ある日のこと
とある良く晴れた日
上機嫌な先生のお陰で授業が普段よりも早く終わり、釣りでもしようと上機嫌で帰宅したが運の悪いことに両親は出かけていて家に入れなかった。
仕方なく鞄だけ玄関の横に置いてお気に入りの景色が見える橋でじじむさく日向ぼっこしていた。
と
「やあ」
突然下から呼びかける声がする。当然下は川である、遠くには川に住む魔物がいると聞いたことがあるが自分の住む地域周辺でそんな奴がいるなどという話は一度も聞いたことがない。
もちろん自分の友達が驚かそうとしたとは思えない、人を驚かそうとして「やあ」はないだろう、流石に。
そんなとりとめもない事を思いながら下を覗くと水面から切れ長の目をしたきりっとした顔立ちの女性がいた、町で一度も見たことのない顔だ。
「そんなおじいさんのような顔をして何をしているんだい?まだ子供なんだ、遊び盛りだろう」
余計なお世話である、思わず出鼻をくじかれた時のあらゆるやる気の消え去り様を知っているか。と沈んだ声と不機嫌でたまらないという顔で答えてしまった。
「はっはっは!それは災難だったね」
ひどく愉快そうに女性は笑う
しかしこの女性は何なのだろうか、まったく気づかないうちに自分の下にいたということは人魚の類なんだろうとは当たりがつく。
ただやはり何度思い返しても町の中でこんな女性には一度も会ったことがない。
「ん?まぁ私は生まれはここだけどすぐに色々な国へ行ってしまっているからね、君が知らないのも当然さ」
不審そうにじぃっと見つめる視線に気づいたのか女性は自分から説明してくれた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
いつまでも川の下と橋の欄干の間で話すのもなんだと思い立ち、話しやすいように隣に来ないかと勧めてみたところ嬉しそうに橋に上り隣に座った。
直後両手両指を気持ち悪く動かしてきたので軽く額にチョップを叩きこんでやった。
「あいたた…酷いじゃないか、こんな綺麗な女性の顔を叩くなんて」
額を押さえつつも全く反省のない表情を浮かべる女性を気にせず今度は全身をくまなく眺めてみた。
町にいる人魚と同じに見えるが……なんというか、露出が低い。
町の人魚達は水着に何か一枚、それも服というか布を羽織っているだけというのが多い。
しかしこの女性は濡れているとはいえ白いワイシャツを着ている、下着は黒かった。
「ん?どうしたんだい?私の体をじーっと見つめて、欲情したかな?」
色々と台無しである。
そしてふとなぜあんな所にいたのか気になったので問い詰めてみたところ
「ん?ああ、昔やっていた遊びでね、川に流されていくのが好きなのさ」
……まさかの人魚の川流れだった。
「君も一度やってみるといい、なかなか気持ちがいいよ?」
ご遠慮である、それならば銛でも借りて魚を獲る方が楽しそうだと半ば呆れ気味に言ってやった。
「まあ……それもそうか、うん……」
ずぅーんという音が聞こえそうなほど目に見えて落ち込んでいた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
その後つらつらと他愛のない話を続け気付けばもう日が傾いていた
「そろそろ帰った方がいいんじゃないかな?あまり暗くなるとこわぁいおねえさんに襲われてしまうよ?」
がおーっとでも言いそうに両手を挙げて楽しそうに脅かしてくる
少しいらついたので鼻を指でつまんでやった、ふぎゃ、とか聞こえた気がするけど気にしない。
「また女性の顔に……まったく、他の女の子にやったら駄目だからね?」
鼻を押さえながら涙目になって注意してくるがそうそうできるものではない。
「さて、今度こそお別れだ、次にここに来れるのは…まぁ次は近場に行く予定だったしすぐに会えるかな?」
伸びをしながらこちらに微笑んでくる、夕日に照らされたのも相まってとても綺麗に見えて思わず固まってしまった。
「あ、初めてみとれてくれたね?全然そういう反応してくれないからちょっと不安だったんだ」
照れたような表情をしながら頬を掻きつつ伝えてくる時にはもうさっきまでの雰囲気に戻っていた。
「それじゃあ、また会おうか、楽しかったよ」
言い終わるとすぐに川に飛び込んで泳ぎ去ってしまった、結局普通の人魚と同じでよかったんだろうか?
