例えば、こんな幸せな夜【微修正版】
皆様こんばんは、アルプです。もとは普通の農家の末っ子でした。
それが、ひょんな事からサキュバスさんに目を付けられちゃいまして……まあ、その……
拉致→監禁、調教→魔物化(今ここ
何故かインキュバスではなく、アルプになってしまいました。
どうしましょう…?
っとと、皆さんに言っても仕様がないですね。どうにも済みません。
つい、愚痴を言ってしまいました。……けど、物のついででもう一つ聞かせて下さい。
「ん〜……にゃむにゃむ…」
今、ボクの現在地はベッドの中。
はい、例のサキュバスさんの部屋の中です。
今の可愛らしい寝息も、そのサキュバス――レーネさんの物です。
聞こえてくるのは、すぐ耳元……というか、息が吹きかかるほどの距離から。
実はボク、今そのレーネさんに抱かれてます。
抱きしめられてます。向い合うように正面から。
背に手を回され、それはもう、がっちりと。
そんなこんなで身動き一つできないボクと、目の前でくぅくぅと寝息を立てるレーネさん。
その上、ボクが着ているのは半分透けてるような薄手のネグリジェ(まだあまりこういう服には慣れてません。…というか、恥ずかしいです……)とドロワーズ。
レーネさんに至っては、大きく胸元の開いたベビードールと黒のショーツだけ。
……なんでこんな事になってるんでしょう?
xxx xxx (回想) xxx xxx
「抱き枕になりなさい」
唐突でした。
いつも通り、突飛もなく。
レーネさんは何時もそうです。
「……え?」
「聞こえなかったのかしら?
今晩は、貴女を抱いて寝ることにするわ。
セックスの意味じゃなくハグの意味で」
淀みなく、スパンと言い切られました。
聞き間違いその他云々という事は無さそうです。
凛、と効果音まで聞こえました。
「え…っと?」
「選択肢は はいorいえす」
「………はい」
それは選択権が無いという事でしょうか…
xxx xxx (回想終わり) xxx xxx
えっと…まあ、そういう事?
答えた瞬間コンマ秒で抱きしめられて、あれよあれよと言う間に着替えさせられ、そのまま……
まるで意味が分かりません。脈絡も何も有ったもんじゃありません。
……まあ、何時もの事といえばそれまでなんですが
「すぅ…く〜……ん〜、ふふ…♪」
レーネさんはもう眠ってしまったようで、穏やかな寝息が聞こえてきます。
口元は軽く緩んでいて、時折楽しそうな笑い声を上げていたり……普段のイメージとはまるで違う、やわらかくって無防備な顔。
「……やっぱり、きれいな人だよなぁ」
こうしてまた違う一面を見せられる度、何度もそう思う。
初めて会った時、あの訳も分からないまま連れ去られて、犯されて……意識もなくなるほどメチャクチャにされたあの日から、どれくらいの日が過ぎただろう?
……多分、一月や二月じゃあ済まないと思う。
色々なことがあった。
だけど、レーネさんの事はまだよく分からない。
こんな風に今まで知らなかった一面を見せられたりするくらいだ。
でも魅力的なヒトだって事は、よく分かってる。
自分なんかとは吊り合わない、それこそ魔物になった今でさえ天地ほどの差がある。
……それに、こんな妙な命令をされるくらいだ。結局ボクは、レーネさんの下僕でしかないのだろう。
「んぅ…」
「へ? あ…、わっ!」
レーネさんの片手が腰に、もう片方の手は頭を押さえて、ぎゅ…とさらに強く抱きしめられた。
ただでさえ身動き出来ないほど密着していたのに、また一層強く押し付けられて、レーネさんより頭ひとつ小さい(これは、ボクの背が小さいのではなくレーネさんが大きいのです)ボクの顔は、その豊かな胸に埋もれてしまう。
多分Eか、それ以上はある大きなお胸。
しっかりと捕まえられて、逃げ出すことも出来ずその谷間に押し付けられてしまう。布一枚の有ってないような遮りを隔てて、柔らかな感触がボクを包んだ。
それに役得感を感じるより先に、息苦しさに苛まれてしまう。なにせ口も鼻も殆ど塞がっちゃって、息をするのもままならない。
何度か身をよじっていると、ようやく隙間が見つかった。
「…んっ、あ、の……これ…ちょっと、…苦し、です、、」
ムダとは分かってはいるけれど、抗議の声を上げてみる。
だけどまあ、答えが返ってくる筈もなく。レーネさんは、すぅすぅと猫みたいな寝息を立てて、グッスリと静かに寝てるだけだ。
ボクは身動きも取れなくて、ただ恨めしげにレーネさんの顔を見上げるくらいしかできない。
「むぅ〜、…あ……」
無意味とは知りながら膨れっ面を続けていると、ふと、ふわりと鼻に入り込む香りに気がついた。
甘くって、ちょっとだけ鼻を突く、何かのハーブのような匂い。それは普段レーネさんが使っている香水の匂いで、犯されながら失っていく意識の端でいつもボクが嗅いでいた匂いだ。
ぼぉ…と、体の奥のほうが少しだけ熱くなるのを感じた。
「んぅ〜……ん、く〜…」
「あ…の、レーネ…さん……」
何時の間にか、ボクもレーネさんの背中に腕を回していた。そうして、きゅ、と自然に抱き合うように体を引き寄せる。
…そんな事をしたって、もうお互いの息まで感じられる距離だったんだから、少しも近付いたりはしなかったけれど。それでも何だかレーネさんの香りが一層濃くなったような気がして…妙な気分になってしまう。
そして規則的で穏やかなレーネさんの息が、一瞬ボクの髪を撫で、耳たぶをくすぐった。それはとても熱く、何かを考えるのが億劫になる……
そのせいだろうか?
