティー”のきっかけは、Ｙ市を侵略したときだった。Ｙ市上層部は早くから親魔物派に鞍替えしており、スムーズに親魔物領宣言が進んだのだが、その直後、親魔物領化に反対する男性が数十名、徒党を組んで魔物に立ち向かってきたのだ。
もちろん彼らは一瞬で鎮圧され、全員が魔物に（性的な意味で）喰われた。
だが、そこで私達は気付いた。こちらから積極的に手を下して反魔物派を結集させ、魔物の群れに突っ込ませれば、より多くの魔物が一時に伴侶を得られるのではないかと。それは同時に、多くの反魔物派を一網打尽に親魔物派に鞍替えさせ、魔物による統治をスムーズにすることにもなる。一石二鳥だ。
構想は、Ｎ町、Ｔ市で実践された。その地域で人望のある男性に人間を装った魔物が近づき、そそのかして魔物を撃退する防衛隊を組織させたのだ。そうしておいてからおもむろに魔物は侵攻し、防衛隊の男性は１人残らず魔物と結婚した。つまり、２回とも大成功を収めたのである。
既に“お見合いパーティー”は親魔物領宣言に先立つ、なくてはならない行事としてＳ県の魔物に認識されていた。親魔物領宣言の前に行うのは、地域が親魔物領宣言をすることで諦めてしまい、防衛隊に参加しない男性が出るのを恐れてのことである。

私は言った。

「今回の“お見合いパーティー”はＫ県侵略を締めくくる、最後のものになるわ。県庁所在地のＫ市なら当然、Ｎ町やＴ市のときよりも大勢の男性に参加してもらえるわよね？　県知事閣下」
「も、もちろんです！　Ｋ市からだけではなく、まだ親魔物領になっていない、他の自治体からの参加者も見込んでおります！」
「それは頼もしいわね。それで、今回の男性参加者は何名ほどを予定しているのかしら？」
「はっ、はいっ！　Ｔ市のときの５倍、千名ほど……」
「……県知事閣下」
「はっ、はい……」
「誰のおかげで県知事の椅子に座っていられるか、忘れてはいないわよね？」
「も、もちろんでございますうううっ！　わたくしの今日があるのは、全て魔物の皆様の力強い御支援の賜物！　一日たりとも感謝の気持ちを忘れたことはございません！」
「だったら、その気持ちをもう少し形にしてもらえないかしら？」

ダークエルフの鞭が唸り、知事の背中をしたたかに叩いた。

ヒューン！　パシーン！

「ぶひいいいい！！！」
「ごめんね〜リーラベルタ様。全く役に立たない奴隷で……ほらっ、もっと本気を見せな！　この豚！」

パシーン！

「あひいいいい！！　さ、三千名で！！」
「県知事閣下……魔物にとって、誠意とは言葉でもお金でもないの。人数よ。何名の独身男性を“お見合いパーティー”の場に連れてきてくれるのかしら？」

パシーン！

「あひゃあああああ！！！　五千！　五千名の独身男性を魔物の皆様に御紹介させていただきますうううううう！！！！」

もんどり打って床に転がった県知事が、息を切らしながら言う。私はようやく頷いた。

「県知事閣下の誠意が伝わったわ。次の選挙も期待していいわよ」
「あ、ありがとうございますううう……」
「それで、Ｋ市の“王”は誰がいいかしら？」

“王”と言うのは、反魔物派を集めるとき中心になる男性である。Ｎ町では駒川湊さん、Ｔ市では九字高遠君が“王”だ。

「そ、それは我が息子、昌道をおいて他におりますまい……」

県知事が椅子にすがって体を起こしながら言う。

「そこにおられる真戸原竹子さん、白澤静先生の夫である九字高遠君も、昌道を頼って兵を挙げております。それに昌道はＫ県武道連盟にも、Ｋ県主神教会にも顔が効く。このＫ市で“王”が務まるのは奴しかおりません」

