堕落時の些細な救済
『レスカティエ教国』
リリムと言われる魔物によって魔界化された元宗教国家。教団が誇る多数の勇者たちが生まれた国でもあったこの場所は、今や欲望を曝け出し、結ばれることを許されなかった者たちが愛し合う憩いの土地となった。
これはその国が魔界化されている最中に起きた小さな出来事である。
大通りで逃げ惑う男性兵士たちとそれを追う魔物の女性たち。必死に抵抗するもことごとく拘束され、その場から連れ出される。連れ去られた場所は恐らく誰にも邪魔されない安全な場所であろう。
そんな中、二人の兵士が魔物から逃れるため、全速力で走っていた。一人は立派な鎧を付けた男性騎士。もう一人は軽装備の一般的な女性兵士。二人は何とか魔物の追跡から逃れて建物の間に隠れる。
「はぁ、はぁ、此処まで来れば・・・追ってこないだろう」
「そうですね・・・ザラムス隊長・・・」
ザラムスと呼ばれた男は騎士団の隊長の一人で、突如現れた魔物の撃退のため、部隊を引き連れて防衛に当たっていた。しかし、一人の女性兵士がいきなり魔物化したことにより、防衛網は壊滅的な打撃を受けることになる。
やむを得ず、彼は撤退の指示を出すも、時すでに遅く、次々と部下たちは魔物の餌食となっていった。その場に居た少数の部下を引き連れて逃げたものの、一人の女性兵士を残してその他は捕まってしまう。
残った女性兵士の名はニリア・ペアリスト。金色の長髪をした女性で左腰にショートソードを携えている。まだ、16歳という若さで彼女は腕の立つ兵士の一人でもあった。
「くっ、このままでは・・・」
「隊長・・・」
時々、聞こえてくる艶めかしい声に二人は不安が隠せなかった。その時、彼はある方向へ向けて歩き出そうとした。
「隊長、何処へ向かわれるのですか?」
「・・・・・・」
「まさか、逃げるおつもりですか!?」
彼が向かおうとした先は、レスカティエの城とは反対方向の街の外だった。足を止めて彼は問いに答える。
「この国はもうだめだ。最早、魔物たちに蹂躙されるのは時間の問題・・・」
「ですが!」
「君も見ただろう!あの惨状を!ああなる前に私は国を出ていく」
「そんな・・・城に向かえば勇者や精鋭部隊もいます!彼らに救援を求めに・・・」
「その前にやられるのがオチだ!とにかく、私はこの国から脱出する!君の生き残りたいならついて来い!」
彼の答えにニリアは俯いてしまう。再度歩き出した彼に彼女はついて歩かなかった。
「・・・おい」
「・・・・・・嫌です」
「何?」
「私は・・・城に行って救援を求めに行きます。まだ、希望はあるはずです!」
「君は何を言っているのだ!?自身を犠牲にするつもりか!?」
「それでも、私はこの国を見捨てるわけにいきません!」
彼女が残って国を守ろうとする行動には理由があった。それは、彼女にはたった一人の肉親である弟が居たからだ。まだ、8つという幼い歳で城下街に残したままで、彼女自身、その安否も分からなかった。
「馬鹿か君は!もう手遅れだ!この国はもうすぐ壊滅する。無駄な行為だ!」
ニリアの意見に彼は激昂しながら近づいていく。
「私は隊長を尊敬していましたが、それほど腰抜けだったとは知りませんでした。残念です。ですので、私一人で城に向かいます」
「こ、腰抜けだと・・・」
「隊長はどうぞ御一人で逃げてください」
「っ!?」
彼女の言葉に彼は顔を真っ赤にさせる。忠実で尊敬してくれていた部下から蔑まされたからだ。そんな彼を無視してニリアは城に向かうため、彼に背を向けた。
「ふざけやがって・・・」
不意に後ろを向いた彼女に向かって、彼は剣を抜いて斬り掛かった。不意な攻撃に気付かず、彼女は背中に致命的な傷を負ってしまう。
「くあっ!?」
前のめりに倒れてうつ伏せになるニリア。それを見て彼はしゃべりだす。
「まあ、君も女性だからいずれ魔物化する可能性もある。連れていても俺自身が危険だと思っていたが・・・いい厄介払いができたよ・・・じゃあな」
血溜まりが拡がる彼女を放置して彼は国外に向けて歩き出す。
「・・・くっ・・・う・・・」
血だらけになりながらも、彼女は這いずって城に向かおうとする。目の前が暗くなり始めるも、彼女は諦めなかった。しかし、大量の血を流したその身体はすぐに限界を迎える。意識を失いかけたその時、ある見知った顔が視界に映った。
「・・・リ、ヒト・・・待っていて・・・お姉ちゃんが、む・・・ぇ・・・・・・・・・」
一つの影が街の上空にあった。それは禍々しくも白く美しい容姿を持った魔物だった。身体の所々に赤い瞳の宝石を装飾され、白い長髪と同じく白い翼と尻尾を持つ悪魔のような姿。
