＜教会駐屯地跡＞

　青き空に2機のスカイチェイサーがそれぞれ弧を描くように、飛び回り続ける。旋回行動しながら地上の様子を見るために。

『ピピ、こちらレックス。上空からの観測した結果、生体反応及び、異形者の反応は全くありません』
『こちら、レート。空から見たけど、建物すら無い状態だよ』
「了解した。引き続き、上空での警戒態勢を維持してくれ」
『『了解』』

　黒いサングラスを光らせ、上空の2機を眺めながらゆっくりと歩くイーグル。彼は砂に埋もれつつある建物の残骸を見て、近づいて行く。見覚えのある残骸を見ながら、右耳の通信機を右手で操作した。

「ブレード、そっちはどうだ？」
『・・・何も見当たらん。強いて言うなら・・・』
「食べカスしかないとか言うな」
『・・・続ける』

　イーグルは通信を切り終えて、辺りを見回した。その時、彼は少し離れた距離に、人の腕らしき物体が砂から出ていることに気付く。慌ててその場所に向かい、確認するとそれは手甲が縦に突き出ていた。

　急いで掘り出して埋まっているであろう本体を探すも、手甲を持ち上げた瞬間、彼の動きは止まる。それは確かに人の腕だった。ただし、本体はもう何処にも無い。あるのは『中身の入った手甲』だけ。

「はぁ・・・」

　彼は持ち上げた手甲を地面に置き、それを砂で被せて埋めた。

　商業都市クロツラで入手した情報を確かめるために、ドラグーン隊は以前、襲撃した教会の駐屯地へと訪れる。再度訪れたその場所には、居たはずの騎士たちどころか、砦の姿すら幻のように消えていた。

　数時間後、4人は集まってそれぞれの調査結果を報告した。

「全センサーで捜索しましたが、これといったものはありませんでした」
「飛び回って探したけど、やっぱり砂と小さな瓦礫しかないよ」
「・・・何も見つからなかった」
「そうか・・・」

　隊員達の報告を聞いて再び、駐屯地跡に目を向ける。砦のあった場所には巨大な砂のクレーターがあり、そこを中心として何か巨大な物体の足跡がそこらじゅうに残っていた。

「ねえ、イーグル。やっぱりここって・・・」
「あのクラスGの仕業で間違いないだろう。どうやって出現したかは解らんが・・・」
「三日前の戦闘データを元に解析した結果、足跡や体型などが一致しました」
「・・・大喰らいなのはこっちも変わらんようだ」

　彼らが推測したこの場所で起きたこと。それは、突如地中から出現した大型の異形者によって、騎士団は駐屯地ごと壊滅。その後、何らかの方法で戦艦を発見し、追跡を始めた。それでも異形者の出現原因だけが不明である。

　腕を組み始めるブレードが愚痴をこぼす。

「・・・命を奪おうとした輩だ。奴らの糧が相応しい」
「ブレード、不謹慎だぞ。考えが違えど、同じ人間だ。同情してやれ」
「・・・ふん」
「それにしても酷いものだ。彼らには為す術もなかったろう」
「あんなにでかい奴だし、あいつらボウガンしか持ってなかったから無理無理」
「戦艦クラスの火力が無ければ、クラスGの対処は不可能です」

　考え込むイーグルにブレードが尋ねた。

「・・・隊長、まだ調査を続けるのか？」
「そうだな・・・異形者の通った溝を辿りながら帰還しよう」

帰路につくため、イーグルはレートの後ろに、ブレードはレックスの後ろへとそれぞれチェイサーに搭乗する。2台のチェイサーは巨大なタイヤが転がったような溝を辿りながら飛び去った。

「・・・余計なことしなければ長生き出来たかもな」
「私もその意見に同意します」
「・・・最近、お前は人間くさいな」
「そうですか？」

　ブレードもレックスの行動と言語に異質を感じ取る。
　
　何事もなく飛んでいた2台だが、突然、レートにある思念が伝わってきた。彼は険しい表情になり、後方のイーグルに慌てて伝える。

