読切小説
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「勇者の楽しい遊び方」その1
 @まず勇者パーティーを見つけます。見つけないことにはお話にならないので、気合と根気で見つけます。婚期は逃しちゃいけませんけどね。
 A勇者パーティーを見つけました。まずはパーティーの実力と自分の実力とを測り、自分の実力が相手を上回っていればチャンスです。相手の方が格上だとしてら逃げたほうが得策でしょう。
 Bパーティーメンバーを確認しましょう。男女比、職業、装備品などです。一番大切なのはパーティー内での恋愛事情でしょうか。
 C今回の例では、男勇者、男戦士、女僧侶、女魔法使いというごくごく普通のパーティーのようですね。察するところ女僧侶は男勇者に恋愛感情を抱いているようです。
 Dとりあえず勝負を挑みます。今回の例では私が圧勝。相手はほぼ壊滅状態です。
 Eいい頃合になったら女僧侶の恋愛感情を利用しましょう。女僧侶を犯してインプにさせちゃいます。
 F女僧侶はすかさず男勇者に襲いかかりました。成功、性行です。必死に腰を振っていますね、そそります。
 Gついでですので女魔法使いもインプにさせちゃいましょう。性に飢える魔物は男見境ないようです。女魔法使いは男戦士に襲いかかりました。
 H一部始終をカメラに捉え終了です。おつかれさまでした。
 I相手が男単身の勇者であった場合、超絶ラッキーチャンスです。すかさず夫にしちゃいましょう!
 著者コメント【まず勇者パーティーを倒せる気がしない?そういう時は独身のドラゴンやバフォメットなど強い魔物を助っ人に呼びましょう。なお、報酬を全て奪われるかもしれませんがそこは自己責任でお願いいたしますね】


 追記:なにも勇者パーティーを必ずしも倒さなければならないわけではありません。戦闘を避けれるのでしたらぜひとも避けるべきですし、むしろ戦闘は危険ですので避けたほうがよいのでしょう。
 パーティーの隙を狙って戦闘以外の方法で遊ぶことができるのでしたらそれが一番好ましい状況ではないでしょうか。


 これからお送りしますのは、著者である私宛に送られてきたビデオの一部です。
 私の書いた本を見て感化された皆さんが録画してくれたもののようです。皆さんはどのような方法で遊びを見つけるのでしょうか。私も楽しみでなりません。
 それでは、ごゆっくり観賞ください。







・パターン1:男勇者、女僧侶 計2名 
       ワーウルフの場合


『えー、こちらワーウルフです。草陰に隠れております。向こう側に見える人影見えますか?どうやら男勇者と女僧侶のようです』

『戦闘力はえーっと、サバト製スカウターを装着してと……出ました!』


<男勇者>Lv5
頭:
胴:皮の鎧
右手:銅の剣
左手:皮の盾
足:革靴
装飾:ふるさとの小石

<女僧侶>Lv3
頭:帽子
胴:教会の服
右手:ひのきのぼう
左手:鍋のふた
足:サンダル
装飾:見習い僧侶のバッヂ

『…………どうやらまだ駆け出しの冒険者のようです。みるからに初心者丸出し、はっきり言ってナメプでも勝てそうな勢いです。あ、ちなみに私の戦闘力はと……』


<ワーウルフ>Lv21
頭:
胴:
右手:つめ
左手:つめ
足:


『こんな感じです。生粋の野生魔物なもんでして装備品なんてありませんが楽勝でしょう』

『では無駄話もほどほどにして、そろそろいきましょうか!』

『…………とも思ったのですが、少々面白いことを考えてしまいまして。もうちょっと待ってください』

『ほら、向こう側見えますか?勇者たちが歩いていく方向の前方の草陰!わたしが特性に準備したトラバサミをセットしてあるんですよ〜』

『ただのトラバサミじゃぁありません。私の唾液と魔力をたーっぷり染みこませて自慢の爪で作った超特性ウェルカムワーウルフトラバサミなのです!どうです、凄いでしょう』

『ただ、二つ問題があるのです。まず、そもそもトラップに引っかかってくれるのかという問題。それと、ちゃんと女僧侶が踏んでくれるかという問題。流石にここまでは考えておりませんでした』

『と、ごちゃごちゃ説明している間に勇者たちはもうすぐという場所まで近づいていますね』

『我ながら…………バレバレだよねアレ……歯先なんて草から飛び出してるし。こりゃ失敗かな。ま、だとしたら直接私が勝負を仕掛ければいいだけのことだし!まず負けないっしょ!』


女僧侶「キャアアアア!?なんですこれぇ!?」

男勇者「どうした!?って……狩猟の罠!?踏んじまったのか!どうしてこんなところに」

『…………う、うーん、見事に引っかかってくれました。なんだか若干罪悪感を感じざるを得ないです』

勇者「待ってろ、今外してやるからな」

僧侶「うぅぅスミマセン。わたしがこんなドジで」

勇者「なーにまだ始まったばかりだろ。こんなんでドジと決め付けるのはまだ早い」

『いやぁ私が見るかぎりでかなりのドジっぷりをかましてくれてますよ』

勇者「にしても変だな……こんなに鋭い歯のくせに傷一つ付いてない」

僧侶「ですねぇ。しかもこれよく見ると鉄じゃなくて……なにかの爪っぽいですよ」

勇者「むぅ……一応念のために毒けし草でも使っておくか」

僧侶「初っ端から状態異常なんて嫌ですもんね」

『いや〜ははっ、残念ながらその状態異常【魔物化】って言うんですけどもう治療方法ないんですよねぇ(ゲス顔)』



 ―――数時間後


勇者「さーて、そろそろ日も暮れてきたし今日はここで野宿とするか。次の町までまだ距離は結構あるし」

僧侶「そう、ですね……」

勇者「どうした僧侶?」

僧侶「いえ、なん、でも。ちょっと動悸がですね……」

勇者「はっはーん、教会でお祈りばっかしてた僧侶にはこの旅はちょっと辛いか?」

僧侶「ばっ、馬鹿にしないでください!」

勇者「そんくらい声が張れるならまだ大丈夫そうだな。でも少し休んどけ」

僧侶「わかり、ました……」

勇者「今晩は冷え込みそうだからその間にちょっくら焚き木でも拾ってくるわ」ザッザッザ

『んっふっふ♪どうやら先ほどのトラバサミの効力が効き始めているようです。いいですよー調子絶好調です』

『もうしばらく観察を続けましょう。ちょっと面白くなってきました』

『おや?女僧侶の様子が……』

僧侶「…………ばか」

僧侶「……ばかばかばかわたしのばかっ」

僧侶「幼馴染の勇者だから今までこんな気持ちになることなかったのに……」

僧侶「はぁっ、なぜだろう、今の彼は幼馴染じゃなくて異性として見えてしまう……」

僧侶「考えれば考えるほど、胸が熱いっ」

『…………いいですね〜コレ。カメラを通してじゃこの素晴らしさは伝わりにくいと思いますが、イヤー素晴らしい』

『なにが素晴らしいって、この葛藤ですよね。どうやらあの二人、勇者と僧侶は幼馴染だったらしいじゃないですか。それがねぇ、異性として意識してしまうんですよ?もうそのシチュだけでご飯5杯はイケます』

