未踏破地探索 サンドウォーム編
日が傾いてきたとはいえ、未だに暑さが残る、砂漠の中。しかし暑いと言っていられる余裕は既に存在しない。サンドウォームの群れは人間を遥かに凌駕する巨体を持ち、そこからは想像の出来ないスピードで動き回りながら我々への包囲網を狭めていった。
「砂の中から来るぞ!!」
隊長が叫ぶ。あまりの絶望的な状況に混乱した仲間達は闇雲に砂に向かってライフルを乱射した。サンドウォームたちは大人の人差し指ほどもあるライフル弾を物ともせず、徐々に間合いをつめていった。砂によって大きく減衰した弾のスピードはあの魔物に有効な一撃を加えることが出来ずにいる。「無駄弾を使うんじゃない。出てきたところを狙うんだ!!」隊長が再び怒鳴る。皆は少し落ち着きを取り戻し、砂の動きを冷静に見て自分の敵がどこにいるのかを判断しようとする。だが、相手もそれを察したのだろうか。砂は急に沈黙を保ち始めた。
さぁ、出て来い……
心の中で呟く。人間の数倍はある、あの巨体に対する武器としては、あまりに心許ない銃であったが、それでも俺にとっての最後の希望であった。この細い筒だけが俺達を死の淵から救う可能性があったのだ。砂漠の暑さすら遠くに忘れさせる緊張の中、砂の中から奴が飛び出してくるのを辛抱強く待ち続ける。誰一人として口を開けようとしない。
何が起きても対処が出来るよう集中を切らさず辺りを警戒している。皆はどの方向から襲われても対処できるようにゆっくりと隊列を形作っていった。
一瞬の叫び声。誰もがその声のした方に向くが既にそこに仲間の姿は無く、彼の帽子だけが転がっていた。隊の全員に緊張が走る。さあ、次は誰が犠牲になるのだろうか。そう全員が考えていた時、ふいに砂の中から一本の巨大な塔が伸びたかのように見えた。
皆はその塔が、サンドウォームの本体であることに気づく。誰もが今まで遭遇したことも無い圧倒的なサイズのサンドウォームに唖然とした。程なくして無数の銃声と共にライフル弾が飛び交う。幸い、的は大きく、ライフル弾はどんどんと吸い込まれていく。直接サンドウォームに弾が直撃するが、あの硬質な体に対しては塵芥に等しい威力であったらしい。対した外傷を与えることも出来ず、弾き返されていく。
その無意味な攻撃がわずらわしかったのか、サンドウォームは巨体を砂に強く叩きつけた。その巨体は凄まじい風を巻き起こし、辺り一面は砂煙で何も見えなくなってしまった。
何も見えない。僅かに数発の銃声だけが聞こえる。俺は急に砂漠の中に取り残されたような錯覚に陥った。今こそが逃げ出す唯一のチャンスではないのだろうか。視界は最悪ではあるが、それは相手にとっても同じことだ。俺は銃を背中に背負うと一目散に野営地の方向に向けて走り出した。
悪い視界の中、微かに見える日の光だけが俺の頼りであった。あの化け物に対して俺らに勝ち目が無いのは目に見えているし、何も全滅することは無い。せめて未開拓地帯が自分達の手の届かないところにあったことを国に戻って伝えることさえ出来れば、それ以上のことはしなくて良いと判断したのである。他の仲間たちも同じように判断したらしく、皆が思い思いの方向に、蜘蛛の子を散らすかの如く逃げていった。
どれだけ走っただろうか。太陽の光を頼りに真っ直ぐと野営地向けて進んだつもりだが、一向に見えてこない。先ほどまで一緒に居たはずの仲間達も魔物の餌になってしまったのだろうか、徐々に数を減らしていって遂には俺一人になってしまっていた。どうやら逃げて切っても、逃げなくても俺の運命は変わらないようである。ただ広大な砂漠に一人。銃も無我夢中で逃げ回っている間に落としてしまったようだ。俺に残されたのは僅かな食料と水だけ。足元と頭上から物凄い熱気が俺を包んでいく。俺に出来ることはただひたすら死を待つことであるように思えた。
