よくわかる図鑑世界のことわざ
【アヌビスも突けば棒に負ける】
気丈で生真面目な魔物であるアヌビスであっても男根に突かれればただのメス犬と化すということ。
転じてどのようなものにも必ず弱点や甘いところがあるという意味でつかわれる。
「先生って完璧っすよね。美人だし教えるの上手だしみんなに慕われてるし」
「おだてても何も出んぞ、ホラ手を動かせ。デキの悪いお前のためにわざわざ放課後の時間を空けて補修してやってるんだから感謝しろ。私のスケジュールの通りに勉強すれば間違いない」
「うへぇ。先生、次のテストいい点とったら何かご褒美くださいよ。そしたら俺頑張れるっす」
「では学年総合順位で5位以内に入ってみせろ。そうしたら褒美をくれてやる」
「まじすか!?ッシャ俺頑張れそうっす!」
―後日―
「やりましたよ先生!俺!学年4位!!先生のおかげっす!!」
「ああ私もうれしいぞ、よくやったな……では褒美だな」
「え?あぁ、俺ジョーダンで言ったんスけど先生本気にしてくれてたんすか!いや〜先生の褒美か〜気になるな〜」
「褒美は生物学の予習だ」
「ハァ!?なんすかそれ!」
「当たり前だ。一度いい成績をとったからといって天狗になってはいけないぞ。常に勉強あるのみだ」
「先生そりゃ詐欺っすよ」
「お前に拒否権はない。放課後、保健室で待ってるぞ」
「保健室?教室じゃないんすか?」
「ああ保健室でいい。生物学……それも生物の発生のところから予習をしようと考えている。ふふ……私も楽しみだ♪」
【虎穴に挿らずんば虎子を得ず】
元々は、虎が住む穴に入らなければ、虎の子供を奪い取ることはできない。転じて、大変な危険を冒さなければ、望みの物を手に入れることはできない。という意味であったが現在では異なる意味をもつ。
高潔で孤高な存在である人虎の子を得るならば、人虎に挿れなければ得ることはできないという文字通りの意味を成す。
つまりは人虎の子が欲しければ人虎と交尾せよ、ただし人虎に認められるような立派な男になれ、という霧の大陸に伝わる教訓のようなものである。
「……驚いた。この私と互角に渡り合える男がいようものとは」
「同感だ。まさか俺と互角、いやもしかしたら俺よりも強いヤツがまだこの大陸にいたとはな」
「面白い。ここまで闘争が昂ぶるのは初めてだ。身体が熱い、もっとお前の拳が、蹴りが欲しい」
「俺もお前も似たもの同士ってやつか。面白れェ、存分に戦おうじゃねぇか」
「ああ楽しいぞ。血潮が滾る。早々に貴様を打ち倒し、貴様の子を産ませてもらおうk……ん?」
「……俺の聞き間違えか?」
「気にするな少し噛んだだけだ。さあ、心ゆくまで闘争を楽しもう、そのあとは獣のような交配をしようではないk…………エ゛ン゛ッ!!!」
「オイ、なんか様子が変だが大丈夫か?」
「大丈夫だ。多分…………たぶん」
【口淫野でのどごし】
野外で飲む精液は格別な味を生み出すという一部の魔物娘たちのゴシップから生まれたことわざである。実際、味事態に特別な変化はないのだが、外で口淫をしているという状況が臨場感を掻き立てられおいしく感じられるのだといわれている。
転じて、いつもと違うことをしてみたら新たな発見が見つかることがあるという意味でつかわれる。
「おめーいっつも妄想ばっかしてっけど、実戦はしたことあんのかよ」
「やだなーグールさん。私だって一応経験あるんですよ?むしろ経験があるからこそ妄想がはかどるってものですよ」
「ならいーんだけどよ。ホラ、お前らゴーストって妄想癖激しいからよお。口淫野でのどごしってよくいうだろ?」
「それはそれ、これはこれ、ですよ。そういうグールさんはどうなんです?」
「バッカオメー、そりゃもうジュルルグッポグッポ!よ。おかげで最近顎関節症になりつつある」
「それは喜んでいいものなのかな……?」
「魔物娘たるもの淫行で負傷しちゃ冥利に尽きるってもんだろーが。それにウチらもう死んでるから痛みなんてねーしな」
「そーいや私ら死んでるんだった」
「顎関節症どころかホレ、顎がそのまんまポロって取れるんだぜ?」
「ヒエッ……それはちょっと血の気ひきますわ……」
「おめー血なんてねーだろ」
【急がば孕め】
行き遅れた魔物娘たちがどうにかして結婚して妊娠したいと望んだ結果、妊娠したいのならばまずは孕めという哲学めいた答えに行き着いた謎のことわざである。意味の矛盾というよりそもそもことわざとして成立していない。
転じて、何が起きているかよくわからないときにつかわれる。
「お前たち、結婚したいかー!!」
「オォォォォー!!!」
「妊娠したいかー!!」
「イエェェェーー!!!」
「だったら孕めェーッッ!!」
「ウ……ウオォォォー?!?!!?」
「ママーあれなn」
「ダメッ、見ちゃだめよ。あれはね、男を選り好みしすぎた結果取り残されてしまった哀れな者たちの末路よ。あんたはああなっちゃだめだからね」
「うんわかった」
【濡れ手で栗】
濡れ手でクリをいじるとより感度が増すことから転じて、あることを二つ掛け合わせて良質な性能を得るために用いられる。
【喉元過ぎれば苦さを忘れる】
世間一般的に精液は苦いものとして知られている。初めて精液を飲み込むことになったとき、慣れてない者(魔物は例外とする)はその味に拒否反応を示すことだろう。しかしその苦さも喉元を過ぎてしまえばなんてことはなく、次第にその濃厚な味に虜になっているはずだ。
