夜。外はすでに暗くなっており、どこからかワーウルフの遠吠えも聞こえてくる。
　カウンター内の椅子に座っていたエルンは、店内にかけられた時計と、窓から見える外の暗さを確認した後、すぐ隣で棚の整理をしていたラーラに声をかけた。

「ラーラ」
「あら、なにエルン」

　手に持っていた紙の束を元の場所に戻したラーラが振り返る。そんな彼女を見返しながら、椅子から立ち上がり、エルンは言う。

「今日はもう、誰も来ないだろうし。店じまいにしようか」
「……ん、ええ、わかったわ」

　頷くと同時、ラーラが軽く指を鳴らす。すると、ひとりでに店中の窓や扉が閉まり鍵がかかり、カーテンまでもが閉じた。一瞬で店じまいが済んでしまったのを見て、エルンは息を吐いた。

「こういうとき、便利だな、って思うよ」
「エルンも、いずれできるようになるわよ」

　魔物娘の中でも、特に強大な魔力をその身に宿す上級悪魔、デーモン。同族であるラーラも、当然その妖艶な肢体の内には強大な魔力とそれらを扱う術が秘められている。その便利さに感心しつつ、エルンは自らのパートナーを抱き寄せると、耳元で囁く。　

「半日待たせて悪かったな。……するか」
「ええ、待たせた分、たっぷりしてね？」

　軽口を叩き合いながら、キスをする二人。舌を絡ませ合い、口内を舐めまわし、唾液がこぼれるのも気にも止めず、お互いを貪り合うような、激しいキスだった。
　存分に貪り合った後、唇を離すと、二人の唾液が混ざり合って、糸を引いていた。互いの顔が、興奮で赤く上気している。

「ふふ、まずは、私からね……？」
「ああ……」

　煽情的な笑みを浮かべるラーラ。また指を鳴らすと、今度は一瞬で店の中からエルンの部屋へと移動していた。

「見て。したくてしたくて、たまらなくて、キスだけで、私の体、こんなになってるわ……」

　エルンを押し倒し、その体に跨りながら、欲情した自らの肢体を見せつけるように、ラーラは服を脱いでいく。
　シャツを脱ぐと、黒く艶やかな下着に包まれた、大きく形の良い青い双丘があらわれ、わずかな動きでもゆさゆさと揺れて、柔らかさを示していた。次いでショートパンツを脱ぎ、布地の少ない、まるで紐のような黒いショーツを晒す。すでにぐしょぐしょに濡れそぼっており、今にも紐が緩み、外れてしまいそうだった。
　何度見ても、興奮の薄れることのない絶景を見て、思わずエルンは生唾を呑み込む。

「最高だな……」
「ありがとう。エルンの、ここも、もうしたくてたまらなくなってるわね……」
「ああ……」

　すでにこれ以上ないほど硬く大きくなり、今にもズボンを突き破りそうなほどに存在を主張しているエルンの雄の象徴を布越しに撫でつつ、ラーラも生唾を呑み込んだ。赤い舌が、艶めかしく唇を舐めた。
　その仕草に、エルンは待ちきれないといわんばかりに自らの服に手をかけ、押し倒された体勢で器用に脱いでいく。ラーラも自らの下着を脱ぎ捨て、互いに全裸になる。

「ん、じゃあ……」
「ああ……」

　股間を擦り合わせ、騎乗位の体勢を整えると、ラーラは躊躇うことなく、一気に腰を落とし、エルンの肉棒を根本まで咥えこんだ。

「ん、はあぁぁあんっ！」
「くあぁ……！」

　待ち望んでいた快感に身を震わせ、嬌声をあげる二人。自然とラーラの腰が動き出し、その巨乳がゆさゆさと上下に弾み出す。エルンも負けじと、下から激しく突き上げていく。

「あんっ、ん、だめ、わたしが、うごくから……！」
「我慢してるのがラーラだけだと思うなよ……体が勝手に動くんだよ……！」

　突きあげられて、さらに大きく淫らに弾む青い巨乳を、エルンは両手で鷲掴むと、丁寧に揉みしだく。指が沈み込み、大きくも綺麗に整っていた乳房が淫猥に歪み、興奮に拍車をかけた。