砂丘がどこまでも広がる砂漠の中、ひたすら歩き続ける。調査団に志願した以上、最悪のケースとして死ぬことは覚悟していたが、よもやここまで早々にその時が来るとは。俺には残してきた家族も居ない。昔からの友人は多分悲しがるだろうが、既に別れは済ませてきたのだ。外の世界を知るのが夢であり、それが夢半ばで終わってしまうのは残念である。外の世界は人間に対してあまりに過酷だったのだ。せめて、もう一度だけどこか安全で快適な所でゆっくりと眠ることが出来ればどれだけ良かっただろうか。
日が暮れて、大分涼しくなってきている。朦朧としつつ歩き続けていると突然地響きが聞こえた。遂に自分の番が来たのである。程なくしてサンドウォームの巨大な体が目の前の地面から飛び出し、俺を見下ろす。ここまでかと思い、目を瞑って視界を闇に閉ざした。死を目前にしているにも関わらず気分は意外と落ち着いていた。徐々にあの巨体が近づいてくるのが分かる。
お前の餌はここにある。一思いに殺してくれ。強烈な痛みと共に自分という存在が終わるのを覚悟していたが、実際には異なる感覚が襲ってきた。砂の上にそっと押し倒される感覚。この柔らかい感触はサンドウォームの舌だろうか。まるで俺を優しく抱きしめるかのような感触で、捕食する為の荒々しさを全く感じない。不思議に思い、おそるおそる目を開ける。
するとそこには、絶世の美女が立っていた。いや、立っているという表現がおかしいとすぐ気が付いた。サンドウォームの口の中から彼女は生えていたのだ。桜の色をした艶やかな髪の毛は腰まで伸びていて、その傷一つ無い肌から主張する大きな胸を俺に押し付けて抱きついていた。ルビーのように輝く二つの双眸がじっと俺を見つめている。異常なところがあるとすれば、彼女がこの巨大な化け物の舌から生えていることだった。
俺は何が起きているのか分からず、ただ彼女にされるがままにその場に硬直している。彼女は俺が動かないのを良いことにその華奢な女性の腕とは思えないほどの力で、俺の服を裂こうとする。
「や、止めろ」
俺は焦ってその腕を止めようとするが彼女のほうが力が上らしく、抵抗も空しく服と下着を剥ぎ取られてしまった。果たしてこの魔物は本当に俺を食べる気なのだろうか、人型であるし、もしかしたら言葉が通じるかもしれないと思い、対話を試みるがどうやら、言葉が分からないらしい。ただ首を傾げるだけである。そして、用は済んだかと言うかのように俺の背中に腕を回し抱きついてきた。
彼女の胸は俺の体に押し付けられその綺麗な形を歪ませる。なんと柔らかい胸だろうか。そんな感動を言葉にする暇も無く、今度は彼女の顔が近づき、深くキスをするように俺の口に舌を割り込ませて入れてきた。口内は彼女の舌で舐め回されていく。口内を犯すようなそのキスに何も考えられなくなる。俺はその舌の攻めによって完全に脱力しまった。
脱力した上半身とは逆に股間は彼女の下腹部をぐいぐいと押して主張していた。彼女は舌を離れさせるとそれを見て嬉しそうに俺の顔に頬を擦り付ける。そして俺の股間に対して彼女のぬれた秘部を擦り付けてきたのだ。擦れるたびに俺には全身を貫く快感が走る。彼女にも同じように快感を感じるらしく甘い声を上げる。
「ぐ、何を……」
彼女は秘部を擦り付けるスピードを早くしていき、甘ったるい声も徐々に大きくなっていく。頭が真っ白になる。彼女から出てくる液体だろうか。俺の股間には非常に粘性のある液体が塗りたくられていて、それを潤滑油に彼女は腰をさらに早く擦り付ける。
俺は彼女の背中に抱きつき、快感に耐えようとするが、努力も空しく彼女の与える暴力的な快感の前に屈してしまう。