転じて、つらい出来事があったとしても少し辛抱すればそのあとには至福の時間が約束される場面で使われる。
【出る胸は凹ます】
サバトの、サバトによる、サバトのためのことわざである。それ以上でもそれ以下でも何物でもない。
胸部平坦化の理念を追求したサバトの教義でもあり信徒は美しい絶壁を形成するため日ごろの鍛錬を惜しまない。
平坦な胸の集団の中に豊満な胸の者がいれば目立つことから転じて、集団の中では他人と違うことをするのは極力避けるべきだという意味でつかわれる。
「ここをこうして……よし完成じゃ!!!」
「バフォメット様、いったい何を?」
「いやなに少し実験をしていただけじゃよ」
「実験?」
「うむ、このホルスタウロスミルクがあるじゃろ?言わずもがなこれには豊胸成分が含まれているのじゃが、その効果を真逆の性質に転換させる実験をしていたのじゃよ」
「実験をしていた、ということはまさか……」
「そのまさか実験は成功!豊胸の真逆の性質、貧乳効果を望めるようになったのじゃ!これは世紀の大発明じゃぞ」
「おおっ、ついに完成されたのですね!さっそく刑部狸商会に連絡しておきましょうか」
「うむ頼む。ぬふふ……これで吾輩の野望にまた一歩近づくのじゃ。地球上のすべての女性が貧乳となり必然的にサバトの加入が義務づけられる未来……つまりサバトが世界を支配する世界が!!」
「いやー素敵な未来ですね。私も楽しみでなりません」
「サバトによるディストピアが展開されるのじゃ。サバト上層部委員会より提唱された【人類和姦計画】までもう少し……クックック……フハハハハ……ハーッハッハッハ!」
「うわぁ見事なまでの三段笑い」
【睾丸袋の堰が切れる】
射精を極限まで我慢し続けた男性(主にインキュバス)は我慢の限界を超えると自動的に精液が射出されるメカニズムをあらわしたことわざである。たいていそういう場合はリットル単位の精液が溜まっているという。
転じて、いくら膨大な許容量であったとしても限度というものは存在するという意味でつかわれる。
「俺らインキュバスってふしだらに思われがちだけどよう。それは風評被害ってやつだぜ」
「まったくだ。まずインキュバス=ヤリチンってわけじゃねぇ」
「ってか俺たち嫁さん以外じゃミリも勃たねーからな。イヤイヤこれマジよ?」
「マジマジ大マジ。他にどんだけセクシーな魔物だったりエロいねーちゃんいたとしても無反応だから」
「だから浮気はぜっっったいないな。100%断言できらァ」
「ま、仮に浮気したとしても魔界の果てまで追いかけられそうだけどな」
「や、やめろよそんなこえーこと言うの……俺の嫁白蛇なんだからそういうの冗談でもヤベーんだって……」
「言い出しっぺはお前だろうが」
【寝耳に粘液】
夜寝ている間に、知らぬ間に耳が濡れていたとすればそれは恐らくマインドフレイアの仕業であろう。そうなっていればすべてが手遅れであるはずだ。
はたして目の前にいる女性は何者なのだろうか。その答えを知るものはもういない。脳を犯される以前の貴方はいったい何を知っていたのだろうか。それを知るすべはもうないのだから。
転じて、取り返しのつかない出来事に対してつかわれる。
「貴女は誰ですか」
「私はアナタの彼女です。忘れるだなんてひどいですね」
「ああごめんごめん、なんかちょっと頭痛がしてさ。アレなんだこれ耳がぬめぬめしてるぞ」
「気のせいではないですか」
「いや確かに……ん、あれ、ちょっと待ってください。僕に彼女はいないですよ。今までできたことがありません」
「忘れてしまったのですね。思い出してください、一緒に旅行しましたよね。海で泳ぎましたよね、遊園地で遊びましたよね。ホラ、思い浮かべて」
「旅行……海……遊園地……そういえばそんなことがあったような、なかったような」
「そう、旅行です。そのときに愛してもらったおかげで今私のおなかの中には赤ちゃんがいるんですよ」
「いやいやそんなバカな。確かに旅行はしたかもしれないが、だからといって妊娠?いやいやいや……」
「認知してくれないのですか。あんなにも愛の言葉を囁いてくれたというのに」
「ち、違うそいういことじゃない。僕は貴女のことを愛している、それは間違いない…………あれ?」
「やっとアナタの口から愛してるという言葉が聞けました。ここまで何時間かかったことでしょう」
「……何時間?僕と貴女はそんな短時間な関係だというのか?出会って数時間で妊娠……?そんなばかな…………ア、ウ、ウグッ、頭が……ッ」
「アッ、いけません、一気に思い出そうとしないで、落ち着いて。何も考えないで……」
「ぐぎ、ギ……頭がわれそうだ……いったい僕は……ウゥ……」
「ああ、やはり早すぎたようですね。初めからやり直しましょう」
ぬるっ ぐじゅぐじゅ ギチギチギチ……
「…………んんう」
「おはようございます、あなた」
「……?つかぬことを聞くようですが貴女は誰ですか」
「私はアナタの妻です。忘れるだなんてひどいですね」
「ああごめんごめん、なんかちょっと頭痛がしてさ。アレなんだこれ耳がぬめぬめしてるぞ」
「……フフ♪」
【ウシオニに引きずられ病院参り】
温厚な魔物娘が多いとされているジパングの中で例外的に凶暴な怪物として知られているのがウシオニである。しかし彼女もまた魔物娘の一人であることには間違いなく、かわいらしいところもあるのだ。
普段はがさつで短絡的な彼女であるが、それゆえに見える思いがけない無邪気さや自然体がかえって良いと思う者も多い。