僧侶「あつぅい……熱いぃ……もう服なんて邪魔、ぬいじゃえ」

『おおっ♪おっぱいぷるんぷるん!運動不足でちょっと駄肉のついた感じが非常に美味しそうです(性的な意味で)』

『おや……勇者が帰ってきたようです』

勇者「ふぃー、ここいらは枯れ木が多いからすぐに集まったぞ」

勇者「って僧侶!?お前一体なにしてるん……」

僧侶「あー勇者ぁ。ちょっと熱いから脱いだの。でも人肌恋しいかなーって」

勇者「いや、いやいやおかしい。だってここ北国だぞ?しかも現在進行形で息も白いぞ。体調を崩す前に服を着たほうがいい」

僧侶「というかぁ……もうすでに体調悪いかもぉ。ほらぁ♪」

『おおっ、僧侶が勇者の手を引いて自分のおでこに手を当てさせましたね』

勇者「熱っつ!?おま……ひどい熱じゃないか!」

僧侶「風邪ひいちゃったみたいなんですー。だからおクスリ欲しいぃぃ」

勇者「おクスリったって……そんなもの毒けし草くらいしか持ってないし……」

僧侶「いやいやあるじゃん♪ほら、こーやっ…………て!!」

勇者「そ、そうりょさん!?!」

『キタ!キマシター!僧侶が勇者を押し倒しました!私も興奮してまいりました!』

勇者「なっ、僧侶、どっからこんな力……」

僧侶「ふふーふふ、わふっ、ハフッ、おクスリは勇者のおちんちんから出るんだよ!」

勇者「それってまさか……ってか僧侶!?いつの間にそんなに毛深く!?」

僧侶「あれ?あ、ほんとだ。しかもなんかお尻むずむずするしー。ああでもおクスリ欲しい!ワフッ」カチャカチャ

『……ちょっと調子に乗って唾液塗り過ぎたかな?こんなに早く変化が始まるとは想定外でした。ま、見栄えするからいいかな!うんいいよね!』

勇者「そ、うりょ、ちょ、やめ……うああ!」ボロンッ

僧侶「はふはふ♪うわぁ、勇者のおちんちんガチガチでしょ〜!う、うまそう!」ガルル

勇者「ふ、不可抗力だ無意識だ反射だ!あぐっ……」

僧侶「んふー♪じゅるるる……ぐっぽぐっぽ!おいひー♪」ニマァ

『……ヤバ、これずっと見てたらムラムラしてきて乱入したくなるパターンのやつだわ。性欲を抑えてカメラマンとして映像を捉えなきゃ……』

勇者「はっ、あああぁぁ…………」

『もうね、アレですよ。勇者の切なそうな顔ヤバイです。ムラ度がパナいです。何あのおちんぽ、超美味そうじゃん……』ジュル

『ハッ!いけないいけない。ついヨダレが』

僧侶「ハァ、私そろそろほしいな……いいでしょ勇者?うんそうなのわかった!」グニグニ

勇者「まて俺のイチモツと会話をするんじゃない」

僧侶「勇者の息子さんがいいよって言ってるからしちゃうよ♪わふわふ、ずっと勇者とするの夢だったんだぁ♪」

『実に幸せそうで喜ばしいですねぇ。できるものなら祝辞を述べたいくらいですよ。二人に幸あれ』

『っていうか、勇者本人もまんざらじゃなさそうじゃないこれ?』

『あれ、これ……もしかしてこれ私仲間はずれ?いや、始めから仲間入りしたつもりじゃないんだけど、なんだか雰囲気的に蚊帳の外な気がしてならないんですが』

勇者「はっ、なんてこったい……先日旅出したばかりなのに、俺達の旅はここで終わりか。みんなに合わせる顔がねぇなぁ」

僧侶「わたしたちのぼうけんはここでおわってしまった?」

勇者「そうなるのかねぇ。教会にも故郷にも顔向けできなさそうだし」

僧侶「わふふー♪ちがうよ勇者、冒険は始まったばかりさ!」

勇者「というと?」

僧侶「二人で築く人生という名の冒険は始まったばかりだよ///」

勇者「」

『あーあ、ついに彼らおっ始めちゃいましたよ。こんな森の中で青姦ですかそうですか』

『喘ぎ声とかピストン音とかめっちゃ聞こえてますもん……』

『あーもう尻尾と耳まで生え始めちゃいました。もうアレ完全にケモノですね。私と同類ですよ。ってか私より淫乱そうじゃね?』ガルル

『……とまぁこんな感じで一部始終をお送りいたしましたー。え、セックスを映せと?またまたご冗談を。その映像は実際に実践した者のみが見られる特別映像ですよ!私のまなこにきちんと記憶しておきますのでいつでもご購入を!』

『結果として、実践は大成功もとい大性交!まぁ今回はパーティーが駆け出しの初心者だからこう上手くいったのであって、本来はもっと難しいんでしょうねぇ』

『ともかくとても面白い遊びでした!著者のアークインプさんに感謝の念を伝えつつ、ここらでさよならとしましょー。ではでは!』





・パターン2:男勇者、女戦士、女盗賊 計3名
       ダークプリーストの場合


『それでは張り切っていきましょう。今回は男一名、女二名の非常にやりやすいパーティーですね。いつもどおりわたくしの手馴れた手腕をご覧いたしましょう』

『ではまず、一行の進行方向を予測しまして、一足先に私自ら向かいます』

『そして……えいっ』ボワワワン

『人化の術で人間になりすまして、道端で転んだフリをします。これで準備完了です。後は一行が来るのを待つだけ……』

『ほぅら近づいてきましたよ、足音が聞こえます。ここでわたくしはお得意の泣いたフリをするのです』

勇者「…………ということがあってだな」

盗賊「マジかよ……それは流石にちょっと引くわ」

勇者「だろ?だから俺も言ってやったわけだ"エルフの好物は納豆じゃなくてくさやだ"ってな」

戦士「それどっちもあんまり変わらないんじゃないかな…………って勇者勇者!あそこ見て!」

勇者「うん?どれどれ。ぬをっ!?人が倒れている!」

『およよよよ……どうかおたすけをー』

盗賊「どうやら怪我しちまったみてぇだな。どれちょっくらアタシが……」

勇者「ちょい待ちぃ。ちょっと怪しくねぇかアレ」

戦士「こんな山奥で人通りもない獣道のど真ん中を軽装で横たえてるなんて確かに怪しいね」

盗賊「んじゃどーするね。このまま見捨てるってのも勇者パーティーの名が廃るってもんだぜ?」

『あぁ!そこの旅の方!どうかわたくしめをお助けくださいまし……』

戦士「めっちゃこっちガン見してきてるんだけど」

勇者「んーむ……仕方がない。これでも俺は弱き人々のための勇者だ。ちょっと警戒しつつ行ってくるわ」

盗賊「一応念のために耐魅了の札でもつけときなよ」

勇者「そうしておく」ザッザッザッ






『すみません、助けて頂き真にありがとうございます』

勇者「礼は別にいらんよ。しっかし……あんた、ここを一人で歩いていたのかい?」

『ええ、そうです。隣町まで薬草の買出しをしていたのですが、道中で足をくじいてしまって……』

勇者「女子供がひとりで歩くような道じゃないぞここは」

『それは勿論存じておりますが、なにぶん急ぎの用でしたもので』

勇者「ふぅん……まぁいい。丁度俺達もその隣町まで歩いていたところだから一緒についてくるか?」

『そっ、それでは是非お世話になります!あぁなんと心頼もしき旅人方なのでしょうか』

勇者(っかしいな……こんな山奥で道端に倒れている女とかどう考えても魔物の類なハズなんだが。)

勇者(耐魅了の札が反応していないということは、本当にこの女は魔物じゃなくて人間なのか、それとも魅了の魔法を使っていないだけなのか……むぅ)

勇者(ま、いずれにせよ正体がわかり次第たたっ切ってしまえばいいだけのコトだ)

『あの、どうかしましたか?』

勇者「んぁ、いやちょっと考え事をな。んじゃ仲間も待っているだろうし戻ろう」ザッザッザッ




盗賊「あんた隣町まで一緒について来るんだって?ウチラの旅足は速いから頑張ってついて来いよな!」

戦士「ここらへん野盗とかも結構出るらしいから戦闘は必須だけど、あんた武術の嗜みは?」

『下位の補助魔法程度ならば少々ですね』

戦士「おっけー」

盗賊(オイ勇者、ほんとにあいつ魔物じゃないんだろうな?)ヒソ

勇者(現時点では何ともいえないが……少なくとも出会いがしらに魅了の魔法を使ってくるような好戦的な魔物でないのは確かだ)ヒソヒソ

戦士(ちゃんと魔物じゃないって証拠がないと私は安心できないなぁ)ヒソソ

勇者(それは俺も十分承知なんだが、かといってもし本当にただの人間だとしたら、俺らは弱ってる人間を見過ごした最低な勇者パーティーになるんだぞ?それだけは避けたい)ヒソリン

『…………………………』ジトー

勇者「あ、あぁ……ははは気にしないでおくれよ。ちょっとだけ待っててくれ。なにぶん俺達の作戦会議は小声なもんでな」

盗賊(なんだよ小声の会議って!もうちょっと上手い言い訳考えろよ!)