「く……!もう駄目だ……!!」
あまりの強すぎる快楽に射精感がこみ上げる。彼女はその言葉を待ち望んでいた様に俺の背中を逃がすまいとさらに強く抱き、秘部を強く俺の股間に押し付けた。その刺激に耐え切れず俺は射精してしまう。
「あぁ、そんな……」
今まで出したことも無い量の精液が俺と彼女の腹の間を満たして白く染め上げていく。息も絶え絶えにその余韻に浸っていると、発情したように頬を染めた彼女は休む間もなく俺の体についた精液を舐め取っていった。そしてだんだんと腰の辺りに顔を近づけていって彼女の舌が股間に辿り着くとニヤりと妖艶な笑みを浮かべて、俺の股間を一気に口の中に飲み込んだ。口の中で彼女の長い舌が暴れ回り、俺が先ほど口で味わった以上の甘美な感覚が俺の股間に与えられる。
「や、やめてくれ」
だが、俺の言葉が彼女の耳に届くことは無い。長い舌はペニスを包むように隙間無く絡みつく。その柔らかな感触と温かさ。ねっとりと絡みつく彼女の唾液が、嵐のような快楽を俺に与え精神を蝕んでいく。人間には決して真似出来ない人外の快楽が俺のペニスを溶かす。舌は執拗に竿を嬲り続け、緩急を付けた刺激で俺をあっという間に次の射精へと追いやっていった。
腰を引こうにも彼女の両腕が俺の腰をしっかりとロックして、全く身動きが取れない。俺に出来ることはただ目の前の気持ちよすぎる感覚に声を上げることだけだった。彼女は股間を嬲りながら、快楽に揺さぶられる俺の顔を見上げ、その美貌をサディスティックに歪ませるのであった。
「ああぁぁぁ……」
あっという間の二度目の射精。俺は全身を震わせながら快楽に屈した。彼女は舌での締め付けをさらにきつくして、出てきた精液を一気に吸い上げていく。その感覚に俺は歯を食いしばりながら耐えることしか出来なかった。
あまりの気持ちよさに脱力していると彼女は軽々と俺の体を持ち上げ、粘液の滴る巨大なサンドウォームの口の中へと導いていった。これから俺は消化されて死ぬのだろうか、だがそれなら何故こんなことを……?
射精の余韻に頭が上手く回らず、ただ放心している間に徐々に巨大な口の中にと入っていく。口の中は非常に快適な環境であった。獲物が死ぬ前に与えられる最後の安息なのかもしれない。奥へと引き込まれていくと同時にサンドウォームの口はゆっくりと閉じ、遂に太陽の光は一切差し込まなくなった。だが、不思議と暗くは無い。体内全体がぼんやりと辺りを照らしていたのだ。
もう出ることは一生叶わないであろう。二人きりの空間。体内は非常に柔らかく彼女の肌のような感触である。彼女の一部であるからだろうか。まるで体全体を彼女に包まれたような感触。サンドウォームの大きな口から伸びている舌であろう、彼女の長大な下半身が俺の下半身に巻きついてきた。俺はもう脚を動かすことは出来ない。ただ、彼女が髪をかきあげて俺を捕食者の眼差しで見つめるのを、彼女の供物として眺めるだけだった。
彼女は二回の射精ですっかり萎えてしまった股間を、体液のローションでべとべとに塗れる細い両手で優しく包み込み、刺激を与えていく。その刺激に俺の股間はすぐに反応してしまった。体液が塗りたくられ、屹立する俺の股間を見て彼女は準備が整ったと言わんばかりに、俺の股間をそっと掴んで自分の秘所へと導いていく。あぁ、これから彼女に犯されてしまうのだ。
これから待ち受けるであろう快楽に俺は恍惚とした。彼女の秘所に俺の股間が触れる。それだけで、頭の中に火花が散る。この刺激ですら耐えられるものではない。だが、彼女は俺を徹底的に屈服させるためだろうか、一気に屹立を秘所に飲み込んだ。泥沼に足を突っ込んだような音。そして爆発的な快楽が俺を包む。
「うぁぁぁぁぁぁ!!」