このことわざはそんな彼女にならその身がどうなろうとも知ったことではない、という男性諸君の心意気を現したことわざなのである。
「おーこれが善光寺ってやつか!一生に一度は行った方がいいってやつだろ?知ってるんだぜアタシ!」
「ほー意外と物知りなんだな」
「ったりめーよぅ!さっ、次はあっち行くぞ!」
「あ、ちょ、痛っ、ま、まっt」
「ふいーなかなか遠かったな。ここが琵琶湖か!思ってた以上に広いな!!さ、つぎつぎぃ!」
「ちょま、マジ、痛痛ッッ……ほんっ」
「あ、ココこの前本で見たぞ!厳島神社ってトコだろ!へーすげーなぁ、どうして水の上に建ってるんだか……」
「こ、これは水の上に建ってるん、じゃなく、て……な……」
「さ、つぎつぎ!早くしないと日が暮れちまう!!」
「ぐ、ぐふっ……も、もう、や……ば……」
「うほー!金閣寺は金ぴかだったけど、この中尊寺の金色堂ってヤツも負けず劣らず金ぴかだなー!おい見てみr」
「…………」
「えっ」
「……………………」
「うん?」
「…………………………」
「き、ききゅっ、救急車ーーー!!!!」
【刹那の先、凝望せしは不浄なる闇夜(一寸先は闇)】
歩みゆく航路、闇雲なる行き先は不可思議の領域であり人知の及ぶ範疇ではない。
即ち、我ら魔の眷属は不確かなる未来を見据え明日を生きてゆかねばならないのだ。
安寧の地へと赴く為に、ゲヘナの海を跨ぎ、バベルの天上を見上げ神々の黄昏を追体験せねば永遠なる桃源郷はかなわぬ泡影へと消え去るだろう。
混沌と戦乱渦巻く乱世を望むか。
幸福と地合いに満ち溢れた永夜を望むか。
エインフェリアたる各自が決断せねばならぬ。さあ、我らとともに見えざる闇へと赴こうぞ。
―ダークマター訳―
【二兎追う者はもれなく3P】
不思議の国に迷い込んだものはいずれ理性がおかしくなり始めるという。
そうなった者たちはみな一様につがいとなるべく魔物娘を追い始めるのだが、中には一人だけにとどまらず二人同時に追い始める猛者、もとい欲張り者がいる。
欲張り者はロクな目に合わない、といわれているがそれは不思議の国の常識には当てはまらないのだ。
恐らく魔物娘たちは盛大に歓迎するだろう。そして肉欲にまみれた交わりを繰り返すことになる。
転じて、不思議の国の常識は通常の世界とは全く異なったものであるという意味でつかわれる。
「えへ〜おにいさん気持ちいいでしょ〜」
「う……くっ、これは、たまらん……」
「もぉー私も混ざっちゃうんだから〜前が空いてないならうしろをーえいっ!」
「うひぃっ!?あ、が、なにを……」
「んふ〜前立腺ごりごり〜♪」
「ッッッ!??!!!?!?」
「あんっ♪一気にカタくなった♪いいよその調子ぃ〜」
「たまたまもパンパンに膨れちゃって〜おいしそ♪んぁむっ」
「あぐッ、でっ……!」
「あはっ♪ナカでびゅびゅって出ちゃってるよぉ♪」
「えーずる〜い、次あたしの番だからね〜」
「うっ、ふぅ……(不思議の国は天国だったんや)」
【シルフが暴れれば淫具屋が儲かる】
あることが原因となって、全く関係のないところにもその影響が及ぶということ。といっても図鑑世界の淫具屋は常に商売繁盛しているのでシルフが暴れたからといってさほど影響はないともいわれている。
シルフが暴れると暴風、大嵐が引き起こされる。それにより家屋が倒壊し、住む人々は再び家を建て直さなければならない。家一つ立て直すとなれば個々人でできるものではなく建設業者に依頼するだろう。そうして依頼されたジャイアントアントなどの建設業を生業とする者たちの仕事が増える。さすがのジャイアントアントたちも家を丸々建て直すのは重労働であり、体力の消耗が激しい。その失われた分の体力をどこで回復するかというと……もちろん夜の営みだ。
夜の営みを最大限楽しむために必要不可欠なもの、それが淫具であり、ジャイアントアントはこぞって淫具を買いに走るだろう。
【脱げば変態 喋れば卑猥 誘う姿はまさに痴女】
魔物娘の中でも特に色欲の強い者たちを現したことわざである。
公衆の面前で服を脱ぐこともいとわないし、ひとたび口を開けばR18用語が機関銃のように乱れ飛ぶことだろう。
街中を歩くだけで漂う艶めかしいオーラは決して人間に出せるものではない。
すべての魔物娘の目標であり悲願なのだ。
「バッボーイ、アナタはどうして魔物を悪だと思っているのかしら?」
「ま、魔物は人間を食べるんだ。そう教わったんだ!退治してやるぞこのバケモノめ!」
「ふーん、あっそ。それじゃ皮カブったクソガキへ、心優しいこの私が一つ教育してアゲル。とっても、とおっても刺激的なお勉強の時間を始めましょう」
「くっ、来るなら来い!僕が退治してやる!」
―1時間後―
「皮かぶりにしてはなかなか楽しかったわよボーヤ」
「あひぃ……」
「これでも魔物が悪だなんて言える?いいや言えるはずないわね、だってアナタもうカミサマへの忠誠なんて感じてないんだもの」
「あ、ああ……もっと、キモチよく、なりたい……主神様なんて知らない……」
「ボーヤのチンポは何のためについてるの?ホラ、教会に幼馴染のシスターがいたでしょう?あの娘にブチ込んだらどれほど気持ちいいことか」
「あ、あぁ!そうか、そうすればいいのか!!あの娘にもこの気持ちよさを教えてあげなきゃ!!」
「これでキミも皮被りボーヤから一人前のダンディーってワケ。さ、わかったんなら早く行きな!イっちゃいな!」
