読切小説
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マッチョな彼女との一日
 晴れた日の気持ちのいい朝、僕は寝室のドアを開ける。
ベッドの上では大柄で褐色の女性が豪快に眠っている。

 眠っているのは同棲中の僕の彼女だ。
彼女に近づき体を揺すりながら声をかける。

「もう朝だよ。そろそろ起きようよ」
「んぅ….ふぁ〜あ、もう朝か..」

大きなあくびをするが、目はまだ閉じたままだ。

「ほら、朝ごはん食べよう」
「うぅ〜ん…..ぷ…」
「うん?…ぷ?」
「ぷろ…ていん…..くれ」
「またぁ?もうそんなこと言ってないで早く起きなよ」
「いいじゃんか〜ちょうだいよ〜。あれ飲まないとスッキリ起きられないんだよぉ」

彼女は口を大きく開けて、僕にプロテインの催促をする。

「はぁー、僕あっちで待ってるから起きてきなよ」

僕は呆れて彼女に背を向けて、ドアに手をかける。
扉を少し開けて後ろを振り返ると、彼女は口を開けたまま薄目で僕の様子をうかがっていた。

「ふぅー、わかったよ。今あげるから」

 僕はため息をつき、はいていた短パンを脱ぎさらにパンツも下ろす。
それからベッドに上がり膝をついた状態で彼女の体をまたぎ、すでに半勃ちになっていたペニスを彼女の顔の方へと近づけていく。

「じゃあ、入れるよ」

 彼女は無言でうなずく、というより口をあんぐりと開けているから喋れない。
中に入れてやると彼女は口をすぼめて吸いつき、おいしそうな表情をしながら顔を上下に動かし始めた。
舌で器用に先端を刺激してねっとりと味わっている。
僕はすぐ我慢ができなくなり、両手を彼女の頬にあてた。

「あぁ….もう出るよ」

 彼女は顔のストロークを速くする。
あっという間にこらえられなくなり、僕は射精した。
彼女は精液をごくごく飲みながらも、さらに精液が出るようにゆっくりと顔を動かし続ける。
やがて射精が終わり、尿道に残っていたものも丁寧に搾り取るように飲み干すと彼女は口を離した。

「んぐ….ぷはぁ!あぁ、うめぇ!やっぱ朝はこれがないと始まらねぇな!!」

 にぃっと彼女が屈託のない笑顔を見せる。
野性味があって精悍な顔つきの彼女だが、僕はとても美人だと思う。
でも、それ以上に目を引くのは頭から生えている2本の角だ。
僕の彼女は人ではない。
魔物娘と呼ばれる存在で、ミノタウロス娘という種族だ。

「じゃあ、あっちで待ってるからね」

 ベッドから下りてパンツと短パンをはき、今度こそ僕は部屋を出る。
この朝のプロテインは日課になりつつある。
プロテイン1本をあげて朝から早くも疲労感を感じてしまう。




 ようやく起きてきた彼女と朝食のシリアルを食べる。
彼女は大食いで何度もボウルにシリアルをつぎたし、むしゃむしゃ食べている。
僕は一杯だけで満足して、ソファでくつろぎながらスマホをいじることにした。

 スマホで調べ物をしていると、いつの間にか後ろでシリアルを食べていた音が止んでいることにふと気が付いた。
食べ終わったのかなと思っていると、なんだか肩の辺りから鼻息らしき音まで聞こえてきた….というか息が肩にあたっている。
振り向くとすぐ後ろにいた彼女は猛スピードで椅子に向かって走っていき、ドスンと勢いよく座った。
まるで椅子取りゲームだ。

「……何してんの?」
「な、何って.…あれだよ。スクワットだよ!ほら、な!」

 彼女は慌てて立ち上がり、スクワットをやり始めた。
表情は笑顔だが、やや引きつっている。

「….ご飯は落ち着いて食べなよ」
「あ ああ、そうだよな。落ち着いて食べるよ」

 彼女はスクワットを止めて、大急ぎでシリアルを食べた。




 朝食を食べ終わり、彼女の提案で今日は映画を見に行くことにした。
二人で家の近くの広い公園を歩いて、その先の映画館へと向かう。

「そういえば何の映画を見るの?」
「へへ、それは後のお楽しみだよ」

 彼女がにぃっと、いつもの笑顔を見せる。
彼女は僕より背が高いから、会話は少し見上げながらしないといけない。

「あ、今の人アタシ達のこと見てたな。このイカしたシャツ見てたんじゃないか?」
「….そうかもね。でも、なんか笑ってた気がするけど」
「それはさ、いいモン見るといい気持ちになるだろ?それで自然と笑顔になったんだよ」

 彼女は自分の着ている赤いTシャツを引っぱって得意げに僕に見せる。
中央に白い字で『牛娘』と大きくプリントされたシャツだ。
僕が着ているのも赤シャツでこちらには『マッスル魂』と書いている。
この2枚のTシャツは彼女がお気に入りの店で見つけて買ってきたものだ。
一目見てビビビッときたらしい。