彼女の膣内は物凄い柔突起が蠢いており、俺のペニスを四方八方から揉みくちゃにしながら、一気に最奥へと導いていった。その圧倒的な快楽に耐え切れず俺は彼女にしがみ付く。
彼女の膣は獲物から精液を搾り取る為にペニスを強く締め付け滅茶苦茶に絡み付いてくる。人間では与えることが出来ない魔性の快楽を与えられ、一気に射精に導かれていく。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
精液がほとばしる。迸る精液に反応したのだろうか。彼女の膣は更に動きを激しくする。先ほどまでに味わった彼女の口による吸い付きより強く吸われながら、竿を柔突起が這い回り、強く締め付けられる。三つの異なる快楽に翻弄され、俺は叫ぶことしか出来なかった。
気持ち良いのは彼女も同じようで大きく喘ぎ、豊満な胸を俺に押し付ける。気づけばいつの間にか次の射精をしていて、それにも関わらず膣の刺激は止むことなく、更なる射精を導いていく。永遠に続くかのような快楽地獄の中に閉じ込められる。膣は俺が快楽に慣れることの無いように常に不規則にペニスに刺激を与えていった。俺は抗うことも出来ずに、強すぎる快楽に溺れ、気絶するまで彼女に精を捧げ続けるのだった。
気がつくと俺は彼女の体内に横たわっていた。体が溶けるような様子は全く無い。彼女は肩に抱きつきすやすやと眠っている。大きな胸の間に挟まれた俺の腕はしっかりと彼女の細い両腕で掴まれており、動かすことは出来ない。どうやら、俺は彼女の配偶者に選ばれたのだろうか。
あどけない顔で眠る隣の彼女が、俺には手の及ばない力を持つとは到底見えない。だが、彼女の存在がここから逃げ出すのは不可能だということを如実に語っていた。
もう俺が故郷に帰ることは一生叶わないだろう。だが、それも悪くない。彼女と二人きりで、いつまでも過ごす。薄明かりに照らされた天井を見上げて、ぼーっとしていると、彼女は俺を離すまいとして、体をぴったりと寄せてくるのだった。
「砂の中から来るぞ!!」
隊長が叫ぶ。あまりの絶望的な状況に混乱した仲間達は闇雲に砂に向かってライフルを乱射した。サンドウォームたちは大人の人差し指ほどもあるライフル弾を物ともせず、徐々に間合いをつめていった。砂によって大きく減衰した弾のスピードはあの魔物に有効な一撃を加えることが出来ずにいる。「無駄弾を使うんじゃない。出てきたところを狙うんだ!!」隊長が再び怒鳴る。皆は少し落ち着きを取り戻し、砂の動きを冷静に見て自分の敵がどこにいるのかを判断しようとする。だが、相手もそれを察したのだろうか。砂は急に沈黙を保ち始めた。
さぁ、出て来い……
心の中で呟く。人間の数倍はある、あの巨体に対する武器としては、あまりに心許ない銃であったが、それでも俺にとっての最後の希望であった。この細い筒だけが俺達を死の淵から救う可能性があったのだ。砂漠の暑さすら遠くに忘れさせる緊張の中、砂の中から奴が飛び出してくるのを辛抱強く待ち続ける。誰一人として口を開けようとしない。
何が起きても対処が出来るよう集中を切らさず辺りを警戒している。皆はどの方向から襲われても対処できるようにゆっくりと隊列を形作っていった。
一瞬の叫び声。誰もがその声のした方に向くが既にそこに仲間の姿は無く、彼の帽子だけが転がっていた。隊の全員に緊張が走る。さあ、次は誰が犠牲になるのだろうか。そう全員が考えていた時、ふいに砂の中から一本の巨大な塔が伸びたかのように見えた。
皆はその塔が、サンドウォームの本体であることに気づく。誰もが今まで遭遇したことも無い圧倒的なサイズのサンドウォームに唖然とした。程なくして無数の銃声と共にライフル弾が飛び交う。幸い、的は大きく、ライフル弾はどんどんと吸い込まれていく。直接サンドウォームに弾が直撃するが、あの硬質な体に対しては塵芥に等しい威力であったらしい。対した外傷を与えることも出来ず、弾き返されていく。