そう、現在、この宗教国家に侵攻する魔物の統率者リリムのデルエラである。彼女は魔物化されていく兵士たちを眺めていると、偶然、先程の二人の光景を見つけたのだ。だが、時すでに遅く、彼女が目にした瞬間、女性兵士が切り裂かれる。
「!?」
悠然と立ち去っていく男性騎士を見て、彼女の顔は怒りに満ちた表情へと変わる。
「見させて貰ったわ・・・聞こえたわよ・・・あの娘の望みの声を・・・そして、あなたの傲慢さを!」
彼女はそういうと魔法陣を自身の下に展開させて、光とともに姿を消した。
男性騎士は少し歩いてから走り出した。長居すれば自分の身の安全が保障できない。一刻も早く国から脱出したい気持ちが足を速めた。次の曲がり角を左に曲がった瞬間、彼は顔を引き攣らせた。
眩しい光とともに魔物が現れたからだ。それは見ただけで彼自身の欲望が高まるほど魅力的な女性の姿でもあり、全てを威圧するほど濃厚な魔力を漂わせていた。彼はただ立ち尽くすも恐怖感によって平静でいられた。
「ま、魔物・・・」
「ふふ、こんにちは♪」
「くっ!」
慌てて剣を抜いて目の前の魔物に刃を向ける騎士。抜いた剣にはさっき斬り伏せた女性兵士の血がこびり付いている。彼女は微笑みながら彼に話し掛けた。
「その血は誰のものかしら?」
「これか?ふっ、喜べ!これはお前たちの仲間の血だ!私の正義の証でもある!」
「・・・・・・」
「我が名はザラムス!貴様もこの剣で・・・」
「黙れぇぇ!!下衆がぁぁぁ!!」
「ひぃぃぃぃぃぃ!?」
彼の答えた言葉に彼女は激怒の声を上げる。その声は全てをひれ伏させるほど強力な威圧感が籠っていた。まともに受けた彼は後ろへ倒れ、剣を落としてしまう。彼女は隙だらけになった彼の影から、魔力で作り出した触手を出現させ、素早く捕縛した。
「ぐっ!?がぁぁ!!」
「私は全て見ていたわ。その血の持ち主の無念を・・・そして、あなたの許されざる行為を・・・」
彼女は右手を軽く振り上げると、男性騎士の左横に魔法陣が出来上がる。すると、その魔法陣から光とともに新たな魔物が現れた。
その姿は下半身が漆黒の8本足に、赤い瞳の宝石が付いている黒い腹を持った女性。アラクネと言われるクモの魔物であった。
「デルエラ様、お呼びでしょうか?」
「ええ、シヴァス。新しい外道な奴隷候補よ」
「なっ!?」
「畏まりました。それで、どのような外道で?」
「弟思いの姉を殺した」
「!?・・・なるほど、それは再教育が必要ですね・・・」
彼のした所業を聞き、シヴァスと呼ばれた黒きアラクネは目の赤色をより輝かせて男に近づく。必死に逃げようと悶えるが、きつく縛られた触手から逃れられない男性騎士。
「ひぃぃ!く、来るな!やめろ!」
「もっとその表情を見せなさい。外道よ・・・」
男の恐怖に満ちた顔を見ながらシヴァスは糸を出して拘束し始める。それと同時に触手は解かれ、影に戻っていくかのように消失した。ミイラのように巻かれた男は彼女に抱えられる。
「んむぅぅぅ!んむぅぅぅ!」
「さあ、あなたで13人目の外道奴隷よ。たっぷり調教してあげる♪」
「んむぅぅ!?」
「ごめんなさいね、シヴァス。あなたたちばかりに嫌な男押し付けちゃって・・・」
「いえいえ、デルエラ様。抵抗する男は私たちの好物ですから、お気にせず・・・」
「そう・・・それじゃあ、戻してあげるね」
「お願いします」
再び、右手を振り上げるとシヴァスの足もとに魔法陣が描かれる。魔法陣の光りが輝く際、彼女は男にしゃべりかけた。
「まずは射精できないよう、あそこを縛って弄んであげる♪」
「むぁ、むぁめ・・・」
青ざめた顔する男とともに黒きアラクネは姿を消した。残されたデルエラは上空へと飛び上がり、ある場所に向かう。
「手遅れでしょうけど・・・まだ、チャンスは残っているわ」
デルエラが二人の光景を見た同時刻、ある少年が走っていた。見た目は10歳にも満たない幼子で金色の短髪をした少年だった。
「お姉ちゃん、何処にいるの?」
少年の名はリヒト・ペアリスト。家で閉じこもっていたところ、外の様子がおかしいことに気付いた。魔物たちが徘徊していることを知った少年は、このことを伝えるために姉の元へと走った。
「はぁ、はぁ、はぁ」
不思議なことに少年は魔物と出くわすことがなかった。だが、姉の位置が分からず、街を迷うことになる。
「どこだろう・・・此処・・・」
少年は感を頼りにして突き進むしかなかった。それが彼にとって残酷な場面を見る運命の道とは知らずに・・・。
「?」
謎の違和感に気付いた少年はある道に目を向ける。その先には何かあった。赤い水溜りの上に寝転がる人の姿を・・・。正体を確かめるべくゆっくり近づく。一歩一歩進むと、少年の身体に衝撃が走った。