 彼女は赤色が好きで、何を買うにしても大体赤色のものを選ぶ。
きっとビビビッときたのも、このTシャツが赤色だったからだろう。
正直言うと僕は恥ずかしくてあまりこのシャツを着たくないのだけど、
彼女は二人で外出するときはどうしてもお揃いで着たいらしい。
僕が着るととても嬉しそうな顔をするので、僕としてもこのマッスルシャツを着ざるを得ない。

「あ、そういえばさ、最近知り合いの子と何か新しいイベントでもやってみようって話をしてるんだけどさ」
「へぇー、どんなことやるつもりなの?」
「それがマラソン大会なんだけどさ。魔物娘限定のマラソンなんだよ」
「ふーん、面白そうだね」
「だろ?で、普通マラソンには給水場ってあるだろ」
「うん、あるね」
「それで給水場のほかに”給精場”っていうのを置いてみたらどうかって考えてんだ」
「きゅうせいじょう?」
「そう、男がそこで自分のアソコを出して、ランナーに精力を提供するんだよ」
「……え?」
「普通の水や栄養ドリンクなんかよりエネルギーをつけられるから、みんな元気モリモリになって、きっとすごいレースになると思うんだ」
「う〜ん、そういうものかな?」
「絶対そうだよ!それでさ、そのマラソン大会ができたら二人で出てみようぜ!」
「え!僕も出るの?」
「ああ!アンタのプロテインがあればアタシの優勝は間違いないって!」

 鼻をふんふん鳴らしながら興奮気味に彼女が話している。
僕は話を聞きながら、そんなの実現するはずがないと内心では思っているけど、彼女の自信満々な姿を見ていると本当にその日が来てしまうのではないかとも思えてくる。

「よし!そうと決まれば明日から二人でここら辺をジョギングしよう!」
「いや、でもまだ実現すると決まったわけじゃ…」
「まあ、ダメだったらその時はその時さ。でも、体力つけておくことに越したことはないだろ?それに普段から走っておけば、普通のマラソンに二人で出ることだってできるぞ」
「まあ、確かにね」
「よっしゃ、そしたら今日映画見たらさっそくランニングウェア買おうぜ」
「うん、わかったよ」

 彼女がやると言ったらもうそれで決まりだ。
彼女は一度決めたら猪突猛進で突き進む。
僕にはそんな行動力はないしネガティブ思考な人間だから、バイタリティーあふれる彼女をいつもうらやましく思う。
今朝もスマホで体を強くする方法をあれこれ検索してはみたけれど、どれも僕には難しそうに感じられるものばかりで早くも諦めモードになっているところだった。
でも、彼女と一緒に軽いジョギングからなら出来るかもしれない。




 そんな話をしながら僕らは映画館のあるショッピングモールに到着した。
さっそく映画のチケット売り場で彼女が二人分の当日券を買いに行く。
ポップコーンとドリンクも買い、指定された上映室に入った。

「今日空いてたからさ、前の方の席にしたんだ」
「よかったね、たまには前の方で見たいもんね」
「うん、今日はラッキーだ」

 席に座りながら彼女が嬉しそうに話す。
彼女はかなり体格が大きい上に角まで生えているから、いつも映画を観るときは周囲の人に気を遣って後方の席に座るようにしている。
だけど、今日はその心配もいらないようだ。

 映画は上半身裸の屈強な男がジャングルで大暴れする内容だった。
僕としては今話題の『ナ・ナ・ナント』や『ジェフとウォーター』あたりを期待していたけど、まあこれはこれで楽しめる。
僕の横では主人公の男のたくましい肉体を見て彼女が大興奮している。
男のアップのシーンともなると、鼻息が強くなりすぎてポップコーンが飛んで床に落ちてしまっている始末だ。

 やはり彼女も世の女性と同じように、筋骨隆々のたくましい男が好きなのだろうか。
僕はやせた弱々しい自分の体を見て、少し沈んだ気分になっていた。

「いやーよかったな!出てくる男がみんなマッチョだったなぁ。あんなの見せられて興奮しちまったよ」

 映画が終わり、上映室を出て歩きながら彼女が映画の感想を熱く語っている。

「やっぱり、ああいう人の方が好きなの?」
「ん?ああ、そりゃあアタシは筋肉が好きさ。自分の体鍛えるのもマッチョを見るのも好きだよ。....でもさ、アタシって何というか自信のなさそうな男見ると居ても立っても居られなくなるんだよね」
「確かにそんな感じがするね」
「ああ、そういうヤツ見てるとこう……ウラァーー!!ってやりたくなるんだ」
「うらぁー?」
「そう、ウラァーー!!だよ、わかるだろ?」

 そう言って彼女はニヤニヤしながら僕の方を見る。

「例えばこんな感じにな、オラ!」
「わっ!いきなり何を….あっ..あははははは!」
「オラオラオラオラァ!」
「ちょっ…止めて….人がいるから…ひひひひひ!」

 なぜか突然彼女に体をくすぐられる。

「あひひひひひひ!ひぃー…はぁ..はぁ…..わかったからもうやめて」
「ふぅ…どうだ少しは気分良くなったか?」
「え?気分?」
「うん、何かさっきから浮かない顔してたからさ、笑わしてやろうと思って」
「そっか、そうことだったのか。ありがとう、もう気分も良くなったよ」
「それは良かった、じゃあメシ食いにいこうぜ」