ボクは殆ど無意識で、レーネさんの肌に舌を伸ばしていた。
舌は、ぴとりと胸の谷間の底へと触れる。寝汗をかいているのか、ほんのりと塩の味がした。
レーネさんの味。胸骨の硬い感触。抱きしめている腕から伝わる体温と、抱きしめられた腕から伝わる暖かさ……
「ぁ、はっ、ん……くちゅ…」
ボクはレーネさんの肌の上に舌を這わせていた。
なぜだか止まれなかった。レーネさんが起きてしまうかも知れない。起きたら、きっとヒドイお仕置きが待っている。
それでもどうしてか止めることは出来なくって、息を荒くして、一生懸命になって、ただただ舌を動かしていた。
まるで犬みたいだ。みっともない。格好が悪い。
だけど、止まらない。ぴちゃ…ぴちゃ…と、レーネさんの胸の間に唾液が溜まって音が立つ。
ああ、きっとこれ以上はレーネさんが起きてしまう。…だけどボクは、いつも以上に近くにいる、いつもじゃ決して見られないくらい無防備なレーネさんに……きっと確かに、欲情しているんだ。
「あ…んん、ぁ……レーネさん…!」
もう、止まれない。自分で自分を抑えられない。
レーネさんの背中に回したボクの手が、はらりとベビードールの肩紐を外した。ボクの腕がそれを払い落として、レーネさんの大きくって形の良いバストを外に出させる。
レーネさんはまだ眠っている。腰を捕まえた手からは逃げられそうにないけれど、頭を押さえている腕からは、もうほとんど力が抜けていた。
ボクは片手を這わせるように探らせて、むき出しになったレーネさんの胸を捕まえた。
手の平いっぱいに広がる、柔らかくって温かな、ちょっとだけ湿りを帯びた感触。それを指先の方だけで手を握ったり、開いたりしながら味わう。ほんの小さな力で揉んでいた。
「ぅ…んっ……」
「は、ふぁ…あ、んっ!」
少しだけ、レーネさんの吐息が湿っぽい熱を帯びた。それが嬉しい。
否応もなく心臓が早鐘を突く。ボクの拙い技巧でレーネさんが感じてくれているのかと思うと、たまらない気持ちになる。
もっとそんな声が聞きたくなって、舌と手の動きを激しくしていく。
頭を少しだけ自由に動かせるようになったから、少しずつ舌を上へ……胸の谷間から、鎖骨の間の窪みへと動かした。
少しだけ汗の溜まったそこを舐めると、しょっぱくて甘い、レーネさんの味がいっぱい詰まっている。
夢中になって舌を動かしていると、くすぐったそうなレーネさんの息が耳にかかった。
手は、くるくると渦巻きみたいに動かしながら、揉んだり、時々指先でくすぐったりしてみる。
そんな風にしていると、不意に、コツンと硬い感触とぶつかった。なんだろうと思って小指の先でつつくと、「んっ…」と途端にレーネさんが良さそうな声を上げる。
それで分かる。乳首が固くしこりになっている。レーネさんは、確かに感じていてくれたんだ。
ボクの手で、レーネさんが気持ちよくなってくれていた。ボクが、レーネさんに嬌声を上げさせた……
ああ、もう、ダメだ
「は、あ…、 レーネさん……レーネさんッ!」
気が付けば、ボクは彼女の名前を呼んでいた。
胸に伸ばした手は、そのまま彼女の乳首を摘まみあげて、転がしたり、押しつぶしたり、また胸全体を揉んだりと、もう目茶苦茶に動いていた。
もしかしたら痛くしているのかもしれない。だけど、レーネさんは少し寝苦しそうな呼吸をするくらいで、まだ起きそうにはない。
だからまだ、あと少し…もう少しだけ、こうさせていて下さい……
自分がイヤらしい事をしているとは、もう自覚している。
だから口も、さっきまではなるべく避けるようにしてた、乳房の方に伸ばす。舌を平べったくして、マシュマロみたいに柔らかい感触を口いっぱいに味わったり。逆に先っぽを尖らせて、固くしこった乳首をくすぐったり、甘噛みなんてしてみたり。
何度も、何回も……もう体が覚えてしまうくらい繰り返し「されてきた」事を思い出しながら、今度はレーネさんにしてあげる。いつの間に、ボクはこんな淫らな風になっちゃったんだろう…?