「お、お姉ちゃん?・・・」
見覚えのある顔。自身と同じ金色の髪を持つ長髪。見間違うことのない肉親の姉の姿に少年は力尽きるかのように、それに寄り添った。
「お姉ちゃん・・・起きてよ・・お姉ちゃん・・・」
「・・・」
「おね、ちゃ・・・・・・」
少年は姉の身体にしがみ付く。顔を覗き込んでも光のない瞳を見た瞬間、少年の心の何かが弾け飛んだ。
「あ、あ・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!」
デルエラが女性兵士の力尽きた場所近くにやって来ると、悲痛なる泣き声を聞き取る。
「!? もう出会ったの!?まずいわ!」
彼女は飛行速度を上げて鳴き声のもとに向かう。そこには血だまりの女性に寄り添うかのように泣き続ける幼子が座っていた。少し離れた距離で着地して、彼女は幼子に近づく。
「!?」
突然の来訪者に少年は気付き、泣くことを止めて彼女を睨んだ。
「・・・」
(できれば出会う前にしたかったのだけど・・・仕方ないわね)
近づいてくる彼女に対して、少年は立ち上がって手を横に広げる。まるで姉を守るかのように血の付いた身体で立ち塞がり、涙が零れ続ける瞳で彼女を睨み続けた。そんな彼にデルエラはやさしく話し掛ける。
「気付いた時には遅かったわ・・・」
「・・・」
「お姉さんを殺した男の騎士は捕まえて、私のお友達がお仕置きしているわ」
「・・・え?」
「でも、お姉さんはすでに息絶えていた。助けることができなくてごめんなさいね」
「・・・」
彼女の謝罪に少年は顔を俯かせる。
「安心して、お姉さんを生き返らせることはできるわ」
「え!?」
「私にはそれができる。お姉さんを生き返らせたい?」
「お姉ちゃんを・・・生き返らせる?」
デルエラの言葉に少年が驚いた。彼女は少年に近づいて抱き寄せる。
「ふぁ・・・」
「ただね、お姉さんが人間じゃなくなるけど・・・それでもいい?」
「人間じゃ、なくなる?」
「魔物になるの、それでお姉さんは生き返るわ」
「・・・」
少年は教団の教えで“魔物になることは許されざること”だと頭に植え付けられていた。しかし、姉を思う気持ちがその考えを打ち滅ぼす。
「・・・がい」
「んぅ?」
「お願い・・・お姉ちゃんを、生き返らせて・・・」
「分かったわ♪」
少年の願いを聞き、彼女は抱擁を解いて左腕を軽く振った。その瞬間、横たわる姉の身体を黒い触手が覆い尽くす。それは身体に染み込むかのように、姉の身体に入り込んだ。浸透した黒い触手は残らず、身体の中に入り込む。
「・・・・・・・・・ぅ・・・・・・ぅぅ・・・」
「お姉ちゃん!?」
「慌てないで、変化するまで待ってあげて」
温かみを失ったはずの姉の口から呻き声が上がり、身体が痙攣して仰向けに転がる。垂れ流された血が吸収されるかのように身体へと戻り、手足を赤く染め上げた。残った肌の色は褐色に染まり、輝きを失った瞳に光が満ちる。
「・・・う・・・あ・・・あ、ああ」
やがて瞳は赤に輝く光を灯し、胸元に赤い瞳の装飾が出現した。
「ああっ!あっ・・・」
喘ぎ声を上げて女性は息を拭き返した。上半身を起こし、彼女は辺りを見回した。
「こ、此処は・・・」
「お姉ちゃん!」
「え、リヒト!なんで、此処に・・・」
蘇った姉に少年は抱きついた。生き返ったニリアは困惑しながら少年の頭を撫でる。
「どうして・・・私、死んだんじゃ・・・」
「この人が生き返らせてくれたの」
「えっ?」
少年の指差す方向を見ると彼女は驚く。それもそのはず、そこにいたのは教団の敵である魔物だったからだ。しかし、彼女は敵意をださず、ただ驚くことしかできなかった。
「気分はどう?」
「あ、はい、大丈夫です・・・」
「ふふ、その身体はグールと言われるアンデットの姿よ。お口がとっても敏感だから気を付けてね♪」
「え、グール?私、魔物に?」
「可愛い弟を残して死にたくないでしょ?」
「あ・・・」
ニリアはそこであることを思い出す。自身は死ぬ直前、弟を一人にさせたくない思いでいっぱいだった。必死に身体を引きずって迎えに行こうと・・・。
「そうだ・・・私・・・」
「お姉ちゃん・・」
「リヒト・・・」
「じゃあ、続きはベットの上で、ということで♪」
そう言ったデルエラは二人の周りに魔法陣を展開させる。
「じゃあね、サービスで家まで送ってあげるわ♪」
「あ、あの!」
「はい?」
「お名前を・・・聞かせていただけませんか?」
ニリアの問いに彼女は微笑みながら答えた。
「私はデルエラ。魔王の娘よ」
「デルエラ様・・・私はニリア・ペアリスト」