ニヤリと笑う県知事。親バカめ。

「…………」

私は想像した。
Ｋ市かＴ市のどこかで激突する、人間軍と魔物軍。
人間と魔物の力の差は明らかで、人間は次々と押し倒され、犯されていく。
最後まで諦めず、声を涸らして必死の指揮を続ける昌道さん。そんな彼の前に現れる私。
始まる大将同士の一騎討ち。触れ合う剣と剣。そして芽生える恋！
そのままその場で、多くの人間と魔物に祝福されて結ばれる私達……

いい。凄くいい。完璧だ……

「でひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ……」
「リーラベルタ様、涎が……」
「おっと」

フィアーナに指摘され、私は慌てて口を閉じて取り繕った。

「えーオホン、では、“王”は昌道さんでいいわね？」

ところがそのとき、市長が口を挟んだ。

「お、お待ちください！」
「なんだ貴様、昌道では不足だとでも言うのか？」
「とんでもございません、知事。しかしながら昨夜から、昌道坊ちゃまとはＫ市防衛について何度かお話ししております。坊ちゃまは人間が魔物と戦える方法が明らかになるまで、一般からの人員募集はせず、少数精鋭にて防御に徹するお考えです。既に御友人を通じての人員確保には動かれているようですが、到底五千には達しますまい」
「む……」

県知事の表情が渋くなった。そこで私は言う。

「それなら、順序を逆にしたらいいわ」
「逆、とおっしゃいますと……？」
「まず防衛隊を立ち上げて、人員の募集を大体的にかけるのよ。そうしておいてから昌道さんを隊長に指名するの。本人に意志を尋ねる前にマスコミに発表してしまえば、昌道さんも断りにくいんじゃない？」
「な、なるほど……」
「そういうことでしたら……」

県知事と市長が頷く。

「防衛隊の立ち上げは県知事閣下、あなたのお仕事よ。しっかり頼むわね」
「う、承りました！　どうかお任せください！！　ただ、五千人を集めるための予算を確保するのに、しばしの御猶予を……」
「なーに、ゼニならウチがいくらでも融通したるで！　知事はんはドカーンと募集かけて、人だけ動かせばええんや！！」

景気のよい刑部狸の発言である。県知事は頷いた。

「では、有り難くお借りするとしましょう。ちなみに、今回のパーティー会場はどちらにいたしましょうか？」
「そうねえ……」

少し考えて、私は言った。

「今回は魔物娘の参加希望者が特に多いのよねえ。少なくとも３万以上になるかしら。移動が大変だから、そっちからＴ市に来てくれる？」
「心得ました。では防衛隊ではなく魔物討伐隊として立ち上げ、昌道を説得してＴ市に侵攻させます」
「あ、あの……」
「まだ何かあるのか？」

再度口を挟んできた市長に、県知事が苛立ったような口調で尋ねる。

「稲生さんが、昌道坊ちゃまの出陣に反対するかも知れません。何しろ稲生さんは、坊ちゃまがお一人で外出されるだけで荒れ狂いますので……」
「それでしたら、これを……」

すると、今まで沈黙を保っていた白澤が、机の上に紙切れを２枚取り出した。見ると、有名な外食チェーン店のタダ券である。

「市長さん、これを昌道さんにお渡ししてください。狐うどんと稲荷寿司セットの無料チケットです。もし稲生さんが何か言うようなら、これで丸め込むように……」
「はっ、お預かりします……しかしこれであの稲生さんが納得しますかどうか……」
「しますとも。魔物博士の私を信じてください」
「はっ、はいっ」

市長は、２枚のタダ券を押しいただくようにして受け取った。
私はそれを横目に見ながら、『リリムを一発でセックス奴隷にする方法』を昌道さんに伝えることができないか思案した。

■作者メッセージ
魔物側からの視点です……とりあえずこのパターンで続けて参ります。

２０１８年７月４日　修正