「ふふ、相思相愛ね、ん、もっと、もっと揉んで、突き上げて！」
「ああ……！」

　その言葉を受けて、エルンは激しく腰を動かし、揉みしだき、ひたすらに自分の上で喘ぐ恋人を責め立てる。一方のラーラも、腰をただ上下させるだけでなく、くねらせたり、大きく前後に動かしたりして、互いが感じる快楽に緩急や変化をつけ、快楽を貪る。

「ああん、ああ、エルンの、すごく、硬くて大きい……っ！」
「ラーラも、中、すごく熱くて、的確に締めてきて、すげぇ、いい……！」

　夢中になり、互いに我武者羅に体を交わ合わせ続ける。幾度もしているうちに、エルンの裡側から、煮えたぎるほどに熱い衝動が沸き上がってきた。

「ラーラ、出る……！」
「だして、だして、一緒に、イクからぁっ……！」

　二人とも、興奮はすでに最高潮を迎えており、激しくなっていく行為にすぐに限界に追い詰められていく。

「ん、はあああああん！」
「おぉぉぉあ！」

　エルンは激しい快感とともに、精液を大量に射精し、ラーラは激しい快楽とそれ以上の自分の内側が満たされていく多幸感に、身を震わせて絶頂していた。
　そのまま脱力し、エルンの体に倒れ込むラーラ。お互い、肩を上下させ、息も絶え絶えな様子だったが、それでもなお行為は止まらない。

「ん、はあ、あ、んん……！」
「は、はあ……！」

　ラーラの尻に手を這わし、尻尾の付け根あたりを撫で回しながら、エルンは激しく腰を打ち付けた。

「ひう、あ、尻尾ぉっ……！」
「どこ責められても、気持ちいいんだろ？」
「ええ、すっごくっ！」

　さらに触ってほしい、と言わんばかりに、エルンの腕に尻尾を巻き付けるラーラ。

「ん、ちゅっ……！」
「ふ、は……！」

　エルンは尻尾の付け根を愛撫しながら、空いている片手でラーラの頭を抱き寄せて唇を奪った。
　口内に舌を入れて、絡め合い、互いの興奮と性感を煽る。

「ん、エルンのお●ん●ん、私の気持ちいいところ、的確に突いてきてるっ！」
「そりゃあ、ラーラ専用特攻もち、だからな……すぐにまたイカセてやる……！」

　そう言い、エルンは激しく腰を振る。交わる水音が激しくなっていく。ラーラも夢中で腰を動かし、強く抱き着いて体を密着させていた。

「ええ、ん、エルンも、たくさんだして、エルン専用の私の子宮に、私専用の精液、溢れるくらいちょうだいっ！」
「ああ、何度でも、いくらでも出してやる……！」
「ん、ああああんっ！」

　一回目よりも、激しい勢いで射精する。ラーラもまた、激しい絶頂が体を襲い、身悶えている。
　息を整える間も置かず、エルンは体勢を変えだした。

「あ、エルン、抜かないで……」
「抜かない。体位変えるだけ、だ」

　側位の体勢になり、また腰を振りだす。幾度も突かれて、ラーラの体が、胸が、尻が、ゆさゆさと揺れる。

「はあん、んん、エルン、もっと……！」
「当たり前だろ……！」

　腰を動かしながら、乳房を揉みしだき、硬くなっている乳首を指で弄り回し、軽く弾く。エルンが体に触れるたび、ラーラの口から甘い嬌声があがっていた。

「この辺りを、こうされるの、いいんだろ？」
「はあん、ひゃあ、ああ、そこいい、すぐイッちゃう、もっと、もっと……！」

　ラーラの声に興奮を煽られ、エルンの裡側から、いまだに収まらない熱い衝動が、外を目指してまた沸き上がってくる。　

「うあ、出そうだ……！」
「ああ、だして、一緒に、一緒に……んんん！」
「く……！」

　三回目の射精。しかし、それでもなお、まだエルンの肉棒はいまだに硬さを保っている。ラーラも、何度も絶頂して息が荒くなっているが、その瞳にある欲情の炎は消えるどころか、さらに強く燃え上がっていた。

「次、後ろから、して……？」
「ああ……」

　言われるがままに体勢を変え、エルンは後背位の体勢で幾度も突く。まるで獣の交尾のような体勢だったが、さきほどまでの体位とはまた違う性感を刺激するようで、甲高い嬌声をあげるラーラ。

「はああんっ、あ、すごく、きもちいい……！」
「俺も、すげぇ、いい……！」

　尻肉を鷲掴み、エルンは自らの腰を叩きつけるように、何度も何度も強く突く。突き上げるたび、それから伝わる内の震えで、ラーラが幾度も小刻みに絶頂しているのがわかった。