その無意味な攻撃がわずらわしかったのか、サンドウォームは巨体を砂に強く叩きつけた。その巨体は凄まじい風を巻き起こし、辺り一面は砂煙で何も見えなくなってしまった。
何も見えない。僅かに数発の銃声だけが聞こえる。俺は急に砂漠の中に取り残されたような錯覚に陥った。今こそが逃げ出す唯一のチャンスではないのだろうか。視界は最悪ではあるが、それは相手にとっても同じことだ。俺は銃を背中に背負うと一目散に野営地の方向に向けて走り出した。
悪い視界の中、微かに見える日の光だけが俺の頼りであった。あの化け物に対して俺らに勝ち目が無いのは目に見えているし、何も全滅することは無い。せめて未開拓地帯が自分達の手の届かないところにあったことを国に戻って伝えることさえ出来れば、それ以上のことはしなくて良いと判断したのである。他の仲間たちも同じように判断したらしく、皆が思い思いの方向に、蜘蛛の子を散らすかの如く逃げていった。
どれだけ走っただろうか。太陽の光を頼りに真っ直ぐと野営地向けて進んだつもりだが、一向に見えてこない。先ほどまで一緒に居たはずの仲間達も魔物の餌になってしまったのだろうか、徐々に数を減らしていって遂には俺一人になってしまっていた。どうやら逃げて切っても、逃げなくても俺の運命は変わらないようである。ただ広大な砂漠に一人。銃も無我夢中で逃げ回っている間に落としてしまったようだ。俺に残されたのは僅かな食料と水だけ。足元と頭上から物凄い熱気が俺を包んでいく。俺に出来ることはただひたすら死を待つことであるように思えた。
砂丘がどこまでも広がる砂漠の中、ひたすら歩き続ける。調査団に志願した以上、最悪のケースとして死ぬことは覚悟していたが、よもやここまで早々にその時が来るとは。俺には残してきた家族も居ない。昔からの友人は多分悲しがるだろうが、既に別れは済ませてきたのだ。外の世界を知るのが夢であり、それが夢半ばで終わってしまうのは残念である。外の世界は人間に対してあまりに過酷だったのだ。せめて、もう一度だけどこか安全で快適な所でゆっくりと眠ることが出来ればどれだけ良かっただろうか。
日が暮れて、大分涼しくなってきている。朦朧としつつ歩き続けていると突然地響きが聞こえた。遂に自分の番が来たのである。程なくしてサンドウォームの巨大な体が目の前の地面から飛び出し、俺を見下ろす。ここまでかと思い、目を瞑って視界を闇に閉ざした。死を目前にしているにも関わらず気分は意外と落ち着いていた。徐々にあの巨体が近づいてくるのが分かる。
お前の餌はここにある。一思いに殺してくれ。強烈な痛みと共に自分という存在が終わるのを覚悟していたが、実際には異なる感覚が襲ってきた。砂の上にそっと押し倒される感覚。この柔らかい感触はサンドウォームの舌だろうか。まるで俺を優しく抱きしめるかのような感触で、捕食する為の荒々しさを全く感じない。不思議に思い、おそるおそる目を開ける。
するとそこには、絶世の美女が立っていた。いや、立っているという表現がおかしいとすぐ気が付いた。サンドウォームの口の中から彼女は生えていたのだ。桜の色をした艶やかな髪の毛は腰まで伸びていて、その傷一つ無い肌から主張する大きな胸を俺に押し付けて抱きついていた。ルビーのように輝く二つの双眸がじっと俺を見つめている。異常なところがあるとすれば、彼女がこの巨大な化け物の舌から生えていることだった。
俺は何が起きているのか分からず、ただ彼女にされるがままにその場に硬直している。彼女は俺が動かないのを良いことにその華奢な女性の腕とは思えないほどの力で、俺の服を裂こうとする。