「イーグル！アイビスに教会の騎士が！」
「何！？」
「数は3人だけど、黒服の戦士を探してるって！」
「黒服の戦士！？まさか・・・」

　先に状況を把握したブレードが隊長の予測を聞かず、前方の操縦者に指示を出す。

「・・・レックス、最高速度で」
「了解」
「あ、待て！ブレー・・・」

　隊長の声を無視して、二人の乗ったチェイサーが一気に加速した。あっという間に引き離され、彼らの姿は豆粒の如く遠ざかっていく。

「あの馬鹿、また勝手に行動して・・・」
「イーグル！」
「こっちも飛ばすぞ！レート！」
「了解！」


＜都市アイビス　中央広場＞

　噴水より離れた場所で多数の人や魔物が集まっていた。そのほとんどがアイビスの兵士たちで武器を取出し、ある者たちの周りで威嚇している。囲んでいる者たちは赤服の男1人と男性で30代くらいの白い騎士2人だ。

「はん！こんな奴ら、相手にもならねぇ」
「「・・・」」

　赤服の男は背中に大きな白十字が描かれた赤コートを見せつけるかのように、右手で長身の両刃剣を振り回している。一方、彼の周りにいる2人の騎士は腕を組みながら、無言で彼を見守っている。

「くっ！こ、こいつ！」
「待て！その身体じゃ無理だ！」
「く、そっ！」

　右腕から血を流した男性兵士が、傷だらけのリザードマンの兵士を静止させる。同じように傷ついた兵士たちは複数いるも、幸い動けなくなる負傷だけのようだ。

「期待はしていたが、ここの魔物も兵士も全然なってねえなぁ」
「このっ！」
「おっと！」

　赤服の男の後方から若い男性兵士が槍で突撃するも見事に避けられる。不意打ちを避けられた彼は背中に反撃の横切りを喰らい、地面に崩れ落ちた。

「ぐっ！」
「あめえよ。ガキが・・・」
「ぐうっ！？」

　赤服の男は自力で立てないその兵士を左足で蹴り飛ばした。かなり離れた距離まで飛ばされるも、他の兵士たちによって助けられる。赤服の男はそんな光景を見向きもせずに歩き始めるが、ある気配に気付いて足を止めた。

「ああ゛？」
「到着ぅぅ！それで、俺のティータイムを邪魔した悪党はお前かぁ！？」

　走り現れたのは、いつものテンションで少し息を切らしたドラグーン隊のラキ。赤服の男は彼を見て口を釣り上げた。

「ははぁ、こいつか。報告にあった、黒い戦士って奴はぁ」
「黒い戦士？俺はドラグーン隊所属の遊撃隊員ラキだ！」
「はん！どんな奴かと思えば、ただのガキじゃねえか」
「見た目で判断すると痛い思いするぜ！」
（周りのギャラリーが多過ぎて、銃撃は無理だな・・・）

　ラキは左右の太股ホルスターから『L．B．H』を抜き、両手で器用に一回転させて構える。赤服の男も彼に標的を定め、剣をギラリと光らせる。

「そんなちっちゃな玩具で戦えるつもりか？」
「玩具かどうか、身をもって確かめな！」

　ラキは相手に恐れず突っ込むと、赤服の男は片腕だけで剣を切り下ろす。ラキは素早く左手の光銃から青いシールドを展開し、相手の斬撃を防いだ。続けて右手の光銃から青に輝く光刃を展開させて、止めた剣を切り落とそうと横に薙ぎ払う。しかし、赤服の男はすぐさま後ろへとステップして斬撃を避けた。

「なるほど・・・それが、あのハゲの言ってた光の剣か」
「ちっ！もう少しで切り落とせたのに」
「ふっ！」
「！？」

　赤服の男は僅かな予備動作だけでラキに迫り、高速の剣撃を繰り出す。慌てたラキは感を頼りに避けた。予想してなかった回避に赤服の男は舌打ちをして、連続で剣を振り回す。それでもラキはかすり傷すらなく避け続けた。

