告げられた幻想
司令室の椅子に長髪の女性を座らせ、レックスが右肩の傷を治療。包帯で傷を塞いだ後、腕に簡易注射をする。
「神経毒用の抗体ワクチンです。しばらくすれば痺れも治ります」
「ありがとう・・・」
「どういたしまして」
彼女の横には黒鎧の女性がいる。不審な行動がないか見張っているのだ。
部隊全員、彼女らと対面状態。
「さ―て、どこから話そうかな。まず自己紹介が先かな。僕はエスタ。技術者でこの部隊の管理を担当している」
「そこから入るか・・・はぁ・・・我々は強襲部隊『ドラグーン』そして、この部隊の隊長、イーグルだ」
「・・・同じく特攻隊員、ブレード」
「遊撃隊員のラキ。よろしく!」
「右に同じく、ジェミニ・ラート!」
「左に同じく、ジェミニ・レート!」
「はじめまして。特攻隊員のレックスです」
それぞれ自己紹介を簡単に済ませる。彼女らもようやく話し始める。
「名乗らぬ訳にはいかんな。私はある都市の防衛隊隊長のニール・レオーネだ」
「同じ隊員のシャマよ。よろしく」
「さて・・・色々聞いてみたいことはあり過ぎて困る。そこで単刀直入に聞くことにする。・・・なぜ、我々を助けた?」
いきなりの質問。見ず知らずの者に助けられたら、誰であろうと理由は気になる。
「理由は2つかな?まず、一つ目はイーグル、君から言ってくれないか?」
「・・・部隊の一人が独断で行動しようとしたから、やむを得ず、仲間とともに向かわせた。いつも無茶しているからな。・・・ブレード」
「・・・」
ニールが彼を見ると無愛想に視線をそらした。
「照れんな、いてえ!?」
「・・・黙れ」
腕を組んだまま横から肘鉄をラキに与えた。それを見て微笑むニール。
「二つ目は?」
シャマがそう言うとドクターが端末を操作し始める。メインテーブルに世界地図を映し出した。
「僕たちはある任務のため、長期遠征で砂漠地帯を探索していたのだけどね。場所が分からなくなり迷子。それで君たちを発見したので、もしや現地に住む人かなと思ったの。という訳で・・・ここがどの辺りか教えて欲しい」
ドクターが指さし、地図を見せる。ニールはゆっくりテーブルに近づき地図を眺める。
「これは・・・地図なのか?」
「そう、世界地図だよ。赤く光っている点が迷子になる前の現在地。」
「・・・・・・」
彼女は呆然として地図を眺めていた。不審に思い、ジェミニとラキが近づく。
「どうしたの?」
「やっぱり無理?」
「これがお前たちの持っている世界地図・・・」
「そうだよ、三つに分かれたでっかい大陸の上がほとんど砂漠地帯だぜ。砂嵐が邪魔で・・・」
「こんな地図見たことがない・・・」
「そう、見たことが・・・ないぃぃぃぃぃ!?」
「「!?」」
彼女がそう言うと懐から丸まった紙を取り出し、テーブルに広げる。それはどうやら大陸地図らしい。
「レックス!」
「了解」
ドクターの指示でテーブルに向かうレックス。すると地図を凝視して、腕からプラグを出し、テーブルに刺す。
「もう、しまわれても結構ですよ」
「?」
ニールは不思議に思い、地図をしまう。
「スキャンした大陸地図をメインテーブルに表示します」
彼の言葉通り、彼女の持っていた地図のそのものが光学表示される。
「なっ!?どうやって写したのだ?」
ニールは光学表示に驚いていた。
「これって・・・」
「でかぁぁぁい!」
「え?これ大陸なの?ていうか形違うんだけど・・・」
双子と一人は大陸の形に驚いていた。彼らの知っている形とは違い、真ん中に巨大な大陸と右端に小さな大陸があるだけだった。
「どういことだ・・・?」
「・・・・・・?」
「やっぱり・・・じゃあ、信じられないけどそういうことになるかね・・・」
隊員たちが混乱する中、ドクターは冷静に何かを解釈していた。イーグルが不満げに問う。
「ドクター、何が分かったのだ?」
「それ見て分からないの?特にジェミニは・・・」
「え―と・・・突然過ぎて混乱しそうなんだけど・・・此処って」
「別世界?そんな訳ないよね?ゲームじゃないんだから・・・」
「解っているようじゃない。なら、説明は・・・」
「・・・ふざけるな。ちゃんと説明しろドクター」
「もう・・・面倒くさい事増やさないでよ」
ブレードに迫られ、仕方なく説明を始める。
「僕たちはあの砂漠地帯で謎のエネルギーとたぶん、衝突したのだろうね。理由は不明だけど・・・GPSが使えないのは異常過ぎる。特別なことがないかぎり使用不可にはならないはず・・・」
話しながらフロントガラスへ向かうドクター。