戦士(めっちゃ疑いの目でこっち見てるし)

勇者(いや疑いの目で見たいのはこっちなんだが)

戦士(そう言われてみればそうだった)






――――夜 テントの中


勇者「んがごごごごぐぐぐぐぐぅ」

盗賊「すぴーーふしゅるるる」

戦士「すぃーんすすすーーー」

『……………………』ツンツン

盗賊「すぴーーふしゅる……んえ?」

『ちょっとお話しない?』ヒソヒソ

盗賊「う゛ーー……ねむい、やだ、ねるぅ」

『ちょっとだけだから、イイコト教えてあげる』ヒソヒソ

盗賊「むぅぅ……カネになる話だったら聞いてやってもいいぜー」

『んふ、それじゃ、外出ましょ』ガサゴソ

盗賊「マジかよ……ったくこんな夜中になんだってんだ」ガサゴソ

『ん〜♪綺麗な夜空。小さな星まで見えちゃう』

『さて、盗賊さんが寝ぼけている間に戦闘力を測ってしまいましょう』ピピピピ


<女盗賊>Lv35
頭:風のベレー(未装備)
胴:ぬすっとインナー
右手:大蜈蚣の小太刀(未装備)
左手:ワスプダガー(未装備)
足:飛脚の草履
装飾:盗賊の極意


『ほほう、これはなかなか……正攻法で戦うのは得策ではなさそうですね……』

盗賊「んぁ?なにかした?」

『いえ、気のせいではないかと』

盗賊「ふぁー大分目が冴えてきた。んで、話ってなにさ」

『あ、そうですね。時間も時間ですので単刀直入に言っちゃいますと……』

盗賊「言っちゃいますと?」

『ズバリ、男勇者さんは女盗賊さんのことが好きですね』

盗賊「…………………………あん?」

『もう一目見ただけでわかっちゃいました。仕草といい受け答え方といい、完全に女盗賊さんのことを意識しちゃってますよあれ』

盗賊「なに言っちゃってくれてんのあんた?え?は?意味不明すぎて逆に頭冴えてくるし」

盗賊「男勇者がアタシのことを好き?んな面白くない冗談は始めて聞いたわ」

『ところがどっこいこれが本当なんですよ。わたくしにはわかります』

盗賊「根拠もクソもないアホみたいな作り話誰が信じるってーの。まして初対面で素性もよく知れないあんたの話だぜ?」

『それはまぁ普通に考えればそうでしょうねぇ』

盗賊「それにアタシなんて女らしくもない、しかもガラの悪い盗賊なんてヤツを好きになるなんてありえないっしょ。それならまだ勇者が戦士のこと好きって言ってくれたほうが面白いし」

『おや、女戦士さんの肩を持つのですか』

盗賊「アタシか戦士どっちかを選ぶってんなら間違いなく戦士だろうな。あいつ意外と女気あるしそこそこ胸でかいし」

盗賊「実はアタシの知らない間にあいつら二人はもうデキちゃってるかもしれねーしな。ま、アタシにゃ関係ないけど」

『じゃあ奪えばいいじゃないですか』

盗賊「盗み専門のアタシでも流石にヒトの恋路まで奪う趣味はねーよ。ってか、まずそれ以前に自分で言っておいてなんだが勇者と戦士がデキてるってのもありえんしな」

『それはなぜです?』

盗賊「あのクソ朴念仁の勇者ときたら女の気配すら微塵にも感じねぇんだよ。アタシと戦士のことだって女とすら見てないんだろうよ多分」

『それは悲しいことですね。男と女は古今東西愛し合い交わるのが世界の理だというのに』

盗賊「……ってかさっきからなんだ?ずけずけと他人の関係まで聞いてきやがってよぉ。初対面の癖に随分と図々しいぞあんた」

『ですから先ほど申し上げた通り、男勇者さんは女盗賊さんのことを好いています。そして女盗賊さんも心の奥底では男勇者さんのことを好いているのにもかかわらずどうしてお互い愛し合わないのかを不思議に思っているのです』

盗賊「なんか変な後付追加されてるし。勇者がアタシのことを好きになるってのはまぁ天地がひっくり返ったらあるのかもしれないが、アタシが勇者を好きになることは完全にありえない。意味不明。あんた頭おかしーんじゃねぇの?」

『うふ、そこまでムキになって反論すると逆に好意を抱いている証明になってしまいますよ♪』

盗賊「はぁ…………埒があかね。もういいや、疲れた、寝る。あんたとはどうも話が合わん」

『ウフ、ウフフ、それは真に残念です』

盗賊「ったく薄気味悪いな。あー喉かわいた。ちょっと水筒取ってくれないか」

『はい♪どうぞ』キュポン

盗賊「ングッ、ゴキュッ、ゴクッ……」プハー

盗賊「??これ水、だよな……?なんか心なしか甘いような気がするんだけど」

『正真正銘真水ですが?』

盗賊「チッ、舌まで寝ぼけてやがる。んじゃアタシは寝るよ。あんたも、明日は早いんだから寝たほうがいいぜ」

『わたくしはもうしばらく夜風に当たっております。おやすみなさい』

盗賊「おやすー」ゴソゴソ

『………………』

『これにて準備第一段階完了です。ふふ♪やはりこういうものは何度体験しても面白いものですわね』

『勇者とその身の回りを弄くるのは非常に奥ゆかしい遊びだと思います。先人の知恵と経験をフル活用し今後とも執り行ってゆくのでもうしばらくお楽しみくださいませ♪』

『あ、ちなみに堕落神信仰に宗派を変えたい場合はフリーダイヤルՍՎՏՐՑ-ՕՖաբ-ԸԹԺԻԽԿՀ-շոչպջ-ՁՂՃՄՅՆです。覚えましたか?』



―次の日―

野盗A「げへへぇ、そこの兄ちゃんたちよぅ、金目のモン置いていきな!」

野盗B「ネーチャンたち3人は俺達とイイコトしねぇか〜?」

勇者「置いていけといわれて置いていく馬鹿がどこにいる」

戦士「お前達みたいな不潔なヤツは大嫌いだ!」

『というか3人ってことはもしかしてわたくしもカウントされてます?』

勇者「まぁ旅路に付き合ってもらってるんだからこれぐらい我慢してくれや」

勇者「っしゃ!盗賊、いつものフォーメーションでたたみかけるぜ!」

盗賊「……」

勇者「……盗賊?盗賊さん?聞いてるか?」

盗賊「ん――あ、ああ!わぁーってるって、いつものね」

勇者「おうよ!俺の背中は任せたぜ」

盗賊「勇者の……背中…………///」

盗賊(勇者の背中ってこんなに大っきくて……頼もしかったっけ……)

『………………♪』ニコォ

戦士「数はひいふうみい……木陰に隠れているのもあわせると10人ちょっとってところかな」

勇者「そか、なら楽勝だな。いつもどーりちゃっちゃとやっちゃいますかっと!」

『わたくしも補助魔法で援護します』

戦士「お、助かるねぇ」

勇者「んじゃーいざ野盗退治!」

盗賊「お、おー……」





――――夜




勇者「んごごごごごごごぐぐぐがーぎりぎりぎり」

盗賊「ん……んんぅ……はぁ、はぁ……」

戦士「スヤァ…………」

『……………………』ツンツン

戦士「すーーーーん……んんむぅ?」

『ちょっとお話しない?』ヒソヒソ

戦士「むぇー……なぁにこんな時間に」ヒソヒソ

『ちょっとだけだからさ、テントの外でお話しましょ』ガサゴソ




『いやー今夜も満天の星空ですねぇ』

『では早速スカウターで、と……』ピピピピ


<女戦士>Lv37
頭:鉄火の鉢巻(未装備)
胴:ミスリルプレート(未装備)
右手:バーサークアックス(未装備)
左手:〃
足:石砕きのグリーブ(未装備)
装飾:オーガパワーリスト


『彼女もなかなか……やり手ですねぇ』

戦士「んむぅ、何か言った?」

『いえ、コチラの話しですよ』

戦士「ならいいや。で、お話ってなに?明日も速いんだし手短に頼むよー」

『はい、実を言いますとね……』

戦士「言いますと?」

『ズバリ、勇者さんは戦士さんのことを好いております絶対に』

戦士「………………はい?」

『驚くのは無理もないことでしょう。何せ今まで一緒に旅してきた勇者さんが貴女のことを好きだというのですから驚いて当然ですよね♪』

戦士「いや?えーと?うーん……?ごめんちょっと意味わからない」

『ですから、勇者さんは貴女のことを恋人にしたいと思っているのですよ。本当ですよ?』

戦士「はぁ……嘘はいけないよ嘘は」

『どうして私の言うことが嘘だと?』

戦士「いや…………仮に勇者が女のヒトを好きになるとして、私か盗賊か選ぶとしたら、きっと盗賊のほうを選ぶと思うから」

戦士「そしてなにより、あのクソ朴念仁が異性を意識するなんてことはほぼないに等しいからさ」

『勇者のことは置いといて……なぜ貴女ではなく盗賊さんの方を肩に持つのです?』

戦士「いやだって、気が付かない?勇者と盗賊のあの仲の良さをさ。今日だって抜群のコンビネーションで野盗達をこてんぱんにやっつけちゃうし、私が見る限りではあの二人相性抜群なんだよね」