つっ…と、レーネさんの背中に回していた方の手で、背骨の少し横をなぞる。
そのまま下へ。ゆっくりと、焦らすように、指先だけの柔らかな指使いでくすぐる。
耳元の声がほんの少しだけ、甘ったるいように溶けた。すこし辛そうな、くぐもった喘ぎ。感じてくれている。嬉しくなって、ついほっぺが緩んでしまう。
背中をくすぐる手は、そのまま彼女の腰の辺りまで下ろして、そしてショーツに指を引っ掛ける。
「ん…くちゅ……ふ、はっ…下ろします、よ? い、い です…か?」
聞こえてはいないと思いながらも、なんとなく尋ねてしまう。
やっぱり答えは返って来なかったけど、ボクはそっとレーネさんのショーツを下ろした。
それを太腿くらいまでズラした後、今度は自分のを脱がすため、その手をボクの内腿の方まで引き戻す。
指先がネグリジェの裾に触れた。ボクはそれをたくし上げて、ゆっくりとドロワーズから片足を抜いた。その下に履いていたピンクのショーツは、どうしようもないくらいクロッチの部分が濡れていて、ピッタリとくっついてしまっている。
「ぁ…ぅ、んぁ…濡れちゃって、る……ひぅ…ッ」
ショーツの方からも足を抜こうとして、少しだけ。ほんの少しだけ…クリトリスがレーネさんの腿に擦れた。
細くて小さな針が刺さったみたいな鋭い感覚が走って、それだけで背筋がゾクゾクと震える。
どうしようもなくエッチな気分になっているせいか、ボクの身体はひどく敏感になっていた。
(そんな体で…レーネさんの、と擦り合わせたりしたら……)
恐怖感にも似た期待に、胸が高鳴る。
そしてボクは、レーネさんと足を絡ませて……
「ふひゃ!?」
突然訪れた、ヌルッと下腹を擦っていく感覚。
敏感なところは微妙に避けていたけれど、高まった感覚と、不意打ちなそれに、ボクはみっともない声を上げてしまった。
「……何やってるのよ、貴女」
「え、…れ、レーネさん!?」」
ふと見れば、レーネさんの目が開いている。
半ば以上閉じていて、まだ眠そうにしているけれど、確かに起きていた。
ついでに見てみると、ボクの股の間からはボクのものではない尻尾が伸びている。今下腹を擦って来たのは、きっとこのレーネさんテイルだ。
ボクは現実から目を逸らし始めた。
「えっと……きょ、今日はイイ天気でした、ね?」
「…何をしてたのかって、聞いてるの」
「え…いやその、あの、はい……」
眠そうな目のままで、レーネさんがボクに詰問する。
これが世に言うジト目責めと言う物なのでしょうか?
いえ……はい、これは誤魔化せませんね。
「……レーネさんに抱きしめられてたら…こう、ヘンな…気分に、なっちゃって……」
極めて急速に体温が失われている(ような気がする)。
蛇に睨まれた蛙の気分を体感しながら、ボクはしどろもどろに弁明を始めた……って、これじゃまるっきり子供の言い訳じゃないですか!?