【触らぬ髪に祟りあり】
世の中には触れていいものと、触れてはいけないものの二つで大きく大別される。本来であれば自分に危害が加わりそうなものは極力避けるべきだ、というのが一般的だろう。
しかし稀に”触れなければならない”という面倒極まりないものがある。
それが毛倡妓の髪の毛、それもあなたに好意を寄せている個体の髪の毛だ。
髪の毛を触るか否か、それによりあなたに対する毛倡妓の好感度も変わってくるだろう。
※追記:髪を触っても触らなかったとしても、毛倡妓に好意を寄せられたという時点で最終的な結末はおおむね決まっているようなものなのである。
≪正規ルート≫
「ねえ、わたしの髪キレイ?」
「(……なんだこいつ)」
「ねえ、わたしの髪キレイ?」
「(げっ、また今日も出やがった。こういうのはスルー安泰だな)」
「ねえ、わたしの髪キレイ?」
「(そろそろ通報した方がいいだろうか)」
「ねえ、わたしの髪キレイ?」
「…………」
「ねえ、わたしの髪キレイ?」
「あー、うんキレイなんじゃねーの?」
「!!!!」
「(面倒くさいから答えてやったらめっちゃ笑顔なんだけどしかもよく見たらスゲー美人だし控えめに言って超タイプ)」
―数年後―
「これがママとパパのなれそめよ」
「あたちもおっきくなったらママみたいにやってみう!」
≪不正規ルート≫
「ねえ、わたしの髪キレイ?」
「(……なんだこいつ)」
「ねえ、わたしの髪キレイ?」
「(げっ、また今日も出やがった。ウゼー)」
「ねえ、わたしの髪キレ」
「うるせーんだよ!!毎日毎日待ち伏せしやがって!どっかいきやがれ!」
「!!!!」
「ケッ、俺ァ今日虫の居所が悪いんだ。もう俺の視界に入んな」
「 」
「あ?なんか言ったか?」
「 」
「……消えちまった……ま、いいか。帰ろ帰ろ」
「ただいまー」
「おかえりー」
「あー母さん、前言ってたストーカーいたじゃん。今日追っ払ってやったさ」
「そうそれはよかった!!ところで」
「どした母さんなんか格好が…………かあ、さ……」
「わたしの髪キレイ?」
【石になってもう三年】
ガーゴイルはその性質から活発に活動できる時間が少ない。
ゆえに非常に忍耐強い性質をしており、並みの魔物では耐えられないような性行の飢えもガーゴイルなら耐えられるという耐久力を持っている。
このことわざはそんなガーゴイルの忍耐力を現したことわざである。
「おい誰だこんな嘘書いたの!」
「三年んんん?そんなに長い間耐えられるわけないだろいい加減にしろ!」
「もって30分だぞ!!早く犯せよ!めっちゃ濡れてんぞ!妊娠確定だぞ!!」
「おいコラそこの!いいから突っ込めって!先っぽだけでもいいからさ!」
【肉まみれっ子横はば広がる】
いくら絶世のスタイルを維持できる魔物娘といえど暴飲暴食の限りを尽くすと身体の美しさが損なわれてしまうという意味のことわざ。
主に体質的な問題でオークやホルスタウロス、性格的な問題でアントアラクネなどが当てはまりやすい。
なお、パートナーの男性が太めの女性が好みという場合はほぼ大半の魔物娘が太めの体格に変化することだろう。
「……アタシの彼氏、ぽっちゃり女子が好みらしいんだけどさ……」
「え〜彼氏がそう言うなら太っちゃえばいいのに。結構簡単だよ?」
「いやまぁ、オークのあんたが言うならそりゃ簡単だろうけどさ」
「あっ……そういえばキミって」
「スケルトンで悪かったな」
【可愛い娘には種を付けよ】
魔物娘の中には大人に成長しても自分の父親を愛してやまない者がまれに存在する。これはそんな娘を持ってしまった父親の苦悩と諦めを現したことわざである。
いくら娘といえど魔物は魔物、魔物の誘惑に勝てる男性など存在しないということを痛いほど痛感させてくれることわざでもある。
例外として、デビルバグやラージマウスなどといったたくさんの子供ができる魔物娘は近親相姦がデフォルトなのでわざわざ苦悩する必要はない。
【鬼に肉棒】
もはや解説する必要もない。
ただでさえ色欲な鬼に肉棒を分け与えると手がつけられないさま。
【己の欲する魔物化を人に施せ】
筆者個人きっての願いである。
己が欲しいと望んでいる魔物化は、きっとほかの人も望んでいるだろうと思うからそれを分け与えてあげよ、という天の言葉である。
共感できてもできなくても、こういう魔物化もあるのか、そう思っていただければ光栄である。
「魔物化っていいよね……」
「いい……」
「たとえば捕虜の女の子がいるとするじゃん」
「捕虜」
「その子になにしてあげたい?」
「……ウシオニの血液ぶっかけたい」
「いいね」
「……怪しげな研究室に引き渡してローパーの卵植え付けてあげたい」
「最高」
「……魔物化ギリギリまでの状態にして、そのうえで生き別れの弟と再会させたい」
「天才かよ」
「……それじゃ、事故または病気で苦しんでいる女の子に何してあげたい……?」
「難病に苦しんだ女性が藁にもすがる思いで手に入れた特効薬がマタンゴの胞子ってパターンはまぁ王道だよね」
「……初心者向けだな」
「事故で腕を失った女の子に義手を移植するも、義手は呪われた道具で徐々にリビングドールになりつつあるとか」
「……少しレベル高いが俺は平気だ」
「というか俺レベルになるともう俺自身が死んでスケルトンに性転換したいよね」
「……」
「あっ流石に引いた?」
「…………いいね」
