連載小説
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終章 退けない覚悟と本気の愛
ことは、俺が行為を行い…泣き叫んだあとから始まる
俺を散々弄んだ悪女…見切さんがいきなり別人になったところからのスタートだ!!


見切「はぁ…はぁ…ふふぅ…」
明「……き、君はいったい…?」
見切「えっ…?やだなぁ…明さん、見切に決まって…はっ!?」

目の前の、狸の女の子はあわてて自分の体を触り始めたんだ
そして、俺を見てものすごく泣きそうな顔をしたんだ
……さ、さっきの話を頭で整理したところによると…彼女は見切さん…だよな

だが、俺の目の前にいる女性は…なんというか…
見切さんのイメージである完璧っていうよりは、弱引きこもりみたいな見た目をしているんだが…
ぱっと見ただけでも、眼の下のくまやぼさぼさの髪の毛が彼女の健康状態を表しているのは明らかだ

まてまて…待ってくれ…
あんなことをしてしまった後だから、変な言い訳はしない…
しないけどさぁ…本当に別人じゃないか!!
しかし…彼女、見覚えが…
……気のせいか?

見切「あ…あぁあっ!!へ、変化が解けちゃってる!?そ、それも…一番見られたくない人の前で……う、うぅ…ぐすぅっ…」
明「へっ!?ちょっ!!どうして泣く!?」
見切「えうぅ…わ、私…私ぃっ…ひっく…」


彼女は、だんだんと本格的に泣き始めてきたんだが…
俺は物事の急展開についていけてないんだ
まず、どうして見切さんの姿が変わったのか…
そして、どうして彼女は今、俺の目の前で泣いているのか…
こう聞きたいことが多いと、困るというのが俺の本音だよ

と、とりあえず…彼女を落着けないと…
だが…どうやって落着ければいいんだろうか?
………うぅ…気まずい…

明「と、とりあえず泣き止んでくださいよ、見切さん…そんなキャラじゃないでしょう?」
見切「だって、だって!!私…私っ!!」
明「私…なんです?その続きが大事でしょう?」
見切「ひっくっ…えぐっ…」


ダメだ…まったく埒があかないぞ…
さっきまでの強気な態度とは打って変わり、今度はずっと泣いてばかり…
いったいなんだっていうんだ!?
……俺だって、俺だってなぁ…泣きたいよ!!ちくしょーー!!
朝から…見切さんの罠にはめられて落ち込んでいるのに…
夜には大切な純潔を奪われるし…


明「見切さん…落ち着いてくださいよ…ね?」
見切「……だって、こんなぼさぼさのだらしない姿…いやでしょ?」
明「……へっ?」
見切「髪の毛はぼさぼさだし…睡眠不足だし…狸だし…胸も本当は小さいんだもん…」

………ま、まさか…彼女は自分の見た目のことを気にしているのか…?
…べ、別に、そこまでいやじゃない…むしろ、どちらかと言えば好感を持てるんだけどなぁ…
まさか、彼女は今の姿を見られたら…嫌がられると思っているのか…?

明「見切さん…そんなこと気にしていたんですか?俺は別に…」
見切「嘘っ!!気にしてないなんて嘘に決まってる!!こんなだらしがない見た目で、なおかつストーカーをする…そんな女、好きな人がいるわけないじゃない!!明さんは優しいから…わざとそう言ってフォローしようとしてくれているんでしょ?」
明「フォロー…?いや…本当に俺は君のその姿を変だと思っていないんだよ」
見切「嘘だ…嘘…私はあなたを好きだから…あなたも私を好きになってもらおうと思って…あなたの理想像を学んで…変化していたのに…私…私は…」


………そうか、これで俺を悩ませていた謎がようやく一つ解けてくれたんだ
彼女がどうして…いきなり姿形が変わったのか…その答えが

確かに、彼女は俺の理想像だった…
正直、美人だと思っていたし…胸だって大きいのには惹かれていた
だけどさ?完璧すぎると思ったんだ
……俺は、世の中をうまくわたっていくスキルがそなわっていない
いわゆる…凡人の下部分みたいな男だ
いや…たいていの人はその位置が関の山だと俺は思っている
……ほかの人が聞いたら、怒るかも知れないけどね

それに、彼女は会社で完璧な存在として君臨していた…
そう…俺のいた会社では彼女と俺は月と太陽だったんだ
だから、俺は彼女のことを本当に好きになれなかったんだ
凡人は天才を羨み、そして妬むんだから…
そうだろ?