「僕はリヒト・ペアリスト。デルエラお姉ちゃん、ありがとう」
「私からもありがとうございます・・・」
「どういたしまして、じゃあね♪」
光に包まれて姉と弟は姿を消した。残されたデルエラは上空へ飛び、城に向かった。
「さて、あの娘たちは上手くいったかしら?」
ある民家の寝室のベットに二つの人影があった。デルエラによって転移させられたグールのニリアと弟のリヒトだった。
「んぅ・・・ん・・・」
「ん、ぷはぁ・・・お姉ちゃん・・・」
二人は濃厚なキスをしていた。しかも、お互いが求め合っている。デルエラが少年を抱いた時、彼女は少年の身体に魔力を送り込み、瞬時にインキュバス化させていたのだ。これにより、魔物化した姉だけでなく、弟も性欲に飢えていた。
「はぁ、はぁ、リヒト・・・食べさせて・・・」
「あ、お姉ちゃん・・・んぅ!」
幼い身体だったはずが、インキュバス化されたことにより、少年の性器は成人より立派な怒張へと変貌していた。好物のアイスキャンデーを頬張るかのように弟の性器を口に咥える姉。
「んむぅ、くちゅ、んん・・・」
「はぁ、くぅ、う・・・」
舌を巧みに扱い、弟のものを舐め回す。ときどき、甘噛みして刺激を与えた。
「ふあぁ!うっ!お、おねえ、ちゃ・・・」
「んちゅ、んん!ちゅる・・・」
初めて味わう快感に少年は耐え切れず、姉の口内に精子を爆ぜた。彼女は一滴も逃すまいとごきゅごきゅと飲み下す。放出が治まると姉は弟の性器を頬張っていた口から解放した。口元から白い線が垂れ落ちる。
「美味しかった・・・リヒトの精液♪」
「ぼ、僕も、お姉ちゃんのお口、気持ちよかった・・・」
一度出したにも拘らず、少年の性器は硬さを保っていた。それを見たニリアは身に着けていた下着を脱ぎ捨て、すでに愛液で濡れている女陰を片手で拡げる。そして、躊躇わず弟の怒張を自らの胎内に迎え入れた。
「「ッッッッッッッッッッッッッ!?」」
強烈な快感に襲われ、二人は声にならない叫び声を上げる。ニリアは潮を噴き、リヒトは二度目の射精をした。徐々に息を整えながら、二人は見つめ合う。
「リヒト・・・」
「お姉ちゃん・・・」
落ち着きを取り戻した二人は、ゆっくりと腰を動かして快感を貪る。ついさっきの快感をもう一度味わうために・・・。
「はぁ!はぁ!はぁ!」
「あっ!あっ!あっ!」
やがて、二人に幸せともいえるあの快感が訪れようとしていた。
「はぁ!はぁ!くぅ!おねぇ!ちゃ!」
「リヒト!来て!お姉ちゃんの!中に!」
姉の願いを聞いて、弟は姉の最奥に向かって強く突いた。三度目の射精は今まで以上の量を放出し、姉のお腹を膨らませる。まるで子を孕んだかのように・・・。
「あ、ああ・・・入ってくる・・・熱いのが・・・」
「お姉ちゃん・・・・・・」
至高の絶頂を迎え、二人はベットに横たわった。
しばらくして二人はお互いを見つめ合って微笑んだ。
「お姉ちゃん、一人にさせないで・・・」
「大丈夫。もう、絶対に一人にさせない」
「本当?」
「ええ、約束するわ」
安心の誓いを言い、ニリアは最愛の弟に口付けする。
「ふふ、いいもの見させて貰いました♪」
レスカティエの城内にいたリリム、デルエラは上気した顔で何かを見るような目で見ていた。彼女の眷属となった魔物は赤い瞳の宝石を通して、その魔物の視界をデルエラ自身も見ることができるのだ。
「姉と弟の近親相姦はやっぱりいいわね・・・」
心酔している彼女のもとにあるサキュバスが近づいてくる。
「デルエラ様、城内の制圧が終わりました」
「あら、ご苦労様、ウィルマリナ」
ウィルマリナと呼ばれたサキュバスは一礼をする。
「また、覗き見ですか?」
「いいじゃない。悲劇になりそうだった姉と弟が結ばれたんだから・・・」
「そうですか・・・確かにいい話ですね♪」
「でしょう?あの時、あの騎士はイラついたわ」
「あの騎士?」
「ザラムスって奴。姉を斬りつけて逃げようとしたわ」
それを聞いたウィルマリナは表情を変え、辺りに怒気を撒き散らした。
「そいつは今どこにいます?私の剣で切り刻みに・・・」
「落ち着いて、シヴァスに引き渡したから、今頃、糸で拷問されているはず・・・」
「そ、そうですか・・・申し訳ございません」
「いいのよ」
落ち着きを取り戻すウィルマリナに、彼女はしゃべり続けた。
「さあ、あなたもそろそろ待ち焦がれているでしょう?あの人の元に行きなさい」
「え?あ、はい!」
デルエラに促され、喜ぶウィルマリナは素早くその場から立ち去った。残った彼女は遠くを見据えて呟き始めた。
「私が望んでいるのは悲劇でも惨劇でもない。それを望むものが居れば、私は全身全霊で止めて見せるわ。例え・・・運命でもね」