『体の相性も抜群かもしれませんよ』

戦士「は?」

『冗談です』

戦士「というか、あんた出会って二日目でなんつーこと聞いてくるのさ。……もしかして魔物とかじゃないだろうねぇ」

『魔物だなんて……流石にそれは傷つきますよ。少しばかり他人の恋路が気になる年頃でして♪』

戦士「それならあんた、助けてもらうパーティーを間違えたね。うちらのパーティーで最も縁のないものが恋路だからさ」

『いえいえ、助けていただいただけで私からしてみたら最高のパーティーですよ』

戦士「嬉しいこと言ってくれるじゃん。……ふぁぁ、眠くなってきちゃった。んじゃ話は終わった?あたしはそろそろ寝るよ〜」

『お話を聞いてくれてありがとうございました♪あ、寝る前に水分補給いかがです?』

戦士「じゃあ貰っておこうかな。水筒取ってー」

『ハイ、どうぞ♪』

戦士「ごくっ、ぐぐっ、んぐっ……」プハーッ

戦士「あれ、水筒間違えてない?なんか水にしては若干甘いような」

『いえ、間違いはないはずですが』

戦士「そう、まぁちょっとくらい甘くたってさしたる問題はないよね」

『そうですね』

戦士「んじゃ寝るわ〜おやすみ〜」ガサゴソ

『おやすみなさい♪』

『………………』




『計画通り』ニヤリ

『さあいよいよ準備は終わり、後は時間が勝手に解決してくれるでしょう。私が直接手を下す場面は終了いたしました』

『これからはひたすら観察に徹するとしましょうか♪』

『いやぁ、人間の心を揺さぶるのってオモシロイですよねぇ。堕落神様もそう仰っております』

『わたくしも早く殿方を見つけてパンデモらないといけませんねぇ。あ、パンデモるというのは最近流行の言葉でその名の通りパンデモニウムに永住するという意味ですよ』

『レッツパンデモ!』


――さらに次の日――

勇者「目的の町まであと三日ってところか……おいあんた、足くじいたのはもう大丈夫なのか?」

『はい、御覧の通りもう完治いたしました♪あとは町を目指すだけですね』

勇者「そうか。ならいい」

勇者「ところで……」

盗賊「!」ササッ

戦士「!!」サササッ

勇者「何で俺こんなに避けられてんの……?」

『なぜでしょうねぇ、どうしてでしょうねぇ』

勇者「おい盗賊!俺何かお前にしたか!?」ガッ

盗賊「うひゃあ!?い、いきなり掴むんじゃねーし///!」ドキドキ

勇者「戦士!どうして俺と距離を開ける!?」ズンズンズン

戦士「いや、いやいやいや!そんなつもりはないんだよ///!」ドキドキ

勇者「はぁ、はぁ……なんだよチクショウ……昨日とはまるで別人みたいじゃねぇか二人とも……どうなっちまったんだ……」

『…………♪♪』ニコォ

『ねぇ勇者さん。ちょっとお話ししたいことがあるのですけれども』

勇者「……なんだ」

『私もしかしたら、お二人の異変の原因を知っているかもしれません』

盗賊戦士「「!?!?」」

勇者「なにっ!そうなのか?もったいぶらずに教えてくれ!何だ!?」

盗賊「ゆ、勇者、それは聞かないほうがいいんじゃ」

戦士「そ、そそそうだよ聞いちゃだめだよ」

勇者「うっさい!お前たちが何か変な状態異常にかかってるんなら心配するのがリーダーである俺の務めだろう!大事な仲間なんだからな」

盗賊「勇者が、しんぱい……」キュン

戦士「大事な仲間……」キュンキュン

『お二人はもう自分の気持ちに素直になったほうが良いんじゃないですか?わたくしは理解していますよ♪』

盗賊「なっ……戦士おまえ……」

戦士「盗賊こそ……本気?」

勇者「気持ちに素直になる……?どーいうこった」

『んふふ……』

『実を言いますとねぇ……お二人とも勇者さんのことが…………』

盗賊「わーわー!!!!」

戦士「わわーーわー!!!」

勇者「な、なんぞ!?」

盗賊「ゆ、ゆうしゃ!アイツは危険だ!アタシと一緒に逃げよう!」ガシッ

戦士「いや!私と一緒に逃げたほうが安全だよ!」ガシッ

勇者「ちょまっ……」

盗賊「いーや!ゆうしゃはアタシと一緒に逃げるの!ゆうしゃはアタシのもの!」ギリギリギリ

戦士「違う、ゆうしゃは私のものだ!ねぇゆうしゃ♪私のほうがいいよね?」ガチッ

勇者「何なのだ、これは!どうすればいいのだ?!」

戦士「ほら!私のほうがおっぱい大きいからゆうしゃの好きなように揉めるよ!」

盗賊「う、うるせー!アタシのほうが体力あるからゆうしゃとずっとヤルことできるし!この脳筋牛乳タウロス野郎!!」

戦士「なにをー!!体力だけが取り得の胸部だけガーゴイル材質野郎が!!」

盗賊&戦士「ギギギギ」

勇者「おいあんた!こりゃいったいどういうこtt……」

『』

勇者「あれ……いない…………どこいきやがった……」

勇者「おいお前達!あの女の姿が見当たらねぇ!探すz……」

盗賊「もーゆうしゃぁ、アタシよりあんなやつのほうがいいのかぃ?」

戦士「私のほうがもーっとゆうしゃを気持ちよくできるよぉ♪」

盗賊「いーやアタシのほうがすごい技持ってるし」

戦士「いやいや私のほうが」

盗賊&戦士「ギギギギギ」

勇者「なにこれ」

戦士「そうだ!どっちがゆうしゃのことをたくさんイかせることができるか勝負としよう!」

盗賊「お、いいねぇ!お互いフェアプレイといこうじゃないか」

勇者「……ほんとなにこれ」

盗賊「どっちが先行かはじゃんけんで決めようじゃないか」

戦士「オッケー♪さいしょはぐ!じゃんけんぽん!」

「あいこでしょ!」

   「あいこでしょ!        「あいこでしょ!」


       「あいこでしょ!」
  
  
 「あいこでしょ!」


                 「あいこでしょ!」


勇者(ここで俺は悟った。目の前の仲間二人はもうなんか違うっぽい。なんだか俺の知らない間にすんげー色っぽくなってやがるし、目つきなんてギラギラしてるし、なにやら俺を奪い合っているようでじゃんけんをしている。ここで並大抵の一般人なら「なんだこれよくわからないよ!」とわめきたてるのがよくあるパターンなのだが、流石は勇者である俺、もう既にこの状況をほとんど理解している。おそらく俺達が助けたあの女の仕業だろう。二人がおかしくなり始めたのとあの女が一緒に行動するようになったのがほぼ同時期だし、なによりこの状況で当の本人がいきなりいなくなるとか確信犯すぎる。)

勇者(つまりここで俺がとるべき行動は一つ……)

勇者「速度増加魔法!」

勇者「からの全力逃走!!」ドドドドド

盗賊「あいこでしょ!あいこで……ってゆうしゃ!?どこ行くのさ!」

戦士「逃げられた!?追うよ盗賊!!」ドヒュン

盗賊「言われなくともォ!!」ズドドドド

勇者「どうしてこうなったッッ…………」ドドドド




『うふ♪いかがでしたか?わたくしの手腕にかかれば手練の勇者一味であろうともいとも容易く堕とすことが可能です』

『なお、性交中の映像は御覧いただくことはできませんが、後日談的なことを述べさせていただきますと、あの後勇者は街の入り口付近で力尽き二人のレッサーサキュバスに捕まったということです。街の警備員からの通報では三人は精液塗れで倒れているとのことでした』

『これにて私のものは終了いたします。最後になりますがここまで見ていただきご清聴ありがとうございました。堕落神信仰に入信をお考えの方は是非フリーダイヤルՍՎՏՐՑ-ՕՖաբ-ԸԹԺԻԽԿՀ-շոչպջ-ՁՂՃՄՅՆまでおかけください♪』