「そう……しようのない子」
「へ? わ、ひゃふ?!」
レーネさんが一度、大きくため息を付いた。
それとほとんど同時に、再び下腹を撫でる快楽。
レーネさんの尾が、まるで蛇のようにくねりながら、ボクの気持いいトコロを刺激していく。
うねりをビラビラの中に入れて、小さく擦って行ったり。
「ふぁ…ぅあ、んッ…!」
先っぽのハート型の硬い「返し」で顔を出していたおマメを軽く叩いたり。
「ひ、は、ゃ…うぅん!?」
かと思えば、きゅ…と抱きしめられて、固くなった乳首同士がぶつかり合っている所を、コツンと尻尾で叩かれたり。
「あ、ひゃ、んんあ…ぁ……ふ、ぅああ」
それからボクの腰を捕まえていた手の指先が、お尻の割れ目を通って、そっと優しくひっかくようにおまんこの裏側を撫でて行ったり……
「あ…ふ、ひ、ふひゃん!? ひ、う…イ…イっひゃ、ぅうあああん!?」
三十秒もしない間に、アタマの中に真白い火花がパチパチと散る。
挿入れられてもいないのに、絶頂していた。
何と言うか……もう、情けなさ過ぎて謝りたくすらなってくる。
「…は……あぁ…んん、ふ、ひゃぅ……ひ…」
「さ、もう寝なさいな」
息も絶え絶えなボクに、レーネさんはそう言った。
「でも、それじゃあ……」
「何かしら?」
「……レーネさんが…まだ、です」
ボクばかり気持ちよくなってしまって、レーネさんは、まだ満足してない。
ボクの思い上がりじゃなけりゃ、レーネさんもそれなりに感じてくれてたと思う。
だけどこんな……ボクも何度か、レーネさんからそんな「オアズケ」をされたから分かる。こんな風に中途半端で終わるのは、とても苦しい。まるで胸がきゅぅと締め付けられるような切なさと、掻けずにいる虫刺されのような体の疼きに、いったい何度さいなまれたかなんて分からない。
イきたいのにイけない生殺し。
……つらい、はずなんだ。
それなのに、そんな風にしたのはボクなのに、中途半端にさせてレーネさんにつらい思いをさせて。ボクはといえば、お仕置きどころか優しく優しく気持よくさせてもらっただけ。
そんなことって、無いじゃないか。
「……バカね」
クスリと笑って、レーネさんは囁いた。
「へ?」
「よく見てみなさい」
そう言われた直後、ボクはぎゅ〜とめり込むくらい抱きしめられた。
ただでさえ近かった体が、更に密着して、レーネさんより頭ひとつ小さいボクの顔は、その豊かな胸の中に埋もれてしまう。よく見てみなさいも何も、これじゃあ何も見えやしない。
…けど、聞こえた。トクン、トクン……と、心臓が大きな音を刻んでいる。
それは早鐘をついていて、丁度、ボクと同じ。興奮している時の音だ。
腰の方も、ぎゅ…と捕まえられて、レーネさんの腰に押し付けられる。
ぬるりと、愛液のヌメる感触。ボクのモノだけではない。レーネさんの方も、下着をつけていられないくらいに濡れていた。
「あの…これっ、て……」
「まあ、そういう事よ。貴方も上手くなったものね?」
「…はい。ありがとう、ございます……」
レーネさんも、ちゃんとイっていた。
ボクが…レーネさんをイかせてあげられた……
そう思うと、たまらなく嬉しくなった。
……それと一緒に、不安がなくなったからか、どっと眠気に襲われる。
「ほら、もう寝なさい。 明日の夜は長いわ」
そう言ってレーネさんは、ボクの頭を撫でた。
細くてしなやかな指が、そっと優しく髪をかき分ける。
「はい…って、あれ? あの…えっと…、それ、どういう意味です?」
「よくも私をイかせてくれたわね。
百倍にして返すから覚悟なさい、差し当たり明日は寝かせない」
「あはは…お手柔らかに、お願い…しますね……」
それは…また、大変だ。
それじゃ明日に備えて、しっかり寝ないと…いけません…ね……
あの日、ボクが人のセカイを離れてから
色々なことがありました
辛いこともありました
悲しくて、泣いてしまった夜もありました
ついに、人間までやめてしまいました
それでも…不思議と後悔はありません
楽しいことがありました
心の底から、幸せだと、そう思える時がありました
例えばそれは、泣いていた日の慰められた記憶
例えばそれは、優しく髪を撫でてくれるヒトがいること
例えばソレは……
「おやすみなさい」
12/10/27 00:03更新 / 夢見月
戻る
次へ