リリムと言われる魔物によって魔界化された元宗教国家。教団が誇る多数の勇者たちが生まれた国でもあったこの場所は、今や欲望を曝け出し、結ばれることを許されなかった者たちが愛し合う憩いの土地となった。
これはその国が魔界化されている最中に起きた小さな出来事である。
大通りで逃げ惑う男性兵士たちとそれを追う魔物の女性たち。必死に抵抗するもことごとく拘束され、その場から連れ出される。連れ去られた場所は恐らく誰にも邪魔されない安全な場所であろう。
そんな中、二人の兵士が魔物から逃れるため、全速力で走っていた。一人は立派な鎧を付けた男性騎士。もう一人は軽装備の一般的な女性兵士。二人は何とか魔物の追跡から逃れて建物の間に隠れる。
「はぁ、はぁ、此処まで来れば・・・追ってこないだろう」
「そうですね・・・ザラムス隊長・・・」
ザラムスと呼ばれた男は騎士団の隊長の一人で、突如現れた魔物の撃退のため、部隊を引き連れて防衛に当たっていた。しかし、一人の女性兵士がいきなり魔物化したことにより、防衛網は壊滅的な打撃を受けることになる。
やむを得ず、彼は撤退の指示を出すも、時すでに遅く、次々と部下たちは魔物の餌食となっていった。その場に居た少数の部下を引き連れて逃げたものの、一人の女性兵士を残してその他は捕まってしまう。
残った女性兵士の名はニリア・ペアリスト。金色の長髪をした女性で左腰にショートソードを携えている。まだ、16歳という若さで彼女は腕の立つ兵士の一人でもあった。
「くっ、このままでは・・・」
「隊長・・・」
時々、聞こえてくる艶めかしい声に二人は不安が隠せなかった。その時、彼はある方向へ向けて歩き出そうとした。
「隊長、何処へ向かわれるのですか?」
「・・・・・・」
「まさか、逃げるおつもりですか!?」
彼が向かおうとした先は、レスカティエの城とは反対方向の街の外だった。足を止めて彼は問いに答える。
「この国はもうだめだ。最早、魔物たちに蹂躙されるのは時間の問題・・・」
「ですが!」
「君も見ただろう!あの惨状を!ああなる前に私は国を出ていく」
「そんな・・・城に向かえば勇者や精鋭部隊もいます!彼らに救援を求めに・・・」
「その前にやられるのがオチだ!とにかく、私はこの国から脱出する!君の生き残りたいならついて来い!」
彼の答えにニリアは俯いてしまう。再度歩き出した彼に彼女はついて歩かなかった。
「・・・おい」
「・・・・・・嫌です」
「何?」
「私は・・・城に行って救援を求めに行きます。まだ、希望はあるはずです!」
「君は何を言っているのだ!?自身を犠牲にするつもりか!?」
「それでも、私はこの国を見捨てるわけにいきません!」
彼女が残って国を守ろうとする行動には理由があった。それは、彼女にはたった一人の肉親である弟が居たからだ。まだ、8つという幼い歳で城下街に残したままで、彼女自身、その安否も分からなかった。
「馬鹿か君は!もう手遅れだ!この国はもうすぐ壊滅する。無駄な行為だ!」
ニリアの意見に彼は激昂しながら近づいていく。
「私は隊長を尊敬していましたが、それほど腰抜けだったとは知りませんでした。残念です。ですので、私一人で城に向かいます」
「こ、腰抜けだと・・・」
「隊長はどうぞ御一人で逃げてください」
「っ!?」
彼女の言葉に彼は顔を真っ赤にさせる。忠実で尊敬してくれていた部下から蔑まされたからだ。そんな彼を無視してニリアは城に向かうため、彼に背を向けた。
「ふざけやがって・・・」
不意に後ろを向いた彼女に向かって、彼は剣を抜いて斬り掛かった。不意な攻撃に気付かず、彼女は背中に致命的な傷を負ってしまう。
「くあっ!?」
前のめりに倒れてうつ伏せになるニリア。それを見て彼はしゃべりだす。
「まあ、君も女性だからいずれ魔物化する可能性もある。連れていても俺自身が危険だと思っていたが・・・いい厄介払いができたよ・・・じゃあな」
血溜まりが拡がる彼女を放置して彼は国外に向けて歩き出す。
「・・・くっ・・・う・・・」
血だらけになりながらも、彼女は這いずって城に向かおうとする。目の前が暗くなり始めるも、彼女は諦めなかった。しかし、大量の血を流したその身体はすぐに限界を迎える。意識を失いかけたその時、ある見知った顔が視界に映った。
「・・・リ、ヒト・・・待っていて・・・お姉ちゃんが、む・・・ぇ・・・・・・・・・」
一つの影が街の上空にあった。それは禍々しくも白く美しい容姿を持った魔物だった。身体の所々に赤い瞳の宝石を装飾され、白い長髪と同じく白い翼と尻尾を持つ悪魔のような姿。