・パターン3 女商人、男勇者 計2名
       形部狸の場合


勇者「ふぅ、やっと着いた〜……ここまで長かったねぇ」

商人「ほんとだねぇ……でも私この都市に来るのが小さい頃からの夢だったんだ」

勇者「そうだったっけね。いいじゃないか夢がかなって」

商人「それもこれも勇者のおかげだよ、ありがと!」

勇者「ははっ照れるなぁ。それじゃ宿まで時間あることだし、チェックインの時間まで自由行動としようか」

商人「了解!あ、一応言っておくけどあんまり無駄遣いはしちゃだめだかんね?」

勇者「それは商人も、だろ?夢がかなってハメ外すなよー」

商人「き、気をつけておく……」

勇者「それじゃ、時間になったら宿前に集合ね」

商人「おっけー」





商人「ふわぁぁすげー!中立大都市なだけあって魔物も人間も活気があっていいねー」

売り子「はぁ〜い♪新商品のスイーツタルトお一ついかがですかぁ〜♪これ一つでミラクルメイクアップしちゃって気になる男性をイチコロしゃいちましょう♪」

商人「すげー!トリコロミールの支店直営店!やっぱ直営店だけあって商品の品揃えが桁違いだなぁ」

売り子「そこのプリティーレディちゃん♪新作の試食をどうぞ♪」

商人「あ、えと、すみません気持ちだけ受け取っておきます……なにぶん自分勇者パーティーの一員なものでしてそういうの禁止されてるんですよ」

売り子「あっ、お気を悪くさせてしまって申し訳ありません♪そういう方のためにハイ、これどうぞ♪これは魔力を一切含まれていないトリコミロール特製チョコレートですよ♪」

商人「ちょっと待ってください。一応魔力測量器で検出してみます」ピロリロリロン

商人「ふむ……魔力濃度ゼロ、嘘ではなさそうですね。では一口いただきますっ」モグモグ

商人「!!!!」

商人「こっ、これは……口に入れた途端に香るカカオマスの芳醇な香り!脳が噛めと合図するよりも先に咀嚼を始めてしまうほどの口どけ!そして何より甘すぎず苦すぎず絶妙な味加減で拵えられたバランスとそれでいて従来のチョコレートとは一味違った独特の甘み!」

商人「…………うますぎる……」

売り子「ちなみに、魔力が含まれている本来の商品は今口にしたものより1京倍美味しいですよ♪」

商人「け、けい……」ゴクリ

売り子「ふふ♪気に入っていただけて何よりです♪ぜひ、勇者パーティーを辞めた際にはもう一度立ち寄ってください♪その時はもっと素晴らしいものを試食してさしあげます♪」

商人「か、考えておきます」

売り子「じゃあねプリティーレディちゃん♪さあ新商品のスイーツタルトお一ついかがですかー♪あ、お客さんお一つどうぞ〜♪これはですね〜……」

商人「……………………」

商人「勇者パーティーを辞める……」

商人「…………はっ!あまりの美味しさについ邪念がいけないいけない」

商人「しかし1京倍とか数字インフレしすぎでしょうに……まぁけどそれくらい衝撃的な味なんだろうなぁ」

商人「生きている間に一度でもいいから食べてみたい……」ジュル








『いいカモが来たねぇ』

『もう説明するのも面倒だから全部はしょっちゃうで。ウチも例の本に感化されたモンのうちの一人や』

『せやからこうやってたまに商売の光景を映像に移してるんや』

『んでいいカモってのがホラあそこに見えるやろ、ハタチいかんくらいの女の子!ほれ!あれ、あれ!』

『今回のターゲットはあの娘や。今日はどうやって騙したろかな〜』

『っとその前にと……一応強さぐらい測っておかなね。実はめちゃんこ強い女で作戦が全部筒抜けとかウチ嫌やわそんなん』

『どれどれ〜っと…………』ピピピピ


<女商人>Lv25
頭:あきんどキャップ
胴:強欲の服
右手:フォーチュンハンマー
左手:生命保険の盾
足:そろばんシューズ
装飾:ケプリゴールドネックレス


『うわぁ……みるからにウチと同類の商売人オーラ醸し出してんやん……』

『同じ商売人としてあの子には快楽ってもんを知ってもらいたいねぇ』

『戦闘力的にはさほどウチと変わらなさそうやし大丈夫やろ。よしやったるか』

『ゴホン……え〜寄ってらっしゃい見てらっしゃい!東はジパング西は暗黒魔界、北は氷の大陸南は砂漠地方まで世界の珍品いろいろあるで〜!』

商人「……なかなか面白そうなお店発見!」

『さあさ寄ってらっしゃい見てらっしゃい。そこのお嬢ちゃん、暇だったら見てってや〜!ひやかしでもええよ!』

商人「そこまでいわれちゃぁな〜!じゃあ寄っちゃおうかな〜!」

『(チョロい)』

『ウチの店は世界中のいろんなところから思わずめんたま飛び出るくらい変な物を集めて売ってるのや』

『お嬢ちゃん、見たところあんさん商売人かなんかか?』

商人「はいそうです。一応勇者パーティーで商人やらせてもらってます」

『ほうほう!そりゃまたえらい立派やなぁ!見たところハタチいってないやろ?その若さでようやりまんなぁ』

商人「まぁ詳しい歳はハタチ未満ということでひとつ……」

『ナハハハ!詮索は無用ってか!まぁ気長に見てってや〜』

商人(みたところ形部狸の商売人ってところか……人間に化けてるようだけど)

商人「ま、ここは中立国家だし、今は勇者の職務なんて忘れてショッピングに専念しましょうか!」

商人「こういう雑貨屋って結構好きなんだよねわたし。特に買う用事なくても見てるだけで楽しいっていうの?この水晶とかすごくキレイ……」

『お目が高いねぇお嬢ちゃん。けど残念やけどその水晶は超激レアすぎて非売品なんや』

商人「へぇ……一体どういった水晶なんです?」

『んふー♪知りたい?知りたいんやろ?そこまで気になるっちゅうんなら教えてやらんこともないぞ』

『ジパングに龍っちゅう魔物いるやろ?そいつが肌身離さず大事に持っとるやつや』

商人「えっ!そんなものをどうやってここに……」

『んなもん決まってるやろ。盗んだんや』

商人「んなっ……そんなことしたら龍の逆鱗に触れますよね!?」

『あったりまえや。せやからウチは龍の怒りが治まるまでジパングに帰れなくなってん、こんな辺鄙な都市で雑貨や開いてるっちゅうわけや。かれこれ50年くらいは経つかねぇ』

商人「は、はぁなかなか壮絶な過去をお持ちで」

『龍の宝玉を盗むのは刑部狸界隈で言うところの大ベテラン入門編やからなぁ。ウチこう見えても大ベテランなんやで?』

商人(あ、今この人今自分で刑部狸って言った)

商人「ほうほう……しかし龍の宝玉を盗むので大ベテランの入門なのですか。それ以降の難易度もあるんです?」

『あるで〜。刑部狸達人になるには反魔物領で十年間正体をばれずに商売しなアカンし、刑部狸頭領になるにはドラゴンの巣から財宝を盗んでこなアカンのや。ほんま命がけやでぇ』

商人「いろいろ大変なんですね……」

『極めつけは刑部狸元帥っちゅう一番上の階級があんねんけどな。それになるためには魔王城から魔王の髪の毛を一本盗んでくるっちゅうキチガイなミッションがあんねん』

商人「ヒエッ……」

『んなもん無理に決まってるっちゅうんね。まず魔王城なんてこの世で最も魔力濃度が濃い場所やねん、意識を正常に保てるわけないやろ。ウチなんか足踏み入れただけで発情して正気保てへんわ』