気丈で生真面目な魔物であるアヌビスであっても男根に突かれればただのメス犬と化すということ。
転じてどのようなものにも必ず弱点や甘いところがあるという意味でつかわれる。
「先生って完璧っすよね。美人だし教えるの上手だしみんなに慕われてるし」
「おだてても何も出んぞ、ホラ手を動かせ。デキの悪いお前のためにわざわざ放課後の時間を空けて補修してやってるんだから感謝しろ。私のスケジュールの通りに勉強すれば間違いない」
「うへぇ。先生、次のテストいい点とったら何かご褒美くださいよ。そしたら俺頑張れるっす」
「では学年総合順位で5位以内に入ってみせろ。そうしたら褒美をくれてやる」
「まじすか!?ッシャ俺頑張れそうっす!」
―後日―
「やりましたよ先生!俺!学年4位!!先生のおかげっす!!」
「ああ私もうれしいぞ、よくやったな……では褒美だな」
「え?あぁ、俺ジョーダンで言ったんスけど先生本気にしてくれてたんすか!いや〜先生の褒美か〜気になるな〜」
「褒美は生物学の予習だ」
「ハァ!?なんすかそれ!」
「当たり前だ。一度いい成績をとったからといって天狗になってはいけないぞ。常に勉強あるのみだ」
「先生そりゃ詐欺っすよ」
「お前に拒否権はない。放課後、保健室で待ってるぞ」
「保健室?教室じゃないんすか?」
「ああ保健室でいい。生物学……それも生物の発生のところから予習をしようと考えている。ふふ……私も楽しみだ♪」
【虎穴に挿らずんば虎子を得ず】
元々は、虎が住む穴に入らなければ、虎の子供を奪い取ることはできない。転じて、大変な危険を冒さなければ、望みの物を手に入れることはできない。という意味であったが現在では異なる意味をもつ。
高潔で孤高な存在である人虎の子を得るならば、人虎に挿れなければ得ることはできないという文字通りの意味を成す。
つまりは人虎の子が欲しければ人虎と交尾せよ、ただし人虎に認められるような立派な男になれ、という霧の大陸に伝わる教訓のようなものである。
「……驚いた。この私と互角に渡り合える男がいようものとは」
「同感だ。まさか俺と互角、いやもしかしたら俺よりも強いヤツがまだこの大陸にいたとはな」
「面白い。ここまで闘争が昂ぶるのは初めてだ。身体が熱い、もっとお前の拳が、蹴りが欲しい」
「俺もお前も似たもの同士ってやつか。面白れェ、存分に戦おうじゃねぇか」
「ああ楽しいぞ。血潮が滾る。早々に貴様を打ち倒し、貴様の子を産ませてもらおうk……ん?」
「……俺の聞き間違えか?」
「気にするな少し噛んだだけだ。さあ、心ゆくまで闘争を楽しもう、そのあとは獣のような交配をしようではないk…………エ゛ン゛ッ!!!」
「オイ、なんか様子が変だが大丈夫か?」
「大丈夫だ。多分…………たぶん」
【口淫野でのどごし】
野外で飲む精液は格別な味を生み出すという一部の魔物娘たちのゴシップから生まれたことわざである。実際、味事態に特別な変化はないのだが、外で口淫をしているという状況が臨場感を掻き立てられおいしく感じられるのだといわれている。
転じて、いつもと違うことをしてみたら新たな発見が見つかることがあるという意味でつかわれる。
「おめーいっつも妄想ばっかしてっけど、実戦はしたことあんのかよ」
「やだなーグールさん。私だって一応経験あるんですよ?むしろ経験があるからこそ妄想がはかどるってものですよ」
「ならいーんだけどよ。ホラ、お前らゴーストって妄想癖激しいからよお。口淫野でのどごしってよくいうだろ?」
「それはそれ、これはこれ、ですよ。そういうグールさんはどうなんです?」
「バッカオメー、そりゃもうジュルルグッポグッポ!よ。おかげで最近顎関節症になりつつある」
「それは喜んでいいものなのかな……?」
「魔物娘たるもの淫行で負傷しちゃ冥利に尽きるってもんだろーが。それにウチらもう死んでるから痛みなんてねーしな」
「そーいや私ら死んでるんだった」
「顎関節症どころかホレ、顎がそのまんまポロって取れるんだぜ?」
「ヒエッ……それはちょっと血の気ひきますわ……」
「おめー血なんてねーだろ」
【急がば孕め】
行き遅れた魔物娘たちがどうにかして結婚して妊娠したいと望んだ結果、妊娠したいのならばまずは孕めという哲学めいた答えに行き着いた謎のことわざである。意味の矛盾というよりそもそもことわざとして成立していない。
転じて、何が起きているかよくわからないときにつかわれる。
「お前たち、結婚したいかー!!」
「オォォォォー!!!」
「妊娠したいかー!!」
「イエェェェーー!!!」
「だったら孕めェーッッ!!」
「ウ……ウオォォォー?!?!!?」
「ママーあれなn」
「ダメッ、見ちゃだめよ。あれはね、男を選り好みしすぎた結果取り残されてしまった哀れな者たちの末路よ。あんたはああなっちゃだめだからね」
「うんわかった」
【濡れ手で栗】
濡れ手でクリをいじるとより感度が増すことから転じて、あることを二つ掛け合わせて良質な性能を得るために用いられる。
【喉元過ぎれば苦さを忘れる】
世間一般的に精液は苦いものとして知られている。初めて精液を飲み込むことになったとき、慣れてない者(魔物は例外とする)はその味に拒否反応を示すことだろう。しかしその苦さも喉元を過ぎてしまえばなんてことはなく、次第にその濃厚な味に虜になっているはずだ。
転じて、つらい出来事があったとしても少し辛抱すればそのあとには至福の時間が約束される場面で使われる。