「何回も、イッてるな……！」
「あん、だって、こんなの、イかないわけ、ない、ん、おおきいの、くるぅ……！」
「俺も、くあ、やばい、な……！」

　打ち付けるたびに、射精感が一気にせり上がってくる。エルンは歯を食いしばり、耐えながら、一際高く嬌声をあげた箇所を刺激する。そうすると、まるでやり返しているかのように、ラーラの体が肉棒を締めつけ、蠢いて刺激を与えてくる。

「ふあ、あ、あああ、もう、イク、イク……！」
「だす、からな……！」
「ん、んんっ！」

　そうして、エルンは四度目の射精、ラーラは何度目かわからない絶頂をまた迎える。さすがに、お互いに息がかなり荒く激しくなり、大量に汗が流れていた。
　しかし、いまだ繋がったままの二人の目は、爛々と輝いたままお互いを見つめ合っていた。そして、何も言わないまま、しかし示し合わせたかのように、向き合うように体勢を変える。

「……やっぱ、顔みながら、するのが一番いいな」
「うん……手、つないで……」

　伸ばされたラーラの手を握り、指を絡ませ合う。そのまま、また腰を振りだす。ゆっくりと、楽しむように。
　突かれるたび、ラーラの胸が上下左右にリズミカルに弾む。脚はエルンの腰にまわされ、しっかりと固定されていた。

「あん、はあ、ふ、ああん……」
「は、は、はあ……！」

　二人の体が快感に震える。精液や愛液、汗、よだれ、涙といった、おおよそ体から流れ出る体液が流れ出て、混ざり合っている。
　互いに互いの体を貪り合い、性感の極限へと突き進んでいく。

「おああ……！」

　エルンは一際大きく腰を引くと、一気に最奥まで突きあげ、それと同時に射精を放った。

「ん、ああああん……！」

　それを受けて、ラーラも一際強く絶頂する。絡ませ合っている手が強く握られ、固定させている足がさらに強くエルンを挟み込み、体を痙攣させている。
　五度も出すと、さすがにエルンもひどく疲れたようで、射精が終わると、そのまま倒れ込んでしまった。

「はー、はー……」
「ふー……」　

　お互いに、息を整える。部屋の中には二人の汗と濃い精の匂いが充満し、今までの行為の激しさを物語っている。

「……ん、んん……」
「……どうした？」
「……おなかへってきた……」
「……おい」

　エルンの気が抜ける。五度吐き出しても、いまだ沸き立つほどの熱さを保っていた興奮が、ゆっくりと落ち着いていった。

「エルン、私の好きなもの、作ってくれるんだっけ」
「言ったな。……食いたいなら作ってもいいけど、今から？」

　夢中になっていたせいで気づいていなかったが、すでに日付が変わる時刻が近い。

「……休憩がてら、軽くでいいから作って？」
「あー、はいはい」
「ん。で、食べたら、またしよう？」
「ああ」

　肉棒を抜き取り、体を軽く拭いて、ベッドから立ち上がるエルン。それを見送りながら、ラーラはにっこりと笑いながら言った。

「また裸エプロンきよっか？」
「あれも悪くないけど、俺あれがいい。去年の、布地の少ない黒い水着」
「ああ。あれ、買い替えようと思ってるのよね。また大きくなってるから、サイズ怪しいかなあって」
「ふうん」
「ね、どんな水着がいい？」
「デザインだけでいったら去年くらい布地の少ないシンプルにエロいのが好きだけど、どんなのでもラーラに似合ってたら興奮する」
「そっか」

　朗らかに話すエルンとラーラ。二人の夜は、まだまだ終わらないようだ。

＊

「えー、臨時休業？」
「またかあ。ここ、多いんだよなあ」

　『本日、諸事情により臨時休業』と書かれている看板を見て、魔物娘と男性のカップルがぼやいていた。
　親魔物領の都市にある、ターナー雑貨店。親魔物領だからこその名産品や珍品を揃えた品ぞろえ、美人の看板娘に、店主手製の家具、小物類。人気になるのも当然の店なのだが、唯一、臨時休業が多いのが欠点だったりする。

■作者メッセージ
たぶん、いつもこんな感じで一日に何度もお互いに欲情して、イチャラブセックスしまくってると思います、この二人