「うわっ！？おおっ！？そいっ！」
（はやっ！こっちか！？次は、こっち！？）
「ふんっ！はっ！このっ！」
（なんだこいつ！？動きは素人のくせに、なぜ俺の剣を避けれる！？）

　連続で避けられることに苛立ち始める赤服の男。一方、ラキは避けることに不安を感じ、反撃を試みようと様子を伺う。空振りが続く中、赤服の男が左腰に剣を引いて、大振りの横薙ぎを繰り出した。

（おっ！チャンス！）
「そいっ！」

　ラキはしゃがみ避けた後、身体を左回転させながら、右足で相手の頭目掛けて回し蹴りをする。しかし、当たる直前に赤服の男は左手だけで彼の右足を掴んで蹴りを止めた。

ガシッ！
「え゛！？」
「ふんっ！」
ブゥンッ！
「のわあああああ！？」

　掴まれた足を片手で振り回されて、ラキは遠くに投げ飛ばされる。飛ばされた先には住居があり、彼はその壁に背中から激突した。

「ぐふっ！！」

　背中を強打し、苦痛の声を上げるラキ。その時、彼の真上にある窓枠に置かれた水の入った手桶が激突の振動で揺れ落ちる。落ちた先はラキの頭だ。

ゴン！
「いっ！？」

　見事に手桶がラキの頭部へ命中して、彼はそのまま気を失う。今の彼は頭上に星が回っている状態だ。

「・・・・・・なんだこいつ」
（思った以上に変わった奴・・・戦い慣れはしてるようだが・・・動きがまるで素人）
「とどめは？」
「こいつも此処らの奴とは変わらねえ。やるだけ無駄だ」

　付添いの騎士の1人が目標への処遇を提案するも、赤服の男は興味なさそうにラキを無視した。

「ふん・・・ん？」

　場所を変えようと歩き始めた赤服の男の前に、二人の女性が立ちはだかった。1人は緑の鱗と尻尾がついていて右手にショートソードを持っている。もう1人は褐色の肌に巨大な両刃剣を持っていた。

「例え他人だとしても、同族である者たちを痛めつけたことは許せん！」
「あいつほどいい男ではないけど、いたぶりがいがある奴だな！」
「はん！今度はトカゲと露出アマか」
「貴様・・・」
「アタイらを怒らせんなよ・・・」

　彼の挑発の言葉に反応して剣を構える2人。

「私はリオ・カルディス。貴様を成敗してくれる」
「アタイはケイ。アンタをぶっ倒して、その身体、たっぷり弄らせてもらう！」
「きなよ。遊んでやるぜ、アマどもが・・・」
「後悔・・・」
「すんなよ！」

　2人は赤服の男へ向かって一直線に突撃した。彼は構えず、直立体制で2人を見ている。2人の攻撃が赤服の男に入る瞬間、彼の口元が少し釣り上った。それと同時に彼は右手の剣でケイの大剣を受け止め、左手は素手でリオのショートソードを握り掴む。

「「なっ！？」」
「大した剣技と怪力じゃあ、ねえな」

　2人は受け止められたことにも驚いたが、それ以上に信じがたいことが目の前で起きていることに気付く。ケイの大剣は片手で止められ、しかも向こうはアマゾネスの怪力で振り下ろした剣撃を余裕で受けている。リオのショートソードは何も付けていない素手で握るように掴み止められ、斬撃による出血をしても相手は平気な表情をしているのだ。

　赤服の男はショートソードを持ったまま、ケイを剣撃で吹き飛ばす。吹き飛ばされたケイは、ラキと同じく建物の壁に激突した。こちらの方は壁が壊れるほどの衝撃なため、瓦礫に埋もれたケイは頭から血を流して気絶する。