そう、現在、この宗教国家に侵攻する魔物の統率者リリムのデルエラである。彼女は魔物化されていく兵士たちを眺めていると、偶然、先程の二人の光景を見つけたのだ。だが、時すでに遅く、彼女が目にした瞬間、女性兵士が切り裂かれる。
「!?」
悠然と立ち去っていく男性騎士を見て、彼女の顔は怒りに満ちた表情へと変わる。
「見させて貰ったわ・・・聞こえたわよ・・・あの娘の望みの声を・・・そして、あなたの傲慢さを!」
彼女はそういうと魔法陣を自身の下に展開させて、光とともに姿を消した。
男性騎士は少し歩いてから走り出した。長居すれば自分の身の安全が保障できない。一刻も早く国から脱出したい気持ちが足を速めた。次の曲がり角を左に曲がった瞬間、彼は顔を引き攣らせた。
眩しい光とともに魔物が現れたからだ。それは見ただけで彼自身の欲望が高まるほど魅力的な女性の姿でもあり、全てを威圧するほど濃厚な魔力を漂わせていた。彼はただ立ち尽くすも恐怖感によって平静でいられた。
「ま、魔物・・・」
「ふふ、こんにちは♪」
「くっ!」
慌てて剣を抜いて目の前の魔物に刃を向ける騎士。抜いた剣にはさっき斬り伏せた女性兵士の血がこびり付いている。彼女は微笑みながら彼に話し掛けた。
「その血は誰のものかしら?」
「これか?ふっ、喜べ!これはお前たちの仲間の血だ!私の正義の証でもある!」
「・・・・・・」
「我が名はザラムス!貴様もこの剣で・・・」
「黙れぇぇ!!下衆がぁぁぁ!!」
「ひぃぃぃぃぃぃ!?」
彼の答えた言葉に彼女は激怒の声を上げる。その声は全てをひれ伏させるほど強力な威圧感が籠っていた。まともに受けた彼は後ろへ倒れ、剣を落としてしまう。彼女は隙だらけになった彼の影から、魔力で作り出した触手を出現させ、素早く捕縛した。
「ぐっ!?がぁぁ!!」
「私は全て見ていたわ。その血の持ち主の無念を・・・そして、あなたの許されざる行為を・・・」
彼女は右手を軽く振り上げると、男性騎士の左横に魔法陣が出来上がる。すると、その魔法陣から光とともに新たな魔物が現れた。
その姿は下半身が漆黒の8本足に、赤い瞳の宝石が付いている黒い腹を持った女性。アラクネと言われるクモの魔物であった。
「デルエラ様、お呼びでしょうか?」
「ええ、シヴァス。新しい外道な奴隷候補よ」
「なっ!?」
「畏まりました。それで、どのような外道で?」
「弟思いの姉を殺した」
「!?・・・なるほど、それは再教育が必要ですね・・・」
彼のした所業を聞き、シヴァスと呼ばれた黒きアラクネは目の赤色をより輝かせて男に近づく。必死に逃げようと悶えるが、きつく縛られた触手から逃れられない男性騎士。
「ひぃぃ!く、来るな!やめろ!」
「もっとその表情を見せなさい。外道よ・・・」
男の恐怖に満ちた顔を見ながらシヴァスは糸を出して拘束し始める。それと同時に触手は解かれ、影に戻っていくかのように消失した。ミイラのように巻かれた男は彼女に抱えられる。
「んむぅぅぅ!んむぅぅぅ!」
「さあ、あなたで13人目の外道奴隷よ。たっぷり調教してあげる♪」
「んむぅぅ!?」
「ごめんなさいね、シヴァス。あなたたちばかりに嫌な男押し付けちゃって・・・」
「いえいえ、デルエラ様。抵抗する男は私たちの好物ですから、お気にせず・・・」
「そう・・・それじゃあ、戻してあげるね」
「お願いします」
再び、右手を振り上げるとシヴァスの足もとに魔法陣が描かれる。魔法陣の光りが輝く際、彼女は男にしゃべりかけた。
「まずは射精できないよう、あそこを縛って弄んであげる♪」
「むぁ、むぁめ・・・」
青ざめた顔する男とともに黒きアラクネは姿を消した。残されたデルエラは上空へと飛び上がり、ある場所に向かう。
「手遅れでしょうけど・・・まだ、チャンスは残っているわ」
デルエラが二人の光景を見た同時刻、ある少年が走っていた。見た目は10歳にも満たない幼子で金色の短髪をした少年だった。
「お姉ちゃん、何処にいるの?」
少年の名はリヒト・ペアリスト。家で閉じこもっていたところ、外の様子がおかしいことに気付いた。魔物たちが徘徊していることを知った少年は、このことを伝えるために姉の元へと走った。
「はぁ、はぁ、はぁ」
不思議なことに少年は魔物と出くわすことがなかった。だが、姉の位置が分からず、街を迷うことになる。
「どこだろう・・・此処・・・」
少年は感を頼りにして突き進むしかなかった。それが彼にとって残酷な場面を見る運命の道とは知らずに・・・。
「?」
謎の違和感に気付いた少年はある道に目を向ける。その先には何かあった。赤い水溜りの上に寝転がる人の姿を・・・。正体を確かめるべくゆっくり近づく。一歩一歩進むと、少年の身体に衝撃が走った。