【出る胸は凹ます】
サバトの、サバトによる、サバトのためのことわざである。それ以上でもそれ以下でも何物でもない。
胸部平坦化の理念を追求したサバトの教義でもあり信徒は美しい絶壁を形成するため日ごろの鍛錬を惜しまない。
平坦な胸の集団の中に豊満な胸の者がいれば目立つことから転じて、集団の中では他人と違うことをするのは極力避けるべきだという意味でつかわれる。
「ここをこうして……よし完成じゃ!!!」
「バフォメット様、いったい何を?」
「いやなに少し実験をしていただけじゃよ」
「実験?」
「うむ、このホルスタウロスミルクがあるじゃろ?言わずもがなこれには豊胸成分が含まれているのじゃが、その効果を真逆の性質に転換させる実験をしていたのじゃよ」
「実験をしていた、ということはまさか……」
「そのまさか実験は成功!豊胸の真逆の性質、貧乳効果を望めるようになったのじゃ!これは世紀の大発明じゃぞ」
「おおっ、ついに完成されたのですね!さっそく刑部狸商会に連絡しておきましょうか」
「うむ頼む。ぬふふ……これで吾輩の野望にまた一歩近づくのじゃ。地球上のすべての女性が貧乳となり必然的にサバトの加入が義務づけられる未来……つまりサバトが世界を支配する世界が!!」
「いやー素敵な未来ですね。私も楽しみでなりません」
「サバトによるディストピアが展開されるのじゃ。サバト上層部委員会より提唱された【人類和姦計画】までもう少し……クックック……フハハハハ……ハーッハッハッハ!」
「うわぁ見事なまでの三段笑い」
【睾丸袋の堰が切れる】
射精を極限まで我慢し続けた男性(主にインキュバス)は我慢の限界を超えると自動的に精液が射出されるメカニズムをあらわしたことわざである。たいていそういう場合はリットル単位の精液が溜まっているという。
転じて、いくら膨大な許容量であったとしても限度というものは存在するという意味でつかわれる。
「俺らインキュバスってふしだらに思われがちだけどよう。それは風評被害ってやつだぜ」
「まったくだ。まずインキュバス=ヤリチンってわけじゃねぇ」
「ってか俺たち嫁さん以外じゃミリも勃たねーからな。イヤイヤこれマジよ?」
「マジマジ大マジ。他にどんだけセクシーな魔物だったりエロいねーちゃんいたとしても無反応だから」
「だから浮気はぜっっったいないな。100%断言できらァ」
「ま、仮に浮気したとしても魔界の果てまで追いかけられそうだけどな」
「や、やめろよそんなこえーこと言うの……俺の嫁白蛇なんだからそういうの冗談でもヤベーんだって……」
「言い出しっぺはお前だろうが」
【寝耳に粘液】
夜寝ている間に、知らぬ間に耳が濡れていたとすればそれは恐らくマインドフレイアの仕業であろう。そうなっていればすべてが手遅れであるはずだ。
はたして目の前にいる女性は何者なのだろうか。その答えを知るものはもういない。脳を犯される以前の貴方はいったい何を知っていたのだろうか。それを知るすべはもうないのだから。
転じて、取り返しのつかない出来事に対してつかわれる。
「貴女は誰ですか」
「私はアナタの彼女です。忘れるだなんてひどいですね」
「ああごめんごめん、なんかちょっと頭痛がしてさ。アレなんだこれ耳がぬめぬめしてるぞ」
「気のせいではないですか」
「いや確かに……ん、あれ、ちょっと待ってください。僕に彼女はいないですよ。今までできたことがありません」
「忘れてしまったのですね。思い出してください、一緒に旅行しましたよね。海で泳ぎましたよね、遊園地で遊びましたよね。ホラ、思い浮かべて」
「旅行……海……遊園地……そういえばそんなことがあったような、なかったような」
「そう、旅行です。そのときに愛してもらったおかげで今私のおなかの中には赤ちゃんがいるんですよ」
「いやいやそんなバカな。確かに旅行はしたかもしれないが、だからといって妊娠?いやいやいや……」
「認知してくれないのですか。あんなにも愛の言葉を囁いてくれたというのに」
「ち、違うそいういことじゃない。僕は貴女のことを愛している、それは間違いない…………あれ?」
「やっとアナタの口から愛してるという言葉が聞けました。ここまで何時間かかったことでしょう」
「……何時間?僕と貴女はそんな短時間な関係だというのか?出会って数時間で妊娠……?そんなばかな…………ア、ウ、ウグッ、頭が……ッ」
「アッ、いけません、一気に思い出そうとしないで、落ち着いて。何も考えないで……」
「ぐぎ、ギ……頭がわれそうだ……いったい僕は……ウゥ……」
「ああ、やはり早すぎたようですね。初めからやり直しましょう」
ぬるっ ぐじゅぐじゅ ギチギチギチ……
「…………んんう」
「おはようございます、あなた」
「……?つかぬことを聞くようですが貴女は誰ですか」
「私はアナタの妻です。忘れるだなんてひどいですね」
「ああごめんごめん、なんかちょっと頭痛がしてさ。アレなんだこれ耳がぬめぬめしてるぞ」
「……フフ♪」
【ウシオニに引きずられ病院参り】
温厚な魔物娘が多いとされているジパングの中で例外的に凶暴な怪物として知られているのがウシオニである。しかし彼女もまた魔物娘の一人であることには間違いなく、かわいらしいところもあるのだ。
普段はがさつで短絡的な彼女であるが、それゆえに見える思いがけない無邪気さや自然体がかえって良いと思う者も多い。