「ケイ！」
「余所見すんな！」
「！？」

　一瞬の隙を突かれ、リオは赤服の男によりショートソードごと引き寄せられ、剣を逆手に持ち替えた右手で殴り飛ばされる。腹目掛けて強烈な一撃を受けたリオは吐血し、跪きながら相手を睨んだ。彼女はそこで、またも信じがたい光景を見てしまう。先程の剣の刃を握りしめていた奴の手はいつの間にか出血は止まり、傷すら付いていなかった。

「くっ！けほっ！けほっ！」
「くだんねぇ・・・こんな雑魚のために俺は来たんじゃねえよ」
「なっ！？雑魚、だと！？」
「まだ分かってねぇならその身体で分からせてやる！」
「ぐっ！」

　赤服の男が剣を振り上げるのを見て、目をつむるリオ。

ガキィィィィィン！
「！？」

　斬撃が自分に襲い掛かる瞬間を待つ彼女に、予想外の音が鳴り響く。ゆっくり目を開けると、そこには彼女を庇う黒鎧の女性が立っていた。その女性は自らの剣で男の剣を受け止めている。

「お、お前は！？」
「遅れてすまぬ」
「むっ？」

　新たな相手に警戒して後方へと下がる赤服の男。黒鎧の女性は剣を持ち直して構えた。

「ほう、これは期待できそうな相手だな・・・」
「私としては期待外れにして欲しいのだが？噂の教会の剣士、不消の陽熱」

　彼女の言葉に傷ついたリオだけでなく周りの兵士たちも驚く。

「！？」
「ふ、不消の陽熱だと！？」
「教会で勇者クラスの強さを持つあの剣士！？」
「な、なんでそんな奴が此処に・・・」
「はっ！噂だけであてになるかよ」
「それもそうだな」

　互いに剣を構える2人。今までとは違う雰囲気を感じ取り、付添いの騎士たちが剣を抜こうとする。

「手ぇ出すんじゃねえ！！てめえらはそこで見てろ！」
「「・・・」」
「悪いな。じゃあ、始めるとしようか」
「私はこの街の防衛隊隊長のニール・レオーネ」
「はっ！俺はシャグだ。楽しませろよ、デュラハン！」

　彼が言い終えると同時に2人は突っ込んで互いの剣で弾き合う。その剣撃は素早く、周りの者たちには分かり辛かった。

「はっ！いいぜ！今までの雑魚よりはマシだな！」
「私の部下を雑魚扱いしたことを後悔させてやる！」
「だがな！あんたでも少し不満があるぜ！」
「！？」

　ニールの剣が彼女の左に大きく弾かれ、シャグはその隙をついて剣を振り下ろす。彼女は冷静に剣の刃で弾かず、剣の柄頭で相手の刃を受け止めた。

「ちっ！」

　攻撃を防いだ彼女はそのまま相手の剣を右側に弾いて、剣を斬り上げた。すると斬り上げた方向にいた彼の足もとから、立ち昇るように斬撃の風が舞い上がる。

「くぅ！？」

　すぐさまその場から後ろへと飛び退くシャグ。先程の斬撃の風をまともに受けたらしく、身体中に傷ができて血を流していた。そんな彼を見て、ニールは構えを解き、彼に向って宣言する。

「これ以上他の者たちを傷付けるつもりなら容赦はしないぞ」
「・・・・・・・・・・・・・・・くっくっくっ」
「？」

　不気味に笑い始めるシャグ。その行動に彼女は警戒して構える。その時、彼の身体に信じがたい変化が訪れた。血が溢れ出る傷が凄まじい速さで塞がり、そのうえ破けた服まで再生する。あれだけ酷かった傷が全て無かったかのように治ってしまったのだ。