明「そのままで…そのままでもいいじゃないか!!その姿が本当の見切さんだというのなら、むしろ見切さんはその姿でいるべきだ!!」
見切「……えっ…?」
明「俺は…たとえ事故だったとしても、見切さんが本当は自分の姿をコンプレックスに感じている、かわいらしい形部狸なんだとわかってうれしい!!自分の姿を偽り、それで仮の幸せを手に入れるのも、いいかもしれない…だけど、俺はそれを愛とは言わないと思うんだ」


正直、自分でも何を言っているのかさっぱりわからん
だが…それでも俺は、心に宿った熱い炎のままに、見切さんに自分が思ったことを伝えていた
俺の考えは、はるかに理想を言っているだけかもしれない…
だけど、理想をいってもいいじゃないか!!人間なんだから!!
いや…人間だけじゃない、生きている皆が理想を言ってもいいはずだ!!

見切「それじゃあ、明さんはこんな私でも…好きなの…?こんな見た目だらしないストーカー陰湿女でも…好きだって言ってくれるの?」
明「あぁ…自分を偽らない本当の君は、素敵だと思う!!」
見切「あ…あぁぁっ…う、うれしい…今、私…な、何を言ったらいいのか…」


今、さっきこの瞬間…俺の言葉は見切さんに届いたと思った
そう…この手ごたえ…そして見切さんの今の安心したって表情…
これで、彼女の涙はそろそろ止まるかな…?
ははっ…俺らしくないこと…しちゃったみたいだな
でも、たまにはいいだろ…ヘタレがかっこよくなったって…なぁ?

なんて、心で思っていた時だった

見切「さっきのセリフ…正式なプロポーズとして…受け取っていいですか?」
明「………へっ?」
見切「ありのままの私が好きって…あのセリフ…その…あの…」
明「……(こ、これって、俺の言葉がちょっと湾曲して届いていないか…?俺は確かに素敵だといったが…それは、自分を偽らない今の君が素敵だってことで…)」


だが、そんなことを口に出していってしまったら…確実に彼女を傷つける…
俺の心は…頭は…人生は…大事な分岐点に差し掛かっていたんだ
この選択肢で、俺の人生は大きく変わるだろう


一つ目の選択肢は俺のセリフを、彼女の言うとおり…プロポーズだということにするってこと
この場合、俺は彼女の心を傷つけずになおかつ結婚することができる
しかしこれは俺は予想していなかったことであり、俺は彼女を幸せに出来る自信がない

二つ目の選択肢は…
プロポーズではないと正直に打ち上げることだ
だけど…この選択肢を選んだら、俺は彼女の容姿についても、本当はあまり好きじゃないってとらえてしまうだろう…
そして、彼女は本当に傷ついてしまう…


俺は…正直に生きるべきなのか…それとも、嘘をつくべきなのか…?
と、一人でそう悩んでいた時だった…

見切「や、やっぱり…私なんか…私なんか!!ぐすっ…あんまり好きじゃないんですね!!狸耳だし、眼つき悪いし、眼の下にくまできてるし、胸は大きくないし、髪の毛はボサボサだし…」
明「そ、そうじゃないんだ!!お、俺は…君が嫌いなわけじゃない!!た、ただ…」
見切「た、ただ…なんです?」
明「俺は君のことがよく、わからないんだ!!今まで、完璧だった君しか見ていないから…今の素の君のことがよくわからないから…そういわれても困るんだよ…」
見切「だ、だったら…その…」


……ん?なんだろうか?軽く見切さんが顔を赤らめ、伏し目がちになったんだが…

見切「私と一緒にデートしてくれない…かなぁ…」
明「で、デートぉ!?」
見切「う、うん…この姿で…一緒に…」

…………そう、だな…一回、彼女と一緒に真剣に話し合うのもいいかもしれない
それに、一回でいいからデートというものをやってみたいってのも事実だ

明「わ、わかったよ…じゃあ、明日ってことで…俺は部屋に…」
見切「(ガシッ…)い、いかないで…い、一緒に寝よう…?もしかしたら、私の最後のいい思い出になるかもしれないから…お、お願い!!」