「そして、あれだけ荒れていた砂嵐は忽然と消え、今まで見たことの無い未知の場所に来ていた。気付かないうちにね。始めは信じられなかったけど・・・そこのお嬢さんが持っていた地図で決定せざる負えない結果になった」
「・・・・・・」
「ついでに聞こうか・・・三政府や連合軍、それと・・・そうだな、核爆弾などの言葉。君たちは何のことか知っている?」
「なんなのだ・・・そのサンセフに・・・連合軍?どこの軍だ?」
「カクバクダン?・・・カクって何かの玉?」
「だろうね・・・聞いたことないよね。僕たちの世界では嫌というほど耳にするのに・・・」
静まり返る隊員たち。驚愕の事実を突き付けられたからだ。
「そう!今、僕たちは未知なる異世界にやって来た!そう言えば納得できるだろう?・・・ブレード」
「・・・・・・」
ブレードは冷や汗を流した。ドクターは静かにレックスのいる端末に戻り、椅子に座る。
「・・・という訳で説明は終わり!でどうする?イーグル」
「人が戸惑っているときに振るな。整理がつかなくなる」
ジェミニは地図を見ながら考え込む。
「ん―。ねえ、この人たちどうするの?ほったらかしはできないよ」
「せめて、家に送ってあげようよ」
「おっ。ジェミニ、なんかいいこと言うじゃないか」
「・・・そうだな」
ラキとブレードも同意する。
「いいのか?お前たちはかなり深刻そうな状況なのに・・・」
「救助したついでだしね。地図に指さして。そこにマークつけるから」
巨大な大陸の中央辺りに自分たちの自艦があった。彼女はそこから右側の部分に指を当てる。
「此処に都市がある。私たちはそこから来た」
「此処ね。距離は?」
「約35キロです」
「じゃあ、行きますかね。発進して!」
「了解。進路東へ航行開始」
ゆっくりと回り、動き出す戦艦。
「あ、着くまでにこの世界の常識教えてくれないかな?」
「かまわないぞ。こちらも異世界人に興味がある」
「私も入れてください♪」
「「僕らも―!」」
ドクターとジェミニが彼女らと話す中、ブレードは不満げな顔をしていた。イーグルとラキはそんな彼に声をかける。
「・・・くだらん」
「ブレードも聞いた方がいいぞ。また、下手に動いて逆鱗に触れてほしくないからな」
「・・・ふん」
「すねやがって・・・いてぇ!蹴るなよ!」
巨大な戦艦内で立ち入ったこの世界について、彼女たちに話してもらう。それは彼らにとって不思議極まりない場所であった。
「神経毒用の抗体ワクチンです。しばらくすれば痺れも治ります」
「ありがとう・・・」
「どういたしまして」
彼女の横には黒鎧の女性がいる。不審な行動がないか見張っているのだ。
部隊全員、彼女らと対面状態。
「さ―て、どこから話そうかな。まず自己紹介が先かな。僕はエスタ。技術者でこの部隊の管理を担当している」
「そこから入るか・・・はぁ・・・我々は強襲部隊『ドラグーン』そして、この部隊の隊長、イーグルだ」
「・・・同じく特攻隊員、ブレード」
「遊撃隊員のラキ。よろしく!」
「右に同じく、ジェミニ・ラート!」
「左に同じく、ジェミニ・レート!」
「はじめまして。特攻隊員のレックスです」
それぞれ自己紹介を簡単に済ませる。彼女らもようやく話し始める。
「名乗らぬ訳にはいかんな。私はある都市の防衛隊隊長のニール・レオーネだ」
「同じ隊員のシャマよ。よろしく」
「さて・・・色々聞いてみたいことはあり過ぎて困る。そこで単刀直入に聞くことにする。・・・なぜ、我々を助けた?」
いきなりの質問。見ず知らずの者に助けられたら、誰であろうと理由は気になる。
「理由は2つかな?まず、一つ目はイーグル、君から言ってくれないか?」
「・・・部隊の一人が独断で行動しようとしたから、やむを得ず、仲間とともに向かわせた。いつも無茶しているからな。・・・ブレード」
「・・・」
ニールが彼を見ると無愛想に視線をそらした。
「照れんな、いてえ!?」
「・・・黙れ」
腕を組んだまま横から肘鉄をラキに与えた。それを見て微笑むニール。
「二つ目は?」
シャマがそう言うとドクターが端末を操作し始める。メインテーブルに世界地図を映し出した。
「僕たちはある任務のため、長期遠征で砂漠地帯を探索していたのだけどね。場所が分からなくなり迷子。それで君たちを発見したので、もしや現地に住む人かなと思ったの。という訳で・・・ここがどの辺りか教えて欲しい」
ドクターが指さし、地図を見せる。ニールはゆっくりテーブルに近づき地図を眺める。
「これは・・・地図なのか?」
「そう、世界地図だよ。赤く光っている点が迷子になる前の現在地。」
「・・・・・・」
彼女は呆然として地図を眺めていた。不審に思い、ジェミニとラキが近づく。
「どうしたの?」