商人「やっぱり魔王城ってそんなにすごいところなんですね……」

『あっ、そういえばお嬢ちゃん勇者パーティーって言ってたもんなぁ』

商人「はい。でも多分わたしたちが魔王城にたどり着くのは無理ですよきっと」

『んな、勇者パーティー一員ともあろうもんが何を弱気になってんねん。んなこと教団役員に聞かれてみぃ、即処分されるで』

商人「わかってるんです。でも……ここ数年は教団が優勢になったって話も聞かないですしそもそも私自身が魔物ってそんなに悪い者たちなのかなって思うときがあるんです」

商人「あなたも魔物でしょう?でも……それなのに教団の人たちよりもよっぽど話しやすいんですもん」

『フーン……ま、魔物のウチがとやかく言えることはなさそうやけど、お嬢ちゃんの人生はお嬢ちゃんが自分で決めるんやで。自分の好きなように生きたらええやんけ』

商人「は、はぁ……」

『やれ魔物だのやれ教団だのウチから言わせてみればんなものしょーもなさすぎてハナクソほじくれるレベルやわ』

『せやからお嬢ちゃんはもっと自由に生きたほうがええと思うで?幸い結構顔も整ってるし、そこまで体系も醜くないやん』

商人「さすが商売人、結構ズケズケ言いますね」

『相手の顔色なんざ伺ってちゃ何にもできひんからね。ウチはアカオニのやつらみたいに本音しか言わんよ』

『(この発言自体がもう嘘やねんけど)』

商人「……そうですね。まぁ、そう簡単に解決できるものでもなさそうですので近々勇者と話し合ってみます」

『それがええで。おっ、そんじゃ特別にお嬢ちゃんたちの旅路を祈ってウチからのプレゼントや』チャポン

商人「これは……?」

『明緑魔界産の有名なブドウ産地で製造された超ヴィンテージもののワインや』

商人「あ、あの〜……お気持ちは嬉しいのですが……」

『ああ大丈夫、魔力は一切含んでへんから大丈夫やで。ホレ、魔力測量器の針もピクリとも動かへんやろ』

商人「あ、ほんとだ。…………いいんですか本当に貰っても」

『ええよええよ!商売人は気前も大事やからね。それにウチも久しぶりに長話できて楽しかったからそのお礼ってことでひとつ』

商人「ありがとうございます!このご恩はいつかきっと……」

『あーあー恩とかいいよべつに!タダであげたんやからタダで受け取っておきぃ!』

商人「タダより高いものはないです!!嫌と言ってもいつか必ず恩を返しますからね」

『あーもう好きにせぃ!勇者にもヨロシクいっといてな』

商人「はい、今晩は良い晩酌ができそうです。…………ってあ!もうこんな時間!そろそろ失礼しますっ、すいません何も買わないで!」

『そのかわり今度来たときは必ず何か買ってってもらうからな〜』

商人「はは、それでは失礼します!」ダダダダッ

『まいど〜』


『………………』

『さて、宿の電話番号はと……』ピロリパロピリロラ

『あ、もしもしーウチやねんけどな、今日そっちに止まる勇者パーティーがおんねんけどー、多分夜お楽しみヤると思うから隠しカメラ起動しておいてくれへん?あい、あーいヨロシクー』ガチャ

『タダより高いもんはないんや。しっかりビデオで代金払わせてもらうでぇ』






 ――――夜、宿の部屋

勇者「すまない商人、予想以上に込み合ってて相部屋でしかとれなかった」

商人「いいよいいよ。野宿に比べたら十分マシでしょ?」

勇者「それもそうだね」

商人「ふぁ〜あ、ねえ勇者は今日どこ歩いてた?」

勇者「自分は装備を新調して……道具を一通り買い溜めしておいて……いらないアイテムを売っ払って……って感じかな」

商人「ごめんね……それいつもは私の役目なのに」

勇者「いやいや!それが逆に自分でアイテムを買うのも案外楽しくてね。危うく予算オーバーしそうになったくらいさ」

勇者「今日は商人に羽を伸ばしてもらいたかったからこれぐらいなんてことないよ!」

商人「……ありがと。あ、それと装備品のことなんだけど」

勇者「ああ大丈夫。商人に言われたとおりに現時点で一番性能のいい奴はできるだけ買わないでおいたよ」

商人「完璧!!だいたいそういうものって次のダンジョンで手に入ることあるからね。お金が無駄になっちゃうよ」

勇者「今までも何回かそれで悔しい思いしたことあるからねぇ……」

商人「お金は無駄なく節約に!だよ」

勇者「ところで商人は今日一日何してた?」

商人「わたしはね〜スイーツショップ寄ったり宝石屋寄ったり食材市寄ったりで超充実した一日だったよ!」

勇者「おお、それは良かったじゃないか!念願のこの町を満喫してたんだね」

商人「正直まだ全然探索し足りないんだけどね。まぁ旅の期限ってのもあるしまたいつか来れたら今度行けなかった場所も回ってみるとするよ」

商人「あっ、そうそう今日最後に雑貨屋さん寄ったんだけどね。その店長さんからなんと……ハイこれ!」ドンッ

勇者「おおっ!?これは…………ワイン?」

商人「そ!明緑魔界産のヴィンテージものらしいよ」

勇者「明緑魔界産って、ちょっとそれマズいんじゃないか?魔力含まれてたらどうする」

商人「大丈夫大丈夫。ちゃんと測量器で計ってるから。ほら!」ピピピピ

勇者「どれどれうん……数値はゼロだね。なら心配無さそうだ」

商人「ベーコンとかチーズもついでに買っておいたから早速飲も飲も〜」

勇者「準備万端ってやつだねぇ。それじゃ一杯頂こうかな」

商人「えーっとグラスグラス……っと、よしおっけー」トポポポ

商人「はい勇者」

勇者「ありがとう。すごい色だ……まるで血みたいに鮮やかな赤色……」

商人「ヴィンテージものなのにここまで綺麗な色って不思議だよね。さすが明緑魔界ってことかな」

勇者「ハハハ、勇者という立場がらあまり魔界を褒めたくはないんだけどね。それを上回るほど至高の一品だよ。香りも芳醇で品のある香りだ」

商人「もうソムリエぶっちゃって。さぁてと、それじゃ……」

勇者「うん。とりあえず、よくここまで二人だけで来れました。今は一旦旅のことを忘れてのんびりしよう!」

勇者「かんぱい!」

商人「かんぱーい!」

勇者「…………」ゴクッ

商人「…………」ゴクッ

勇者「!!これは、なんとも……」

商人「お、おおお……」

勇者商人「「美味しい!!」」

勇者「すごい、こんな美味しいワイン生まれて初めて飲んだよ!」

商人「わたしも!」

勇者「ぱっと見さっぱりしてそうな見た目からとは裏腹に、舌にへばりつく様なこってりとした濃厚なまろやかさ……それでいて不快感はなくついつい1杯2杯と飲み進んでしまう」

商人「若干ちょっと鉄っぽい味が血を想像させるけど、そういう風に作られているんだよねきっと。ブドウの香りというよりは何か別の甘い香りがするんだけど……まぁ美味しいことには変わりないね!」

勇者「そうだね。いやぁおつまみも止まらないよ」

商人「魔界豚ベーコンにホルスタウロスチーズって教団職が見たら卒倒しそうなメニューだけど大丈夫ほら!全部測量したけど数値ゼロだから!」

勇者「たとえ魔力がゼロだったとしても根っからの教団信者は食べないだろうけどね。そういう食べ物事態を禁忌としてるから」

商人「こんなに美味しいのにもったいないねぇほんと」

勇者「まぁ僕らも勇者パーティーだからあまり人のことは言えないんだけれどさ」

商人「でーもこんなに美味しいもの食べるのを嫌ってまで教団に入信する価値ってあるのかなぁって思ってみたりんむぐっ……」

勇者「シッ!商人、そういうことは思っていても口に出しちゃ駄目だ。いつどこで誰が聞いてるかなんてこのご時勢油断できないからね」

勇者「…………よし、防音魔法をこの部屋全体に張ったからもう大丈夫だよ」

商人「あーい、でもさでもさ。勇者ってホンネではどう思ってる……?」

勇者「どう、というと?」

商人「教団についてさ。勇者っていう職だから表向きは教団側についてるけど、本心としてはどうなのかなーってちょっと気になったんだ」ヒソヒソ

勇者「なんだい急にやぶからぼうに」

商人「二人とも酒入ってるんだし、こういう機会ぐらいでしか聞けなさそうだからさ。勇者自信はどう思ってるかなって」

勇者「うーん……そうだねぇ。じゃあ逆に聞くけど商人はどうなんだ?」

商人「わたし?わたしはねー……実を言うとあまり好きじゃないかも」

勇者「だろうとは思ったよ」

商人「勇者と一緒に旅してるからそりゃ魔物だって退治したりするけどさー、何か最近思うんだよね。別に魔物って悪いことしてないんじゃないかって」

勇者「……」

商人「あ、ゴメ……勇者の意見まだ聞いてないのに勝手に教団側が悪いように言っちゃって……」

勇者「いや、いいんだ。僕も実を言うと、教団の活動については反対だから」

商人「やっぱり勇者も?」

勇者「うん。だって考えてごらん。人間が魔物にやっていることと、魔物が人間にやっていることを」

勇者「魔物はその性質柄、人間を性的に襲っちゃうっていうのは僕ら勇者業界からしてみれば至極当然のことなんだけれど、教団側はそれを一般の人たちに公表してない」

商人「うんうん。実際私も勇者と一緒に旅して初めて知ったもん。今の魔物は人間を殺して食べたりしないって」

勇者「そう、魔物はむやみやたらに殺したりしないんだ。むしろその逆、人間の男と結ばれて子作りすることこそが彼女らが一番望んでいることなんだ」

勇者「それが人間はどうさ。人間同士で殺しあうのなんて当たり前、ましてや罪のない魔物までも殺して主神様だの何だの言っている」

勇者「生命を作り出そうとしている魔物と、生命を失わそうとしている人間。その板ばさみで僕はずっと悩んでいるんだ。今までも、これからも」

商人「勇者……」

勇者「このまま魔物の繁殖が進めばいずれこの地上からは人間は絶滅してしまうというのが教団の見解だ。それは間違いないと思う」

勇者「けどね……僕は思うんだ。遅かれ早かれ近い未来、人間は人間同士の戦争によって滅ぶんじゃないかって」

勇者「主神を尊ぶとかそれ以前に生命を冒涜してるんじゃないか、ってね」

勇者「だけど僕は勇者という職だから……そう思ったとしても忘れるようにしている。時たまこうやって、そうだね酒が入ったりすると思い出してまた魔物と人間の関係に悩んだりするんだけど、こうやって他人に話すのは初めてだったかも知れない」

