連載小説
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その1 
 「兄様〜、兄様どこにおる〜?」
砦の中に響く声。
砦の司令官、ミレイ・アルザードのものである。
「どこに行ったのじゃ?兄上は……」









 〜砦の剣士と魔物娘〜

 

木の上で昼寝をしていた俺は、ミレイが呼ぶ声で目を覚ました(この砦で兄上と呼ばれているのは俺しかいない)
「ミレイ、俺はここだ」
「兄上、こんな所にいたのか。捜したぞ」
「どうしたんだ?仕事はいいのか?」
「仕事どころではないわ!旅に出るというのは本当か?」
「旅? そろそろ旅がしたいとは言ったが、まだ旅に出る気は無いぞ?」
「そ、そうなのか? 心配させるな兄上。この話を聞いた時には心臓が止まるかと思ったぞ」
「旅どころではないからな。とりあえずはこの戦いの目処が立つまではここに厄介になりたい」
「それはかまわないが…… いいのか? おそらく数年はかかるぞ?」
「ああ、かまわない。旅に出るなら皆で行きたいからな…… この戦いが終われば、ある程度自由にできるんだろう?」
「兄上……そこまで我らの事を……」
「成り行きとはいえあんなことになったんだ、放っておけないだろ? それにあの教団騎士…… あいつは放っておいたら大変なことになる気がする」
「ふむ、リリーを追い詰めていたという奴らか…… 確かにな」
「ああ、だから……」
「なら兄う……ユークリッド、そなたを司令官付きの遊撃隊員にする。後は何か必要な事は無いか?」
「それなら、リリーとリターナを同じ隊にしてくれないか?」
「リターナは傭兵で雇っているから大丈夫だが、リリーは3番隊の隊長だからな…… 難しいかもしれん」
「そうか……」
「時間はかかるかもしれんがなんとかしてみよう」
「よろしく頼む」
「ところで兄上?この後時間はあるか?」
「今の所は…… てどうしてそんなことを聞くんだ?」
「今日は我もリリーもリターナも非番だからな…… かわいがってもらわんと」
「な!」
「二人はもう我の部屋にいるからな。逃がさんぞ?兄上?」
「いやまて、一人づつならいいが三人まとめては死「さあ我の部屋に行こうな?兄上?」」
「ちょっ、まっ」
『転移術』
ヒュンッ



その日、砦の中で剣士の悲鳴が聞こえたとか聞こえないとか……



次の日


「酷い目に合った……」
「酷いとは何だ酷いとは」
「ユウすまない、久しぶりだったからつい……」
「すごかったのじゃ、兄上」
すごいどころか死にかけたぞ実際
「さて、リターナ、お主は今日から司令官付きの遊撃隊員じゃ。そのつもりでいてくれ」
「それはいいんだが、それはどういうことをするんだ?」
「ふむそれは兄上に聞いてくれ。実質兄上に任せるからの」
「了解した、司令官殿」
「よろしく頼むぞ、リターナ」
「……ミレイ様私は……」
「リリー、お主は3番隊の隊長…… そう簡単には…… だがなんとかしてみよう」
「ミレイ様!!」
「兄上にも頼まれていたからの」
「ありがとうございます」


さてこれから忙しくなりそうだ…… まずは情報収集からか……

11/07/18 18:12更新 / 瑠璃石
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■作者メッセージ
ようやく剣士シリーズ続きを書くことが出来ました。
今回の話は国盗り。
といっても大規模戦争は書けません。
なので遊撃隊として裏方に回ってもらうことになりました。
どのような活躍をするのか…… 実はあまり考えていませんが(笑
頑張って完結まで書こうと思います。

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