そ、そんなうるうるとした目で見られたら…いやなんて言えないじゃないか…
し、仕方がない、今晩は一緒に寝てあげるとするか…
俺は、そう決断したのだった…
えっ?なんか、はじめと比べて変わったなって?
いやいや…俺は今回の経験で、また一つ大人になったのですよ

明「わかった…でも、寝ている間に性的ないたずらとか、起きてすぐとか…絶対しないと約束してほしい!!」
見切「わ、わかりました…じゃあ、寝ましょう…」


そして、俺たちは来たるべき明日に備えるため、軽い眠りにつくことになったのだった……
だった……
だっ…


ね、寝れない…だと!?
なぜだ…?なぜ、こんなに体がドキドキして…

俺は、すぐにその答えに気が付いた…
変化が解けた見切さんが、俺を離すまいという風に、ぎゅっと俺の体に抱き着いているからだ!!
こんなかわいい寝顔を横にして…俺は寝れるはずがないだろう!!
……でも、本当に寝顔がかわいいな…
ちょっと、ほっぺたをプニプニしてみたい…っと、いかんいかん!!
明日…彼女の本質を見極めないといけないんだ…
早く…早く寝ないと…



そして、それから数時間後…朝の8時ごろにようやく見切さんが目を覚ましたんだよ!!
…まぁ、俺が寝れたかどうかは別の話だから、いいじゃない
両者とも、寝始める時間が遅かったからあんまり寝ることができてないんだけどね?


見切「……そ、その…着替えるから、外で待ってて…」
明「わ、わかったよ…」

俺は、デートに向かう前に着替えるという彼女の心境を察して、部屋の外に出たのだった
部屋の外は、相変わらずの天気…とはうって変り、俺の目には少し違って見えたんだ
なんていうか…いつもよりも明るいな…
いい天気だと思う!!


それから、あんまり時間も経たずに、彼女が出てきたんだ
彼女は、麦わら帽子にピンクの控えめな花がらのワンピース
そして、ジーンズという、お世辞にもかわいいとは呼べない服装で出てきたが…俺はそんな彼女をかわいいと思った
なんだろうか…?見切さん…かわいいじゃないか!!


見切「どう…かな?」
明「いいんじゃないかな?俺は好きだけど…」
見切「よかった…うぅ…やっぱり、素の姿で明さんと話すの、ちょっと怖いな」
明「お、俺は…完璧状態の見切さんのほうが苦手なんだけどなぁ…」


そういいながら、俺たちはデートに繰り出したのだった…
えっ?うらやましい?そうかな…?
あぁー…まぁ、悪い気はしないよ…

さてさて…デートといったら…普通はどこに行くと思う?
やっぱり、二人で映画館とか、水族館とかがベストなんだろうけど…
俺はあえて…カップルであふれている遊園地に遊びに来たんだ
普段なら、ここに来るのはとても悔しい気分になるが…今回は別だ!!
たとえ、見切さんの本質を見破るためとはいえ、ここに来たこと…いやじゃないから!!俺は!!


明「さて…まずはどこに行こうか?」
見切「こういった場所でのフラグイベントは…お化け屋敷が定番だよね…ふへへ…」
明「……わ、わかった…行こう」
見切「(あぁぁぁぁっ!!つ、つい、変な笑い方をしちゃった…ひかれたかな…)」


……お化け屋敷は遊園地の定番だったのか…
よく、そんなことを知っていると感心するよ俺は…で、でもなぁ…
俺、怖いのダメなのよ…わかる?この気持ち…
はっきりと言って、乗り気ではない…

だが…見切さんはものすごく一緒に入りたそうにこちらを見ている…
…………いいですとも!!入ってやろうじゃないか…
入って、見切さんに俺が怖がりじゃないって教えて見せる!!


ゴースト「んばーーっ!!おーばーけーだーぞー…あっ、いい男…」
明「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?あ…あばばばばばっ…」
見切「明さんは絶対にあげないからね……」
ゴースト「まぁ、この仕事していたら…いくらでも男の人はくるからいいけどねーー!!一人で来る人なんて、まだいないけど…いいもんねー!!」

あば…あばばばばっ…

見切「明さん?どうしたの…?怖かった?」
明「……はっ!?い、いや…こ、怖い?この俺が?冗談だろう?」

い、今のは…そう!!あの子を喜ばせるためにわざとだなぁ…
えっ?な、なんだよ…その目は!?
ほ、本当だからなぁっ!?