このことわざはそんな彼女にならその身がどうなろうとも知ったことではない、という男性諸君の心意気を現したことわざなのである。
「おーこれが善光寺ってやつか!一生に一度は行った方がいいってやつだろ?知ってるんだぜアタシ!」
「ほー意外と物知りなんだな」
「ったりめーよぅ!さっ、次はあっち行くぞ!」
「あ、ちょ、痛っ、ま、まっt」
「ふいーなかなか遠かったな。ここが琵琶湖か!思ってた以上に広いな!!さ、つぎつぎぃ!」
「ちょま、マジ、痛痛ッッ……ほんっ」
「あ、ココこの前本で見たぞ!厳島神社ってトコだろ!へーすげーなぁ、どうして水の上に建ってるんだか……」
「こ、これは水の上に建ってるん、じゃなく、て……な……」
「さ、つぎつぎ!早くしないと日が暮れちまう!!」
「ぐ、ぐふっ……も、もう、や……ば……」
「うほー!金閣寺は金ぴかだったけど、この中尊寺の金色堂ってヤツも負けず劣らず金ぴかだなー!おい見てみr」
「…………」
「えっ」
「……………………」
「うん?」
「…………………………」
「き、ききゅっ、救急車ーーー!!!!」
【刹那の先、凝望せしは不浄なる闇夜(一寸先は闇)】
歩みゆく航路、闇雲なる行き先は不可思議の領域であり人知の及ぶ範疇ではない。
即ち、我ら魔の眷属は不確かなる未来を見据え明日を生きてゆかねばならないのだ。
安寧の地へと赴く為に、ゲヘナの海を跨ぎ、バベルの天上を見上げ神々の黄昏を追体験せねば永遠なる桃源郷はかなわぬ泡影へと消え去るだろう。
混沌と戦乱渦巻く乱世を望むか。
幸福と地合いに満ち溢れた永夜を望むか。
エインフェリアたる各自が決断せねばならぬ。さあ、我らとともに見えざる闇へと赴こうぞ。
―ダークマター訳―
【二兎追う者はもれなく3P】
不思議の国に迷い込んだものはいずれ理性がおかしくなり始めるという。
そうなった者たちはみな一様につがいとなるべく魔物娘を追い始めるのだが、中には一人だけにとどまらず二人同時に追い始める猛者、もとい欲張り者がいる。
欲張り者はロクな目に合わない、といわれているがそれは不思議の国の常識には当てはまらないのだ。
恐らく魔物娘たちは盛大に歓迎するだろう。そして肉欲にまみれた交わりを繰り返すことになる。
転じて、不思議の国の常識は通常の世界とは全く異なったものであるという意味でつかわれる。
「えへ〜おにいさん気持ちいいでしょ〜」
「う……くっ、これは、たまらん……」
「もぉー私も混ざっちゃうんだから〜前が空いてないならうしろをーえいっ!」
「うひぃっ!?あ、が、なにを……」
「んふ〜前立腺ごりごり〜♪」
「ッッッ!??!!!?!?」
「あんっ♪一気にカタくなった♪いいよその調子ぃ〜」
「たまたまもパンパンに膨れちゃって〜おいしそ♪んぁむっ」
「あぐッ、でっ……!」
「あはっ♪ナカでびゅびゅって出ちゃってるよぉ♪」
「えーずる〜い、次あたしの番だからね〜」
「うっ、ふぅ……(不思議の国は天国だったんや)」
【シルフが暴れれば淫具屋が儲かる】
あることが原因となって、全く関係のないところにもその影響が及ぶということ。といっても図鑑世界の淫具屋は常に商売繁盛しているのでシルフが暴れたからといってさほど影響はないともいわれている。
シルフが暴れると暴風、大嵐が引き起こされる。それにより家屋が倒壊し、住む人々は再び家を建て直さなければならない。家一つ立て直すとなれば個々人でできるものではなく建設業者に依頼するだろう。そうして依頼されたジャイアントアントなどの建設業を生業とする者たちの仕事が増える。さすがのジャイアントアントたちも家を丸々建て直すのは重労働であり、体力の消耗が激しい。その失われた分の体力をどこで回復するかというと……もちろん夜の営みだ。
夜の営みを最大限楽しむために必要不可欠なもの、それが淫具であり、ジャイアントアントはこぞって淫具を買いに走るだろう。
【脱げば変態 喋れば卑猥 誘う姿はまさに痴女】
魔物娘の中でも特に色欲の強い者たちを現したことわざである。
公衆の面前で服を脱ぐこともいとわないし、ひとたび口を開けばR18用語が機関銃のように乱れ飛ぶことだろう。
街中を歩くだけで漂う艶めかしいオーラは決して人間に出せるものではない。
すべての魔物娘の目標であり悲願なのだ。
「バッボーイ、アナタはどうして魔物を悪だと思っているのかしら?」
「ま、魔物は人間を食べるんだ。そう教わったんだ!退治してやるぞこのバケモノめ!」
「ふーん、あっそ。それじゃ皮カブったクソガキへ、心優しいこの私が一つ教育してアゲル。とっても、とおっても刺激的なお勉強の時間を始めましょう」
「くっ、来るなら来い!僕が退治してやる!」
―1時間後―
「皮かぶりにしてはなかなか楽しかったわよボーヤ」
「あひぃ……」
「これでも魔物が悪だなんて言える?いいや言えるはずないわね、だってアナタもうカミサマへの忠誠なんて感じてないんだもの」
「あ、ああ……もっと、キモチよく、なりたい……主神様なんて知らない……」
「ボーヤのチンポは何のためについてるの?ホラ、教会に幼馴染のシスターがいたでしょう?あの娘にブチ込んだらどれほど気持ちいいことか」
「あ、あぁ!そうか、そうすればいいのか!!あの娘にもこの気持ちよさを教えてあげなきゃ!!」
「これでキミも皮被りボーヤから一人前のダンディーってワケ。さ、わかったんなら早く行きな!イっちゃいな!」