「や、止めろ」
俺は焦ってその腕を止めようとするが彼女のほうが力が上らしく、抵抗も空しく服と下着を剥ぎ取られてしまった。果たしてこの魔物は本当に俺を食べる気なのだろうか、人型であるし、もしかしたら言葉が通じるかもしれないと思い、対話を試みるがどうやら、言葉が分からないらしい。ただ首を傾げるだけである。そして、用は済んだかと言うかのように俺の背中に腕を回し抱きついてきた。
彼女の胸は俺の体に押し付けられその綺麗な形を歪ませる。なんと柔らかい胸だろうか。そんな感動を言葉にする暇も無く、今度は彼女の顔が近づき、深くキスをするように俺の口に舌を割り込ませて入れてきた。口内は彼女の舌で舐め回されていく。口内を犯すようなそのキスに何も考えられなくなる。俺はその舌の攻めによって完全に脱力しまった。
脱力した上半身とは逆に股間は彼女の下腹部をぐいぐいと押して主張していた。彼女は舌を離れさせるとそれを見て嬉しそうに俺の顔に頬を擦り付ける。そして俺の股間に対して彼女のぬれた秘部を擦り付けてきたのだ。擦れるたびに俺には全身を貫く快感が走る。彼女にも同じように快感を感じるらしく甘い声を上げる。
「ぐ、何を……」
彼女は秘部を擦り付けるスピードを早くしていき、甘ったるい声も徐々に大きくなっていく。頭が真っ白になる。彼女から出てくる液体だろうか。俺の股間には非常に粘性のある液体が塗りたくられていて、それを潤滑油に彼女は腰をさらに早く擦り付ける。
俺は彼女の背中に抱きつき、快感に耐えようとするが、努力も空しく彼女の与える暴力的な快感の前に屈してしまう。
「く……!もう駄目だ……!!」
あまりの強すぎる快楽に射精感がこみ上げる。彼女はその言葉を待ち望んでいた様に俺の背中を逃がすまいとさらに強く抱き、秘部を強く俺の股間に押し付けた。その刺激に耐え切れず俺は射精してしまう。
「あぁ、そんな……」
今まで出したことも無い量の精液が俺と彼女の腹の間を満たして白く染め上げていく。息も絶え絶えにその余韻に浸っていると、発情したように頬を染めた彼女は休む間もなく俺の体についた精液を舐め取っていった。そしてだんだんと腰の辺りに顔を近づけていって彼女の舌が股間に辿り着くとニヤりと妖艶な笑みを浮かべて、俺の股間を一気に口の中に飲み込んだ。口の中で彼女の長い舌が暴れ回り、俺が先ほど口で味わった以上の甘美な感覚が俺の股間に与えられる。
「や、やめてくれ」
だが、俺の言葉が彼女の耳に届くことは無い。長い舌はペニスを包むように隙間無く絡みつく。その柔らかな感触と温かさ。ねっとりと絡みつく彼女の唾液が、嵐のような快楽を俺に与え精神を蝕んでいく。人間には決して真似出来ない人外の快楽が俺のペニスを溶かす。舌は執拗に竿を嬲り続け、緩急を付けた刺激で俺をあっという間に次の射精へと追いやっていった。
腰を引こうにも彼女の両腕が俺の腰をしっかりとロックして、全く身動きが取れない。俺に出来ることはただ目の前の気持ちよすぎる感覚に声を上げることだけだった。彼女は股間を嬲りながら、快楽に揺さぶられる俺の顔を見上げ、その美貌をサディスティックに歪ませるのであった。
「ああぁぁぁ……」
あっという間の二度目の射精。俺は全身を震わせながら快楽に屈した。彼女は舌での締め付けをさらにきつくして、出てきた精液を一気に吸い上げていく。その感覚に俺は歯を食いしばりながら耐えることしか出来なかった。
あまりの気持ちよさに脱力していると彼女は軽々と俺の体を持ち上げ、粘液の滴る巨大なサンドウォームの口の中へと導いていった。これから俺は消化されて死ぬのだろうか、だがそれなら何故こんなことを……?