 彼女の笑顔を見ていると、僕の悩みはどうでもよくなってしまった。
そうだ、落ち込んでいたってしょうがないし、彼女を心配させてしまうだけだ。
彼女と一緒に過ごすこのひと時を楽しめばいいんだ。
僕の気分はすっかり良くなっていた。




 昼食はショッピングモールのフードコート内のハンバーグ店にすることにした。
彼女が言うには「肉を食わざる者、筋肉付くべからず」だそうだ。
僕も体づくりのためとハンバーグをすすめられた。
彼女の注文したものより一回り小さいサイズだったけど、完食するまでかなり時間が
かかってしまった。
苦しかったけど、これで一歩あの映画の男に近づけた気がする。

 その後はモールの中にあるゲームセンターで遊んでから、スポーツ用品店で二人分の赤いランニングウェアを買った。
さらに彼女が僕用の筋トレグッズも見繕ってくれた。
これは明日から大変になりそうだ。
でも彼女とならきっと何とかなるだろう。
彼女といればそんな楽観的な気分になってしまうから不思議だ。




 モールで食材や日用品の買い物をしてから家に帰るともう夕方になっていた。
夕食に僕の特性カレーを食べてお風呂に入る。
彼女は二人でお風呂に入りたがっているが、家のバスルームでは狭すぎる。
もう少しお金に余裕ができたら、もっと広いバスルームのある家に引っ越す予定だ。
僕が先に入浴を済ませてソファで休んでいると、彼女が脱衣所から素っ裸で出てきた。

「なっ、下着くらい着なよ」
「ん?別にいいじゃんか。今日はムラムラしてんだ。アンタと一発ヤってからじゃないと寝れないよ」

 癖のある黒髪のロングヘアーをタオルで拭きながら、彼女は仁王立ちで自分の体を見せつけてくる。
よく鍛えられた引き締まった体で、褐色の肌が全身の筋肉をより一層際立たせている。
それでいてはち切れんばかりの巨乳と張りのある大きなお尻まである。
体中から彼女の自信と生命力がみなぎっているみたいだ。
彼女の完璧なボディを見て、僕のムスコは自然と固くなった。

「アンタもアタシとヤりたいんだろ?ヤりたい時はヤっちまえばいいんだよ」
「待って、まだ歯磨きしてなかったから先に済ませておくよ」
「あーー、もうそんなの気にしてられねぇよ。よし、立って口開けな」
「?」

 よくわからなかったが僕は言われるがまま立ち上がり、口を開けた。
彼女はタオルを投げ捨て僕に近づくと、膝を少し曲げ顔を僕の前に合わせて、いきなり口付けをしてきた。
あまりの不意打ちに僕が目を白黒させていると、彼女の舌が口の中に侵入してきて僕の歯を舐め回してきた。
足が震えて力が入らなくなり、へたり込みそうになったけど彼女の腕が僕の頭と腰に回されしっかり僕を支える。
全ての歯の表面と裏側を丹念に舐め回したら、今度は僕の舌に吸い付いて唾液をすすってくる。
僕は意識が飛びそうになるのをこらえるのに必死だ。
たっぷりと唾液を呑みこんだら、彼女の口はちゅぷっといやらしい音を立てて僕を解放した。

「じゅるる…んぅ……ふぅー、これで口もきれいになったろ」
「あぅ….こんなのすごすぎるよ」
「ふふ、気に入ったか?これからは毎日してやるよ」
「いや…さすがに毎日は」
「そうか?やってほしかったらいつでもやるからな。それじゃあ、行こうぜ。よいしょっと」
「あ、ちょっと、恥ずかしいよ、これ」
「はは、気にすんな。かわいいぜ」

 彼女は僕をお姫様抱っこしてそのまま寝室へ入っていく。
僕をベッドにそっと置くとその横にごろんと転がる。
そして僕の髪を優しく撫でながら、股間を優しく刺激してきた。
愛おしそうに僕をじっと見つめてくるので僕の顔はもう真っ赤だ。
普段はガサツなのにこういう時の彼女はとても繊細だ。

「アタシが抱いてやるから楽にしてな」
「あ….うん」
「一緒に気持ちよくなろうな」
「うん...」

 男女の関係が普通とはまるで逆だが、これが僕たちのあり方だ。
僕たちの夜では、僕がいつも彼女に抱かれて愛を囁かれながら絶頂に導かれるのだ。
そしてお互いに満足した後、二人で抱き合いながら眠りにつく。
最近では回数を重ねて、僕も何となく彼女の弱い部分がわかってきた気がする。
今夜はいつもより彼女を気持ち良くさせてみせる。
僕は小さな決意を胸に彼女の体に飛び込んでいった。
18/08/07 09:42更新 / 犬派

■作者メッセージ
読んでくださってありがとうございます。
たくましい女性ってかっこよくて好きです。
特にマッチョと黒い肌の組み合わせは最高だと思っています。

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