ゾンビ「うがあーーっ!!」
明「ぎゃーーーーっ!!」
デュラハン「そこのおぬし…私の首を知らぬだろうか?」
明「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
グール「……ニタリ」
明「あわあわあわあわ…ひ、ひゃああぁぁぁぁぁっ!!」


……やった、よ…ようやく出口だ…
ど、どうだ…予定通り、かっこよくお化け屋敷を抜け出せたぜ…
………な、泣きそうだ…

見切「明さん…泣きたいなら、私の胸に飛び込んで…泣いてもいいですよ?ふへへっ…」
明「み、見切さん……うわああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
見切「きゃっ!?……ふ、ふふっ…(ほ、本当に来てくれるなんて…うれしいよぉ!!遊園地…最高!!)」
明「はっ!?ご、ごめん…」


………な、なんだよ読者諸君、その目は?
その冷ややかな目はいったいなんなんだよ?男ならもっとしっかりしろと言いたそうな表情だけど…
し、しょうがないだろう!!怖かったんだから!!
……男が甘えたっていいじゃない…人間だもの…


それから、俺たちは互いに遊園地を楽しんだんだ
……ジェットコースターとかは、普通に楽しかったし…遊園地にしては、食べ物の値段も良心てきだったし…
…といっても、全部見切さんのおごりだけど…

えっ?普通は男がいいところを見せるだろうって?
……皆さんは、覚えてないのかね…
俺が彼女の策により…全財産をなくしたことを!!
…おごるなんて…無理に決まっているだろう!!


見切「あの…どーかな?デート…楽しいかな?こんな私と一緒にいて…」
明「あぁ…楽しいよ!!今、本当に最高の気分だ!!」
見切「うれしい!!ジュース買ってくるよ!!」
明「いいよ、のど…乾いてないし…」

なんていいながら、いいムードになってきた俺達…
っと、その時だった…


男「でさー…俺はその時、いってやったわけよ…努力?ツマンネってなぁっ!」
女「キャハハッ!!まじうけるんだけど!!あっ…ねぇねぇ見てよ…あの子…ちょー服装ださくない?」
男「んっ…あっはっはっ!!そーだなぁ!!あれで似合っているとか思うとか…センス狂ってんじゃねぇの?」
女「男連れてるみたいだよー?デート?あんな格好で?マジ受けるーー…」
男「あっはっはっはっはっ」


見切「…………」
明「見切さん……」
見切「……だ、大丈夫…気にして…ない…から…」

なんだよあいつら…人の見かけにケチつけるなんて…
それも…あんな大声で…見切さんがこの服装でお前らに迷惑…かけたのかよ?

その時だ、俺はいつもの俺とは違う行動をとっていたんだ
いつもの俺なら…ほかの誰が馬鹿にされていても、不快な気持ちは抱くけど、怒ったりしない…
だが、今日は別だ!!勇気を出して…元の姿で俺の前に姿を見せた…
彼女の勇気を…お前らが…馬鹿にしていいわけがないだろう!!


男「じゃー…いこーぜ?センス悪いのがうつるからさぁ…」

明「待てよ!!

男「あぁ?てめぇ、誰よ?」
女「こいつ、あのセンス悪い狸の彼氏じゃない?」
男「あぁ…ってことは、こいつもセンス悪いの?なーにかよーですかぁーー?」

明「……(ギリッ…)謝れよ…
男「あぁ?何言ってんの?」
明「彼女に…見切さんに謝れって言ってるんだ!!彼女がお前たちに何かしたわけじゃないのに、悪口言うなよ!!その言葉が、どれだけほかの人を傷つけるのか、わかってんのかよ!!」


通行人A「なんだぁ?喧嘩か?」
通行人B「うそっ…あっち行こう…」


いつの間にか、俺たちの周りには通行人の人だかりができていたんだ
相手はこの事に少しだけ動揺しているようだが…
怒りに身を任せている俺にとっては、こんな状況…どうにもならなかった


男「わ…わかったよ…そ、そうだ…あのアトラクション…あそこの路地で土下座でもなんでもしてやるから、そこいこうや…な?」
明「本当だな…?本当に彼女に頭を下げるんだな!?」
男「わーってるよ…おい、その子も一緒に連れてきてやれ…」
女「オッケー…」


俺たちは連中にそういわれると、路地のほうに向かったんだ…
だが、少しでも冷静に考えていたら、わかっていたことかもしれない…
土下座なんてしてもらわなくとも、ただ正面から謝ってあげるように頼めばよかったって…


明「さぁ!!謝れよ!!」
男「あぁ…悪かった…なぁっ!!」

ドゴッ!!