商人「勇者……ごめんね、そんなに真剣に悩んでいたなんてわたしこれっぽっちも気づけなかった」

勇者「商人が思い悩むことじゃないさ。この問題はきっと僕には解決できない問題だから」

勇者「もっと僕よりも魔物のことを大切に想っていて、そしてそれを実現できる強さと行動力のある別の勇者がいつの日か必ず実現してくれると願っているよ」

商人「そっか……勇者はそう思ってたんだね。なんだろ、なんか嬉しい」

勇者「僕が教団のことを嫌いで?」

商人「それもあるけど、勇者がこうやってわたしに本音をぶつけてくれたことが嬉しい」

勇者「そう、だっけかなぁ。結構長い間一緒に旅してるからあんまり考えたことなかったや」

商人「勇者ってば無意識のうちに本音隠すんだもん、そりゃ自分でも気が付かないはずさ。長く一緒にいればそれくらいわたしでも察するよ」

勇者「そういうものなのかなぁ」

商人「そういうもの。これからは……いつでもわたしを頼ってくれて良いんだからね///」

勇者「し、商人……」

商人「…………あ、あーっ暑いなー!うん暑い暑い!!ち、ちょっと上着一枚脱ぐね!!」ヌギヌギ

勇者「そういわれてみればなんだか暑いな……こっちも一枚脱ごう」




―――――




勇者「ふぃー、だいぶ飲んだなぁ。結構酔いがきてるよ」

商人「あーしもー。なんだらろれつがうまく回らなくなってひたよぃ」

勇者「ハハハ、商人飲みすぎだぞ」

商人「うひーだっておいひーんだもん!」

勇者「明日は二日酔いコース確定だな……ま、しばらくの間はこの町に滞在する予定だから大丈夫か」

勇者「あ、そうだ商人ちょっと提案なんだけれど」

商人「んん?」

勇者「ここから先の道のりはだいぶ険しい道のりになるから新しい仲間を一人か二人ほど雇おうと思っているんだけど」

商人「新しい……仲間?」

勇者「そういうこと。今までは商人と二人でもどうにか協力していけたけど、これから先は二人だけでは辛い場面も出てきそうだからね。ここらで戦力増強の意味も兼ねて雇おうかと」