「やっぱり無理?」
「これがお前たちの持っている世界地図・・・」
「そうだよ、三つに分かれたでっかい大陸の上がほとんど砂漠地帯だぜ。砂嵐が邪魔で・・・」
「こんな地図見たことがない・・・」
「そう、見たことが・・・ないぃぃぃぃぃ!?」
「「!?」」
彼女がそう言うと懐から丸まった紙を取り出し、テーブルに広げる。それはどうやら大陸地図らしい。
「レックス!」
「了解」
ドクターの指示でテーブルに向かうレックス。すると地図を凝視して、腕からプラグを出し、テーブルに刺す。
「もう、しまわれても結構ですよ」
「?」
ニールは不思議に思い、地図をしまう。
「スキャンした大陸地図をメインテーブルに表示します」
彼の言葉通り、彼女の持っていた地図のそのものが光学表示される。
「なっ!?どうやって写したのだ?」
ニールは光学表示に驚いていた。
「これって・・・」
「でかぁぁぁい!」
「え?これ大陸なの?ていうか形違うんだけど・・・」
双子と一人は大陸の形に驚いていた。彼らの知っている形とは違い、真ん中に巨大な大陸と右端に小さな大陸があるだけだった。
「どういことだ・・・?」
「・・・・・・?」
「やっぱり・・・じゃあ、信じられないけどそういうことになるかね・・・」
隊員たちが混乱する中、ドクターは冷静に何かを解釈していた。イーグルが不満げに問う。
「ドクター、何が分かったのだ?」
「それ見て分からないの?特にジェミニは・・・」
「え―と・・・突然過ぎて混乱しそうなんだけど・・・此処って」
「別世界?そんな訳ないよね?ゲームじゃないんだから・・・」
「解っているようじゃない。なら、説明は・・・」
「・・・ふざけるな。ちゃんと説明しろドクター」
「もう・・・面倒くさい事増やさないでよ」
ブレードに迫られ、仕方なく説明を始める。
「僕たちはあの砂漠地帯で謎のエネルギーとたぶん、衝突したのだろうね。理由は不明だけど・・・GPSが使えないのは異常過ぎる。特別なことがないかぎり使用不可にはならないはず・・・」
話しながらフロントガラスへ向かうドクター。
「そして、あれだけ荒れていた砂嵐は忽然と消え、今まで見たことの無い未知の場所に来ていた。気付かないうちにね。始めは信じられなかったけど・・・そこのお嬢さんが持っていた地図で決定せざる負えない結果になった」
「・・・・・・」
「ついでに聞こうか・・・三政府や連合軍、それと・・・そうだな、核爆弾などの言葉。君たちは何のことか知っている?」
「なんなのだ・・・そのサンセフに・・・連合軍?どこの軍だ?」
「カクバクダン?・・・カクって何かの玉?」
「だろうね・・・聞いたことないよね。僕たちの世界では嫌というほど耳にするのに・・・」
静まり返る隊員たち。驚愕の事実を突き付けられたからだ。
「そう!今、僕たちは未知なる異世界にやって来た!そう言えば納得できるだろう?・・・ブレード」
「・・・・・・」
ブレードは冷や汗を流した。ドクターは静かにレックスのいる端末に戻り、椅子に座る。
「・・・という訳で説明は終わり!でどうする?イーグル」
「人が戸惑っているときに振るな。整理がつかなくなる」
ジェミニは地図を見ながら考え込む。
「ん―。ねえ、この人たちどうするの?ほったらかしはできないよ」
「せめて、家に送ってあげようよ」
「おっ。ジェミニ、なんかいいこと言うじゃないか」
「・・・そうだな」
ラキとブレードも同意する。
「いいのか?お前たちはかなり深刻そうな状況なのに・・・」
「救助したついでだしね。地図に指さして。そこにマークつけるから」
巨大な大陸の中央辺りに自分たちの自艦があった。彼女はそこから右側の部分に指を当てる。
「此処に都市がある。私たちはそこから来た」
「此処ね。距離は?」
「約35キロです」
「じゃあ、行きますかね。発進して!」
「了解。進路東へ航行開始」
ゆっくりと回り、動き出す戦艦。
「あ、着くまでにこの世界の常識教えてくれないかな?」
「かまわないぞ。こちらも異世界人に興味がある」
「私も入れてください♪」
「「僕らも―!」」
ドクターとジェミニが彼女らと話す中、ブレードは不満げな顔をしていた。イーグルとラキはそんな彼に声をかける。
「・・・くだらん」
「ブレードも聞いた方がいいぞ。また、下手に動いて逆鱗に触れてほしくないからな」
「・・・ふん」
「すねやがって・・・いてぇ!蹴るなよ!」
巨大な戦艦内で立ち入ったこの世界について、彼女たちに話してもらう。それは彼らにとって不思議極まりない場所であった。
11/08/26 18:00更新 / 『エックス』
戻る
次へ