明「ぐふっ!?……うぅっ…」
男「こっちが黙ってりゃあ…調子にのってんじゃねぇの?ん?」

見切「明さんっ!!」
女「おっと!!逃がすわけないっしょ?そこで彼氏がボコられんのを見てなよ」

男「俺…こう見えて、腕にはちょっと自信があんだよ…おらっ!!」

ドゴッ…バキャッ!!

明「……っ…げ、げほぉっ…かはっ…かはっ…」
男「きったねぇー…彼女と一緒だなぁおい!!」
明「っ!!黙れよ!!」
男「そんなへなちょこパンチ…当たるわけねえだろうがよぉ!!おらっ!!」

俺は、見切さんのことをもう一度馬鹿にしたこの男に、パンチを繰り出した…
だけど、こいつは俺のパンチを軽くよけると、俺のおなかにブローを入れてきたんだよ
俺は、痛みにその場にうずくまってしまう…
……っ…な、さけない…

男「地面に顔をつけて泣いたら、これ以上はしてやらなくてもいいぜぇ?ん?なんとか言えやぁ!!」
明「ぐあぁっ………う…うぅ…ぅ…」

見切「あ、明さんっ!!も、もうやめてよぉ!もういいでしょっ!?悪いのは私たちってことで…いいじゃない!!」

男「おっ?お前の彼女…わかってんじゃん、そう、悪いのはそんな恰好でここに来た彼女に、殴られて唾吐いてるてめぇのほう…おわかり?」
明「………黙れよ……てめぇ…」
男「……ッ!!生意気なんだよおらぁっ!!死ねっ!!おらおら!!」

俺のさっきの言葉が気に入らなかったのか、目の前の男は本気で俺を殴りに来たんだ…
だが、俺は自分の発言…後悔はしていない!!
俺は確かに、喧嘩はまったく強くない…
だけど!!
俺は……自分の好きな人を傷つける…あいつが許せない!!
言葉は暴力だ…ナイフだ…それをわかってないあいつに…意地でも降参して負けたりしてやるものか!!


明「……謝れよ、彼女に謝るっていっただろ!!悪いことをしたら素直に謝る…そんなこともできねぇのかよ!!」
男「生意気っていっただろうが!!雑魚が!!あぁ?」

バキッ…

明「うぐっ……謝れよ…心無い言葉で彼女を傷つける権利が…てめぇにはないんだよ!!謝れって言ってるだろ!!」
男「………そんなに、謝ってほしいのかよ?いいぜ……くらえやぁ!!」

男は、そういうとすぐ近くに落ちていたジュースのビンで、思いっきり俺を殴りつけてきたんだ
すごい音とともに、俺の頭がぐらぐらと揺れたのがわかった…
目の前が、チカチカし始めて…眠気が襲ってくる…
顔を、何かが流れ落ちるのが、なんとなくだけどわかったんだ


見切「あ、明さんっ!?や、やだよ…そんなのっ!明さん!?」
女「ちょっと!!これ、さすがにやばいんじゃないの?」
男「ちっ……ずらかるぞ!!」

あ、あいつらが…この場から逃げようとしてる…
くっ……に、逃がす…かよっ…

明「ま、待て…よ…あやま…れよ…」
見切「明さん!!明さん!!動かないで!!今…救急車を呼ぶから!!」
明「……ごめん…俺…見切さんを傷つけたやつ…謝らせれなかった…」
見切「いいから…黙ってて…!!」
明「………気づいたんだ…俺…今の見切さんのことが好きだ…その目も、ぼさっとした髪も…その服も……今の君が…す…」
見切「……えっ?な、何?ちょっと!!聞こえないよ!?」