【触らぬ髪に祟りあり】
世の中には触れていいものと、触れてはいけないものの二つで大きく大別される。本来であれば自分に危害が加わりそうなものは極力避けるべきだ、というのが一般的だろう。
しかし稀に”触れなければならない”という面倒極まりないものがある。
それが毛倡妓の髪の毛、それもあなたに好意を寄せている個体の髪の毛だ。
髪の毛を触るか否か、それによりあなたに対する毛倡妓の好感度も変わってくるだろう。
※追記:髪を触っても触らなかったとしても、毛倡妓に好意を寄せられたという時点で最終的な結末はおおむね決まっているようなものなのである。
≪正規ルート≫
「ねえ、わたしの髪キレイ?」
「(……なんだこいつ)」
「ねえ、わたしの髪キレイ?」
「(げっ、また今日も出やがった。こういうのはスルー安泰だな)」
「ねえ、わたしの髪キレイ?」
「(そろそろ通報した方がいいだろうか)」
「ねえ、わたしの髪キレイ?」
「…………」
「ねえ、わたしの髪キレイ?」
「あー、うんキレイなんじゃねーの?」
「!!!!」
「(面倒くさいから答えてやったらめっちゃ笑顔なんだけどしかもよく見たらスゲー美人だし控えめに言って超タイプ)」
―数年後―
「これがママとパパのなれそめよ」
「あたちもおっきくなったらママみたいにやってみう!」
≪不正規ルート≫
「ねえ、わたしの髪キレイ?」
「(……なんだこいつ)」
「ねえ、わたしの髪キレイ?」
「(げっ、また今日も出やがった。ウゼー)」
「ねえ、わたしの髪キレ」
「うるせーんだよ!!毎日毎日待ち伏せしやがって!どっかいきやがれ!」
「!!!!」
「ケッ、俺ァ今日虫の居所が悪いんだ。もう俺の視界に入んな」
「 」
「あ?なんか言ったか?」
「 」
「……消えちまった……ま、いいか。帰ろ帰ろ」
「ただいまー」
「おかえりー」
「あー母さん、前言ってたストーカーいたじゃん。今日追っ払ってやったさ」
「そうそれはよかった!!ところで」
「どした母さんなんか格好が…………かあ、さ……」
「わたしの髪キレイ?」
【石になってもう三年】
ガーゴイルはその性質から活発に活動できる時間が少ない。
ゆえに非常に忍耐強い性質をしており、並みの魔物では耐えられないような性行の飢えもガーゴイルなら耐えられるという耐久力を持っている。
このことわざはそんなガーゴイルの忍耐力を現したことわざである。
「おい誰だこんな嘘書いたの!」
「三年んんん?そんなに長い間耐えられるわけないだろいい加減にしろ!」
「もって30分だぞ!!早く犯せよ!めっちゃ濡れてんぞ!妊娠確定だぞ!!」
「おいコラそこの!いいから突っ込めって!先っぽだけでもいいからさ!」
【肉まみれっ子横はば広がる】
いくら絶世のスタイルを維持できる魔物娘といえど暴飲暴食の限りを尽くすと身体の美しさが損なわれてしまうという意味のことわざ。
主に体質的な問題でオークやホルスタウロス、性格的な問題でアントアラクネなどが当てはまりやすい。
なお、パートナーの男性が太めの女性が好みという場合はほぼ大半の魔物娘が太めの体格に変化することだろう。
「……アタシの彼氏、ぽっちゃり女子が好みらしいんだけどさ……」
「え〜彼氏がそう言うなら太っちゃえばいいのに。結構簡単だよ?」
「いやまぁ、オークのあんたが言うならそりゃ簡単だろうけどさ」
「あっ……そういえばキミって」
「スケルトンで悪かったな」
【可愛い娘には種を付けよ】
魔物娘の中には大人に成長しても自分の父親を愛してやまない者がまれに存在する。これはそんな娘を持ってしまった父親の苦悩と諦めを現したことわざである。
いくら娘といえど魔物は魔物、魔物の誘惑に勝てる男性など存在しないということを痛いほど痛感させてくれることわざでもある。
例外として、デビルバグやラージマウスなどといったたくさんの子供ができる魔物娘は近親相姦がデフォルトなのでわざわざ苦悩する必要はない。
【鬼に肉棒】
もはや解説する必要もない。
ただでさえ色欲な鬼に肉棒を分け与えると手がつけられないさま。
【己の欲する魔物化を人に施せ】
筆者個人きっての願いである。
己が欲しいと望んでいる魔物化は、きっとほかの人も望んでいるだろうと思うからそれを分け与えてあげよ、という天の言葉である。
共感できてもできなくても、こういう魔物化もあるのか、そう思っていただければ光栄である。
「魔物化っていいよね……」
「いい……」
「たとえば捕虜の女の子がいるとするじゃん」
「捕虜」
「その子になにしてあげたい?」
「……ウシオニの血液ぶっかけたい」
「いいね」
「……怪しげな研究室に引き渡してローパーの卵植え付けてあげたい」
「最高」
「……魔物化ギリギリまでの状態にして、そのうえで生き別れの弟と再会させたい」
「天才かよ」
「……それじゃ、事故または病気で苦しんでいる女の子に何してあげたい……?」
「難病に苦しんだ女性が藁にもすがる思いで手に入れた特効薬がマタンゴの胞子ってパターンはまぁ王道だよね」
「……初心者向けだな」
「事故で腕を失った女の子に義手を移植するも、義手は呪われた道具で徐々にリビングドールになりつつあるとか」
「……少しレベル高いが俺は平気だ」
「というか俺レベルになるともう俺自身が死んでスケルトンに性転換したいよね」
「……」
「あっ流石に引いた?」
「…………いいね」
16/01/28 08:10更新 / ゆず胡椒