「！？」
「久々だぜ・・・こんなに食らったのは・・・」
「貴様、まさか・・・」
「ジジイが言うには急速再生できる治癒魔法らしい、ぜ！」
「くっ！？」

　不意打ちをかけるため、彼は言い終えない内に間合いを詰めて斬り掛かる。ニールは慌てて斬撃を防いだ。

「なるほど、それが不消の陽熱と言われる理由か」
「半分当たりだ。だがもう半分は！」
「！？」

　ニールは謎の威圧を感じ、いち早く相手から離れた。離れた瞬間、彼女が居た場所に純白に輝く刃が振り下ろされる。シャグの長剣を纏うかのように、光の刃が更なる長剣を作り出していた。

「魔力による魔法剣か！」
「少し手加減してやるぜ！」

　シャグは輝く長剣を振り上げて、斜め横にスイングした。スイングされた剣から輝く光弾が4発発射され、それは全てニールに向って飛んでいく。彼女は咄嗟に微量の魔力を剣に纏わせ、飛んできた光弾を弾き落とした。

「ふんっ！」
ズドオオオオン！！
「！？」

　彼女が光弾を弾いている最中、シャグは地面を剣で叩き壊して土煙を起こす。彼は煙の中を突っ込み、相手に走り向かった。

「おせえよ！」
「っ！？」

　彼は持っていた輝く長剣を刃のない平たい剣身で、ニールを左横に弾き飛ばした。

「ぐあっ！！」

　飛ばされたニールは地面に叩きつけられた。その反動で剣も手元から別の場所へと飛ばされる。右手で肩を押さえて立ち上がる彼女の口元から、一筋の赤い滴が垂れ落ちた。その彼女に向かってシャグはゆっくりと歩き寄る。

「やっぱてめえでも物足りねぇよ。だが、何もしないで帰るのは癪に障る」
「貴様の自己満足など知らん！此処まで我々を愚弄しておいて！」
「はっ！なら貴様の首でも頂いて帰らせて貰うぜ」
「なん、だと！？」

　シャグの言葉に彼女だけでなく周りの兵士たちも動揺する。すると彼の前に片刃の剣を持つリザードマンと槍を持つサキュバスが立ちはだかった。

「隊長に近寄るな！」
「ここは通しません！」
「よせ！お前たち！」
「邪魔だ！」

　彼は立ちはだかった2人をまとめて剣で叩き飛ばす。目の前までやって来た彼を睨みつけるニール。その表情を見てシャグは口を釣り上げた。

「ほんの少しだけだが楽しめたぜ。以前の魔界遠征時に出くわしたデュラハンの方がマシだがな」
「やはり魔界侵攻で名のある剣豪たちを葬ったのも本当らしいな・・・」
「そういうことだ。俺に倒されることは名誉だぜ」

　彼はそう言って天に向かって魔法剣を高く上げる。身を斬り裂かれることを把握して目を瞑って堪えるニール。その場に居た誰もが最早止められないと悟った。

「っ！？」

　最初に気付いたのはシャグだった。彼は即座にその場からバックジャンプで後方へと飛び去る。彼と入れ替わりに、黄色に輝く刃が地面に突き刺さった。来るはずのものとは全く違う音に気付いて目を開けるニール。

（この刃・・・まさか！？）

　その場に居た者たち全てが空を見上げた。鳥とは思えぬ縦に長い異形の形。それには2人の人影が跨っている。その内の1人がある場所へと飛び降りた。降りた場所は先程の刃の刺さった付近。

「・・・」

　降りて来た者は黒いジャケットを着た黄色肌の黒い短髪の男。露出している顔と腕には古傷が目立ち、無表情で赤服の男を睨みつけた。

「なっ！？お前は！？」
「おい、あいつって・・・」
「隊長と試合してた・・・」

　ショートソードを杖代わりに支えているリオだけでなく、周りの兵士たちもその存在の正体に気付いた。黒服の男がニールに声を掛ける。

「・・・何もせず終わるつもりか？」
「ふふ、奇跡とやらに願ったまでさ。現に奇跡を起こしてくれただろ？ブレード」