「お、お姉ちゃん?・・・」
見覚えのある顔。自身と同じ金色の髪を持つ長髪。見間違うことのない肉親の姉の姿に少年は力尽きるかのように、それに寄り添った。
「お姉ちゃん・・・起きてよ・・お姉ちゃん・・・」
「・・・」
「おね、ちゃ・・・・・・」
少年は姉の身体にしがみ付く。顔を覗き込んでも光のない瞳を見た瞬間、少年の心の何かが弾け飛んだ。
「あ、あ・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!」
デルエラが女性兵士の力尽きた場所近くにやって来ると、悲痛なる泣き声を聞き取る。
「!? もう出会ったの!?まずいわ!」
彼女は飛行速度を上げて鳴き声のもとに向かう。そこには血だまりの女性に寄り添うかのように泣き続ける幼子が座っていた。少し離れた距離で着地して、彼女は幼子に近づく。
「!?」
突然の来訪者に少年は気付き、泣くことを止めて彼女を睨んだ。
「・・・」
(できれば出会う前にしたかったのだけど・・・仕方ないわね)
近づいてくる彼女に対して、少年は立ち上がって手を横に広げる。まるで姉を守るかのように血の付いた身体で立ち塞がり、涙が零れ続ける瞳で彼女を睨み続けた。そんな彼にデルエラはやさしく話し掛ける。
「気付いた時には遅かったわ・・・」
「・・・」
「お姉さんを殺した男の騎士は捕まえて、私のお友達がお仕置きしているわ」
「・・・え?」
「でも、お姉さんはすでに息絶えていた。助けることができなくてごめんなさいね」
「・・・」
彼女の謝罪に少年は顔を俯かせる。
「安心して、お姉さんを生き返らせることはできるわ」
「え!?」
「私にはそれができる。お姉さんを生き返らせたい?」
「お姉ちゃんを・・・生き返らせる?」
デルエラの言葉に少年が驚いた。彼女は少年に近づいて抱き寄せる。
「ふぁ・・・」
「ただね、お姉さんが人間じゃなくなるけど・・・それでもいい?」
「人間じゃ、なくなる?」
「魔物になるの、それでお姉さんは生き返るわ」
「・・・」
少年は教団の教えで“魔物になることは許されざること”だと頭に植え付けられていた。しかし、姉を思う気持ちがその考えを打ち滅ぼす。
「・・・がい」
「んぅ?」
「お願い・・・お姉ちゃんを、生き返らせて・・・」
「分かったわ♪」
少年の願いを聞き、彼女は抱擁を解いて左腕を軽く振った。その瞬間、横たわる姉の身体を黒い触手が覆い尽くす。それは身体に染み込むかのように、姉の身体に入り込んだ。浸透した黒い触手は残らず、身体の中に入り込む。
「・・・・・・・・・ぅ・・・・・・ぅぅ・・・」
「お姉ちゃん!?」
「慌てないで、変化するまで待ってあげて」
温かみを失ったはずの姉の口から呻き声が上がり、身体が痙攣して仰向けに転がる。垂れ流された血が吸収されるかのように身体へと戻り、手足を赤く染め上げた。残った肌の色は褐色に染まり、輝きを失った瞳に光が満ちる。
「・・・う・・・あ・・・あ、ああ」
やがて瞳は赤に輝く光を灯し、胸元に赤い瞳の装飾が出現した。
「ああっ!あっ・・・」
喘ぎ声を上げて女性は息を拭き返した。上半身を起こし、彼女は辺りを見回した。
「こ、此処は・・・」
「お姉ちゃん!」
「え、リヒト!なんで、此処に・・・」
蘇った姉に少年は抱きついた。生き返ったニリアは困惑しながら少年の頭を撫でる。
「どうして・・・私、死んだんじゃ・・・」
「この人が生き返らせてくれたの」
「えっ?」
少年の指差す方向を見ると彼女は驚く。それもそのはず、そこにいたのは教団の敵である魔物だったからだ。しかし、彼女は敵意をださず、ただ驚くことしかできなかった。
「気分はどう?」
「あ、はい、大丈夫です・・・」
「ふふ、その身体はグールと言われるアンデットの姿よ。お口がとっても敏感だから気を付けてね♪」
「え、グール?私、魔物に?」
「可愛い弟を残して死にたくないでしょ?」
「あ・・・」
ニリアはそこであることを思い出す。自身は死ぬ直前、弟を一人にさせたくない思いでいっぱいだった。必死に身体を引きずって迎えに行こうと・・・。
「そうだ・・・私・・・」
「お姉ちゃん・・」
「リヒト・・・」
「じゃあ、続きはベットの上で、ということで♪」
そう言ったデルエラは二人の周りに魔法陣を展開させる。
「じゃあね、サービスで家まで送ってあげるわ♪」
「あ、あの!」
「はい?」
「お名前を・・・聞かせていただけませんか?」
ニリアの問いに彼女は微笑みながら答えた。
「私はデルエラ。魔王の娘よ」
「デルエラ様・・・私はニリア・ペアリスト」
「僕はリヒト・ペアリスト。デルエラお姉ちゃん、ありがとう」