商人「…………」

勇者「で、今日酒場に行ったら優秀そうな人たちがたくさんいてね。名簿をもらってきたんだ」

商人「ちょっと見へて」

勇者「僕が前衛で商人が補助だから、最低でも後衛が一人欲しいかなと思っているんだけど……一押しの人いるかな?」

商人「戦士、弓使い、魔法使い、狩人、学者、傭兵……ふーん……」

商人「却下。ぜーんぶきゃっか」ビリビリ

勇者「ええっ!?き、気に入らないにしてもなにも破く必要なんてないじゃないか!」

商人「いやらったら嫌なの!どーせこいつらなんて、勇者って名だけで寄ってきたそこらへんのミーハーとおなじよ!」

勇者「い、いやだとしても実力は確かなものだし……給料目当てだとしても頼りになると思ったんだけど……」

商人「ひぐっ、もしかして勇者……わたしのこと用済みになっちゃった……?」グスッ

勇者「ち、ちがう!そうじゃない!商人はすごい頼りになるしこれからもずっと一緒に旅していく!これは揺るがない」

商人「これからもずっと……?えへへ///」

勇者「はぁう!」キュン

勇者「そ、そうだこれからも一緒だ。だけどな、旅半ばで力尽きてしまったらそれも適わなくなっちゃうだろ?だからそうならないように……」

商人「でもでも、わたしと勇者の二人だけの空間に邪魔ものはいらないかなぁーって」

勇者「二人だけの空間っておま……相当酔ってるだろ……」

商人「んふーそうかもねぇ〜だってすっごい暑いんだもん。もう一枚脱いじゃえー」

勇者「ちょ、やめ!それ以上脱いだらもう下着しか残ってないから!」

商人「え〜あっつい〜勇者だってすごい汗だよ?あつくないの?」

勇者「確かにだいぶ暑いし……ちょっと眩暈もしてるがまだ商人ほどじゃない、はず」

商人「なら勇者も脱いじゃえば良いのに♪」

勇者「…………相部屋じゃなかったら脱いでるけどさ」

商人「え〜なんで相部屋じゃ脱がないのさぁ」

勇者「年頃の男女が個室で酒飲んで薄着とかもう……アレだから……その……」

商人「あは♪そっかぁ勇者もやっぱりそういうの意識するんだぁ///」キュンキュン

勇者「そりゃっ……健全な男子なんだから当たり前ってもんだけどさ……」

商人「今までずっと二人旅で野宿してた時は何の素振りもなかったのにぃ?」

勇者「の、野宿と旅館の相部屋とじゃ状況が違うだろうに……それにお互い酔ってるし」

商人「ってことはぁ〜旅館の相部屋で二人きりでよっぱらってるなかで一線越えちゃっても誰も文句言わないよね///」

勇者「商人!やめるんだおかしなまねをするんじゃないとりあえずおちつこうかしんこきゅうだ」

商人「ふっー♪ふうっー♪ねぇ、暑いよゆうしゃ……体の内側がマグマみたい……」サワサワ

勇者「やめっ……くそ、めまいが……立てないっ」

商人「えへ……おいしーワイン、勇者ももっと飲もうよー」ゴクッゴクッ

勇者「しょうに、ん……一体何を……んむぐっ!?」

ゴキュゴキュ
チュバッ

商人「ゆうしゃと初口移ししちゃった♪あはぁぁぁ///」キュン

勇者「げほっ、げほっ……はぁっ、ふぅ……マジか……」

勇者「ヤバイ……本格的に酔ってきた……視界がぼやける……」

商人「ゆうしゃっ勇者ぁ♪こんなところでもするのもなんだしベッド行こ?」

勇者「って言われても、た、立てな……うおおぉぉ」

商人「ダイジョウブ♪ほら運んであげるからぁ」

勇者「ぉぉぉおお商人いつの間にそんな力が?」

商人「わかんないけどぉ……ゆうしゃのことを想ったらすっごいぱわーが沸いてくるの♪」

商人「ホラぁベッド到着♪ダブルベッド♪んふふー///」

バキバキバキ
メキッ……
ゴギリギリリ

勇者「……?何か変な音しないか?」

商人「ほんとだねぇ、どこから鳴ってるんだろぉ〜。ま、いっか♪」

商人「ハァ〜ゆうしゃのからだいいにおい〜」ペロッ

勇者「ひぐっ!あ、汗を舐めるなくすぐったい」ビクビクッ

商人「もっとゆうしゃを触っていたいな///」

バキンッ!
ベキィ!
ギチギチギチギチ……

勇者「うあーついに幻覚まで見えてきた……」

商人「どんなげんかく〜?」

勇者「商人の足?腕?が3本……4本……いやもっと増えてる……なんじゃこりゃ」

商人「ほんとだ〜わたしも同じ幻覚みえてるかもぉ♪」

勇者「しかも毛深くなってるし肌も黒くなり始めてるし……うっぷ酔いすぎて吐き気が……」

商人「すごいお酒だねぇ一緒の幻覚がみえるなんてぇ♪ゆうしゃと一緒♪♪」

勇者「はあ、ハァ……あれ、なんだろ……めっちゃ商人のこと愛らしく思えてきた」

商人「んええ!?ちょ、そんなの反則だよ♪♪あっ、ちょ、イクっ!」ビクゥッ

ベキベキベキ
ズチュッ
グチュグッ

商人「あっ、ハァァ〜♪♪ずるいよゆうしゃぁ♪言葉だけでイっちゃった♪」

勇者「もう、なんだ、どうにでもなれ……もうだめ…………動けん……」

商人「お酒の力ってすごいね!もうガマンできなくなっちゃった///♪」

商人「どうにでもなれって言った?言ったよね!じゃぁどうにでもしちゃう♪」カチャカチャカチャ

商人「ん〜ベルトがじゃま!」ビリィ

勇者「あぁー俺のベルトがぁ……」

商人「邪魔だからねじ切っちゃった♪」

勇者「下半身がすーすーする……うぐぅ……ぐぐ……」

商人「すごぉい……♪これがゆうしゃちんぽ///」

商人「もうガマンできない!ちんぽちょうだい♪」

勇者「…………」

商人「…………っ♪」ズプッ

商人「あぁぁっ♪ゆうしゃのが……キテる……♪」

勇者「しょうにっ……うわ、これやば……ハァッ」

商人「あ♪んっ♪」

商人「あついね……体も、ナカも♪」

勇者「ああ、熱い……あつすぎて溶けてしまいそうだ」

商人「っ♪♪嬉しいなぁ♪はぁぁ♪」

勇者「この感覚は幻覚じゃない……もしかして商人のそのカラダも……うぐっ!」

商人「いいっ♪すごいっ!ゆうしゃのどんどんおっきくなって……♪」

商人「はぁ〜ゆうしゃ好き好きすきぃ♪他の仲間なんていらなぁい♪ずっと二人でいいよ!」

勇者「そこまでいわれちゃ……んっ……男冥利に尽きるってもんだっ」

商人「はあぁ……♪んんっ……♪はっ……」

商人「あぁっ♪あっ……♪うあっ……♪そこっ……気持ちいい♪」

商人「はぁん♪あ……ん♪んんっ!!」

商人「うあぁっ♪ゆうしゃ……そこダメッ♪」

勇者「商人……やっぱりそのカラダ……」

商人「あ♪あっ♪おなかのなかあ……あったか……あっ♪」

勇者「今は考えるだけヤボだなこれは…………うぐっ」

商人「ッあ♪ああっ♪あぁあっ♪んうっ♪」

勇者「商人のナカ……とろっとろですご……締め付けがっ」

商人「んうぅっ、ゆうしゃぁ♪どぉ、きも……きもちいい?」

勇者「しょうにんの身体……気持ちよすぎでっ、ちょっとヤバ……んんっ!」

勇者「やばっ……しょう、にん……!!」

商人「んんーッ♪んんっ♪」

勇者「そん、なっ……8本足……ホールドされちゃ……!!」

商人「はっー♪はー♪へへぇ♪はなさない♪」

勇者「このままだと……ナカに出すぞっ……いいのかっ!?」

商人「ゆうしゃのすきに……して……ぇ♪///」

勇者「うおっ……あっ……出る!」

商人「んっ♪いいよ……だして♪」

勇者「あぐっ……ああぁぁああぁっっ!!」ドクンッ

商人「んあ♪うあああぁぁ♪でてるぅッ♪」

商人「あぁ……♪はぁぁ♪すご……おいし……なにこれぇ」ゴポポ

商人「ゆう……しゃぁ……すきぃ……♪♪///」

勇者「なんだ、これ……きもちよすぎ……しぬ……」

商人「おなかのなかで……ゆうしゃの汁が♪しあわせぇ」

商人「も、もういっかい♪もういっかい!♪」

勇者「もう、出ない……さっきの一回で一週間分は出した……それぐらいヤバかった……」

商人「うう……もっとゆうしゃの欲しいのに……子供も作りたい……」ウワメヅカイ

勇者「子供も作りたいとか完全に魔物の……ハッ!!」

勇者「やっぱりその姿幻覚じゃなくて……」

商人「むぅ、ゆうしゃが嫌でもわたしがもっとシたい♪だから無理やりでもいいよねぇ♪」バシュッ

勇者「なっ!?これは?」

商人「わぁすごい♪お尻から糸みたいの出せるようになってる♪あ、手からでも出る」

勇者「み、身動きが……とれ……」

商人「うふ、うふふふ……♪もっとワイン飲んで飲んで♪」ゴクッゴクッ

勇者「うぐぅ、ごぼぼぼぼ……」

商人「ほらぁまた勃った♪あと何回出るかな♪」

勇者「しょう、にん……?目が、怖いぞ……」

商人「ゆうしゃのせーえきがわたしのお腹を満たすまでぇ……止まらないよ!」

商人「もっと愛して……わたしも愛するからぁ気持ちよくするから♪」ゾクゾクッ

勇者「あ……ああ……うわぁぁああ!!」


【このあと滅茶苦茶セックスして妊娠確定した】




―――――後日


『まいどおおきに〜先日の件どやった?』

『おお!これが例の盗撮ビデオでっか。ホンマあんがとう!』

『どれどれ再生っと…………』

『おおっ……なるほどなるほど……おっ!飲みよったで』

『ほんでーイチャコラしてーしっぽりやっちゃってーと』

『あ゛っ途中で切れてんけどどないこっちゃこれ!?』

『うん?あまりにも長い間起動し続けてバッテリー切れ?』

『マジかいな……お盛んすぎんやろ……勇者パーティーの欠片もあらへんがな』

『ほんでこの人たちは今どこに?』

『ほう!チェックアウトする時に不動産屋の住所を聞いてきたと!』

『どうやら旅を辞めてここに永住するつもりらしいなぁ』

『うむ!実に優しい世界ってもんや』

『ほんじゃ盗撮のお礼としてほい、悲劇マラベスの特等席チケットや!』

『例を言うのはこっちのほうやで!ほんじゃまた〜』

『あーあーテステス』

『ってなかんじでウチのビデオはこんな感じや』

『肝心の本番シーンはちょっとバッテリーの不具合で上手く取れてへんけどそこらへんはかんにんしてーや』

『あーおもろかった!やっぱこういうのがあるから盗撮止められへんわ!』

『まーたいい映像が撮れ次第連絡するんでな!』

『ほな、また……。』







































『あーいいらっしゃーい、ひやかしはごめんだよ〜』

『え、ウチに用?なんやねん』

『あれ、これ……魔力測量器……』

『ハッ!あんさんまさか先日の商人ちゃんの連れの……』

『いや〜ばれちゃしゃーないよなぁ』

『そうよそうよ、ウチがお嬢ちゃんの魔力測量器をすり替えた張本人や』

『あのお嬢ちゃん隙だらけでなぁ、メッチャ簡単に交換できたで』

『お酒に反応しなかったやろ。そら当然や、だってウチがすり替えた測量器壊れてんもん。反応するわけないやんけ!ンナハハハハ!!』

『けどいーやろおたくら。ウチのおかげで嫌だった勇者職辞められるんやで?むしろ感謝して欲しいってもんや』

『へ?それとこれとは別?はぁ』

『な、なんやお兄はん……顔がおっかないでぇ』

『……!!あ!お、お嬢ちゃんやないか!お嬢ちゃんもいたんか……』

『え、なにこのオチ。ウチなんも悪いことしてへんよ?ほんとよ?』

『ちょ、ま……なにその鞭?なにそのろうそく?え、さるぐつわ?は?』

『いやー冗談キツイっすわほんまにーなぁ!』

『…………ホンマに……?』

『……くっ、くそが!かくなるうえは戦闘や!逃げられへんなら戦うしかないやろがい!!』

『お嬢ちゃんの戦闘力は測定済みだからええとして、そこの元勇者のお兄はんの戦闘力を測定せな…………』ピピピピ



<男勇者>Lv94
頭:旧英雄の兜
胴:彗星の欠片の鎧
右手:レヴァンテイン・レプリカ
左手:〃
足:天馬の蹄
装飾:邪悪なる洗礼を受けた聖なる指輪


『…………は?』

『きゅうじゅうよん?んなアホな……』

『わ、悪かったて!ウチが悪かった!せやからそのおしおきやめてくれい!』

『あ、ちょ……そのクモ糸卑怯やって……』

『んむぐっ!?んんー!!んん゛ーん゛゛!!!!』

『ん゛う゛!!んん゛ん゛…………』

『んん゛む゛………………』

『………………』

『…………』

『……』

『』
15/02/05 22:00更新 / ゆず胡椒

■作者メッセージ
およそ半年ぶりでございますお久しぶりですゆず胡椒です。

仕事の忙しさ、社会の荒波に揉まれながらどうにか半年ぶりに投稿することができました。
リハビリSS故に至らぬ点もあるかと思いますが以前の感覚を取り戻せるように精進してまいります。
刑部狸さんのその後についてはご想像にお任せします。

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まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33