まぁ、次に会う時には色々と教えてもらおう。
そう思いながら彼女と話した事を思い返しつつ家に帰った。そしてもちろん怒られた。
上機嫌な先生のお陰で授業が普段よりも早く終わり、釣りでもしようと上機嫌で帰宅したが運の悪いことに両親は出かけていて家に入れなかった。
仕方なく鞄だけ玄関の横に置いてお気に入りの景色が見える橋でじじむさく日向ぼっこしていた。
と
「やあ」
突然下から呼びかける声がする。当然下は川である、遠くには川に住む魔物がいると聞いたことがあるが自分の住む地域周辺でそんな奴がいるなどという話は一度も聞いたことがない。
もちろん自分の友達が驚かそうとしたとは思えない、人を驚かそうとして「やあ」はないだろう、流石に。
そんなとりとめもない事を思いながら下を覗くと水面から切れ長の目をしたきりっとした顔立ちの女性がいた、町で一度も見たことのない顔だ。
「そんなおじいさんのような顔をして何をしているんだい?まだ子供なんだ、遊び盛りだろう」
余計なお世話である、思わず出鼻をくじかれた時のあらゆるやる気の消え去り様を知っているか。と沈んだ声と不機嫌でたまらないという顔で答えてしまった。
「はっはっは!それは災難だったね」
ひどく愉快そうに女性は笑う
しかしこの女性は何なのだろうか、まったく気づかないうちに自分の下にいたということは人魚の類なんだろうとは当たりがつく。
ただやはり何度思い返しても町の中でこんな女性には一度も会ったことがない。
「ん?まぁ私は生まれはここだけどすぐに色々な国へ行ってしまっているからね、君が知らないのも当然さ」
不審そうにじぃっと見つめる視線に気づいたのか女性は自分から説明してくれた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
いつまでも川の下と橋の欄干の間で話すのもなんだと思い立ち、話しやすいように隣に来ないかと勧めてみたところ嬉しそうに橋に上り隣に座った。
直後両手両指を気持ち悪く動かしてきたので軽く額にチョップを叩きこんでやった。
「あいたた…酷いじゃないか、こんな綺麗な女性の顔を叩くなんて」
額を押さえつつも全く反省のない表情を浮かべる女性を気にせず今度は全身をくまなく眺めてみた。
町にいる人魚と同じに見えるが……なんというか、露出が低い。
町の人魚達は水着に何か一枚、それも服というか布を羽織っているだけというのが多い。
しかしこの女性は濡れているとはいえ白いワイシャツを着ている、下着は黒かった。
「ん?どうしたんだい?私の体をじーっと見つめて、欲情したかな?」
色々と台無しである。
そしてふとなぜあんな所にいたのか気になったので問い詰めてみたところ
「ん?ああ、昔やっていた遊びでね、川に流されていくのが好きなのさ」
……まさかの人魚の川流れだった。
「君も一度やってみるといい、なかなか気持ちがいいよ?」
ご遠慮である、それならば銛でも借りて魚を獲る方が楽しそうだと半ば呆れ気味に言ってやった。
「まあ……それもそうか、うん……」
ずぅーんという音が聞こえそうなほど目に見えて落ち込んでいた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
その後つらつらと他愛のない話を続け気付けばもう日が傾いていた
「そろそろ帰った方がいいんじゃないかな?あまり暗くなるとこわぁいおねえさんに襲われてしまうよ?」
がおーっとでも言いそうに両手を挙げて楽しそうに脅かしてくる
少しいらついたので鼻を指でつまんでやった、ふぎゃ、とか聞こえた気がするけど気にしない。
「また女性の顔に……まったく、他の女の子にやったら駄目だからね?」
鼻を押さえながら涙目になって注意してくるがそうそうできるものではない。
「さて、今度こそお別れだ、次にここに来れるのは…まぁ次は近場に行く予定だったしすぐに会えるかな?」
伸びをしながらこちらに微笑んでくる、夕日に照らされたのも相まってとても綺麗に見えて思わず固まってしまった。
「あ、初めてみとれてくれたね?全然そういう反応してくれないからちょっと不安だったんだ」
照れたような表情をしながら頬を掻きつつ伝えてくる時にはもうさっきまでの雰囲気に戻っていた。
「それじゃあ、また会おうか、楽しかったよ」
言い終わるとすぐに川に飛び込んで泳ぎ去ってしまった、結局普通の人魚と同じでよかったんだろうか?
まぁ、次に会う時には色々と教えてもらおう。
そう思いながら彼女と話した事を思い返しつつ家に帰った。そしてもちろん怒られた。
19/01/14 00:45更新 / あお