「私からもありがとうございます・・・」
「どういたしまして、じゃあね♪」
光に包まれて姉と弟は姿を消した。残されたデルエラは上空へ飛び、城に向かった。
「さて、あの娘たちは上手くいったかしら?」
ある民家の寝室のベットに二つの人影があった。デルエラによって転移させられたグールのニリアと弟のリヒトだった。
「んぅ・・・ん・・・」
「ん、ぷはぁ・・・お姉ちゃん・・・」
二人は濃厚なキスをしていた。しかも、お互いが求め合っている。デルエラが少年を抱いた時、彼女は少年の身体に魔力を送り込み、瞬時にインキュバス化させていたのだ。これにより、魔物化した姉だけでなく、弟も性欲に飢えていた。
「はぁ、はぁ、リヒト・・・食べさせて・・・」
「あ、お姉ちゃん・・・んぅ!」
幼い身体だったはずが、インキュバス化されたことにより、少年の性器は成人より立派な怒張へと変貌していた。好物のアイスキャンデーを頬張るかのように弟の性器を口に咥える姉。
「んむぅ、くちゅ、んん・・・」
「はぁ、くぅ、う・・・」
舌を巧みに扱い、弟のものを舐め回す。ときどき、甘噛みして刺激を与えた。
「ふあぁ!うっ!お、おねえ、ちゃ・・・」
「んちゅ、んん!ちゅる・・・」
初めて味わう快感に少年は耐え切れず、姉の口内に精子を爆ぜた。彼女は一滴も逃すまいとごきゅごきゅと飲み下す。放出が治まると姉は弟の性器を頬張っていた口から解放した。口元から白い線が垂れ落ちる。
「美味しかった・・・リヒトの精液♪」
「ぼ、僕も、お姉ちゃんのお口、気持ちよかった・・・」
一度出したにも拘らず、少年の性器は硬さを保っていた。それを見たニリアは身に着けていた下着を脱ぎ捨て、すでに愛液で濡れている女陰を片手で拡げる。そして、躊躇わず弟の怒張を自らの胎内に迎え入れた。
「「ッッッッッッッッッッッッッ!?」」
強烈な快感に襲われ、二人は声にならない叫び声を上げる。ニリアは潮を噴き、リヒトは二度目の射精をした。徐々に息を整えながら、二人は見つめ合う。
「リヒト・・・」
「お姉ちゃん・・・」
落ち着きを取り戻した二人は、ゆっくりと腰を動かして快感を貪る。ついさっきの快感をもう一度味わうために・・・。
「はぁ!はぁ!はぁ!」
「あっ!あっ!あっ!」
やがて、二人に幸せともいえるあの快感が訪れようとしていた。
「はぁ!はぁ!くぅ!おねぇ!ちゃ!」
「リヒト!来て!お姉ちゃんの!中に!」
姉の願いを聞いて、弟は姉の最奥に向かって強く突いた。三度目の射精は今まで以上の量を放出し、姉のお腹を膨らませる。まるで子を孕んだかのように・・・。
「あ、ああ・・・入ってくる・・・熱いのが・・・」
「お姉ちゃん・・・・・・」
至高の絶頂を迎え、二人はベットに横たわった。
しばらくして二人はお互いを見つめ合って微笑んだ。
「お姉ちゃん、一人にさせないで・・・」
「大丈夫。もう、絶対に一人にさせない」
「本当?」
「ええ、約束するわ」
安心の誓いを言い、ニリアは最愛の弟に口付けする。
「ふふ、いいもの見させて貰いました♪」
レスカティエの城内にいたリリム、デルエラは上気した顔で何かを見るような目で見ていた。彼女の眷属となった魔物は赤い瞳の宝石を通して、その魔物の視界をデルエラ自身も見ることができるのだ。
「姉と弟の近親相姦はやっぱりいいわね・・・」
心酔している彼女のもとにあるサキュバスが近づいてくる。
「デルエラ様、城内の制圧が終わりました」
「あら、ご苦労様、ウィルマリナ」
ウィルマリナと呼ばれたサキュバスは一礼をする。
「また、覗き見ですか?」
「いいじゃない。悲劇になりそうだった姉と弟が結ばれたんだから・・・」
「そうですか・・・確かにいい話ですね♪」
「でしょう?あの時、あの騎士はイラついたわ」
「あの騎士?」
「ザラムスって奴。姉を斬りつけて逃げようとしたわ」
それを聞いたウィルマリナは表情を変え、辺りに怒気を撒き散らした。
「そいつは今どこにいます?私の剣で切り刻みに・・・」
「落ち着いて、シヴァスに引き渡したから、今頃、糸で拷問されているはず・・・」
「そ、そうですか・・・申し訳ございません」
「いいのよ」
落ち着きを取り戻すウィルマリナに、彼女はしゃべり続けた。
「さあ、あなたもそろそろ待ち焦がれているでしょう?あの人の元に行きなさい」
「え?あ、はい!」
デルエラに促され、喜ぶウィルマリナは素早くその場から立ち去った。残った彼女は遠くを見据えて呟き始めた。
「私が望んでいるのは悲劇でも惨劇でもない。それを望むものが居れば、私は全身全霊で止めて見せるわ。例え・・・運命でもね」
11/09/05 01:30更新 / 『エックス』