………なんでだ?とても…悲しそうな…顔をしている…
狸耳がぴこぴこ揺れている……あ、あの耳…隠してないほうが…似合ってる…
……俺の正義は……なんて…弱かったのだろうか…?
俺は…あそこで、ただ黙って耐えていればよかったのか……?
……それは…正義じゃ…な…

俺の意識は、そこで優しい眠りにさらわれていったのだった…
見切さん…そんな落ち込んだ顔…似合わな……ぜ…




    STORY END…
























































































































































うぅ……?こ、ここは…?
俺が気が付くと、そこは俺たちが朝出てきた見切さんの部屋の中だった…
すぐ横を見ると、見切さんが包帯を持って眠っているのが見えたんだ

………そっとしておこう、起こしてしまうのも悪いし…

明「のどが…乾いたな…」

俺はそう思い、布団から起き上がろうとしたんだが…
不意に、頭を変な痛みが走り抜けたんだ

明「っつぅ…なんだっていうんだ…」
見切「…むにゅっ…はっ!?あ、明さん!!」

俺が頭を押さえ、大きな声を出したからだろうか?
俺は見切さんを起こしてしまったんだよ

見切「よかったぁ…よかったぁぁぁっ!!」
明「へっ…?うおぉっ!?」


な、なんだ!?急に抱き着いてくるなんて…
見切さんの顔を見ると、涙があふれ出ているのがわかったんだ…
………あの様子だと、かなり心配をかけてしまったみたいだな…

っと、俺は落ち着いたところで、あの遊園地での出来事をまた思い出してしまったんだ…
俺に…もう少し力があったら…見切さんの心を傷つけることはなかったのに…


明「その…遊園地の件…あいつらを謝まさせることができなくて、ごめん」
見切「……そんなこと!!私が明さんを許せないところがあるとするなら……無茶して私を心配させたことだよ!!」
明「………ごめん、俺…許せなくて…」
見切「………ねぇ…」

俺が自分の情けなさにつぶされそうになっていると…見切さんが不意に俺の隣に腰かけたんだよ!!
……いったい、なんだっていうんだろうか?


見切「……どうして、あそこまで私をかばってくれたの?私の素の姿は…こんなにだらしがないのに…」
明「…愛する人を守るのに…理由がいるのかい?」
見切「………っ!?その…あの…ご、ごめんなさい!!明さんの人生をめちゃくちゃにしてしまったのに…私…」

………確かに、思えば…誕生日が俺の人生のターニングポイントだった…
でも、今はこの現実を受け入れることができているよ俺は…
……こんなにかわいい形部狸の見切さんと一緒にいられる…
それって、最高の誕生日プレゼントになるんじゃないか?


明「めちゃくちゃ?いや…むしろ、俺はこの経験ができてよかったと思うよ、見切さん…その…お、俺と…友達から初めてく…」
見切「もう……結婚しましょう!!明さーん!!」
明「ぬおわぁっ!?」




以上が、俺の物語だ…
これから先も…俺の周りではいろいろなことが起こるんだろう…
だけど…何があっても…俺は見切さんと一緒にいたいと…そう思ったんだ
だって……俺は何も飾っていない不器用な状態の彼女が、好きなんだから…



            〜HAPPY END〜




14/04/23 21:36更新 / デメトリオン mk-D
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■作者メッセージ
Dプリさん「……あなたたちですか、今回の罪人は…」
男「な、なんだぁ?てめぇ…でけぇ胸しやが…」
Dプリさん「おだまりなさい!!堕落神さま…この罪人たちに天罰を…」
???「……承知した…」
女「えっ?ちょ…なにっ!?きゃあぁぁぁぁぁっ!!」
男「お、おい…大丈夫かよ…?」
女「………体が…うずくのおぉぉぉぉぉぉッ!!」
男「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

Dプリさん「……ふぅ…正義を執行するのは…気持ちがいいものです…」


っということで!!見ていただき、ありがとうございました!!
どうにか、物語を終わらせることができました…
これも、見ていただけた皆さんのおかげです!!

……たとえ、負けたとしても…かっこいいって憧れますよね…
えっ?僕だけですか?……そ、そうですか…

と、とにかく!!これから先も、マイペースに続けていくので…
もしよければ見てやってください!!ありがとうございました!!

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