射精の余韻に頭が上手く回らず、ただ放心している間に徐々に巨大な口の中にと入っていく。口の中は非常に快適な環境であった。獲物が死ぬ前に与えられる最後の安息なのかもしれない。奥へと引き込まれていくと同時にサンドウォームの口はゆっくりと閉じ、遂に太陽の光は一切差し込まなくなった。だが、不思議と暗くは無い。体内全体がぼんやりと辺りを照らしていたのだ。
もう出ることは一生叶わないであろう。二人きりの空間。体内は非常に柔らかく彼女の肌のような感触である。彼女の一部であるからだろうか。まるで体全体を彼女に包まれたような感触。サンドウォームの大きな口から伸びている舌であろう、彼女の長大な下半身が俺の下半身に巻きついてきた。俺はもう脚を動かすことは出来ない。ただ、彼女が髪をかきあげて俺を捕食者の眼差しで見つめるのを、彼女の供物として眺めるだけだった。
彼女は二回の射精ですっかり萎えてしまった股間を、体液のローションでべとべとに塗れる細い両手で優しく包み込み、刺激を与えていく。その刺激に俺の股間はすぐに反応してしまった。体液が塗りたくられ、屹立する俺の股間を見て彼女は準備が整ったと言わんばかりに、俺の股間をそっと掴んで自分の秘所へと導いていく。あぁ、これから彼女に犯されてしまうのだ。
これから待ち受けるであろう快楽に俺は恍惚とした。彼女の秘所に俺の股間が触れる。それだけで、頭の中に火花が散る。この刺激ですら耐えられるものではない。だが、彼女は俺を徹底的に屈服させるためだろうか、一気に屹立を秘所に飲み込んだ。泥沼に足を突っ込んだような音。そして爆発的な快楽が俺を包む。
「うぁぁぁぁぁぁ!!」
彼女の膣内は物凄い柔突起が蠢いており、俺のペニスを四方八方から揉みくちゃにしながら、一気に最奥へと導いていった。その圧倒的な快楽に耐え切れず俺は彼女にしがみ付く。
彼女の膣は獲物から精液を搾り取る為にペニスを強く締め付け滅茶苦茶に絡み付いてくる。人間では与えることが出来ない魔性の快楽を与えられ、一気に射精に導かれていく。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
精液がほとばしる。迸る精液に反応したのだろうか。彼女の膣は更に動きを激しくする。先ほどまでに味わった彼女の口による吸い付きより強く吸われながら、竿を柔突起が這い回り、強く締め付けられる。三つの異なる快楽に翻弄され、俺は叫ぶことしか出来なかった。
気持ち良いのは彼女も同じようで大きく喘ぎ、豊満な胸を俺に押し付ける。気づけばいつの間にか次の射精をしていて、それにも関わらず膣の刺激は止むことなく、更なる射精を導いていく。永遠に続くかのような快楽地獄の中に閉じ込められる。膣は俺が快楽に慣れることの無いように常に不規則にペニスに刺激を与えていった。俺は抗うことも出来ずに、強すぎる快楽に溺れ、気絶するまで彼女に精を捧げ続けるのだった。
気がつくと俺は彼女の体内に横たわっていた。体が溶けるような様子は全く無い。彼女は肩に抱きつきすやすやと眠っている。大きな胸の間に挟まれた俺の腕はしっかりと彼女の細い両腕で掴まれており、動かすことは出来ない。どうやら、俺は彼女の配偶者に選ばれたのだろうか。
あどけない顔で眠る隣の彼女が、俺には手の及ばない力を持つとは到底見えない。だが、彼女の存在がここから逃げ出すのは不可能だということを如実に語っていた。
もう俺が故郷に帰ることは一生叶わないだろう。だが、それも悪くない。彼女と二人きりで、いつまでも過ごす。薄明かりに照らされた天井を見上げて、ぼーっとしていると、彼女は俺を離すまいとして、体をぴったりと寄せてくるのだった。
13/05/04 20:11更新 / crackle